特許第6266921号(P6266921)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6266921非パッケージ化フィルタを有する回転装置端部キャップ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6266921
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】非パッケージ化フィルタを有する回転装置端部キャップ
(51)【国際特許分類】
   H02K 11/026 20160101AFI20180115BHJP
   H02K 13/00 20060101ALI20180115BHJP
   H02K 23/66 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   H02K11/026
   H02K13/00 S
   H02K23/66 A
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-170680(P2013-170680)
(22)【出願日】2013年8月20日
(65)【公開番号】特開2014-39467(P2014-39467A)
(43)【公開日】2014年2月27日
【審査請求日】2016年6月20日
(31)【優先権主張番号】201210296857.3
(32)【優先日】2012年8月20日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】502458039
【氏名又は名称】ジョンソン エレクトリック ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(72)【発明者】
【氏名】マオション チャン
(72)【発明者】
【氏名】トンジェ リ
(72)【発明者】
【氏名】チンビン ルオ
(72)【発明者】
【氏名】シンペン ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】フィティン チョン
【審査官】 小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−165413(JP,A)
【文献】 特開平05−292720(JP,A)
【文献】 特開昭51−049412(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0160268(US,A1)
【文献】 米国特許第04323804(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 11/026
H02K 13/00
H02K 23/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気エネルギーと機械エネルギーとの間の変換のための回転装置であって、
回転シャフトを有するエネルギー変換要素と、
前記エネルギー変換要素を囲む側壁を含むハウジングと、
前記ハウジングに取り付けられた、第1のフランジを含む端部キャップと、
前記端部キャップ上に配置され、前記エネルギー変換要素に動作可能に結合された、導電部品と、
前記端部キャップに取り付けられ、前記端部キャップの前記第1のフランジと前記ハウジングとの間に挟持され、前記導電部品に電気的に結合された第1の金属部品と前記ハウジングに接地された第2の金属部品と、前記第1の金属部品と前記第2の金属部品との間に挟持された誘電体部品とを有する、第1の可撓性の非パッケージ化コンデンサと、
を含み、
前記第1の金属部品と前記第2の金属部品の形状及び寸法は、少なくとも部分的に、前記非パッケージ化コンデンサが取り付けられる構造体の形状及び寸法に基づいて決定されることを特徴とする、回転装置。
【請求項2】
前記端部キャップ上に配置された前記導電部品は、第1のブラシを含むことを特徴とする、請求項1に記載の回転装置。
【請求項3】
前記導電部品は、前記端部キャップ上に配置された、前記第1のブラシと前記第1の非パッケージ化コンデンサの前記第1の金属部品とに接続された第1の相互接続部品をさらに含むことを特徴とする、請求項2に記載の回転装置。
【請求項4】
前記端部キャップの前記第1のフランジは、前記エネルギー変換要素の前記回転シャフトに平行な方向に延びることを特徴とする、請求項1に記載の回転装置。
【請求項5】
前記第1の非パッケージ化コンデンサは、前記第1のフランジと前記ハウジングの前記側壁の内側との間に複数の曲げ部を伴う縦断面を有することを特徴とする、請求項に記載の回転装置。
【請求項6】
前記第1の非パッケージ化コンデンサは、前記第1のフランジと前記ハウジングの前記側壁の内側との間に2つの鈍角の曲げ部を有する縦断面を有することを特徴とする、請求項に記載の回転装置。
【請求項7】
前記ハウジングは、前記エネルギー変換要素の前記回転シャフトに垂直なフランジをさらに含み、
前記端部キャップの前記第1のフランジは、前記エネルギー変換要素の前記回転シャフトに垂直に延び、
前記第1の非パッケージ化コンデンサは、前記ハウジングの前記フランジと前記端部キャップの前記第1のフランジとの間に挟持された部分を含む、
ことを特徴とする、請求項1に記載の回転装置。
【請求項8】
前記導電部品に電気的に結合された第1の金属部品と前記ハウジングに電気的に結合された第2の金属部品とを有する、第2の非パッケージ化コンデンサをさらに含み、
前記端部キャップは、第2のフランジをさらに含み、
前記第の非パッケージ化コンデンサは、前記端部キャップの前記第2のフランジと前記ハウジングとの間に挟持されることを特徴とする、請求項1に記載の回転装置。
