特許第6266775号(P6266775)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6266775
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】航空機エンジンパイロン
(51)【国際特許分類】
   B64D 27/26 20060101AFI20180115BHJP
   B64D 29/02 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   B64D27/26
   B64D29/02
【請求項の数】10
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-528285(P2016-528285)
(86)(22)【出願日】2013年7月26日
(65)【公表番号】特表2016-527134(P2016-527134A)
(43)【公表日】2016年9月8日
(86)【国際出願番号】CN2013080165
(87)【国際公開番号】WO2015010315
(87)【国際公開日】20150129
【審査請求日】2016年7月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】310022132
【氏名又は名称】エムアールエイ・システムズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】カン,ヤンシアン
(72)【発明者】
【氏名】ユアン,ミンチャオ
(72)【発明者】
【氏名】ファン,シューリャン
【審査官】 諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0266933(US,A1)
【文献】 特開平11−082432(JP,A)
【文献】 特開2009−284661(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0286125(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0133376(US,A1)
【文献】 米国特許第05927644(US,A)
【文献】 特開平01−131355(JP,A)
【文献】 特開2001−146200(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0231679(US,A1)
【文献】 実開昭57−190108(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0036942(US,A1)
【文献】 英国特許出願公開第02013786(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 27/26
B64D 29/00−29/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部連結具(18)と、
前記上部連結具(18)の下に配置された上部パネル(14)と、
前記上部連結具(18)と前記上部パネル(14)とを少なくとも部分的に連結するシヤーピン(20)と、
前記上部連結具(18)と前記上部パネル(14)とを少なくとも部分的に連結する第1及び第2の張力締結具(22)と
前記上部パネル(14)と前記上部連結具(18)との間の回転を防止するために、前記上部パネル(14)と前記上部連結具(18)との間を連結する回転防止ピンと、
前記上部連結具(18)を航空機の翼(4)に連結する上部リンク(19)と、
を備える航空機エンジンパイロン(10)であって、
前記シヤーピン(20)が、前記上部連結具(18)と前記上部リンク(19)との連結部よりも、航空機のエンジンの軸に沿った前方に位置付けられ、
前記第1の張力締結具(22)が、前記シヤーピン(20)よりも、前記エンジンの軸に沿った前方に位置付けられ、
前記第2の張力締結具(22)が、前記シヤーピン(20)よりも、前記エンジンの軸に沿った後方に位置付けられ、
前記回転防止ピンと前記シヤーピン(20)とが、前記エンジンの軸に沿って互いに離れて位置付けられ、
前記シヤーピン(20)が前記上部連結具(18)と前記上部パネル(14)との間で作用するせん断力の一次的なせん断力荷重経路を規定し、前記第1及び第2の張力締結具(22)が前記上部連結具(18)と前記上部パネル(14)との間で作用する張力の一次的な張力荷重経路を規定する、航空機エンジンパイロン(10)。
【請求項2】
前記航空機エンジンパイロン(10)が、取り付けシステム(8)により、前記エンジン (2)に連結される、請求項1に記載の航空機エンジンパイロン(10)。
【請求項3】
前記上部パネル(14)連結されている少なくとも1つのフレームをさらに備える、請求項1または2に記載の航空機エンジンパイロン(10)。
【請求項4】
前記上部パネル(14)と連結された1対の離間フレームをさらに備える、請求項3に記載の航空機エンジンパイロン(10)。
【請求項5】
前記上部連結具(18)が、前記離間フレーム(16)の間の位置で、前記上部パネル(14)の上部表面連結されている、請求項4に記載の航空機エンジンパイロン(10)。
【請求項6】
前記上部連結具(18)が、前記上部パネル(14)連結されている前記離間フレーム(16)のそれぞれの少なくとも一部と重なる位置で前記上部パネル(14)連結されている、請求項4に記載の航空機エンジンパイロン(10)。
【請求項7】
前記第1及び第2の張力締結具(22)が、それぞれの対応する前記離間フレーム(16)連結されている、請求項6に記載の航空機エンジンパイロン(10)。
