(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載の空調グリル取付構造において、前記取付部材は、インストルメントパネル本体に取り付けられたフィニッシャーであることを特徴とする空調グリル取付構造。
請求項2に記載の空調グリル取付構造において、前記取付部材は、インストルメントパネル本体に取り付けられたフィニッシャーであることを特徴とする空調グリル取付構造。
請求項3に記載の空調グリル取付構造において、前記取付部材は、インストルメントパネル本体に取り付けられたフィニッシャーであることを特徴とする空調グリル取付構造。
請求項4に記載の空調グリル取付構造において、前記フィニッシャーは縦壁と該縦壁の上縁部に設けられて前記インストルメントパネル本体側へ延びるフランジ部とを有すると共に、前記グリル取付部は前記フランジ部を残して前記縦壁を切り欠くことによって形成したものであることを特徴とする空調グリル取付構造。
請求項5に記載の空調グリル取付構造において、前記フィニッシャーは縦壁と該縦壁の上縁部に設けられて前記インストルメントパネル本体側へ延びるフランジ部とを有すると共に、前記グリル取付部は前記フランジ部を残して前記縦壁を切り欠くことによって形成したものであることを特徴とする空調グリル取付構造。
請求項6に記載の空調グリル取付構造において、前記フィニッシャーは縦壁と該縦壁の上縁部に設けられて前記インストルメントパネル本体側へ延びるフランジ部とを有すると共に、前記グリル取付部は前記フランジ部を残して前記縦壁を切り欠くことによって形成したものであることを特徴とする空調グリル取付構造。
請求項7に記載の空調グリル取付構造において、前記フィニッシャーは前記インストルメントパネル本体に係止爪で取り付けられていると共に、前記グリル取付部の位置については、前記空調グリルが前記インストルメントパネル本体に対してグリル固定手段で取り付けられていることを特徴とする空調グリル取付構造。
請求項8に記載の空調グリル取付構造において、前記フィニッシャーは前記インストルメントパネル本体に係止爪で取り付けられていると共に、前記グリル取付部の位置については、前記空調グリルが前記インストルメントパネル本体に対してグリル固定手段で取り付けられていることを特徴とする空調グリル取付構造。
請求項9に記載の空調グリル取付構造において、前記フィニッシャーは前記インストルメントパネル本体に係止爪で取り付けられていると共に、前記グリル取付部の位置については、前記空調グリルが前記インストルメントパネル本体に対してグリル固定手段で取り付けられていることを特徴とする空調グリル取付構造。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、空調グリル取付構造に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
[構成]
図1の全体斜視図に示すインストルメントパネル1は、インストルメントパネル本体2と、このインストルメントパネル本体2の乗員側の面に取り付けられた加飾用のフィニッシャー3(取付部材)とを備えている。このフィニッシャー3は、インストルメントパネル本体2の助手席側の部分の外表面(車室内側の面)に、車幅方向中央から車幅方向右端側へ向かって細長く延びるように取り付けられている。
【0015】
このインストルメントパネル本体2には、
図2に示したように、フィニッシャー3を取り付ける部分の周縁部にほぼ沿って複数の爪取付孔2aが設けられている。また、インストルメントパネル本体2のフィニッシャー3を取り付ける部分の内側には、車幅方向の右端部にグリル挿通孔2bが設けられていると共に、車幅方向の中央部にグリル挿通孔2c,2dが設けられている。グリル挿通孔2dの上方には、グリル取付孔2a′が設けられている。
【0016】
上記したフィニッシャー3は、
図1に示すように(
図6、
図7も併せて参照)、縦壁Wと、この縦壁Wの上縁部の位置に設けられたフランジ部Fとを有している。このフランジ部Fは、縦壁Wの上縁部からインストルメントパネル本体2へ向けて前斜め上方に傾斜するように延びるものとされる。なお、インストルメントパネル本体2およびフィニッシャー3は、複雑な三次元(湾曲)形状を有するものとされている。
