特許第6266899号(P6266899)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6266899
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1343 20060101AFI20180115BHJP
   G02F 1/1337 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   G02F1/1343
   G02F1/1337
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-111780(P2013-111780)
(22)【出願日】2013年5月28日
(65)【公開番号】特開2014-232148(P2014-232148A)
(43)【公開日】2014年12月11日
【審査請求日】2016年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001184
【氏名又は名称】特許業務法人むつきパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】小林 真
(72)【発明者】
【氏名】藤井 満夫
(72)【発明者】
【氏名】野村 泰洋
(72)【発明者】
【氏名】岩本 宜久
【審査官】 佐藤 洋允
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/114954(WO,A1)
【文献】 特開2012−093578(JP,A)
【文献】 特開2012−098333(JP,A)
【文献】 特開平04−223433(JP,A)
【文献】 特開2012−113201(JP,A)
【文献】 特開2013−025151(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/1343−1/1345
G02F1/1337
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置された第1基板及び第2基板と、
前記第1基板の一面に設けられており、第1方向に延在する複数の第1電極と、
前記第2基板の一面に設けられており、第1方向と交差する第2方向に延在する複数の第2電極と、
前記第1基板の一面と前記第2基板の一面の相互間に設けられたプレティルト角が90°未満のモノドメイン垂直配向の液晶層を含み、
前記複数の第1電極と前記複数の第2電極との交差する領域の各々において複数の画素が構成され、
前記複数の第1電極の各々は、平面視において両側の電極エッジがそれぞれ前記第1方向と略平行に延びる形状であり、
前記第2電極の各々は、平面視において、少なくとも片側の電極エッジが前記第2方向に対して斜交する線分を含んで折り返す形状を有しており、
前記複数の画素の各々は、前記斜交する線分を含んで画素エッジが画定されており、
前記液晶層は、平面視において層厚方向の略中央における液晶分子の配向方向と前記第2方向と直交する方向とのなす角度が0°より大きく設定されており、前記液晶分子の配向方向と前記斜交する線分の方向とが直交しておらず、
前記複数の第2電極の各々の前記片側の電極エッジの方向が変わる位置である変化点は、前記複数の第1電極の何れか1つと重畳して配置されており、かつ前記複数の画素のうち前記第2方向において隣り合うもの同士の相互間には配置されていない、
液晶表示装置。
【請求項2】
前記変化点は、前記複数の第1電極の各々の前記両側の電極エッジ間の中央に配置されている、
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記変化点は、前記複数の第1電極の各々の前記両側の電極エッジのうち何れかに近い側に偏って配置されている、
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記第2電極の各々は、隣り合う前記斜交する線分の相互間に配置されて当該斜交する線分の各々と接続された1つの線分を含み、当該1つの線分は前記第2方向と平行である、
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記第2電極各々の前記片側の電極エッジは、多数の微小な直線を連結したポリゴンエッジに構成されている、
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記斜交する直線は、前記第2方向を基準にして0°より大きく15°以下の角度で配置されている、請求項1〜5の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチプレックス駆動される垂直配向型の液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、例えば民生用や車載用の各種電子機器における情報表示部として広く利用されている。一般的な液晶表示装置は、数μm程度の間隙を設けて対向配置させた2枚の基板間に液晶材料からなる液晶層を配置して構成されている。このような液晶表示装置の1つとして垂直配向型の液晶表示装置が知られている。
【0003】
垂直配向型の液晶表示装置においてドットマトリクス表示を実現する場合には、例えばマルチプレックス駆動法が用いられる。マルチプレックス駆動法においては、走査線本数(コモン電極本数)を増加させた場合にも表示品位を保持するには電気光学特性がより急峻であることが必要である。この点について、例えば特開2005−244254号公報(特許文献1)では、良好な急峻性を実現するにはプレティルト角をできるだけ90°に近づけることが有効であることが示されている。
