(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、スロットマシンなどの筐体内部やパチンコ機の機裏には、電気部材(スイッチ類又はLED等の発光体)や制御基板が多数搭載されており、これに伴い、いわゆる配線コード(電源コードやハーネスを含む)が多数配されている。このような配線コードが纏まりなく無秩序に配されていると、配線コード同士が干渉して擦れ合ったり絡まったりする場合があり、また、制御基板のメンテナンス作業が煩雑となって配線に手間がかかったり、あるいは断線や破損などの思わぬ故障を招いたりする。このため、筐体内部や機裏の保持板面に配線を保持しておくための遊技機用配線保持構造(以下、単に「配線保持構造」ともいう。)が提案されている。
【0003】
例えば、
図13に示すように、保持板面50上の配線保持部150を一側から他側に跨ぐように保持片180を配設して、該保持片180によって配線コードXを配線保持部150に保持する配線保持構造が知られている(例えば、特許文献1)。かかる、配線保持構造では、
図14に示すように、配線保持部150の側方に形成した狭幅な配線挿入口220から、配線コードXを配線保持部150に挿入するよう構成される。
【0004】
また、保持板面の一側と他側に保持片を垂設して、両側の保持片によって配線コードを配線保持部に保持する配線保持構造も知られている(例えば、特許文献2)。かかる構成では、配線保持部の真上に形成した狭幅な配線挿入口から、配線コードを配線保持部に挿入するよう構成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、
図13,14に示した従来の配線保持構造では、保持板面50と保持片180との間に配線挿入口220が形成されるため、配線コードXを配線挿入口220に通す際に、
図14(b)に示すように、配線コードXを保持板面50に沿って動かす必要がある。かかる作業に際しては、指と保持板面50が干渉するため、配線コードXを指の先端でしか摘まむことができず、作業性が悪いという欠点がある。
【0007】
これに対して、上記特許文献2に記載の配線保持構造では、配線コードを配線挿入口に通す際に、指と保持板面が干渉することはないが、保持片を保持板面に垂設して、配線保持部の真上に配線挿入口を形成するため、嵩張りやすいという欠点がある。
【0008】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、配線コードを配線挿入口に通し易く、かつ、嵩張り難い遊技機用配線保持構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、遊技機の内部又は裏側の所定の保持板面上に設けられた配線保持部に配線コードを保持するための遊技機用配線保持構造であって、前記配線保持部を一側から他側に跨ぐように延出して、前記配線コードを該配線保持部に保持するとともに、前記配線保持部の他側に、前記配線コードを前記配線保持部に挿入するための配線挿入口を形成する保持片を備え、前記保持板面上には、少なくとも前記配線保持部の他側に、前記保持片の両側縁に沿って伸びる一対のリブが形成されており、前記配線挿入口は、前記一対のリブの端部と、前記保持片との間に形成され
ており、前記一対のリブは、前記保持片の先端よりも前記配線保持部の他側に延出しており、前記配線挿入口の、前記配線保持部の反対側で、前記保持片と前記一対のリブとの間隔が、前記配線挿入口に向けて先細り形状となっていることを特徴とする遊技機用配線保持構造である。
また、本発明の別の態様は、遊技機の内部又は裏側の所定の保持板面上に設けられた配線保持部に配線コードを保持するための遊技機用配線保持構造であって、前記配線保持部を一側から他側に跨ぐように延出して、前記配線コードを該配線保持部に保持するとともに、前記配線保持部の他側に、前記配線コードを前記配線保持部に挿入するための配線挿入口を形成する保持片を備え、前記保持板面上には、少なくとも前記配線保持部の他側に、前記保持片の両側縁に沿って伸びる一対のリブが形成されており、前記配線挿入口は、前記一対のリブの端部と、前記保持片との間に形成されて