【0017】
このフィニッシャー3の裏面は
図3に示すようになっており、縦壁Wの裏面などには複数の係止爪Cpが設けられている。この係止爪Cpを
図2のインストルメントパネル本体2の複数の爪取付孔2aに挿入嵌着することにより、フィニッシャー3は
図1のようにインストルメントパネル本体2に取り付けられる。
【0018】
尚、
図3は
図1のフィニッシャー3を左右反転した状態で裏面側を示したものであり、
図3のフィニッシャー3の右端部が、
図1のフィニッシャー3の左端部に対応する。
【0019】
そして、
図1に示すように、フィニッシャー3の右端部には右側の乗員用の空調グリル4(サイドベンチレータグリル)が取り付けられ、フィニッシャー3の左端部には右側および左側の乗員用の空調グリルユニット5(センターベンチレータグリル)が取り付けられている。
【0020】
このうち、空調グリルユニット5は、左側の乗員用の空調グリル6と、右側の乗員用の空調グリル7とを一体に有するものとされる。これらの空調グリル4,6,7は、インストルメントパネル1内に配設された図示しない空調装置に接続されて、空調されたエアを車室内に吹き出させるためのものである。
【0021】
空調グリル4,6,7を取り付けるために、
図1のフィニッシャー3の縦壁Wの右端部(
図3の左端部)には、
図3の左方に開放する切欠状のグリル取付部3aが形成されている。また、
図1のフィニッシャー3の左端部(インストルメントパネル1の車幅方向中央部側の端部)には、
図4,
図5Aの拡大図に示したように右方(
図1では左方になる)に開放する切欠状のグリル取付部3bが形成されている。グリル取付部3aおよびグリル取付部3bは、入口側よりも奥側が狭くなる切欠状とされている。
【0022】
このうち、グリル取付部3aはインストルメントパネル本体2のグリル挿通孔2bに対応して設けられ、グリル取付部3bはインストルメントパネル本体2のグリル挿通孔2c,2dに対応して設けられている。
【0023】
上記した空調グリル6は、
図6〜
図11に示すようなものであり、主に
図8の断面図に示すように、筒状のグリル本体6aと、このグリル本体6aの乗員側に設けられたエア吹出部6a1と、このエア吹出部6a1に設けられたルーバー6bと、グリル本体6a内に設けられたシャットドア6cとを有する。
【0024】
同様に、空調グリル7は、筒状のグリル本体7aと、このグリル本体7aの乗員側に設けられたエア吹出部7a1と、このエア吹出部7a1に設けられたルーバー7bと、グリル本体7a内に設けられたシャットドア7cとを有する。
【0025】
また、空調グリルユニット5は、エア吹出部6a1,7a1の開口端側に、表面意匠を構成する外周フランジ5aを一体的に有している。この外周フランジ5aは、複雑な三次元形状をしたフィニッシャー3の切欠状をしたグリル取付部3bへ嵌め込んだ状態で、グリル取付部3bの外表面側に当接配置される複雑な三次元形状を有している。
【0026】
以下、空調グリル6,7を備えた空調グリルユニット5の、フィニッシャー3への取付構造について説明する。尚、空調グリル4や空調グリル6,7のフィニッシャー3への取付構造は基本的に同じであるので、空調グリル6,7のフィニッシャー3への取付構造について説明することによって、空調グリル4のフィニッシャー3への取付構造の図示および説明については省略する。
【0027】
この取付構造は、
図5Aに示すような、フィニッシャー3(取付部材)の裏面に設けられたグリル固定部8,8aおよびグリル固定部9,9aと、このグリル固定部8,8aおよびグリル固定部9,9aに対して、
図4に示すように、空調グリル6,7を取り付けるための被取付部10,10aおよび被取付部11,11aと、を有する。
【0028】
(フィニッシャー3のグリル固定部8,8aおよびグリル固定部9,9aについて)
このグリル固定部8,8aには
