(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。なお、以下の例示的な実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、同様の構成要素には共通の符号が付されるとともに、重複する説明が省略される。
【0008】
また、以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および効果は、あくまで一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成によって得られる種々の効果のうち少なくとも一つをうることが可能である。
【0009】
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態のエレベータ100の全体構成を模式的に示す図である。
図1に示されるエレベータ100は、例えば、建築基準法第34条の規定に基づき設置された非常用エレベータである。当該非常用エレベータとしてのエレベータ100は、運転形態として、通常運転と、消防運転と、を有し、これら通常運転と消防運転との切り替えが可能となっている。以下では、特に言及されない限り、エレベータ100の動作は通常運転の場合の動作である。消防運転は、非常運転の一例である。通常運転は、通常運転モードとも称され、消防運転は、消防運転モードとも称される。
【0010】
図1に示されるように、エレベータ100は、乗りかご10と、ウェイト20と、メインロープ30と、巻上機40と、制御盤50と、を備えている。このうち乗りかご10、ウェイト20、メインロープ30、および巻上機40は、建物101の昇降路102に設置されている。なお、建物101の昇降路102の機械室が設置され、巻上機40および制御盤50については当該機械室に配置されてもよい。
【0011】
乗りかご10は、建物101に昇降可能に設けられており、利用者が乗降する。乗りかご10は、昇降路102内に設置された不図示の一対のかご用ガイドレールの間に配置される。当該かご用ガイドレールには、案内装置が設けられている。乗りかご10は、当該案内装置を介してかご用ガイドレールに沿って昇降することで、昇降路102内を昇降する。
【0012】
また、乗りかご10内には、かご操作盤12が設けられている。かご操作盤12には、エレベータ100を操作するための各種のスイッチが設けられている。例えば、かご操作盤12には、消防運転スイッチ13が設けられている。消防運転スイッチ13は、不図示の専用キーによって「切」と「入」とが切り換え可能となっている。消防運転スイッチ13が「切」の場合には、通常運転となり、消防運転スイッチ13が「入」の場合には、消防運転となる。消防運転では、他階床の乗場呼びの有無にかかわらず乗りかご10を目的階に直行させること(1次消防運転)や、戸開状態のままで乗りかご10を昇降させること(2次消防運転)などができるようになっている。消防運転スイッチ13からの操作信号は、制御盤50に送信されるようになっている。消防運転スイッチ13は、通常運転と消防運転とを切り替える切替部の一例である。消防運転スイッチ13は、切替スイッチや切替操作部とも称される。
【0013】
ウェイト20は、乗りかご10の昇降に連動して昇降路102内を昇降する。ウェイト20は、不図示の一対のウェイト用ガイドレールの間に配置される。当該ウェイト用ガイドレールには、不図示の案内装置が設けられている。ウェイト20は、当該案内装置を介してウェイト用ガイドレールに沿って昇降する。ウェイト20は、乗りかご10が所定積載量(例えば、最大積載量に対して0〜1/2程度)の場合に巻上機40を挟んで、乗りかご10と釣り合うように重量が設定されている。
【0014】
メインロープ30は、乗りかご10とウェイト20とを連結する。メインロープ30は、巻上機40のメインシーブに巻き掛けられている。メインロープ30は、乗りかご10とウェイト20とをトラクション式に昇降させる。メインロープ30は、一方の端部が乗りかご10の鉛直方向上部に固定され、他方の端部がウェイト20の鉛直方向上部に固定されている。
【0015】