おり、前記一対のリブは、前記保持片との間に前記配線挿入口を形成する部分において、前記配線保持部に向けて、前記保持板面に対する高さが低くなるように連続的に傾斜していることを特徴とする遊技機用配線保持構造である。
【0010】
かかる構成にあっては、配線挿入口は、保持板面上に形成されたリブの端部と保持片との間に形成され、リブの高さ分だけ保持板面から離間することとなる。このため、本発明では、配線コードを配線挿入口に通す際に、指を保持板面と干渉させることなく、配線コードを指の腹部分でしっかりと摘まんで作業できる。また、本発明の配線保持構造は、配線保持部の側方に配線挿入口が形成されるため、上記特許文献2の配線保持構造に比べて、配線保持構造の保持板面に対する高さを抑えることができるという利点がある。したがって、本発明によれば、配線コードを配線挿入口に通しやすく、かつ、嵩張り難い遊技機用配線保持構造が実現される。
【0011】
本発明にあって、前記配線コードを、前記配線挿入口を介して前記配線保持部から抜き取り可能に構成されたものであって、前記保持片を前記保持板面から離間する方向に撓ませることにより、前記配線挿入口を前記配線コードが通過困難な幅から、前記配線コードが通過容易な幅に拡幅させ得るよう構成されており、前記保持片は、常態で、前記配線保持部の一側から他側に向けて、前記保持板面に近接しない方向に延出している構成が提案される。
【0012】
図13,14に示した従来の配線保持構造では、保持片180が、配線保持部150から配線挿入口220に向けて、保持板面50に近接する方向に延出しているため、配線保持部150から配線コードXを抜き取る際に、配線コードXを保持板面50の斜め上方に引き上げると、配線コードXが保持片180に引っ掛かってしまう。このため、かかる従来の配線保持構造では、配線保持部150から配線コードXを抜き取る際に、保持片180に引っ掛からないように配線コードXを保持板面50に沿って動かして配線挿入口220を通過させ(
図14(c)→14(b))、しかる後に、配線コードXを保持板面50から引き上げるという二段階の操作が必要となる(
図14(b)→
図14(a))。これに対して、かかる構成では、保持片は、配線保持部の他側に向けて保持板面に近接しない方向(保持板面と平行、又は保持板面から離間する方向)に延出しているため、配線保持部から配線コードを抜き取る際に、配線コードを保持板面の斜め上方に引き上げることで、保持片に引っ掛けることなく配線挿入口を通過させることができる。このため、かかる構成では、配線コードを斜め上方に引き上げるという一段階の操作で、配線保持部から配線コードを抜き取ることができ、従来構成に比べて配線コードの抜取りが容易となる。
【0013】
また、本発明にあって、前記配線コードを、前記配線挿入口を介して前記配線保持部から抜き取り可能に構成されたものであって、前記保持片を前記保持板面から離間する方向に撓ませることにより、前記配線挿入口を前記配線コードが通過困難な幅から、前記配線コードが通過容易な幅に拡幅させ得るよう構成されており、前記一対のリブは、前記配線保持部から前記配線挿入口に向けて、前記保持板面に対する高さが増すように傾斜している構成が提案される。
【0014】
かかる構成にあっては、配線コードを配線保持部から抜き取る際に、嵩上げリブの、配線保持部から配線挿入口に向かう部分が案内作用を発揮することにより、保持板面から離れた位置に形成された配線挿入口に円滑に配線コードを案内することが可能となる。
【0015】
また、本発明にあって、複数本の前記配線コードを前記配線保持部に保持するよう構成されたものであって、前記配線挿入口は、常態で、前記配線コードの直径未満の所定幅を有し、かつ、前記保持片の側縁に沿って、該配線コードの直径の2倍以上の長さ連続するスリット状をなしており、前記保持片を前記保持板面から離間する方向に撓ませることにより、前記配線挿入口を前記配線コードの直径以上の幅に拡幅させ得るよう構成されていることが提案される。
