(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1に示した自動二輪車1は、車体2と後部車軸3(後輪3A)との間にリアサスペンション10を介装し、車体2と前部車軸4(前輪4A)との間にフロントフォーク110を介装している。
【0023】
リアサスペンション10(
図2〜
図4、
図8〜
図10)
リアサスペンション10は、
図2〜
図4、
図7に示すダンパ10Aを有する。ダンパ10Aは、車体側に取付けられるダンパチューブ11と、車軸側に取付けられるピストンロッド12とを有する。ピストンロッド12は、ダンパチューブ11内をピストン24を介して摺動して該ダンパチューブ11に対して伸縮し、ダンパチューブ11とピストンロッド12の外周沿いに配置された懸架スプリング13を有する。ダンパチューブ11の上端部には車体側取付部材14が固定され、ピストンロッド12の下端部には車軸側取付部材15が固定される。
【0024】
ダンパチューブ11の上端側の外周部には後輪側車高調整装置40の油圧ジャッキ41が設けられ、油圧ジャッキ41にはジャッキ室42を区画するプランジャ43が挿入される。懸架スプリング13の上端がプランジャ43に支持され、懸架スプリング13の下端が車軸側取付部材15に設けたばね受16に支持される。
【0025】
リアサスペンション10は、ダンパチューブ11をインナチューブ21とアウタチューブ22からなる二重管とし、ピストンロッド12のインナチューブ21への挿入端にピストン24を固定して備える。リアサスペンション10は、インナチューブ21の内部にピストン24により区画される下油室25Aと上油室25Bを形成し、アウタチューブ22の外周に油溜室26を形成し、それらの油室25A、25B、油溜室26に作動油を収容している。油溜室26は常に下油室25A又は上油室25Bに連通し、リアサスペンション10の伸縮に伴うピストンロッド12の容積分の作動油を補償する。
【0026】
リアサスペンション10は、ピストンロッド12のピストン24に設けた下油室25Aと上油室25Bとの連絡路に減衰力発生装置27(
図8)を有するとともに、ダンパチューブ11に設けた上油室25Bと油溜室26との連絡路に減衰力発生装置28(
図8)を有する。減衰力発生装置27、28は、懸架スプリング13による路面からの衝撃力の吸収に伴うダンパチューブ11とピストンロッド12の伸縮振動を減衰する。
【0027】
しかるに、後輪側車高調整装置40は、
図2〜
図4、
図8に示す如く、ダンパチューブ11におけるアウタチューブ22の外周に油圧ジャッキ41を設けている。油圧ジャッキ41はジャッキ室42を区画するプランジャ43を備える。プランジャ43はジャッキ室42に供給される作動油によりジャッキ室42から突出し、その下面に懸架スプリング13の上端を支持する。
【0028】
尚、油圧ジャッキ41は、プランジャ43がジャッキ室42から突出する突出端に達したとき、ジャッキ室42の作動油を油溜室26に戻す油戻り通路44をアウタチューブ22に設けている(
図4)。
【0029】
後輪側車高調整装置40は、ダンパチューブ11に対するピストンロッド12の伸縮動によりポンピング動作して油圧ジャッキ41のジャッキ室42に作動油を給排する油圧ポンプ50を有する。
【0030】
油圧ポンプ50は、ダンパチューブ11のエンドピース11Aに立設した中空パイプ51を、ピストンロッド12の中空部によって形成されているポンプ室52に摺動可能に挿入してある。
【0031】
油圧ポンプ50は、ピストンロッド12がダンパチューブ11、中空パイプ51に進入する収縮動により加圧されるポンプ室52の作動油を油圧ジャッキ41の側に吐出させる吐出用チェック弁53を備えるとともに(