巻上機40は、回転可能に設けられている。巻上機40には、不図示の回転駆動部が設けられている。巻上機40は、当該回転駆動部の駆動によって回転することで、メインシーブに巻き掛けられたメインロープ30を巻き上げる。巻上機40は、乗りかご10とウェイト20との昇降方向における相対位置を変化させ、乗りかご10を昇降路102内で昇降させる。巻上機40は、制御盤50と電気的に接続されている。巻上機40は、制御盤50を介して供給される電力により、回転駆動部の駆動制御を行う。
【0016】
また、エレベータ100は、ドア装置80を備えている。ドア装置80は、エレベータ100の乗りかご10と、建物101のフロア103に設けられた乗場104と、の間を開閉する。
図2,3は、本実施形態のドア装置80の一部の模式的かつ例示的な平面図である。
図2は、ドア装置80の正面図(フロア側から見た図)であり、
図3は、ドア装置80の平面視(上方から見た図)である。
図2,3に示されるように、ドア装置80は、乗りかご10に設けられたかごドア装置60と、建物101の各フロア103の乗場104に設けられた乗場ドア装置70と、を備えている。なお、
図2では、乗場ドア装置70の図示が省略されている。
【0017】
かごドア装置60は、かごドア61と、プレート62と、駆動装置64(
図1)と、を有している。かごドア61は、乗りかご10のかご側乗降口11を開閉(閉塞および開放)する。かごドア61は、かご側乗降口11を覆うように左右に一対設けられている。一対のかごドア61は、不図示のリンク機構により、互いに反対方向に連動して移動可能に設けられている。駆動装置64は、リンク機構を駆動することにより、一対のかごドア61を開方向および閉方向に移動する。かごドア61は、乗りかご10が昇降する場合、かご側乗降口11を閉塞する。かごドア61は、乗りかご10が建物101のいずれかのフロア103に着床した場合、かご側乗降口11を開放する。乗りかご10には、かごドア61の開閉状態を検出する不図示のセンサなどが設けられている。これらのセンサは、検出結果を制御盤50に入力または送信可能である。
【0018】
プレート62は、一対のかごドア61のうち、一方のかごドア61のフロア103側に取り付けられている。なお、
図2,3では、一対のかごドア61のうちプレート62が取り付けられた方のかごドア61を主として示しており、他方のかごドア61については一部構成を省略している。また、以下において、かごドア61について説明する場合には、プレート62が取り付けられた方のかごドア61を例として説明する。また、以下の説明におけるかごドア61の開方向および閉方向、すなわち開閉方向については、プレート62が取り付けられた方のかごドア61についてのものである。プレート62は、例えば金属材料によって構成されている。プレート62は、引掛部材とも称される。
【0019】
プレート62は、かごドア61と一体で、かごドア61の開閉方向に移動可能である。プレート62は、帯板状に形成され、鉛直方向に延びた状態で位置される。プレート62は、連結位置(
図3)と解除位置(
図8)とに移動可能に移動機構201によって支持されている。連結位置は、後述する二つのローラ75,76の間に位置されローラ75,76と引っ掛かり可能な位置である。解除位置は、二つのローラ75,76の間の外側に位置しローラ75,76と引っ掛かり不能な位置である。通常運転の場合には、プレート62は、連結位置に位置され、乗りかご10がフロア103に着床する際に、ローラ75とローラ76との間に位置される。消防運転の場合には、プレート62は、移動機構201によって解除位置に移動される。移動機構201の詳細は後述する。
【0020】
駆動装置64は、例えばモータ装置などの不図示の駆動源を有している。駆動装置64は、例えば制御盤50等に設けられた駆動制御部51によって制御される。
【0021】
図3に示されるように、乗場ドア装置70は、乗場ドア71と、インターロック機構72と、を有している。乗場ドア71は、建物101の乗場104に設けられた乗場側乗降口111を開閉(閉塞および開放)する。乗場ドア71は、乗場側乗降口111(
図1)を覆うように左右に一対設けられている。一対の乗場ドア71は、不図示のリンク機構により、互いに反対方向に連動して移動可能に設けられている。一対の乗場ドア71は、乗りかご10がフロア103に着床した場合、かごドア61に対して奥行方向に並んで位置される。なお、奥行方向は、かごドア61および乗場ドア71の開閉方向と直交し、かつ鉛直方向(乗りかご10の上下方向)と直交する方向である。一対の乗場ドア71は、かごドア61に連動して開閉方向に移動し、乗場側乗降口111を開放および閉塞する。