図5Aに示したようにボスが用いられている。このうち、グリル固定部8は切欠状をしたグリル取付部3bの上縁部に位置させてフィニッシャー3に設けられている。グリル固定部8aはグリル取付部3bの車幅方向における開放端3b1(
図5Aの右端または入口側)とは反対側(奥側)の端部近傍に位置させてフィニッシャー3に設けられている。
【0029】
また、グリル固定部9,9aは、グリル取付部3bの上縁部の車幅方向における両端部近傍(グリル固定部8の両側)に位置させてフィニッシャー3にそれぞれ設けられている。これらのグリル固定部9,9aは、
図5A,
図5Bに示したようにグリル取付孔12aが設けられたグリル取付用のボス12と、空調グリル6をフィニッシャー3に対して位置決めする位置決用突部13(位置決部)とを同時に備えている。尚、グリル固定部8であるボスの先端面とグリル固定部9のボス12の先端面とは同じ高さに設定されている。
【0030】
ここで、上記した空調グリル6,7は、そのエア吹出部6a1,7a1(
図8参照)を切欠状のグリル取付部3b内に
図5Aの開放端3b1側(入口側)から奥側へ向けて挿入することによって設置させるものとしている(グリル挿入方向Ig)。そのため、上記したボス12および位置決用突部13はグリル挿入方向Igに対し、手前側から奥側へ向けて隣接するように並設されている。尚、このグリル挿入方向Igは、筒状のグリル本体6a,7aの軸線とほぼ直交する方向、即ちエア吹出部6a1,7a1のエア吹出方向と交差する方向(ほぼ車幅方向)とされる。
【0031】
そして、上記したグリル固定部9,9aは、車幅方向に延びてボス12に一体に設けられた横リブ14と、横リブ14に対して縦方向に延びる縦リブ15とからなる、十字状のリブ部を有している。この横リブ14と縦リブ15とは、その交差部16(交差部近傍の部分を含む)が、上記した位置決用突部13となるように、ボス12の端面よりも高く突出するように形成されていて(
図10参照)、交差部16以外の部分はボス12の端面と同じ高さに形成されている。
【0032】
しかも、横リブ14には、
図10の横断面図に示したようにボス12側から交差部16へ向けて交差部16の高さに達するまで傾斜する傾斜ガイド部14aと、交差部16とは反対側に位置する位置決段部14bとが形成されている(
図5B参照)。また、縦リブ15には、
図5B,
図11に示したように、交差部16の両側に位置する位置決段部15a,15bが形成されている。
【0033】
(空調グリル6,7の被取付部10,10aおよび被取付部11,11aについて)
図8に示すように、空調グリル6,7のグリル本体6a,7aは、乗員側に上述したエア吹出部6a1,7a1を有している。このうち、エア吹出部6a1の外側面には
図3,
図4の被取付部10,11が設けられ、エア吹出部7a1の外側面には被取付部10a,11aが設けられる。
【0034】
この被取付部10,11は
図5Aのフィニッシャー3のグリル取付部8,9に対応して設けられ、被取付部10a,11aは
図5Aのフィニッシャー3のグリル固定部8a,9aに対応して設けられる。
【0035】
被取付部10,10aは、
図4に示したようにエア吹出部6a1,7a1の外側面に突設した突出片17(グリル保持片)に挿通孔18を設けたものである。尚、
図4は
図3の空調グリル6,7のルーバー6b,7bおよびシャットドア6c,7cを省略すると共に、
図3のグリル固定ネジを取り外した状態で示したフィニッシャーの部分拡大図である。
【0036】
また、被取付部11,11aは、
図8のエア吹出部6a1,7a1の外側面の上縁部(上面)から
図4のように突設されたグリル保持片19をそれぞれ有する。このグリル保持片19は、エア吹出部6a1,7a1と一体に設けられた上方へ延びる厚肉(
図10参照)の基端板部19aと、基端板部19aの先端部から横方向へ向けてほぼ垂直に設けられた薄肉の弾性板部19bとを備えている。
図4に示したようにグリル保持片19をフィニッシャー3の裏面側から見たとき、グリル保持片19は基端板部19aと弾性板部19bとからL字状に形成されている。
【0037】