図2(B))、ピストンロッド12がダンパチューブ11、中空パイプ51から退出する伸長動により負圧になるポンプ室52にダンパチューブ11のインナチューブ21内の作動油を吸込む吸込用チェック弁54を備える(
図2(A))。
【0032】
従って、油圧ポンプ50は、車両が走行してリアサスペンション10が路面の凹凸により加振され、ピストンロッド12がダンパチューブ11、中空パイプ51に進退する伸縮動によりポンピング動作する。ピストンロッド12の収縮動によるポンピング動作により、ポンプ室52が加圧されるとき、ポンプ室52の油が吐出用チェック弁53を開いて油圧ジャッキ41の側に吐出される。ピストンロッド12の伸長動によるポンピング動作により、ポンプ室52が負圧になると、ダンパチューブ11の上油室25Bの油が吸込用チェック弁54を開いてポンプ室52に吸込まれる。
【0033】
後輪側車高調整装置40は、油圧ジャッキ41のジャッキ室42に供給した作動油を止めるように閉弁し、又は該作動油を
図3に示す如くに油溜室26(ダンパチューブ11の油室25A、25Bでも可)に排出するように開弁する切換弁60を有する。後輪側車高調整装置40は、
図8、
図9に示す如くの制御回路を有し、ECU(制御手段)70による切換弁60の開閉制御によって、ダンパチューブ11に対するピストンロッド12の伸縮動によりポンピング動作する油圧ポンプ50が油圧ジャッキ41のジャッキ室42に供給した作動油の液位、ひいてはジャッキ室42から突出するプランジャ43の突出高さを調整し、車両の車高を制御する。
【0034】
フロントフォーク110(
図5〜
図7)
フロントフォーク110は、
図5〜
図7に示す如く、ダンパ110Aを有する。ダンパ110Aは、車体側に取付けられるダンパチューブ111と、車軸側に取付けられるボトムチューブ112及びピストンロッド113を有する。ダンパチューブ111はボトムチューブ112の上端開口から該ボトムチューブ112内に摺動可能に挿入される。ピストンロッド113は、ボトムチューブ112の内部中央に立設され、ダンパチューブ111の下端側の油室125内を摺動して該ダンパチューブ111に対して伸縮する。ダンパチューブ111の上端側の油溜室126には懸架スプリング114が配置されている。ダンパチューブ111の上端部には不図示の車体側取付部材が固定され、ボトムチューブ112の下端部には車軸側取付部材115が固定される。
【0035】
ダンパチューブ111の上端部には、前輪側車高調整装置140の油圧ジャッキ141が設けられ、油圧ジャッキ141にはジャッキ室142を区画するプランジャ143が嵌合される。懸架スプリング114の上端がばね受116を介してプランジャ143に支持され、懸架スプリング114の下端がピストンロッド113の上端部に設けたエンドピース兼ばね受117に支持される。
【0036】
フロントフォーク110は、ダンパチューブ111の下端側に、ピストンロッド113の外周に摺動するピストン124を固定的に備える。フロントフォーク110は、ピストンロッド113の外周にピストン124により区画される下油室125Aと上油室125Bを形成し、ピストンロッド113の内周及びダンパチューブ111の上部内周に油溜室126を形成し、それらの油室125A、125B、油溜室126に作動油を収容している。油溜室126は常に下油室125A又は上油室125Bに連通し、フロントフォーク110の伸縮に伴うダンパチューブ111の容積分の作動油を補償する。
【0037】
フロントフォーク110は、ダンパチューブ111のピストン124に設けた下油室125Aと上油室125Bとの連絡路に減衰力発生装置127を有するとともに、ピストンロッド113に設けた下油室125A、上油室125Bと油溜室126との連絡路に減衰力発生装置128を有する。減衰力発生装置127、128は、懸架スプリング114による路面からの衝撃力の吸収に伴うダンパチューブ111とボトムチューブ112、ピストンロッド113の伸縮振動を減衰する。
