(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1のギアホイール(77)は、第1のシャフト(12)上で回転可能な第1の遊動ギアホイール(54,58)を介して入力シャフト(11)に常時駆動係合していることを特徴とする請求項1に記載の常時噛合式ギアボックス。
第1の遊動ギアホイール(54,58)は、第1のシャフト(12)とともに回転するように選択可能に連結可能であることを特徴とする請求項3に記載の常時噛合式ギアボックス。
第2のギアホイール(78)は、第1のシャフト(12)上で回転可能な第2の遊動ギアホイール(55,59)を介して入力シャフト(11)に常時駆動係合していることを特徴とする請求項5に記載の常時噛合式ギアボックス。
第2の遊動ギアホイール(55,59)は、第1のシャフト(12)とともに回転するように選択可能に連結可能であることを特徴とする請求項7に記載の常時噛合式ギアボックス。
第1および第2の遊動ギアホイールは、両側動作する常時噛合式カプラ(21)を介して第1のシャフトに択一的に連結可能であることを特徴とする請求項8に記載の常時噛合式ギアボックス。
第1および第2のギアホイール(77,78)は、両側動作する常時噛合式カプラ(24)を介してスリーブ(74)に択一的に連結可能であることを特徴とする請求項5〜9のいずれか1に記載の常時噛合式ギアボックス。
第2のギアホイール(78)は、常時噛合式カプラ(25)を介して第2のシャフトに連結可能であることを特徴とする請求項5〜10のいずれか1に記載の常時噛合式ギアボックス。
【発明の概要】
【0005】
本発明の態様によれば、独立して選択可能な複数の前方速度比を有する常時噛合式ギアボックスであって、入力軸(31)、出力軸(35)、および複数の中間軸(32〜34)を含む一連の平行回転軸(31〜35)を画定するケーシング(20)と、入力軸、出力軸および複数の中間軸上の複数の回転可能部品の間で駆動力を伝達するギアホイール対とを備える。第1のシャフト(12)は、複数の中間軸のうちの1つの中間軸上で回転可能であり、第2のシャフト(14)は、複数の中間軸のうちの別の中間軸上で回転可能である。第1および第2のシャフトは、第1のギアホイール対(60,80)を介して直接的に連結され、スリーブ(74)は、第2のシャフト(14)上で回転可能であり、スリーブおよび第1のシャフトは、第2のギアホイール対(75,76)を介して直接的に連結され、スリーブ(74)は、その上で第1のギアホイール(77)が回転するように第1のギアホイールを支持し、第1のギアホイール(77)は、スリーブとともに回転するように選択的に連結可能であり、入力軸(31)上の入力シャフト(11)に駆動係合している。
【0006】
1つの変形例によれば、独立して選択可能な複数の速度比を有する常時噛合式ギアボックスが提供され、この常時噛合式ギアボックスは、入力軸、出力軸、および3つの中間軸を含む5つの平行回転軸を画定するケーシングと、入力軸、出力軸、および中間軸上の複数の回転可能部品の間で駆動力を伝達するギアホイール対とを備える。
【0007】
本発明に係るギアボックスは、幅広で短いことを特徴とするものであってもよい。本発明の実施形態に係る特徴は、入力軸と出力軸が互いに位置合わせされることなく、直列トランスミッションの場合、出力軸をエンジンのクランクシャフト中心ラインより低く配置することができ、その結果、乗客用コンパートメントのフロア(床)を低くして、トランスミッショントンネルを無視することができる。
【0008】
本発明に係る実施形態は、1つの回転方向に第6段、第7段、および第8段の連続的な速度比を提供し、別の回転方向に2段の連続的な速度比を提供する。前方速度比は、先行速度比の60〜75%の範囲で許容可能なステップ(差異)を有し、車両ドライバにとって適正な「感覚」を与える。
【0009】
本発明に係る実施形態の特徴によれば、6段の速度比は、1つの速度比から別の速度比に望み通りに変更するために調整可能な径を有するギアホイール対を含む。
【0010】
