特許第6266912号(P6266912)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6266912
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】電子棚札および電子棚札システム
(51)【国際特許分類】
   A47F 5/00 20060101AFI20180115BHJP
【FI】
   A47F5/00 E
【請求項の数】6
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-155996(P2013-155996)
(22)【出願日】2013年7月26日
(65)【公開番号】特開2015-24045(P2015-24045A)
(43)【公開日】2015年2月5日
【審査請求日】2016年4月21日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】永田 佳範
(72)【発明者】
【氏名】加賀爪 秀隆
【審査官】 遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−045222(JP,A)
【文献】 特開2013−127499(JP,A)
【文献】 特開2008−048868(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0001924(US,A1)
【文献】 特開2009−223278(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0295592(US,A1)
【文献】 特開2007−111137(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0169585(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ペーパを用いた表示部と、
前記表示部の表示の書換指令を受け付ける受付部と、
前記表示部の表示を書き換える書換部と、
を備えた電子棚札であって
前記表示部は、前記電子棚札と関連付けられた商品の在庫情報及び前記商品の販売情報の少なくとも一方を含む情報を表示する商品管理者向けの第1画面と、前記商品の売価及び広告の少なくとも一方を表示する商品購入者向けの第2画面と、を表示画面として有し、
前記書換部は、前記表示部の表示を前記第1画面から前記第2画面へと第1描画時間で書き換え、前記受付部が前記書換指令として第1指令を受け付けた場合に、前記第1描画時間よりも短い第2描画時間で、前記表示部の表示を前記第2画面から前記第1画面へと書き換え、
前記第1描画時間及び前記第2描画時間は、書き換え処理の開始から終了までの時間である、
電子棚札。
【請求項2】
前記書換部は、前記受付部が前記書換指令として第2指令を受け付けた場合に、前記第1描画時間で前記表示部の表示を前記第2画面から第3画面へと書き換え、
前記第3画面は、前記商品購入者向けの画面である
請求項に記載の電子棚札。
【請求項3】
周辺温度を計測する温度計測部を更に備え、
前記第1描画時間は、前記温度計測部により計測された周辺温度に応じて決定される、
請求項1又は2に記載の電子棚札。
【請求項4】
前記第1指令は、前記第2描画時間に関する情報を含む、
請求項1からのいずれか1項に記載の電子棚札。
【請求項5】
前記第1画面の表示内容には文字を含む、
請求項1からのいずれか1項に記載の電子棚札。
【請求項6】
複数の電子棚札と、
前記電子棚札に各種指令を送信する携帯型送信機と、
を備え、
各前記電子棚札は、電子ペーパを用いた表示部と、前記携帯型送信機から前記指令を受信する受信部と、第1描画時間で前記表示部の表示を第1画面から第2画面へと書き換える書換部と、を有し、
前記第1画面は、前記電子棚札と関連付けられた商品の在庫情報及び前記商品の販売情報の少なくとも一方を含む情報を表示する商品管理者向けの画面であり、
前記第2画面は、前記商品の売価及び広告の少なくとも一方を表示する商品購入者向けの画面であり、
前記携帯型送信機は、前記表示部の表示を前記第2画面から前記第1画面へと書き換えることを命じる第1指令を前記受信部に送信し、
前記書換部は、前記受信部が前記第1指令を受信した場合に、前記第1描画時間よりも短い第2描画時間で、前記表示部の表示を前記第2画面から前記第1画面へと書き換え、
前記第1描画時間及び前記第2描画時間は、書き換え処理の開始から終了までの時間である、
電子棚札システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペーパを用いる電子棚札、および、電子ペーパを用いる電子棚札を備えた電子棚札システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの店舗で、電子ペーパを利用した電子棚札が使用されている。電子棚札は、その電子棚札と関連付けられた商品の売価等の情報を受け付け、その情報に基づいて表示部としての電子ペーパの表示を書き換える。また、電子棚札は、店舗の従業員等の商品管理者の要望に応じて電子ペーパの表示を書き換え、商品管理に必要な情報(例えば、商品の在庫数など)を表示する。
【0003】
ところで、電子ペーパには、表示の書き換えに必要な時間が低温環境下で長くなるという特性がある。そのため、冷蔵商品の陳列ケース内等の低温環境下で電子棚札が用いられる場合には、商品管理者が商品管理に必要な情報を売場で確認する際に、表示の書き換え待ちの時間が発生している。
【0004】
これに対し、特許文献1(特開2008−48868号公報)には、電子ペーパの温度を維持するためのヒータを備えた電子棚札が開示されている。これにより、電子棚札の設置場所の温度の影響を受けることなく、電子ペーパの表示の書き換えを短時間で行うことが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1(特開2008−48868号公報)の電子棚札では、電子棚札にヒータを設ける必要があるため、電子棚札の製造費が高額になりやすい。また、ヒータを駆動するための電力が必要となり、電子棚札のランニングコストも高額になりやすい。
【0006】
本発明の課題は、電子ペーパを用いる電子棚札が低温環境下で使用される場合であっても、電子棚札の製造費およびランニングコストを上昇させることなく、電子棚札が表示する情報を利用する商品管理者の作業効率を向上させることが可能な、電子棚札および電子棚札システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電子棚札は、電子ペーパを用いた表示部と、受付部と、書換部と、を備える。受付部は、表示部の表示の書換指令を受け付ける。書換部は、表示部の表示を書き換える。書換部は、表示部の表示を第1画面から第2画面へと第1描画時間で書き換える。また、書換部は、受付部が書換指令として第1指令を受け付けた場合に、第1描画時間よりも短い第2描画時間で、表示部の表示を第2画面から第1画面へと書き換える。