【0038】
しかるに、前輪側車高調整装置140は、
図5〜
図7に示す如く、ダンパチューブ111の上端部に油圧ジャッキ141を設けている。油圧ジャッキ141はジャッキ室142を区画するプランジャ143を備える。プランジャ143はジャッキ室142に供給される作動油によりジャッキ室142から突出し、その下面に懸架スプリング114の上端を支持する。
【0039】
尚、油圧ジャッキ141は、プランジャ143がジャッキ室142から突出する突出端に達したとき、ジャッキ室142の作動油を油溜室126に戻す油戻り通路144を油圧ジャッキ141に設けている(
図7)。
【0040】
前輪側車高調整装置140は、ダンパチューブ111に対するピストンロッド113の伸縮動によりポンピング動作して油圧ジャッキ141のジャッキ室142に作動油を給排する油圧ポンプ150を有する。
【0041】
油圧ポンプ150は、ピストンロッド113のエンドピース117に立設した中空パイプ151を、プランジャ143の中空部によって形成されているポンプ室152に摺動可能に挿入してある。
【0042】
油圧ポンプ150は、ピストンロッド113、中空パイプ151がダンパチューブ111に進入する収縮動により加圧されるポンプ室152の作動油を油圧ジャッキ141の側に吐出させる吐出用チェック弁153を備えるとともに(
図5(B))、ピストンロッド113、中空パイプ151がダンパチューブ111から退出する伸長動により負圧になるポンプ室152に油溜室126の作動油を吸込む吸込用チェック弁154を備える(
図5(A))。
【0043】
従って、油圧ポンプ150は、車両が走行してフロントフォーク110が路面の凹凸により加振され、ピストンロッド113、中空パイプ151がダンパチューブ111に進退する伸縮動によりポンピング動作する。ピストンロッド113の収縮動によるポンピング動作によりポンプ室152が加圧されるとき、ポンプ室152の油が吐出用チェック弁153を開いて油圧ジャッキ141の側に吐出される。ピストンロッド113の伸長動によるポンピング動作によりポンプ室152が負圧になると、油溜室126の油が吸込用チェック弁154を開いてポンプ室152に吸込まれる。
【0044】
前輪側車高調整装置140は、油圧ジャッキ141のジャッキ室142に供給した作動油を止めるように閉弁し、又は該作動油を
図6に示す如くに油溜室126に排出するように開弁する切換弁160(不図示)を有する。前輪側車高調整装置140は、後輪側車高調整装置40において
図8、
図9に示したと同様の制御回路を有し、ECU(制御手段)70による切換弁160の開閉制御によって、ダンパチューブ111に対するピストンロッド113の伸縮動によりポンピング動作する油圧ポンプ150が油圧ジャッキ141のジャッキ室142に供給した作動油の液位、ひいてはジャッキ室142から突出するプランジャ143の突出高さを調整し、車両の車高を制御する。
【0045】
本実施例のECU70は、車高検出手段80(前輪側車高検出手段80F、後輪側車高検出手段80R)、車速センサ91(前輪車速センサ91F、後輪車速センサ91R)、シフトポジションセンサ92、Gセンサ(加減速センサ)93、サイドスタンドセンサ94、エンジン回転センサ95、ブレーキセンサ96等の検出信号を経て、電磁弁からなる切換弁60(又は切換弁160)をオン/オフ制御する。
【0046】
車高検出手段80(前輪側車高検出手段80F又は後輪側車高検出手段80R)としては、油圧ジャッキ41におけるプランジャ43(又は油圧ジャッキ141におけるプランジャ143)の突出高さ検出手段81、油圧ジャッキ41におけるジャッキ室42(又は油圧ジャッキ141におけるジャッキ室142)の油圧検出手段82、ダンパチューブ11に対するピストンロッド12(又はダンパチューブ111に対するピストンロッド113)の伸縮ストローク長検出手段83の1つ、或いはそれらの2つ以上の組合せを採用できる。
