特許第6266692号(P6266692)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6266692
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】光学スキャン機構
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/10 20060101AFI20180115BHJP
   G02B 26/08 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   G02B26/10 C
   G02B26/08 E
   G02B26/10 104Z
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-100486(P2016-100486)
(22)【出願日】2016年5月19日
(62)【分割の表示】特願2013-517084(P2013-517084)の分割
【原出願日】2011年6月30日
(65)【公開番号】特開2016-153921(P2016-153921A)
(43)【公開日】2016年8月25日
【審査請求日】2016年5月19日
(31)【優先権主張番号】102010026571.3
(32)【優先日】2010年7月7日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506151659
【氏名又は名称】カール ツァイス マイクロスコピー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】CARL ZEISS MICROSCOPY GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】リヒター、シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ガイスラー、エンリコ
【審査官】 山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−534993(JP,A)
【文献】 特開2000−310743(JP,A)
【文献】 特開2009−258645(JP,A)
【文献】 特開2002−196249(JP,A)
【文献】 特開2002−079393(JP,A)
【文献】 特表2010−501354(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0174935(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 21/00,26/08,26/10
H01L 21/00
B23K 23/082
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学スキャン機構であって、
光線束(3)を偏向させる第1のスキャンミラー(1)と、
偏向された該光線束(3)の方向に向かって配向されて、該光線束(3)を再び偏向させる第2のスキャンミラー(2)と、
両方の該スキャンミラー(1、2)の間に配置されて、該第1のスキャンミラーを、中間結像(5)を経て該第2のスキャンミラー上に結像するように構成された光学手段と、
スキャンミラー駆動装置に所定の励起電圧または励起電流を供給するように構成される制御ユニットであって、前記制御ユニットは、選択的に準静的または共振的な動作モードで、0度から最大限可能な偏向角までの範囲内の偏向角だけ該光線束を2軸または1軸で偏向させる、前記制御ユニットとを備え、
前記第1及び第2のスキャンミラーが2軸制御可能なスキャンミラーとして構成されており、
両方のスキャンミラー(1、2)に準静的動作モードが設定されている、光学スキャン機構。
【請求項2】
両方のスキャンミラーのスキャン範囲から生じる比較的大きなスキャン範囲の生成が予定されている、請求項1に記載の光学スキャン機構。
【請求項3】
光学スキャン機構であって、
光線束(3)を偏向させる第1のスキャンミラー(1)と、
偏向された該光線束(3)の方向に向かって配向されて、該光線束(3)を再び偏向させる第2のスキャンミラー(2)と、
両方の該スキャンミラー(1、2)の間に配置されて、該第1のスキャンミラーを、中間結像(5)を経て該第2のスキャンミラー上に結像するように構成された光学手段と、
スキャンミラー駆動装置に所定の励起電圧または励起電流を供給するように構成される制御ユニットであって、前記制御ユニットは、選択的に準静的または共振的な動作モードで、0度から最大限可能な偏向角までの範囲内の偏向角だけ該光線束を2軸または1軸で偏向させる、前記制御ユニットとを備え、
前記第1及び第2のスキャンミラーが2軸制御可能なスキャンミラーとして構成されており、
前記光線束の方向における第1の該スキャンミラー(1)には、第1の偏向軸に対して共振動作モードが設定され、前記第1の偏向軸に直交する偏向軸に対して準静的動作モードが設定され、