【0008】
ここでは、表示部の表示が第1画面から第2画面へと書き換えられる場合には、比較的長い(第2描画時間よりも長い)第1描画時間で表示が書き換えられるのに対し、受付部が第1指令を受け付けた場合には、第2画面から第1画面へと比較的短い(第1描画時間よりも短い)第2描画時間で表示部の表示が書き換えられる。そのため、電子棚札が低温環境下で使用されたとしても、第1指令により(言い換えれば、商品管理者の要望に応じて)、表示部の表示を比較的短時間で書き換えることができ、商品管理者の作業効率を向上させることが可能である。
【0009】
また、本発明に係る電子棚札では、第1画面は、当該電子棚札と関連付けられた商品の在庫情報、および、当該電子棚札と関連付けられた商品の販売情報の少なくとも一方を含む発注関連情報を表示する商品管理者向けの画面であることが望ましい。第2画面は、当該電子棚札と関連付けられた商品の売価、および、広告の少なくとも一方を表示する商品購入者向けの画面であることが望ましい。
【0010】
ここでは、第1画面は商品管理者向けの画面であるため、画質はあまり重要ではないが、作業効率の観点から描画時間の短縮が求められる。一方、第2画面は、商品購入者向けの画面であることから、画質が特に重要となる。
【0011】
これに対し、上記のように、第1指令を受け付けた場合には、第2画面から第1画面へと比較的短い第2描画時間で表示部の表示が書き換えられるため、第1画面を作業に利用する商品管理者の作業性を向上させることができる。一方で、第1画面から第2画面へと表示が書き換えられる場合には、描画時間として比較的長い第1描画時間が確保されるため、商品購入者向けの第2画面の画質を高く維持することが容易である。
【0012】
また、本発明に係る電子棚札では、書換部は、受付部が書換指令として第2指令を受け付けた場合に、第1描画時間で表示部の表示を第2画面から第3画面へと書き換えることが望ましい。第3画面は、商品購入者向けの画面であることが望ましい。
【0013】
ここでは、電子棚札の表示部の表示が、商品購入者向けの画面(第2画面)から、別の商品購入者向けの画面(第3画面)へと書き換えられる場合に、比較的長い第1描画時間で表示部の書き換えが行われるため、高い画質の画像を表示することが容易である。その結果、商品購入者による表示部の表示内容の誤認が発生しにくい。
【0014】
また、本発明に係る電子棚札は、周辺温度を計測する温度計測部を更に備えることが望ましい。第1描画時間は、温度計測部により計測された周辺温度に応じて決定されることが望ましい。
【0015】
ここでは、第1描画時間が、周辺温度に応じて決定される。そのため、低温条件下にあっても、第2画面については、高い画質を維持することが容易である。
【0016】
また、本発明に係る電子棚札では、第1指令は、第2描画時間に関する情報を含むことが望ましい。
【0017】
ここでは、第2描画時間を可変とすることが容易である。第2描画時間を可変とすることで、必要に応じて、表示部の描画時間を長くして第1画面の画質を改善したり、表示部の描画時間を短くして作業効率をより向上させたりすることができる。
【0018】
本発明に係る電子棚札システムは、複数の電子棚札と、電子棚札に各種指令を送信する携帯型送信機とを備える。各電子棚札は、電子ペーパを用いた表示部と、受信部と、書換部と、を有する。受信部は、携帯型送信機から各種指令を受信する。書換部は、第1描画時間で表示部の表示を第1画面から第2画面へと書き換える。携帯型送信機は、表示部の表示を第2画面から第1画面へと書き換えることを命じる第1指令を受信部に送信する。書換部は、受信部が第1指令を受信した場合に、第1描画時間よりも短い第2描画時間で、表示部の表示を第2画面から第1画面へと書き換える。
【0019】
ここでは、電子棚札の表示部の表示が第1画面から第2画面へと書き換えられる場合には、比較的長い第1描画時間で表示が書き換えられるのに対し、商品管理者が携帯型送信機を用いて電子棚札に第1指令を送信する場合には、第2画面から第1画面へと比較的短い第2描画時間で表示部の表示が書き換えられる。そのため、電子棚札が低温環境下で使用されたとしても、第1指令により(言い換えれば、商品管理者の要望に応じて)、表示部の表示を比較的短時間で書き換えることができ、商品管理者の作業効率を向上させることが可能である。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る電子棚札では、表示部の表示が第1画面から第2画面へと書き換えられる場合には、比較的長い(第2描画時間よりも長い)第1描画時間で表示が書き換えられるのに対し、受付部が第1指令を受け付けた場合には、第2画面から第1画面へと比較的短い(第1描画時間よりも短い)第2描画時間で表示部の表示が書き換えられる。そのため、電子棚札が低温環境下で使用されたとしても、第1指令により(言い換えれば、商品管理者の要望に応じて)、表示部の表示を比較的短時間で書き換えることができ、商品管理者の作業効率を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る電子棚札システムを示す図である。また、本発明の一実施形態に係る電子棚札を含んだ、電子棚札システムを示す図である。
図2図1に係る電子棚札の配置例を示す図である。
図3図1に係る電子棚札の外観を示す図である。
図4図1に係る電子棚札システムの概略構成を示すブロック図である。
図5図1に係る電子棚札の商品購入者用の画面(通常画面)の表示例である。
図6図1に係る電子棚札の商品管理者用の画面(管理画面)の表示例である。
図7図1に係る電子棚札の記憶部に記憶されている、周辺温度と第1描画時間とが関連付けられたテーブルである。
図8図1に係る電子棚札における、書換部による表示部の書換処理のフローチャートである。電子棚札の受光部が通常画面書換指令を受信した場合の書換処理のフローチャートである。
図9図1に係る電子棚札における、書換部による表示部の書換処理のフローチャートである。電子棚札の受光部が管理画面書換指令を受信した場合の書換処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る、電子棚札システム100および電子棚札40について説明する。
【0023】
なお、本実施形態に係る電子棚札システム100および電子棚札40は例示であり、電子棚札システムおよび電子棚札は、以下に記載する内容に限定されるものではない。電子棚札システムおよび電子棚札は、発明の趣旨と矛盾しない範囲で、その他の態様も採用可能である。
【0024】
(1)全体構成
