(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6266880
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】車両の回生ブレーキシステムを作動させるための方法および回生ブレーキシステムのための制御装置
(51)【国際特許分類】
B60T 8/17 20060101AFI20180115BHJP
B60L 7/24 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
B60T8/17 C
B60L7/24 D
【請求項の数】17
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-275532(P2012-275532)
(22)【出願日】2012年12月18日
(65)【公開番号】特開2013-126867(P2013-126867A)
(43)【公開日】2013年6月27日
【審査請求日】2015年12月17日
(31)【優先権主張番号】10 2011 088 942.6
(32)【優先日】2011年12月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100096013
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100114487
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 幸作
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・クンツ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・シュトレンゲルト
【審査官】
杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−310728(JP,A)
【文献】
特表2011−520680(JP,A)
【文献】
特開2008−230514(JP,A)
【文献】
特開2006−143099(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 7/12 − 8/96
B60L 7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の回生ブレーキシステムを作動させるための方法において、
車両の少なくとも1つのホイールに加えられる、ブレーキシステムの発電機の発電機-ブレーキトルクを増大し、増大された発電機-ブレーキトルクに関する差分値(104)およびブレーキシステムの所定の液圧作用-特性線(108)を考慮して、ブレーキシステムのブレーキマスタシリンダ(18)および/または少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)からブレーキシステムの少なくとも1つの蓄圧器容積(48a,48b)へ移動されるべきブレーキ液容積に関する目標値(110)を規定し、規定された目標値(110)に対応した実際-ブレーキ液容積をブレーキマスタシリンダ(18)および/または少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)から少なくとも1つの蓄圧器容積(48a,48b)内へ移動するステップ(S1)と、
発電機-ブレーキトルクを低減し、既に少なくとも1つの蓄圧器容積(48a,48b)内へ移動された実際-ブレーキ液容積を1つの蓄圧器容積(48a,48b)から少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)へ少なくとも部分的に移動するステップ(S2)と、
少なくとも1つの蓄圧器容積(48a,48b)から少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)へ少なくとも部分的に移動された実際-ブレーキ液容積に対するブレーキシステムの液圧応答に関する少なくとも1つの応答値(124)を検出するステップ(S3)であって、前記少なくとも1つの応答値(124)は、(i)ブレーキ圧・差分容積比、(ii)ブレーキ圧・運転手ブレーキ力比、(iii)ブレーキ圧・運転手ブレーキ圧比、および、(iv)ブレーキ圧・運転手ブレーキストローク比のすくなくともいずれか1つと対応しているステップ(S3)と、
検出された少なくとも1つの応答値(124)を少なくとも考慮してブレーキシステムの液圧作用-特性線(108)を更新するステップ(S4)と、
を実施する、車両の回生ブレーキシステムを作動させるための方法。
【請求項2】
前記規定された目標値(110)に対応した実際-ブレーキ液容積を前記ブレーキマスタシリンダ(18)、および/または、前記少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)から少なくとも1つの蓄圧器容積(48a,48b)である少なくとも1つのプランジャ内へ移動する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)の少なくとも1つの弁(34a,34b,42a,42b,44a,44b)を少なくとも部分的に開放することにより、前記規定された目標値(110)に対応した実際-ブレーキ液容積を前記ブレーキマスタシリンダ(18)、および/または、前記少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)から前記少なくとも1つの蓄圧器容積(48a,48b)である少なくとも1つの蓄圧室(48a,48b)へ移動し、
少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)の少なくとも1つのポンプ(46a,46b)によって、実際-ブレーキ液容積を少なくとも1つの蓄圧器容積(48a,48b)である少なくとも1つの蓄圧室(48a,48b)から少なくとも部分的に送出する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)の少なくとも1つのホイール吐出弁(42a,42b,44a,44b)を少なくとも1つの弁(42a,42b,44a,44b)として少なくとも一時的に開放する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)の少なくとも1つの高圧切換弁(34a,34b)を少なくとも1つの弁(34a,34b)として開放する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの蓄圧器容積(48a,48b)から前記少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)へ移動された実際-ブレーキ液容積に対するブレーキシステムの液圧応答に関して検出された少なくとも1つの応答値(124)と少なくとも1つの所定の最小値(128)とを比較し(S5)、
検出された少なくとも1つの応答値(124)が少なくとも1つの所定の最小値(128)を超えた場合には、少なくとも1つの蓄圧器容積(48a,48b)内に残留容積がまだ存在しているにもかかわらず、既に少なくとも1つの蓄圧器容積(48a,48b)内へ移動された実際-ブレーキ液容積の、少なくとも1つの蓄圧器容積(48a,48b)から少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)への移動を終了する(S6)、
請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
既に前記少なくとも1つの蓄圧器容積(48a,48b)内へ移動された実際-ブレーキ液容積を少なくとも1つの蓄圧器容積(48a,48b)から前記少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)内へ完全に移動し、
少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)へ実際-ブレーキ液容積(48a,48b)を移動した後に検出された少なくとも1つの応答値(124)が所定の最小値(128)を下回っている場合には、追加ブレーキ液容積を前記ブレーキマスタシリンダ(18)、および/または、ブレーキ液リザーバ(26)から少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)へ移動する(S7)、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)の開放された少なくとも1つの高圧切換弁(34a,34b)を介して、前記追加ブレーキ液容積をブレーキマスタシリンダ(18)、および/または、ブレーキ液リザーバ(26)から少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)へ移動する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ブレーキシステムの前記液圧作用-特性線(108)が、ブレーキシステムの圧力/容積-特性線を含む、請求項1から8までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの加速プロセス(S8)の後に、
