(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6266835
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】方向を調整可能なマルチチャネルハプティックデバイス
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20180115BHJP
H04M 1/247 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
G06F3/01 560
H04M1/247
【請求項の数】20
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-200145(P2017-200145)
(22)【出願日】2017年10月16日
(62)【分割の表示】特願2014-175105(P2014-175105)の分割
【原出願日】2014年8月29日
【審査請求日】2017年10月31日
(31)【優先権主張番号】14/030,181
(32)【優先日】2013年9月18日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500390995
【氏名又は名称】イマージョン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】IMMERSION CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】バーンバウム デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】バティア サトヴィル シン
(72)【発明者】
【氏名】ランク ステファン ディー.
【審査官】
塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】
特表2013−516708(JP,A)
【文献】
特開2010−86411(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0325645(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
3/048−3/0489
H04M 1/247
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサによって実行されたときに、前記プロセッサにハプティカリィイネーブルドデバイスでハプティック効果を生成させる命令を有するコンピュータ可読媒体であって、前記ハプティック効果を生成することは、
第1のハプティック効果チャネル、第2のハプティック効果チャネル、第3のハプティック効果チャネル及び第4のハプティック効果チャネルを含むハプティック信号を取得するステップと、
第1の方向が決定されたときに、前記第1のハプティック効果チャネルを前記ハプティカリィイネーブルドデバイスでの第1のハプティック出力デバイスへ割り当て、前記第2のハプティック効果チャネルを前記ハプティカリィイネーブルドデバイスでの第2のハプティック出力デバイスへ割り当てるステップと、
第2の方向が決定されたときに、前記第3のハプティック効果チャネルを前記ハプティカリィイネーブルドデバイスでの前記第1のハプティック出力デバイスへ割り当て、前記第4のハプティック効果チャネルを前記ハプティカリィイネーブルドデバイスでの前記第2のハプティック出力デバイスへ割り当てるステップと、
を備えるコンピュータ可読媒体。
【請求項2】
前記ハプティック効果を生成することは、
前記第1の方向が決定されたときに、ミックスチャネルを生成するために、前記第3のハプティック効果チャネルと前記第4のハプティック効果チャネルとをミックスし、前記ミックスチャネルを前記第1のハプティック出力デバイス又は前記第2のハプティック出力デバイスの少なくとも一方へ割り当てるステップを更に備える、請求項1に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項3】
前記ハプティック効果を生成することは、
前記第1の方向が決定されたときに、前記第3のハプティック効果チャネル及び前記第4のハプティック効果チャネルへ前記ハプティカリィイネーブルドデバイスでのいずれのハプティック出力デバイスも割り当てないステップを更に備える、請求項1に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項4】
前記ハプティカリィイネーブルドデバイスは、モバイルデバイスであり、前記第1のハプティック効果チャネルは、前記モバイルデバイスの左側に対応し、前記第2のハプティック効果チャネルは、前記モバイルデバイスの右側に対応し、前記第3のハプティック効果チャネルは、前記モバイルデバイスの後側に対応する、請求項1に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項5】