電子棚札システム100は、例えば、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの店舗等で使用されるシステムである。電子棚札システム100は、店舗で販売される商品等の商品情報を記憶する電子棚札サーバ10と、店舗の売場等に陳列される商品に対応して配置される複数の電子棚札40とを有し、各電子棚札40に、対応する商品の商品情報を表示させるシステムである。
【0025】
電子棚札システム100は、図1に示すように、主として、電子棚札サーバ10と、複数のトランシーバ30と、複数の電子棚札40と、リモコン50と、を備える。
【0026】
電子棚札40は、可搬式の、電池駆動式の表示装置である。各電子棚札40には、その電子棚札40と、他の電子棚札40とを識別するための、固有のID(装置ID)が付されている。各電子棚札40は、店舗の売場に陳列される複数の種類の商品Pのうち、対応する商品Pの近傍に配置される(図2参照)。電子棚札40は、一般の売場(電子棚札40の周辺温度が、店舗内の温度とほぼ等しい売場)で使用される他、冷蔵ショーケース内でも使用される。冷蔵ショーケース内では、電子棚札40の周辺温度は低温(例えば0℃付近)になる。
【0027】
各電子棚札40は、対応する商品Pに関する商品情報を、商品購入者向けの通常画面として、後述する表示部41に表示する(図3参照)。通常画面は、第2画面および第3画面の一例である。商品情報は、商品Pに関する種々の情報であり、例えば、商品名、商品の売価、単位数量あたりの価格等を含む。また、商品情報には、前記の情報に代えて、または、前記の情報に加えて、販売促進用の広告が含まれてもよい。
【0028】
また、電子棚札40の表示部41に表示される画面には、店舗の店員等の商品管理者向けの管理画面が存在する。管理画面は、第1画面の一例である。管理画面は商品管理者が商品管理に利用する画面であり、具体的には、各電子棚札40に対応する商品Pに関する発注関連情報を表示する画面である。発注関連情報は、各電子棚札40と関連付けられた商品Pの在庫情報(例えば、商品Pの在庫数、商品Pの入荷日、商品Pの発注数等)、および、各電子棚札40と関連付けられた商品Pの販売情報(例えば、商品Pの販売数、最終販売日、最終販売時刻等)の少なくとも一方を含む情報である。商品管理者は、リモコン50により電子棚札40を操作することで(リモコン50から管理画面書換指令を送信することで)、表示部41の表示を、通常画面から管理画面に書き換えることができる。
【0029】
電子棚札サーバ10は、電子棚札システム100を統括的に制御するコンピュータである。電子棚札サーバ10には、電子棚札40に表示させるための商品情報が記憶されている。電子棚札サーバ10は、電子棚札システム100の起動時や、電子棚札40の表示変更が必要な時に、電子棚札40に対して商品情報(具体的には商品情報の画像データ)を送信するよう、トランシーバ30に指示する。
【0030】
トランシーバ30は、電子棚札40の後述する通信部42との間で、赤外線を用いて各種信号の送受信を行う。また、トランシーバ30は、LAN(Local Area Network)等のネットワーク2を介して、電子棚札サーバ10と接続される。トランシーバ30は、電子棚札サーバ10から指令を受け付け、その指令に従い、電子棚札サーバ10からトランシーバ30に送信されてきた商品情報の画像データや発注関連情報の画像データを、赤外線を用いて電子棚札40に送信する。また、トランシーバ30は、電子棚札40から送信されてきた赤外線信号を受信し、受信した信号を電気信号に変換して、ネットワーク2を介して電子棚札サーバ10に送信する。
【0031】
リモコン50は、携帯型送信機の一例である。リモコン50は、商品管理者に操作されることで、そのリモコン50の発信部(図示せず)が向けられた電子棚札40の通信部42に、各種指令を送信する。リモコン50は、各種指令の送信に、赤外線を用いる。リモコン50は、例えば、商品管理者の操作に応じて、表示部41の表示を管理画面に書き換えることを要求する管理画面書換指令を、電子棚札40の通信部42に送信する。
【0032】
(2)詳細構成
以下に、電子棚札サーバ10と、トランシーバ30と、電子棚札40と、リモコン50と、について詳細に説明する。
【0033】
(2−1)電子棚札サーバ
電子棚札サーバ10は、電子棚札システム100を統括的に管理するコンピュータである。電子棚札サーバ10は、電子棚札システム100の設置される店舗のバックヤード等に配置される。
【0034】
電子棚札サーバ10は、LAN(Local Area Network)等のネットワーク2を介して、トランシーバ30と接続されている。電子棚札サーバ10は、その機能の1つとして、電子棚札40に対し、トランシーバ30を介して、電子棚札40の表示部41に表示させるための商品情報の画像データや発注関連情報の画像データを送信する。
【0035】
電子棚札サーバ10は、主に、サーバ通信部11と、サーバ表示部12と、サーバ入力部13と、サーバ記憶部14と、サーバ制御部15とを有する(図4参照)。
【0036】
(2−1−1)サーバ通信部
サーバ通信部11は、電子棚札サーバ10とトランシーバ30との通信を可能にするための通信インターフェースである。また、サーバ通信部11は、図示されない電子棚札システム100外の機器(例えば、店舗に電子棚札システム100と共に設置されるPOSシステムのサーバおよびストアコントローラ等)とも通信可能に構成されている。サーバ通信部11からトランシーバ30に送信された商品情報の画像データは、トランシーバ30から電子棚札40へと赤外線を用いて送信される。
【0037】
(2−1−2)サーバ表示部
サーバ表示部12は、液晶ディスプレイである。サーバ表示部12には、電子棚札システム100に関する各種情報を表示可能である。
【0038】
(2−1−3)サーバ入力部
サーバ入力部13は、マウスおよびキーボードである。電子棚札システム100の管理者(店舗の従業員等)は、サーバ入力部13を介して、電子棚札サーバ10に対する各種指令や、各種情報を入力可能である。
【0039】
(2−1−4)サーバ記憶部
サーバ記憶部14は、主にROM、RAM、およびハードディスクにより構成される。
【0040】
サーバ記憶部14には、後述するサーバ制御部15により実行される各種プログラムが記憶される。また、サーバ記憶部14には、電子棚札40の通常画面に表示される商品情報(例えば、商品名、通常売価、特別売価、割引率、単位量あたりの価格、販売促進用の広告等)が各商品P別に記憶されている。また、サーバ記憶部14には、電子棚札40の管理画面に表示される発注関連情報(在庫情報(例えば、在庫数、入荷日、発注数等)、および、販売情報(例えば、販売数、最終販売日、最終販売時刻等)の少なくとも一方を含む情報)が各商品P別に記憶されている。さらに、サーバ記憶部14には、商品Pの商品ID(商品Pにバーコード等で付された商品ID)と、その商品Pの商品情報を表示させる電子棚札40の装置IDとが、関連付けられて(リンク付けられて)記憶されている。
