(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記特許文献1に開示されているようなマスクブランクスにおいて遮光層と半透光層との間に形成されている上記エッチングストッパー層は、遮光層のエッチング工程で、半透光層まで過剰にエッチングされないように半透光層を保護するためのものである。従って、遮光層とその直下に位置するエッチングストッパー層との間にはエッチング選択性を有している必要がある。上記特許文献1に開示のマスクブランクスでは、半透光層と遮光層にクロム(Cr)系の材料を採用し、エッチングストッパー層には、Cr系材料とはエッチング特性の異なる例えばNi、Fe、Co、Mo、W、Ti、Al、Ta等の材料を採用している。
【0008】
また、上記特許文献1に開示のマスクブランクスと同様の構成、つまり、透光性基板上に、半透光層(位相シフト層)とエッチングストッパー層と遮光層とを有するマスクブランクは、転写パターン形成領域の周辺部に遮光帯が形成された位相シフトマスクの作製にも用いることができる。
【0009】
この場合、半透光層に所定のパターンを形成後、転写パターン形成領域内の遮光層はエッチングにより除去され、転写パターン形成領域の周辺部には遮光層からなる遮光帯パターンが形成される。ここで、転写パターン形成領域内の遮光層がエッチングされる速度は、基板面内で必ずしも均一ではなく、エッチングが先に完了した領域は直下のエッチングストッパー層が露出した状態になり、遮光帯形成のエッチング工程が面内の全領域で完了するまで、先に露出したエッチングストッパー層はエッチャントに曝されることになる。
【0010】
遮光帯の構成材料としては、たとえば薄膜でも高い光学濃度が得られるタンタル(Ta)系材料が好ましく挙げられる。Ta系材料は消衰係数が高いため、優れた遮光帯として機能する。このようなTa系材料の薄膜のドライエッチングにはエッチャントとして通常は塩素系ガスが用いられる。しかし、Ta系材料の薄膜は、薄膜表面の酸化が進行するとエッチング特性が変化するという問題を有している。具体的には、薄膜表面の酸化が進行すると、塩素系ガスによるエッチング速度が著しく低下するという問題である。この場合、上述の転写パターン形成領域内の遮光層がエッチングにより除去される際のエッチング速度が基板面内でばらつく現象がより顕著になる。従って、遮光層のエッチングが先に完了した領域は直下のエッチングストッパー層が露出した状態になり、先に露出したエッチングストッパー層は遅れてエッチングストッパー層が露出する領域よりも長い時間エッチャントに曝されることになる。
【0011】
遮光帯パターンを形成する遮光層が上記Ta系材料で構成される場合、その直下のエッチングストッパー層は、Ta系材料とはエッチング特性が異なり、Ta系材料のエッチャントである塩素系ガスに耐性を有する例えばCr系材料が適用される。しかし、先に露出したエッチングストッパー層が長い時間塩素系ガスに曝されると、エッチングストッパー層の減膜ないしは消失が懸念される。とりわけ、エッチングストッパー層が消失すると、その消失によって露出した半透光層にダメージを与えてしまうため、完成した位相シフトマスクの性能が劣化する恐れがある。
【0012】
そこで、本発明は、このような従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、第1に、Ta系材料からなる遮光層を、下層にダメージを与えることなく、エッチングによりパターニングできる転写用マスクの製造方法を提供することであり、第2に、遮光帯を備えた位相シフト型マスクの製造に好適な転写用マスクの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、Ta系材料からなる遮光層を、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、およびキセノン(Xe)のうちいずれかの元素とフッ素(F)との化合物を含む非励起状態の物質に接触させることによりエッチングを行うと、遮光層の表面酸化が進行していてもエッチング速度が低下しないことを見出した。また、このTa系材料からなる遮光層の直下に形成するクロム(Cr)を含む材料、または、ケイ素(Si)及び酸素(O)を含有する材料からなるエッチングストッパー層は、上記塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、およびキセノン(Xe)のうちいずれかの元素とフッ素(F)との化合物を含む非励起状態の物質に極めて強い耐性を有していることも見出した。
本発明は、得られたこれらの知見に基づき検討の結果、完成したものである。
すなわち、上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
【0014】
(構成1)
透光性基板上に、パターンを形成するための薄膜を有し、該薄膜は、遮光層と、その直下のエッチングストッパー層とを含み、前記遮光層の少なくとも最上部は、タンタル(Ta)、及び、ハフニウム(Hf)とジルコニウム(Zr)のうちの少なくとも一方を含有する材料で形成され、前記エッチングストッパー層は、クロム(Cr)を含む材料、または、ケイ素(Si)及び酸素(O)を含有する材料で形成されているマスクブランクを準備する工程と、レジストパターンをマスクとして、前記遮光層を、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、およびキセノン(Xe)のうちいずれかの元素とフッ素(F)との化合物を含む非励起状態の物質に接触させることによりエッチングを行う工程と、を有することを特徴とする転写用マスクの製造方法。