前記第1のハプティック出力デバイスは、第1のアクチュエータを含み、前記第2のハプティック出力デバイスは、第2のアクチュエータを含む、請求項1に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項6】
前記割り当てるステップは、前記ハプティック効果チャネルを前記ハプティカリィイネーブルドデバイスへリモート送信することを含む、請求項1に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項7】
前記ハプティカリィイネーブルドデバイスは、ウェアラブルデバイスを備える、請求項6に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項8】
前記ハプティカリィイネーブルドデバイスは、フレキシブルデバイスであり、前記第1の方向は、前記フレキシブルデバイスが上方にスクロールされるかに基づいて決定される、請求項1に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項9】
ハプティカリィイネーブルドデバイスでハプティック効果を生成するコンピュータ実装される方法であって、
第1のハプティック効果チャネル、第2のハプティック効果チャネル、第3のハプティック効果チャネル及び第4のハプティック効果チャネルを含むハプティック信号を取得するステップと、
第1の方向が決定されたときに、前記第1のハプティック効果チャネルを前記ハプティカリィイネーブルドデバイスでの第1のハプティック出力デバイスへ割り当て、前記第2のハプティック効果チャネルを前記ハプティカリィイネーブルドデバイスでの第2のハプティック出力デバイスへ割り当てるステップと、
第2の方向が決定されたときに、前記第3のハプティック効果チャネルを前記ハプティカリィイネーブルドデバイスでの前記第1のハプティック出力デバイスへ割り当て、前記第4のハプティック効果チャネルを前記ハプティカリィイネーブルドデバイスでの前記第2のハプティック出力デバイスへ割り当てるステップと、
を備える方法。
【請求項10】
前記第1の方向が決定されたときに、ミックスチャネルを生成するために、前記第3のハプティック効果チャネルと前記第4のハプティック効果チャネルとをミックスし、前記ミックスチャネルを前記第1のハプティック出力デバイス又は前記第2のハプティック出力デバイスの少なくとも一方へ割り当てるステップを更に備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の方向が決定されたときに、前記第3のハプティック効果チャネル及び前記第4のハプティック効果チャネルへ前記ハプティカリィイネーブルドデバイスでのいずれのハプティック出力デバイスも割り当てないステップを更に備える、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記ハプティカリィイネーブルドデバイスは、モバイルデバイスであり、前記第1のハプティック効果チャネルは、前記モバイルデバイスの左側に対応し、前記第2のハプティック効果チャネルは、前記モバイルデバイスの右側に対応し、前記第3のハプティック効果チャネルは、前記モバイルデバイスの後側に対応する、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のハプティック出力デバイスは、第1のアクチュエータを含み、前記第2のハプティック出力デバイスは、第2のアクチュエータを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記割り当てるステップは、前記ハプティック効果チャネルを前記ハプティカリィイネーブルドデバイスへリモート送信することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記ハプティカリィイネーブルドデバイスは、ウェアラブルデバイスを備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ハプティカリィイネーブルドデバイスは、フレキシブルデバイスであり、前記第1の方向は、前記フレキシブルデバイスが上方にスクロールされるかに基づいて決定される、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
プロセッサと、
前記プロセッサに接続される第1のハプティック出力デバイスと、
前記プロセッサに接続される第2のハプティック出力デバイスと、
前記プロセッサに接続される第3のハプティック出力デバイスと、
前記プロセッサに接続される第4のハプティック出力デバイスと、
前記プロセッサに接続される方位センサと、
前記プロセッサに接続され、ハプティックシステムの方向に基づいてハプティック効果チャネルをハプティック出力デバイスへマップするハプティック効果マッパーモジュールと、を備え、