回生ブレーキシステムにより純粋に液圧によるブレーキを実施し、この場合に前記ブレーキマスタシリンダ(18)に配置されたブレーキ操作部材(28)の操作にもかかわらず、ゼロに等しい発電機-ブレーキトルクを保持し、ブレーキシステムの少なくとも1つのホイールブレーキキャリパによって、車両の少なくとも1つのホイールに液圧ブレーキトルクのみを加えるステップ(S9)と、
ブレーキ操作部材(28)の操作におけるブレーキ操作強度に関する少なくとも1つのブレーキ操作強度値およびブレーキ操作部材(28)の操作に対するブレーキシステムの液圧応答に関する少なくとも1つの圧力生成値(136)を検出するステップ(S10)と、
ブレーキ操作部材(28)の操作に対するブレーキシステムの液圧応答に関して検出された少なくとも1つの圧力生成値(136)を少なくとも考慮して、ブレーキシステムの前記液圧作用-特性線(108)を更新するステップ(S11)と、
を実施する、請求項1から9までにいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
回生ブレーキシステムのための制御装置(100)において、
ブレーキシステムの発電機の増大された発電機-ブレーキトルクに関する第1差分値(104)および発電機の低減された発電機-ブレーキトルクに関する第2差分値(116)が受信可能であり、受信した第1差分値(104)およびブレーキシステムにおける所定の液圧作用-特性線(108)を考慮して、ブレーキシステムの少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)からブレーキシステムの少なくとも1つの蓄圧器容積(48a,48b)へ移動されるべきブレーキ液容積に関する第1目標値(110)を規定可能であり、受信した第2差分値(116)および所定の液圧作用-特性線(108)を考慮して、少なくとも1つの蓄圧器容積(48a,48b)から少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)へ移動されるべき補正-ブレーキ液容積に関する第2目標値(116)を規定可能な補完装置102と;
第1目標値(110)に対応した少なくとも1つの第1制御信号(114)を少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)の少なくとも1つの第1構成要素(34a,34b,42a,42b,44a,44b)に出力可能であり、これにより、少なくとも1つの制御された構成要素(34a,34b,42a,42b,44a,44b)によって、規定された第1目標値(110)に対応した実際-ブレーキ液容積がブレーキマスタシリンダ(18)および/または少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)から少なくとも1つの蓄圧器容積(48a,48b)へ移動可能であり、第2目標値(118)に対応した少なくとも1つの第2制御信号(120)が少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)の少なくとも1つの第1構成要素(34a,34b,42a,42b,44a,44b)、および/または、少なくとも1つの第2構成要素(46a,46b)に出力可能であり、これにより、既に少なくとも1つの蓄圧器容積(48a,48b)内へ移動された実際-ブレーキ液容積が少なくとも1つの蓄圧器容積(48a,48b)から少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)へ少なくとも部分的に移動可能である制御装置(112)と;
少なくとも1つの蓄圧器容積(48a,48b)から少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)へ少なくとも部分的に移動された実際-ブレーキ液容積に対するブレーキシステムの液圧応答に関する少なくとも1つの応答値(124)を受信可能であり、少なくとも1つの蓄圧器容積(48a,48b)から少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)へ少なくとも部分的に移動された-実際ブレーキ液容積に対するブレーキシステムの液圧応答に関して検出された少なくとも1つの応答値(124)を少なくとも考慮して、ブレーキシステムの液圧作用-特性線(108)を更新可能である特性線-規定装置(122)とを備える、回生ブレーキシステムのための制御装置(100)であって、
前記少なくとも1つの応答値(124)は、(i)ブレーキ圧・差分容積比、(ii)ブレーキ圧・運転手ブレーキ力比、(iii)ブレーキ圧・運転手ブレーキ圧比、および、(iv)ブレーキ圧・運転手ブレーキストローク比のすくなくともいずれか1つと対応している、
制御装置(100)。
【請求項12】
少なくとも1つの第1制御信号(114)によって、少なくとも1つの前記ブレーキ回路(10,12)の少なくとも1つの弁(34a,34b,42a,42b,44a,44b)が少なくとも一時的に開放された状態に制御可能であり、少なくとも1つの第2制御信号(120)によって、少なくとも1つの前記ブレーキ回路(10,12)の少なくとも1つのポンプ(46a,46b)が作動可能である、請求項11に記載の制御装置(100)。
【請求項13】
前記制御装置(100)がさらに比較装置(126)を含み、該比較装置(126)によって、少なくとも1つの前記蓄圧器容積(48a,48b)から少なくとも1つの前記ブレーキ回路(10,12)へ少なくとも部分的に移動された実際-ブレーキ液容積に対するブレーキシステムの液圧応答に関して検出された少なくとも1つの応答値(124)と、少なくとも1つの所定の最小値(128)とが比較可能であり、適宜な差分信号(130)が制御装置(112)に出力可能であり、
さらに制御装置(112)が、
検出された少なくとも1つの応答値(124)が少なくとも1つの所定の最小値(128)を超えている場合には少なくとも1つの第1構成要素(34a,34b,42a,42b,44a,44b)、および/または、少なくとも1つの第2構成要素(46a,46b)に少なくとも1つの第3制御信号(132)を出力し、これにより、少なくとも1つの蓄圧器容積(48a,48b)内に残留容積がまだ存在しているにもかかわらず、既に少なくとも1つの蓄圧器容積(48a,48b)内へ移動された実際-ブレーキ液容積の、少なくとも1つの蓄圧器容積(48a,48b)から少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)への移動が終了可能となるように構成されており、実際-ブレーキ液容積が少なくとも1つの蓄圧器容積(48a,48b)から少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)へ完全に移動された後に、検出された少なくとも1つの応答値(124)が少なくとも1つの所定の最小値(128)を下回っている場合には、少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)の少なくとも1つの第3構成要素(34a,34b)に少なくとも1つの第4制御信号(134)を出力し、これにより、ブレーキマスタシリンダ(18)、および/または、ブレーキ液リザーバ(26)から少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)へ追加ブレーキ液容積が移動可能となるように構成されている、請求項11または12に記載の制御装置(100)。
【請求項14】
さらに特性線-規定装置(122)が、純粋に液圧による制動時にブレーキ操作部材(28)の操作におけるブレーキ操作強度に対するブレーキシステムの液圧応答に関する少なくとも1つの圧力生成値(136)を受信し、ブレーキ操作部材(28)の操作に対するブレーキシステムの液圧応答に関して検出された少なくとも1つの圧力生成値(136)を考慮して、ブレーキシステムの液圧作用-特性線(108)を更新するように構成されている、請求項11から13までのいずれか一項に記載の制御装置(100)。