第2の該スキャンミラー(2)には2軸での準静的動作モードが設定されている、光学スキャン機構。
【請求項4】
前記第2のスキャンミラー(2)が、ラスターまたは蛇行のようなスキャンパターンをスキャン範囲へと準静的に位置決めするように設けられている、請求項3に記載の光学スキャン機構。
【請求項5】
光学スキャン機構であって、
光線束(3)を偏向させる第1のスキャンミラー(1)と、
偏向された該光線束(3)の方向に向かって配向されて、該光線束(3)を再び偏向させる第2のスキャンミラー(2)と、
両方の該スキャンミラー(1、2)の間に配置されて、該第1のスキャンミラーを、中間結像(5)を経て該第2のスキャンミラー上に結像するように構成された光学手段と、
スキャンミラー駆動装置に所定の励起電圧または励起電流を供給するように構成される制御ユニットであって、前記制御ユニットは、選択的に準静的または共振的な動作モードで、0度から最大限可能な偏向角までの範囲内の偏向角だけ該光線束を2軸または1軸で偏向させる、前記制御ユニットとを備え、
前記第1及び第2のスキャンミラーが2軸制御可能なスキャンミラーとして構成されており、
両方のスキャンミラー(1、2)のそれぞれで、第1の偏向軸に対して共振動作モードが設定され、第1の偏向軸に直交する偏向軸に対しては準静的動作モードが設定されている、光学スキャン機構。
【請求項6】
スキャン範囲でのレーザスポットの準静的な位置決め、またはリサジュー図形、ラスターパターン、もしくは蛇行パターンの実施、ならびにその複合が提供される、請求項5に記載の光学スキャン機構。
【請求項7】
両方の前記スキャンミラー(1、2)の少なくとも一方がMEMSサブアセンブリとして構成されている、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光学スキャン機構。
【請求項8】
前記スキャンミラー(1、2)に接続された駆動装置が、静電駆動装置として、可動永久磁石の構成の、または静的永久磁石を備えた回転コイルもしくはプランジャコイルの構成の電磁アクチュエータとして、あるいはさらに圧電アクチュエータとして形成されている、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光学スキャン機構。
【請求項9】
一方の前記スキャンミラー(1)をもう一方の前記スキャンミラー(2)に結像するように構成された前記光学手段が、屈折性光学素子により、反射性光学素子により、回折性光学素子により、屈折性、反射性、および回折性の光学素子からの組合せにより構成される、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の光学スキャン機構。
【請求項10】
前記制御ユニットが、
前記スキャンミラーを別々にもしくは共通で同期化して制御すること、
それぞれの前記スキャンミラーに関して設定すべき個々の動作モードを切り替えること、
偏向角を設定すること、
2軸もしくは1軸で偏向することのうちの少なくとも1つを行うように構成されている、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の光学スキャン機構。
【請求項11】
制御命令が、前記制御ユニットにより、命令の手入力、調節回路に応じて、または画像評価の結果に応じて生成される、請求項10に記載の光学スキャン機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つのスキャンミラーを備え、かつ両方のスキャンミラーを相前後して中間結像を介して結像させる光学素子を備えた光学スキャン機構に関する。
【背景技術】
【0002】
現況技術において知られている、例えば走査型レーザ顕微鏡または眼科用機器で用いられるようなレーザスキャン機構は、たいていの場合、ビーム経路内に相前後して配置された2つの1軸スキャンミラーから成り、このスキャンミラーは、直交するよう位置合わせされた偏向軸の周りを旋回して、2軸スキャンを可能にする。このスキャンミラーは、一般的にガルバノメータミラーまたはポリゴンミラーとして具体化される。
【0003】
光学結像システムで使用する場合、両方のスキャンミラーが同一平面内に存在していないので、両方のスキャンミラーの一方に対する結像しか最適に行われない。スキャナーの間の平面を結像することも知られているが、これにより両方のスキャンミラーの結像は不鮮明に行われる。
【0004】
したがって、結像瞳の移動に基づくレーザスポットの強度変化を避けるためには、瞳のオーバーフィルが行われなければならない。これはしかし、結像システムのさらなる道程における光損失または強度損失を引き起こす。
【0005】
両方の1軸スキャンミラーの間に、中間結像を生成する光学素子を設けることができ、これにより第1のスキャンミラーの画像が第2のスキャンミラー上に生じる。その後、結像用ビーム経路のさらなる道程において、第2のスキャンミラー面が結像される。このような結像システムは、顕微鏡の適用に関連して(特許文献1)に記載されている。