前記マップすることは、
第1のハプティック効果チャネル、第2のハプティック効果チャネル、第3のハプティック効果チャネル及び第4のハプティック効果チャネルを含むハプティック信号を取得することと、
第1の方向が決定されたときに、前記第1のハプティック効果チャネルを前記第1のハプティック出力デバイスへ割り当て、前記第2のハプティック効果チャネルを前記第2のハプティック出力デバイスへ割り当てることと、
第2の方向が決定されたときに、前記第3のハプティック効果チャネルを前記第1のハプティック出力デバイスへ割り当て、前記第4のハプティック効果チャネルを前記第2のハプティック出力デバイスへ割り当てることと、
を含む、ハプティックシステム。
【請求項18】
前記プロセッサに接続される送信機を更に備え、
前記割り当てることは、前記送信機を用いて前記ハプティック効果チャネルを前記ハプティック出力デバイスへリモート送信することを含む、請求項17に記載のハプティックシステム。
【請求項19】
前記ハプティック効果チャネルは、ウェアラブルデバイスへリモート送信される、請求項18に記載のハプティックシステム。
【請求項20】
前記マップすることは、前記第1の方向が決定されたときに、前記第3のハプティック効果チャネル及び前記第4のハプティック効果チャネルへ前記ハプティックシステムでのいずれのハプティック出力デバイスも割り当てないことを含む、請求項18に記載のハプティックシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一実施形態は、一般的にはハプティック効果に関するものであり、特に、マルチチャネルデバイスによって生成されるハプティック効果に関する。
【背景技術】
【0002】
モバイルフォン、スマートフォン、カメラフォン、カメラ、パーソナルデジタルアシスタント(PDAs)等のようなポータブル/モバイル電子デバイスは、典型的には、デバイスに対して生じる特定のイベントをユーザに通知する出力機構を含む。例えば、携帯電話は、通常、着呼イベントをユーザに音で通知するためのスピーカを含む。可聴信号は、特定の着信音、音楽、サウンドエフェクト等を含んでもよい。また、携帯電話は、着呼をユーザに視覚的に通知するために用いられうるディスプレイスクリーンを含んでもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
いくつかのモバイルデバイスでは、運動感覚フィードバック(例えば、アクティブ及び抵抗性のフォースフィードバック)及び/又は触覚フィードバック(例えば、振動、テクスチャ及び熱)もユーザに提供され、より一般的には、「ハプティックフィードバック」又は「ハプティック効果」と総称される。ハプティックフィードバックは、ユーザインターフェースを促進及び簡素化するキューを提供することができる。具体的には、振動効果又は振動触覚ハプティック効果は、ユーザに特定のイベントを知らせるため、又はシミュレート又はバーチャル環境内でより深い知覚没入を生成するためのリアルなフィードバックを提供するための電子デバイスのユーザのキューの提供に有益である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態は、ハプティカリィイネーブルドデバイス上でハプティック効果を生成するシステムである。前記システムは、前記ハプティカリィイネーブルドデバイスの方向を決定し、一又はそれ以上のハプティック効果チャネルを取得する。前記システムは、その後、前記ハプティック効果チャネルのそれぞれを、前記方向に基づいて前記ハプティカリィイネーブルドデバイス上のハプティック出力デバイスへ割り当てる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るハプティカリィイネーブルドデバイスのブロック図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る、アクチュエータのための方向を調整可能なハプティック効果信号を生成するときの
図1の方向付けられたハプティック効果モジュール及びシステムの機能のフローチャートである。
【
図3】
図3は、ハプティック効果チャネルを生成するために音からハプティックへの変換を使用する本発明の一実施形態のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
一実施形態は、一以上のハプティックチャネルを含むハプティカリィイネーブルドデバイス/システムである。例えば、デバイスは、デバイスの主に左側でハプティック効果を生成する左ハプティックチャネルと、左ハプティックチャネルとは実質的に独立しており、デバイスの主に右側でハプティック効果を生成する右ハプティックチャネルと、を含むことができる。ハプティックデバイスは、ハンドヘルド/モバイルであってもよく、かつ使用時に方向(例えば、180度回した向き)に変化してもよい。したがって、実施形態は、現在の方向を決定し、ハプティックチャネルが現在の方向と一致するように、ハプティックチャネルのルートを決める。通常、実施形態は、デバイスのアクチュエータ空間配置に対してハプティック信号をマップする。