【請求項15】
請求項11から14までのいずれか一項に記載の制御装置(100)を備える、回生ブレーキシステム。
【請求項16】
車両の回生ブレーキシステムを作動させるための方法において、
車両の少なくとも1つのホイールに加えられる、ブレーキシステムの発電機の発電機-ブレーキトルクを増大し、増大された発電機-ブレーキトルクに関する差分値(104)およびブレーキシステムの所定の液圧作用-特性線(108)を考慮して、ブレーキシステムのブレーキマスタシリンダ(18)および/または少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)からブレーキシステムの少なくとも1つの蓄圧器容積(48a,48b)へ移動されるべきブレーキ液容積に関する目標値(110)を規定し、規定された目標値(110)に対応した実際-ブレーキ液容積をブレーキマスタシリンダ(18)および/または少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)から少なくとも1つの蓄圧器容積(48a,48b)内へ移動するステップ(S1)と、
発電機-ブレーキトルクを低減し、既に少なくとも1つの蓄圧器容積(48a,48b)内へ移動された実際-ブレーキ液容積を1つの蓄圧器容積(48a,48b)から少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)へ少なくとも部分的に移動するステップ(S2)と、
少なくとも1つの蓄圧器容積(48a,48b)から少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)へ少なくとも部分的に移動された実際-ブレーキ液容積に対するブレーキシステムの液圧応答に関する少なくとも1つの応答値(124)を検出するステップ(S3)と、
前記少なくとも1つの蓄圧器容積(48a,48b)から前記少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)へ移動された実際-ブレーキ液容積に対するブレーキシステムの液圧応答に関して検出された少なくとも1つの応答値(124)と少なくとも1つの所定の最小値(128)とを比較するステップ(S5)と、
検出された少なくとも1つの応答値(124)が少なくとも1つの所定の最小値(128)を超えた場合には、少なくとも1つの蓄圧器容積(48a,48b)内に残留容積がまだ存在しているにもかかわらず、既に少なくとも1つの蓄圧器容積(48a,48b)内へ移動された実際-ブレーキ液容積の、少なくとも1つの蓄圧器容積(48a,48b)から少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)への移動を終了するステップ(S6)と、
を実施する、車両の回生ブレーキシステムを作動させるための方法。
【請求項17】
車両の回生ブレーキシステムを作動させるための方法において、
車両の少なくとも1つのホイールに加えられる、ブレーキシステムの発電機の発電機-ブレーキトルクを増大し、増大された発電機-ブレーキトルクに関する差分値(104)およびブレーキシステムの所定の液圧作用-特性線(108)を考慮して、ブレーキシステムのブレーキマスタシリンダ(18)および/または少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)からブレーキシステムの少なくとも1つの蓄圧器容積(48a,48b)へ移動されるべきブレーキ液容積に関する目標値(110)を規定し、規定された目標値(110)に対応した実際-ブレーキ液容積をブレーキマスタシリンダ(18)および/または少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)から少なくとも1つの蓄圧器容積(48a,48b)内へ移動するステップ(S1)と、
発電機-ブレーキトルクを低減し、既に少なくとも1つの蓄圧器容積(48a,48b)内へ移動された実際-ブレーキ液容積を1つの蓄圧器容積(48a,48b)から少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)へ少なくとも部分的に移動するステップ(S2)と、
少なくとも1つの蓄圧器容積(48a,48b)から少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)へ少なくとも部分的に移動された実際-ブレーキ液容積に対するブレーキシステムの液圧応答に関する少なくとも1つの応答値(124)を検出するステップ(S3)と、
既に前記少なくとも1つの蓄圧器容積(48a,48b)内へ移動された実際-ブレーキ液容積を少なくとも1つの蓄圧器容積(48a,48b)から前記少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)内へ完全に移動するステップと、
少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)へ実際-ブレーキ液容積(48a,48b)を移動した後に検出された少なくとも1つの応答値(124)が所定の最小値(128)を下回っている場合には、追加ブレーキ液容積を前記ブレーキマスタシリンダ(18)、および/または、ブレーキ液リザーバ(26)から少なくとも1つのブレーキ回路(10,12)へ移動するステップ(S7)と、
を実施する、車両の回生ブレーキシステムを作動させるための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の回生ブレーキシステムを作動させるための方法に関する。同様に、本発明は、回生ブレーキシステムのための制御装置および回生ブレーキシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ドイツ国特許出願公開第19604134号明細書には、電気式駆動装置および2つのブレーキ回路を備える自動車のブレーキ装置を制御するための方法および装置が記載されている。同時にバッテリを充電するために電気式駆動装置を使用しながら車両を制動する場合には、両方のブレーキ回路のホイールブレーキシリンダによって少なくとも1つのホイールに加えられる液圧ブレーキトルク(力)は、ブレーキペダルの操作にも関わらず低減/停止される。このために、ブレーキペダルの操作によってブレーキマスタシリンダからホイールブレーキシリンダへ移動される圧力媒体に反作用を及ぼし、この場合に、両方のブレーキ回路の吐出弁を開放することによりブレーキマスタシリンダから移動される加圧媒体は両方のブレーキ回路の蓄圧室内へ案内される。このようにして、電気式駆動装置によって実施された回生ブレーキが補完可能であることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】ドイツ国特許出願公開第19604134号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、従来技術の欠点が取り除かれ、改善された、車両の回生ブレーキシステムを作動させるための方法、回生ブレーキシステムのための制御装置および回生ブレーキシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、請求項1の特徴を有する車両の回生ブレーキシステムを作動させるための方法、請求項11の特徴を有する回生ブレーキシステムのための制御装置および請求項15の特徴を有する回生ブレーキシステムを提供することである。
【0006】
本発明は、ブレーキシステムの液圧作用特性線の変化、特にブレーキシステムの圧力/容積特性の変化の補正が比較的簡単に実施可能となることを保障する。この場合、ブレーキシステムの液圧作用特性線、例えば、圧力/容積特性線の新たな規定により老朽化現象および/または変化した(増減した)遊びに信頼性良く適合させることができる。ブレーキシステムの液圧作用特性線の新たな規定が信頼性良く実現可能であることにより、ブレーキシステムの少なくとも1つのホイールブレーキキャリパの液圧ブレーキトルクによってブレーキシステムの発電機における発電機ブレーキモーメントを補完する場合に生じるエラーを信頼性良く抑制/防止することができる。従来技術ではこのようなエラーによって生じる場合のある減速度変動を本発明により信頼性良く防止することができる。
【0007】