図3においては、一対の乗場ドア71のうち、プレート62が取り付けられたかごドア61に対向する乗場ドア71を主として示しており、他方の乗場ドア71を省略している。また、以下において、乗場ドア71について説明する場合には、プレート62が取り付けられた方のかごドア61に対向する乗場ドア71を例として説明する。
【0022】
図2,3に示されるインターロック機構72は、乗場ドア71を閉じた状態でロックする。また、インターロック機構72は、フロア103に着床した乗りかご10のかごドア61が開く場合に、当該かごドア61の移動に連動してロックを解除する。
図4は、乗場ドア71がロックされた状態を示している。
図4に示されるように、インターロック機構72は、回転レバー73と、係止部材74と、二つのローラ75,76と、を有している。回転レバー73は、軸受77により、乗りかご10の奥行方向に平行な回転中心軸回りに回転可能に支持されている。軸受77は、乗場ドア71に固定されている。したがって、回転レバー73は、乗場ドア71と一体で開方向および閉方向(開閉方向)に移動する。
【0023】
回転レバー73は、分岐部において第1の部分73aと第2の部分73bとに分岐されている。第1の部分73aの先端には、フック73cが設けられている。係止部材74は、乗場ドア装置70に設けられた不図示の固定部材に固定されている。係止部材74には、フック係止部74cが設けられている。
【0024】
ローラ75,76は、乗場ドア71に設けられている。ローラ75,76は、かごドア61の開閉方向に互いに離間して設けられている。ローラ75は、回転レバー73の第1の部分73aに取り付けられている。また、ローラ76は、回転レバー73の第2の部分73bに取り付けられている。ローラ75,76は、回転レバー73から昇降路102側に突出して設けられている。ローラ75は、かごドア61が閉じる際、プレート62と引っ掛かる。ローラ76は、かごドア61が開く際、プレート62と引っ掛かる。ローラ75,76は、乗場ドア側引掛部材の一例である。
【0025】
図4に示されるように、乗場ドア71が閉塞した状態では、回転レバー73のフック73cが係止部材74のフック係止部74cと引っ掛かる。この場合、乗場ドア71が閉塞した状態でロックされる。また、乗りかご10が当該フロア103に着床した場合、
図4の一点鎖線部分に示されるように、プレート62がローラ75とローラ76との間に位置される。
【0026】
この状態でかごドア61が開くと、かごドア61と一体でプレート62が開方向に移動する。プレート62の移動により、プレート62がローラ76を開方向に押していく。これにより、
図5に示されるように、回転レバー73が回転し、フック73cがフック係止部74cから外れる。このため、乗場ドア71のロックが解除される。
【0027】
プレート62、ローラ75、およびローラ76は、連結機構209を構成している。連結機構209は、通常運転の場合に、かごドア61と乗場ドア71とを連結した状態でかごドア61の開閉動作に乗場ドア71の開閉動作を連動させる。連結機構209は、連結位置に位置されたプレート62とローラ75,76とが、かごドア61の開閉方向に互いに引っ掛かることにより、かごドア61と乗場ドア71とを連動させる。
【0028】
次に、移動機構201について説明する。
図6〜
図8は、本実施形態のドア装置80の一部の模式的かつ例示的な図である。
図6は、プレート62が連結位置に位置された状態の正面図であり、
図7は、プレート62が連結位置に位置された状態の側面図であり、
図8は、プレート62が解除位置に位置された状態の側面図である。
図6〜
図8に示されるように、移動機構201は、ブラケット202,203と、アーム部材204と、ボルト205と、ナット206と、ソレノイド207と、を有している。移動機構201は、かごドア61の乗場ドア71側の面に設けられており、かごドア61と一体に移動する。移動機構201は、支持部とも称される。
【0029】