トランスミッションを利用する車両が必要としない場合、使用時、1段または2段の速度比を省略して、別の速度比に必要でなければ、ギアホイール及びギア選択部品を省略してもよい。
【0011】
本発明に係る実施形態において、1段または2段の速度比は、低速の速度比として説明され、車両の低速走行時に使用することを意図したものであってもよい。車輛軸の適当な最終的な駆動比を選択すると、これらの低速度比をオフロード車両に適したものとすることができる。
【0012】
本発明に係る実施形態によれば、一般に、より大きい速度比は、より小さい速度比に比して、ギアトランスミッショントレイン内のより数少ないギアホイールを含み、大きい車両速度で走行しているときのギアノイズのリスクを低減するトランスミッションが提供される。すなわち、前方8段の実施形態では、より大きい6段の速度比は、最も小さい2段の速度比に比して、より数少ないギアホイールを含む。
【0013】
本発明に係る実施形態の特徴は、中間シャフト上で回転可能なスリーブである。
【0014】
1つの態様によれば、独立して選択可能な複数の前方速度比を有する常時噛合式ギアボックスが提供され、この常時噛合式ギアボックスは、入力軸、出力軸、および複数の中間軸を含む一連の平行回転軸を画定するケーシングと、入力軸、出力軸および複数の中間軸上の複数の回転可能部品の間で駆動力を伝達するギアホイール対とを備える。第1のシャフトは、複数の中間軸のうちの1つの中間軸上で回転可能であり、第2のシャフトは、複数の中間軸のうちの別の中間軸上で回転可能である。第1および第2のシャフトは、第1のギアホイール対を介して直接的に連結され、スリーブは、第2のシャフト上で回転可能であり、スリーブおよび第1のシャフトは、第2のギアホイール対を介して直接的に連結される。
【0015】
スリーブは、追加的なギアオプションを可能にし、トルクは短いトランスミッション内を伝達する。
【0016】
ギアホイール装置の態様は、本願に添付されたクレームに列挙されている。
【0017】
1つの実施形態において、スリーブは、その両端に隣接する転動体ベアリングにより支持され、一方の転動体ベアリングがケーシングに係合し、他方の転動体ベアリングが第2のシャフトに係合する。1つの実施形態に係る他方の転動体ベアリングは、第2のシャフトと第2のギアホイールとの間に配置され、第2のギアホイールは、スリーブ上で軸受けされる。
【0018】
本発明に係る実施形態によれば、入力軸は出力軸に位置合わせされないため、一般的な縦置きエンジンの形態を有する後輪駆動車両において、比較的に低い位置に出力シャフト(プロペラシャフト)を配置することができる。出力シャフトを低い位置に配置したことにより、出力シャフトを乗員空間内にできるだけ侵入させないようにすることができる。縦置きエンジンの形態を有する前輪駆動車両において、出力シャフトを低い位置に配置したことにより、駆動シャフトの過剰な角度を回避しながら、前輪を駆動する上で都合がよい。
【0019】
出力軸上のディファレンシャルギアは、対向する車両軸すなわち典型的には前輪軸および後輪軸に駆動力を与えることができる。本発明に係る実施形態によれば、車両軸に伝達される駆動力は、出力軸の半径方向外側にある6番目の平行軸上にある。出力軸と6番目の平行軸との間の駆動手段は、ギアホイールまたはチェーン/ベルトおよびスプロケットを含んでもよい。こうした構成は、車両の前輪軸のための前方低速駆動軸を提供し、フロント実装エンジンの通常のプロペラシャフト(推進シャフト)の通過を容易にするものである。
【0020】
本発明に係るトランスミッションは、単一のケーシング内に搭載された1段または2段のきわめて小さい速度比を有する。きわめて小さい速度比とは、高速道路上のみでの走行のために設計された車両が利用する速度比(典型的には20:1程度で、および/または前方速度比が15を超える速度比)に比べて全体的により小さいということを意味する。こうした速度比は、典型的には、4輪駆動オフロード車両の選択可能なトランスファボックスにより実現される。
【0021】