【0015】
構成1にあるように、少なくとも最上部がタンタル(Ta)、及び、ハフニウム(Hf)とジルコニウム(Zr)のうちの少なくとも一方を含有する材料で形成されている遮光層を、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、およびキセノン(Xe)のうちいずれかの元素とフッ素(F)との化合物を含む非励起状態の物質に接触させることによりエッチングを行うことで、遮光層の表面酸化が進行していてもエッチング速度が低下しない。本構成によれば、下層にダメージを与えることなく、遮光層をパターニングできる。
なお、遮光層は単層構造であっても複数層からなる積層構造のいずれにも適用可能である。単層構造の場合、タンタル(Ta)、及び、ハフニウム(Hf)とジルコニウム(Zr)のうちの少なくとも一方を含有する材料で形成されている層である。積層構造の場合、タンタル(Ta)、及び、ハフニウム(Hf)とジルコニウム(Zr)のうちの少なくとも一方を含有する材料で形成されている層が遮光層の最上層に形成されている構造であると好ましい。
そして、遮光層の最上部の層以外の層についても、タンタル系化合物であると好ましい。具体的な積層構造として、窒化タンタル(TaN)からなる層の上層にタンタル(Ta)とハフニウム(Hf)を含む材料からなる層を積層した構造が挙げられる。また、本発明においては、遮光層の表面がたとえば酸化されて酸化層が形成されている場合も含まれる。例えば、タンタル(Ta)とハフニウム(Hf)を含む材料からなる層の上層にタンタル‐ハフニウム酸化物(TaHfO)からなる層が形成された遮光層の構造が挙げられる。
なおここでいう「最上部」とはエッチングストッパー層側をしたとした時に最も上(遮光層の表面部分)に位置する領域をいう。
【0016】
また、上記のTa系材料からなる遮光層の直下に設けるクロム(Cr)を含む材料、または、ケイ素(Si)及び酸素(O)を含有する材料からなるエッチングストッパー層は、上記塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、およびキセノン(Xe)のうちいずれかの元素とフッ素(F)との化合物を含む非励起状態の物質に極めて強い耐性を有しているため、遮光層のエッチング時にエッチングストッパー層へのダメージが抑制されエッチングストッパー層が消失することはないので、エッチングストッパー層の下層にダメージを与えることなく、遮光層をパターニングできる。
【0017】
(構成2)
前記薄膜は、さらに前記エッチングストッパー層の下に半透光膜を含むことを特徴とする構成1に記載の転写用マスクの製造方法。
構成2にあるように、前記薄膜は、さらに前記エッチングストッパー層の下に半透光膜を含む構成においては、エッチングストッパー層の下層の半透光膜にダメージを与えることなく、遮光層をパターニングできるので、上記半透光膜が位相シフト層として機能する位相シフト型マスクの製造に好適である。
【0018】
(構成3)
前記遮光層のエッチングを行う工程は、前記半透光膜にパターンを形成するための1回目のエッチング工程と、遮光帯パターンを形成するための2回目のエッチング工程とを含み、少なくとも前記2回目のエッチング工程では、前記塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、およびキセノン(Xe)のうちいずれかの元素とフッ素(F)との化合物を含む非励起状態の物質を適用することを特徴とする構成2に記載の転写用マスクの製造方法。
【0019】
構成3にあるように、前記遮光層のエッチングを行う工程は、前記半透光膜にパターンを形成するための1回目のエッチング工程と、遮光帯パターンを形成するための2回目のエッチング工程とを含み、少なくとも前記2回目のエッチング工程では、前記塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、およびキセノン(Xe)のうちいずれかの元素とフッ素(F)との化合物を含む非励起状態の物質を適用することにより、下層の半透光膜にダメージを与えることなく、遮光層を除去できるので、転写パターン形成領域の周辺部に遮光帯を備えた位相シフト型マスクの製造に好適である。
【0020】
(構成4)
前記半透光膜は、遷移金属とケイ素を含有する材料で形成されていることを特徴とする構成2又は3に記載の転写用マスクの製造方法。
構成4にあるように、前記半透光膜は、遷移金属とケイ素を含有する材料で形成されていることが好ましい。このような遷移金属とケイ素を含有する材料で形成されている半透光膜を有する構成においても、遮光層のパターニング時に半透光膜にダメージを与えることがないので、完成した位相シフト型マスクの性能が良好なものが得られる。
【0021】
(構成5)
前記エッチングストッパー層の膜厚が、0.5nm以上10nm以下の範囲であることを特徴とする構成1乃至4のいずれかに記載の転写用マスクの製造方法。
