(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6266779
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】リードレス心臓ペーシングデバイス及び同デバイスを含むシステム
(51)【国際特許分類】
A61N 1/362 20060101AFI20180115BHJP
A61N 1/05 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
A61N1/362
A61N1/05
【請求項の数】16
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-534609(P2016-534609)
(86)(22)【出願日】2014年8月6日
(65)【公表番号】特表2016-527991(P2016-527991A)
(43)【公表日】2016年9月15日
(86)【国際出願番号】US2014049914
(87)【国際公開番号】WO2015023488
(87)【国際公開日】20150219
【審査請求日】2016年2月22日
(31)【優先権主張番号】61/866,799
(32)【優先日】2013年8月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505003528
【氏名又は名称】カーディアック ペースメイカーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ハースル、ベンジャミン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】サックス、ダナ
(72)【発明者】
【氏名】マイレ、キース アール.
【審査官】
石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0172892(US,A1)
【文献】
特表2010−540082(JP,A)
【文献】
実開平02−088666(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/362
A61N 1/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋込み可能なリードレスペーシングデバイスであって、
ハウジングを備えるペーシングカプセルであって、該ハウジングが近位領域および遠位領域を有する前記ペーシングカプセルと、
前記遠位領域に沿って配置されている第1電極と、
前記遠位領域の外周に互いに離間して配置されている複数の係止部材であって、各係止部材は湾曲部と基部領域とを含み、かつ前記基部領域の各々が前記遠位領域に結合されている、前記複数の係止部材と、を備え、
前記複数の係止部材は、第1の形態と配置される形態との間で移行可能であり、かつ、前記各係止部材の湾曲部は、前記配置される形態であるときに、湾曲部の複合体を有する領域を含み、前記湾曲部の複合体を有する領域は、第1の方向に配向される第1湾曲部分と、前記第1の方向とは反対の方向である第2の方向に配向されている第2湾曲部分と、を有し、
前記各係止部材の少なくとも一部は、前記第1の形態及び前記配置される形態のいずれにおいても、前記遠位領域の遠位側に延びている、埋込み可能なリードレスペーシングデバイス。
【請求項2】
直線状領域が前記第1湾曲部分と前記第2湾曲部分との間に配置されている請求項1に記載の埋込み可能なリードレスペーシングデバイス。
【請求項3】
前記複数の係止部材の各々は尖った先端部分を備える請求項1に記載の埋込み可能なリードレスペーシングデバイス。
【請求項4】
前記第1湾曲部分、前記第2湾曲部分、または前記第1湾曲部分と前記第2湾曲部分との双方は、前記複数の係止部材が目的組織内に延びる場合に、前記複数の係止部材を前記第1電極から側方に離間するように移動させる請求項1に記載の埋込み可能なリードレスペーシングデバイス。
【請求項5】
前記第1湾曲部分、前記第2湾曲部分、または前記第1湾曲部分と前記第2湾曲部分との双方は、変化する曲率半径を有する請求項1に記載の埋込み可能なリードレスペーシングデバイス。
【請求項6】
埋込み可能なリードレスペーシングデバイスシステムであって、前記システムは、
近位部分、遠位保持部分、ならびに該近位部分および遠位保持部分内に構成されている内腔を有する送達カテーテルと、
前記内腔内に摺動可能に配置されている押圧部材と、
前記遠位保持部分内に摺動可能に受容されるリードレスペーシングデバイスと、を備え、
前記リードレスペーシングデバイスは、
近位領域および遠位領域を有するハウジングと、
前記遠位領域に沿って配置されている第1電極と、
前記遠位領域の外周に互いに離間して配置されている複数の係止部材であって、前記複数の係止部材の各々が湾曲部と基部領域とを含み、かつ前記基部領域の各々が前記遠位領域に結合されている、複数の係止部材と、を備え、
前記複数の係止部材の各々は第1の形態と第2の形態との間で移行可能であり、前記第1の形態は前記リードレスペーシングデバイスが前記遠位保持部分内に配置されるときの形態であり、前記第2の形態は前記リードレスペーシングデバイスが前記遠位保持部分から進出するときの形態であり、
前記遠位保持部分は長手方向軸線を有し、
