(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6266791
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】膨脹式保温システムを有する連棟温室
(51)【国際特許分類】
A01G 9/24 20060101AFI20180115BHJP
A01G 9/22 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
A01G9/24 H
A01G9/22
【請求項の数】8
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-543734(P2016-543734)
(86)(22)【出願日】2014年3月25日
(65)【公表番号】特表2017-500878(P2017-500878A)
(43)【公表日】2017年1月12日
(86)【国際出願番号】CN2014074054
(87)【国際公開番号】WO2015100861
(87)【国際公開日】20150709
【審査請求日】2016年8月22日
(31)【優先権主張番号】201410001170.1
(32)【優先日】2014年1月2日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516190208
【氏名又は名称】呂 昊
【氏名又は名称原語表記】LV,Hao
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】呂 昊
【審査官】
坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭57−31157(JP,U)
【文献】
特開2009−65890(JP,A)
【文献】
特開2008−72980(JP,A)
【文献】
特開2009−82009(JP,A)
【文献】
特開2000−236755(JP,A)
【文献】
特開2013−46646(JP,A)
【文献】
特開2006−288246(JP,A)
【文献】
特開昭59−156226(JP,A)
【文献】
実開昭57−122253(JP,U)
【文献】
実開昭59−102705(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0070353(US,A1)
【文献】
米国特許第6000170(US,A)
【文献】
中国実用新案第2852663(CN,Y)
【文献】
中国実用新案第203633243(CN,U)
【文献】
中国実用新案第202068785(CN,U)
【文献】
韓国公開特許第10−2013−0007898(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/14 − 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温室であって、横枠体と、縦枠体と、トップカバーと、空気により膨張する膨脹式の保温システムと、回転軸とを備え、
前記縦枠体は左右に設けられ、前記縦枠体には横枠体が設けられ、前記横枠体にはトップカバーが設けられており、前記横枠体の左右両側にはそれぞれ回転軸が設けられ、前記縦枠体の上端にはそれぞれ回転軸が設けられており、
前記膨脹式の保温システムは空気圧縮機と、除塵機と、除水機と、乾燥機と、定圧及び排気制御システムと、保温覆いとを含み、前記空気圧縮機と、除塵機と、除水機と、乾燥機と、定圧及び排気制御システムと、保温覆いとは管路により順に連結されており、前記保温覆いは前記横枠体と縦枠体の内部に設けられて空気により膨張するものであり、
前記保温覆いの一端が固定され、他端が前記回転軸に連結されて、前記回転軸は前記横枠体における保温覆い及び前記縦枠体における保温覆いを移動させる、ことを特徴とする温室。
【請求項2】
前記定圧及び排気制御システムには排気弁が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の温室。
【請求項3】
前記回転軸には牽引ロープが設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の温室。
【請求項4】
前記トップカバーは三角形状を呈する、ことを特徴とする請求項1に記載の温室。
【請求項5】
前記トップカバーは半球体である、ことを特徴とする請求項1に記載の温室。
【請求項6】
前記保温覆いの内部はハニカム状を呈する、ことを特徴とする請求項1に記載の温室。
【請求項7】
前記保温覆いの内部は複数の田の字を組み合わせた形状を呈する、ことを特徴とする請求項1に記載の温室。
【請求項8】
前記保温覆いの外部には熱放射反射メッキ層が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の温室。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は保温技術の分野に関し、特に
膨脹式保温システムを有する連棟温室に関する。
【背景技術】
【0002】
大型連棟温室は、オランダ、イスラエル、ドイツ、米国などの先進国における精密農業の発展に広く利用され、近代化された農業の主要な生産方式の1つとなっている。近年、中国は海外から多くの近代化された連棟温室を導入した。しかしながら、ほとんどは、エネルギー消費が大きく、管理が不十分であり、最終的に維持できなくなる。
【0003】
夜間、連棟温室の屋根及び四方の側面から伝熱された熱量が多く、かつ連棟温室に外層の被覆物を追加しにくく、内部の保温システムはただ単層又は多層の薄い保温材であり、かつ密閉できないため、連棟温室は、冬は内外温度差が大きく、保温性能が悪く、冬は安定性維持のためのエネルギー消費が大きく、冬は正常な越冬生産ができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記欠陥に鑑みて、本発明は
膨脹式保温システムを有する連棟温室を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従来技術における欠陥を克服するために、本発明は
膨脹式保温システムを有する連棟温室を提供する。前記
連棟温室は、フレキシブル結合溝により横枠体、縦枠体と連結されて、保温覆いが連棟温室の内部の上層、四方の側壁に安定的な多層空気保温層を形成して、温室内部の熱量を最大限に保証し、温室の熱散逸を少なくする。
【0006】
本発明は、以下の技術的手段により実現される。