【0016】
かかる構成のように、配線挿入口をスリット状とした場合には、先の配線コードが拡幅状態の配線挿入口を通過し終える前に、次の配線コードを配線挿入口に進入させてリブと保持片の間に挟むことによって、先の配線コードが通過し終えた後に配線挿入口が常態に戻るのを阻止することができる。このため、かかる構成によれば、配線挿入口を常態から何度も拡幅させることなく、配線挿入口に複数本の配線コードを効率的に通すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】リール制御基板8と基板ケース9を天板5から分離して示すリールユニット1の上部拡大斜視図である。
【
図3】実施例の配線保持部15a〜15eを示すリールユニット1の上部拡大斜視図である。
【
図4】(a)は、実施例の配線保持構造の斜視図であり、(b)は、同配線保持構造を、保持片18を縦断して示す斜視図である。
【
図5】実施例の配線保持構造を上方から見た斜視図である。
【
図6】実施例の配線保持構造を、天板5を縦断して示す右側面図である。
【
図7】
図6中の(a)A−A線断面図、(b)B−B線断面図、(c)C−C線断面図である。
【
図8】(a)は、実施例の配線保持構造の平面図であり、(b)は、実施例の配線保持構造を、天板5を縦断して示す右側面図である。
【
図9】実施例の配線保持構造にあって、配線コードXを配線保持部15aに挿入する手順を示す説明図である。
【
図10】
図9から続く、配線コードXを配線保持部15aに挿入する手順を示す説明図である。
【
図11】天板5を縦断して示す、変形例の配線保持構造の右側面図である。
【
図12】(a)変形例の配線保持構造の斜視図であり、(b)は、同配線保持構造を、保持片18を縦断して示す斜視図である。
【
図14】従来の配線保持構造にあって、配線コードXを配線保持部150に挿入する手順を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態を、以下の実施例に従って説明する。
【0019】
本実施例は、スロットマシンの筐体内部に配設されるリールユニットに関する配線コードを、リールユニットの天板の上面に保持する配線保持構造である。すなわち、本実施例にあっては、リールユニットの天板の上面が本発明に係る保持板面に相当する。また、本実施例では、後述する嵩上げリブ20が本発明に係るリブに相当する。
【0020】
図1は、スロットマシンのリールユニット1の斜視図である。リールユニット1は、枠体としてのフレーム2を備えている。該フレーム2は、矩形状の底部3と、該底部3の左右両端から各々立ち上がる左右一対の側部4と、該左右一対の側部4の上端間に水平に差し渡された天板5とを有している。天板5は、フレーム2の剛性を高めるべく、ガラス繊維が充填されたABS樹脂製の板部材が好適に採用される。フレーム2の枠内には、ステッピングモータ(図示省略)が取り付けられており、該ステッピングモータの回動軸にリール7が接続されている。また、フレーム2の枠内には、リール7の回転角度を光学的に検知する回転検知センサ(図示省略)が配設される。
【0021】
図2に示すように、天板5の上面には、横長矩形状の基板装着部10が形成されており、該基板装着部10に、リール7の回転を制御するリール制御基板8が装着され、さらに、装着されたリール制御基板8を覆うように、蓋形状の基板ケース9が装着される。基板ケース9は、リール制御基板8の視認性を高めるべく、透明のポリカーボネート(PC)によって構成されたものであり、リール制御基板8及び天板5と共締めされる。基板ケース9の適宜位置には、リール制御基板8に設けられたコネクタ11を露出させるコネクタ用開口部12が複数設けられており、コネクタ用開口部12を介して、配線コードの先端に取り付けられたコネクタ(図示省略)が接続される。
【0022】
リール制御基板8には、リール制御基板8をステッピングモータや回転検知センサと接続する配線コードや、遊技を制御するメイン制御基板(図示省略)とリール制御基板8とを接続する配線コードが接続される。そして、