前記複数の係止部材は、同複数の係止部材が前記第1の形態であるときに、前記長手方向軸線に略平行に配置され、
前記複数の係止部材の各々は、同複数の係止部材が前記第2の形態であるときに、湾曲部の複合体を有する領域を備え、
前記複数の係止部材の各々の少なくとも一部は、前記第1の形態及び前記第2の形態のいずれにおいても、前記遠位領域の遠位側に延びている、埋込み可能なリードレスペーシングデバイスシステム。
【請求項7】
前記湾曲部の複合体を有する領域は第1湾曲部分および第2湾曲部分を備える請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1湾曲部分は第1の方向に配向され、前記第2湾曲部分は、前記第1の方向とは異なる第2の方向に配向される請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の方向は前記第2の方向とは反対の方向である請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記複数の係止部材が前記第1の形態であるときに、前記複数の係止部材の各々の当接部分は、前記遠位保持部分の内壁面に当接する請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記当接部分は前記複数の係止部材の各々の遠位端の近位に配置されている請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記当接部分は、前記複数の係止部材の各々の前記遠位端と前記遠位端の近位に配置される地点との間に延びている請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1湾曲部分、前記第2湾曲部分、または前記第1湾曲部分と前記第2湾曲部分との双方は、前記複数の係止部材の各々が心臓組織内に延びる場合に、前記複数の係止部材の各々を前記第1電極から側方に離間するように移動させる請求項7に記載のシステム。
【請求項14】
埋込み可能なリードレスペーシングデバイスシステムであって、前記システムは、
近位部分、遠位保持部分、ならびに該近位部分および遠位保持部分内に構成されている内腔を有する送達カテーテルと、
前記内腔内に摺動可能に配置されている押圧部材と、
前記遠位保持部分内に摺動可能に受容されるリードレスペーシングデバイスと、を備え、
前記リードレスペーシングデバイスは、
近位領域および遠位領域を有するハウジングと、
前記遠位領域に沿って配置されている第1電極と、
前記遠位領域の外周に互いに離間して配置されている複数の係止部材であって、前記複数の係止部材の各々が湾曲部と基部領域とを含み、かつ前記基部領域の各々が前記遠位領域に結合されている、複数の係止部材と、を備え、
前記複数の係止部材の各々は第1の形態と第2の形態との間で移行可能であり、前記第1の形態は前記リードレスペーシングデバイスが前記遠位保持部分内に配置されるときの形態であり、前記第2の形態は前記リードレスペーシングデバイスが前記遠位保持部分から進出するときの形態であり、
前記複数の係止部材が前記第1の形態であるときに、前記複数の係止部材の各々の当接部分は、前記遠位保持部分の内壁面に当接し、
前記当接部分は前記複数の係止部材の各々の遠位端の近位に配置されており、
前記複数の係止部材の各々は、同複数の係止部材が前記第2の形態であるときに、湾曲部の複合体を有する領域を備える埋込み可能なリードレスペーシングデバイスシステム。
【請求項15】
前記湾曲部の複合体を有する領域は第1湾曲部分および第2湾曲部分を有する請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1湾曲部分は第1の方向に配向され、前記第2湾曲部分は、前記第1の方向とは反対の方向である第2の方向に配向されている請求項15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療デバイス、および、医療デバイスを製造する方法に関する。より詳細には、本開示は、リードレス心臓ペーシングデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
医学的用途、例えば心臓に用いられる多種多様な医療デバイスが開発されている。これらのデバイスのうちのいくつかは、カテーテル、リード線、ペースメーカー等を含む。これらのデバイスは、種々の異なる製造方法のうちのいずれか1つによって製造され、種々の方法のうちのいずれか1つに従って使用することができる。既知の医療デバイスおよび方法のうち、それぞれが特定の利点および不都合点を有する。代替的な医療デバイス、ならびに、医療デバイスを製造および使用する代替的な方法を提供することが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、医療デバイスの設計、材料、製造方法および使用の代替案を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
例示的な医療デバイスは、埋込み可能なリードレスペーシングデバイスを備える。埋込み可能なリードレスペーシングデバイスはペーシングカプセルを備える。ペーシングカプセルはハウジングを備える。ハウジングは近位領域および遠位領域を有する。第1電極が遠位領域に沿って配置される。1つ以上の係止部材は遠位領域に結合される。各係止部材は湾曲部の複合体を有する領域を含む。