【0006】
この場合の本質的な欠点は、屈折性素子の分散による色収差を避けるために、反射性素子によって中間結像が行われるので、所要スペースが比較的大きいことである。この欠点は使用可能性を定置での適用に制限する。
【0007】
これとは異なり、有利には、MEMSの名称で知られる微小電気機械式スキャンミラーを1つだけ用い、光線束を同一平面内で、2軸に、つまり2つの直交する軸の周りを偏向させることができる。十分に大きな偏向角を、十分に高い位置決め精度および位置決め速度で、低い駆動電圧または駆動電流で達成できるよう、MEMSスキャンミラーはたいてい、静電櫛歯駆動装置によって動かされる。
【0008】
その際、例えば(特許文献2)、(特許文献3)、または(特許文献4)に記載されているように、2軸偏向に必要な2つの駆動櫛歯が、2つの異なる動作モードにおいて、スキャンミラーの共振振動を励起させるかまたはスキャンミラーを精密に準静的に位置決めするように、相互に方向合わせされている。
【0009】
これに代わる駆動コンセプトは、電磁駆動装置によって、または圧電駆動装置によっても提供されている。
しかしながら上述のすべての駆動コンセプトは共通して、少なくとも1つの共振周波数を有する振動可能な機械システム、いわゆるバネ・質量系である。これを用いて特定の偏向角を達成するためには、この偏向角が、準静的操作に関しては、静的な位置決めの際に既に達成されなければならない。これは一般的には、復元力を担うバネ継手の相応の寸法設定によって行われ、その結果として、所与の駆動モーメントおよび慣性モーメントにおいて共振周波数が生じる。
【0010】
偏向角が共振周波数の際にのみ達成されるべきである場合は、周波数応答における振幅の共振ピークを活用する。その際、復元力は、より高い剛性のバネ継手によって、明らかにより高く選択することができ、したがって共振周波数も、所与の偏向角での準静的操作における共振周波数よりも明らかに高い。この場合、偏向角は、調和振動の最大振幅としてのみ達成される。
【0011】
したがって2つの原理的に異なる動作モード、すなわち自由な位置決めのための準静的動作モード、および調和振動を用いた、高速スキャンのための共振動作モードが生じる。
確かに1軸のガルバノメータスキャナもこの両方のモードで動作するが、これに関しては共振の場合にしかバネによる復元力が存在しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第90/00755号パンフレット
【特許文献2】米国特許第7295726号明細書
【特許文献3】欧州特許第1410047号明細書
【特許文献4】米国特許第7078778号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
これを前提に、本発明の課題は、冒頭に挙げた種類のスキャン機構を、両方ともの動作モードが、十分に大きな偏向角、十分に高い位置決め精度、および十分に高い位置決め速度で可能であり、これにより非常に高い要求に対して最適な結像品質を達成するようにさらに発展させることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この課題は本発明により、光線束を偏向させる第1のスキャンミラーと、偏向された光線束の方向に向かって配向されて、光線束を再び偏向させる第2のスキャンミラーと、両方のスキャンミラーの間に配置され、第1のスキャンミラーを、中間結像を経て第2のスキャンミラー上に結像するように構成された光学手段と、選択的に準静的または共振的な動作モードで、0度から最大限可能な偏向角までの範囲内の偏向角だけ光線束を2軸または1軸で偏向させるために、スキャンミラー駆動装置に所定の励起電圧または励起電流を供給するように構成された制御ユニットとを含み、スキャンミラーの少なくとも一方が2軸スキャンミラーとして構成されている光学スキャン機構によって解決される。
【0015】
第1のスキャンミラーを第2のスキャンミラー上に結像するので、スキャンミラーの順序は交換可能であり、したがって以下に説明する本発明の実施形態は、スキャンミラーが逆の順番であっても機能する。
【0016】
好ましい一実施形態では、両方のスキャンミラーが2軸で偏向され、光線束の方向における第1のスキャンミラーには共振動作モードが設定され、その次の第2のスキャンミラーには準静的動作モードが設定されている。
【0017】
この場合、第1のスキャンミラーはリサジュー図形を生成するように使用することができ、第2のスキャンミラーは、この図形を、複数の比較的小さなスキャン範囲から構成された1つの比較的大きなスキャン範囲へと準静的に変位するように使用することができる。
【0018】
さらなる一実施形態では、両方のスキャンミラーが2軸で偏向され、両方のスキャンミラーに準静的動作モードが設定されている。
こうすることで、両方のスキャンミラーのスキャン範囲から生じる比較的大きなスキャン範囲が生成される。これはとりわけ、両方のスキャンミラーの一方が、大きなスキャン範囲を扱えるが遅い場合に有利である。もう一方のスキャンミラーはより小さなスキャン範囲を扱うが、より速い。