図3に示すように、リールユニット1の天板5には、配線コードを天板5の上面に纏めて保持するための配線保持部15a〜15eが配設される。配線保持部15a〜15eは、基板ケース9の手前側に5箇所設けられており、夫々の配線保持部15a〜15eに、複数本の配線コードを左右方向に横たえた状態で保持し得るようになっている。そして、個々の配線保持部15a〜15eには、配線保持部15a〜15eに配線コードを保持するための配線保持構造が配設される。各配線保持部15a〜15eの配線保持構造は全て共通であるため、以下では、右端の配線保持部15aの配線保持構造について説明し、その他の配線保持部15b〜15eに係る配線保持構造の説明を省略する。
【0023】
図4に示すように、配線保持部15aは、天板5の上面の、基板ケース9の手前側に設けられる。かかる配線保持部15aは、3本の配線コードXを左右方向に横たえた状態で保持するよう構成されたものである。配線保持部15aに保持される3本の配線コードXは、同じワイヤハーネスを構成するものであり、3本の配線コードXの両端は、共通のコネクタ(図示省略)と接続されている。配線保持部15aに配線コードXを保持するための配線保持構造は、基板ケース9の手前側端部17と、該手前側端部17から手前側に延出する保持片18と、天板5の上面に形成されて、保持片18の左右両側縁に沿って前後に延びる左右一対の嵩上げリブ20とによって構成される。なお、天板5の上面には、配線保持部15aの周囲に、左右方向に延びる補強リブ21も形成されているが、かかる補強リブ21は、天板5を補強する専用のリブであり、配線コードXの保持機能を有するものではない。また、後述するように、本実施例の配線保持構造は、ワイヤハーネスの交換修理や再利用を可能とするために、配線保持部15aに保持した配線コードXを抜き取り得るよう構成されている。
【0024】
図4〜7に示すように、保持片18は、基板ケース9と一体成形されるものであり、配線保持部15aの上を、配線保持部15aの奥側から手前側に跨ぐように延出して、配線保持部15aの配線コードXを天板5の上方から覆うように保持する。また、保持片18の先端は開放端となっており、保持片18は、配線保持部15aの手前側に、配線コードXを配線保持部15aに挿入するための狭幅な配線挿入口22を形成する。保持片18は、平面視矩形状をなす舌片であり、水平延出部23と、離間延出部24と、最先端部25とで構成される。水平延出部23は、基板ケース9の手前側端部17から手前側に水平に延出して、配線保持部15aの上を覆う部位である。離間延出部24は、水平延出部23の先端から、手前側に向けて斜め上方に延出する部位である。最先端部25は、離間延出部24の先端から略水平に延出する部位である。かかる保持片18は、水平延出部23を上下に撓ませることにより、離間延出部及び最先端部25を上下方向に傾動させ得るよう形成されている。また、保持片18には、水平延出部23の先端に、天板5の上面方向に突出する小突部26が形成され、保持片18の基端側には、保持片18を補強するための補強用リブ27が形成されている。
【0025】
前記一対の嵩上げリブ20は、
図4〜7に示すように、天板5の上面にあって、保持片18の左側縁と右側縁に沿うように前後に形成される。嵩上げリブ20は、天板5と一体成形されるものであり、一対の嵩上げリブ20は、保持片18を中心に対称位置に設けられ、かつ、対称形状をなしている。嵩上げリブ20は、基板ケース9の手前側から保持片18の全長に亘って形成され、天板5の前端まで延びている。詳述すると、嵩上げリブ20は、基板ケース9の手前側から配線保持部15aを横切るように形成された比較的低い低壁部29と、配線保持部15aの手前側に形成された比較的高い高壁部31と、低壁部29と高壁部31の間に形成されて、低壁部29の高さから高壁部31の高さまで連続的に傾斜する傾斜壁部30とによって構成される。なお、