【0007】
図1は、本発明の一実施形態に係るハプティカリィイネーブルドシステム(haptically−enabled system)10のブロック図である。システム10は、ハウジング15内に実装されたタッチ検知面11又は他のタイプのユーザインターフェースを含んでもよく、機械的なキー/ボタン13を含んでもよい。システム10の内部は、システム10で振動を生成するハプティックフィードバックシステムである。一実施形態では、振動は、タッチ面11で生成される。
【0008】
ハプティックフィードバックシステムは、プロセッサ又はコントローラ12を含む。プロセッサ12には、メモリ20及び左アクチュエータ駆動回路16が接続され、左アクチュエータ駆動回路16は、左アクチュエータ18に接続される。アクチュエータ18は、例えば、電気モータ、電磁気アクチュエータ、ボイスコイル、リニア共振アクチュエータ、圧電アクチュエータ、形状記憶合金、電気活性ポリマー、ソレノイド、偏心質量アクチュエータ(Eccentric Rotating Mass(「ERM」)actuator)又はリニア共振アクチュエータ(linear resonant actuator(“LRA”))を含む、ハプティック効果を生成及び出力する任意のタイプのアクチュエータであってもよい。
【0009】
プロセッサ12は、任意のタイプの汎用目的のプロセッサであってもよく、又は特定用途向け集積回路(「ASIC」)のようなハプティック効果を提供するように具体的に設計されたプロセッサであることもできる。プロセッサ12は、システム10全体を動作する同一のプロセッサであってもよく、別のプロセッサであってもよい。プロセッサ12は、どのハプティック効果がプレイされるか、及びハプティック効果がハイレベルパラメータに基づいてプレイされる順序を決定することができる。通常、特定のハプティック効果を定義するハイレベルパラメータは、マグニチュード(magnitude)、周波数及び持続期間を含む。ストリーミングモータコマンドのようなローレベルパラメータも特定のハプティック効果を決定するために用いられる。
【0010】
プロセッサ12は、左アクチュエータ駆動回路16へ制御信号を出力し、左アクチュエータ駆動回路16は、所望のハプティック効果を生じるために、必要な電流及び電圧(つまり、「モータ信号」)を左アクチュエータ18に供給するために持ち応える電子部品を含む。また、システム10は、対応する左側デバイスと実質的に同様に動作する右アクチュエータ駆動回路26及び右アクチュエータ28を含む。左アクチュエータ18は、システム10の主に左側で振動ハプティック効果30を生成するためにシステム10内に位置決めされることができ、右アクチュエータ28は、システム10の主に右側で振動ハプティック効果40を生成するためにシステム10内に位置決めされることができる。システム10は、さらに、加速度計、傾斜センサ、三次元検出センサ等のようなシステム10の方向を検出するセンサ25を含む。センサ25からの信号は、システム10のハプティック出力デバイス全ての位置又は全体の空間的配置を決定するために、プロセッサによって用いられることができる。
【0011】
アクチュエータ18,28に加えて、又は置き換えて、システム10は、静電摩擦(electrostatic friction(“ESF”))、超音波表面摩擦(ultrasonic surface friction(“USF”))を使用する装置、超音波ハプティックトランスデューサによる音響放射圧を誘起する装置、ハプティック基板及びユーザの身体に取り付けられうるフレキシブル又は変形可能な面又は形状変化デバイスを使用する装置、エアジェットを用いて空気を吐き出すような突き出たハプティック出力を提供する装置等の非機械装置又は非振動装置でありうる他のタイプのハプティック出力デバイス(図示せず)を含んでもよい。
【0012】
他の実施形態では、アクチュエータ18,28及びセンサ25は、プロセッサ12とリモート通信してもよい。これらの実施形態では、プロセッサ12は、センサ25からの信号を受信し、信号に基づいてハプティック効果のマッピングを決定し、対応するリモートハプティック出力デバイスへハプティック効果を送信してもよい。例えば、プロセッサ12及びシステム10は、リストバンド、ヘッドバンド、眼鏡、リング、レッグバンド、服に一体化されたアレイ等のようなウェアラブルハプティックデバイス、又はユーザが、身体に身につける又はユーザによって保持され、かつハプティック可能(haptically enabled)である任意の他のタイプのデバイスへハプティック効果を制御及び提供するセントラルコントローラであってもよい。ウェアラブルデバイスは、ウェアラブルデバイスでハプティック効果を生成し、システム10とは離れている一又はそれ以上のハプティック出力デバイスを含む。