【0019】
続く実施形態では、両方のスキャンミラーが2軸で偏向され、光線束の方向における第1のスキャンミラーには、第1の偏向軸に対して共振動作モードが、第1の偏向軸に直交する偏向軸に対しては準静的動作モードが設定され、その一方で第2のスキャンミラーには2軸での準静的動作モードが設定されている。
【0020】
これにより第2のスキャンミラーは、ラスターまたは蛇行のようなスキャンパターンをスキャン範囲へと準静的に位置決めするように利用することができる。
さらなる一実施形態では、一方のスキャンミラーが2軸で偏向され、もう一方のスキャンミラーが1軸で偏向され、2軸のスキャンミラーには準静的動作モードが設定され、1軸のスキャンミラーには共振動作モードが設定されている。
【0021】
この場合、光線束の方向における第1のスキャンミラーに共振動作モードでの1軸偏向を設定することができ、第2のスキャンミラーに準静的動作モードでの2軸偏向を設定することができる。好ましくはこの実施形態は、レーザスポットをスキャン範囲で準静的に位置決めするように、またはラスターパターンもしくは蛇行パターンを実施するように利用することができる。
【0022】
続く実施形態では、両方のスキャンミラーが2軸で偏向され、それぞれのスキャンミラーで、第1の偏向軸に対して共振動作モードが、第1の偏向軸に直交する偏向軸に対しては準静的動作モードが設定されている。
【0023】
この場合、スキャンミラーは、第1のスキャンミラーの共振軸が第2のスキャンミラーの準静的軸上に結像され、第1のスキャンミラーの準静的軸が第2のスキャンミラーの共振軸上に結像されるように配置されている。こうすることで、結果として生じる、スキャン範囲の軸に関しては、それぞれ1つの準静的軸と1つの共振軸が生じる。
【0024】
これにより有利には、スキャン範囲でのレーザスポットの準静的な位置決め、またはリサジュー図形、ラスターパターン、もしくは蛇行パターンの実施、ならびにその複合が可能である。
【0025】
前述のすべての実施形態では、両方のスキャンミラーの少なくとも一方がMEMSサブアセンブリまたはMEMSスキャンミラーとして形成されることが有利である。
スキャンミラーに接続された駆動装置は、静電駆動装置として形成されることが好ましい。これに代わる駆動コンセプトは、可動永久磁石の構成の、または静的永久磁石を備えた回転コイルもしくはプランジャコイルの構成の電磁アクチュエータ、あるいは圧電アクチュエータであることも可能である。
【0026】
一方のスキャンミラーをもう一方のスキャンミラー上に結像するための光学手段は、屈折性光学素子から、反射性光学素子から、回折性光学素子から、または屈折性、反射性、および回折性の光学素子の組合せから成る。色収差を避けるためには、反射性光学素子を設けることが好ましい。
【0027】
制御ユニットは、特に、スキャンミラーを別々にもしくは共通で同期化して制御すること、それぞれのスキャンミラーに関して設定すべき個々の動作モードを切り替えること、偏向角を設定すること、2軸もしくは1軸で偏向することのうちの少なくとも1つを行うように構成されている。
【0028】
対応する制御命令は、制御ユニットにおいて、命令の手入力、調節回路に応じて、または電子的な画像評価の結果に応じて生成される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】屈折性光学素子により中間結像を介して相前後して結像される2軸偏向可能な2つのMEMSスキャンミラーを備えた本発明による光学スキャン機構の原理図。
図2図1に基づく、反射性光学素子を使用して中間結像を生成する光学スキャン機構の原理図。
図3】両方のMEMSスキャンミラーが、直交する偏向軸を利用し1軸で偏向し、かつ共振的に動作する本発明によるスキャン機構によって生成された結像の例を示す図。
図4】両方のMEMSスキャンミラーが、直交する偏向軸を利用し1軸で偏向し、かつ準静的に動作する本発明によるスキャン機構によって生成された結像の例を示す図。
図5】両方のMEMSスキャンミラーが、直交する偏向軸を利用し1軸で偏向し、かつMEMSスキャンミラーの一方が準静的に動作し、もう一方が共振的に動作する本発明によるスキャン機構によって生成された結像の例を示す図。
図6】両方のMEMSスキャンミラーが2軸で偏向し、かつ一方のMEMSスキャンミラーに共振動作モードを設定し、もう一方のMEMSスキャンミラーに準静的動作モードを設定した本発明によるスキャン機構によって生成された結像の例を示す図。
図7】両方のMEMSスキャンミラーが2軸で偏向し、かつ両方のMEMSスキャンミラーに準静的動作モードを設定した本発明によるスキャン機構によって生成された結像の例を示す図。
図8】両方のMEMSスキャンミラーが2軸で偏向し、かつ一方のMEMSスキャンミラーには、第1の偏向軸に対して共振動作モードを、それに直交する偏向軸に対しては準静的動作モードを設定し、その一方で第2のMEMSスキャンミラーは準静的に動作する本発明によるスキャン機構によって生成された結像の例を示す図。