本願の範疇において、上記段落、クレーム、および/または以下の明細書および図面に記載された、さまざまな態様、実施形態、実施例、および択一例、特に個々の特徴物は、独立してまたは組み合わせて採用することができる。たとえば1つの実施形態に関連して説明された特徴物は、その特徴物が矛盾するものでなければ、すべての実施形態に適用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の1つの実施形態に係るトランスミッションは、
図1および
図2に示すように、トランスミッションケーシング(ここでは図示せず)内で回転するように支持された平行軸を有する5つのシャフトを有する。これらのシャフトは、入力シャフト(インプットシャフト、入力軸)11、低速レイシャフト(低速副軸)12、高速レイシャフト(高速副軸)13、反転レイシャフト(反転副軸)14、およびプライマリ出力シャフト(プライマリアウトプットシャフト、出力主軸)15を有する。任意的には、2つの車両軸を駆動する必要がある場合に特に、第6番目の平行シャフトとしてセカンダリ出力シャフト(出力副軸)16を有してもよい。「プライマリ」出力シャフト15および「セカンダリ」出力シャフト16は、単独または組みあわせて用いてもよく、単一の駆動軸で十分な場合には、一方の出力シャフトに対する駆動連結を省略してもよい。すなわち車両のトランスミッションは、異なる実施形態において、前輪駆動、後輪駆動、または四輪駆動を提供することができる。
【0024】
低速レイシャフトおよび高速レイシャフトは、より大きいまたはより小さい速度比に関連するシャフトを意味し、必ずしも高速または低速で回転することを意味するものではない。
【0025】
シャフト11〜15は、常時噛合式(コンスタントメッシュ)ギアホイールの対(組)を支持し、各シャフトに係合(噛合い)または離脱して、トランスミッションを介して駆動力を伝達する。各ギアホイールの歯数および歯形状は、広く知られたパラメータに従って選択され、それ自体は本発明の一部を構成するものではない。後述の明細書から明らかなように、ギアホイールの各対の相対的な径は、適当な速度比、および特に隣接する速度比の間で許容可能なステップ(段差)が得られるように選択される。広く知られた原理に基づき、伝達されるトルク、スラスト負荷、ベアリング寿命、およびその他の周知のファクタを考慮して、シャフトをトランスミッションケーシング内で支持するために、ローラおよびベアリングが設けられる。
【0026】
図1に示すように、プライマリ出力シャフト15とセカンダリ出力シャフト16との間駆動力は、所望の回転方向を維持するために、チェーンまたはベルト17を用いて伝達される。矢印18は入力トルクの方向を示し、矢印19は出力トルクの方向を示し、出力トルクは、いずれか一方の回転方向(すなわち車両の前進方向または後進方向)を有する。
【0027】
図1から容易に理解されるように、このトランスミッションの特徴は、レイシャフト12,13および反転シャフト14がプライマリ出力シャフト15を直接的に駆動することができる点にある。
【0028】
これらのシャフトは、
図1および
図2に示すようにトランスミッションケーシング内に配置される。ただし、さらなる説明のために、
図3には、すべてのシャフトが同一平面内にあるときの展開縦断面が示されている。各シャフトのベアリングに対する支持を示すためのケーシングを破線で示す。
【0029】
図3に示すトランスミッションの主な特徴は、以下の通りである。
・4つの平面上にある複数のシャフトの間に選択可能なギア対が設けられている。
・レイシャフト12,14を連結するギアホイールのために(図中の)左側に5番目の平面が画定され、出力シャフト15を直接的に駆動するギアホイールのために(図中の)右側に6番目の平面が画定される。
・5組の両側動作ギアセレクタ(double acting gear selectors)21〜25が設けられ、各両側動作ギアセレクタは、典型的には、従来型の常時噛合式の連結を採用している。
・両方の出力シャフト15,16を有する全輪駆動の実施例が図示され、プライマリ出力シャフト15は、トランスミッションケーシング(車両の中央ディファレンシャル)内にディファレンシャルギア(差動ギア)26を有する。
