【実施例1】
【0015】
本実施例は、スロットマシンの筐体内部に配設されるリールユニットに関する配線コードを、リールユニットの天板の上面に保持する配線保持構造である。すなわち、本実施例にあっては、リールユニットの天板の上面が、本発明に係る保持板面に相当する。
【0016】
図1は、スロットマシンのリールユニット1の斜視図である。リールユニット1は、枠体としてのフレーム2を備えている。該フレーム2は、矩形状の底部3と、該底部3の左右両端から各々立ち上がる左右一対の側部4と、該左右一対の側部4の上端間に水平に差し渡された天板5とを有している。天板5は、フレーム2の剛性を高めるべく、ガラス繊維が充填されたABS樹脂製の板部材が好適に採用される。フレーム2の枠内には、ステッピングモータ(図示省略)が取り付けられており、該ステッピングモータの回動軸にリール7が接続されている。また、フレーム2の枠内には、リール7の回転角度を光学的に検知する回転検知センサ(図示省略)が配設される。
【0017】
図1に示すように、天板5の上面には、横長矩形状の基板ケース9が装着され、該基板ケース9に、リール7の回転を制御するリール制御基板(図示省略)が収容される。リール制御基板には、ステッピングモータや回転検知センサと接続する配線コードや、遊技を制御するメイン制御基板(図示省略)と接続する配線コードが接続される。そして、
図1に示すように、リールユニット1の天板5には、配線コードを天板5の上面に纏めて保持するための配線保持部15が配設される。配線保持部15は、天板5の上面の右側部と左側部に2箇所ずつ設けられており、
図2に示すように、夫々の配線保持部15に、複数本の配線コードXを左右方向に横たえた状態で保持し得るようになっている。そして、個々の配線保持部15には、当該配線保持部15に配線コードXを保持するための配線保持構造が配設される。4箇所の配線保持部15に配設される配線保持構造は全て同じものである。
【0018】
図2,3に示すように、配線保持部15に配設される配線保持構造は、天板5と一体成形される保持片18により構成される。保持片18は、配線保持部15の上を、配線保持部15aの奥側から手前側に跨ぐように延出して、配線保持部15の配線コードXを天板5の上方から覆うように保持する。また、保持片18の先端は開放端となっており、保持片18は、配線保持部15の手前側に、配線コードXを配線保持部15に挿入するための狭幅な配線挿入口22を形成する。保持片18は、平面視矩形状をなす舌片であり、起立部40と、水平延出部41と、近接延出部42とで構成される。起立部40は、天板5の上面の、配線保持部15の奥側に立設される。水平延出部41は、起立部40の上端から手前側に水平に延出して、配線保持部15を上方から覆っている。近接延出部42は、水平延出部41の先端から斜め下方に延出した後に、斜め上方に延出する側面視V字状をなしており、近接延出部42の屈曲部と天板5との間に配線挿入口22が形成される。かかる保持片18は、上下方向に撓ませることにより、先端側の近接延出部42を上下方向に傾動させ得るよう構成されている。また、天板5には、保持片18と上下に対向する部位に、矩形状の開口部44が形成される。かかる開口部44は、天板5と保持片18の射出成形による一体成形を容易とするためのものである。なお、本発明に係る配線保持部は、本実施例のように天板5に形成された開口部44の上に設けられるものを含む。すなわち、本発明に係る保持板面上は、板材の上に限らず、板材に形成された開口部の上を含む。
【0019】
図2,3に示すように、配線保持部15は、3本の配線コードXを左右方向に横たえた状態で保持するよう構成されたものである。配線保持部15に保持される3本の配線コードXは、同じワイヤハーネスを構成するものであり、3本の配線コードXの両端は、共通のコネクタ(図示省略)と接続されている。
図2に示すように、配線保持部15の奥側は保持片18の起立部40によって覆われ、上側には保持片18の水平延出部41によって覆われており、配線保持部15には、配線保持部15の手前側に形成された配線挿入口22からのみ、配線コードXを挿入可能となっている。なお、後述するように、本実施例の配線保持構造は、ワイヤハーネスの交換修理や再利用を可能とするために、配線保持部15に保持した配線コードXを容易に抜き取り得るよう構成されている。
【0020】