図5に示すように、嵩上げリブ20は、保持片18の両側縁の外側に形成されており、保持片18と上下方向には重なっていない。
【0026】
図4,5に示すように、配線挿入口22は、配線保持部15aの手前側で、天板5と保持片18の隙間が最も狭くなる部分であり、保持片18の側縁部と嵩上げリブ20の上端部の間に形成される。かかる配線挿入口22は、
図6,7(b)に示すように、常態(保持片18が撓んでいない状態)で、保持片18の水平延出部23の先端側と離間延出部24の基端側が、嵩上げリブ20の傾斜壁部30と左右に重なる部分に形成される。配線挿入口22は、振動や衝撃等によって配線コードXが配線保持部15aから脱落しないように、常態では、配線コードXが通過困難な幅となっているが、保持片18を上方に撓ませることにより、配線コードXが通過容易な幅に拡幅させることができる。
【0027】
配線挿入口22について詳述すると、
図8(a),8(b)に示すように、常態では、保持片18と嵩上げリブ20とは、配線コードXの直径Dの2倍以上の前後長Lに亘って左右に重なっている。そして、保持片18と嵩上げリブ20が左右に重なる部位では、保持片18と嵩上げリブ20の隙間が、配線コードXの直径Dよりも狭い一定幅Wとなっている。このため、配線挿入口22は、常態では、配線コードXの直径Dよりも狭い一定幅Wを有し、配線コードXの直径Dの2倍以上の長さLに亘って前後に連続するスリット状をなしている。このように、配線挿入口22は、常態では配線コードXが通過不能な形状となっているが、
図6に示すように、保持片18を上方に撓ませて、配線挿入口22を配線コードXの直径以上の幅に拡幅させることで、配線コードXを配線挿入口22に容易に通過させることができる。
【0028】
図6に示すように、配線挿入口22の手前側では、配線挿入口22に向けて下方傾斜する保持片18の離間延出部24と、嵩上げリブ20の水平な高壁部31とによって、保持片18と嵩上げリブ20の間隔が配線挿入口22に向けて先細り形状となっている。かかる構成によれば、配線コードXを外部から配線挿入口22に通す際に、離間延出部24と高壁部31の案内作用によって、配線コードXを狭幅な配線挿入口22まで容易に到達させることができる。さらには、離間延出部24と高壁部31の間の狭幅となった部分に配線コードXを押し入れて保持片18を上方に撓ませることで、配線挿入口22を配線コードXが通過可能な幅に拡幅させることができる。
【0029】
また、
図6に示すように、配線挿入口22の奥側では、水平な保持片18の水平延出部23と、配線挿入口22に向けて上方傾斜する嵩上げリブ20の傾斜壁部30とによって、保持片18と嵩上げリブ20の間隔が配線挿入口22に向けて先細り形状となっている。かかる構成によれば、配線コードXを配線保持部15aから配線挿入口22に通す際に、水平延出部23と傾斜壁部30の案内作用によって、配線コードXを狭幅な配線挿入口22まで容易に到達させることができる。さらには、水平延出部23と傾斜壁部30の間の狭幅となった部分に配線コードXを押し入れて保持片18を上方に撓ませることで、配線挿入口22を配線コードXが通過可能な幅に拡幅させることができる。
【0030】
図9,10を参照して、配線保持部15aに配線コードXを挿抜する手順について具体的に説明する。なお、上述したように、配線保持部15aに保持する3本の配線コードXは、同じワイヤハーネスを構成するものであるため、3本の配線コードXは一纏めにして配線保持部15aに対して挿抜する。
【0031】
配線コードXを配線保持部15aに挿入する際には、まず、
図9(a)に示すように、嵩上げリブ20の外側(両側又は片側)で配線コードXを摘まんで、保持片18の最先端部25と嵩上げリブ20の高壁部31の間に挿入する。そして、かかる状態で、配線コードXを奥側に押し込むと、
図9(b)に示すように、離間延出部24と高壁部31の案内作用によって、配線コードXを配線挿入口22まで容易に到達させることができる。さらには、離間延出部24と高壁部31の間の狭幅となった部分に配線コードXを押し入れて保持片18を上方に撓ませることで、配線挿入口22を配線コードXが通過容易な幅に拡幅させることができる。このため、摘まんだ配線コードXをさらに奥側に押し込めば、