したがって、本発明は、回生ブレーキシステムの使用者にとってブレーキ快適性が改善されることを保障する。ブレーキシステムの液圧作用特性線の新たな規定が簡単に信頼性良く実施可能であることにより、ブレーキシステムの発電機における発電機ブレーキトルクの時間変化にも関わらず、運転手による所定総車両減速度を信頼性良く保持することができる。この場合、少なくとも1つのブレーキ回路と少なくとも1つの蓄圧器容積との間におけるブレーキ液の移動により、ブレーキシステムの少なくとも1つのホイールブレーキキャリパに液圧ブレーキトルクを適合させ、これにより、発電機ブレーキトルクの時間変化が比較的大きい場合にも、運転手による所定総車両減速度が(ほぼ)一定に保持される。特にこのようにして発電機を頻繁に使用することができ、車両バッテリを迅速に充電するために十分に高い回生効率が達成可能となる。本発明は、例えば、車両バッテリが既に充電され、および/または車両速度が最小発電機使用時の速度を下回っており、発電機ブレーキトルクの代替が不可欠であるに場合の調節に際し運転手を支援するので、回生効率をさらに高めることができる。したがって、運転手は、運転手ブレーキ力の増大による発電機ブレーキトルクの不足をブレーキ操作部材の動的操作によって自ら補足する必要はない。したがって、運転手がブレーキ操作部材の動的操作によってまだ補足することができる最大値に発電機ブレーキトルクをこれまでのように制限することは不要となる。
【0008】
本発明による実施形態では、規定された目標値に対応した実際ブレーキ液容積(量)がブレーキマスタシリンダおよび/または少なくとも1つのブレーキ回路から少なくとも1つの蓄圧器容積である少なくとも1つのプランジャ内へ移動される。したがって、発電機ブレーキトルクを補完するために、安価で、比較的小さい構成スペースを必要とする構成部材を使用することができる。
【0009】
別の有利な実施形態では、規定された目標値に対応した実際ブレーキ液容積が、少なくとも1つのブレーキ回路の少なくとも1つの弁の少なくとも部分的な開放によりブレーキマスタシリンダおよび/または少なくとも1つのブレーキ回路から、少なくとも1つの蓄圧器容積である蓄圧室へ移動される。さらに、少なくとも1つのブレーキ回路の少なくとも1つのポンプによって少なくとも1つの蓄圧器容積である少なくとも1つの蓄圧室から実際ブレーキ液容積を少なくとも部分的に送出することができる。このようにして、経時変化する発電機ブレーキトルクの補間を信頼性良く迅速に実施することが可能となる。
【0010】
例えば、少なくとも1つの弁である少なくとも1つのブレーキ回路の少なくとも1つのホイール吐出弁を少なくとも一時的に開放することができる。したがって、ここで説明した方法を実施するために、一般に既にブレーキ回路に設けられている構成要素を使用することができる。
【0011】
同様に、少なくとも1つの弁である少なくとも1つのブレーキ回路の少なくとも1つの高圧切換弁を開放することもできる。従来は既にブレーキシステム内に設けられている少なくとも1つの高圧切換弁を用いて、経時変化する発電機ブレーキトルクを補完することにより、本発明により作動されるブレーキシステムの所要構成スペースが比較的小さく、製造コストが比較的低くなることを保障することができる。
【0012】
有利な改良形態では、少なくとも1つの蓄圧器容積から少なくとも1つのブレーキ回路へ少なくとも部分的に移動された実際-ブレーキ液容積に対するブレーキシステムの液圧応答に関して検出された応答値が、少なくとも1つの所定の最小値と比較される。検出された少なくとも1つの応答値が少なくとも1つの所定の最小値を超えた場合には、少なくとも1つの蓄圧器容積内に残留容積がまだ存在しているにもかかわらず、既に少なくとも1つの蓄圧器容積内へ移動された実際-ブレーキ液容積の、少なくとも1つの蓄圧器容積から少なくとも1つのブレーキ回路への移動は終了される。このようにして、ブレーキ液容積が少なくとも1つの蓄圧器容積から少なくとも1つのブレーキ回路へ完全に移動され、少なくとも1つのブレーキ回路内に高すぎる圧力が生成されることを防止することができる。したがって、ブレーキシステムの圧力/容積特性線の変化が突然に生じた場合にも、経時的に減少する発電機-ブレーキトルクを補完する場合に少なくとも1つのホイールブレーキキャリパ内に大きすぎるブレーキ圧が生成されることを防止することができる。
【0013】
付加的に、既に少なくとも1つの蓄圧器容積内へ移動された実際-ブレーキ液容積は、少なくとも1つの蓄圧器容積から少なくとも1つのブレーキ回路内へ完全に移動することができる。この場合、少なくとも1つのブレーキ回路へ実際ブレーキ液容積を移動した後に、検出された少なくとも1つの応答値が所定の最小値を下回っている場合には、追加ブレーキ液容積がブレーキマスタシリンダおよび/またはブレーキ液リザーバから少なくとも1つのブレーキ回路へ移動される。このようにして、ブレーキシステムの圧力/容積-特性線の変化が急激に生じ、実際-ブレーキ液容積が完全に移動された後にも少なくとも1つのホイールブレーキキャリパ内に所望のブレーキ圧がまだ提供されていない場合であっても、移動された追加ブレーキ液容積によって少なくとも1つのホイールブレーキキャリパのより高い液圧ブレーキトルクを設定することができる。したがって、このような状況においても経時的に減少する発電機-ブレーキトルクを実際-ブレーキ液容積および追加ブレーキ液容積の移動により信頼性良く補正することができる。
【0014】
例えば、少なくとも1つのブレーキ回路の開放された少なくとも1つの高圧切換弁を介してブレーキマスタシリンダから少なくとも1つのブレーキ回路へ追加ブレーキ液容積を移動することができる。これにより、既にブレーキシステム内に設けられていることの多い構成要素を、追加ブレーキ液容積を移動するためにも使用することができる。
【0015】
好ましくは、ブレーキシステムの液圧作用-特性線は、ブレーキシステムの圧力/容積-特性線を含むか、または圧力/容積-特性線である。しかしながら、新たに規定可能な液圧作用-特性線は、圧力/容積-特性線に制限されていないことを指摘しておく。
【0016】
別の有利な改良形態では、少なくとも1つの加速プロセス後に次のステップ:回生ブレーキシステムにより液圧ブレーキを実施し、この場合にブレーキマスタシリンダに配置されたブレーキ操作部材の操作にもかかわらず、ゼロに等しい発電機ブレーキトルクが保持され、ブレーキシステムの少なくとも1つのホイールブレーキキャリパによって車両の少なくとも1つのホイールに液圧ブレーキトルクのみが加えられるステップと、ブレーキ操作部材の操作の操作強度に関する少なくとも1つのブレーキ操作強度値およびブレーキ操作部材の操作に対するブレーキシステムの液圧応答に関する少なくとも1つの圧力生成値を検出するステップと、ブレーキ操作部材の操作に対するブレーキシステムの液圧応答に関して検出された少なくとも1つの圧力生成値を少なくとも考慮してブレーキシステムの液圧作用特性線を新たに規定するステップとを実施してもよい。したがって、車両の純粋に液圧によるブレーキもブレーキシステムの液圧作用特性線を新たに規定するために使用することができる。このようにして、ブレーキシステムの少なくとも1つのブレーキ回路からブレーキシステムの少なくとも1つの蓄圧器容積へ移動すべきブレーキ液容積に関する目標値を規定する前に既に、これよりも比較的直前に規定され、したがって高い蓋然性をもって適用できるブレーキシステムの液圧作用-特性線が提供されていることを保障することができる。
【0017】
上記の利点は、回生ブレーキシステムのための適宜な制御装置においても保障されている。
【0018】
これらの利点は、対応した制御装置を備える回生ブレーキシステムによっても実施可能である。
【0019】
以下に本発明のさらなる特徴および利点を図面に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】車両の回生ブレーキシステムを作動させるための方法の実施形態を示すフロー図である。
【
図2】制御装置の実施形態を説明するために示す回生ブレーキシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、車両の回生ブレーキシステムを作動させるための方法の実施形態を示すフロー図である。
【0022】
方法ステップS1では、ブレーキシステムを装備した車両の少なくとも1つのホイールに加えられる(回生)ブレーキシステムの発電機の発電機-ブレーキトルクが、ゼロに等しくない差分値だけ増大される。発電機-ブレーキトルクの増大前、増大中または増大後に、方法ステップS1では、ブレーキシステムのブレーキマスタシリンダおよび/またはブレーキシステムの少なくとも1つのブレーキ回路からブレーキシステムの少なくとも1つの蓄圧器容積内へ移動されるべきブレーキ液容積に関する目標値も規定される。目標値の規定は、増大された発電機-ブレーキトルクに関する差分値およびブレーキシステムの所定の液圧作用-特性線を考慮して行われる。次いで方法ステップ1では、規定された目標値に対応した実際-ブレーキ液容積がブレーキマスタシリンダおよび/または少なくとも1つのブレーキ回路から少なくとも1つの蓄圧器容積内へ移動される。