ブラケット202とブラケット203とは、乗りかご10の奥行き方向に沿った平面に関して、互いに面対称に構成されている。ブラケット202,203は、鉛直方向に延びて構成されるとともに、かごドア61の開閉方向に互いに重ねられている。ブラケット202,203は、第1の板部202a,203aと、第2の板部202b,203bと、を有している。第1の板部202a,203aは、かごドア61に沿った帯状に構成され、かごドア61の乗場ドア71側の面に固定されている。第2の板部202b,203bは、第1の板部202a,203aから乗場ドア71側に向けて突出している。第2の板部202bと第2の板部203bとは、かごドア61の開閉方向に互いに重ねられている。
【0030】
第2の板部202b,203bには、かごドア61の開閉方向で当該第2の板部202b,203bを挟んだ一対のアーム部材204の組みが、結合されている。アーム部材204の組みは、互いに鉛直方向に間隔を空けて二組設けられている。アーム部材204の組みは、ボルト205およびナット206によって、第2の板部202b,203bに固定されているとともに、第2の板部202b,203bからプレート62に向かって延びている。アーム部材204の組みのプレート62側の端部には、プレート62が、かごドア61の奥行き方向に移動可能に設けられている。詳細には、アーム部材204の組みの間にプレート62が入れられた状態で、一対のアーム部材204のプレート62側の端部に、プレート62が連結されている。プレート62には、かごドア61の奥行き方向に延びた貫通孔62a(開口部)が設けられており、この貫通孔62aおよび一対のアーム部材204の不図示の貫通孔を貫通したボルト205が、アーム部材204にナット206によって固定されている。プレート62は、一対のアーム部材204に挟まれた状態でかごドア61の奥行き方向に移動可能に、ボルト205によって支持されている。詳細には、プレート62は、連結位置(
図7)と、連結位置よりもかごドア61側の位置である解除位置(
図8)と、に移動可能に支持されている。
【0031】
ソレノイド207は、ブラケット202,203の上端部と、ブラケット202,203の下端部と、にそれぞれ設けられている。すなわち、二つのソレノイド207が鉛直方向に互いに間隔を開けて設けられている。ソレノイド207の可動鉄心207aは、プレート62に固定されている。すなわち、プレート62は、可動鉄心207aと一体に移動する。なお、可動鉄心207aとプレート62とは、不図示のブラケットを介して互いに固定されていてもよい。可動鉄心207aは、かごドア61の奥行き方向に移動する。可動鉄心207aは、通常運転の場合には、繰り出された状態となっており、消防運転の場合には、引き込まれる。ソレノイド207は、例えば、制御盤50からの指令に基づいて、可動鉄心207aを動かす。
【0032】
ソレノイド207は、消防運転スイッチ13によって通常運転から消防運転に切り替えられた場合に、可動鉄心207aを引き込み、プレート62を乗りかご10の内側に向かう方向に移動させることにより、プレート62を連結位置(
図7)から解除位置(
図8)に移動させる。これにより、ソレノイド207は、連結機構209のかごドア61と乗場ドア71との連結を解除する。このようにして、ソレノイド207によって、連結機構209のかごドア61と乗場ドア71との連結が解除された場合には、乗場ドア71はかごドア61と連動せず、かごドア61が開いても乗場ドア71は閉まった状態のままである。また、ソレノイド207は、消防運転から通常運転に切り替えられた場合には、プレート62を解除位置から連結位置に移動させる。ソレノイド207は、解除部の一例である。ソレノイド207は、アクチュエータや電気部品とも称される。
【0033】
以上からわかるように、本実施形態では、以下のエレベータ100のドア連結解除方法が実行される。すなわち、消防運転スイッチ13が通常運転から消防運転に切り替え、ソレノイド207が、消防運転スイッチ13によって通常運転から消防運転に切り替えられた場合に、連結機構209を動かして連結機構209のかごドア61と乗場ドア71との連結を解除する。
【0034】