【0047】
尚、プランジャ43の突出高さ検出手段81は、具体的には、例えば
図8に示す如く、油圧ジャッキ41の外周にコイル81Aを巻き、プランジャ43に設けたカバー81Bを油圧ジャッキ41の外周に被せる。突出高さ検出手段81はプランジャ43の変位に応じてコイル81Aのインピーダンスを変化させ、コイル81Aの出力は信号処理回路81Cを介してECU70に伝えられ、ECU70は信号処理回路81Cが出力するコイル81Aの発振周波数でプランジャ43の突出高さを検出する。
【0048】
以下、自動二輪車1の車高調整動作として、単一の2ポート2位置電磁弁からなる切換弁60を用いた
図8、
図9の制御回路を採用したリアサスペンション10の後輪側車高調整装置40について詳述する。フロントフォーク110の前輪側車高調整装置140による車高調整動作も実質的に同様である。
【0049】
ECU70がオン信号を出力する車高下げ制御モードで、切換弁60が開弁して油圧ジャッキ41のジャッキ室42をダンパチューブ11の油溜室26に接続することにより、油圧ポンプ50が油圧ジャッキ41のジャッキ室42に供給した作動油を油溜室26に排出してジャッキ室42の液位、ひいてはプランジャ43の突出高さを下げ、車高下げ動作可能にする。
【0050】
他方、ECU70がオフ信号を出力する車高上げ制御モードで、切換弁60が閉弁して油圧ジャッキ41のジャッキ室42をダンパチューブ11の油溜室26に対して遮断し、油圧ポンプ50が油圧ジャッキ41のジャッキ室42に供給した作動油を排出せず、車高維持又は車高上げ動作可能にする。このとき、ピストンロッド12の前述の伸長動によるポンピング動作により、油圧ポンプ50はダンパチューブ11の下油室25Aの油を吸込用チェック弁54からポンプ室52に吸込み可能にする。そして、ピストンロッド12の前述の収縮動によるポンピング動作により、油圧ポンプ50はポンプ室52の油を吐出用チェック弁53から油圧ジャッキ41のジャッキ室42に供給し、車高上げ動作可能にする。
【0051】
尚、切換弁60は、
図8、
図9ではノーマルクローズバルブとしたが、ノーマルオープンパルブであっても良い。
【0052】
後輪側車高調整装置40による制御モードは具体的には以下の通りである。
(A)車高下げ制御モード
後輪側車高調整装置40において、ECU70は、車両の走行中又は長時間停車中にあって、切換弁60を閉弁して車高上げ動作可能にする車高上げ制御モード下で、下記1〜3のいずれかの制御条件によって切換弁60を開弁する車高下げ制御モードに移行する。
【0053】
尚、ECU70は、車高下げ制御モードに入って切換弁60を閉弁状態から開弁するとき、切換弁60を閉弁状態から開弁した当初の印加電圧(ソレノイド開弁当初電圧E1)に比し、開弁してから一定時間後の開弁保持段階でその印加電圧をソレノイド開弁保持電圧E2に下げ、切換弁60に供給するソレノイド電流を省エネ化する。例えば、E1=12V、E2=4Vである。
【0054】
また、ソレノイドが開弁保持状態にある時、一定時間の間隔で通常電圧(起動時の電圧)を付与することで、振動などにより、誤動作することを防ぐことができ、誤動作状態から復帰させることが可能となる。
【0055】
1.車速制御
ECU70は、車両の車速Vが車高下げ車速Vd以下(V≦Vd)に入ったときに、車高下げ制御モードに入り、切換弁60を開弁して車高下げ動作可能にする。
ECU70は、車高下げ車速Vdを予め定めておく。Vdは例えば10km/hとする。
【0056】
2.停車予測時間制御
ECU70は、車両の停車予測時間Tを予測し、予測した停車予測時間Tが所定の基準停車時間Ta以下(T≦Ta)になったきに、車高下げ制御モードに入り、切換弁60を開弁して車高下げ動作可能にする。