図3に示すように、配線挿入口22は、配線保持部15の手前側で、天板5と保持片18の隙間が最も狭くなる部分であり、保持片18の近接延出部42の屈曲部と天板5との間に形成される。配線挿入口22の幅Wは、常態(保持片18が撓んでいない状態)では、配線コードXの直径Dよりも狭くなっている。このため、天板5に加わる振動や衝撃によって、配線保持部15に保持した配線コードXが配線保持部15から抜け落ちることはない。このように、配線挿入口22は、常態では、配線コードXが通過困難な幅となっているが、保持片18の先端側を上方に撓ませることにより、配線コードXが通過容易な幅に拡幅させることができる。
【0021】
図3に示すように、配線挿入口22を形成する保持片18の近接延出部42は、側面視V字状をなしており、配線挿入口22の手前側と奥側では、天板5と保持片18の間隔が、配線挿入口22に向けて先細りとなっている。このため、配線コードXを配線保持部15に挿脱する際は、
図4に示すように、配線コードXを天板5に沿って配線挿入口22へ押し込めば、配線コードXが近接延出部42を押圧して保持片18が上方に撓むことにより、配線挿入口22を配線コードXの直径D以上の幅に拡幅させることができる。このように、かかる配線保持構造では、天板5に沿って配線コードXを配線挿入口22に押し込むことによって、配線コードXが配線挿入口22を通過可能となるため、配線コードXを配線保持部15に対して挿抜する際には、配線コードXを保持片18の近接延出部42に押し当てることが必要となる。
【0022】
本実施例の配線保持構造にあっては、
図5(a)〜5(c)に示すように、保持片18の近接延出部42の両側縁は、天板5の上面側の角部46がアール形状をなし、丸みを帯びている。配線コードXの挿抜に際して、配線コードXを保持片18の近接延出部42に押し当てた時には、
図6に示すように、配線コードXが保持片18の当該角部46と当接することとなるが、本実施例では、かかる角部46がアール形状をなしており、配線コードXと角部46の当接する面積が従来構成に比べて広くなるため、配線コードXの被覆に加わる負荷が従来構成に比べて分散される。したがって、本実施例にあっては、配線コードXを配線挿入口22に通す際に、配線コードXを近接延出部42に強く押し当てたとしても、近接延出部42の角部46で配線コードXの被覆が破れ難いという利点がある。
【実施例3】
【0024】
本実施例は、上記実施例1から、保持片18の近接延出部42の両側縁の形状を変更したものである。なお、その他の構成は実施例1と共通であるため、共通する構成については、本文及び図中で同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0025】
図8に示すように、本実施例にあっても、配線挿入口22の幅Wは、常態で、配線コードXの直径Dよりも狭くなっているため、配線コードXを配線挿入口22に通すためには、配線コードXを近接延出部42に押し当てて保持片18を上方に撓ませて、配線挿入口22を拡幅させる必要がある。ここで、本実施例では、
図9に示すように、保持片18の近接延出部42の両側縁には、天板5の上面側に、天板5の上面に向けて縮幅する階段状の角部46aが形成されており、当該角部46aには、直角に角張った2段の角49a,49bが内外に形成される。かかる階段状の角部46aは、近接延出部42の全長に亘って連続しており、当該角部46aには、2段の角49a,49bの間に、保持片18の延出方向に沿って延びる一筋の溝48が形成されている。
【0026】
かかる構成によれば、
図10に示すように、配線コードXを近接延出部42に押し当てた時に、配線コードXが、角部46の内外の角49a,49bと2箇所で当接するため、配線コードXの被覆に加わる負荷が二分される。したがって、本実施例にあっても、配線コードXを配線挿入口22に通す際に、配線コードXを近接延出部42に強く押し当てたとしても、近接延出部42の角部46aで配線コードXの被覆が破れ難いという利点がある。
【0027】
また、本実施例を、上記実施例1,2と比較すると、実施例1,2(
図6,7参照)では、配線コードXと角部46が1箇所で面接触するため、配線コードXを配線挿入口22に通す際に、角部46との摩擦によって配線コードXがねじれて断線することが懸念される。これに対して、本実施例(