ここで、空調グリル6,7のグリル取付部3bへ挿入する方向を上述したようにグリル挿入方向Igとすると、弾性板部19bはグリル挿入方向Igと同方向に向けて基端板部19aの先端部から突出させられている。しかも、基端板部19aにはボス12のグリル取付孔12aと合致する挿通孔20が設けられ、弾性板部19bには横リブ14と縦リブ15との交差部16を収容する長方形状のロケート孔21が設けられている。
【0038】
これにより、空調グリル6,7のエア吹出部6a1,7a1をグリル取付部3bへ開放端側から挿入したとき、弾性板部19bがフィニッシャー3側に設けた位置決用突部13の傾斜ガイド部14aにガイドされて撓みながらグリル挿入方向Igと同方向に移動させられる。
【0039】
この移動に伴い、弾性板部19bのロケート孔21が位置決用突部13の交差部16(位置決部)に臨むと、弾性板部19bが自己の弾性力により原状に復帰して、交差部16が
図10,
図11に示したようにロケート孔21に嵌着される(
図4参照)。この位置で、ロケート孔21の車幅方向端縁を
図10に示したように位置決段部14bに当接させると共に、ロケート孔21の上下方向の端縁を
図11に示したように位置決段部15a,15bに殆ど隙間のない状態で臨ませることで、挿通孔20が
図4に示したようにフィニッシャー3側のボス12に一致させられる。この際、空調グリル6,7側に設けられた被取付部10,10aの挿通孔18,18は、フィニッシャー3側のグリル固定部8,8aであるボスに一致させられる。
【0040】
この状態で、
図8,
図10のように挿通孔18にグリル固定ネジ22を挿通し、このグリル固定ネジ22をフィニッシャー3側に設けたグリル固定部8(8a)であるボスに裏面側から螺着する。また、
図10のように挿通孔20にグリル固定ネジ23を挿通し、このグリル固定ネジ23をフィニッシャー3側に設けたグリル固定部9(9a)のボス12に裏面側から螺着する。これらにより、空調グリル6,7のエア吹出部6a1,7a1がフィニッシャー3のグリル取付部3bに取り付けられる。
【0041】
このフィニッシャー3に取り付けられた空調グリル6,7のグリル本体6a,7aをインストルメントパネル本体2のグリル挿通孔2c,2dに挿入して、図示しない空調装置への接続を行わせる。この際、
図8に示すように、グリル本体6a,7aの外周面には弾性保持片24,25が取り付けられている。この弾性保持片24,25は、グリル本体6a,7aをグリル挿通孔2c,2dに挿入する際、傾斜板部24a,25aがグリル挿通孔2c,2dに弾接して撓められる。
【0042】
このような状態で、フィニッシャー3に設けられた上記各係止爪Cpがインストルメントパネル本体2に設けられた上記各爪取付孔2aに嵌着されたとき、グリル本体6a,7aの弾性保持片24,25の傾斜板部24a,25aが自己の弾性力により原状に復帰して、弾性保持片24,25の自由端部に設けられた係止段部24b,25bがインストルメントパネル本体2のグリル挿通孔2c,2cの係合段部2c1,2d1(
図8参照)に係止される。これによりフィニッシャー3がインストルメントパネル本体2に固定される。
【0043】
更に、空調グリル6には、
図2のグリル取付孔2a′に嵌着保持されるグリル取付爪6cp(グリル固定手段)が設けられる。加えて、空調グリル6,7の外周フランジ5aの下縁部には、
図9に示すように、一対の取付片26,26が設けられていて、この取付片26,26に設けたネジ挿通孔26a,26aに車両後方側から固定ネジ(図示せず)を挿通した後、この固定ネジ(図示せず)をインストルメントパネル本体2に螺着することにより、空調グリル6,7の外周フランジ5aの下縁部をインストルメントパネル本体2に固定する。
【0044】
これにより、空調グリル6,7の外周フランジ5aはグリル固定手段であるグリル取付爪6cpおよび固定ネジ(図示せず)でインストルメントパネル本体2に固定されるので、フィニッシャー3の切欠状のグリル取付部3bを設けた部分にインストルメントパネル本体2への固定部を設けることができなくても、フィニッシャー3の切欠状のグリル取付部3bを設けた部分を、空調グリル6,7を介してインストルメントパネル本体2に固定することができる。