・低速レイシャフト12は、1段〜4段の低速ギア比を有するトルク伝達経路を構成し、高速レイシャフト13は、5段および6段の高速ギア比を有するトルク伝達経路を構成する。
・出力シャフト15の回転方向を反転させるために、反転シャフト14を介して、やや一般的なバックギア比(反転ギア比)が得られる。
・詳細後述するように、2つの追加的なきわめて小さい低速ギア比、および追加的な反転ギア比が設けられる。
・これらのシャフトは平行軸31〜36上に配置される。軸35,36は、
図3には同軸上に配置されているように図示されているが、実際には同軸上に配置されていない。
【0030】
図4を参照すると、入力シャフト11は、トランスミッションケーシングを貫通して入力側27に突出し、摩擦クラッチのドリブンプレート(被駆動板、図示せず)の雌スプラインに駆動連結される雄スプライン41を有し、この構成は一般的なものである。転動体ベアリング42,43は、トランスミッションケーシング20内で入力シャフトの回転を支持するものである。
【0031】
回転する入力シャフト上には、5つのギアホイール44〜48が設けられている。ギアホイール44〜47はそれぞれ、前方方向の2段、1段、4段、および3段の速度比に対応する。図示したように、ギアホイール44はシャフト11と一体のものである一方、ギアホイール45〜48は、複数のスプラインまたはキー溝を介してシャフト11上をスライド移動し、たとえばサークリップ(止め輪)等を用いて、任意の適当な手法により固定されるものである。ギアホイール44〜48は、常時、入力シャフトとともに回転するように接続されている。
【0032】
低速レイシャフト12も同様に、トランスミッションケーシング20内の両端部で転動体ベアリング52,53により支持されており、前方方向の2段、1段、4段、および3段の速度比を実現するための相手ギアホイール(メイトギアホイール)54〜57を有する。
【0033】
相手ギアホイール54,55,57はそれぞれダブルギアホイールであり、異なる径を有し、一体に回転するように連結された並行配置されたギアホイールからなる。すなわちギアホイール54はギアホイール58に対応し、ホイール55はギアホイール59に対応し、ホイール57はギアホイール60に対応する。各ダブルギアホイールは、単一部材から製造されるものであってもよいし、または組み立てられたものであってもよい。
【0034】
ギアホイール54〜57は、低速レイシャフト12に対して自由に回転可能であるが、これと一体に回転させるために、対応する両側動作する常時噛合式セレクタ21,22を用いて連結することができる。理解されるように、常時噛合式ギアホイールシステムは、1つのギアホイールを未連結位置から(図中の)右または左方向に移動させることによりそれぞれのシャフトに同時に連結させるための速度シンクロナイザ(速度同調装置)およびドッグクラッチを備える。セレクタ21はギアホイール54,55の間に配置され、セレクタ22は、ギアホイール56,57の間に配置される。ギアホイール48とギアホイール60は、近接しているが、噛合っていない。
【0035】
高速レイシャフト13は、トランスミッションケーシング20内で転動体ベアリング62,63により支持されており、独立して回転可能なギアホイール64,65を有し、これらのギアホイールは、入力シャフト11のギアホイール46,48とそれぞれ係合する。ギアホイールの対(組)46,64およびギアホイールの対(組)48,65はそれぞれ、前方方向の6段および5段の速度比を実現し、常時噛合式セレクタ23は、要求に応じてレイシャフト13とともに回転する1つまたはその他のギアホイールの対(組)を連結するために設けられている。
【0036】
低速レイシャフト12および高速レイシャフト13はともに、一体に回転するように連結された出力ギアホイール66,67を有し、出力シャフト15の最終的な駆動ギアホイール69に係合する(噛合う)。
【0037】
反転レイシャフト14は、トランスミッションケーシング内で転動体ベアリング72,73により支持されている。また反転レイシャフト14は、一体に回転するように連結された出力ギアホイール68を有し、最終的な駆動ギアホイール69に係合する(噛合う)。
【0038】