【0004】
ところで、上記の垂直配向型の液晶表示装置では、明状態とした画素を中心として表示均一性が低下する現象が発生する場合がある。また、この現象は高温雰囲気において特に顕著となる。これについて本願発明者が検討したところ、明状態とした画素のエッジ部周辺以外の中央付近に意図しない暗領域が不規則に生じることに起因することが分かった。このような暗領域は、液晶層の液晶分子が配向膜によって配向規制した方向とは異なる方向へ配向してしまうために発生すると考えられる。
【0005】
上記のような不都合については、例えば特開2012−98333号公報(特許文献2)に開示される液晶表示装置によって解消し得る。具体的には、この先行例の液晶表示装置は、上下電極をそれぞれ短冊状にしてこれらを交差配置して画素が構成され、それら上下電極の一方のエッジに対して液晶層の層厚方向の略中央における液晶分子の配向方向が直交しないように液晶層の配向方向が設定されている。
【0006】
また、上記のような不都合については、例えば、特開2012−93578号公報(特許文献3)に開示される液晶表示装置によっても解消し得る。具体的には、この先行例の液晶表示装置は、上下電極のうち一方の電極をそのエッジが屈曲した形状にしてこれらを交差配置して画素が構成され、かつ液晶層の層厚方向の略中央における液晶分子の配向方向が他方の電極と平行に設定されている。すなわち、上下電極の一方のエッジに対して液晶層の層厚方向の略中央における液晶分子の配向方向が直交しないように液晶層の配向方向が設定されている。
【0007】
しかし、特許文献2に開示される液晶表示装置では、短冊状の上下電極の一方を液晶表示装置の表示面の上下方向に対応させて他方を左右方向に対応させる配置(多く用いられる配置)を採用した場合には、液晶層の層厚方向の略中央における液晶分子の配向方向を表示面の上下方向からずらした方向に設定する必要がある。上記した表示均一性の低下を解消するには液晶層の層厚方向の略中央における液晶分子の配向方向を表示面の上下方向からより大きくずらすことが有効であるが、他方で、液晶表示装置の左右方向における明表示時の視角特性に非対称性を生じるため好ましくない。
【0008】
また、特許文献3に開示される液晶表示装置では、上記した表示均一性の低下を解消するには、上下電極のうち一方の電極のエッジと液晶層の層厚方向の略中央における液晶分子の配向方向とのなす角度をより大きくすることが有効であるが、そのためには電極のエッジの屈曲する角度をより大きくする必要がある。しかし、エッジの屈曲する角度を大きくするとその屈曲したエッジの形状が外観上より目立って視認されることになるため好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−244254号公報
【特許文献2】特開2012−98333号公報
【特許文献3】特開2012−93578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明に係る具体的態様は、マルチプレックス駆動により動作する垂直配向型の液晶表示装置における表示品位を向上することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る一態様の液晶表示装置は、(a)対向配置された第1基板及び第2基板と、(b)第1基板の一面に設けられており、第1方向に延在する複数の第1電極と、(c)第2基板の一面に設けられており、第1方向と交差する第2方向に延在する複数の第2電極と、(d)第1基板の一面と前記第2基板の一面の相互間に設けられたプレティルト角が90°未満のモノドメイン垂直配向の液晶層を含み、(e)複数の第1電極と複数の第2電極との交差する領域の各々において複数の画素が構成され、(f)平面視において両側の電極エッジがそれぞれ前記第1方向と略平行に延びる形状であり、(g)第2電極の各々は、平面視において、少なくとも片側の電極エッジが第2方向に対して斜交する線分を含んで折り返す形状を有しており、(h)複数の画素の各々は、斜交する線分を含んで画素エッジが画定されており、(i)液晶層は、平面視において層厚方向の略中央における液晶分子の配向方向と第2方向と直交する方向とのなす角度が0°より大きく設定されており、液晶分子の配向方向と斜交する線分の方向とが直交しておらず、(j)複数の第2電極の各々の片側の電極エッジの方向が変わる位置である変化点は、複数の第1電極の何れか1つと重畳して配置されており、かつ複数の画素のうち第2方向において隣り合うもの同士の相互間には配置されていない、ことを特徴とする液晶表示装置である。ここでいう「垂直配向」とは、90°未満ではあるが相当程度高い大きさ(例えば、87°以上90°未満)のプレティルト角を有する配向をいう。ここでいう「斜交する」とは、直交以外の角度で斜めに交わることをいう。
【0012】
かかる構成によれば、第2電極の屈曲する角度をそれほど大きくしなくても、画素の左右いずれか一方のエッジと液晶層の層厚方向の略中央における液晶分子の配向方向とのなす角度をより大きくすることができる。それにより、特に高温雰囲気において画素のエッジ部周辺以外の中央付近に意図しない暗領域が不規則に生じることに起因する表示均一性の低下を抑えることができる。また、第2電極の電極エッジにおける変化点(例えば直線同士が接続する屈曲点)を第1電極と重畳する位置とすることで、第1基板と第2基板の位置合わせに高い精度が不要となり、歩留まり向上並びに生産効率の向上を図ることが可能となる。
【0013】