図10(a)→10(b)→10(c)に示すように、拡幅した配線挿入口22を通過させて、配線コードXを配線保持部15aまで挿入することができる。
【0032】
配線コードXを配線保持部15aから抜き取る際には、挿入時と逆の手順を行う。すなわち、
図10(c)→10(b)に示すように、配線保持部15aに保持した配線コードXを、嵩上げリブ20の外側(両側又は片側)で摘まんで手前側に引き上げる。これにより、水平延出部23と傾斜壁部30の案内作用によって、配線コードXを配線挿入口22まで容易に到達させることができる。さらには、水平延出部23と傾斜壁部30の間の狭幅となった部分に配線コードXを押し入れて保持片18を上方に撓ませることで、配線挿入口22を配線コードXが通過容易な幅に拡幅させることができる。このため、摘まんだ配線コードXをさらに手前側に引き上げれば、
図10(a)→9(b)→9(a)に示すように、拡幅した配線挿入口22を通過させて、配線コードXを配線保持部15aから抜き取ることができる。
【0033】
このように、本実施例の配線保持構造では、保持片18と嵩上げリブ20の間隔は、手前側から配線挿入口22に向けて先細りとなっている。このため、配線コードXを手前側から配線挿入口22に向けて押し込むだけで、配線コードXが通過可能な幅にまで配線挿入口22を拡幅させて、配線コードXを配線保持部15aに挿入できる。また、本実施例の配線保持構造では、保持片18と嵩上げリブ20の間隔は、配線保持部15aから配線挿入口22に向けて先細りとなっている。このため、配線コードXを配線保持部15aから手前側に引き上げるだけで、配線コードXが通過可能な幅にまで配線挿入口22を拡幅させて、配線コードXを配線保持部15aから抜き取ることができる。
【0034】
また、本実施例では、配線挿入口22が、保持片18と嵩上げリブ20の端部の間に形成されて、嵩上げリブ20の高さ分だけ天板5の上面から離れた位置に形成されている。このため、
図9,10に示すように、配線コードXを配線挿入口22に通す際に、指を天板5の上面と干渉させることなく、配線コードXを指の腹部分でしっかりと摘まんで作業できるという利点がある。
【0035】
また、本実施例では、保持片18が、手前側に向けて斜め上方に延出する離間延出部24と、略水平に延出する水平延出部23及び最先端部25とで構成されており、保持片18の全ての部分において、天板5の上面に近接しない方向に延出している。かかる構成によれば、配線保持部15aの配線コードXを配線挿入口22に向けて斜め上方に引き上げることで、該配線コードXを保持片18に引っ掛けることなく配線挿入口22に通すことができる。このため、本実施例の配線保持構造によれば、配線コードXを斜め上方に引き上げるという一段階の操作で、配線保持部15aから配線コードXを抜き取ることが可能となる。
【0036】
また、本実施例では、嵩上げリブ20は、傾斜壁部30の形成部位において、配線保持部15aから配線挿入口22に向けて上り傾斜している。かかる構成によれば、配線保持部15aから配線コードXを抜き取る際に、傾斜壁部30が配線コードXを配線挿入口22の高さに案内する作用を発揮するため、配線コードXを嵩上げリブ20に引っ掛けることなく、配線コードXを配線保持部15aから円滑に抜き取ることができる。
【0037】
また、本実施例では、配線挿入口22は、常態では、配線コードXの直径Dよりも狭い幅Wを有し、保持片18の側縁に沿って配線コードXの直径Dの2倍以上の長さLに亘って連続するスリット状をなしている。かかる構成によれば、配線コードXを配線挿入口22に通す際に、拡幅した配線挿入口22を先の配線コードXが通過し終える前に、次の配線コードXを配線挿入口22に進入させて保持片18と嵩上げリブ20の間に挟むことによって、先の配線コードXが通過し終えた後に配線挿入口22が常態に戻るのを阻止できる。このため、本実施例にあっては、配線挿入口22を常態から何度も拡幅させることなく、配線挿入口22に複数本の配線コードXを効率的に通すことができる。