本発明においては、遮光層のエッチング時にエッチングストッパー層へのダメージが抑制されるので、構成5にあるように、エッチングストッパー層の膜厚を0.5nm以上10nm以下と薄膜化することが可能である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、Ta系材料からなる遮光層を、下層にダメージを与えることなく、エッチングによりパターニングできる転写用マスクの製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、遮光帯を備えた位相シフト型マスクの製造に好適な転写用マスクの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態について適宜図面を参照しながら詳述する。
本発明に係る転写用マスクの製造方法は、上記構成1にあるように、透光性基板上に、パターンを形成するための薄膜を有し、該薄膜は、遮光層と、その直下のエッチングストッパー層とを含み、前記遮光層は、少なくとも最上部がタンタル(Ta)、及び、ハフニウム(Hf)とジルコニウム(Zr)のうちの少なくとも一方を含有する材料で形成されており、前記エッチングストッパー層は、クロム(Cr)を含む材料、または、ケイ素(Si)及び酸素(O)を含有する材料で形成されているマスクブランクを準備する工程と、レジストパターンをマスクとして、前記遮光層を、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、およびキセノン(Xe)のうちいずれかの元素とフッ素(F)との化合物を含む非励起状態の物質に接触させることによりエッチングを行う工程と、を有することを特徴とするものである。
【0025】
このような本発明の好ましい一実施の形態は、遮光帯を備えた位相シフト型マスクの製造に関するものである。以下、このような遮光帯を備えた位相シフトマスクの製造を中心に本発明の実施の形態を説明するが、本発明はこの一実施の形態に限定されるものではないことは勿論である。
【0026】
図1は、本発明の一実施の形態である遮光帯を備えた位相シフト型マスクの製造に用いられるマスクブランクの断面概略図である。また、
図2の(a)〜(h)は本発明の一実施の形態である遮光帯を備えた位相シフト型マスクの製造工程を示すマスクブランク等の断面概略図である。
【0027】
本発明に係る転写用マスクの製造方法において用いるマスクブランクは、透光性基板上に、パターンを形成するための薄膜を有し、該薄膜は、遮光層と、その直下のエッチングストッパー層とを含み、前記遮光層は、タンタル(Ta)、及び、ハフニウム(Hf)とジルコニウム(Zr)のうちの少なくとも一方を含有する材料で形成され、前記エッチングストッパー層は、クロム(Cr)を含む材料、または、ケイ素(Si)及び酸素(O)を含有する材料で形成されている。そして、前記薄膜は、さらに前記エッチングストッパー層の下に半透光膜を含む構成とすることができる。
【0028】
図1に示す実施の形態においては、本発明に関わるマスクブランク10は、透光性基板1上に、パターンを形成するための薄膜を有しており、当該薄膜は、前記透光性基板1上に形成された半透光膜2、エッチングストッパー層3、および遮光層4の積層膜からなっている。すなわち、当該薄膜は、遮光層4と、その直下のエッチングストッパー層3とを含み、さらにエッチングストッパー層3の下に半透光膜2を含む構成となっている。なお、
図1に示すマスクブランク10では、上記遮光層4の上にレジスト層5を形成している。このレジスト層5はマスクの製造において必要なものであるが、マスクブランクの必須構成とするものではない。
【0029】
ここで、上記マスクブランク10における透光性基板1としては、半導体装置製造用の転写用マスクに用いられる基板であれば特に限定されない。例えば位相シフト型マスク用のブランクに使用する場合、使用する露光波長に対して透明性を有するものであれば特に制限されず、合成石英基板や、その他各種のガラス基板(例えば、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス等)が用いられる。この中でも合成石英基板は、微細パターン形成に有効なArFエキシマレーザー(波長193nm)又はそれよりも短波長の領域で透明性が高いので、特に好ましく用いられる。
【0030】
本発明において、上記遮光層4は、タンタル(Ta)、及び、ハフニウム(Hf)とジルコニウム(Zr)のうちの少なくとも一方を含有する材料で形成されている。具体的な材料として、例えばTaHf,TaZr,TaHfZrなどが挙げられる。また、これらの材料をベース材料として、例えばO、N、C、B、ハロゲン類のうちの少なくとも1つの元素をさらに含む材料であってもよい。例えば、TaHfN,TaHfO,TaHfOCN,TaHfBなどが挙げられる。
【0031】
上記のTa系材料からなる遮光層4は、本実施の形態においては、遮光帯パターンを形成する。遮光帯の構成材料としては、薄膜でも高い光学濃度が得られる材料が好ましいが、上記のTa系材料は消衰係数が高いため、優れた遮光帯として機能する。
また、上記のTa系材料は、酸素を実質的に含有しない(酸素を全く含まない場合の他、酸素を含む場合であってもその含有量が5原子%以下であることをいう。)塩素系ガスに対するドライエッチング速度が速いという特性を有する。しかし、これらの材料は、酸化が進行してしまうと、酸素を実質的に含有しない塩素系ガスに対するドライエッチング速度が大幅に低下してエッチングが難しくなるという特性も有する。
【0032】