上記の液晶表示装置において、第2電極の各々は、隣り合う上記斜交する線分の相互間に配置されて当該斜交する線分の各々と接続された1つの線分を含み、当該1つの線分は第2方向と平行である、ことも好ましい。
【0014】
上記の液晶表示装置において、第2電極の各々の片側の電極エッジは、多数の微小な直線を連結したポリゴンエッジで構成されている、ことも好ましい。
【0015】
上記の液晶表示装置において、例えば、変化点は、第1電極の両側の電極エッジ間の中央に配置されていることが好ましい。ここでいう「中央」とは、第1の要素と第2の要素の中間点、及び製造上の公差を加味し中間点に対して±5%の範囲を許容するものとする。
【0016】
それにより、左右あるいは上下に対称な形状の画素エッジが得られる。
【0017】
上記の液晶表示装置において、例えば、変化点は、第1電極のいずれか片側の電極エッジに近い側に偏って配置されていることも好ましい。
【0018】
それにより、第1基板と第2基板の位置合わせのマージンがより大きくなる。また、液晶層の配向状態をより均質化する効果が得られる。
【0019】
上記の液晶表示装置において、斜交する直線は、第2方向を基準にして0°より大きく15°以下の角度で配置されていることが好ましい。
【0020】
それにより、目視による外観上、画素エッジを矩形に近い形に認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、一実施形態の液晶表示装置の構造を示す模式的な断面図である。
図2図2は、電極構造の一例を示す模式的な平面図である。
図3図3は、電極構造の他の一例を示す模式的な平面図である。
図4図4は、電極構造の他の一例を示す模式的な平面図である。
図5図5は、電極構造の他の一例を示す模式的な平面図である。
図6図6は、電極構造の他の一例を示す模式的な平面図である。
図7図7は、電極構造の他の一例を示す模式的な平面図である。
図8図8は、電極構造の変形例を示す模式的な平面図である。
図9図9(A)は、実施例の液晶表示装置の電圧印加時の配向組織観察像を示す図であり、図9(B)は比較例の液晶表示装置の電圧印加時の配向組織観察像を示す図である。
図10図10は、電極エッジの形状の変形例を示す平面図である。
図11図11は、電極エッジの形状の他の一例を示す平面図である。
図12図12は、電極エッジの形状の他の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、一実施形態の液晶表示装置の構造を示す模式的な断面図である。図1に示す本実施形態の液晶表示装置は、対向配置された第1基板1と第2基板2と、両基板の間に配置された液晶層3と、を主に備える。第1基板1の外側には第1偏光板4が配置され、第2基板2の外側には第2偏光板5が配置されている。第1基板1と第1偏光板4の間には第1視角補償板6が配置され、第2基板2と第2偏光板5の間には第2視角補償板7が配置されている。液晶層3の周囲はシール材によって封止されている。以下、さらに詳細に液晶表示装置の構造を説明する。
【0023】
第1基板1および第2基板2は、それぞれ、例えばガラス基板、プラスチック基板等の透明基板である。第1基板1と第2基板2との相互間には、スペーサー10が分散して配置されている。これらのスペーサー10により、第1基板1と第2基板2との間隙が所定距離(数μm程度)に保たれる。
【0024】
液晶層3は、第1基板1の第1電極11と第2基板2の第2電極12との相互間に設けられている。本実施形態においては、誘電率異方性Δεが負(Δε<0)の液晶材料(ネマティック液晶材料)を用いて液晶層3が構成されている。液晶層3に図示された太線は、電圧無印加時における液晶分子の配向方向を模式的に示したものである。図示のように、本実施形態の液晶表示装置においては、液晶層3の液晶分子の配向状態がモノドメイン配向に規制されている。本実施形態における液晶層3のプレティルト角は90°より小さい範囲で90°に近いことが好ましく、例えば89.85°に設定されている。また、液晶層3の屈折率異方性Δnは例えば0.18である。
【0025】
偏光板4および偏光板5は、各々の吸収軸が互いに直交するように配置されている(クロスニコル配置)。また、偏光板4および偏光板5は、各々の吸収軸が第1基板1に施された配向処理の方向14、第2基板に施された配向処理の方向13のいずれとも45°の角度をなすように配置されている。これにより、各偏光板4、5の吸収軸は、各配向処理の方向13、14によって定義される液晶層3の中央における液晶層の配向方向に対して45°の角度をなすことになる。
【0026】
配向膜8は、第1基板1の一面側に、第1電極11を覆うようにして設けられている。同様に、配向膜9は、第2基板2の一面側に、第2電極12を覆うようにして設けられている。各配向膜8、9にはラビング処理等の配向処理が施されている。本実施形態においては、配向膜8および配向膜9として液晶層3の初期状態(電圧無印加時)における配向状態を垂直配向状態に規制するもの(垂直配向膜)が用いられている。より詳細には、各配向膜8、9としては、液晶層3の液晶分子に対して90°に極めて近いが90°より小さい角度のプレティルト角を付与し得るものが用いられる。
【0027】
第1電極11は、第1基板1の一面上に設けられている。また、第2電極12は、第2基板2の一面上に設けられている。本実施形態においては、それぞれ特定方向に延在する複数の第1電極11と複数の第2電極12とが各々の延在方向を交差させて対向配置されている。各第1電極11および各第2電極12は、例えばインジウム錫酸化物(ITO)などの透明導電膜を適宜パターニングすることによって構成されている。本実施形態の液晶表示装置は、第1電極11と第2電極12とが平面視において重なる箇所のそれぞれが画素となる。