【0005】
埋込み可能なリードレスペーシングデバイスシステムは、近位部分、遠位保持部分、ならびに近位部分および遠位保持部分内に構成されている内腔を有する送達カテーテルを備える。押圧部材が内腔内に摺動可能に配置されている。リードレスペーシングデバイスが遠位保持部分内に摺動可能に受容される。リードレスペーシングデバイスは、近位領域および遠位領域を有するハウジングを備える。第1電極が遠位領域に沿って配置される。第1の係止部材を含む複数の係止部材は遠位領域に結合される。第1の係止部材は第1の形態と第2の形態との間で移行可能であり、第1の形態はリードレスペーシングデバイスが遠位保持部分内に配置されるときの形態であり、第2の形態はリードレスペーシングデバイスが遠位保持部分から進出するときの形態である。遠位保持部分は長手方向軸線を有する。第1の係止部材は、第1の形態であるときに、長手方向軸線に略平行に配置される。第1の係止部材は、第2の形態であるときに、湾曲部の複合体を有する領域を備える。
【0006】
別の例示的な埋込み可能なリードレスペーシングデバイスシステムは、近位部分、遠位保持部分、ならびに近位部分および遠位保持部分内に構成されている内腔を有する送達カテーテルを備える。押圧部材が内腔内に摺動可能に配置されている。リードレスペーシングデバイスが遠位保持部分内に摺動可能に受容される。リードレスペーシングデバイスは、近位領域および遠位領域を有するハウジングを備える。第1電極が遠位領域に沿って配置されている。第1の係止部材を含む複数の係止部材は遠位領域に結合される。第1の係止部材は第1の形態と第2の形態との間で移行可能であり、第1の形態はリードレスペーシングデバイスが遠位保持部分内に配置されるときの形態であり、第2の形態はリードレスペーシングデバイスが遠位保持部分から進出するときの形態である。第1の係止部材が第1の形態であるときに、第1の係止部材の当接部分は遠位保持部分の内壁面に当接する。当接部分は第1の係止部材の遠位端の近位に配置されている。第1の係止部材は、第2の形態であるときに、湾曲部の複合体を有する領域を備える。
【0007】
いくつかの実施形態の上記概要は、各開示される実施形態または本開示の全ての実施態様を記載することを意図しない。以下の図面および詳細な説明は、これらの実施形態をより詳細に例示する。
【0008】
本開示は、添付の図面と関連して以下の詳細な説明を考慮してより完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】心臓内に埋め込まれた例示的なリードレスペーシングデバイスの平面図である。
【
図2】例示的なリードレスペーシングデバイスの斜視図である。
【
図4】心臓組織に近接して配置される例示的な医療デバイスシステムの部分縦断面図である。
【
図5】心臓組織に取り付けられる例示的なリードレスペーシングデバイスの部分縦断面図である。
【
図6】心臓組織に近接して配置される別の例示的な医療デバイスシステムの部分縦断面図である。
【
図7】心臓組織に近接して配置される別の例示的な医療デバイスシステムの部分縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は種々の変更形態および代替的な形態に従うことが可能であるが、その詳細は、図面に例として示されており、詳細に説明される。しかし、本発明を記載された特定の実施形態に限定することを意図しないことを理解されたい。それどころか、本開示の趣旨および範囲にある全ての変更形態、均等物および代替形態を包含することを意図する。
【0011】
以下で定義される用語に関して、これらの定義は、異なる定義が特許請求の範囲または本明細書の他の箇所において与えられない限り、適用されるものとする。
本明細書において、全ての数値は、明示されているか否かにかかわらず、「約」という用語によって修飾されるとみなされる。「約」という用語は、概して、記載されている値と同等である(すなわち、同じ機能または結果を有する)と当業者がみなすある範囲の数字を指す。多くの場合、「約」という用語は、有効数字に四捨五入される最も近い数字を含むことができる。
【0012】
端点による数字の範囲の列挙は、その範囲内の全ての数字を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)。
「1つの(「a」、「an」)」および「前記(「the」)」という単数形は、本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる場合、その内容に別段はっきりとしたが指示ない限り、複数の指示対象を含む。「または」という用語は、本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる場合、その内容に別段はっきりとした指示がない限り、概して「〜および〜の少なくとも一方」を含む意味で用いられる。
【0013】