以上のように、本実施形態では、消防運転スイッチ13によって通常運転から消防運転(非常運転)に切り替えられた場合に、ソレノイド207が、連結機構209を動かして連結機構209のかごドア61と乗場ドア71との連結を解除する。よって、例えば、あるフロア103に火災が発生した場合であっても、通常運転から消防運転に切り替えられることで、乗場ドア71は、かごドア61に連動しない。これにより、例えば、消防員が乗った乗りかご10が火災が発生したフロア103に到着し、かごドア61が開けられても、乗場ドア71は閉じられたままである。したがって、消防員は、乗場ドア71が閉じられた状態で、乗りかご10内から乗場ドア71の損傷状態を確認し、乗場ドア71の損傷状況に基づいてフロア103の火災の状況を判断することができる。よって、乗りかご10に乗った消防員がフロア103の状況をより安全に判断しやすい。
【0035】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態を説明する。
図9〜12は、本実施形態のドア装置80の一部の模式的かつ例示的な図である。
図9は、プレート62が連結位置に位置された状態の正面図であり、
図10は、プレート62が連結位置に位置された状態の平面図であり、
図11は、プレート62が解除位置に位置された状態の正面図であり、
図12は、プレート62が解除位置に位置された状態の平面図である。本実施形態は、第1の実施形態と同様の構成を備えている。よって、本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の構成に基づく同様の効果が得られる。ただし、本実施形態は、移動機構201Aが第1の実施形態と主に相違している。
【0036】
本実施形態の移動機構201Aは、プレート62を鉛直方向(乗りかご10の上下方向)に沿った回転中心軸Ax回りに回転させることにより、プレート62を連結位置(
図9,10)から解除位置(
図11,12)に移動させる。移動機構201Aは、ヒンジ211と、ストッパ212,213と、ソレノイド207A1,207A2と、を有している。
【0037】
ヒンジ211は、プレート62をかごドア61に連結している。ヒンジ211は、プレート62を回転中心軸Ax回りに回転可能に支持している。詳細には、ヒンジ211は、プレート62を連結位置(
図9,10)と解除位置(
図11,12)とに回転可能に支持している。プレート62は、連結位置では、乗りかご10の奥行き方向に沿った姿勢でストッパ212,213によってかごドア61の開閉方向に支持されて、回転中心軸Ax回りに回転が制限されている。
【0038】
ストッパ212は、かごドア61の開方向へのプレート62の回転を制限する。ストッパ212は、かごドア61に固定されている。
【0039】
ストッパ213は、かごドア61の閉方向へのプレート62の回転を制限する。ストッパ213は、ソレノイド207A1を介してかごドア61に連結されている。ソレノイド207A1の可動鉄心207aは、鉛直方向に移動するように構成されており、当該可動鉄心207aの上端部にストッパ213が固定されている。ソレノイド207A1の可動鉄心207aは、通常運転では、繰り出された状態となっており、プレート62を支持する位置にストッパ213を位置させている。また、ソレノイド207A1の可動鉄心207aは、消防運転では、引き込まれた状態となっており、プレート62よりも下方の位置であってプレート62を支持しない位置にストッパ213を位置させている。ソレノイド207A1は、例えば、制御盤50からの指令に基づいて、可動鉄心207aを動かす。
【0040】
ソレノイド207A2は、連結機構214を介してプレート62と連結されている。ソレノイド207A2の可動鉄心207aは、かごドア61の開閉方向に移動する。連結機構214は、プレート62に設けられたアーム214aと、アーム214aとソレノイド207A2の可動鉄心207aとの間に介在したリンク214bと、を有している。リンク214bは、鉛直方向に沿った回転中心軸回りに回転可能に、アーム214aおよびソレノイド207Aの可動鉄心207aと連結されている。連結機構214は、ソレノイド207A2の可動鉄心207aの動きに応じて変形して、プレート62を回転させる。ソレノイド207A2の可動鉄心207aは、通常運転では、引き込まれた状態となっており、この状態では、プレート62は、連結位置に位置される。ソレノイド207A2の可動鉄心207aは、消防運転では、繰り出された状態となっている。ソレノイド207A2は、例えば、制御盤50からの指令に基づいて、可動鉄心207aを動かす。
【0041】