【0013】
メモリ20は、ランダムアクセスメモリ(RAM)又はリードオンリーメモリ(ROM)のような任意のタイプのストレージデバイス又はコンピュータ可読媒体であることができる。メモリ20は、プロセッサ12によって実行される命令を記憶する。命令のうち、メモリ20は、方向付けられたハプティック効果モジュール22を含み、以下のより詳細に開示されるように、プロセッサ12によって実行されるときに、ハプティック効果を生成するために駆動回路16,26へ送信された方向を調整可能な駆動信号を生成する命令を含む。メモリ20は、プロセッサ12の内部に配置されてもよく、又は内部及び外部メモリの任意の組み合わせであってもよい。
【0014】
タッチ面11は、インタラクション情報としてタッチを認識し、面上でのタッチの位置及びマグニチュードも認識してもよい。インタラクション情報に対応するデータは、プロセッサ12又はシステム10内の別のプロセッサに送信され、プロセッサ12は、インタラクション情報を読み取り、それに応じてハプティック効果信号を生成する。タッチ面11は、容量検知、抵抗検知、表面音響波検知、圧力検知、光学検知等を含む任意のセンシング技術を用いてタッチを検知してもよい。タッチ面11は、マルチタッチ接触を検知してもよく、同時に生じるマルチタッチを区別することが可能であってもよい。タッチ面11は、キー、ダイヤル等とインタラクトするためのユーザのために画像を生成及び表示するタッチスクリーンであってもよく、又は最小限の画像又は画像のないタッチパッドであってもよい。
【0015】
システム10は、携帯電話、パーソナルデジタルアシスタント(「PDA」)、スマートフォン、コンピュータタブレット、ゲーミングコンソール、ウェアラブルデバイスであってもよく、又は、一又はそれ以上のアクチュエータを含むハプティック効果システムを含む任意の他のタイプのデバイスであってもよい。ユーザインターフェースは、タッチ検知面であってもよく、又はマウス、タッチパッド、ミニジョイスティック、スクロールホイール、トラックボール、ゲームパッド又はゲームコントローラ等のような任意の他のタイプのユーザインターフェースであってもよい。一以上のアクチュエータを有する実施形態では、各アクチュエータは、デバイス上でハプティック効果の広い範囲を生成するために、異なる回転性能を有してもよい。
図1に示されていない要素がシステム10の各実施形態に含まれるであろう。多くの実施形態では、要素のサブセットのみが必要とされる。
【0016】
一実施形態では、システム10は、マルチチャネルハプティックデバイスであり、これは、プロセッサ12が、一以上のハプティック効果チャネル(つまり、1つのハプティック効果を生成する1つのハプティック効果信号)を生成することを意味し、各チャネルは、別のアクチュエータ又は他のハプティック出力デバイスへ出力/送信される。一実施形態では、システム10は、ステレオオーディオデータの左及び右チャネルのようなオーディオデータの各チャネルに対応するハプティック効果チャネルを生成する。一実施形態では、ハプティック効果チャネル/信号は、例えば、米国特許出願第13/365,984号及び第13/366,010号に開示されるようなオーディオチャネルから自動生成されることができ、上記の開示は、参照によって本明細書に援用される。
【0017】
複数のアクチュエータを有するシステム10のようなデバイスで、デバイスの姿勢又は方向に基づいて、アクチュエータへ送信されるハプティック信号を変更することが時折必要となる。例えば、システム10で、アクチュエータ18,28は、1つが左でもう一つが右にあるステレオピエゾアクチュエータであってもよい。システム10で実行されるゲーム及びビデオの触覚効果は、典型的には、いくつかの効果が、左で感じられ、その他の効果が右で感じられるように設計される。しかし、システム10のような多くのデバイスは、ユーザがデバイスを完全に反転することが可能であり、視覚画像は、依然として、表が上になるように適合するためにスピンする。したがって、実施形態は、左側で意図される的確な効果が左側でプレイされ、右側で意図される的確な効果が右側でプレイされるように、触覚効果を反転する。
【0018】
図2は、一実施形態に係るアクチュエータ18,28のための方向を調整可能なハプティック効果信号を生成するときの
図1の方向付けられたハプティック効果モジュール22及びシステム10の機能のフローチャートである。一実施形態では、
図2のフローチャートの機能は、メモリ又は他のコンピュータ可読又は有形媒体に記憶されるソフトウェアによって実装され、プロセッサによって実行される。別の実施形態では、機能は、(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルゲートアレイ(PGA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等)用途の使用を通じて)ハードウェアによって行われてもよく、又はハードウェア及ソフトウェアの任意の組み合わせによって行われてもよい。