なお、本明細書における、「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」等への言及は、記載される実施形態が、1つ以上の特定の特徴、構造や特性を含み得ることを示す。ただし、これらの言及は、全ての実施形態がその特定の特徴、構造や特性を含むことを必ずしも意味するものではない。さらに、特定の特徴、構造や特性が一実施形態との関連で記載される場合、相反することがはっきりと記載されない限り、明示記されるか否かにかかわらず、そのような特徴、構造や特性が他の実施形態との関連においても使用され得ることは理解されるべきである。
【0014】
以下の詳細な説明は、図面を参照して読まれるべきであり、種々の図において同様の要素には同一の参照番号を付す。必ずしも縮尺通りではない図面は、例示した実施形態を図示し、本発明の権利範囲を限定することを意図しない。
【0015】
心臓ペースメーカーは心臓組織に電気刺激を与えることで心臓を収縮させ、これにより血管系を通って血液が送り出される。従来のペースメーカーは典型的に、皮下または筋肉下に埋め込まれたパルス発生器から、心室の内側の壁または外側の壁に近接して配置される電極まで延びる電気リード線を備える。従来のペースメーカーの代わりに、内蔵型心臓ペースメーカーやリードレス心臓ペースメーカーが提案されている。リードレス心臓ペースメーカーは、心室において心臓内の埋込み部位に固定され得る比較的小型のカプセルの形状をしていてもよい。拍動する心臓内にリードレスペーシングデバイスを埋込むことは、心臓が動いているときに取り除かれる可能性があることが容易に理解され得る。したがって、心臓へのペーシングデバイスの固定を補助するためにリードレスペーシングデバイスが係止機構および1つ以上の係止部材の少なくとも一方を備えることが望まれている。
【0016】
図1は、例えば右心室RVのような心臓Hの室に埋め込まれる例示的なリードレス心臓ペーシングデバイス10を示す。デバイス10は、遠位領域14および近位領域16を有するシェルまたはハウジング12を備えることができる。1つ以上の係止部材18を遠位領域14に近接して配置してもよい。デバイス10を心臓Hの壁組織に取り付けるために、あるいは他の態様で埋込み可能なデバイス10を患者の人体に係止するために係止部材18を用いてもよい。ドッキング部材20をハウジング12の近位領域16に近接して配置してもよい。埋込み可能なデバイス10の送達および回収の少なくとも一方を容易にするためにドッキング部材20を用いてもよい。
【0017】
図2は、デバイス10の斜視図である。この図から、ドッキング部材20がハウジング12の近位領域16から延びていてもよいことが理解され得る。少なくともいくつかの実施形態では、ドッキング部材20は、頭部22およびハウジング12と頭部22との間を延びる首部24を備えていてもよい。頭部22は送達カテーテルおよび回収カテーテルの少なくとも一方と係合可能であってもよい。例えば、患者からデバイス10を回収することが望まれる場合、デバイス10に近接する位置まで回収カテーテルを前進させることができる。例えばスネア、テザー、アーム、または他の好適な構造の回収機構が回収カテーテルから延び、頭部22と係合してもよい。好適に係合した場合に、デバイス10が心臓組織から引き出され、最終的に患者から取り除かれてもよい。
【0018】
埋込み可能なデバイス10は、ハウジング12の遠位領域14に近接して配置される第1電極26を備えることができる。また、第2電極28がハウジング12に沿って規定されていてもよい。例えば、ハウジング12は導電材料を備えていてもよく、ハウジング12の長さ部分に沿って絶縁されていてもよい。近位領域16に沿った部分は、第2電極28を規定するように絶縁体がなくてもよい。電極26,28は、電気療法および検知能力の少なくとも一方を実現するために検知電極およびペーシング電極の少なくとも一方であってもよい。第1電極26は、心臓Hの心臓組織に当接して配置することや、他の態様で心臓Hの心臓組織に密着して配置することが可能であってもよく、一方で第2電極28は、第1電極26から離間されることによって心臓組織から離間されていてもよい。
【0019】
デバイス10はまた、電極26,28に電気信号を供給するために、パルス発生器(例えば電気回路)および電源(例えば電池)をハウジング12内に備えていてもよい。パルス発生器と電極26,28との間の電気通信により、心臓組織への電気刺激および生理的状態の検知の少なくとも一方が実現されてもよい。
【0020】
名前が示すように、デバイス10を目的組織に係止するために係止部材18を用いてもよい。好適な数の係止部材18がデバイス10に用いられ得る。例えばデバイス10は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、またはそれ以上の係止部材を備えていてもよい。少なくともいくつかの実施形態では、係止部材18は、心臓組織を穿刺し、心臓組織の部分をくくって心臓組織から後退させて外部に出すことが可能である引っかけフックの形状をしていてもよい。そうした場合、係止部材18は心臓組織内に比較的浅く穿通する部分を有することが望ましい。その上、係止部材18は、第1電極26から離間するように配置されることが望ましい。他の構成も意図する。
【0021】