図示のように、回転可能なスリーブまたはマフ74は、反転レイシャフト14上に設けられ、伝達ギアホイール対75,76を介して、低速レイシャフト12に直接的に連結される。この伝達ギアホイール対は入力側27にあり、出力ギアホイール対は出力側28にある(
図3参照)。
【0039】
スリーブまたはマフ74は、反転レイシャフト14の軸と同軸上にあり、この軸の周りで回転するようにギアホイール77,78を支持する。ギアホイール77,78はそれぞれ、低速レイシャフト12のギアホイール58,59と噛み合う。両側動作する常時噛合式セレクタ24は、要求に応じて、スリーブまたはマフ74とともに回転するようにギアホイール77,78を連結するものである。
【0040】
最も内側にあるギアホイール78は、常時噛合式セレクタ25の一方の側部を介して、反転シャフト14に連結することができる。図示のように、スリーブ74に対して転動体ベアリング79,81が配設されている。
【0041】
常時噛合式セレクタ25の他方の側部は、反転シャフト14の回転自在の(遊転)ギアホイール80を低速レイシャフト12のギアホイール60に連結するように動作可能である。
【0042】
出力シャフト軸35は、最終的な駆動ギアホイール69の回転軸を画定する。図示された実施形態では、ギアホイール69は、矢印92,93で示す反対方向の出力を有する一般的なディファレンシャルギア90のケーシング91に固定されている。
【0043】
使用時、一般的なディファレンシャルギア内で係合した適当な駆動シャフトが、それぞれの軸に実装されたディファレンシャルギア(図示せず)を介して車両の前輪および後輪のそれぞれに駆動力を伝達する。こうした構成は一般的なものである。
【0044】
図示された実施形態では、前方出力92はスプロケット94に接続され、スプロケットは第2の出力シャフト16の第2の出力軸36上の別のスプロケット95を駆動する。
【0045】
スプロケット95は、トランスミッションケーシング内で転動体ベアリング97,98により支持されている。
【0046】
また
図2は、最終的な駆動出力を、車両の前輪および後輪の各駆動軸に付随するプロペラシャフト(推進シャフト)103,104に連結するための適当な自在駆動ジョイント103,104を図示している。
【0047】
後輪のみの駆動が必要な場合、前輪駆動出力93に付随する構成部品とともにディファレンシャル90を省略してもよく、最終的な駆動ギア69は、自在駆動ジョイント102に連結するために適当な出力シャフトに直接的に連結してもよい。
【0048】
前輪のみの駆動が必要な場合、後輪駆動出力92に付随する構成部品とともにディファレンシャル90を省略してもよく、最終的な駆動ギア69は、任意の適当な手法でスプロケット94に直接的に連結してもよく、同軸上の自在駆動ジョイント101に駆動力を直接的に連結してもよい。
【0049】
図1〜
図5に示すトランスミッションは、以下の内部速度比を提供する。以下の説明において、特に言及しなければ、すべてのセレクタ21〜25は中間位置にあって(駆動状態になく)、トランスミッションがニュートラル状態にあることを前提とする。
【0050】
以下の6つの連続した前方速度比が提供される。
・第1段の速度比
セレクタ21を右方向に移動させると、駆動力は、入力シャフト11、ギアホイール対45,55、低速レイシャフト12、および出力ギアホイール67,69を介して伝達される。
・第2段の速度比
セレクタ21を左方向に移動させると、駆動力は、入力シャフト11、ギアホイール対44,54、低速レイシャフト12、および出力ギアホイール67,69を介して伝達される。
・第3段の速度比
セレクタ22を右方向に移動させると、駆動力は、入力シャフト11、ギアホイール対47,57、低速レイシャフト12、および出力ギアホイール67,69を介して伝達される。
・第4段の速度比
セレクタ22を左方向に移動させると、駆動力は、入力シャフト11、ギアホイール対46,56、低速レイシャフト12、および出力ギアホイール67,69を介して伝達される。
・第5段の速度比
セレクタ23を右方向に移動させると、駆動力は、入力シャフト11、ギアホイール対48,65、高速レイシャフト13、および出力ギアホイール66,69を介して伝達される。