【0019】
202では、デバイスの方向は、センサ25のような一又はそれ以上のセンサに基づいて決定される。一実施形態では、センサ25は、加速度計である。
【0020】
204では、ハプティック効果データ/チャネルは、取得される。ハプティック効果データは、データを生成するアプリケーションから直接取得されることができる、又はサウンド−トゥ−ハプティック変換(sound−to−haptic conversion;音からハプティックへの変換)技術又は他の変換技術に基づいて生成されることができる。ハプティック効果データは、複数のハプティック効果チャネルを含み、各チャネルは、左又は右アクチュエータのような異なるハプティック出力デバイスへ向けられるように構成される。
【0021】
206では、204における各ハプティック効果チャネルは、個々のハプティック出力デバイスへ割り当てられる/マップされる。
【0022】
208では、各ハプティック効果チャネルは、対応する割り当てられたハプティック出力デバイスへ送信される。ハプティック出力デバイスは、システム10からローカル又はリモートでありうる。
【0023】
210では、各ハプティック効果チャネルは、ハプティック効果チャネルの受信に応じてハプティック効果を生成する。
【0024】
図3は、ハプティック効果チャネルを生成するために音からハプティックへの変換を使用する本発明の一実施形態のブロック図である。
図3の実施形態では、オーディオデータは、300においてプレイされ、左オーディオチャネル及び右オーディオチャネルを含む。しかし、
図3の例では、再生装置(例えば、
図1のシステム10)の方向が変化したため、元は左側にあったアクチュエータ304は、右側にある、又はその逆になる。したがって、左オーディオチャネルは、右オーディオチャネルとスワップされるべきであることが決定される。
【0025】
オプション1では、オーディオチャネルは、サウンド−トゥ−ハプティック変換モジュール310によって受信される前に、301でスワップされることができ、サウンド−トゥ−ハプティック変換モジュール310は、ミキサ320によって受信される前に、各オーディオチャネルをハプティック効果チャネルへ変換する。オプション1が用いられる場合、フラグは、スワップフラグ330に設定され、チャネルがスワップされていることを示す。したがって、サウンド−トゥ−ハプティック変換モジュール310は、デバイスの方向に関わらず、ハプティックチャネルを生成するために処理を進めることができる。
【0026】
オプション2では、サウンド−トゥ−ハプティック変換モジュール310は、スワップしないデータを受信し、チャネルがスワップされることを必要とすることをスワップフラグ330から決定する。モジュール310は、その後、マップされたアクチュエータ340へハプティックチャネルを出力する前に、サウンド−トゥ−ハプティック変換機能の一部としてスワッピング機能を含むことができる。
【0027】
上記で説明された実施形態は、マッピングを決定するときに2つの方向(つまり、左及び右)を考慮するが、他の実施形態は、4つの方向(つまり、上、下、左及び右)を考慮することができる、又はハプティック出力デバイスの数及び配置に応じて任意の他の数の方向を考慮することができる。さらに、左及び右ではなく、ハプティック出力デバイスは、デバイスの前後、又は他の配置であることもできる。ハプティックチャネルのマッピングは、また、デバイスの方向に加えて又は置き換えて、手の位置、掴む強さ又は掴むスタイル(つまり、ユーザがデバイスを保持する態様)に基づいてもよい。例えば、ユーザが左側でデバイスを強く掴んでいる一方で、右側でデバイスを軽く掴んでいる場合、ハプティックチャネルの一方は、強く掴んでいる側へマップされ、他方のハプティックチャネルは、軽く掴んでいる側へマップされてもよい。さらに、ハプティックチャネルのボリューム又は「マグニチュード」は、掴み方に応じて調整されることができる。例えば、強く掴んだ側は、通常のマグニチュードで残る一方、軽く掴んだ側は、マグニチュードが増加されることができる。
【0028】
上記で開示されるいくつかの実施形態では、デバイスは、例えば、左側が右側にスワップされるように、180度回転される。しかし、いくつかの例では、2つのアクチュエータを有し、両側にアクチュエータが1つずつあるデバイスは、90度回転される、又は180未満のその他の量で回転されてもよい。一実施形態では、以下のチャネルのマッピング/割り当ての一又はそれ以上を行ってもよい。
・左及び右のハプティックチャネルは、両方のアクチュエータでプレイされる単一の「中央」チャネルへミックスされる。
・ミックスなし−左ハプティック効果は、直近に左側にあるアクチュエータでプレイされることに替えて、左ハプティック効果は、右アクチュエータであったものでプレイされる。これは、最も一貫性のある体験を提供するであろう。