【請求項8】
前記上部パネル(14)が、前記シヤーピン(20)の周囲に強化構造をさらに備える、請求項1乃至7のいずれかに記載のエンジンパイロン(10)。
【請求項9】
前記上部パネル(14)と前記上部連結具(18)が、前記シヤーピン(20)が挿入されるための対応するピン穴(30)を含み、前記ピン穴(30)が、前記シヤーピン(20)が前記ピン穴(30)を押すような大きさである、請求項1乃至8のいずれかに記載の航空機エンジンパイロン(10)。
【請求項10】
前記上部パネル(14)および前記上部連結具(18)が、前記第1及び第2の張力締結具(22)が貫通するための対応する締結穴(32)を有し、隙間嵌めが形成されるように、前記締結穴(32)が、前記第1及び第2の張力締結具(22)が貫通する部分よりも大きい、請求項9に記載の航空機エンジンパイロン(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は航空機エンジンパイロンに関する。
【背景技術】
【0002】
現代の航空機は、エンジンを航空機の翼に支持するためのパイロン構造を含むことがある。現代のエンジンパイロンはフレーム、縦通材、およびスキンを含む多くの別個の部品から形成されており、それらが互いに組み合わされることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許出願公開第102774502号明細書
【発明の概要】
【0004】
本発明は、一態様において、上部連結具と、上部連結具の下に位置する上部パネルと、上部連結具および上部パネルを少なくとも部分的に連結するシヤーピンと、上部連結具および上部パネルを少なくとも部分的に連結する張力締結具とを備える航空機エンジンパイロンであって、シヤーピンが上部連結具および上部パネルの間で作用するせん断力の、一次的なせん断力荷重経路を規定し、かつ張力締結具が上部連結具と上部パネルとの間に作用する張力の、一次的な張力荷重経路を規定する、航空機エンジンパイロンに関する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】エンジンと、一部が仮想線で示されているパイロンを含む航空機の概略図である。
図2図1の航空機エンジンパイロンの一部の斜視図である。
図3図1の航空機エンジンパイロンの一部の側面図である。
図4図1の航空機エンジンパイロンの一部の断面図である。
図5図1の航空機エンジンパイロンの一部の斜視図である。
図6】代替的な航空機エンジンパイロンの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
【0007】
図1は航空機の翼4にエンジン2を固定するためのエンジンパイロン10を示す。ナセル6がエンジン2を取り囲んでいることを明らかにするために、ナセル6は一部切り欠いて示されている。取り付けシステム8は、エンジン2と翼4の間に、動作可能にエンジンパイロン10を連結するために使用されてもよい。取り付けシステム8は懸架構造および他の連結具を含んでもよい。図示されているのは商用航空機だが、本発明の実施形態は、いかなる種類の航空機において使用され得ると考えられる。さらに、エンジンパイロン10は、エンジン2の上部を翼4の前縁および下面に連結するものとして示されているが、他の取り付け構造および取り付けシステムが使われてもよい。
【0008】
図2は、エンジンパイロン10が上部パネル14を有する本体12を含むことをより明確に示す。本体12は、フレーム11、縦通材13、およびスキン15を含みうる方法を含めた任意の適切な方法で形成され得る。上部パネル14はスキン15により形成されてもよく、フレーム11の少なくとも1つが上部パネル14と動作可能に連結されてもよい。スキン15は、ベイ17の1つ以上を少なくとも部分的に取り囲むためにフレーム11に設けられてもよく、かつ1つ以上の部品から形成されてもよい。
【0009】
図3は、1対の離間フレーム16が上部パネル14と連結されていることがより明確に分かるように、エンジンパイロン10の一部を示す。さらに、上部連結具18はエンジンパイロン10に含まれていてもよく、上部パネル14の上方に配置されていてもよい。上部連結具18は、動作可能に上部リンク19と連結されて取り付けシステム8の一部を形成してもよく、エンジン2と翼4との間にエンジンパイロン10を動作可能に連結するために使用されてもよい。上部連結具18も、上部パネル14と動作可能に連結されていてもよい。この動作可能な連結には、シヤーピン20が少なくとも部分的に上部連結具18および上部パネル14を連結し得ることが含まれる。シヤーピン20は、上部連結具18と上部パネル14との間に作用する一次的なせん断力荷重経路を規定する場合がある。せん断力は矢印21で図示されており、シヤーピン上で逆方向に押しあう、同一直線上にない力である。シヤーピン20は上部連結具18から離間しているものとして示されているが、シヤーピン20は上部連結具18と一体に形成されてもよい。
【0010】
さらに張力締結具22も、少なくとも部分的に上部連結具18と上部パネル14とを連結してもよい。上部連結具18と上部パネル14とを連結するために、任意の数の張力締結具22が含まれていてもよい。エンジンパイロン10においては、張力締結具22は上部連結具18の基部の周囲に位置しているものとして描かれている。さらに、上部連結具18は、上部パネル14に動作可能に連結されている離間フレーム16の各部分が少なくなくとも一部重なる位置で、上部パネル14の上部表面に動作可能に連結されてもよいが、そうである必要はない。そのような場合、張力締結具22も離間フレーム16を動作可能に連結してもよい。張力締結具22は、上部連結具18と上部パネル14との間で作用する張力の一次張力荷重経路を規定する場合がある。張力もしくは引張力は、矢印23で模式的に示されており、張力締結具22上の引く力である。