図10参照)では、配線コードXと保持片18の角部46aが2箇所で当接するため、配線コードXを近接延出部42に強く押し付けた時に、配線コードXがねじれ難く、配線コードXが断線するおそれがないという利点がある。
【0028】
図11(a)〜11(c)は、上記実施例3の配線保持構造を一部変更した変形例の配線保持構造である。以下、各変形例について説明するが、以下に説明する変更箇所以外の構成は実施例3と共通であるため、共通する構成については、本文及び図中で同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0029】
図11(a)は、保持片18の近接延出部42の両側縁の形状を変更した変形例である。具体的には、本変形例では、近接延出部42の両側縁の、天板5の上面側の角部46bが3段の階段状となっており、当該角部46bには、3段の角49a,49b,49cが内側と外側と中央に形成されている。かかる変形例にあっては、配線コードXを近接延出部42に押し当てた時に、配線コードXが角部46bの3つの角49a,49b,49cと3箇所で当接するため、配線コードXの被覆に加わる負荷を三分することができる。このように、本発明に係る階段状の角部は、2段に限らず、3段以上の階段状であってもよい。
【0030】
図11(b)は、保持片18の近接延出部42の形状を変更した変形例である。具体的には、本変形例では、近接延出部42には、天板5の上面と対向する側の中央部に、幅広な凹溝47が形成される。本変形例のように、本発明に係る保持片は、両側縁に階段状の角部が形成されてさえいれば、中央部の形状は特に限定されず、適宜変更することが可能である。
【0031】
図11(c)は、階段状の角部46aの内外の角49a,49bに丸みを付与した変形例である。このように、本発明に係る階段状の角部は、一部又は全ての角に丸みが付与されていてもかまわない。また、上記実施例3では、階段状の角部46aは、直角に屈曲しているが、本発明に係る階段状の角部は、角が直角に屈曲したものには限られず、角が鋭角や鈍角に屈曲したものであってもよい。
【実施例4】
【0032】
本実施例は、上記実施例3から、配線保持部の位置、及び、配線保持構造の構成を変更したものである。なお、以下の説明で言及しない構成は実施例3と共通である。このため、共通する構成については、本文及び図中で同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0033】
本実施例では、
図12に示すように、配線保持部15aは、天板5の上面の、基板ケース9の手前側に設けられる。かかる配線保持部15aは、3本の配線コードXを左右方向に横たえた状態で保持するよう構成されたものである。配線保持部15aに保持される3本の配線コードXは、同じワイヤハーネスを構成するものであり、3本の配線コードXの両端は、共通のコネクタ(図示省略)と接続されている。配線保持部15aに配線コードXを保持するための配線保持構造は、基板ケース9の手前側端部17と、該手前側端部17から手前側に延出する保持片18aと、天板5の上面に形成されて、保持片18aの左右両側縁に沿って前後に延びる一対の嵩上げリブ20とによって構成される。なお、天板5の上面には、配線保持部15aの周囲に、左右方向に延びる補強リブ21も形成されているが、かかる補強リブ21は、天板5を補強する専用のリブであり、配線コードXの保持機能を有するものではない。また、後述するように、本実施例の配線保持構造は、ワイヤハーネスの交換修理や再利用を可能とするために、配線保持部15aに保持した配線コードXを抜き取り得るよう構成されている。
【0034】
図12〜15に示すように、保持片18aは、基板ケース9と一体成形されるものであり、配線保持部15aの上を、配線保持部15aの奥側から手前側に跨ぐように延出して、配線保持部15aの配線コードXを天板5の上方から覆うように保持するとともに、配線保持部15aの手前側に、配線コードXを配線保持部15aに挿入するための狭幅な配線挿入口22を形成する。保持片18aは、平面視矩形状をなす舌片であり、基板ケース9の手前側端部17から手前側に水平に延出して配線保持部15aの上を覆う水平延出部23と、該水平延出部23の先端で上方に屈曲して、手前側に向けて斜め上方に延出する離間延出部と、該離間延出部の先端から略水平に延出する最先端部25とで構成される。そして、かかる保持片18aは、水平延出部23を上下に撓ませることにより、離間延出部及び最先端部25を上下方向に傾動させ得るよう形成されている。また、保持片18aには、水平延出部23の先端に、天板5の上面方向に突出する小突部26が形成され、保持片18aの基端側には、保持片18aを補強するための補強用リブ27が形成されている。