本発明においては、かかるTa系材料からなる遮光層4は、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、およびキセノン(Xe)のうちいずれかの元素とフッ素(F)との化合物を含む非励起状態の物質(以下、「非励起状態のフッ素系化合物を含む物質」と呼ぶ。)に接触させることによりエッチングを行うことで、遮光層の表面酸化が進行していてもエッチング速度が低下せずエッチング特性が良好であるため、下層にダメージを与えることなく、遮光層をパターニングできる。なお、非励起状態のフッ素系化合物を含む物質については後で詳しく説明する。
【0033】
上記遮光層4の膜厚は特に制約される必要はないが、本実施の形態においては、上記遮光層4は最終的には遮光帯を形成するものであるため、遮光帯形成の観点からは、上記遮光層4の膜厚は、0.5nm以上10nm以下の範囲であることが好ましく、特に0.5nm以上7nm以下であることが好適である
【0034】
上記エッチングストッパー層3は、上記遮光層4の直下に形成されており、上記遮光層4とはエッチング特性の異なる材料が選択される。本発明では、かかるエッチングストッパー層3は、クロム(Cr)を含む材料、または、ケイ素(Si)及び酸素(O)を含有する材料で形成されている。
上記クロムを含む材料としては、例えばCr単体、あるいはCrX(ここでXはN、C、O等から選ばれる少なくとも一種)などのCr化合物(例えばCrN,CrC,CrO,CrON,CrCN,CrOC,CrOCNなど)が挙げられる。
また、上記ケイ素及び酸素を含有する材料としては、例えばケイ素および酸素からなる材料であるSiO
2のほか、SiON、SiOCNが挙げられる。
【0035】
このようなクロムを含む材料、または、ケイ素及び酸素を含有する材料からなるエッチングストッパー層3は、上記遮光層4とはエッチング特性が異なり、上記遮光層4のエッチングガスである非励起状態のフッ素系化合物を含む物質に対して極めて強い耐性を有しているため、遮光層4のエッチング時にエッチングストッパー層3へのダメージが抑制されエッチングストッパー層3が消失することはないので、エッチングストッパー層3の下層にダメージを与えることなく、遮光層4をパターニングできる。
本発明においては、エッチング選択性の観点から、エッチングストッパー層3の材料はクロム系材料で構成された層が特に好ましい。クロム系材料からなる層の場合、クロム系材料の組成に酸素が含まれていたり、層形成後に酸化されたりすると、通常のタンタル系材料のエッチングに用いられる塩素ガスによりエッチングされやすくなる。その一方で、クロム系材料で構成された層は組成中に酸素を含むか否かによらず、非励起状態のフッ素系化合物を含む物質によってエッチングされにくい。したがって、本発明は、エッチングストッパー層としてクロム系材料を用いているマスクブランクから転写用マスクを製造する場合に適用されると効果的である。
【0036】
本発明においては、遮光層4のエッチング時にエッチングストッパー層3へのダメージが効果的に抑制されるので、エッチングストッパー層3の膜厚を0.5nm以上10nm以下、さらには、0.5nm以上7nm以下と薄膜化することが可能である。
エッチングストッパー層を薄膜化できるメリットは、遮光帯形成領域以外は最終的にエッチングストッパー層は遮光層とともに除去されるので、その除去がしやすくなることである。
【0037】
本実施の形態のマスクブランク10は、エッチングストッパー層3の下に半透光膜2を含む構成となっている。本実施の形態においては、かかる半透光膜2は位相シフト層として機能する。
前にも説明したとおり、このようなエッチングストッパー層3の下に半透光膜2を含む構成においては、エッチングストッパー層3の下層の半透光膜2にダメージを与えることなく、遮光層4をパターニングできるので、上記半透光膜2が位相シフト層として機能する位相シフト型マスクの製造に好適である。
【0038】
本発明に適用可能な上記半透光膜2の構成は特に限定される必要はなく、例えば従来から使用されている位相シフト型マスクにおける半透光膜の構成を適用することができる。
このような半透光膜2の例としては、例えば遷移金属及びケイ素からなる金属シリサイド、あるいは遷移金属とケイ素に、酸素、窒素及び炭素から選ばれる1以上の元素を含有させた材料からなる金属シリサイド系の半透光膜、ケイ素に酸素、窒素、炭素、ホウ素等を含有させた材料からなるケイ素系の半透光膜が好ましく挙げられる。上記金属シリサイド系の半透光膜に含まれる遷移金属としては、例えばモリブデン、タンタル、タングステン、チタン、クロム、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ルテニウム、ロジウム等が挙げられる。この中でも特にモリブデンが好適である。
【0039】
上記遷移金属とケイ素を含有する材料としては、具体的には、遷移金属シリサイド、または遷移金属シリサイドの窒化物、酸化物、炭化物、酸窒化物、炭酸化物、あるいは炭酸窒化物を含む材料が好適である。
また、上記ケイ素を含有する材料としては、具体的には、ケイ素の窒化物、酸化物、炭化物、酸窒化物(酸化窒化物)、炭酸化物(炭化酸化物)、あるいは炭酸窒化物(炭化酸化窒化物)を含む材料が好適である。
【0040】
また、本発明は、上記半透光膜2が、単層構造、あるいは、低透過率層と高透過率層とからなる積層構造のいずれにも適用することができる。
本発明においては、上記半透光膜2は、遷移金属とケイ素を含有する材料で形成されていることが特に好ましい。本発明では、このような遷移金属とケイ素を含有する材料で形成されている半透光膜2を有する構成においても、遮光層4のパターニング時に半透光膜2にダメージを与えることがないので、完成した位相シフト型マスクの性能が良好なものが得られる。