【0041】
(2−1−5)サーバ制御部
サーバ制御部15は、主にCPUから構成される。サーバ制御部15は、サーバ記憶部14に記憶されているプログラムを実行することで、電子棚札システム100の各種制御を行う。
【0042】
例えば、サーバ制御部15は、ある電子棚札40の通常画面の表示変更が必要な時に、サーバ通信部11およびトランシーバ30を介して、第2指令の一例としての通常画面書換指令を、電子棚札40に送信する。具体的には、サーバ制御部15は、ある電子棚札40の通常画面の表示変更が必要な時に、その電子棚札40に表示させるための商品情報の画像データをサーバ記憶部14に記憶された商品情報を基に作成し、通常画面書換指令として送信する。なお、サーバ制御部15は、商品情報の画像データを送信する際に、画像データを受信した電子棚札40が、受信した画像データ(通常画面書換指令)が自己宛のものであるか否かを判別するための識別子(商品情報の画像データの送信対象の電子棚札40の装置ID)を一緒に送信する。なお、電子棚札40の通常画面の表示変更が必要な時とは、例えば、サーバ記憶部14において、その電子棚札40とリンク付けされた商品P(その電子棚札40の装置IDとリンク付けされた商品IDを有する商品P)の商品情報が更新された時である。また、例えば、電子棚札40の表示変更が必要な時とは、その電子棚札40とリンク付けされた商品Pの価格を通常販売価格から特別販売価格へと変更する時である。
【0043】
また例えば、サーバ制御部15は、商品Pの最新の発注関連情報の画像データ(電子棚札40の表示部41に管理画面として表示させるための画像データ)をサーバ記憶部14に記憶された発注関連情報を基に作成し、サーバ通信部11およびトランシーバ30を介して、その商品Pとリンク付けされた電子棚札40に定期的に送信する。サーバ制御部15は、発注関連情報の画像データを送信する際に、商品情報の画像データの送信時と同様に、識別子を一緒に送信する。なお、サーバ制御部15は、定期的に商品Pの発注関連情報を送信する代わりに、あるいは、定期的に商品Pの発注関連情報を送信するのに加えて、サーバ記憶部14に記憶される商品Pの発注関連情報が変更された場合に、その商品Pの発注関連情報の画像データを、その商品Pとリンク付けされた電子棚札40に送信してもよい。また、サーバ制御部15は、定期的に商品Pの発注関連情報を送信する代わりに、あるいは、定期的に商品Pの発注関連情報を送信するのに加えて、サーバ入力部13に入力される発注関連情報の画像データの送信指令に応じて、商品Pの発注関連情報の画像データを、その商品Pとリンク付けされた電子棚札40に送信してもよい。また、サーバ制御部15は、定期的に商品Pの発注関連情報を送信する代わりに、あるいは、定期的に商品Pの発注関連情報を送信するのに加えて、サーバ通信部11が受け付けた発注関連情報の画像データの送信要求に応じて、商品Pの発注関連情報の画像データを、その商品Pとリンク付けされた電子棚札40に送信してもよい。
【0044】
(2−2)トランシーバ
トランシーバ30は、電子棚札40の後述する通信部42との間で、赤外線を用いて信号の送受信を行う。また、トランシーバ30は、ネットワーク2を介して電子棚札サーバ10と接続され、電子棚札サーバ10との間で信号の送受信を行う。
【0045】
トランシーバ30は、例えば、電子棚札40が設置される店舗の売場の天井に、一定の間隔を空けて取り付けられる。トランシーバ30の設置台数および設置場所は、店舗内に設置された電子棚札40が、いずれかのトランシーバ30と赤外線通信可能となるように決定される。
【0046】
トランシーバ30は、電子棚札サーバ10からの指令に従い、電子棚札40の通信部42に対し各種指令や各種情報を送信する。例えば、トランシーバ30は、電子棚札サーバ10からの指令に従い、商品情報の画像データを通常画面書換指令として送信する。また、例えば、トランシーバ30は、電子棚札サーバ10からの指令に従い、発注関連情報の画像データを送信する。また、トランシーバ30は、電子棚札40の通信部42から赤外線信号(例えば、後述するACK信号)を受信すると、受信した赤外線信号を電気信号に変換し、ネットワーク2を介して電子棚札サーバ10のサーバ通信部11に送信する。
【0047】
(2−3)電子棚札
電子棚札40は、店舗で取り扱われる商品Pのそれぞれに対応して配置され、通常画面として、対応する商品Pに関する商品情報を表示する(図2参照)。例えば、電子棚札40には、商品Pの商品名、売価、および単位数量あたりの単価が、商品情報として表示される(図3参照)。
【0048】
電子棚札40は、図4のように、主に表示部41、通信部42、制御部43、記憶部44、温度センサ45、および電池46を有する。
【0049】
(2−3−1)表示部
表示部41は、図5のような通常画面(記憶部44に記憶されている商品情報の画像データ)や、図6のような管理画面(記憶部44に記憶されている発注関連情報の画像データ)を表示するためのディスプレイである。表示部41には、商品管理者が特に指示した場合(リモコン50から管理画面書換指令を送信した場合等)を除いて、通常画面が表示される。
【0050】
表示部41には、電子ペーパが用いられる。すなわち、表示部41は、マトリクス状に配列された複数の画素で構成される、ドットマトリクス方式のディスプレイである。表示部41は、不揮発性であり、電力が供給されなくても表示内容を保持することが可能である。
【0051】
表示部41に用いられる電子ペーパは、溶液中の荷電粒子を電気泳動させることでその表示を変化させる。表示部41の表示を書き換える際には、それまで表示されていた画像を、荷電粒子を電気泳動させることで消去し、表示させたい画像を、荷電粒子を電気泳動させることで描画する。溶液中の荷電粒子の移動速度は温度に依存するため、表示部41に画像を描画するための最適時間は、電子棚札40の設置場所の周辺温度に依存して変化する。具体的には、荷電粒子の電気泳動の速度は低温になるほど遅くなるため、表示部41に画像を描画する最適時間(それまで表示されていた画像を消去し、表示部41に、認識の容易な、鮮明な画像を描画するための時間)は、電子棚札40の設置場所の周辺温度が低いほど遅くなる。
【0052】
表示部41の表示を書き換える描画時間は、後述する制御部43の書換部43aにより決定される。後述するように、書換部43aは、描画する内容に応じ(通常画面と管理画面とのいずれを描画するかによって)、異なる方法で描画時間を決定し、決定した描画時間で表示を書き換えることを表示部41に命じる。
【0053】
(2−3−2)通信部
通信部42は、トランシーバ30との間で、赤外線により信号の送受信を行う。また、通信部42は、リモコン50から送信されてくる赤外線信号を受信する。通信部42は、受光部42aと、発光部42bと、を有する(図4参照)。受光部42aは、フォトダイオードおよびアンプを主に有する。発光部42bは、LEDを主に有する。