【0045】
[実施の形態の作用・効果]
以下に、上記した空調グリル取付構造の作用・効果を、まとめて説明する。
(1)この実施の形態の空調グリル取付構造においては、取付部材(フィニッシャー3)にグリル取付部3bを設け、該グリル取付部3bに空調グリル(6,7)のエア吹出部(6a1,7a1)を取り付けるようにしている。しかも、前記取付部材(フィニッシャー3)に設けた前記グリル取付部3bは、前記空調グリル(6,7)の前記エア吹出部(6a1,7a1)を該エア吹出部(6a1,7a1)の開口方向と交差する方向から挿入可能な切欠状に形成される。前記取付部材(フィニッシャー3)の裏面側には位置決用突部13および取付孔(グリル取付孔12a)が設けられる。前記空調グリル(6,7)には、前記位置決用突部13に外嵌されて位置決保持を行うロケート孔21と、前記取付孔(グリル取付孔12a)に固定される固定手段(グリル固定ネジ23)の挿通孔20とを有するグリル保持片19(
図4参照)が設けられている。このグリル保持片19には、少なくとも前記挿通孔20と前記ロケート孔21との間の位置に、前記エア吹出部(6a1,7a1)を前記グリル取付部3bに対して前記エア吹出部(6a1,7a1)の開口方向と交差する方向から挿入する際に、前記位置決用突部13で部分的に弾性変形させられるようにするヒンジ部19cが設けられている。
【0046】
ここで、グリル保持片19を厚肉の基端板部19aとこの基端板部19aに連設された薄肉の弾性板部19bとから形成して、この基端板部19aと弾性板部19bとの連設部をヒンジ部19cとしてもよい。また、ロケート孔21を設けた部分と挿通孔20とを設けた部分とを分けるようにグリル保持片19に区画溝を設けて、このグリル保持片19の区画溝を設けた部分を薄肉とすることにより、この薄肉の部分をヒンジ部19cとしてもよい。
【0047】
この構成によれば、デザイン上、取付部材(フィニッシャー3)のグリル取付部3bを切欠状(特に、上辺のみに細い桟状部分を有する切欠状など)に形成しても、空調グリル(6,7)におけるグリル本体(6a,7a)のエア吹出部(6a1,7a1)を取付部材(フィニッシャー3)に安定保持させることができる。
【0048】
即ち、空調グリル(6,7)を取付部材(フィニッシャー3)に組み付ける際に、空調グリル(6,7)を取付部材(フィニッシャー3)のグリル取付部3bに前記エア吹出部(6a1,7a1)の開口方向と交差する方向から挿入することにより、弾性板部(19b)が位置決用突部13により自己の弾性力に抗して撓められた後、ロケート孔21が位置決用突部13に臨むと、弾性板部19bが自己の弾性力により原状に復帰する。
【0049】
これにより、位置決用突部13が弾性板部19bのロケート孔21に嵌着されて、空調グリル(6,7)が取付部材(フィニッシャー3)に対して位置決めされると共に、(互いに複雑な三次元形状をしている)空調グリル(6,7)が取付部材(フィニッシャー3)のグリル取付部3bに嵌まって空調グリル(6,7)の外周フランジ5aとグリル保持片19との間に取付部材(フィニッシャー3)が位置することで相互に拘束し合うことにより、取付部材(フィニッシャー3)に空調グリル(6,7)が仮保持される。この際、例えば、グリル取付部3bを入口側よりも奥側が(極く僅かに)狭くなる切欠状のものとすることにより、楔嵌め効果を利用して、空調グリル(6,7)と取付部材(フィニッシャー3)との相互に拘束力を高めることが可能となる。そして、この状態で、グリル保持片19の挿通孔20に取付部材(グリル固定ネジ23)を背面側から挿通し、この取付部材(グリル固定ネジ23)を取付部材(フィニッシャー3)側に設けたグリル取付部9(9a)の取付孔(グリル取付孔12a)に取り付けることにより、空調グリル(6,7)のエア吹出部(6a1,7a1)が取付部材(フィニッシャー3)のグリル取付部3bに取り付けられる。
【0050】