【0023】
ブレーキマスタシリンダおよび/または少なくとも1つのブレーキ回路から少なくとも1つの蓄圧器容積内への実際-ブレーキ液容積の移動は、車両の運転手によるブレーキ操作部材、例えばブレーキペダルの操作によってブレーキマスタシリンダから移動された容積が、少なくとも1つのホイールブレーキキャリパにおけるブレーキ圧の増大をもたらさないという利点を保障する。特に、このようにして、運転手によるブレーキ操作部材の操作にも関わらず、液圧ブレーキトルク形成を(完全に)抑制し、発電機-ブレーキトルクによって運転手ブレーキ要求を実行することができる。
【0024】
例えば、ブレーキマスタシリンダおよび/または少なくともブレーキ回路から少なくとも1つの蓄圧器容積である少なくとも1つのプランジャ内へ、規定された目標値に対応した実際-ブレーキ液容積を移動することがきる。好ましくは、規定された目標値に対応した実際-ブレーキ液容積は、少なくとも1つのブレーキ回路の少なくとも1つの弁を少なくとも一時的に開放することによりブレーキマスタシリンダおよび/または少なくとも1つのブレーキ回路から少なくとも1つの蓄圧器容積である少なくとも1つの蓄圧室内へ移動される。したがって、この場合には増大された発電機-ブレーキトルクを補完するために、通常はブレーキシステム内に既に設けられている構成要素を使用することができる。例えば、少なくとも1つのブレーキ回路の少なくとも1つのホイール吐出弁または少なくとも1つのブレーキ回路の少なくとも1つの高圧切換弁を少なくとも1つの弁として開放することができる。したがって、方法ステップS1を実施するためには、例えば上記のプランジャなどの付加的な構成要素をブレーキシステムに形成することは不可欠ではない。しかしながら、方法ステップS1の実施可能性は、ホイール吐出弁または高圧切換弁の使用に制限されていないことを示唆しておく。
【0025】
規定された目標値は、容積値、プランジャモータ制御値、少なくとも1つの弁の目標開放時間および/または少なくとも1つの弁に印加すべき供給電流信号を含んでいてもよい。しかしながら、移動すべきブレーキ液容積に関する目標値は、ここに列挙した値に制限されていない。
【0026】
ブレーキシステムの液圧作用-特性線は、特にブレーキシステムの圧力/容積-特性線であってもよいし、またはこれを含んでいてもよい。しかしながら、少なくとも1つのブレーキ回路および接続された少なくとも1つのホイールブレーキキャリパ内に存在するブレーキ液容積に対するブレーキシステムの応答を再現する他の形式の液圧作用-特性線、例えば、ホイールブレーキキャリパ・ブレーキトルク/容積-特性線も液圧作用-特性線として理解することができることを指摘しておく。
【0027】
さらなる方法ステップS2では、発電機-ブレーキトルクが、例えば車両バッテリの完全な充電および/または最小-発電機使用-速度における現在の車両速度に基づいて低減される。発電機-ブレーキトルクの低減前、低減中または低減後に、既に少なくとも1つの蓄圧器容積内へ移動された実際-ブレーキ液容積が少なくとも部分的に少なくとも1つの蓄圧器容積から少なくとも1つのブレーキ回路へ移動される。これは、移動された実際-ブレーキ液容積以下の補正-ブレーキ液容積を少なくとも1つの蓄圧器容積から少なくとも1つのブレーキ回路へ部分的に移動することと言い換えることができる。方法ステップS2は、例えば、少なくとも1つのブレーキ回路の少なくとも1つのポンプによって少なくとも1つの蓄圧器容積である少なくとも1つの蓄圧室から実際-ブレーキ液容積を少なくとも部分的に排出することによって実施することができる。同様に、実際-ブレーキ液容積を少なくとも部分的に、または補正-ブレーキ液容積を(完全に)、少なくとも1つのプランジャモータによって少なくとも1つのプランジャから押し出すことができる。
【0028】
方法ステップS2の実施中または実施後に、方法ステップS3が実施される。方法ステップS3では、少なくとも1つの蓄圧器容積から少なくとも1つのブレーキ回路へ少なくとも部分的に移動された実際-ブレーキ液容積もしくは(完全に)移動された補正ブレーキ液容積に対するブレーキシステムの液圧応答に関する少なくとも1つの応答値が検出される。少なくとも1つの応答値は、例えば、少なくとも1つのブレーキ回路に提供された予圧および/またはブレーキ圧であってもよい。しかしながら、少なくとも1つの応答値は、圧力値以外の値として理解することもできることを指摘しておく。
【0029】
方法ステップS2およびS3で説明した補完プロセスは、運転手がブレーキ操作部材の動的操作によって発電機-ブレーキトルクの時間変化を補正する必要なしに実施可能であることを指摘しておく。その代わりに、方法ステップS2およびS3によって液圧ブレーキトルクが調節され、運転手によるブレーキ操作部材の操作によって規定された総ブレーキトルク(発電機-ブレーキトルクおよび液圧ブレーキトルクからなる)が発電機-ブレーキトルクの時間変化にもかかわらず信頼性良く保持される。
【0030】
引き続く方法ステップS4では、ブレーキシステムの液圧作用-特性線が新たに規定される。液圧作用特性の新たな規定は、少なくとも1つの蓄圧器容積から少なくとも1つのブレーキ回路へ少なくとも部分的に移動された実際-ブレーキ液容積に対するブレーキシステムの液圧応答に関して検出された少なくとも1つの応答値を少なくとも考慮して行われる。さらに、液圧作用-特性線を新たに規定する場合には補正ブレーキ液容積を考慮することもできる。液圧作用特性線を新たに規定する場合に他の値、特性線および/または変数を考慮することが同様に可能である。
【0031】
方法ステップS1〜S4によって、ブレーキシステムの液圧作用/液圧特性の緩やかな変化にも急速な変化にも補完プロセスおよび液圧作用特性線を適合させることができる。例えば、ブレーキ作動装置の老朽化作用または摩耗はブレーキシステムの液圧作用/液圧特性に緩やかな変化をもたらす(ブレーキ作動装置の老朽化または摩耗によるブレーキシステムの液圧特性の変化は緩やかに起こり、このような変化は、圧力/容積特性線のずれおよび勾配変化をもたらす場合がある)。これに対して、特にしばしば遊びの増減をもたらす動的走行操作は、ブレーキシステムの液圧作用/液圧特性に急速に影響を及ぼす。動的走行操作によりブレーキシステムの液圧特性が変更される場合、こうした変更は一回の制動から次の制動までに行われる(ブレーキシステムの液圧特性の急速な変化は主に変更された遊びに起因し、したがって、ブレーキシステムの液圧特性におけるずれをもたらす。液圧特性、特に液圧作用-特性線における急激な勾配変化は、この場合には予想されないか、ほとんど予想されない)。
【0032】
液圧作用または液圧特性とは、ブレーキマスタシリンダ、接続された少なくとも1つのホイールブレーキキャリパを備える少なくとも1つのブレーキ回路および/またはブレーキシステムの少なくとも1つの蓄圧器容積の間における、特にブレーキ圧変化などのブレーキシステムの液圧応答として理解することができる。例えば、液圧作用または液圧特性は、ブレーキ圧・差分容積比、ブレーキ圧・運転手ブレーキ力比、ブレーキ圧・運転手ブレーキ圧比、ブレーキ圧・運転手ブレーキストローク比および/またはブレーキ圧・ロッドストローク比として理解することができる。
【0033】
ブレーキシステムの液圧特性の急速および緩慢な変化は、ブレーキ操作部材のより強い、またはより弱い操作が行われることにつながり、これにより、規定された減速/特定の液圧ブレーキトルクが達成される。方法ステップS1〜S4によって、従来の方法では実施することがしばしば困難である所定の液圧作用-特性線の適合を容易に、迅速に実施することができる。方法ステップS1〜S4によって、液圧作用特性線がブレーキシステムの液圧特性の急速な変化および緩慢な変化を考慮して更新可能であるであることをもう一度指摘しておく。したがって、従来の方法ではしばしば発電機-ブレーキトルクの補間時にブレーキシステムの液圧作用特性線/液圧特性の急激な変化により生じる減速度変動を防止することができる。
【0034】
方法の有利な改良形態では、方法ステップS3の後に実施することができる随意の方法ステップS5を備えていてもよい。方法ステップS5では、(少なくとも1つの蓄圧器容積から少なくとも1つのブレーキ回路へ少なくとも部分的に移動された実際-ブレーキ液容積に対するブレーキシステムの液圧応答に関して)検出された少なくとも1つの応答値が少なくとも1つの所定の最小値と比較される。少なくとも1つの所定の最小値は、例えば、特に発電機-ブレーキトルクの経時的低下を考慮して規定されていてもよい目標ブレーキ圧値であってもよい。少なくとも1つの所定の最小値のための例も同様に考えられる。
【0035】