【0057】
ECU70は、車両の車速から減速度を算出し、又はGセンサから減速度を検出し、減速度から停車予測時間Tを予測する。
【0058】
ECU70は、基準停車時間Taを、油圧ジャッキ41のジャッキ室42に満杯された作動油の排出時間(ジャッキ室42から切換弁60を介してダンパチューブ11の油溜室26に排出する時間)とする。
【0059】
このとき、ECU70は、車両の停車予測時間Tを予測開始すべき基準車速Vaを予め定め、車両の車速Vが基準車速Va以下(V≦Va)になったときに、停車予測時間Tを予測するものとする。
【0060】
尚、ECU70は、停車予測時間制御において、上述のT≦Ta、かつV≦Vaなる制御条件に代え、車両の減速度αが所定の基準減速度αa以上(α≧αa)になったときに車高下げ制御モードに入り、切換弁60を開弁して車高下げ動作可能にするものとしても良い。
【0061】
ECU70は、基準車速Va、基準停車時間Ta、基準減速度αaを予め定めておく。Vaは例えば40km/h、Taは例えば2.5sec、αaは例えば4km/h/secとする。
【0062】
尚、停止予測時間とは、刻々の車両運動パラメータから予測演算される、走行中の車両が直近未来に停止するまでの時間を代表するパラメータであって、時間の次元を有する。
【0063】
実際の比較演算を行なう際には、時間の次元が比較式の両辺に分割されていたり、要素毎に比較を行なう等によって、一見「時間」の次数をとらない比較演算となる場合もある。
【0064】
例えば、最も簡単な停止時間予測の演算式のひとつはT=−V/α=−V・dt/dV(等加速度運動を仮定した場合の演算式)であるが、下記3つの比較式はすべて同一の意味となり、演算上の都合で比較方法の違いは生じても、実効上の意味はすべて停止予測時間の比較演算を行なっているものである。
T<c(cは閾値、ここではc=Ta)
V<−c・α
−α>c・V
【0065】
更に要素毎に比較を行なう例では、(V<c1)∩(−α>c2) (c1、c2は閾値)のように停止時間を算出するV、αの要素毎に比較を行ない、論理積をとる等の場合がある。
この場合は、T=−V/αより、Ta=(−c1)/(−c2)=c1/C2と表せる。
【0066】
3.サイドスタンド制御
ECU70は、車両のサイドスタンドが待機位置から作業位置に設定替えされたことを検出したときに車高下げ制御モードに入り、切換弁60を開弁して車高下げ動作可能にする。また、車速を監視して、車速が微速以上(例えば5km/s)ある場合はスタンド位置が、作業位置にあっても、下げ制御を行なわないで、車速が0の場合のみ下げ制御を実施する様な制御を行なうことができる。
【0067】
(B)車高上げ制御モード
後輪側車高調整装置40において、ECU70は、上述(A)により切換弁60を開弁保持した車高下げ制御モード中に、下記1〜4のいずれかの制御条件によって切換弁60を閉弁する車高上げ制御モードに移行する。
【0068】
尚、ECU70は、車高上げ制御モードに入って切換弁60を開弁状態から閉弁するとき、切換弁60への印加電圧E0をオフする(E0=OV)。
【0069】
1.車速制御
ECU70は、車両の車速Vが車高下げ車速Vd(車高下げ車速Vdとは独立に定めた車高上げ車速Vuでも可)を越えた(V>Vd、又はV>Vu)ときに、車高下げ制御モードを中止し、車高上げ制御モードに入り、切換弁60を閉弁して車高上げ動作可能にする。
【0070】
ECU70は、車高下げ車速Vd(又は車高上げ車速Vu)を予め定めておく。Vd又はVuは例えば40km/hとする。
【0071】
2.停車予測時間制御
ECU70は、車両の停車予測時間Tを予測し、予測した停車予測時間Tが所定の副次的基準停車時間Tbを越えた(T>Tb)ときに、車高下げ制御モードを中止し、車高上げ制御モードに入り、切換弁60を閉弁して車高上げ動作可能にする。