【0035】
前記一対の嵩上げリブ20は、
図12〜15に示すように、天板5の上面にあって、保持片18aの左側縁と右側縁に沿うように前後に形成される。嵩上げリブ20は、天板5と一体成形されるものであり、一対の嵩上げリブ20は、保持片18aを中心に対称位置に設けられ、かつ、対称形状をなしている。嵩上げリブ20は、基板ケース9の手前側から保持片18aの全長に亘って形成され、天板5の前端まで延びている。詳述すると、嵩上げリブ20は、基板ケース9の手前側から配線保持部15aを横切るように形成された比較的低い低壁部29と、配線保持部15aの手前側に形成された比較的高い高壁部31と、低壁部29と高壁部31の間に形成されて、低壁部29の高さから高壁部31の高さまで連続的に傾斜する傾斜壁部30とによって構成される。なお、
図13に示すように、嵩上げリブ20は、保持片18aの両側縁の外側に形成されており、保持片18aと上下方向には重なっていない。
【0036】
図12,13に示すように、配線挿入口22は、配線保持部15aの手前側にあって、保持片18aの側縁部と嵩上げリブ20の上端部の間に形成される、保持片18aと嵩上げリブ20の隙間が最も狭くなる部分である。かかる配線挿入口22は、
図14,15(b)に示すように、常態(保持片18aが撓んでいない状態)で、保持片18aの水平延出部23の先端側と離間延出部24の基端側が、嵩上げリブ20の傾斜壁部30と左右に重なる部分に形成される。配線挿入口22は、振動や衝撃等によって配線コードXが配線保持部15aから脱落しないように、常態では、配線コードXが通過困難な幅となっているが、保持片18aを上方に撓ませることにより、配線コードXが通過容易な幅に拡幅させることができる。
【0037】
配線挿入口22について詳述すると、
図16(a),16(b)に示すように、常態では、保持片18aと嵩上げリブ20とは、配線コードXの直径Dの2倍以上の前後長Lに亘って左右に重なっている。そして、保持片18aと嵩上げリブ20が左右に重なる部位では、保持片18aと嵩上げリブ20の隙間が、配線コードXの直径Dよりも狭い一定幅Wとなっている。このため、配線挿入口22は、常態では、配線コードXの直径Dよりも狭い一定幅Wを有し、配線コードXの直径Dの2倍以上の長さLに亘って前後に連続するスリット状をなしている。このように、配線挿入口22は、常態では配線コードXが通過不能な形状となっているが、
図14に示すように、保持片18aを上方に撓ませて、配線挿入口22を配線コードXの直径以上の幅に拡幅させることで、配線コードXを配線挿入口22に容易に通過させることができる。
【0038】
図14に示すように、配線挿入口22の手前側では、配線挿入口22に向けて下方傾斜する保持片18aの離間延出部24と、嵩上げリブ20の水平な高壁部31とによって、保持片18aと嵩上げリブ20の間隔が配線挿入口22に向けて先細りとなるよう構成されている。かかる構成によれば、配線コードXを外部から配線挿入口22に通す際に、離間延出部24と高壁部31の案内作用によって、配線コードXを狭幅な配線挿入口22まで容易に到達させることができる。さらには、離間延出部24と高壁部31の間の狭幅となった部分に配線コードXを押し入れて保持片18aを上方に撓ませることで、配線挿入口22を配線コードXが通過可能な幅に拡幅させることができる。
【0039】
また、
図14に示すように、配線挿入口22の奥側では、水平な保持片18aの水平延出部23と、配線挿入口22に向けて上方傾斜する嵩上げリブ20の傾斜壁部30とによって、保持片18aと嵩上げリブ20の間隔が配線挿入口22に向けて先細りとなるよう構成されている。かかる構成によれば、配線コードXを配線保持部15aから配線挿入口22に通す際に、水平延出部23と傾斜壁部30の案内作用によって、配線コードXを狭幅な配線挿入口22まで容易に到達させることができる。さらには、水平延出部23と傾斜壁部30の間の狭幅となった部分に配線コードXを押し入れて保持片18aを上方に撓ませることで、配線挿入口22を配線コードXが通過可能な幅に拡幅させることができる。