これらの目的または他の目的を達成するために、係止部材18は湾曲した複合構造を有することができる。本開示の意図として、湾曲した複合構造は、複数種の湾曲した領域を有する構造として理解される。例えば、少なくとも係止部材18のいくつかは、基部領域30、第1湾曲領域32、略直線状領域34、第2湾曲領域36、および端部領域38を有していてもよい。基部領域30を係止部材18とハウジング12との接続箇所に配置してもよい。いくつかの実施形態では、基部領域30は、ハウジング12に固定されていてもよい。他の実施形態では、基部領域30は、ハウジング12に対して回動可能に取り付けられていてもよい。これらの実施形態において、基部領域30がハウジング12に対していくらかの可動域を有していてもよい。いくつかの例において、臨床医が埋込みを行う間に係止部材18が回動し得るように作動機構を係止部材18に結合してもよい。例えば、ワイヤまたはテザー等のような平行移動が可能な機械的特徴をハウジング12に結合してもよく、これにより係止部材18まで動作を伝達することが可能である。
【0022】
第1湾曲領域32はハウジング12から離間するように湾曲していてもよい。言い換えれば、第1湾曲領域32の湾曲によって、ハウジング12から径方向に次第に離間するように少なくとも係止部材18の一部が配置され得る。例えば、第1電極26と心臓の壁との当接部位に近接する組織への刺激が可能な限り最小化されるように、第1電極26から離間するように係止部材18が側方に向かって延びたり、他の態様で側方に配置されたりすることが望ましい。その上、第1湾曲領域32の湾曲(や係止部材18の他の領域)は、心臓の壁にしっかりとデバイスを保持することが可能である一方、組織内に比較的浅く穿通する部分を有することが可能であってもよい。浅く穿通する部分は、局所的な組織への刺激および心臓壁の損傷の少なくとも一方を低減することを補助することができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、第1湾曲領域32の
曲率半径が一定であってもよい。他の実施形態では、
曲率半径は、第1湾曲領域32に沿って変化してもよい。例えば第1湾曲領域32は、放物線状の湾曲、双曲線状の湾曲、指数関数的な湾曲、一次多項式で規定される湾曲、二次多項式で規定される湾曲、三次多項式で規定される湾曲、四次多項式で規定される湾曲、またはそれ以上の次数の多項式で規定される湾曲等を含んでいてもよい。第1湾曲領域32は(例えば第1湾曲領域32が二次元においてのみ延びて)その全体が単一平面内に位置してもよく、あるいは第1湾曲領域32は(例えば第1湾曲領域32が三次元において延びて)1より多い平面内に存在してもよい。これらは単なる例である。他の湾曲、形状、構成等も意図する。
【0024】
略直線状領域34は、その名前が示すように、実質的に湾曲部がなくてもよい。略直線状領域34は適切な長さを有していてもよい。例えばいくつかの実施形態では、第1湾曲領域32と第2湾曲領域36との間が大きく離間していることが望ましい。こうした実施形態において、略直線状領域34は比較的長い長さを有することが望ましい。他の実施形態では、湾曲領域32,36間が離間せずに、略直線状領域34が比較的短いことが望ましい。さらに他の実施形態では、係止部材18が略直線状領域34を有していなくてもよい。言い換えれば、第1湾曲領域32は、第2湾曲領域36に直接的に取り付けられていたり、他の態様で第2湾曲領域36に連続していたりしてもよい。
【0025】
第2湾曲領域36はハウジング12に向かって湾曲していてもよい。少なくともいくつかの実施形態では、第2湾曲領域36の湾曲は第1湾曲領域32とは反対側に配向されていてもよい。第1湾曲領域32のように、第2湾曲領域36は一定の
曲率半径または変化する
曲率半径を有することができる。
【0026】
端部領域38は略直線状であったり、湾曲部を有していたりしてもよい。少なくともいくつかの実施形態では、端部領域38は尖った端部または比較的鋭利な端部を有していてもよく、これにより組織を穿刺することが可能であってもよい。
【0027】
デバイス10が患者の心臓にしっかりと係止されることを可能にすることに加え、係止部材18はデバイス10の迅速な位置変更も可能であってもよい。例えばデバイス10は、係止部材18を介して患者の心臓に固定されてもよい。デバイス10の再配置が望まれる場合には、位置変更(例えば係止部材18を組織から移動させたり他の所望の位置にデバイス10を移動させたりすること)および再係止が可能なように、適切な回収デバイスおよび適切な位置変更デバイスの少なくとも一方をデバイス10の係合に用いてもよい。
【0028】
係止部材18の断面形状は変更されてもよい。例えば
図3Aに示すように、少なくとも係止部材18のいくつかは、略矩形状の断面形状を有していてもよい。これらの実施形態において、係止部材18の幅Wは厚さTよりも大きくてもよい。しかし他の実施形態では、厚さTは幅Wより大きくてもよい。他の実施形態では、少なくとも係止部材18のいくつかは、
図3Bに示すような直径Dを有する略円形状の断面形状を有していてもよい。他の断面形状も意図する。例えば係止部材18は、(例えば
図3Cに示すような)楕円状の断面形状、半円状の断面形状、多角形状(三角形、正方形、四角形、五角形、六角形、八角形等)の断面形状、それらの組み合わせ(例えば曲面形状の縁部または角部を有する複合形状)、または他の適切な任意の形状を有することができる。係止部材18は、それらの実質的な全長に沿って同一の断面形状を有していてもよい。代替的に、断面形状を係止部材18の長さに沿って変更してもよい。例えば、係止部材18の部分が円形ではない断面形状を有し、係止部材18の他の部分が略円形状の断面形状を有していてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、係止部材18の全部が同一の断面形状および同一の輪郭の少なくとも一方を有していてもよい。他の実施形態では、所定のデバイス10の様々な係止部材18が互いに異なっていてもよい。