【0038】
また、本実施例では、嵩上げリブ20は、配線保持部15aの手前側に形成されるだけでなく、配線保持部15aを奥側から手前側に横断するように形成されており、配線コードXは、配線保持部15aにおいて、嵩上げリブ20の低壁部29の高さ分だけ、天板5の上面より上方に保持される。このため、本実施例では、配線コードXを配線保持部15aから抜き取る際に、配線保持部15aに保持した配線コードXを指の先端でなく、指の腹の部分でしっかりと摘まむことができるという利点がある(
図10(c)参照)。
【0039】
また、本実施例では、
図6に示すように、保持片18の水平延出部23の先端に、天板5の上面方向に突出する小突部26が形成されている。かかる構成にあっては、配線コードXを配線保持部15aに挿入する際に、小突部26の部分で軽い手応えが得られるため、配線コードXを配線保持部15aまで正常に挿入したことを、作業者が手応えで確実に確認できるという利点がある。ここで、かかる小突部26は、
図7(b)に示すように、保持片18の両側縁よりも内側に形成される。このため、小突部26が形成される部位において、保持片18の両側縁には、天板5の上面側に、天板5の上面に向けて縮幅する階段状の角部46が形成され、当該角部46には、2段の角が内側と外側に形成される。かかる構成によれば、配線コードXが小突部26に当接した時に、配線コードXが角部46の内外の角と2箇所で当接するため、配線コードXの被覆に加わる負荷が二分される。したがって、本実施例にあっては、配線コードXを配線挿入口22に通す際に、配線コードXを保持片18の小突部26に強く押し当てたとしても、保持片18の角部46で、配線コードXの被覆が破れ難いという利点がある。
【0040】
また、本実施例の配線保持構造は、配線保持部15aの手前側に配線挿入口22が形成されるため、配線保持部15aの上方に配線挿入口を形成する従来構成に比べて、天板5に対する配線保持構造の高さを抑えることができ、配線保持構造が嵩張らない分だけ天板5の上方のスペースを他の用途に活用できるという利点がある。
【0041】
また、本実施例では、嵩上げリブ20は、配線保持構造として機能するだけでなく、天板5を補強する機能も有しているため、嵩上げリブ20を配設した分だけ、天板5の厚さを薄くしたり、天板を補強する専用のリブの本数を削減したりすることが可能となる。
【0042】
図11(a)〜11(c)は、上記実施例の配線保持構造の構成を一部変更した変形例の配線保持構造である。なお、以下に述べる変更点以外の構成は上記実施例と共通であるため、共通する構成については、本文及び図中で同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0043】
図11(a)は、嵩上げリブの形状を変更した変形例である。具体的には、本変形例の嵩上げリブ20aは、配線保持部15aを横断せず、配線保持部15aの手前側にのみ形成される。かかる変形例では、配線保持部15aにおいて、配線コードXが天板5の上面に被着した状態で保持されるため、配線保持部15aに保持された配線コードXを指の先端で摘まみ上げる必要がある。しかしながら、手前側の配線挿入口22は、嵩上げリブ20aの高さ分だけ天板5の上面から離れた位置に形成されるため、配線コードXを配線挿入口22に通す際は、上記実施例同様に、指を天板5の上面と干渉させることなく、配線コードXを指の腹部分でしっかりと摘まんで作業できる。このように、本発明に係る嵩上げリブは、配線保持部の手前側(配線挿入口側)に形成されるだけであってもよい。
【0044】