・第6段の速度比
セレクタ23を左方向に移動させると、駆動力は、入力シャフト11、ギアホイール対46,64、高速レイシャフト13、および出力ギアホイール66,69を介して伝達される。
【0051】
理解されるように、第4段の速度比および第6段の速度比は、共通の駆動ギアホイール46を利用しており、相互依存する場合を除いて、それぞれの速度比は、各ギアホイール対の径を変更することにより調整することができる。さらに軸31〜33により、ギアホイール径および速度比を調整することができる。
【0052】
1つの実施形態では、以下の速度比を実現することができる。
第1段の速度比:17.74,第2段の速度比:10.82,第3段の速度比:7.13
第4段の速度比: 5.08,第5段の速度比: 3.75,第6段の速度比:2.78
【0053】
さらに以下の極度に低速の2つの速度比を実現することができる。
・L1段の速度比
セレクタ24を右方向に移動させると、駆動力は、入力シャフト11、ギアホイール対45,55、ギアホイール対59,78、マフ(スリーブ)74、ギアホイール対75,76、低速レイシャフト12、および出力ギアホイール67,69を介して伝達される。
・L2段の速度比
セレクタ24を左方向に移動させると、駆動力は、入力シャフト11、ギアホイール対44,54、ギアホイール対58,77、マフ(スリーブ)74、ギアホイール対75,76、低速レイシャフト12、および出力ギアホイール67,69を介して伝達される。
【0054】
ギアホイール対45,59およびギアホイール対44,58のそれぞれの径を変更し、反転シャフト軸34の相対的な配置位置を変えることにより、極度に低速の速度比を調整することができる。この実施形態では、低速ギアシャフト上のギアホイールは遊動状態である。
【0055】
1つの実施形態では、以下の極度に小さい速度比を提供することができる。
L1段の速度比:43.83, L2段の速度比:27.19
【0056】
すなわち連続した8段の前方速度比を実現することができる。セレクタ21〜24の動作は、マルチプル「H」型の一般的なシフトパターンと置換可能であり、すなわちギアレバーの1つの方向の動作は、左方向のセレクタ動作(L2段、第2段、第4段、第6段の速度比)に相当し、反対方向の動作は、右方向のセレクタ動作(L1段、第1段、第3段、第5段の速度比)に相当する。
【0057】
一般的な従来式の逆回転速度比は、セレクタ25を右方向に移動させることにより実現することができる。駆動力は、入力シャフト11、一連のギアホイール47,60,80、反転レイシャフト14、および出力ギアホイール68,69を介して伝達される。これらの追加的なギアホイール駆動力を反転させることができる。
【0058】
小さい逆回転速度比は、セレクタ25を左方向に移動させることにより実現することができる。駆動力は、入力シャフト11、一連のギアホイール45,59,78、反転レイシャフト14、および出力ギアホイール68,69を介して伝達される。
【0059】
1つの実施形態では、以下の連続した小さい逆回転速度比を実現することができる。
R1段の速度比:35.79, R2段の速度比:17.6
【0060】
R2段の速度比は、第1段の速度比とほぼ同じであるので、一般的なマニュアルトランスミッションの感覚に相当する。この比は、ギアホイール60,80の相対的な大きさを変えることにより調整することができる。
【0061】
R1速度比は、ギアホイール59,78の適当な径を選択することにより変えることができる。
【0062】
逆回転速度比を実現するには、セレクタ25を反対方向に移動させる必要があり、「H」型のマニュアルシフトパターンとも互換性がある。R2段の速度比の選択時、低速ギアシャフト上のギアホイールは遊動状態である。適当なシフトパターンを
図6に示す。リバースシフトは、任意の適当な面に設けることができ、第5段および第6段の速度比の右側に図示され、択一的にはR1段およびR2段の速度比の左側にあってもよい。
【0063】