・いくつかの他の属性は、プレイするアクチュエータを決定するために用いられる(例えば、一方が他方よりも大きくてもよい)。
【0029】
2つのアクチュエータを有する別の実施形態では、ハプティック信号は、4つのチャネル(例えば、左/右/前/後)で構成され、デバイスは、90度回転される、又はいくつかの他の量は、180度未満である。この実施形態では、現在の方向(左/右又は前/後ろ)に対応する2つのチャネルは、選択され、これらのチャネルは、レンダリングされる。2つの軸から外れる(off−axis)チャネルは、いずれかが下げられる、又は他のアクチュエータの一方又は両方でプレイされる中心チャネルとしてミックス及び処理される。
【0030】
通常、実施形態が、マルチチャネルハプティック効果のトラックを個々のアクチュエータへ割り当てているとき、第1の判断は、システムのアクチュエータの位置/軸に一致する効果を使用することであり、その後に、軸から外れる(off−axis)効果を一又はそれ以上のアクチュエータへ追加でマッピングする。
【0031】
さらに、ハプティックマッピングは、ユーザが、コントロールウィジェットにおいてタッチスクリーンのどこをタッチするかに応じて変更されてもよい。例えば、デバイスは、マルチアクチュエータデバイスの側面に沿うグラフィックタッチスクリーンスライダを含んでもよい。ユーザに最も近いアクチュエータは、ハプティックコマンド信号を受信することができる一方で、他のアクチュエータは、ハプティック信号を受信しない。
【0032】
マッピングは、また、フレキシブルデバイスに適用され、例えば、スクリーンが上方にスクロールされる又は拡大されるかどうかに従ってもよく、マルチタッチスクリーンに適用されてもよい。
【0033】
マッピングを用いる実施形態は、ウェアラブルハプティックデバイスをさらに含む。例えば、一実施形態では、ハプティック出力デバイスは、マルチバイブレーションエレメントを有するリングである。ハプティックチャネルのマッピングは、リングの方向に応じて調整されることができる。例えば、現在リングの上にあるいずれかのアクチュエータは、リングの現在方向に応じて変化する。「上方向(up)」ハプティック信号(すなわち、「上方向(up)」情報を伝えるハプティック信号)を送信するとき、リングの上にある現在のアクチュエータは、上方向ハプティック効果を受信する。別の例では、ユーザは、各腕に1つのハプティカリィイネーブルドウォッチをそれぞれ身に付けていてもよい。ユーザがウォッチをスワップする場合、システム10は、どちらの腕にどちらのウォッチがあり、どちらにハプティック効果をマップするかを決定する。
【0034】
さらに、実施形態におけるマッピングは、ムービーを再生する間のような「中間(mid−stream)」を生じうる。例えば、ユーザは、タブレットでステレオ空間触覚効果(stereo spatialized tactile effects)を有するムービーを観ている場合がある。ユーザは、ムービーを一時停止し、タブレットを下に置く。ユーザが戻り、タブレットを拾い上げたとき、タブレットは、前とは反対方向である。タブレットは、これに適応するためにディスプレイ画像を回転する。さらに、実施形態は、マッピングを変更することにより、空間ハプティック画像(specialized haptic image)も回転する。
【0035】
上記で開示された実施形態は、マルチアクチュエータを含むが、一実施形態では、デバイスは、単一のアクチュエータを含んでもよい。この実施形態では、ハプティック効果は、デバイスの方向ではなく、ユーザがどのようにデバイスを保持しているかに基づいて変更される。例えば、アクチュエータが、左側にあり、かつユーザがデバイスを左側に保持している場合、ハプティック効果のマグニチュードは、相対的に弱くなる。しかし、センサ25が、ユーザがデバイスを右側に保持していることを検出した場合には、ユーザが、アクチュエータの位置から離れた距離でハプティック効果を感じることができるように、ハプティック効果のマグニチュードは、相対的に強くなる。
【0036】
開示されているように、実施形態は、他の要因のうち、デバイスの方向に基づいて、ハプティックチャネルをアクチュエータへマップする。したがって、空間ハプティック効果は、例えば、どのモバイルデバイスがユーザによって保持されているかに関わらず、常に、適切なハプティック出力デバイスによって生成される。
【0037】
本明細書では、複数の実施形態を具体的に例示および/または説明している。しかし、開示されている実施形態の修正および変更も、上述の教示の対象範囲に含まれ、本発明の精神および範囲から逸脱せずに添付の請求項の範囲内に含まれるものとする。
【要約】
ハプティカリィイネーブルドデバイスにハプティック効果を生成するシステムは、ハプティカリィイネーブルドデバイスの方向を決定し、一又はそれ以上のハプティック効果チャネルを取得する。システムは、ハプティック効果チャネルのそれぞれを、方向に基づいてハプティカリィイネーブルドデバイス上のハプティック出力デバイスへ割り当てる。
【選択図】
図1