図11(b)は、嵩上げリブの形状を変更した変形例である。具体的には、本変形例の嵩上げリブ20bは、低壁部29aと傾斜壁部30aの高さが長手方向に連続せず、配線挿入口22の奥側で階段状となっている。かかる変形例では、配線保持部15aの配線コードXを手前側に引き上げた際に、配線コードXが嵩上げリブ20bの階段状部分に引っ掛かりやすいため、上記実施例と比べると配線コードXを配線保持部15aから抜き取り難いものとなる。しかしながら、配線コードXを配線保持部15aから抜き取る頻度が少ない場合には、かかる変形例のように構成しても差し支えない。このように、本発明の配線保持構造は、配線コードの抜取りが困難な配線保持部に対しても適用可能である。
【0045】
図11(c)は、保持片の形状を変更した変形例である。具体的には、本変形例の保持片18aは、水平延出部23aと離間延出部24aの間に、手前側に向けて斜め下方に延出する近接延出部28が形成される。かかる変形例では、配線保持部15aの配線コードXを手前側に引き上げた際に、配線コードXが保持片18aの近接延出部28に引っ掛かりやすいため、上記実施例と比べると配線コードXを配線保持部15aから抜き取り難いものとなる。しかしながら、配線コードXを配線保持部15aから抜き取る頻度が少ない場合には、かかる変形例のように構成しても差し支えない。また、本変形例では、水平延出部23aの先端に近接延出部28が形成されるが、保持片18aに水平延出部23aを配設せず、基板ケース9の手前側端部17から手前側に向けて斜め下方に延出する近接延出部を配設するようにしてもよい。
【0046】
図12は、保持片を基板ケースと一体成形せず、天板と一体成形した変形例である。具体的には、本変形例の保持片18bは、天板5の、配線保持部15aの奥側に、起立壁43が立設されており、該起立壁43の上端から配線保持部15aの手前側に向けて、保持片18bが延成される。また、本変形例では、天板5と保持片18bを射出成形により一体成形するために、天板5の、保持片18bと対向する部位に開口部44が形成される。このように、本発明に係る保持片は、保持板面を構成する部材と一体成形されるものであってもよい。また、本発明に係る配線保持部は、本実施例のように天板5に形成された開口部44の上に設けられるものを含む。すなわち、本発明に係る保持板面上は、板材の上に限らず、板材に形成された開口部の上を含む。
【0047】
以上に本発明の実施例を説明したが、本発明の遊技機用配線保持構造は、上記実施例の形態に限らず本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。
【0048】
例えば、上記実施例は、スロットマシンのリールユニットの天板上面を、本発明に係る保持板面とする例であるが、本発明に係る保持板面は、前扉の裏面や基板ケースの表面であってもよい。すなわち、本発明に係る保持板面は、天板上面のような水平面に限られず、傾斜面や垂直面であってもよい。また、本発明は、スロットマシンの配線保持構造に限らず、パチンコ機の配線保持構造にも同様にして適用可能である。
【0049】
また、上記実施例に係る配線保持部15aは、1組のワイヤハーネスを構成する3本の配線コードXを保持するものであるが、本発明に係る配線保持部に保持する配線コードの本数や種類、太さ、形状は特に限定されず、複数の配線コードを一体的に束ねたものであってもよい。
【0050】
また、上記実施例では、一対の嵩上げリブ20,20は、保持片18を挟んで対称位置に配設され、対称形状をなしているが、非対称位置に配設したり、非対称形状にしたりしてもかまわない。
【0051】
また、上記実施例では、平面視において保持片18と嵩上げリブ20が重ならないように配置されているが、本発明に係る保持片と嵩上げリブは、保持板面と垂直な方向に重なるよう配置してもかまわない。
【解決手段】保持板面上に設けられた配線保持部15aを一側から他側に跨ぐように突出して、配線コードXを配線保持部15aに保持するとともに、配線保持部15aの他側に、配線コードXを配線保持部15aに挿入するための配線挿入口22を形成する保持片18を具備する遊技機用配線保持構造にあって、保持板面上の、少なくとも配線保持部15aの他側に、保持片18の両側縁に沿って伸びる一対のリブ20を形成して、配線挿入口22を該一対のリブ20の端部と保持片18との間に形成する。