【0054】
受光部42aは、受付部および受信部の一例である。受光部42aは、電子棚札サーバ10からトランシーバ30を介して送信される、通常画面書換指令(第2指令の一例)としての商品情報の画像データを受信する。また、受光部42aは、電子棚札サーバ10からトランシーバ30を介して送信される、発注関連情報の画像データを受信する。さらに、受光部42aは、リモコン50から送信される、管理画面書換指令(第1指令の一例)を含む各種指令を受信する。受光部42aは、受信した赤外線信号を電気信号に変換し、制御部43に送信する。
【0055】
発光部42bは、制御部43の指示により、トランシーバ30に対して各種信号を送信する。例えば、発光部42bは、制御部43の指示により、受光部42aが自己宛の商品情報の画像データを受信したことを電子棚札サーバ10に知らせるための信号(ACK信号)を、トランシーバ30に対して送信する。
【0056】
(2−3−3)制御部
制御部43は、主にCPUによって構成される。制御部43は、表示部41、通信部42、記憶部44、温度センサ45、および電池46と電気的に接続されている(図4参照)。
【0057】
制御部43は、後述する記憶部44に記憶されたプログラムを実行することで、電子棚札40の各部を制御する。制御部43は、具体的には、例えば、以下の制御を行う。
【0058】
制御部43は、通信部42を制御して、トランシーバ30から送信されてくる商品情報の画像データ(通常画面書換指令)および識別子を受信させる。なお、識別子は、商品情報の画像データの送信対象の電子棚札40の装置IDである。制御部43は、通信部42が商品情報の画像データを受信すると、受信した画像データと共に送信されてきた識別子を、後述する記憶部44に記憶されている装置ID(その制御部43が属する電子棚札40の装置ID)と比較する。制御部43は、識別子と、記憶部44に記憶されている装置IDとが一致する場合には、自己宛の(その制御部43が属する電子棚札40宛の)商品情報の画像データを受信したと判定する。制御部43は、自己宛の商品情報の画像データを受信したと判定すると、通信部42を制御し、トランシーバ30に対して、自己宛の商品情報の画像データを受信した旨を知らせる信号(ACK信号)を送信させる。そして、制御部43は、通信部42が受信した自己宛の商品情報の画像データを、記憶部44に記憶させる。更に、制御部43の機能部である書換部43aは、記憶部44に記憶された商品情報の画像データ(通常画面)が表示されるように、表示部41の表示を書き換える。
【0059】
また、制御部43は、通信部42を制御して、トランシーバ30から送信されてくる発注関連情報の画像データおよび識別子を受信させる。制御部43は、通信部42が発注関連情報の画像データを受信すると、受信した画像データと共に送信されてきた識別子を、後述する記憶部44に記憶されている装置ID(その制御部43が属する電子棚札40の装置ID)と比較する。制御部43は、識別子と、記憶部44に記憶されている装置IDとが一致する場合には、自己宛の(その制御部43が属する電子棚札40宛の)発注関連情報の画像データを受信したと判定する。制御部43は、自己宛の発注関連情報の画像データを受信したと判定すると、通信部42を制御し、トランシーバ30に対して、自己宛の発注関連情報の画像データを受信した旨を知らせる信号(ACK信号)を送信させる。そして、制御部43は、通信部42が受信した自己宛の発注関連情報の画像データを、記憶部44に記憶させる。
【0060】
また、制御部43は、通信部42を制御して、リモコン50から送信されてくる、描画指示時間を情報として含む管理画面書換指令を受信させる。描画指示時間については後述する。制御部43の機能部である書換部43aは、受信した管理画面書換指令に応じて、記憶部44に記憶された発注関連情報の画像データ(管理画面)が表示されるように、表示部41の表示を書き換える。
【0061】
(2−3−3−1)書換部
書換部43aは、受光部42aが受け付けた通常画面書換指令および管理画面書換指令に応じて表示部41の表示を書き換える。また、書換部43aは、管理画面書換指令に応じて表示部41の表示を管理画面に書き換えてから所定時間経過した後に、表示部41の表示を通常画面に書き換える。
【0062】
書換部43aは、表示部41の表示を管理画面から通常画面に書き換える際の第1描画時間と、表示部41の表示を通常画面から管理画面に書き換える際の第2描画時間と、を異なる方法で決定する。また、書換部43aは、受光部42aが通常画面書換指令を受け付けた際の描画時間を、第1描画時間と同じ方法で決定する。つまり、書換部43aは、受光部42aが通常画面書換指令を受け付けた場合には、第1描画時間で表示の書き換えを行う。
【0063】
書換部43aによる、表示部41の表示の書換処理(描画時間の決定方法を含む)については後述する。
【0064】
(2−3−4)記憶部
記憶部44は、EEPROM等の不揮発性メモリによって構成される記憶部である。ただし、これに限定されるものではなく、記憶部44にRAM等の揮発性メモリが使用されてもよい。
【0065】
記憶部44には、制御部43が電子棚札40の各部の制御を行うためのプログラムの他、電子棚札40の固有の識別子である装置IDや、電子棚札サーバ10から送信された商品情報の画像データおよび管理情報の画像データが記憶される。また、記憶部44には、書換部43aが第1描画時間を決定するために用いる、電子棚札40の周辺温度と、第1描画時間とを関連付けたテーブル(図7参照)が記憶されている。周辺温度と第1描画時間とを関連付けたテーブルについては、後述する。
【0066】
(2−3−5)温度センサ
温度センサ45は、温度計測部の一例である。温度センサ45は、電子棚札40の周辺温度Taを測定する温度センサである。温度センサ45の検出結果は、制御部43に対して送信される。
【0067】
(2−3−6)電池
電池46は、電子棚札40の表示部41、通信部42、制御部43、記憶部44、および温度センサ45に駆動電力を供給する。表示部41、通信部42、記憶部44、および温度センサ45には、FET等のスイッチ(図示せず)がそれぞれ設けられている。制御部43は、これらのスイッチを制御することで、表示部41、通信部42、記憶部44、および温度センサ45への電力の供給を制御する。
【0068】
(2−4)リモコン
リモコン50は、携帯型送信機の一例である。リモコン50は、商品管理者により携帯され、電子棚札40に各種指令を送信するために使用される。リモコン50は、赤外線を用いて、電子棚札40に各種指令を送信する。
【0069】
例えば、リモコン50は、電子棚札40に対して管理画面書換指令を送信するために使用される。管理画面書換指令は、その指令を受信した電子棚札40に、表示部41の表示を管理画面に書き換えるよう命じる指令である。管理画面書換指令は、後述するように、描画指示時間を情報として含む。