【0029】
図4は、例えば人体(例えば心臓)の内部の適切な位置にデバイス10を送達するために用いられ得る送達カテーテル100を示す。カテーテル100は、近位部材または近位領域140と、遠位部材または遠位保持部分146とを備えることができる。押圧部材142を近位領域140内に配置しても(例えば摺動可能に配置しても)よい。押圧部材142の頭部領域144を遠位保持部分146内に配置してもよい。頭部領域144はデバイス10のドッキング部材20に係合可能であってもよい。目的領域148(例えば右心室のような心臓の領域)内にデバイス10を配置し係止するように、遠位保持部分146から外部にデバイス10を「押す」ために押圧部材142を用いてもよい。カテーテル100を目的領域148まで血管系を通して前進させてもよい。例えば、カテーテル100を、大腿静脈を通して下大静脈内へ、右心房内へ、三尖弁を通して右心室内へと前進させてもよい。目的領域148は右心室の部分であってもよい。例えば目的領域148は、心臓の尖部付近の右心室の部分であってもよい。目的領域148はまた、心臓の他の領域(例えば右心房、左心室、左心房)、血管または他の好適な目的領域を含む他の領域とすることができる。
【0030】
係止部材18は第1の形態と第2の形態との間で移行可能である。例えば、デバイス10が送達カテーテル100の遠位保持部分146内に配置されるときには、係止部材18が第1の形態であってもよい。このように構成された場合、係止部材18は、一層、略直線化された形態でデバイス10から遠位方向に延びていてもよい。言い換えれば、係止部材18は遠位方向に配向されてもよい。例えば、カテーテル100は長手軸線Xを有し、係止部材18は、カテーテル100の長手軸線Xに略平行である、対応する長手軸線Yを有していてもよい。ただし、係止部材18は、カテーテル100の長手軸線Xに正確に平行に延びる必要はなく、その代わりに全体として遠位方向に配向されていてもよい。
【0031】
デバイス10が目的領域148に近接して好適に配置される場合には、係止部材18が目的領域148に係合するように、デバイス10を遠位方向に押すために押圧部材142を遠位方向に前進させることができる。そうした場合、
図5に示すように、係止部材は第2の形態に移行することができる。第2の形態であるときに、係止部材18は湾曲した複合構造を有していてもよい。係止部材18における湾曲部の複合体は、係止部材18を組織進入点から側方に案内し、進入点から側方に離間した位置で組織を後退させて外部に出すことを補助することができる。
【0032】
少なくともいくつかの実施形態では、一層直線化された形態であるときにも、係止部材18は湾曲の複合体を(例え別の形状になっても)維持してもよい。例えば、デバイス10が送達カテーテル内に配置されるときにも、係止部材18は湾曲部の複合体を維持していてもよい。他の実施形態では、係止部材18に形成された1つ以上の湾曲部は実質的に直線化されていてもよく、これにより係止部材18は、一層直線化された形態であるときには湾曲部の複合体を有していないことが理解され得る。第2の形態(例えば配置される形態、埋込まれる形態、送達される形態、または「偏見のない」形態が考えられ得る)に移行する際、係止部材18は、湾曲部の複合体を含む形状を有していたり、他の態様で同形状に戻ったりしてもよい。
【0033】
第1の形態であるときに、係止部材18の部分は遠位保持部分146の内壁面に係合することができる。遠位保持部分146の内壁面に係合する係止部材18の部分は、係止部材18の遠位端の近位に配置されていてもよい。例えば
図4に示すように、第2湾曲領域36が遠位保持部分146の内壁面に係合してもよい。他の配置も意図する。例えば
図6は、係止部材118およびドッキング部材120を備えるデバイス110(本明細書に開示した他のデバイスの形状および機能と同様のデバイスである)を示す。この図から、第1湾曲領域132は遠位保持部分146の内壁面に係合できることが理解され得る。
【0034】
図7は、係止部材218およびドッキング部材220を備えるデバイス210(本明細書に開示した他のデバイスの形状および機能と同様のデバイスである)を示す。この実施形態では、第2湾曲領域232から先端238まで延びる係止部材218の部分は、遠位保持部分146の内壁面に対して平たく横たわっている。
【0035】