トランスミッションは、前方に8段の速度比と後方に2段の速度比を有し、各前方速度比間の許容可能な差異は、60〜75%のステップ(段差)を含む。
【0064】
理解されるように、このトランスミッションの特徴は、3つのレイシャフト12〜14が出力シャフト15に常時連結駆動される点にある。すなわち3つのレイシャフトのうちの任意の1つのレイシャフトを介して駆動力を伝達させることにより、他の2つのレイシャフトを被駆動状態(ドリブン状態)にすることができる。上記説明した実施形態で選択した比を用いて、一般的なエンジン速度(たとえば7000回転/分)に対して、個々のギアホイールの速度を許容可能な設計限度内に維持することができる。
【0065】
本発明に係るトランスミッションは、前方に8段の速度比と後方に2段の速度比を有するが、必ずしもそうでなくてもよい。たとえばオンロード仕様に限定される場合、単一の逆回転速度比(R2)だけで十分であり、オフロード仕様の場合には、逆回転のR1段およびR2段の速度比を設けてもよい。ギアホイール59,78を外して、セレクタ25を単一方向に動作させることにより、R1段の速度比を省略してもよい。
【0066】
同様に、オンロード仕様に限定して、(R1段の速度比を省略してL2段の速度比を維持したと仮定した場合)ギアホイール59,78を外すことにより、L1段の速度比のみ、またはL1段のおよびL2段の速度比の両方を省略してもよい。
【0067】
ギアホイール58,77を外すことにより、L2段の速度比を省略する。L2段の速度比を省略した場合、L1段の速度比はほとんど確実に必要とされないので、ギアホイール59,78およびギアホイール75,76を外してもよい。この構成では、R1段の速度比はほとんど確実に必要とされないので、セレクタ24とともにマフ74を外すことができる。
【0068】
当然に理解されることではあるが、上記説明した第5段および第6段の速度比を省略し、L1段およびL2段の速度比を維持したことにより、速度比に関して異なる称呼(名称)が付される場合がある。すなわち順次的な範囲であるL1段、L2段、第1段、第2段、第3段、第4段の速度比は、第1ないし第6段の速度比と云う場合がある。この構成において、高速レイシャフト13ならびにこれに付随するセレクタ23、ギアホイール対46,64、ギアホイール対48,65、および出力ギアホイール66を省略する(外す)ことができる。
【0069】
同様に、6速トランスミッションは、L2段、第1段、第2段、第3段、第4段、第5段の速度比を有し、7速トランスミッションは、L1段、L2段、第1段、第2段、第3段、第4段、第5段の速度比、またはL2段、第1段、第2段、第3段、第4段、第5段、第6段の速度比を有してもよい。これらのすべての組み合わせは、必ずしも直ちに有用と考えられるものではないが、考案される8速トランスミッションケーシングが適用できない場合には実用的である。すなわち、1つまたはそれ以上の前方および後方の速度比を省略することにより、他のギアホイールの外形形状にケーシングをより密接に構成して、全体的な大きさを小さくすることができる。
【0070】
本発明の注目すべき特徴は、出力シャフトが入力シャフトに位置合わせされない点にある(
図1参照)。すなわち、(クランクシャフトのスィング動作に起因して)一般的な内燃エンジンの入力軸31が比較的に高い位置にレベルにあるので、出力軸35,36を比較的に低い位置に配置することができ、プロペラシャフトをより浅い角度で操作させつつ、乗客居住空間の侵食(占拠)を防止する上で有用である。こうした構成により、プロペラシャフトをより簡便に配設することができる。
【0071】
さらに別の特徴は、中央ディファレンシャルギア(差動ギア)26を、出力軸35,36がある比較的に低い位置においてトランスミッションケーシング内に搭載することができる点にある。このように搭載することで、別のディファレンシャルギアを異なるトランスミッションケーシングに搭載する場合に生じる累積公差を回避することができる。
【0072】
図7は、トランスミッション111、前輪プロペラシャフト112ならびに後輪プロペラシャフト113、前輪軸ならびに後輪軸、および車輪116を備えた直列型エンジン構造110を示す。