【0070】
リモコン50は、管理画面書換指令を送信するためのスイッチとして、3つのスイッチ51a,51b,51cを有する(図4参照)。いずれのスイッチ51a,51b,51cも、電子棚札40に対し、管理画面書換指令を送信するためのスイッチである点は共通する。ただし、いずれのスイッチ51a,51b,51cを押すかによって、リモコン50は、異なる描画指示時間を情報として含む管理画面書換指令を送信する。なお描画指示時間とは、管理画面書換指令を受け付けた電子棚札40に対し、その時間で管理画面を描画するよう指示するための情報である。ここでは、スイッチ51aを押した場合に最も長い描画指示時間B1を情報として含む管理画面書換指令が送信され、スイッチ51bを押した場合に次に長い描画指示時間B2を情報として含む管理画面書換指令が送信され、スイッチ51cを押した場合に最も短い描画指示時間B3を情報として含む管理画面書換指令が送信される。つまり、描画指示時間B1〜B3には、B1>B2>B3という関係がある。
【0071】
(3)書換部による表示部の書換処理
書換部43aによる表示部41の表示の書換処理について、図8および図9のフローチャートを用いて説明する。
【0072】
ここでは、受光部42aが、その受光部42aが属する電子棚札40宛の通常画面書換指令、または、管理画面書換指令を受け付けていることを前提として、書換部43aによる表示部41の表示の書き換え処理を説明する。
【0073】
まず、受光部42aが、その受光部42aが属する電子棚札40宛の通常画面書換指令(第2指令の一例)を受け付けた場合について、図8のフローチャートを用いて説明する。
【0074】
ステップS101では、書換部43aは、温度センサ45から制御部43に送信される周辺温度Taを取得する。その後ステップS102に進む。
【0075】
ステップS102では、書換部43aは、記憶部44に記憶されている、電子棚札40の周辺温度と第1描画時間とを関連付けたテーブル(図7参照)を用いて、表示部41の表示を、現在の通常画面(第2画面の一例)から新たな通常画面(第3画面の一例)へと書き換える際の第1描画時間を決定する。
【0076】
電子棚札40の周辺温度と、第1描画時間とを関連付けたテーブルでは、図7のように、周辺温度TaがTa<T1の場合には第1描画時間はA1秒、周辺温度TaがT1≦Ta<T2の場合には第1描画時間はA2秒、周辺温度TaがT2≦Ta<T3の場合には第1描画時間はA3秒、周辺温度TaがT3≦Ta<T4の場合には第1描画時間はA4秒、周辺温度TaがTa>T4の場合には第1描画時間はA5秒という情報が記憶されている。なお、T1〜T4には、T1<T2<T3<T4という関係があり、A1〜A5には、A1>A2>A3>A4>A5という関係がある。A1は、例えば15秒であり、A5は、例えば3秒である。つまり、図7のテーブルは、表示部41の電子ペーパは周辺温度が低いほど長い描画時間が必要になるという特性にあわせたテーブルになっている。第1描画時間A1〜A5は、対応する温度範囲で用いられる場合に、表示部41に図5のような明瞭な画像が得られるように予め決定された最適時間である。なお、図7のテーブルは、例示にすぎず、第1描画時間は、周辺温度Taに応じて、より多くの段階(6段階以上)で変化するようなものであってもよいし、より少ない段階(4段階以下)で変化するものであってもよい。
【0077】
書換部43aは、ステップS101で取得した周辺温度Taに応じて、第1描画時間を決定する。具体的には、現在の周辺温度Taが、記憶部44に記憶されたテーブルの中で、どの温度範囲に入るかを把握し、その温度範囲に対応するテーブル中の第1描画時間の値を、表示部41の表示の書き換えに実際に使用する第1描画時間として決定する。
【0078】
次に、ステップS103では、書換部43aは、記憶部44に記憶された商品情報の画像データを読み出す。
【0079】
次に、ステップS104では、書換部43aは、ステップS103で読み出した商品情報の画像データを表示部41に送信し、第1描画時間で、送信した商品情報の画像データに表示を書き換えるよう指示する。表示部41は、その指示に従って、第1描画時間の間に、それまで表示されていた通常画面を消去すると共に、送信されてきた商品情報の画像データを新たな通常画面として描画する。
【0080】
次に、受光部42aが管理画面書換指令(第1指令の一例)を受け付けた場合について、図9のフローチャートを用いて説明する。
【0081】
ステップS201では、書換部43aは、管理画面書換指令に情報として含まれている描画指示時間(B1,B2,B3のいずれか)を取得し、その値を第2描画時間と決定する。なお、描画指示時間B1,B2,B3は、記憶部44に記憶されているテーブル内の第1描画時間A1〜A5との間に、A1>A2>A3>A4>A5>B1>B2>B3という関係がある。つまり、第2描画時間は、第1描画時間よりも短い。
【0082】
次に、ステップS202では、書換部43aは、記憶部44に記憶された発注関連情報の画像データを読み出す。
【0083】
次に、ステップS203では、書換部43aは、ステップS103で読み出した発注関連情報の画像データを表示部41に送信し、第2描画時間で、送信した発注関連情報の画像データに表示を書き換えるよう指示する。表示部41は、その指示に従って、第2描画時間の間に、それまで表示されていた通常画面(第2画面の一例)を消去すると共に、送信されてきた発注関連情報の画像データを管理画面(第1画面の一例)として描画する。
【0084】
なお、第2描画時間は、上記のステップS102のように周辺温度Taに対する最適な描画時間である第1描画時間よりも短いため、画質が悪くなる場合がある。具体的には、例えば、図6のように、それまで表示されていた通常画面(商品情報の画像データ)の消去が不完全なまま、発注関連情報の画像データが重ねて表示される場合がある。また、例えば、発注関連情報の画像データの表示濃度が薄くなる場合がある。このような画面は、商品管理者が発注関連情報を把握する上では許容される。しかし、商品購入者向けの画面の画質が図6と同様なものであったとすれば、商品購入者の売価等を誤認する可能性があるため許容されない。
【0085】
なお、商品管理者が、管理画面書換指令をリモコン50から送信するために、第2または第3スイッチ51b,51cを押していた場合(管理画面書換指令に含まれる描画指示時間がB2又はB3の場合)には、商品管理者は、リモコン50の、より長い描画指示時間を情報として送信するスイッチを押すことで、表示部41の画質(視認性)を向上させることができる。一方、商品管理者が、管理画面書換指令をリモコン50から送信するために、第1または第2スイッチ51a,51bを押していた場合(管理画面書換指令に含まれる描画指示時間がB1又はB2の場合)には、商品管理者は、リモコン50の、より短い描画指示時間を情報として送信するスイッチを押すことで描画時間を短縮し、作業効率をさらに向上させることができる。