【0041】
また、上記半透光膜2の好ましい膜厚は、材質によっても異なるが、特に本実施の形態においては、位相シフト機能、光透過率の観点から適宜調整されることが望ましい。通常は、100nm以下、さらに好ましくは80nm以下の範囲であることが好適である。
【0042】
図1に示すマスクブランク10のような透光性基板1上に半透光膜2、エッチングストッパー層3、および遮光層4の積層膜からなる薄膜を形成する方法は特に制約される必要はないが、なかでもスパッタリング成膜法が好ましく挙げられる。スパッタリング成膜法によると、均一で膜厚の一定な膜を形成することが出来るので好適である。
【0043】
次に、
図2を参照して、本発明の一実施の形態である遮光帯を備えた位相シフト型マスクの製造方法について説明する。前記のとおり、
図2は本発明の一実施の形態である遮光帯を備えた位相シフト型マスクの製造工程を示すマスクブランク等の断面概略図である。
【0044】
[第1のレジストパターン形成]
まず、上記遮光層4の表面に、例えば電子線描画用のレジストを所定の厚みに塗布し、所定のベーク処理を行って、レジスト膜5を形成し、マスクブランク10とする(
図1参照)。例えばハーフピッチ32nm未満の微細パターンを形成する観点からは、レジスト膜の膜厚を100nm以下とすることが好ましく、特に40〜80nmの範囲とすることが好適である。
次に、電子線描画機を用いて、上記マスクブランク10のレジスト膜5に対して所望のデバイスパターン(本実施の形態においては、半透光膜2(位相シフト層)に形成すべき位相シフトパターンに対応する第1のパターン)を描画した後、レジスト膜5を現像して第1のレジストパターン51を形成する(
図2(a)参照)。
【0045】
[遮光層4のパターン形成]
次に、上記第1のレジストパターン51をマスクとして、遮光層4のドライエッチングを行い、遮光層パターン41(下層のエッチングの際のエッチングマスクとなる)を形成する(
図2(b)参照)。この場合のドライエッチングガスとしては塩素系ガス(Cl
2)を用いることができる。
【0046】
[エッチングストッパー層3の第1パターン形成]
上記レジストパターン51を除去した後、上記遮光層パターン41をマスクとして、エッチングストッパー層3のドライエッチングを行い、エッチングストッパー層の第1パターン31を形成する(
図2(c)参照)。クロム系の材料からなるエッチングストッパー層の場合、ドライエッチングガスとしてはCl
2とO
2の混合ガスを用いることができる。また、ケイ素系の材料からなるエッチングストッパー層の場合、フッ素系ガス(SF
6)を用いることができる。
【0047】
[半透光膜2のパターン形成]
上記遮光層パターン41をマスクにして、半透光膜2のドライエッチングを行い、半透光膜パターン21(位相シフト膜パターン)を形成する(
図2(d)参照)。この場合のドライエッチングガスとしては例えばフッ素系ガス(SF
6)とHeの混合ガスを用いることができる。
【0048】
[第2のレジストパターン形成]
次に、上記
図2(d)の状態の基板上の全面に、前記レジスト膜5と同様の電子線描画用のレジスト膜6を形成する(
図2(e)参照)。そして、電子線描画機を用いて、上記レジスト膜6に対して所望のデバイスパターン(本実施の形態においては、遮光層に形成すべき遮光帯パターンに対応する第2のパターン)を描画した後、レジスト膜6を現像して第2のレジストパターン61を形成する(
図2(f)参照)。
【0049】
[遮光帯パターンの形成]
次いで、上記第2のレジストパターン61をマスクとして、露出している遮光層パターン41のエッチングを行うことにより、転写パターン形成領域内の遮光層パターン41を除去し、転写パターン形成領域の周辺部には遮光層からなる遮光帯パターン42を形成する。この遮光層パターン41のエッチングは、当該遮光層パターン41を非励起状態のフッ素系化合物を含む物質に接触させることにより行う。その詳細は後述する。
【0050】
続いて、上記遮光帯パターン42をマスクとして、露出している前記エッチングストッパー層の第1パターン31のドライエッチングを行い、転写パターン形成領域内の残存するエッチングストッパー層の第1パターン31を除去し、エッチングストッパー層の第2パターン32を形成する(
図2(g)参照)。この場合のドライエッチングガスとしては例えば前記のCl
2とO
2の混合ガスを用いることができる。
最後に、残存する上記第2のレジストパターン61を除去し、本実施の形態に係る遮光帯を備えた位相シフト型マスク100が出来上がる(
図2(h)参照)。
【0051】
ところで、本発明においては、上記のとおり、遮光帯パターン42を形成するための遮光層パターン41のエッチングは、当該遮光層パターン41を非励起状態のフッ素系化合物を含む物質に接触させることにより行う。
上記遮光層パターン41は、遮光層、つまり前記のTa系材料で形成されており、酸化が進行した状態であっても、非励起状態のフッ素系化合物を含む物質に対して良好なエッチング特性を有している。一方、遮光層パターン41の直下のエッチングストッパー層(の第1パターン31)は、非励起状態のフッ素系化合物を含む物質に対してはエッチングされにくい特性を有している。従って、非励起状態のフッ素系化合物を含む物質に対しては、上記遮光層パターン41と下層のエッチングストッパー層パターン31との間で高いエッチング選択性を得ることができる。