【0028】
本実施形態では、各第2電極12の電極エッジを、ストライプ状である各第1電極11の延在方向(第1方向)に対して斜交する線分を含んだ折線状の形状(屈曲を繰り返した形状)とするとともに、各配向処理の方向を第1方向から所定角度だけずらして設定することにより、各画素のうち各第2電極12の電極エッジによって画定される部分の画素エッジと各配向処理の方向13、14とが直交しない構造を実現している。以下に、いくつかの具体的な構造を例示する。
【0029】
図2は、電極構造の一例を示す模式的な平面図である。図2では、第1電極11および第2電極12を第2基板2側から平面視した様子が示されている(以下の図3図8図10図12においても同様)。図2に示すように、図中の左右方向に延在する各第2電極12は、それぞれの電極エッジが鋸歯状に形成されており、鋸歯の1ピッチが各第1電極11の電極幅とほぼ等しく設定されている。また、図2に示すように、各第2電極12は、直線同士が相互に接続する変化点である屈曲点(頂角部)21がいずれかの第1電極11の幅方向における中央部と重なる状態で配置されている。本例では、各第2電極12における一方の電極エッジと他方の電極エッジにおける各屈曲点21は、1つの第1電極11と重なる各屈曲点21が図中の上下方向においてほぼ揃った位置にあり、かつこれらの揃った位置にある屈曲点21同士が上方に凸または下方に凹に揃って配置されている。
【0030】
各第1電極11と各第2電極12の交差する領域がそれぞれ1つの画素を構成するため、各画素の外縁形状(平面視形状)は、第1電極11の電極エッジと第2電極12の電極エッジによって画定されるV字状または逆V字状でそれぞれの面積がほぼ等しい六角形となる。詳細には、左右方向においてはV字状の画素と逆V字状の画素が交互に配列され、上下方向においてはV字状または逆V字状の画素が順に配列されている。
【0031】
図2において第2電極12の電極エッジと水平方向(図中の左右方向)とのなす角度をθ1と定義すると、この角度θ1は0°より大きく設定される。また、角度θ1は15°以下に設定されることが好ましい。この条件であれば目視において画素エッジの屈曲した状態が視認されにくく、矩形状の画素と遜色ない外観を得られるからである(以下においても同様)。また、図2において、第1電極11の延在方向である第1方向(図中の上下方向)に対して、各配向処理の方向13、14とのなす角度をφと定義すると、この角度φは0°より大きく、かつ角度θ1よりも大きく設定される。この角度φは、外観上の左右方向の明表示時における視角特性の非対称性による違和感を実質的に発生させない条件として15°以下に設定することが好ましく、10°以下に設定することがより好ましい。なお、液晶層3の層厚方向の略中央における液晶分子の配向方向は、各配向処理の方向13、14と平行な方向となる。
【0032】
このようにすることで、各画素のうち各第2電極12の電極エッジによって画定される部分の画素エッジと液晶層3の層厚方向の略中央における液晶分子の方向とは互いに直交しない構造が実現される。より詳細には、図2に示す画素エッジのうち画素左側のエッジと液晶層の層厚方向の略中央における液晶分子の配向方向とのなす角度はθ1+φとなり、画素右側のエッジと液晶層の層厚方向の略中央における液晶分子の配向方向とのなす角度はθ1−φとなる。ここでは、θ1+φ、θ1−φの各絶対値が0°よりも大きいことが必要であり、5°以上であることが好ましい(以下においても同様)。このようにすることで、第2電極12の屈曲する角度である角度θ1をそれほど大きくしなくても、画素の左右いずれか一方のエッジと液晶層の層厚方向の略中央における液晶分子の配向方向とのなす角度をより大きくすることができる。それにより、特に高温雰囲気において画素のエッジ部周辺以外の中央付近に意図しない暗領域が不規則に生じることに起因する表示均一性の低下を抑えることができる。
【0033】
また、各第2電極12のすべての屈曲点21が第1電極11の幅方向における中央部(第1電極の両側の電極エッジ間の中央)と重なる状態に配置することで、第1基板1と第2基板2の重ね合わせ時に多少の位置ズレが生じたとしても画素形状に極端な変形を生じることがないため、歩留まり良く、安定的な表示状態が得られる(以下においても同様)。
【0034】
図3は、電極構造の他の一例を示す模式的な平面図である。図3に示すように、図中の左右方向に延在する各第2電極12は、その電極エッジが鋸歯状に形成されており、鋸歯の1ピッチが各第1電極11の電極幅とほぼ等しく設定されている。また、図3に示すように、各第2電極12は、直線同士が相互に接続する変化点である屈曲点(頂角部)21が第1電極11の幅方向における中央部と重なる状態で配置されている。本例では、各第2電極12における一方の電極エッジと他方の電極エッジにおける各屈曲点21は、1つの第1電極11と重なる各屈曲点21が図中の上下方向においてほぼ揃った位置にある。これらの揃った位置にある屈曲点21同士は、一方が上方に凸で他方が下方に凸という組み合わせ(屈曲点21の相互間距離が相対的に大きい状態となる組み合わせ)、もしくは、一方が下方に凸で他方が上方に凸という組み合わせ(屈曲点21の相互間距離が相対的に小さい状態となる組み合わせ)のいずれかとなるように配置されている。
【0035】
各第1電極11と各第2電極12の交差する領域がそれぞれ1つの画素を構成するため、各画素の外縁形状(平面視形状)は、第1電極11の電極エッジと第2電極12の電極エッジによって画定される形状となり、上下方向または左右方向において隣り合う2画素の面積が異なる六角形となる。