検出された少なくとも1つの応答値が少なくとも1つの所定の最小値を超えている場合には、方法ステップS6が実施される。方法ステップS6では、既に少なくとも1つの蓄圧器容積内へ移動された実際-ブレーキ液容積の、少なくとも1つの蓄圧器容積から少なくとも1つのブレーキ回路への移動(戻し)が、少なくとも1つの蓄圧器容積内に残留容積がまだ存在しているにもかかわらず終了される。これは、既に少なくとも1つの蓄圧器容積内へ移動された実際-ブレーキ液容積よりも補正ブレーキ液容積が小さい場合には既に移動(戻し)が終了され、したがって、実際-ブレーキ液容積の残量が残留容積として少なくとも1つの蓄圧器容積内に留まることと言い換えることもできる。したがって、方法ステップS6によって、多すぎるブレーキ液の移動(戻し)、ひいては少なくとも1つのブレーキ回路および接続された少なくとも1つのホイールブレーキキャリパ内に大きすぎる圧力が生成されることを防止できる。
【0036】
例えば、戻された補正ブレーキ液容積が実際-ブレーキ液容積よりも小さい場合に、有利な液圧ブレーキトルクを保障するために所定の/好ましいブレーキ圧/目標圧が既に得られていることが方法ステップ5で認識されていれば、方法ステップS6で還流量を(即座に)調節することができる。このような場合には実際-ブレーキ液容積の完全な移動(戻し)の継続が、車両の運転手によって規定された総車両減速度の超過をもたらすことを高い蓋然性をもって考慮できるので、有利である。
【0037】
方法ステップS6により、少なくとも1つのブレーキ回路および接続された少なくとも1つのホイールブレーキキャリパにおける所要容積がより小さくなる方向に液圧作用-特性線が急激に変化した場合にも信頼性良く対応できることを指摘しておく。
【0038】
好ましくは制動の終了後に実施される方法ステップ(図示しない)で、少なくとも1つの蓄圧器容積内にまだ存在している残留容積をブレーキ液リザーバへ移動することもできる。これは、少なくとも1つのホイール吐出弁の一時的な開放、少なくとも1つのプランジャモータの制御および/または少なくとも1つのポンプの作動によって実施することができる。この場合に実施されるプロセスに運転手が気付くことはほとんどないか、または全くない。
【0039】
方法ステップS2で、既に少なくとも1つの蓄圧器容積内へ移動された実際-ブレーキ液容積が少なくとも1つの蓄圧器容積から少なくとも1つのブレーキ回路へ完全に移動された場合、および、実際-ブレーキ液容積が少なくとも1つのブレーキ回路へ移動された後に検出された少なくとも1つの応答値が少なくとも1つの所定の最小値を下回った場合には、方法ステップS7を実施することができる。方法ステップS7では、追加ブレーキ液容積がブレーキマスタシリンダおよび/またはブレーキ液リザーバから少なくとも1つのブレーキ回路へ移動される。例えば、追加ブレーキ液容積は、少なくとも1つのブレーキ回路の少なくとも1つの開放された高圧切換弁を介してブレーキマスタシリンダおよび/またはブレーキ液リザーバから少なくとも1つのブレーキ回路および/または少なくとも1つのホイールブレーキキャリパ内へ移動される。したがって、少なくとも1つのブレーキ回路および少なくとも1つの接続されたホイールブレーキキャリパの所要容積が増大する方向に液圧作用-特性線が変化した後にも、方法ステップS7で、低下した発電機-ブレーキトルクを補完するために液圧ブレーキトルクを十分に増大させることができる。方法ステップS7によって、経時的に低下した発電機-ブレーキトルクを補完するために液圧ブレーキトルクを増大した場合には、しばしば少なくとも1つの液圧器容積内に提供された実際-ブレーキ液容積のみが使用可能であるという従来の問題を解決することができる。
【0040】
方法ステップS5では、還流ポンプ/プランジャモータが作動しているにもかかわらず、(所定の待機時間の経過後に)検出された少なくとも1つの応答値が少なくとも1つの所定の最小値未満に留まり、したがって、ブレーキシステムに圧力上昇が生じていないと仮定することができる場合には、少なくとも1つのブレーキ回路および接続された少なくとも1つのホイールブレーキキャリパの所要容積が増大する方向に液圧作用-特性線が変更されたことを信頼性良く検出することができる。このことは、実際-ブレーキ液容積が完全に少なくとも1つの蓄圧器容積から少なくとも1つのブレーキ回路へ既に戻されているという結論を確実に保障する。さらに、検出された少なくとも1つの応答値が少なくとも1つの所定の最小値以上となる前にプランジャの終端位置が達成され、それ故、ブレーキシステム内で所定の圧力がまた得られていないと仮定することができる場合には、少なくとも1つのブレーキ回路および接続された少なくとも1つのホイールブレーキキャリパの所要容積が増大する方向に液圧作用-特性線が変更されたことを信頼性良く検出することもできる。
【0041】
高圧切換弁の開放によって、追加ブレーキ液容積が少なくとも1つのポンプ(還流ポンプ)の吸込み側に流れ、このようにして少なくとも1つのホイールブレーキキャリパ内に提供されたブレーキ圧を増大するために移動できることが保障されている。したがって、少なくとも1つの高圧切換弁の開放によって、補正ルーチンを実施することができる。この補正ルーチンによって、例えばブレーキペダルなどのブレーキ操作部材を移動させることができる。しかしながら、ブレーキ操作部材の移動は運転手にとってはほとんど不都合には感じられない。なぜなら、ブレーキシステムの液圧作用-特性線の変化を補正するために、一般に純粋に液圧により制動が行われた場合にもブレーキ操作部材が対応して移動されるからである。少なくとも1つの所定の最小値以上の望ましいブレーキ圧もしくは検出された少なくとも1つの応答値が得られた後には、高圧切換弁を再び閉じることができる。
【0042】
方法ステップS5〜S7によって、ブレーキシステムの液圧作用-特性線の変化に基づいて、多すぎるか、または少なすぎる容積が少なくとも1つのブレーキ回路および/またはマスタブレーキシリンダおよび少なくとも1つの蓄圧器容積の間で移動されることが防止可能である。それ故、発電機-ブレーキトルクから増大した液圧的ブレーキトルクへ切り換える場合に減速度変動が信頼性良く抑制されている。
【0043】
他の有利な構成では、さらに方法は、少なくとも1つの加速プロセス(方法ステップS8)の後に実施される随意の方法ステップS9〜S11を含んでいてもよい。
【0044】
方法ステップS9では、(回生)ブレーキシステムによって純粋に液圧によるブレーキが実施される。この場合、ブレーキマスタシリンダに配置されたブレーキ操作部材の操作にもかかわらず、ゼロに等しい発電機-ブレーキトルクが保持される。液圧によるブレーキトルクのみがブレーキシステムの少なくとも1つのホイールブレーキキャリパから車両の少なくとも1つのホイールに加えられる。
【0045】
方法ステップS9と同時に方法ステップS10が実施される。方法ステップS10では、ブレーキ操作部材の操作強度に関する少なくとも1つのブレーキ操作強度値、例えばブレーキ操作ストローク、ロッドストローク、ブレーキ力および/またはブレーキ圧などが検出される。さらに、ブレーキ操作部材の操作に対するブレーキシステムの液圧応答に関する少なくとも1つの圧力生成値が検出される。液圧応答に関する少なくとも1つの圧力生成値は、例えば、ブレーキマスタシリンダ圧、予圧、ブレーキ回路圧および/またはホイールブレーキシリンダ圧であってもよい。例えば、少なくとも1つの圧力生成値は、方法ステップS3で検出された少なくとも1つの応答値に等しくてもよい。しかしながら、ブレーキ操作強度値および液圧応答に関する少なくとも1つの圧力生成値は、ここに挙げた例に制限されていないことを指摘しておく。
【0046】
方法ステップS11では、ブレーキシステムの液圧作用-特性線は、ブレーキ操作部材の操作に対するブレーキシステムの液圧応答に関して検出された少なくとも1つの圧力生成値を少なくとも考慮して新たに規定される。したがって、液圧作用-特性線を更新するために純粋に液圧によるブレーキも利用することができる。
【0047】
例えば、方法ステップS9〜S11は、純粋に液圧により制動した場合のペダルストローク(または比較可能な値)およびブレーキマスタシリンダ圧の経過を記録することにより実施することができる。これは、特に停止するためにブレーキをかける場合に実施することができる。ブレーキマスタシリンダおよびペダルストロークの機械的パラメータから、ブレーキマスタシリンダから移動された容積が生じる。ブレーキマスタシリンダ圧を付加的に考慮して、液圧作用-特性線を有利に更新することができる。この場合、液圧作用-特性線、特に圧力/容積-特性線の多様な適合アルゴリズムが実施可能である。例えば、液圧作用-特性線をすぐに上書きすることができる。
【0048】
液圧作用-特性線は、方法ステップS9〜S11を複数回実施する際に複数回の純粋に液圧による制動によって段階的に調整することができる。さらに、方法ステップS9〜S11によって液圧作用-特性線を更新するために、例えば所定の時間間隔をおいて発電機の使用を意図的に放棄することができる。このようにして、液圧作用-特性線の高い適合頻度が達成可能である。