【0086】
ステップS203終了後、ステップS204では、書換部43aは、温度センサ45から制御部43に送信される周辺温度Taを取得する。その後ステップS205に進む。
【0087】
ステップS205では、書換部43aは、表示部41の表示を、現在の管理画面(第1画面の一例)から通常画面(第2画面の一例)に書き換えるための第1描画時間を、記憶部44に記憶されている、電子棚札40の周辺温度と第1描画時間とを関連付けたテーブル(図7参照)を用いて決定する。ステップS205の処理は、前述のステップS102と同様であるので説明は省略する。
【0088】
次に、ステップS206では、ステップS203で管理画面が表示された後、所定時間(例えば10秒)が経過したか否かが判定される。ステップS206は、所定時間が経過したと判定されるまで繰り返される。所定時間が経過したと判定されると、ステップS207に進む。
【0089】
ステップS207では、書換部43aは、記憶部44に記憶された商品情報の画像データを読み出す。
【0090】
次に、ステップS208では、書換部43aは、ステップS207で読み出した商品情報の画像データを表示部41に送信し、第1描画時間で、送信した商品情報の画像データに表示を書き換えるよう指示する。表示部41は、その指示に従って、第1描画時間の間に、それまで表示されていた管理画面を消去すると共に、送信されてきた商品情報の画像データを通常画面として描画する。
【0091】
(4)特徴
(4−1)
本実施形態に係る電子棚札40は、電子ペーパを用いた表示部41と、受付部としての受光部42aと、書換部43aと、を備える。受光部42aは、表示部41の表示の書換指令を受け付ける。書換部43aは、表示部41の表示を書き換える。書換部43aは、表示部41の表示を管理画面(第1画面の一例)から通常画面(第2画面の一例)へと第1描画時間で書き換える。また、書換部43aは、受光部42aが書換指令として管理画面書換指令(第1指令の一例)を受け付けた場合に、第1描画時間よりも短い第2描画時間で、表示部41の表示を通常画面から管理画面へと書き換える。
【0092】
ここでは、表示部41の表示が管理画面から通常画面へと書き換えられる場合には、比較的長い(第2描画時間より長い)第1描画時間で表示が書き換えられるのに対し、受光部42aが第1指令を受け付けた場合には、通常画面から管理画面へと比較的短い(第1描画時間より短い)第2描画時間で表示部41の表示が書き換えられる。そのため、電子棚札40が低温環境下(例えば、冷蔵ケース内)で使用されたとしても、管理画面書換指令により(言い換えれば、商品管理者の要望に応じて)、表示部41の表示を比較的短時間で書き換えることができ、商品管理者の作業効率を向上させることが可能である。
【0093】
(4−2)
本実施形態に係る電子棚札40では、管理画面は、当該電子棚札40と関連付けられた商品Pの在庫情報、および、商品Pの販売情報の少なくとも一方を含む発注関連情報を表示する商品管理者向けの画面である。通常画面は、商品Pの売価、および、広告の少なくとも一方を表示する商品購入者向けの画面である。
【0094】
ここでは、管理画面は商品管理者向けの画面であるため、画質はあまり重要ではないが、作業効率の観点から描画時間の短縮が求められる。一方、通常画面は、商品購入者向けの画面であることから、画質が特に重要となる。
【0095】
これに対し、上記のように、管理画面書換指令を受け付けた場合には、通常画面から管理画面へと比較的短い第2描画時間で表示部41の表示が書き換えられるため、管理画面を作業に利用する商品管理者の作業性を向上させることができる。一方で、管理画面から通常画面に表示を書き換える場合には、描画時間として比較的長い第1描画時間が確保されるため、商品購入者向けの画面の画質を高く維持することが容易である。
【0096】
(4−3)
本実施形態に係る電子棚札40では、書換部43aは、受光部42aが書換指令として通常画面書換指令(第2指令の一例)を受け付けた場合に、第1描画時間で表示部41の表示を通常画面(第2画面の一例)から、表示内容である商品情報の一部又は全部が変更された他の通常画面(第3画面の一例)へと書き換える。他の通常画面(第3画面の一例)は、商品購入者向けの画面である。
【0097】
ここでは、電子棚札40の表示部41の表示が、商品購入者向けの画面から、別の商品購入者向けの画面へと書き換えられる場合には、比較的長い第1描画時間で表示部41の書き換えが行われるため、高い画質の画像を表示することが容易である。その結果、商品購入者による表示部41の表示内容の誤認が発生しにくい。
【0098】
(4−4)
本実施形態に係る電子棚札40は、周辺温度Taを計測する温度計測部としての温度センサ45を備える。第1描画時間は、温度センサ45により計測された周辺温度Taに応じて決定される。
【0099】
ここでは、第1描画時間が、周辺温度Taに応じて決定される。そのため、低温条件下にあっても、通常画面については、高い画質を維持することが容易である。
【0100】
(4−5)
本実施形態に係る電子棚札40は、管理画面書換指令は、第2描画時間に関する情報(描画指示時間)を含む。
【0101】
ここでは、第2描画時間を可変とすることが容易である。第2描画時間を可変とすることで、必要に応じて、表示部41の描画時間を長くして管理画面の画質を改善したり、表示部41の描画時間を短くして作業効率をより向上させたりすることができる。
【0102】
(4−6)
本発明に係る電子棚札システム100は、複数の電子棚札40と、電子棚札40に各種指令を送信する携帯型送信機としてのリモコン50と、を備える。各電子棚札40は、電子ペーパを用いた表示部41と、受信部としての受光部42aと、書換部43aと、を有する。受光部42aは、リモコン50から指令を受信する。書換部43aは、第1描画時間で表示部41の表示を管理画面(第1画面の一例)から通常画面(第2画面の一例)へと書き換える。リモコン50は、表示部41の表示を通常画面から管理画面へと書き換えることを命じる管理画面書換指令(第1指令の一例)を受光部42aに送信する。書換部43aは、受光部42aが管理画面書換指令を受信した場合に、第1描画時間よりも短い第2描画時間で、表示部41の表示を通常画面から管理画面へと書き換える。
【0103】
ここでは、電子棚札40の表示部41の表示が管理画面から通常画面へと書き換えられる場合には、比較的長い第1描画時間で表示が書き換えられるのに対し、商品管理者がリモコン50を用いて電子棚札40に管理画面書換指令を送信する場合には、通常画面から管理画面へと比較的短い第2描画時間で表示部41の表示が書き換えられる。そのため、電子棚札40が低温環境下で使用されたとしても、管理画面書換指令により(言い換えれば、商品管理者の要望に応じて)、表示部41の表示を比較的短時間で書き換えることができ、商品管理者の作業効率を向上させることが可能である。