【0052】
上記フッ素系化合物は、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、およびキセノン(Xe)のうちいずれかの元素とフッ素(F)との化合物であり、例えば、ClF
3、ClF、BrF
5、BrF、IF
3、IF
5、XeF
2、XeF
4、XeF
6、XeOF
2、XeOF
4、XeO
2F
2、XeO
3F
2、またはXeO
2F
4等の化合物を好ましく用いることができるが、この中でも、本発明においては特にClF
3を好ましく用いることができる。
この非励起状態のフッ素系化合物を含む物質は、流体の状態で接触させるとよく、特にガス状態で接触させることが好ましい。
【0053】
上記第2のレジストパターン61をマスクとして、遮光層パターン41のエッチングを行うことにより、転写パターン形成領域内の遮光層パターン41を除去し、転写パターン形成領域の周辺部には遮光帯パターン42を形成する工程において、上記遮光層パターン41を非励起状態のフッ素系化合物を含む物質に接触させる方法としては、例えばチャンバー内に処理基板(つまり、
図2(f)に示す状態の基板を説明の便宜上、「処理基板」と呼ぶことにする。)を設置し、該チャンバー内に上記非励起状態のフッ素系化合物を含む物質をガス状態で導入してチャンバー内を該ガスで置換する方法が好ましく挙げられる。
【0054】
本発明において、上記フッ素系化合物を含む物質をガス状態で使用する場合、上記フッ素系化合物と窒素ガス、あるいはアルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、ラドン(Rn)等(以下、単にアルゴン等という。)の希ガスとの混合ガスを好ましく用いることができる。
【0055】
上記フッ素系化合物を含む非励起のガス状態の物質を上記遮光層パターン41に接触させる場合の処理条件、例えばガス流量、ガス圧力、温度、処理時間については特に制約する必要はないが、本発明の作用を好ましく得る観点からは、遮光層(パターン)を形成する材料や膜厚によって適宜選定するのが望ましい。
【0056】
ガス流量については、例えば上記フッ素系化合物とアルゴン等との混合ガスを用いる場合、フッ素系化合物が流量比で1%以上混合されていることが好ましい。フッ素系化合物の流量が上記流量比よりも少ないと、エッチングの進行が遅くなり、結果として処理時間が長くなる。
【0057】
また、ガス圧力については、例えば、100〜760Torrの範囲で適宜選定することが好ましい。ガス圧力が上記範囲よりも低いと、チャンバー内のフッ素系化合物のガス量自体が少なすぎてエッチングの進行が遅くなり、結果として処理時間が長くなる。一方、ガス圧力が上記範囲よりも高い(大気圧以上である)と、ガスがチャンバーの外に流出する恐れがあり、好ましくない。
【0058】
また、処理基板の温度については、例えば、50〜250℃の範囲で適宜選定することが好ましい。温度が上記範囲よりも低いと、エッチングの進行が遅くなり、結果として処理時間が長くなる。一方、温度が上記範囲よりも高いと、エッチングが早く進行し、処理時間は短縮できるものの、遮光層パターン41と下層のエッチングストッパー層パターン31との間でエッチング選択性が得られにくくなり、下層のエッチングストッパー層のダメージが発生する恐れがある。
【0059】
さらに、処理時間については、基本的には上記遮光層パターン41のエッチング(除去)が完了するのに十分な時間であればよい。本発明の場合、上述のガス流量、ガス圧力、温度によっても、或いは遮光層の材料、膜厚によっても多少異なるが、概ね5〜300秒の範囲で本発明の作用が好ましく得られる。
【0060】
以上説明したように、本発明においては、タンタル(Ta)、及び、ハフニウム(Hf)とジルコニウム(Zr)のうちの少なくとも一方を含有するTa系材料で形成されている遮光層を、本発明のフッ素系化合物を含む非励起状態の物質に接触させることによりエッチングを行うことで、遮光層の表面酸化が進行していてもエッチング速度が低下せず、良好なエッチング特性を有するため、下層にダメージを与えることなく、遮光層をパターニングできる。
【0061】
また、上記のTa系材料からなる遮光層の直下に設けるクロム(Cr)を含む材料、または、ケイ素(Si)及び酸素(O)を含有する材料からなるエッチングストッパー層は、上記フッ素系化合物を含む非励起状態の物質に極めて強い耐性を有しているため、遮光層のエッチング時にエッチングストッパー層へのダメージが抑制されるので、エッチングストッパー層が消失してエッチングストッパー層の下層にダメージを与えることはなく、遮光層をパターニングできる。
【0062】
なお、上述の本実施の形態においては、遮光層のエッチングを行う工程は、半透光膜2(位相シフト層)に位相シフトパターンを形成するための1回目のエッチング工程と、遮光帯パターンを形成するための2回目のエッチング工程が含まれており、上述の実施形態で説明したように、少なくとも上記2回目のエッチング工程では、非励起状態のフッ素系化合物を含む物質を適用することが好ましく、これにより、下層の半透光膜にダメージを与えることなく、遮光層を除去できる。
【0063】