【0049】
図2は、制御装置の実施形態を説明するための回生ブレーキシステムの概略図を示す。
【0050】
図2に概略的に示した(また、選択的には上記方法によって作動可能な)ブレーキシステムは、例えば、ハイブリッド車および電気自動車で有利に使用可能である。しかしながら、さらに説明するブレーキシステムの使用可能性は、ハイブリッド車または電気自動車に制限されていない。
【0051】
ブレーキシステムは、少なくとも1つのホイールブレーキキャリパ14aおよび16aを備える第1ブレーキ回路10を有する。さらにブレーキシステムは、少なくとも1つのホイールブレーキキャリパ14bおよび16bを備える第2ブレーキ回路12を有する。例えば、ブレーキシステムは、第1ホイールブレーキキャリパ14aおよび第2ホイールブレーキキャリパ16aを備える第1ブレーキ回路10と、第3ホイールブレーキキャリパ14bおよび第4ホイールブレーキキャリパ16bを備える第2ブレーキ回路12とを含む。好ましくは、この場合、ブレーキシステムは、X型ブレーキ回路配管方式を備える車両のために設計されている。この場合、第1ホイールブレーキキャリパ14aおよび第3ホイールブレーキキャリパ14bは一方の車軸に割り当てられており、第2ホイールブレーキキャリパ16aおよび第4ホイールブレーキキャリパ16bは他方の車軸に割り当てられている。ブレーキ回路10および12に割り当てられたホイールは、特に車両に対角線上に配置されていてもよい。例えば、第1ホイールブレーキキャリパ14aおよび第3ホイールブレーキキャリパ14bは前車軸に割り当てられており、第2ホイールブレーキキャリパ16aおよび第4ブレーキキャリパ16bは後車軸に割り当てられていていてもよい。しかしながら、さらに説明するブレーキシステムは、X型ブレーキ回路配管方式に制限されていない。そうではなく、このブレーキシステムは、共通のブレーキ回路10または12に割り当てられたホイールが軸毎または車両の一方側に配置されている場合にも使用可能である。
【0052】
ブレーキシステムは、例えばタンデム式ブレーキマスタシリンダとして実施可能なブレーキマスタシリンダ18を備える。ブレーキマスタシリンダ18は、少なくとも1つの変位可能なブレーキマスタシリンダ-ピストンを有しており、ブレーキマスタシリンダ-ピストンは、ブレーキマスタシリンダ18の少なくとも1つの圧力室内に少なくとも部分的に変位可能である。好ましくは、ブレーキマスタシリンダ18は、ピストンロッドと呼ぶこともできる変位可能な第1ピストン(一次ピストン)と、浮動ピストンと呼ぶこともできる変位可能な第2ピストン(二次ピストン)とを含み、第1ピストンは、ブレーキマスタシリンダ18における第1ブレーキ回路10に割り当てられた第1圧力室内に少なくとも部分的に突入し、第2ピストンは、ブレーキマスタシリンダ18における第2ブレーキ回路12に割り当てられた第2圧力室内に少なくとも部分的に突入している。しかしながら、ブレーキシステムは、タンデム式ブレーキマスタシリンダの使用またはブレーキマスタシリンダ18の特定の構成に制限されていない。ブレーキマスタシリンダ18は、少なくとも1つのブレーキ液交換口、例えば、吸込み孔を介してブレーキ媒体リザーバ26に接続されていてもよい。
【0053】
ブレーキシステムは、好ましくは、ブレーキマスタシリンダ18に配置されたブレーキ操作部材28、例えばブレーキペダルを備える。有利には、ブレーキ操作部材28は、ブレーキ操作部材28を操作した場合に少なくとも最小強度によってブレーキ操作部材28に加えられた運転手ブレーキ力を少なくとも1つの変位可能なブレーキマスタシリンダ-ピストン、例えばピストンロッドおよび浮動ピストンに伝達可能であり、これによりブレーキマスタシリンダ-ピストンが運転手ブレーキ力によって変位可能となるように、ブレーキマスタシリンダ18に配置されている。好ましくは、ブレーキマスタシリンダ-ピストンのこのような変位によって、ブレーキマスタシリンダ18の少なくとも1つの圧力室の内圧が高められる。
【0054】
好ましくは、ブレーキシステムは、運転手によるブレーキ操作部材28の操作におけるブレーキ操作強度(ブレーキ強度値)を検出可能である少なくとも1つのブレーキ操作部材-センサ30も含む。ブレーキ操作部材-センサ30は、例えば、ブレーキ力センサ、ブレーキ圧センサ、ペダルストロークセンサ、差分ストロークセンサおよび/またはロッドストロークセンサを含んでいてもよい。しかしながら、運転手要求に対応したブレーキ操作強度(ブレーキ強度値)を検出するためには、ここに挙げたセンサタイプに対して代替的または付加的に他の形式のセンサ装置を使用することもできる。
【0055】
図示のブレーキシステムは、好ましい実施形態ではさらにブレーキブースタ32、例えば真空ブレーキブースタを備える。真空ブレーキブースタの代わりに、ブレーキシステムは他のタイプのブレーキブースタ32、例えば液圧式および/または電気機械式倍力装置を備えていてもよい。ブレーキブースタ32は、特に常に調整可能/常に制御可能なブレーキブースタ32であってもよい。
【0056】
次に
図2を参照してブレーキシステムの他の構成要素を説明する。さらに説明するブレーキシステムの構成要素は、本方法によって作動可能/制御可能/改良して使用可能なブレーキシステムの可能な構成のための実施例にすぎないことを明示的に示唆しておく。上記方法の利点および以下に説明する制御装置100の利点は、ブレーキ回路10および12が特定の構成または特定の構成要素の使用に規定されていないことである。その代わりに、ブレーキ回路10および12は高い選択自由度をもって変更することができる。
【0057】
それぞれのブレーキ回路10および12は、高圧切換弁34aおよび34b、切換弁36aおよび36b、(ならびにこれらに対して平行に延在するバイパスラインおよびバイパスラインに配置された逆止弁35aおよび35b)によって構成されており、運転手は、ブレーキマスタシリンダ18を介してホイールブレーキキャリパ14a,14b,16aおよび16bに直接にブレーキをかけることができる。第1ブレーキ回路10では、第1ホイールブレーキキャリパ14には第1ホイール吸込弁38aが割り当てられており、第2ホイールブレーキキャリパ16aには第2ホイール吸込弁40aが割り当てられており、それぞれこれらに対して平行に延在するバイパスラインおよびそれぞれのバイパスラインに配置された逆止弁39aおよび41aを備える。さらに第1ホイール吐出弁42aが第1ホイールブレーキキャリパ14aに割り当てられており、第2ホイール吐出弁44aが第2ホイールブレーキキャリパ16aに割り当てられている。対応して、第2ブレーキ回路12においても第3ホイール吸込弁38bが第3ホイールブレーキキャリパ14bに割り当てられており、第4ホイール吸込弁40bが第3ホイールブレーキキャリパ16bに割り当てられていてもよい。第2ブレーキ回路12の2つのホイール吸込弁38bおよび40bそれぞれに対して平行に、逆止弁39bおよび41bを配置したそれぞれ1つのバイパスラインが延在していてもよい。さらに第2ブレーキ回路12においても第3ホイール吐出弁42bが第3ホイールブレーキキャリパ14bに割り当てられており、第4ホイール吐出弁44bが第4ホイールブレーキキャリパ16bに割り当てられていてもよい。
【0058】
さらに、それぞれのブレーキ回路10および12はポンプ46aおよび46bを含み、これらのポンプの吸込み側はホイール流出弁42aおよび44aまたは42bおよび44bに接続されており、圧送側は、割り当てられた切換弁36aまたは36bに向けられている。ブレーキ回路10および12は、ホイール吐出弁42aおよび44aまたは42aおよび44bとポンプ46aまたは46bとの間に配置された蓄圧室48aまたは48b(例えば低圧蓄圧器)ならびにポンプ46aまたは46bと蓄圧室48aまたは48bとの間に位置する圧力逃し弁50aまたは50bを同様に備えていてもよい。随意に、2つのブレーキ回路10および12はそれぞれさらに平滑化フィルタ52aまたは52bを含んでいてもよい。これらのフィルタ52aまたは52bは、それぞれのポンプ46aまたは46bの圧送側に配置可能である。このようなポンプ平滑化フィルタ52aまたは52bによって、少なくとも1つのポンプ46aおよび46bによって生成された送出流量を平滑化することができる。
【0059】