【0104】
(5)変形例
以下に本実施形態の変形例について説明する。なお、矛盾しない範囲で、複数の変形例が組み合わされてもよい。
【0105】
(5−1)変形例A
上記実施形態に係る電子棚札システム100では、電子棚札40の通信部42と、トランシーバ30およびリモコン50とは、赤外線を用いて信号の送受信を行うがこれに限定されるものではない。例えば、電子棚札40の通信部42と、トランシーバ30およびリモコン50とは、電波を用いて信号の送受信を行うものであってもよい。
【0106】
(5−2)変形例B
上記実施形態に係る電子棚札システム100では、リモコン50は、異なる描画指令時間を含む管理画面書換指令を送信するため、3つのスイッチ51a,51b,51cを有するが、これに限定されるものではない。例えば、リモコン50は、異なる描画指令時間を含む管理画面書換指令を送信するためのスイッチを2つ、又は、4つ以上有するものであってもよい。
【0107】
また、例えば、リモコン50は、管理画面書換指令を送信するため単一のスイッチを有するものであって、リモコン50から電子棚札40には、単一の描画指令時間を含む管理画面書換指令が送信されてもよい。ただし、商品管理者の要望に応じて、第2描画時間を短縮して作業性を更に向上させたり、管理画面の画質を向上させたりすることを可能にするためには、リモコン50は、異なる描画指令時間を含む管理画面書換指令を送信するため、複数のスイッチを有することが望ましい。
【0108】
(5−3)変形例C
上記実施形態に係る電子棚札システム100では、リモコン50は、異なる描画指令時間を含む管理画面書換指令を送信するためのスイッチ51a,51b,51cを有するが、これに限定されるものではない。例えば、リモコン50はスイッチ51a,51b,51cを有し、押されたスイッチ51a,51b,51cに応じてそれぞれ異なる認識記号を含む管理画面書換指令を電子棚札40に送信してもよい。そして、電子棚札40は、受信した認識記号に応じて、記憶部44に記憶された描画指令時間を第2描画時間として読み出すものであってもよい。
【0109】
(5−4)変形例D
上記実施形態に係る電子棚札システム100では、リモコン50は、異なる描画指令時間を含む管理画面書換指令を送信するためのスイッチ51a,51b,51cを有するが、これに限定されるものではない。
【0110】
例えば、リモコン50は、管理画面書換指令を送信するため単一のスイッチを有するものであって、管理画面書換指令には描画指令時間に関する情報は含まれていなくてもよい。そして、電子棚札40の書換部43aは、電子棚札40の記憶部44に記憶された、第1描画時間より短い単一の第2描画時間を、通常画面から管理画面へと書き換える描画時間としてもよい。例えば、上記の実施形態の記号を用いれば、記憶部44に、図7のテーブルの第1描画時間A1〜A5よりも短い描画指示時間B1が、第2描画時間として記憶されていてもよい。
【0111】
さらに、記憶部44に第2描画時間を記憶させる場合には、図7と同様の、電子棚札40の周辺温度と第2描画時間とを関連付けたテーブルを、記憶部44に記憶させてもよい。そして、電子棚札40の書換部43aは、管理画面書換指令を受け付けた時に温度センサ45の計測した周辺温度Taを把握し、その周辺温度Taに応じて、その周辺温度Taにおける第1描画時間よりも短い第2描画時間を決定してもよい。
【0112】
(5−5)変形例E
上記実施形態に係る電子棚札40の、書換部43aによる表示部41の表示の書き換え処理のフローチャートは一例であって、これに限定されるものではない。例えば、書換部43aは、表示部41の表示が通常画面に書き換えられる直前に第1描画時間を算出しているが、第1描画時間は予め決定されていてもよい。例えば、書換部43aは、定期的に(例えば5分毎に)温度センサ45から周辺温度Taを受け付け、その周辺温度Taを用いて予め第1描画時間を決定してもよい。
【0113】
(5−6)変形例F
上記実施形態に係る電子棚札40では、書換部43aが、温度センサ45が計測した周辺温度Taと、記憶部44に記憶された、電子棚札40の周辺温度と第1描画時間とを関連付けたテーブルと、を用いて、第1描画時間を算出しているが、これに限定されるものではない。例えば、記憶部44に、電子棚札40の周辺温度と第1描画時間との関係式を記憶させておき、書換部43aは、温度センサ45が計測した周辺温度Taと、その関係式と、を用いて、第1描画時間を決定してもよい。
【0114】
(5−7)変形例G
上記実施形態に係る電子棚札40では、記憶部44に、商品情報の画像データや、発注関連情報の画像データが記憶されているが、これに限定されるものではない。電子棚札40の制御部43は、表示部41の表示を管理画面(発注関連情報の画像データ)に書き換える場合や、表示部41の表示を管理画面から通常画面(商品情報の画像データ)に書き換える場合に、電子棚札サーバ10に画像データの送信を要求する信号を送信し、送信されてくる画像データを用いて表示物41の表示の書き換えを行ってもよい。
【0115】
(5−8)変形例H
上記実施形態に係る電子棚札40では、表示部41の表示が通常画面から管理画面へと書き換えられた後、所定時間が経過すると、管理画面から通常画面へと表示部41の表示が書き換えられるが(図9のステップS206参照)、これに限定されるものではない。表示部41の表示は、リモコン50からの指令によって、管理画面から通常画面へと書き換えられてもよい。
【0116】
(5−9)変形例I
上記実施形態に係る電子棚札40では、受光部42aが、リモコン50から送信される管理画面書換指令を受け付けるが、これに限定されるものではない。例えば、電子棚札40には、表示部41の表示を通常画面から管理画面に書き換えることを命じるためのスイッチが設けられ、電子棚札40は、このスイッチが操作されると、管理画面書換指令を受け付けたと判定するよう構成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明に係る電子棚札システムおよび電子棚札は、電子棚札が低温環境下で使用される場合であっても、電子棚札の製造費およびランニングコストを上昇させることなく、電子棚札が表示する情報を利用する作業者の作業効率を高めることが可能な、電子棚札システムおよび電子棚札として有用である。
【符号の説明】
【0118】
40 電子棚札
41 表示部
42a 受光部(受付部、受信部)
43a 書換部
45 温度センサ(温度計測部)
50 リモコン(携帯型送信機)
100 電子棚札システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0119】
【特許文献1】特開2008−48868号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9