【0040】
図17,18を参照して、配線保持部15aに配線コードXを挿抜する手順について具体的に説明する。なお、上述したように、配線保持部15aに保持する3本の配線コードXは、同じワイヤハーネスを構成するものであるため、3本の配線コードXは一纏めにして配線保持部15aに対して挿抜する。
【0041】
配線コードXを配線保持部15aに挿入する際には、まず、
図17(a)に示すように、嵩上げリブ20の外側(両側又は片側)で配線コードXを摘まんで、保持片18aの最先端部25と嵩上げリブ20の高壁部31の間に挿入する。そして、かかる状態で、配線コードXを奥側に押し込むと、
図17(b)に示すように、離間延出部24と高壁部31の案内作用によって、配線コードXを配線挿入口22まで容易に到達させることができる。さらには、離間延出部24と高壁部31の間の狭幅となった部分に配線コードXを押し入れて保持片18aを上方に撓ませることで、配線挿入口22を配線コードXが通過容易な幅に拡幅させることができる。このため、摘まんだ配線コードXをさらに奥側に押し込めば、
図18(a)→18(b)→18(c)に示すように、拡幅した配線挿入口22を通過させて、配線コードXを配線保持部15aまで挿入することができる。
【0042】
配線コードXを配線保持部15aから抜き取る際には、挿入時と逆の手順を行う。すなわち、
図18(c)→18(b)に示すように、配線保持部15aに保持した配線コードXを、嵩上げリブ20の外側(両側又は片側)で摘まんで手前側に引き上げる。これにより、水平延出部23と傾斜壁部30の案内作用によって、配線コードXを配線挿入口22まで容易に到達させることができる。さらには、水平延出部23と傾斜壁部30の間の狭幅となった部分に配線コードXを押し入れて保持片18aを上方に撓ませることで、配線挿入口22を配線コードXが通過容易な幅に拡幅させることができる。このため、摘まんだ配線コードXをさらに手前側に引き上げれば、
図18(a)→17(b)→17(a)に示すように、拡幅した配線挿入口22を通過させて、配線コードXを配線保持部15aから抜き取ることができる。
【0043】
このように、本実施例の配線保持構造では、保持片18aと嵩上げリブ20の間隔は、手前側から配線挿入口22に向けて先細りとなるよう形成されている。このため、配線コードXを手前側から配線挿入口22に向けて押し込むだけで、配線コードXが通過可能な幅にまで配線挿入口22を拡幅させて、配線コードXを配線保持部15aに挿入できる。また、本実施例の配線保持構造では、保持片18aと嵩上げリブ20の間隔は、配線保持部15aから配線挿入口22に向けて先細りとなるよう形成されている。このため、配線コードXを配線保持部15aから手前側に引き上げるだけで、配線コードXが通過可能な幅にまで配線挿入口22を拡幅させて、配線コードXを配線保持部15aから抜き取ることができる。
【0044】
また、本実施例では、配線挿入口22が、保持片18aと嵩上げリブ20の端部の間に形成されて、嵩上げリブ20の高さ分だけ天板5の上面から離れた位置に形成されている。このため、
図17,18に示すように、配線コードXを配線挿入口22に通す際に、指を天板5の上面と干渉させることなく、配線コードXを指の腹部分でしっかりと摘まんで作業できるという利点がある。
【0045】
また、本実施例では、保持片18aが、手前側に向けて斜め上方に延出する離間延出部24と、略水平に延出する水平延出部23及び最先端部25とで構成されており、保持片18aの全ての部分において、天板5の上面に近接しない方向に延出している。かかる構成によれば、配線保持部15aの配線コードXを配線挿入口22に向けて斜め上方に引き上げることで、該配線コードXを保持片18aに引っ掛けることなく配線挿入口22に通すことができる。このため、本実施例の配線保持構造によれば、配線コードXを斜め上方に引き上げるという一段階の操作で、配線保持部15aから配線コードXを抜き取ることが可能となる。
【0046】
また、本実施例では、嵩上げリブ20は、傾斜壁部30の形成部位において、配線保持部15aから配線挿入口22に向けて上り傾斜している。かかる構成によれば、配線保持部15aから配線コードXを抜き取る際に、傾斜壁部30が配線コードXを配線挿入口22の高さに案内する作用を発揮するため、配線コードXを嵩上げリブ20に引っ掛けることなく、配線コードXを配線保持部15aから円滑に抜き取ることができる。