【0036】
図3において第2電極12の電極エッジと水平方向(図中の左右方向)とのなす角度をθと定義すると、この角度θは0°より大きく15°以下に設定される。また、図3において、第1電極11の延在方向である第1方向(図中の上下方向)に対して、各配向処理の方向13、14とのなす角度φは0°より大きく、かつ角度θ1よりも大きく設定される。一例として、例えば角度φは10°に設定することができる。
【0037】
このようにすることで、各画素のうち各第2電極12の電極エッジによって画定される部分の画素エッジと液晶層3の層厚方向の略中央における液晶分子の方向とは互いに直交しない構造が実現される。また、各第2電極12のすべての屈曲点21が第1電極11の幅方向における中央部(第1電極の両側の電極エッジ間の中央)と重なる状態に配置することで、第1基板1と第2基板2の重ね合わせ時に多少の位置ズレが生じたとしても画素形状に極端な変形を生じることがないため、歩留まり良く、安定的な表示状態が得られる。なお、図2に示した画素構造との比較では、図3に示した画素構造では各画素の面積に違いが生じるため、図2に示した画素構造のほうがより好ましいといえる。ただし、画素サイズが比較的に小さい場合には隣接画素の面積差が小さくなることから実用上差し支えない。
【0038】
図4は、電極構造の他の一例を示す模式的な平面図である。図4に示すように、図中の左右方向に延在する各第2電極12は、その電極エッジが鋸歯状に形成されており、鋸歯の1ピッチが各第1電極11の電極幅とほぼ等しく設定されている。また、図4に示すように、各第2電極12は、直線同士が相互に接続する変化点である屈曲点(頂角部)21が第1電極11の幅方向における中央部から左右いずれかの電極エッジ(図示の例では右側の電極エッジ)に近い側に偏った位置において第1電極11と重なって配置されている。本例では、各第2電極12における一方の電極エッジと他方の電極エッジにおける各屈曲点21は、1つの第1電極11と重なる各屈曲点21が図中の上下方向においてほぼ揃った位置にある。また、これらの揃った位置にある屈曲点21同士は、双方が上方に凸という組み合わせ、もしくは双方が下方に凸という組み合わせのいずれかとなるように配置されている。
【0039】
各第1電極11と各第2電極12の交差する領域がそれぞれ1つの画素を構成するため、各画素の外縁形状(平面視形状)は、第1電極11の電極エッジと第2電極12の電極エッジによって画定される形状となり、上下方向または左右方向において隣り合う2画素の面積が同一の六角形となる。また、上下方向において隣り合う画素同士は同一形状であり、左右方向において隣り合う画素同士は向きが異なるが同一形状である。
【0040】
図4においても、第2電極12の電極エッジと水平方向(図中の左右方向)とのなす角度をθ1と定義すると、この角度θ1は0°より大きく15°以下に設定される。また、図4において、第1電極11の延在方向である第1方向(図中の上下方向)に対して、各配向処理の方向13、14とのなす角度φは0°より大きく、かつ角度θ1よりも大きく設定される。一例として、例えば角度φは10°に設定することができる。このようにすることで、各画素のうち各第2電極12の電極エッジによって画定される部分の画素エッジと液晶層3の層厚方向の略中央における液晶分子の方向とは互いに直交しない構造が実現される。
【0041】
また、各第2電極12のすべての屈曲点21が第1電極11の幅方向における中央部から左右いずれかにオフセットして重なる状態に配置することで、上記した図2図3に示した電極構造、すなわち各屈曲点21を中央部に重なる状態で配置する場合に比較して、液晶層の配向状態をより均質化することが可能となる。詳細には、各画素の電極エッジについて、図示のように左右方向と平行な長さ成分をc、dとすると、cとdを合計した長さと各第1電極11の電極幅がほぼ等しく設定されている。このとき、c>dの関係とした場合には各屈曲部21を図示において画素の右寄りに配置することになり、c<dの関係とした場合には各屈曲部21を図示において画素の左寄りに配置することになる。例えば、c>dの関係とする場合には、dを1とすると、cを1.5〜5の範囲で設定する、すなわちc:d=1.5〜5:1とすることが好ましい(c<dの場合にはこの逆の関係となる)。
【0042】
図5は、電極構造の他の一例を示す模式的な平面図である。図5に示すように、図中の左右方向に延在する各第2電極12は、その電極エッジが鋸歯状に形成されており、鋸歯の1ピッチが各第1電極11の電極幅とほぼ等しく設定されている。また、図5に示すように、各第2電極12は、直線同士が相互に接続する変化点である屈曲点(頂角部)21が第1電極11の幅方向における中央部から左右いずれかの電極エッジに近い側に偏った位置おいて第1電極11と重なって配置されている。本例では、各第2電極12における一方の電極エッジと他方の電極エッジにおける各屈曲点21は、1つの第1電極11と重なる各屈曲点21が図中の上下方向において異なる位置にある。また、これらの異なる位置にある屈曲点21同士は、双方が上方に凸という組み合わせ、もしくは双方が下方に凸という組み合わせのいずれかとなるように配置されている。
【0043】
各第1電極11と各第2電極12の交差する領域がそれぞれ1つの画素を構成するため、各画素の外縁形状(平面視形状)は、第1電極11の電極エッジと第2電極12の電極エッジによって画定される形状となり、上下方向または左右方向において隣り合う2画素の面積が同一の六角形となる。また、上下方向において隣り合う画素同士、左右方向において隣り合う画素同士は向きが異なるが同一形状である。そして、上下方向に配列される各画素は1つおきに同一形状であり、左右方向に配列される各画素も1つおきに同一形状である。