デバイス10およびカテーテル100(や本明細書において開示される他のデバイスまたはカテーテル)の種々の構成要素に用いることができる材料は、医療デバイスに通常関連付けられる材料を含んでいてもよい。例えば、デバイス10およびカテーテル100の少なくとも一方は、金属、金属合金、ポリマー(いくつかの例を以下で開示する)、金属−ポリマー複合材料、セラミック、それらの組み合わせ等、または他の好適な材料から製造されてもよい。好適なポリマーのいくつかの例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えば、デュポン(DuPont)から入手可能なDELRIN(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(例えば、ポリウレタン85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテル−エステル(例えば、DSMエンジニアリングプラスティックス(DSM Engineering Plastics)から入手可能なARNITEL(登録商標))、エーテルまたはエステルベースの共重合体(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタレート、およびデュポン(DuPont)から入手可能なHYTREL(登録商標)等の他のポリエステルエラストマーの少なくとも一方)、ポリアミド(例えば、バイエル(Bayer)から入手可能なDURETHAN(登録商標)またはエルフ・アトケム(Elf Atochem)から入手可能なCRISTAMID(登録商標))、弾性ポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、例えば、PEBAX(登録商標)という商品名で入手可能)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、Marlex高密度ポリエチレン、Marlex低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(例えば、REXELL(登録商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えば、KEVLAR(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン−12(例えばEMSアメリカングリロン(EMS American Grilon)から入手可能なGRILAMID(登録商標))、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリ(スチレン−b−イソブチレン−b−スチレン)(例えば、SIBSおよびSIBS50Aの少なくとも一方)、ポリカーボネート、アイオノマー、生体適合性ポリマー、他の好適な材料を含んでいてもよく、またはそれらの混合物、それらの組み合わせ、それらの共重合体、ポリマー/金属複合材料等を含んでもよい。いくつかの実施形態において、シースは、液晶ポリマー(LCP)と混合することができる。例えば、混合物は、最大で約6パーセントのLCPを含むことができる。
【0036】
好適な金属および金属合金のいくつかの例としては、304V、304Lおよび316LVステンレス鋼等のステンレス鋼、軟鋼、線形弾性や超弾性ニチノール等のニッケル−チタン合金、ニッケル−クロム−モリブデン合金(例えば、INCONEL(登録商標)625等のUNS:N06625、HASTELLOY(登録商標)C−22(登録商標)等のUNS:N06022、HASTELLOY C276(登録商標)等のUNS:N10276、他のHASTELLOY合金等)、ニッケル−銅合金(例えば、MONEL(登録商標)400、NICKELVAC(登録商標)400、NICORROS(登録商標)400等のUNS:N04400)、ニッケル−コバルト−クロム−モリブデン合金(例えば、MP35−N(登録商標)等のUNS:R30035等)、ニッケル−モリブデン合金(例えば、HASTELLOY ALLOY B2(登録商標)等のUNS:N10665)、他のニッケル−クロム合金、他のニッケル−モリブデン合金、他のニッケル−コバルト合金、他のニッケル−鉄合金、他のニッケル−銅合金、他のニッケル−タングステンまたはタングステン合金等の他のニッケル合金、コバルト−クロム合金、;コバルト−クロム−モリブデン合金(例えば、ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)等のUNS:R30003等)、白金富化ステンレス鋼、チタン、それらの組み合わせ等、または任意の他の好適な材料が挙げられる。
【0037】
本明細書において示唆されるように、市販のニッケル−チタンすなわちニチノール合金の系統には、化学的には従来の形状記憶および超弾性の種類に類似する可能性があるが、特有かつ有用な機械特性を示すことができる、「線形弾性」または「非超弾性」と呼ばれるカテゴリがある。線形弾性および非超弾性の少なくとも一方を有するニチノールは、その応力/歪み曲線において、超弾性ニチノールのような実質的な「超弾性プラトー」または「フラグ領域」を示さないという点で、超弾性ニチノールと区別することができる。その代わりに、線形弾性および非超弾性の少なくとも一方を有するニチノールでは、回復可能な歪みが増大するにつれて、塑性変形が始まるまでは、または超弾性ニチノールで見られる超弾性プラトーおよびフラグ領域の少なくとも一方よりも少なくとも線形である関係では、応力は、実質的に線形関係、または幾分線形であるが必ずしも完全に線形ではない関係において増大し続ける。したがって、本開示の目的では、線形弾性および非超弾性の少なくとも一方を有するニチノールは、「実質的に」線形弾性および非超弾性の少なくとも一方を有するニチノールとも呼ぶこともできる。
【0038】