【0011】
回転防止ピン24も、上部パネル14と上部連結具18との間に動作可能に連結されるものとして示されている。回転防止ピン24は、上部パネル14および上部連結具18が互いに対してシヤーピン20を中心に回転しないようにすることで、上部パネル14と上部連結具18との間の回転を防止することができる。
【0012】
図4に示している通り、シヤーピン20、張力締結具22、および回転防止ピン24を収容する穴は、上部連結具18および上部パネル14のそれぞれに形成されていてもよい。より詳細には、上部連結具18および上部パネル14は、挿入されるシヤーピン20用のピン穴30に対応するものとして示されている。せん断荷重がある場合にせん断荷重をシヤーピン20に伝達させるように、上部連結具18および上部パネル14がシヤーピン20を係合するように、ピン穴30は、シヤーピン20がピン穴30を押すような大きさで形成されていてもよい。さらに、上部連結具18と上部パネル14は、張力締結具22が貫通するための、対応する締結穴32を含んでもよい。締結穴32は、隙間嵌めが形成されるように、張力締結具22の貫通する部分よりも大きく示されている。
【0013】
図5は、上部パネル14の下側であって、上部連結具18の下に位置している部分を示す。上部パネル14は、シヤーピン20の周囲の補強構造40を含むものとして示されている。補強構造40は、シヤーピン20の周囲のさらなる支持を提供するために任意の適切な方法で形成されてよい。
【0014】
運転中は、シヤーピン20が張力を伝達せず、かつ、張力締結具22がせん断荷重を伝達しないように、張力締結具22およびシヤーピン20のそれぞれが張力荷重とせん断荷重に耐えている。これは、張力締結具22と締結穴32との間の隙間が、シヤーピン20とピン穴30との間の隙間よりも大きいためである。したがって、せん断荷重または水平のずれ傾向が存在しているとき、歪みが隙間よりも小さい限りでせん断荷重が張力締結具22へと伝達されないため、上部連結具18および上部パネル14がシヤーピン20を固定することになる。代替的に、シヤーピン20は一次的なせん断力荷重経路を残しながら一部の張力を伝達するように設計されてもよく、かつ/または張力締結具22は一次的な張力荷重経路を残しながらせん断力の一部を伝達するように設計されてもよい。
【0015】
図6は代替的なエンジンパイロン110を示す図である。エンジンパイロン110は先に述べたエンジンパイロン10と同様であるため、類似の部品は100を加えた類似の番号で示され、エンジンパイロン10の類似の部品に関する説明は、別段の指定がない限りエンジンパイロン110に適用できるものと理解される。1つの相違は、エンジンパイロン110が回転防止ピンを含まないことである。もう1つの相違は、上部連結具118が、離間フレーム116の間の位置で上部パネル114と動作可能に連結されているものとして示されることである。このようにして、張力締結具122は、離間フレーム116と動作可能に連結されていない。運転中、シヤーピン120は、上部連結具118と上部パネル114との間に作用するせん断力の一次的なせん断力荷重経路を規定し、張力締結具122は、上部連結具118と上部パネル114との間に作用する張力の一次的な張力荷重経路を規定する。
【0016】
上記の実施形態は、シヤーピンが上部連結具と上部パネルとの間に作用するせん断力の一次的なせん断力荷重経路を規定し、張力締結具が上部連結具と上部パネルとの間に作用する張力の一次的な張力荷重経路を規定することにより、多様な利点を提供する。多様な利点には、実施形態が優れた疲労特性を許容することが含まれる。現代のエンジンパイロンでは、上部連結具と上部パネルとの間の締結具が、高張力と高せん断荷重の両方に耐える場合がある。その結果、締結具の疲労寿命が著しく低下する。
【0017】
まだ説明していない範囲には、さまざまな実施形態の異なる特徴および構造が、必要に応じて互いと組み合わされて用いられてもよい。一つの特徴がすべての実施形態において示されてはいないかもしれないが、それは、その特徴が存在しないと解釈されるべきだということを意味するわけではなく、説明の簡略化のためになされたことである。したがって、異なる実施形態の、さまざまな特徴が必要に応じて混合され、合わせられて新たな実施形態を形成することができる。これらの新たな実施形態は明示的に説明されているか否かを問わない。本明細書で説明される特徴のすべての組み合わせまたは置換は、本開示に含まれる。
【0018】
本明細書は、発明を開示するため、かつ、装置やシステムの製造および使用、または組み込まれる方法の実施を含む、当業者による発明の実施を可能にするために、最良の形態を含む例を用いている。本発明の特許可能な範囲は、請求項によって定義されており、かつ当業者が思いつく他の例を含みうる。このような他の例は、それらが請求項の文言と異ならない構成要素を含む場合、あるいは、それらが請求項の文言と実質的な差異のない均等な構成要素を含む場合には、請求の範囲内にあると意図される。
【符号の説明】
【0019】
2 エンジン
4 翼
6 ナセル
8 取り付けシステム
10 エンジンパイロン
11 フレーム
12 本体
13 縦通材
14 上部パネル
15 スキン
16 離間フレーム
17 ベイ
18 上部連結具
19 上部リンク
20 シヤーピン
22 張力締結具
24 回転防止ピン
30 ピン穴
32 締結穴
40 補強構造
110 代替的なエンジンパイロン
114 上部パネル
116 離間フレーム
118 上部連結具
120 シヤーピン
122 張力締結具
図1
図2
図3
図4
図5
図6