Ta系材料からなる薄膜は、基板の洗浄や加熱等の作業工程により環境にある酸素と結合して酸化する。上述の1回目のエッチングの段階は、転写用マスクの製造工程において初期段階であるため、Ta系材料からなる遮光層の酸化はあまり進行していないため、エッチャントに塩素系ガスを使用した場合でも遮光層のエッチング速度の低下はあまり起こらない。しかしながら、上述の2回目のエッチングの段階では、それまでの他の層のエッチング工程で使用した酸素ガスの影響や、洗浄工程による影響等により遮光層の酸化が進行している。このため、塩素系ガスによるエッチング速度が低下し、エッチングストッパー層とのエッチング選択性が悪くなる。そこで、上述のように、遮光層の酸化が進行した少なくとも上記2回目のエッチング段階に、前述の非励起状態のフッ素系化合物を含むエッチングガスを適用することにより、エッチングストッパー層とのエッチング選択性を確保することができるので、エッチングストッパー層の下にある半透光膜のダメージを効果的に抑制することができる。なお、上述の1回目のエッチング段階においても非励起状態のフッ素系化合物を含むエッチングガスを適用することは何ら差し支えない。
【実施例】
【0064】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
(実施例1)
本実施例は、透光性基板の表面に窒化モリブデンシリサイド(MoSiN)からなる位相シフト部が形成され、転写パターン形成領域の周辺部に遮光帯を備えたハーフトーン型位相シフトマスクの製造に関する。
本実施例に使用するマスクブランクは、
図1に示すような、透光性基板(ガラス基板)1上に、半透光膜2とエッチングストッパー層3と遮光層4の積層膜よりなる薄膜を有する構造のものである。このマスクブランクは、以下のようにして作製した。
【0065】
ガラス基板として合成石英基板(大きさ約152mm×152mm×厚み6.35mm)を準備した。
次に、枚葉式DCスパッタリング装置内に上記合成石英基板を設置し、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合焼結ターゲット(Mo:Si=12at%:88at%)を用い、アルゴン(Ar)、窒素(N
2)およびヘリウム(He)の混合ガス(流量比 Ar:N
2:He=8:72:100,圧力=0.2Pa)をスパッタリングガスとし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、合成石英基板上に、モリブデン、シリコンおよび窒素からなるMoSiN半透光膜(位相シフト膜)を69nmの厚さで形成した。
【0066】
次に、スパッタリング装置から基板を取り出し、上記合成石英基板上の半透光膜に対し、大気中での加熱処理を行った。この加熱処理は、450℃で1時間行った。この加熱処理後の半透光膜に対し、位相シフト量測定装置を使用してArFエキシマレーザーの波長(193nm)における透過率と位相差を測定したところ、透過率は6.02%、位相差は177.9度であった。
【0067】
次に、上記半透光膜を成膜した基板を再びスパッタリング装置内に投入し、上記半透光膜の上に、CrOCN膜からなるエッチングストッパー層を形成した。具体的には、クロムからなるターゲットを用い、アルゴン(Ar)と二酸化炭素(CO2)と窒素(N
2)とヘリウム(He)の混合ガス雰囲気(Ar:CO2:N
2:He=22:39:6:33[体積%]、圧力0.3Pa)中で、反応性スパッタリングを行うことにより、上記半透光膜上に厚さ5nmのCrOCN膜からなるエッチングストッパー層を形成した。
【0068】
続いて、上記エッチングストッパー層の上に、TaとHfからなる遮光層を形成した。具体的には、TaHf(Ta:Hf=80:20(原子%比))のターゲットを用い、Arをスパッタリングガスとして、反応性スパッタリングを行うことにより、TaHf遮光層(層中のTaとHfの原子%比は約80:20)を33nmの膜厚で形成した。
上記半透光膜とエッチングストッパー層と遮光層の積層膜の光学濃度は、3.0以上であった。
以上のようにしてマスクブランクを作製した。
【0069】
次に、このマスクブランクを用いて、前述の
図2に示される製造工程に従って、位相シフト型マスクを製造した。なお、以下の符号は
図1および
図2中の符号と対応している。
まず、上記マスクブランク10の上面に、スピン塗布法によって、電子線描画用の化学増幅型レジストを塗布し、所定のベーク処理を行って、膜厚80nmのレジスト膜5を形成した。
【0070】
次に、電子線描画機を用いて、上記レジスト膜5に対して所定のデバイスパターン(半透光膜2(位相シフト層)に形成すべき位相シフトパターンに対応する第1のパターン)を描画した後、レジスト膜5を現像して第1のレジストパターン51を形成した(
図2(a)参照)。
【0071】
次に、上記第1のレジストパターン51をマスクとして、遮光層4のドライエッチングを行い、遮光層パターン41を形成した(
図2(b)参照)。ドライエッチングガスとしては塩素系ガス(Cl
2)を用いた。
上記レジストパターン51を除去した後、上記遮光層パターン41をマスクとして、エッチングストッパー層3のドライエッチングを行い、エッチングストッパー層の第1パターン31を形成した(
図2(c)参照)。ドライエッチングガスとしてはCl
2とO
2の混合ガス(Cl
2:O
2=4:1(体積比))を用いた。
【0072】
続いて、上記遮光層パターン41をマスクにして、半透光膜2のドライエッチングを行い、半透光膜パターン21(位相シフト膜パターン)を形成した(
図2(d)参照)。ドライエッチングガスとしてはフッ素系ガス(SF