【0047】
また、本実施例では、配線挿入口22は、常態では、配線コードXの直径Dよりも狭い幅Wを有し、保持片18aの側縁に沿って配線コードXの直径Dの2倍以上の長さLに亘って連続するスリット状をなしている。かかる構成によれば、配線コードXを配線挿入口22に通す際に、拡幅した配線挿入口22を先の配線コードXが通過し終える前に、次の配線コードXを配線挿入口22に進入させて保持片18aと嵩上げリブ20の間に挟むことによって、先の配線コードXが通過し終えた後に配線挿入口22が常態に戻るのを阻止できる。このため、本実施例にあっては、配線挿入口22を常態から何度も拡幅させることなく、配線挿入口22に複数本の配線コードXを効率的に通すことができる。
【0048】
また、本実施例では、嵩上げリブ20は、配線保持部15aの手前側に形成されるだけでなく、配線保持部15aを奥側から手前側に横断するように形成されており、配線コードXは、配線保持部15aにおいて、嵩上げリブ20の低壁部29の高さ分だけ、天板5の上面より上方に保持される。このため、本実施例では、配線コードXを配線保持部15aから抜き取る際に、配線保持部15aに保持した配線コードXを指の先端でなく、指の腹の部分でしっかりと摘まむことができるという利点がある(
図18(c)参照)。
【0049】
また、本実施例では、
図14に示すように、保持片18aの水平延出部23の先端に、天板5の上面方向に突出する小突部26が形成されている。かかる構成にあっては、配線コードXを配線保持部15aに挿入する際に、小突部26の部分で軽い手応えが得られるため、配線コードXを配線保持部15aまで正常に挿入したことを、作業者が手応えで確実に確認できるという利点がある。ここで、かかる小突部26は、
図15(b)に示すように、保持片18aの両側縁よりも内側に形成される。このため、小突部26が形成される部位において、保持片18aの両側縁には、天板5の上面側に、天板5の上面に向けて縮幅する階段状の角部46cが形成され、当該角部46cには、2段の角が内側と外側に形成される。かかる構成によれば、配線コードXが小突部26に当接した時に、配線コードXが角部46cの内外の角と2箇所で当接するため、配線コードXの被覆に加わる負荷が二分される。したがって、本実施例にあっては、配線コードXを配線挿入口22に通す際に、配線コードXを保持片18aの小突部26に強く押し当てたとしても、保持片18aの角部46cで、配線コードXの被覆が破れ難いという利点がある。このように、本発明は、保持片の両側縁の角部のうち、配線コードが強く当接することとなる部分のみを、局所的に階段状に形成したものであってもよい。
【0050】
また、本実施例の配線保持構造は、配線保持部15aの手前側に配線挿入口22が形成されるため、配線保持部15aの上方に配線挿入口を形成する従来構成に比べて、天板5に対する配線保持構造の高さを抑えることができ、配線保持構造が嵩張らない分だけ天板5の上方のスペースを他の用途に活用できるという利点がある。
【0051】
また、本実施例では、嵩上げリブ20は、配線保持構造として機能するだけでなく、天板5を補強する機能も有しているため、嵩上げリブ20を配設した分だけ、天板5の厚さを薄くしたり、天板を補強する専用のリブの本数を削減したりすることが可能となる。
【0052】
以上に本発明の実施例を説明したが、本発明の遊技機用配線保持構造は、上記実施例の形態に限らず本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。
【0053】
例えば、上記実施例は、スロットマシンのリールユニットの天板上面を、本発明に係る保持板面とする例であるが、本発明に係る保持板面は、前扉の裏面や基板ケースの表面であってもよい。すなわち、本発明に係る保持板面は、天板上面のような水平面に限られず、傾斜面や垂直面であってもよい。また、本発明は、スロットマシンの配線保持構造に限らず、パチンコ機の配線保持構造にも同様にして適用可能である。
【0054】
また、上記実施例に係る配線保持部15は、1組のワイヤハーネスを構成する3本の配線コードXを保持するものであるが、本発明に係る配線保持部に保持する配線コードの本数や種類、太さ、形状は特に限定されず、複数の配線コードを一体的に束ねたものであってもよい。