場合によっては、線形弾性および非超弾性の少なくとも一方を有するニチノールは、実質的に弾性のままである間(例えば塑性変形前)に最大約2〜5%の歪みを許容することができ、一方で超弾性ニチノールは塑性変形前に最大約8%の歪みを許容することができるという点で、超弾性ニチノールから区別可能であり得る。これらの材料はともに、塑性変形前に約0.2〜0.44パーセントの歪みしか許容することができないステンレス鋼等の他の線形弾性材料から区別することができる(その組成によっても識別することができる)。
【0039】
いくつかの実施形態では、線形弾性および非超弾性の少なくとも一方を有するニッケル−チタン合金は、示差走査熱量計(DSC)および動的金属熱分析(DMTA)分析によって広い温度範囲にわたって検出可能ないかなるマルテンサイト相/オーステナイト相変化も示さない合金である。例えばいくつかの実施形態では、線形弾性および非超弾性の少なくとも一方を有するニッケル−チタン合金において、約−60℃〜約120℃の範囲でDSCおよびDMTA分析により検出可能なマルテンサイト相/オーステナイト相変化がないこともあり得る。こうした材料の機械的曲げ特性は、この非常に広い温度範囲にわたる温度の効果に対して概ね不活性であり得る。いくつかの実施形態では、周囲温度または室温における線形弾性および非超弾性の少なくとも一方を有するニッケル−チタン合金の機械的曲げ特性は、例えば、超弾性プラトーおよびフラグ領域の少なくとも一方を示さないという点で、体温における機械特性と実質的に同じである。言い換えれば、線形弾性および非超弾性の少なくとも一方を有するニッケル−チタン合金は、広い温度範囲にわたって、その線形弾性および非超弾性の少なくとも一方の特徴や特性を維持する。
【0040】
いくつかの実施形態では、線形弾性および非超弾性の少なくとも一方を有するニッケル−チタン合金は、約50〜約60重量%の範囲がニッケルで、残りは本質的にチタンであってもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、約54〜約57重量%の範囲がニッケルである。好適なニッケル−チタン合金の一例は、日本国神奈川県の株式会社古河テクノマテリアルから市販されているFHP−NT合金である。ニッケルチタン合金のいくつかの例は、米国特許第5,238,004号明細書および同第6,508,803号明細書に開示されており、これらは参照により本明細書に援用される。他の好適な材料としては、ULTANIUM(商標)(ネオメトリックス(Neo−Metrics)から入手可能)およびGUM METAL(商標)(トヨタ(Toyota)から入手可能)を挙げることができる。いくつかの他の実施形態では、所望の特性を達成するために、超弾性合金、例えば超弾性ニチノールを用いることができる。
【0041】
少なくともいくつかの実施形態では、デバイス10およびカテーテル100の少なくとも一方の部分または全部に放射線不透過性材料をドープするか、放射線不透過性材料で製造するか、または他の態様で放射線不透過性材料を含んでいてもよい。放射線不透過性材料は、医療処置の間にX線透視スクリーンまたは別の撮像技法において比較的明るい画像を生成可能な材料であるものと理解される。この比較的明るい画像は、デバイス10およびカテーテル100の少なくとも一方の使用者がその位置を特定するのに役立つ。放射線不透過性材料のいくつかの例としては、これらに限定されないが、金、白金、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過性充填材が装填されたポリマー材料等を挙げることができる。さらに、同じ結果を達成するように、他の放射線不透過性マーカバンドやコイルをデバイス10およびカテーテル100の少なくとも一方の設計に組み込むこともできる。
【0042】
いくつかの実施形態では、デバイス10およびカテーテル100の少なくとも一方に、ある程度の磁気共鳴画像法(MRI)適合性が与えられる。例えば、デバイス10およびカテーテル100の少なくとも一方(あるいはそれらの部分)は、画像を実質的に歪めず実質的なアーティファクト(すなわち、画像における空隙)をもたらすことがない材料で製造されてもよい。例えば特定の強磁性材料は、MRI画像においてアーティファクトをもたらす可能性があるため、好適ではない場合がある。デバイス10およびカテーテル100の少なくとも一方(あるいはそれらの部分)は、MRIマシンが撮像することができる材料で製造されてもよい。これらの特性を示すいくつかの材料としては、例えば、タングステン、コバルト−クロム−モリブデン合金(例えば、ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)等のUNS:R30003)、ニッケル−コバルト−クロム−モリブデン合金(例えば、MP35−N(登録商標)等のUNS:R30035等)、ニチノール等および他のものが挙げられる。
【0043】
本開示は、多くの点で例示的なものに過ぎないことを理解されたい。本開示の範囲を超えることなく、細部、特に形状、サイズ、およびステップの配置に関して変更を行ってもよい。これは、適切な範囲で、1つの例示的な実施形態の特徴のうちのいずれかが他の実施形態で使用されることを含むことができる。本発明の範囲は、当然ながら、添付の特許請求の範囲が表現される文言で規定される。