【0044】
図5においても、第2電極12の電極エッジと水平方向(図中の左右方向)とのなす角度をθ1と定義すると、この角度θ1は0°より大きく15°以下に設定される。また、図5において、第1電極11の延在方向である第1方向(図中の上下方向)に対して、各配向処理の方向13、14とのなす角度φは0°より大きく、かつ角度θ1よりも大きく設定される。一例として、例えば角度φは10°に設定することができる。このようにすることで、各画素のうち各第2電極12の電極エッジによって画定される部分の画素エッジと液晶層3の層厚方向の略中央における液晶分子の方向とは互いに直交しない構造が実現される。
【0045】
また、各第2電極12のすべての屈曲点21が第1電極11の幅方向における中央部から左右いずれかにオフセットして重なる状態に配置することで、上記した図2図3に示した電極構造、すなわち各屈曲点21を中央部に重なる状態で配置する場合に比較して、液晶層の配向状態をより均質化することが可能となる。詳細には、各画素の電極エッジについて、図示のように左右方向と平行な長さ成分をc、dとすると、cとdを合計した長さと各第1電極11の電極幅がほぼ等しく設定されている。このとき、図中上側の電極エッジにおいてはc>dの関係とした場合には各屈曲部21を図示において画素の右寄りに配置することになり、図中下側の電極エッジにおいてはc>dの関係とした場合には各屈曲部21を図示において画素の左寄りに配置することになる。この例においても、dを1とすると、cを1.5〜5の範囲で設定する、すなわちc:d=1.5〜5:1とすることが好ましい。このとき、各画素において、図中上側の電極エッジにおけるcとdの比率と図中下側の電極エッジにおけるcとdの比率とは必ずしも等しくしなくてもよいが、等しくすることで外見上、各画素の平面視形状が矩形により近くなるため好ましい。
【0046】
図6は、電極構造の他の一例を示す模式的な平面図である。図6に示すように、図中の左右方向に延在する各第2電極12は、その電極エッジが鋸歯状に形成されており、鋸歯の1ピッチが各第1電極11の電極幅とほぼ等しく設定されている。また、図6に示すように、各第2電極12は、直線同士が相互に接続する変化点である屈曲点(頂角部)21が第1電極11の幅方向における中央部から左右いずれかの電極エッジに近い側に偏った位置において第1電極11と重なって配置されている。本例では、各第2電極12における一方の電極エッジと他方の電極エッジにおける各屈曲点21は、1つの第1電極11と重なる各屈曲点21が図中の上下方向において揃った位置にある。また、これらの揃った位置にある屈曲点21同士は、双方が上方に凸という組み合わせ、もしくは双方が下方に凸という組み合わせのいずれかとなるように配置されている。
【0047】
各第1電極11と各第2電極12の交差する領域がそれぞれ1つの画素を構成するため、各画素の外縁形状(平面視形状)は、第1電極11の電極エッジと第2電極12の電極エッジによって画定される形状となり、上下方向において隣り合う2画素が同一形状の六角形となる。また、左右方向において隣り合う画素同士は向きが異なるが同一形状であり同一面積である。そして、左右方向に配列される各画素は1つおきに同一形状である。
【0048】
図6において、第2電極12の電極エッジと水平方向(図中の左右方向)とのなす角度をθ1、θ2とそれぞれ定義すると、θ1<θ2の関係にあり、角度θ1は0°より大きく15°以下に設定される。また、図6において、第1電極11の延在方向である第1方向(図中の上下方向)に対して、各配向処理の方向13、14とのなす角度φは0°より大きく、かつ角度θ1およびθ2のいずれよりも大きく設定される。一例として、例えば角度φは10°に設定することができる。このようにすることで、各画素のうち各第2電極12の電極エッジによって画定される部分の画素エッジと液晶層3の層厚方向の略中央における液晶分子の方向とは互いに直交しない構造が実現される。
【0049】
また、各第2電極12のすべての屈曲点21が第1電極11の幅方向における中央部から左右いずれかにオフセットして重なる状態に配置することで、上記した図2図3に示した電極構造、すなわち各屈曲点21を中央部に重なる状態で配置する場合に比較して、液晶層の配向状態をより均質化することが可能となる。詳細には、各画素の電極エッジについて、図示のように左右方向と平行な長さ成分をc、d(ここでc>d)とすると、cとdを合計した長さと各第1電極11の電極幅がほぼ等しく設定されている。このとき、dを1とすると、cを1.5〜5の範囲で設定する、すなわちc:d=1.5〜5:1とすることが好ましい。
【0050】
図7は、電極構造の他の一例を示す模式的な平面図である。図7に示すように、図中の左右方向に延在する各第2電極12は、その電極エッジが鋸歯状に形成されており、鋸歯の2ピッチが各第1電極11の電極幅とほぼ等しく設定されている。また、図7に示すように、各第2電極12は、直線同士が相互に接続する変化点である屈曲点(頂角部)21が第1電極11と重なって配置されており、詳細には各第1電極11に対して上側電極エッジの屈曲点21が2つずつ、下側電極エッジの屈曲点21が2つずつ重なって配置されている。本例では、各第2電極12における一方の電極エッジと他方の電極エッジにおける各屈曲点21は、1つの第1電極11と重なる各屈曲点21が図中の上下方向において揃った位置にある。また、これらの揃った位置にある屈曲点21同士は、双方が上方に凸という組み合わせ(画素の左側)と双方が下方に凸という組み合わせ(画素の右側)を有して配置されている。