6)とHeの混合ガスを用いた。
【0073】
次に、上記
図2(d)の状態の基板上の全面に、スピン塗布法により、前記レジスト膜5と同様の電子線描画用の化学増幅型レジスト膜6を形成した(
図2(e)参照)。そして、電子線描画機を用いて、上記レジスト膜6に対して所定のデバイスパターン(遮光層に形成すべき遮光帯パターンに対応する第2のパターン)を描画した後、レジスト膜6を現像して第2のレジストパターン61を形成した(
図2(f)参照)。
【0074】
続いて、上記第2のレジストパターン61をマスクとして、露出している遮光層パターン41のエッチングを行うことにより、転写パターン形成領域内の遮光層パターン41を除去し、転写パターン形成領域の周辺部には遮光帯パターン42を形成した。この遮光層パターン41のエッチングは、当該遮光層パターン41を非励起状態の三フッ化塩素(ClF
3)ガスに接触させることにより行った。この場合の処理条件、例えばガス流量、ガス圧力、温度、処理時間については適宜設定して行った。
【0075】
続いて、上記遮光帯パターン42をマスクとして、露出している前記エッチングストッパー層の第1パターン31のドライエッチングを行い、転写パターン形成領域内の残存するエッチングストッパー層の第1パターン31を除去し、エッチングストッパー層の第2パターン32を形成した(
図2(g)参照)。この場合のドライエッチングガスとしてはCl
2とO
2の混合ガス(Cl
2:O
2=4:1(体積比))を用いた。
最後に、残存する上記第2のレジストパターン61を除去し、遮光帯を備えたハーフトーン型位相シフトマスクを作製した(
図2(h)参照)。
【0076】
(実施例2)
本実施例に使用するマスクブランク200は、
図3に示すような、透光性基板(ガラス基板)1上に、半透光膜2、エッチングストッパー層3、及びTaN層45とTaHf層46からなる遮光層40の積層膜よりなる薄膜を有する構造のものである。
なお、遮光層40の構成を除くと本実施例のマスクブランクは実施例1と同様の構成であるので重複する説明は省略する。
【0077】
遮光層40は、まず、実施例1と同様に形成したエッチングストッパー層3の上に、TaNからなる下層45を形成した。具体的には、Taのターゲットを用い、ArとN
2をスパッタリングガスとして、反応性スパッタリングを行うことにより、TaN層45を20nmの膜厚で形成した。
次に、TaN層45の上に、TaとHfからなるTaHf層46を形成した。具体的には、TaHf(Ta:Hf=80:20(原子%比))のターゲットを用い、Arをスパッタリングガスとして、反応性スパッタリングを行うことにより、TaHf層46(層中のTaとHfの原子%比は約80:20)を10nmの膜厚で形成した。
以上のようにして2層構造の遮光層40を形成した。
なお、半透光膜とエッチングストッパー層と遮光層の積層膜の光学濃度は、3.0以上であった。
【0078】
(比較例1)
本比較例では、上記実施例1と同様にして作製したマスクブランクを用いた。また、上記実施例1における上記第2のレジストパターン61をマスクとして、遮光層パターン41のエッチングを行うことにより、転写パターン形成領域内の遮光層パターン41を除去し、転写パターン形成領域の周辺部には遮光帯パターン42を形成する工程において、上記遮光層パターン41のエッチングは、塩素系ガス(Cl
2)を用いたドライエッチングにより行った。この点以外は、実施例1と同様の工程でハーフトーン型位相シフトマスクを作製した。
【0079】
実施例1、実施例2及び比較例1で作製した転写用マスクを電子顕微鏡(SEM)で観察した。実施例1、2で作製した転写用マスクは、パターンの表面が滑らかでかつ直線的なパターンエッジであることが確認できた。実施例1及び実施例2では、遮光帯パターン形成時にエッチングストッパー層がエッチングガスによって侵食されなかったことによると考えられる。
一方、比較例1で作製した転写用マスクは、パターン表面の一部にラフネスが観察され、また、パターンエッジにギザツキが確認された。このことから、遮光帯パターン形成時にエッチングストッパー層の疎な部分が消耗してしまい、下層の光半透過膜に悪影響が生じたものと考えられる。
【0080】
以上、本発明の実施形態及び実施例について説明したが、これは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載した技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。
たとえば、実施例において積層構造の遮光層として2層構造のものを例示したが、2層以上の積層構造の遮光層にも、本発明の技術は適用することができる。
また、本発明は、遮光層の少なくとも最上部がタンタル(Ta)、及び、ハフニウム(Hf)とジルコニウム(Zr)のうちの少なくとも一方を含有する材料であればよく、たとえばハフニウム(Hf)やジルコニウム(Zr)の濃度が段階的に変化しているグラデーション構造のものも含まれる。さらには、遮光層の最上層がわずかに酸化した場合も含まれる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項に記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成しうるものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性をもつものである。