上記構成において、通常運転から消防運転に切り替えられると、ソレノイド207A1が、可動鉄心207aを引き込んで、ストッパ213をプレート62よりも下方に移動させて、ストッパ213によるプレート62の支持を解除する。次に、ソレノイド207A2が、可動鉄心207aを繰り出して、プレート62を回転中心軸Ax回りに回転させることにより、プレート62を連結位置(
図9,10)から解除位置(
図11,12)に移動させる。このようにして、ソレノイド207A2によって、連結機構209のかごドア61と乗場ドア71との連結が解除された場合には、かごドア61が開いても乗場ドア71は閉まった状態のままである。また、ソレノイド207A2は、消防運転から通常運転に切り替えられた場合には、プレート62を解除位置から連結位置に移動させる。その後、ソレノイド207A1が、ストッパ213がプレート62を支持する位置にストッパ213を移動させる。本実施形態では、
ソレノイド207A1は、第1のソレノイドの一例であり、ソレノイド207A2は、
第2のソレノイド(解除部
)の一例である。
【0042】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態を説明する。
図13〜15は、本実施形態のドア装置80の一部の模式的かつ例示的な図である。
図13は、プレート62が連結位置に位置された状態の正面図であり、
図14は、プレート62が連結位置に位置された状態の側面図であり、
図15は、プレート62が解除位置に位置された状態の側面図である。本実施形態は、第1の実施形態と同様の構成を備えている。よって、本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の構成に基づく同様の効果が得られる。ただし、本実施形態は、移動機構201Bが第1の実施形態と主に相違している。
【0043】
本実施形態の移動機構201Bは、プレート62を鉛直方向に移動させることにより、プレート62を連結位置(
図13,14)から解除位置(
図15)に移動させる。移動機構201Bは、ブラケット202,203と、ボルト205と、ナット206と、ソレノイド207Bと、を有している。
【0044】
本実施形態のブラケット202,203とは、第1の実施形態と同様である。ただし、本実施形態では、ブラケット202の第2の板部202bとブラケット203の第2の板部203bとの間に、プレート62が挟まれている。また、本実施形態では、プレート62の貫通孔62aは、鉛直方向に延びている。そして、この貫通孔62aおよびブラケット202,203の第2の板部202b,203bの不図示の貫通孔を貫通したボルト205が、第2の板部202b,203bにナット206によって固定されている。プレート62は、第2の板部202b,203bに挟まれた状態で、ボルト205によって、鉛直方向に移動可能に支持されている。詳細には、プレート62は、連結位置(
図14)と、連結位置よりも下方の位置である解除位置(
図15)と、に移動可能に支持されている。
【0045】
ソレノイド207Bは、プレート62の下方で、ブラケット221を介して、かごドア61に固定されている。ソレノイド207Bの可動鉄心207aは、プレート62の下端部に固定されている。すなわち、プレート62は、ソレノイド207Bの可動鉄心207aと一体に移動する。なお、ソレノイド207Bの可動鉄心207aは、プレート62の下端部に固定されず、プレート62を下方から支持している構成であってもよい。ソレノイド207Bの可動鉄心207aは、鉛直方向に移動する。当該可動鉄心207aは、通常運転では、繰り出された状態となっており、消防運転では、引き込まれた状態となっている。ソレノイド207Bは、例えば、制御盤50からの指令に基づいて、可動鉄心207aを動かす。
【0046】
ソレノイド207Bは、消防運転スイッチ13によって通常運転から消防運転に切り替えられた場合に、可動鉄心207aを引き込み、プレート62を鉛直方向(下方)に移動させることにより、プレート62を連結位置(
図14)から解除位置(
図15)に移動させる。これにより、ソレノイド207Bは、連結機構209のかごドア61と乗場ドア71との連結を解除する。このようにして、ソレノイド207Bによって、連結機構209のかごドア61と乗場ドア71との連結が解除された場合には、かごドア61が開いても乗場ドア71は閉まった状態のままである。また、ソレノイド207Bは、消防運転から通常運転に切り替えられた場合には、プレート62を解除位置から連結位置に移動させる。本実施形態でソレノイド207Bは、解除部の一例である。