ポンプ46aおよび46bは、モータ56の共通の軸54に配置されていてもよい。それぞれのポンプ46aおよび46bは、3ピストンポンプとして構成されていてもよい。しかしながら、3ピストンポンプの代わりに、少なくとも1つのポンプ46aおよび46bのために他のピストンタイプを使用することもできる。例えば、より多数のピストンまたはより少数のピストンを備えるポンプ、非対称的なポンプまたは歯車ポンプなど異なるように構成された調節システムも同様に使用可能である。さらに2つのブレーキ回路10および12は、特に前車軸ブレーキキャリパとして使用される第1ホイールブレーキキャリパ14aおよび/または第3ホイールブレーキキャリパ14bの供給ラインにさらに少なくとも1つの圧力センサ58をそれぞれ含んでいてもよい。したがって、ブレーキシステムは、変更された標準-調節システム、特に6ピストン-ESPシステムとして構成可能である。
【0060】
さらに説明する方法を用いた上記ブレーキシステムの使用法は例示的なものとしてのみ解釈されるべきであることをもう一度指摘しておく。さらに説明する方法の実施可能性は、このようなブレーキシステムの使用法に制限されていない。特に上記ブレーキシステムが上記構成要素を備えていることは、例示的なものとしてのみ解釈されるべきである。
【0061】
このブレーキシステムは、少なくとも1つの発電機(図示しない)を備える回生ブレーキシステムとして構成されている。制動時に発電機の発電機-ブレーキトルク(ゼロに等しくない)を補完するための有利な方法を以下に説明する。
【0062】
制御装置100は、発電機の増大した発電機-ブレーキトルクに関する第1差分値104を受信可能な補完装置(Verblendeinrichtung)102を備える。受信した第1差分値104および制御装置100の蓄圧器ユニット106によってブレーキシステムの所定の液圧作用-特性線108を考慮して、ブレーキシステムのブレーキマスタシリンダ18および/または少なくとも1つのブレーキ回路10および12からブレーキシステムの少なくとも1つの蓄圧器容積へ移動されるべきブレーキ液容積に関する第1目標値110を補完装置102によって規定することができる。
【0063】
制御装置100はさらに制御装置112を有し、制御装置112によって、第1目標値110に対応した少なくとも1つの第1制御信号114を少なくとも1つのブレーキ回路10および12の少なくとも1つの第1構成要素に出力可能であり、これにより、少なくとも1つの制御された構成要素によって(規定された第1目標値110に対応した)液圧容積が少なくとも1つのブレーキ回路10および12および/またはブレーキマスタシリンダ18から少なくとも1つの蓄圧器容積へ移動可能である。例えば、少なくとも1つの第1制御信号114によって、少なくとも1つのブレーキ回路10および12の少なくとも1つの弁が少なくとも一時的に開放された状態に制御可能であってもよい。
【0064】
少なくとも一時的に、部分的に開放された状態に制御される弁は、ブレーキ回路10および12の少なくとも1つのホイール吐出弁42a,42b,44aおよび44bであってもよい。同様に、少なくとも1つの弁としてブレーキ回路10および12の高圧切換弁34aまたは34bを少なくとも一時的に少なくとも部分的に開かれた状態に制御することができる。(この場合には、回生ブレーキシステムが圧力逃し弁50aおよび50bを備えていない方が有利である。)
【0065】
ブレーキ回路10および12の蓄圧器容積として、例えばそれぞれの蓄圧室48aおよび48bを使用することができる。しかしながら、それぞれのブレーキ回路10および12は、蓄圧器容積として使用することができる付加的な蓄圧室を備えていてもよいことを指摘しておく。
【0066】
これに対して付加的に、補完装置102は、発電機の低減された発電機-ブレーキトルクに関する第2差分値116を受信するように構成されている。受信した第2差分値116および所定の液圧作用-特性線108を考慮して、補完装置102は、少なくとも1つの蓄圧器容積から少なくとも1つのブレーキ回路へ移動すべき補正-ブレーキ液容積に関する第2目標値118を規定する。制御装置112によって、第2目標値118に対応した少なくとも1つの第2制御信号120が少なくとも1つのブレーキ回路10および12の少なくとも1つの第1構成要素および/または少なくとも1つの第2構成要素に出力され、既に少なくとも1つの蓄圧器容積内へ移動された実際-ブレーキ液容積が少なくとも部分的に少なくとも1つの蓄圧器容積から少なくとも1つのブレーキ回路10および12へ移動可能である。特に、少なくとも1つの第2制御信号120によって、少なくとも1つのブレーキ回路10および12の少なくとも1つのポンプ46aおよび46bが作動可能となっていてもよい。
【0067】
さらに、制御装置100は特性線-規定装置122を備え、この特性線-規定装置122によって、少なくとも1つの蓄圧器容積から少なくとも1つのブレーキ回路10および12へ少なくとも部分的に移動された実際-ブレーキ液容積に対するブレーキシステムの液圧応答に関する少なくとも1つの応答値124を受信可能である。例えばセンサ58によって、少なくとも1つの応答値124を特性線-規定装置122に提供することができる。少なくとも部分的に少なくとも1つの蓄圧器容積から少なくとも1つのブレーキ回路10および12へ移動された-実際ブレーキ液容積に対するブレーキシステムの液圧応答に関して検出された少なくとも1つの応答値124を少なくとも考慮して、ブレーキシステムの液圧作用-特性線108を新たに規定可能である。(新たに規定された液圧作用-特性線108は、次いで蓄圧器ユニット106に保存することができる。)
【0068】
有利な改良形態では、制御装置100はさらに比較装置126を含み、この比較装置126によって、少なくとも1つの蓄圧器容積から少なくとも1つのブレーキ回路10および12へ少なくとも部分的に移動された実際-ブレーキ液容積に対するブレーキシステムの液圧応答に関して検出された少なくとも1つの応答値124が、少なくとも1つの所定の最小値128と比較可能である。検出された少なくとも1つの応答値124と少なくとも1つの所定の最小値128との比較に対応した差分信号130が制御装置112に出力可能である。この場合、さらに制御装置112は、検出された少なくとも1つの応答値124が少なくとも1つの所定の最小値128を超えている場合には少なくとも1つの第3制御信号132を少なくとも1つの第1構成要素および/または少なくとも1つの第2構成要素に出力するように構成されている。これは、少なくとも1つの第3制御信号132によって、少なくとも1つの蓄圧器容積内に残留容積がまだ存在しているにもかかわらず、既に少なくとも1つの蓄圧器容積内へ移動された実際-ブレーキ液容積の、少なくとも1つの蓄圧器容積から少なくとも1つのブレーキ回路10および12への移動が終了可能となるように行われる。実際-ブレーキ液容積が少なくとも1つの蓄圧器容積から少なくとも1つのブレーキ回路10および12へ完全に移動された後に、検出された少なくとも1つの応答値124が少なくとも1つの所定の最小値128を下回っている場合には、制御装置112は、少なくとも1つの第4制御信号134を少なくとも1つのブレーキ回路10および12の少なくとも1つの第3構成要素、例えば高圧切換弁34aおよび34bに出力するように構成されている。少なくとも1つの第4制御信号134によって少なくとも1つの第3構成要素を制御することにより、ブレーキマスタシリンダおよび/またはブレーキ液リザーバ26から少なくとも1つのブレーキ回路10および12へ追加ブレーキ圧容積を移動可能である。このことは、上記利点を保障する。
【0069】
制御装置100の別の有利な改良形態では、特性線-規定装置122は、純粋に液圧による制動時にブレーキ操作部材28の操作におけるブレーキ操作強度に対するブレーキシステムの液圧応答に関する少なくとも1つの圧力生成値を受信し、ブレーキ操作部材28の操作に対するブレーキシステムの液圧応答に関して検出された少なくとも1つの圧力生成値136を考慮して、ブレーキシステムの液圧作用-特性線108を新たに規定するように構成されている。したがって、制御装置100は、液圧作用-特性線108を更新するために純粋に液圧によるブレーキを使用するように構成されていてもよい。
【0070】
上記利点は、制御装置100を備える回生ブレーキシステムにおいても保障されている。回生ブレーキシステムが上記構成要素を備えていることは単に例示的なものとして理解されるべきであることをもう一度指摘しておく。したがって、多数の回生ブレーキシステムは制御装置100と協働し、これにより上記利点を実現することができる。
【符号の説明】
【0071】
10,12 ブレーキ回路
18 ブレーキマスタシリンダ
26 ブレーキ液リザーバ
28 ブレーキ操作部材
34a,34b,42a,42b,44a,44b 第1構成要素、弁
46a,46b ポンプ
48a,48b 蓄圧器容積
102 補完装置
104 差分値
108 液圧作用特性線
110 目標値
116 第2差分値
124 応答値
128 最小値
136 圧力生成値