【0051】
各第1電極11と各第2電極12の交差する領域がそれぞれ1つの画素を構成するため、各画素の外縁形状(平面視形状)は、第1電極11の電極エッジと第2電極12の電極エッジによって画定される形状となり、上下方向および左右方向のそれぞれにおいて隣り合う2画素の形状および面積が同一の六角形となる。
【0052】
図7においても、第2電極12の電極エッジと水平方向(図中の左右方向)とのなす角度をθ1と定義すると、この角度θ1は0°より大きく15°以下に設定される。また、図7において、第1電極11の延在方向である第1方向(図中の上下方向)に対して、各配向処理の方向13、14とのなす角度φは0°より大きく、かつ角度θ1よりも大きく設定される。一例として、例えば角度φは10°に設定することができる。このようにすることで、各画素のうち各第2電極12の電極エッジによって画定される部分の画素エッジと液晶層3の層厚方向の略中央における液晶分子の方向とは互いに直交しない構造が実現される。
【0053】
また、各第2電極12の各屈曲点21が第1電極11の幅方向における中央部から左右にオフセットして重なる状態に配置することで、上記した図2図3に示した電極構造、すなわち各屈曲点21を中央部に重なる状態で配置する場合に比較して、液晶層の配向状態をより均質化することが可能となる。このとき、各画素において、図中上側の電極エッジにおけるcとdの比率と図中下側の電極エッジにおけるcとdの比率とは必ずしも等しくしなくてもよいが、等しくすることで外見上、各画素の平面視形状が矩形により近くなるため好ましい。
【0054】
なお、上記したいずれの実施形態においても、第2電極12のみ電極エッジが屈曲していたが、さらに第1電極11の電極エッジも屈曲していてもよい。図8はこの場合の電極構造の一例を示す模式的な平面図を示す図である。図8に示すように、図中の左右方向に延在する各第2電極12はその電極エッジが鋸歯状に形成されており、さらに、図中の上下方向に延在する各第1電極11もその電極エッジが鋸歯状に形成されている。また、図8に示すように、各第2電極12は、直線同士が相互に接続する変化点である屈曲点(頂角部)21が第1電極11の幅方向における中央部と重なる状態で配置されている。同様に、各第1電極11は、直線同士が相互に接続する変化点である屈曲点(頂角部)22が第2電極12の幅方向における中央部と重なる状態で配置されている。なお、各屈曲点21、22の配置についてはこれに限らず、上記した図3図7に例示したような種々のタイプが考えられる。
【0055】
(実施例)
片面が研磨処理され、その表面にSiOアンダーコートが施された後、ITO膜が成膜されたガラス基板に対し、フォトリソグラフィー工程及びエッチング工程にてITO膜を所望の電極パターンに形成することにより、セグメント電極基板およびコモン電極基板を作製した。なお、必要に応じて電極の一部表面上にSiOなどによる絶縁層を形成してもよい。
【0056】
セグメント電極基板とコモン電極基板をアルカリ溶液、純水等で洗浄後、垂直配向膜をフレキソ印刷法にて塗布しクリーンオーブン内で200℃・90分間加熱した。その後、綿製ラビング布を用いて両基板共に基板面内一方位にラビング処理を行った。なお、いずれか一方の基板のみにラビング処理を行うようにしてもよい。
【0057】
コモン電極基板には約5μmのロッド状ガラススペーサーが混入した熱硬化型シール材を枠状にスクリーン印刷法にて塗布した。また、セグメント電極基板には約4.9μmのプラスティックスペーサーを乾式散布法にて分散配置した。その後、両基板の電極面を対向させて、ラビング方位がアンチパラレルになるようにして貼り合わせ、熱圧着にてシール材を硬化して空セルを完成させた。なお、上記空セルは多面取りマザーガラス基板により作製し、スクライブとブレーキング工程を経て1個の空セルを得ている。
【0058】
次いで、屈折率異方性Δnが約0.18で誘電率異方性Δε<0の液晶材料を真空注入法にて空セルに注入した。次いで、セル厚がより均一になるようにプレスし、紫外線硬化樹脂を塗布した。その後、わずかにプレス厚を弱めた状態で約数分保持して注入口から内部へ吸い込ませた後、紫外線を照射して硬化することにより封止した後、120℃にて1時間焼成した。
【0059】
外部取出し電極端子などの面取り加工を行った後、洗浄を行い、セルの裏表面にほぼクロスニコルになるよう偏光板をラミネーターにて貼りあわせた後、真空容器内で加熱しながら偏光板粘着層とガラス基板間の気泡を除去した。なお、偏光板を貼りあわせる前にクリスタルローテーション法により測定したプレティルト角はおよそ89.85°±0.08°であった。
【0060】
外部取出し端子部にはドライバーICを異方導電フィルムを介して熱圧着する工程を経て、フレキシブルフィルムを異方導電フィルムを介してドライバーIC入出力端子と接続し外部制御装置への接続端子とした。
【0061】
なお、液晶表示装置の上下方向(12時,6時方位)にセグメント電極、左右方向(9時,3時方位)にコモン電極の長手方向が伸びており、互いに交差している。また、ラビング方向は裏側基板が6時方位から10°ずれた方位(角度φ=10°)、表側基板が12時方位から10°ずれた方位(角度φ=10°)とし、液晶層の層厚方向の中央における液晶分子の配向方位は6時方位から10°ずれた方位とし、最良視認方位は12時方位から10°ずれた方位とした。電極構造については上記図4に示した構造を採用し、θ1=±5°とした。
【0062】