【0072】
ECU70は、車両の停車予測時間Tを、車両の減速度(又は加速度)から予測する。
このとき、ECU70は、車両の停車時間Tを予測開始すべき副次的基準車速Vbを予め定め、車両の車速Vが副次的基準車速Vbを越えた(V>Vb)ときに、停車予測時間Tを予測するものとする。
【0073】
尚、ECU70は、停車予測時間制御において、上述のT>Tb、かつV>Vbなる制御条件に代え、車両の加速度βが所定の基準加速度βbを越えた(β>βb)ときに、車高下げ制御モードを中止し、車高上げ制御モードに入り、切換弁60を閉弁して車高上げ動作可能にするものとしても良い。
【0074】
ECU70は、副次的基準車速Vb、副次的基準停車時間Tb、基準加速度βbを予め定めておく。Vbは例えば40km/h、Tbは例えば3sec、βbは例えば5km/h/secとする。
【0075】
3.長時間停車制御
ECU70は、車両の停車時間が所定の継続停車時間Tc以上になったときに、車高下げ制御モードを中止し、車高上げ制御モードに入り、切換弁60を閉弁して車高上げ動作可能にする。
ECU70は、車両の継続停車時間Tcを予め定めておく。Tcは例えば30secとする。
【0076】
4.ニュートラル制御
ECU70は、車両の車速V=0、かつシフトポジションがニュートラルのときに、車高下げ制御モードを中止し、車高上げ制御モードに入り、切換弁60を閉弁して車高上げ動作可能にする。
【0077】
(C)車高保持モード
後輪側車高調整装置40において、ECU70は、車両の走行中にあって、車高検出手段80(後輪側車高検出手段80R)の検出結果によって切換弁60を開閉制御することにより、車高を予め所望により設定した任意の中間高さ位置に保持する。
【0078】
即ち、ECU70が切換弁60をオフ作動(車高上げ制御モード)からオン作動に切換えて開弁し、車高下げ開始する車高の上しきい値をH1に設定し、ECU70が切換弁60をオン作動(車高下げ制御モード)からオフ作動に切換えて閉弁し、車高上げ開始する車高の下しきい値をH2に設定する。これにより、ECU70は、車高検出手段80の検出結果によって、自動二輪車1の走行中の車高を、
図10に示す如く、H1とH2に挟まれる中間高さ位置に保持するものになる。
【0079】
従って、このような後輪側車高調整装置40によれば、車高は、油圧ジャッキ41におけるプランジャ43の最高突出可能端が定める最大高さ位置と、油圧ジャッキ41におけるプランジャ43の最低没入可能端が定める最小高さ位置との間で、任意の中間高さ位置に保持され得る。
【0080】
また、車高の切換手段たる切換弁60として電磁弁を採用することにより、車高を瞬時に切換えできる。
【0081】
尚、車高検出手段80(後輪側車高検出手段80R)として、油圧ジャッキ41におけるプランジャ43の突出高さ検出手段81を採用することにより、検出時の車高を推測できる。
【0082】
また、車高検出手段80(後輪側車高検出手段80R)として、油圧ジャッキ41におけるジャッキ室42の油圧検出手段82を採用することにより、検出時の車高を推測できる。このとき、油圧検出手段82の検出結果をフィルタ(ローパス)にかけることによって、車重(積載荷重)を推定できる。車重が重くて車高が下がり気味のときには、車高を上げてダンパ10Aの底突を回避する。車重が軽くて車高が上がり気味のときには、車高を下げてダンパ10Aの伸切を回避する。
【0083】
また、車高検出手段80(後輪側車高検出手段80R)として、ダンパチューブ11に対するピストンロッド12の伸縮ストローク長検出手段83を採用することにより、検出時の車高を推測できる。このとき、伸縮ストローク長検出手段83の検出結果をフィルタ(バンドパス)にかけることによって路面の凹凸状況(振幅状況)を推定できる。路面の振幅が大きいときには、車高を上げてダンパ10Aの底突を回避し、又は車高を適宜高さに調整してダンパ10Aの底突と伸切の双方を回避する。路面の振幅が小さいときには、オンロード車であれば風の抵抗を緩和するために車高を下げ、オフロード車であれば車両の前後の揺れ(ピッチング)を防ぐために車高を下げる。