このように空調グリル(6,7)を取付部材(フィニッシャー3)に組み付ける際に、取付部材(フィニッシャー3)の位置決用突部13をグリル保持片19の挿通孔20に嵌合(係合)させることにより、グリル保持片19と外周フランジ5aとの間で取付部材(フィニッシャー3)を保持(挟持)させることで、空調グリル(6,7)のエア吹出部(6a1,7a1)をグリル保持片19と外周フランジ5aとで取付部材(フィニッシャー3)に簡単且つ迅速に仮保持させることができる。
【0051】
そして、この仮保持状
態で、グリル保持片19の挿通孔20に取付部材(グリル固定ネジ23)を挿通して、この取付部材(グリル固定ネジ23)を取付孔(グリル取付孔12a)に挿入固定(螺着)させることにより、空調グリル(6,7)のエア吹出部(6a1,7a1)を取付部材(フィニッシャー3)のグリル取付部3b)に確実に安定保持させることができる。
【0052】
(2)また、この実施の形態の空調グリル取付構造において、前記グリル保持片19は、前記空調グリル(6,7)のエア吹出部(6a1,7a1)の外側面に一体に設けられた厚肉の基端板部19aと、該基端板部19aの先端部から前記グリル取付部3bへの挿入方向に延びる薄肉の弾性板部19bとを備えている。そして、前記基端板部19aに前記挿通孔20が設けられ、前記弾性板部19bに前記ロケート孔21が設けられていると共に、前記ヒンジ部19cは前記弾性板部19bの前記基端板部19aへの連設部に設けられている。
【0053】
この構成によれば、弾性板部19bは、ヒンジ部19cによって前記基端板部19aへの連設部から先端までの部分が撓み易くなるので、空調グリル(6,7)をグリル挿入方向Igからグリル取付部3bに挿入したときに、グリル保持片19の弾性板部19bは位置決用突部13により全体が弾性変形させられた後、ロケート孔21が位置決用突部13に臨んだときに、弾性板部19bは全体が自己の弾性力により平板状に復帰して、弾性板部19bのロケート孔21が位置決用突部13に容易に外嵌される。
【0054】
(3)更に、この実施の形態の空調グリル取付構造において、前記取付部材はインストルメントパネル本体2に取り付けられたフィニッシャー3とされる。
【0055】
この構成によれば、空調グリル(6,7)を、フィニッシャー3を介してインストルメントパネル本体2に容易に取り付けることができる。
【0056】
(4)また、この実施の形態の空調グリル取付構造において、前記フィニッシャー3は縦壁Wと、該縦壁Wの上縁部に設けられて、前記インストルメントパネル本体2側へ延びるフランジ部Fとを有すると共に、前記グリル取付部3bは前記フランジ部Fを残して前記縦壁Wを切り欠くことによって形成したものである。
【0057】
この構成によれば、フィニッシャー3の上下方向の寸法を、空調グリル(6,7)の上下方向の寸法とほぼ同じ高さにまで縮小することができる。これにより、フィニッシャー3のデザイン自由度を向上して、フィニッシャー3のデザインを空調グリル(6,7)の形状等に応じて自在に設計することができる。しかも、フィニッシャー3のフランジ部Fが空調グリル(6,7)の外周フランジ5aと弾性保持片24,25との間で保持できる状態でなくても、空調グリル(6,7)をフィニッシャー3に取り付けることができる。
【0058】
(5)また、この実施の形態の空調グリル取付構造において、前記フィニッシャー3はインストルメントパネル本体2に係止爪Cpで取り付けられていると共に、前記グリル取付部3bが設けられた位置については前記空調グリル(6,7)が前記インストルメントパネル本体2にグリル固定手段(グリル取付爪6cpや固定ネジ(図示せず)など)で取り付けられている。
【0059】
この構成によれば、グリル取付部3bが切欠状であっても、空調グリル(6,7)を固定したフィニッシャー3を、フィニッシャー3に設けた係止爪Cpによりインストルメントパネル本体2に取り付けると共に、グリル取付部3bが設けられた位置については空調グリル(6,7)をインストルメントパネル本体2にグリル固定手段(グリル取付爪6cpや固定ネジなど)で取り付けることにより、フィニッシャー3および空調グリル(6,7)をインストルメントパネル本体2に安定した状態で固定できる。