連棟温室は、横枠体と、縦枠体と、トップカバーと、膨脹式の保温システムと、回転軸とを備え、前記縦枠体は左右に設けられ、前記縦枠体には横枠体が設けられ、前記横枠体にはトップカバーが設けられており、前記横枠体の左右両側には回転軸が設けられ、前記縦枠体の上端には回転軸が設けられており、前記膨脹式の保温システムは空気圧縮機と、除塵機と、除水機と、乾燥機と、定圧及び排気制御システムと、保温覆いとを含み、前記空気圧縮機と、除塵機と、除水機と、乾燥機と、定圧及び排気制御システムと、保温覆いとは管路により順に連結されており、前記保温覆いは前記横枠体と縦枠体の内部に設けられている。
【0007】
好ましくは、前記定圧及び排気制御システムには排気弁が設けられている。前記排気弁は、前記定圧及び排気制御システムが、前記空気室に圧力が一定である気体を供給するように制御することができる。
【0008】
好ましくは、前記回転軸には牽引ロープが設けられている。
【0009】
好ましくは、前記保温覆いは膨脹式の保温覆いである。
【0010】
好ましくは、前記トップカバーは三角形状を呈する。
【0011】
好ましくは、前記トップカバーは半球体である。
【0012】
好ましくは、前記保温覆いの内部はハニカム状を呈する。
【0013】
好ましくは、前記保温覆いの内部は多重の田の字状を呈する。
【0014】
好ましくは、前記保温覆いの外部には熱放射反射メッキ層が設けられている。
【0015】
好ましくは、前記保温覆いの外部には、外側が硬く内側がフレキシブルで上下左右端が密封されたフレキシブル結合溝が設けられ、密封保温の機能を有する。
【発明の効果】
【0016】
従来技術と比べて、本発明による
連棟温室の優れた効果は以下のとおりである。前記
連棟温室は、フレキシブル結合溝により横枠体、縦枠体と連結されて、保温覆いが連棟温室の内部の上層、四方の側壁に安定的な多層空気保温層を形成して、温室内部の熱量を最大限に保証し、温室の熱散逸を少なくする。構造が簡単であり、製造コスト及びメンテナンスコストが低く、空気対流を形成しにくく、保温性能を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明に係る
膨脹式保温システムを有する連棟温室の構成図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る膨脹式の保温システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明に係る保温覆いの断面構造模式図である。
【
図4】
図4は、本発明に係るトップカバーが半球体である
膨脹式保温システムを有する連棟温室の構成図である。
【
図5】
図5は、本発明に係るフレキシブル結合溝の側面図である。
【符号の説明】
【0018】
1−横枠体、 2−縦枠体、 3−トップカバー、 4−膨脹式の保温システム、 41−空気圧縮機、 42−除塵機、 43−除水機、 44−乾燥機、 45−定圧及び排気制御システム、 46−保温覆い、 5−回転軸、 6−フレキシブル結合溝。
【発明を実施するための形態】
【0019】
下記では図面と具体的実施例を用いて、本発明について詳細に説明する。
【0020】
図1〜5に示すように、
連棟温室は、横枠体1と、縦枠体2と、トップカバー3と、膨脹式の保温システム4と、回転軸5とを備え、前記縦枠体2は左右に設けられ、前記縦枠体2には横枠体1が設けられ、前記横枠体1にはトップカバー3が設けられており、前記横枠体1の左右両側には回転軸5が設けられ、前記縦枠体2の上端には回転軸5が設けられており、前記膨脹式の保温システム4は空気圧縮機41と、除塵機42と、除水機43と、乾燥機44と、定圧及び排気制御システム45と、保温覆い46とを含み、前記空気圧縮機41と、除塵機42と、除水機43と、乾燥機44と、定圧及び排気制御システム45と、保温覆い46とは管路(図示せず)により順に連結されており、前記保温覆い46は前記横枠体1と縦枠体2の内部に設けられている。
【0021】
前記回転軸5には牽引ロープ(図示せず)が設けられている。
【0022】
前記トップカバー3は三角形状を呈する。前記トップカバー3は半球状を呈する。
【0023】
前記定圧及び排気制御システム45には排気弁(図示せず)が設けられている。前記排気弁は、前記定圧及び排気制御システム45が、前記保温覆い46に圧力が一定である気体を供給するように制御することができる。
【0024】
前記保温覆い46の内部はハニカム状を呈する。前記保温覆い46の内部は多重の田の字状を呈する。
【0025】
前記保温覆い46は膨脹式の保温覆いである。
【0026】
前記保温覆い46の外部には熱放射反射メッキ層(図示せず)が設けられている。
【0027】
前記保温覆い46の外部には、外側が硬く内側がフレキシブルで上下左右端が密封されたフレキシブル結合溝6が設けられている。前記フレキシブル結合溝6は密封保温の機能を有する。
【0028】
前記保温覆い46は連棟温室横枠体1に置かれ、前記保温覆い46の左端が固定され、右端が回転軸5に連結され、前記回転軸5には牽引ロープが設けられ、モータ(図示せず)により回転軸5の移動を牽引する。前記空気圧縮機41をオンして、外部の空気は空気圧縮機41により除塵機42、除水機43、及び乾燥機44を順に通過し、最後に定圧及び排気制御システム45に進入する。前記除塵機42は空気に対して除塵を行い、前記除水機43は空気に対して除水を行い、前記乾燥機44は空気に対して乾燥を行う。前記定圧及び排気制御システム45を通過した後、処理された空気は保温覆い46に進入し、加圧され続けることによって、前記保温覆い46は安定的な形状を形成し、且つ前記保温覆い46は膨張し、同時に、密封保温の効果を達成するように、フレキシブル結合溝と結合される。前記保温覆い46が設定圧力に達すると、前記空気圧縮機41の動作は停止する。保温覆い46の圧力が不足する場合、空気圧縮機41は再び動作を開始する。
【0029】
前記回転軸5は横枠体1における保温覆い46を左右移動させ、縦枠体2における保温覆い46を上下移動させる。
【0030】
晴天時は、前記回転軸5は横枠体1における保温覆い46を一端へ移動させ、縦枠体2における保温覆い46を上向きに移動させ、太陽光照射を利用するとともに、排気弁により圧力を下げる。
曇天又は夜間は、前記回転軸5は保温覆い46を逆の向きに移動させ、かつ、前記保温覆い46が設定圧力に達するまで、前記空気圧縮機41はオンされ、室内に保温効果を奏する。
【0031】
本発明の前記空気圧縮機41、除塵機42、除水機43、乾燥機44、及び排気弁はいずれも従来技術における装置である。
【0032】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の実質内容から逸脱せずに、当業者が想到できるすべての変形、修正、置換は本発明の範囲内にある。