【0084】
(D)付帯装置制御モード
後輪側車高調整装置40において、ECU70は、後輪側車高調整手段80Rの検出信号により、車両に付帯する付帯装置、例えばヘッドライト210、サイドスタンド220、バックミラー230、ABS付きブレーキ240、表示装置250等を以下の如くに制御する。
【0085】
(ヘッドライト210)
ECU70は、後輪側車高検出手段80Rの検出信号により、ヘッドライト210の光軸の位置、傾き等を車高に応じて最適状態に調整する。このとき、ECU70は、ヘッドライト210のためのECU211を介する。
【0086】
これにより、車高が如何様に変化しても、ヘッドライト210の光軸をそれらの車高に応じて適宜な光軸となるように設定替えし、結果としてライダー自身のための適正な照明範囲を確保し、或いは対向車の視界を損なうおそれを排除できる。
【0087】
(サイドスタンド220)
ECU70は、後輪側車高検出手段80Rの検出信号により、サイドスタンド220の長さを車両停車時の車高に応じて調整する。このとき、ECU70は、サイドスタンド220のためのECU221を介する。
【0088】
即ち、車高が高い状態で停車した場合にサイドスタンド220が届かずに車両が転倒する可能性もあるので、車高が高い状態で停車した場合には、サイドスタンド220を伸ばし、安定して停車できるようにする必要があり、停車時の車高を検出し、サイドスタンド220の長さを調整する。
【0089】
(バックミラー230)
ECU70は、後輪側車高検出手段80Rの検出信号により、バックミラー230の位置を車高に応じて調整する。このとき、ECU70は、バックミラー230のためのECU231を介する。
【0090】
即ち、車高が如何様に変化しても、バックミラー230の位置をそれらの車高に応じて適宜な位置となるように設定替えし、結果として後方視認の確実を図る。
【0091】
(ABS付きブレーキ240)
ECU70は、後輪側車高検出手段80Rの検出信号により、ブレーキ240のABSを作動させる車輪速の減速変化率のしきい値を車高に応じて調整する。このとき、ECU70は、ABS付きブレーキ240のためのECU241を介する。
即ち、車高が如何様に変化しても、ABSによる安定したブレーキ操作性を確保できる。
【0092】
(表示装置250)
ECU70は、後輪側車高検出手段80Rの検出信号により、表示装置250に車高を表示する。このとき、ECU70は、表示装置250のためのECU251を介する。
【0093】
以上、自動二輪車1において、リアサスペンション10に採用した後輪側車高調整装置40の車高調整動作について説明したが、フロントフォーク110に採用した前輪側車高調整装置140においても、前輪側車高検出手段80Fの検出結果を用いて、後輪側車高調整装置40による上述の(A)車高下げ制御モード、(B)車高上げ制御モード、(C)車高保持モード、(D)付帯装置制御モードと実質的に同一の車高調整動作を行なうことができる。
【0094】
(E)前後の車高連動制御モード
次に、自動二輪車1におけるリアサスペンション10の車高調整動作を、フロントフォーク100による車高調整動作と連動する車高連動制御モードについて説明する。
【0095】
即ち、リアサスペンション10の後輪側車高調整装置40は、ピストンロッド12の伸縮動によりポンピング動作して作動油を吐出する油圧ポンプ50と、油圧ポンプ50が吐出する作動油により突出するプランジャ43を備える油圧ジャッキ41と、油圧ジャッキ41のプランジャ43に支持される懸架スプリング13とを有し、リアサスペンション10に付帯する後輪側車高検出手段80Rの検出結果により油圧ジャッキ41を作動制御し、後輪側車高を調整する。