図9】一方のMEMSスキャンミラーが2軸で偏向し、もう一方のMEMSスキャンミラーが1軸で偏向し、かつ2軸のMEMSスキャンミラーには準静的動作モードを設定し、1軸のMEMSスキャンミラーには共振動作モードを設定した本発明によるスキャン機構によって生成された結像の例を示す図。
図10】両方のMEMSスキャンミラーが2軸で偏向し、かつ両方のMEMSスキャンミラーのそれぞれで、第1の偏向軸に対して共振動作モードを、それに直交する偏向軸に対しては準静的動作モードを設定した本発明によるスキャン機構によって生成された結像の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1では、2軸偏向可能な2つのMEMSスキャンミラー1および2を備えた本発明による光学スキャン機構の原理が示されている。この場合、光線束3、例えばレーザビームが、選択的に1軸または2軸で、共振的または準静的に偏向される第1のMEMSスキャンミラー1に当たる。その際、MEMSスキャンミラー1によって生成されたパターンは、レンズ4、中間結像5、およびレンズ6を経て第2のMEMSスキャンミラー2上に結像される。一方のMEMSスキャンミラー1の、もう一方のMEMSスキャンミラー2上への結像は、例えば図示するように4fシステムによって行われる。
【0031】
図示されていない制御ユニットが存在している。制御ユニットは、光線束3の偏向を変化させるため、および両方のMEMSスキャンミラー1、2の準静的または共振的な動作モードを設定するように構成されている。
【0032】
本発明によるスキャン機構は、好ましくは、試料の画像を取得するための光学システムの一部であることができ、例えば走査型レーザ顕微鏡のサブアセンブリとして具体化される。
【0033】
図2に示した光学スキャン機構の原理は、図1に基づく原理に対応しており、反射性光学素子7、8を使用して、中間結像5を生成している。
図3に示した例により、この図から明らかなように、その共振周波数および相対的な位相位置に応じたリサジュー図形の2軸スキャンが可能である。
【0034】
図4に基づく実施形態および制御は、ここに例として示したように、レーザスポットを2軸で準静的に位置決めすることを可能にする。
図5aおよび図5bは、1軸の準静的スキャンミラーおよび1軸の共振スキャンミラーを使用した場合の、ラスターパターンまたは蛇行パターンのスキャンの可能性を例示的に示している。
【0035】
図6に示した例からは、第1のMEMSスキャンミラー1を、リサジュー図形を生成するために利用する方法を認識し、その一方で第2のMEMSスキャンミラー2が、この図形を、複数の比較的小さなスキャン範囲から構成された1つの比較的大きなスキャン範囲へと準静的に変位するために利用されることを認識することができる。
【0036】
図7に基づく例では、第1のスキャンミラー1は、スキャンミラー1のスキャン範囲内でレーザスポットを位置決めするように使用することができ、第2のスキャンミラー2は、スキャンミラー1のスキャン範囲を準静的に位置決めするため、したがって両方のMEMSスキャンミラー1、2のスキャン範囲から生じる比較的大きなスキャン範囲へと拡大するように使用することができる。
【0037】
図8aおよび図8bでは、第2のスキャンミラー2が、共振軸と準静的軸を備えたスキャンミラー1によって生成されたラスターパターンまたは蛇行パターンを準静的に位置決めするように利用される例が示されている。
【0038】
図9a〜図9cに示した例は、好ましくは、スキャン範囲でのレーザスポットの準静的な位置決めに、またはラスターパターンもしくは蛇行パターンの実施に適している。この場合、光線束3の方向に見て第1のMEMSスキャンミラー1に共振動作モードでの1軸偏向が設定され、第2のMEMSスキャンミラー2に準静的動作モードでの2軸偏向が設定されている。
【0039】
図10a〜図10gは、リサジュー図形、スキャン範囲へのスキャンパターンの準静的な位置決め、またはラスターパターンもしくは蛇行パターンの実施が設定された例を示している。この場合、両方のMEMSスキャンミラーが2軸で偏向され、かつ両方のMEMSスキャンミラーのそれぞれで、第1の偏向軸に対して共振動作モードが、それに直交する偏向軸に対しては準静的動作モードが設定されている。
【0040】
この場合、スキャンミラーは、第1のスキャナーの共振軸が第2のスキャナーの準静的軸上に結像され、第1のスキャナーの準静的軸が第2のスキャナーの共振軸上に結像されるように配置されている。こうすることで、結果として生じる、スキャン範囲の軸に関しては、それぞれ1つの準静的軸と1つの共振軸を生じさせる。
【符号の説明】
【0041】
1 MEMSスキャンミラー
2 MEMSスキャンミラー
3 光線束
4 レンズ
5 中間像
6 レンズ
7 反射性素子
8 反射性素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10