【0047】
<第4の実施形態>
次に、第4の実施形態を説明する。
図16〜18は、本実施形態のドア装置80の一部の模式的かつ例示的な図である。
図16は、プレート62が連結位置に位置された状態の正面図であり、
図17は、プレート62が連結位置に位置された状態の側面図であり、
図18は、プレート62が解除位置に位置された状態の側面図である。本実施形態は、第1の実施形態と同様の構成を備えている。よって、本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の構成に基づく同様の効果が得られる。ただし、本実施形態は、移動機構201Cが第1の実施形態と主に相違している。
【0048】
本実施形態の移動機構201Cは、第3の実施形態の移動機構201Bと同様に、プレート62を鉛直方向に移動させることにより、プレート62を連結位置(
図16,17)から解除位置(
図18)に移動させる。移動機構201Cは、移動機構201Bと同様に、ブラケット202,203と、ボルト205と、ナット206と、を有しており、移動機構201Bと同様にプレート62を連結位置と解除位置とに移動可能に支持している。解除位置は、連結位置よりも下方の位置である。また、プレート62の下方には、第3の実施形態で説明したブラケット221が設けられている。プレート62は、連結位置では、ブラケット221と離間し、解除位置では、ブラケット221に当接してブラケット221に支持されている。プレート62は、磁性材料(金属材料)によって構成されている。
【0049】
また、移動機構201Cは、移動機構201Bのソレノイド207Bに替えて、電磁石231を有している。電磁石231は、かごドア61とプレート62との間に位置された状態で、ブラケット202,203の上端部に固定されている。電磁石231は、通常運転では、通電によって発生した磁力によって、プレート62を連結位置に保持する。電磁石231は、消防運転では、電力が遮断されて磁力を発生しない。この場合、プレート62は、自重によって落下して、解除位置でブラケット221に支持される。電磁石231は、電気部品とも称される。また、ブラケット221は、支持部材やストッパとも称される。
【0050】
以上の構成の電磁石231は、消防運転スイッチ13によって通常運転から消防運転に切り替えられた場合に、電力が遮断され、プレート62を鉛直方向に移動(落下)させることにより、プレート62を連結位置(
図17)から解除位置(
図18)に移動(落下)させる。これにより、電磁石231は、連結機構209のかごドア61と乗場ドア71との連結を解除する。このようにして、電磁石231によって、連結機構209のかごドア61と乗場ドア71との連結が解除された場合には、かごドア61が開いても乗場ドア71は閉まった状態のままである。本実施形態では、消防運転から通常運転に切り替えられた場合には、作業員によってプレート62が連結位置に戻された状態で、電磁石231に通電がなされて、電磁石231がプレート62を連結位置に保持する。本実施形態で電磁石231は、解除部の一例である。
【0051】
なお、本実施形態では、作業員がプレート62を手動で解除位置から連結位置に移動させる例を説明したが、これに限られない。例えば、プレート62の上方に電磁石231とは別の電磁石を設けて、当該電磁石の磁力によってプレート62を解除位置から連結位置に移動させてもよい。
【0052】
また、本実施形態では、電磁石231の磁力によって、プレート62を連結位置に保持した例を説明したが、これに限られない。例えば、不図示の永久磁石によって、プレート62を連結位置に保持してもよい。この場合、例えば、電磁石231は永久磁石を消磁するように設けられる。そして、消防運転スイッチ13によって通常運転から消防運転に切り替えられた場合に、通電された電磁石231が永久磁石の磁力を消磁することにより、プレート62を解除位置に落下させる。
【0053】
以上のように、上記の各実施形態によれば、例えば、乗りかご10に乗った消防員がフロア103の状況をより安全に判断しやすいエレベータ100を得ることができる。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。