【0096】
また、フロントフォーク110の前輪側車高調整装置140は、ピストンロッド113の伸縮動によりポンピング動作して作動油を吐出する油圧ポンプ150と、油圧ポンプ150が吐出する作動油により突出するプランジャ143を備える油圧ジャッキ141と、油圧ジャッキ141のプランジャ143に支持される懸架スプリング114とを有し、フロントフォーク110に付帯する前輪側車高検出手段80Fの検出結果により油圧ジャッキ141を作動制御し、前輪側車高を調整する。
【0097】
そして、自動二輪車1にあっては、リアサスペンション10の後輪側車高調整装置40が有する油圧ジャッキ41の作動制御による後輪側車高の調整動作と、フロントフォーク110の前輪側車高調整装置140が有する油圧ジャッキ141の作動制御による前輪側車高の調整動作とを連動させて車高を調整する。これにより、自動二輪車1の車高が変化してもライダーの運転姿勢の安定を図ることができる。
【0098】
従って、自動二輪車1において、ECU70は、後輪側車高調整装置40による後輪側車高の調整動作と、前輪側車高調整装置140による前輪側車高の調整動作とを同期させて車高を調整することができる。これにより、前後の車軸3、4に対して車体2を上下平行に変位し、ライダーの運転姿勢の安定を維持し得るものになる。
【0099】
また、自動二輪車1において、ECU70は、後輪側車高調整装置40と前輪側車高調整装置140によって車高を下げ動作するとき、後輪側車高調整装置40による後輪側車高の下げ動作を、前輪側車高調整装置140による前輪側車高の下げ動作よりも先行させて車高を調整することができる。これにより、後輪側の車高を先に下げ、停車時の足付き性を向上できる。
【0100】
また、停車時のブレーキ操作によって既に前のめり気味の車体2を後輪側から先に下げ動作させ、次に前輪側も下げ動作させることにより、車体2の前のめりを緩和できる。
【0101】
急加速時には、前輪側の車高を下げ、ライダーの姿勢を安定させ、更に急加速時の度合いによっては、前輪側車高下げ及び後輪側の車高を下げ、姿勢を安定し、後輪のスリップを防止することもできる。
【0102】
ポンプ機構の故障により、左右又は前後のどちらか一方が動作しない場合は、次のように制御を行う。
【0103】
i.左右の一方が故障した場合には、片側だけで、車高調整制御を行い、故障側の制御は中止することで、完全に満足できないまでも、車高調整が行われることで、姿勢を安定させることが可能である。
【0104】
ii.前後の一方が故障した場合には、後輪側が故障の場合は、前輪側は上げ状態で停止させ、ブレーキ時の底付を防止し安全性を確保する。また、前輪側が故障した場合には、後輪側は、制御中止し、油圧回路に従って上げ又は下げ側に固定される。
【0105】
尚、リアサスペンション10とフロントフォーク100の車高連動制御モードにおいて、リアサスペンション10の油圧ジャッキ41とフロントフォーク100の油圧ジャッキ141に作動油を供給する油圧ポンプとして、リアサスペンション10がピストンロッド12の伸縮動によりポンピング動作して作動油を吐出する油圧ポンプ50を共用するものでも良い。但し、フロントフォーク100がピストンロッド124の伸縮動によりポンピング動作して作動油を吐出する油圧ポンプ150を上述のリアサスペンション10とフロントフォーク100の車高連動のための油圧ポンプとして共用することもできる。
【0106】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、切換弁60は電磁弁に頼らず、回転式、ポペット式等の他の方式の電気操作可能な弁であっても良い。