また、以下において実施例および比較例として示す各液晶表示装置は、画素寸法が縦320μm、横320μm、画素間距離15μmであり、セグメント電極は369本、コモン電極は120本である。また、実施例および比較例の各液晶表示装置をマルチプレックス駆動するにあたっては、例えば特許文献の特開平06−27907号公報に示される複数ライン同時選択法(MLS法)を用いた。具体的には、1/120デューティ、1/9バイアス、同時選択ライン数を4本とした。駆動電圧VLCDの設定方法およびフレーム周波数は以下で示す。
【0063】
図9(A)は実施例の液晶表示装置の明表示時の配向組織を示す図である。駆動電圧VLCDは17.2Vとし、フレーム周波数は125Hzとした。図9(A)において、各画素の上辺エッジの暗領域を観察すると2本の暗線の交差点が1か所しか存在せず、その位置は屈曲点付近で固定されていることがわかる。暗線の形状も同様である。また、この実施例1の液晶表示装置を80℃雰囲気にてフレーム周波数175Hzで駆動したときにも配向不良による表示均一性の低下が生じないことを確認できた。
【0064】
図9(B)は比較例の液晶表示装置の明表示時の配向組織を示す図である。なお、ここでいう比較例とは、第1電極と第2電極をともにストライプ状に形成し、両者を交差させて配置させたことと、液晶層の層厚方向の略中央における液晶分子と第1方向のなす角度φを0°に設定したこと以外は上記した実施例と同様の構造を有する液晶表示装置である。図9(B)に示すように、画素の3辺エッジ付近に暗領域が観察され、上辺エッジの暗領域を観察すると2本の暗線が観察され、これらの暗線が互いに交差する点の存在する位置が画素ごとに異なっていることがわかる。このように交差点の個数や形状などが画素ごとに異なっていることが配向不良を発生させる原因であると考えられる。
【0065】
なお、本発明は上述した内容に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。例えば、上記した実施形態においては第2電極の両側の電極エッジが折れ線状に形成されていたが、片側の電極エッジのみが折れ線状に形成されていてもよい。その場合には、斜めに交差する線分が画素エッジのうちの斜め電界による配向方向と液晶層の層厚方向の略中央における液晶分子の配向方向との間の角度が135°より大きくなる側のエッジに配置されることが望ましい。
【0066】
また、上記した各実施形態並びに実施例では、第2電極(あるいは第1電極)の電極エッジが複数の直線を連結してなる折線状である場合について示し、それら直線同士の接続する交点である屈曲点が他方の電極と重なる場合について説明していたが、電極エッジの変化点はこのような屈曲点に限らない。例えば、図10に示すように第2電極12(あるいは第1電極11)の電極エッジが複数の曲線を接続した形状である場合には、この曲線が極値(極大値または極小値)をとる点、すなわち複数の曲線同士が接続する交点を変化点21(あるいは22)とすることができる。この場合において、電極エッジを構成する線分の方向は、例えば極大値をとる変化点と極小値をとる変化点とを結んだ方向で定義することができる。さらに、この曲線は、多数の微小な直線を連結して近似したポリゴンエッジであってもよい。
【0067】
また、上記した各実施形態等では一方の電極の屈曲点が他方の電極に重なる場合について説明したが、各々の屈曲点が他方の電極の相互間(すなわち画素間)に配置されてもよい。この場合の電極構造例を図11に示す。ここで示す電極構造は、上記した図2に示した電極構造における第1電極11と第2電極12の重なる位置を変更することで、第2電極12における各々の屈曲点21が各第1電極11の相互間の間隙と重なるようにした例である。なお、詳細説明は省略するが図3図8に示した電極構造においても同様にして各々の屈曲点21を配置することができる。
【0068】
また、上記した各実施形態等においては、各画素の上側エッジおよび下側エッジがそれぞれ2つの辺からなり、それらの接続点としての屈曲点が各画素に1つ存在する場合について説明したが、各画素の上側エッジおよび下側エッジがそれぞれ3つの辺からなり、屈曲点が各画素に2つ存在してもよい。この場合の電極構造例を図12に示す。ここで示す電極構造は、上記した図2に示した電極構造における各第2電極12の2つの斜辺の間に第1方向と平行な1つの辺を接続することで、各画素の上側エッジおよび下側エッジがそれぞれ3つの辺からなり、屈曲点が各画素に2つ存在するようにした例である。この場合においては、上側エッジおよび下側エッジの各々の3辺と液晶層の層厚方向の略中央における液晶分子の配向方向(配向処理の方向と平行方向)とのなす角度は、θ±φ、φの3種類となる。なお、詳細説明は省略するが図3図8に示した電極構造においても同様にして各々の屈曲点21を配置することができる。
【0069】
また、上記した各実施形態等においては第1基板と第2基板のそれぞれに施された配向処理の方向が交差しておらず液晶層の液晶分子が一様に配向した場合について説明していたが、配向処理の方向を交差させて液晶層の液晶分子をねじれ配向としてもよい。この場合であっても、液晶層の層厚方向における液晶分子の配向方向との関係で電極エッジの方向が規定されていれば上記した実施形態等と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0070】
1:第1基板
2:第2基板
3:液晶層
4:第1偏光板
5:第2偏光板
6:第1視角補償板
7:第2視角補償板
8、9:配向膜
11:第1電極
12:第2電極
13、14:配向処理の方向
21、22:変化点(屈曲点、極点)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12