【請求項9】
前記導電部品は、第1のブラシ及び第2のブラシを含み、
前記第1の非パッケージ化コンデンサの前記第1の金属部品は、前記導電部品の前記第1のブラシに電気的に結合され、
前記第2の非パッケージ化コンデンサの前記第1の金属部品は、前記導電部品の前記第2のブラシに電気的に結合される、
ことを特徴とする、請求項に記載の回転装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電気モータ又は発電機のような回転装置は、回転装置の振動が原因で、又はブラシが整流子の間隙に接触して横切るときの整流が原因で、動作中に雑音又は電磁干渉(EMI)を発生させることがある。振動、又はブラシと整流子との間の係合及び離脱により、ブラシと整流子との間で、不安定な若しくは所望に満たない電気的接触、又は電気伝導の変動が引き起こされることがあり、それにより雑音又はEMIが引き起こされる。
【背景技術】
【0002】
従来の回転装置は、通常、EMI又は雑音を解消するために、電源と接地との間に配置される幾つかのデカップリング・コンデンサを含む。それでもなお、コンデンサは、理想的なコンデンサの式(例えば、コンデンサに関する平行プレートモデル)から様々に逸脱することがある。例えば、コンデンサは、動作温度又は保管温度などの温度への依存性、エージングの影響などが原因で、非線形の又は非一様な挙動を示すことがある。コンデンサの使用を含む特定の用途は、これらのコンデンサの高温信頼性又は安定性を要求することもある。高温で安定した又は高信頼の静電容量を示すコンデンサは、実際に存在する。例えば、マイカ又はガラス・コンデンサは、通常、高信頼かつ安定な温度特性を示す。より高い温度に耐えることができるこれらのコンデンサは、多くの用途にとって一般に高価である。付加的に又は代替的に、幾つかの用途は、さらに製造コストの削減をもたらすことができるようにパッケージの全体としてのサイズを小さくするために、コンデンサを含む部品があまりスペースを取らないこと、さらには実際的に可能であるか又は管理可能な限り小さいスペースであることを要求することがあるが、その一方で同等の性能特性を要求する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、雑音又はEMIを効果的に抑制するために1つ又はそれ以上のデカップリング・コンデンサを有し、その一方で、貴重な設計スペースを占めることなく又は製造コストを増大させない、高温中での良好な安定性又は信頼性を示す回転装置に対する需要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
幾つかの実施形態は、端部シールド、端部ブラケット、又は端部ベル(以後、まとめて端部キャップと総称する)と、少なくとも1つの非パッケージ化コンデンサとを含む回転装置に向けられる。幾つかの実施形態において、端部キャップは、回転装置のハウジング又はフレーム(以後、ハウジングと総称する)の少なくとも一部を指し、回転装置の種々の部品(例えば、回転装置のエネルギー変換要素(例えば、出力シャフト)のためのベアリング又はスリーブ、ブラシ式回転装置のブラシ、ブラシレス回転装置の電子制御器、ブラシレス回転装置の回転子(例えば、回転磁石)又は固定子(例えば、固定電機子)など)を支持する。ハウジングは、エネルギー変換要素を囲む側壁と、端部キャップ上に配置され、エネルギー変換要素に動作可能に結合された、導電部品とを含むことができる。回転装置の内部部品を収容することに加えて、端部キャップはハウジングと共に、回転装置内部の電気部品(例えば、種々のリード線、回路など)及び又は機械部品(例えば、回転子又は固定子のような種々の回転部品又は固定部品)に対する保護ガードとしても働くことができる。
【0005】
回転装置は、幾つかの実施形態において、回転装置の1つの端部(例えば、前端又は後端)に単一の端部キャップを含むことができる。幾つかの実施形態において、回転装置は、回転装置の前端及び後端の両方に2つの端部キャップを含むことができる。例えば、回転装置は、前側に、シャフト(例えば、電気モータの出力シャフト)を収容するためのベアリング又はスリーブと共に1つの端部キャップを含み、同様に、後側に、回転装置を冷却するためのファンのサブ組立体を随意に取り付けることができるもう1つの端部キャップを含むことができる。端部キャップは、幾つかの実施形態においては、絶縁を与えるように誘電体材料で作ることができ、又は、他の幾つかの実施形態においては金属材料で作ることができる。
【0006】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つの非パッケージ化コンデンサは、第1の金属部品と、第2の金属部品と、誘電体部品とを含み、この誘電体部品の少なくとも一部分が第1の金属部品と第2の金属部品との間に密閉されてコンデンサ素子を形成する。市販のコンデンサは、通常、表面実装デバイス(SMD)パッケージ(例えば、表面実装技術(SMT)用のSMDセラミック・コンデンサ・パッケージ、SMT用のSMDタンタル・コンデンサ・パッケージなど)又はスルーホール・コンデンサ・パッケージ(例えば、スルーホール・タンタル・コンデンサ・パッケージ又はスルーホール電解コンデンサ・パッケージなど)など、種々のパッケージに入れられた形で売られており、コンデンサの金属部品及び誘電体部品は、通常、外箱内に封入されており、外箱の外側には、このコンデンサを電気ネットワーク内に配置するためのリードワイヤ又は電気コンタクトが設けられていることに留意されたい。
【0007】
例えば、従来のコンデンサは、自動化プリント基板回路(PCB)組立装置による挿入、はんだ付け、又は溶剤洗浄プロセスに耐えるように、エポキシ、樹脂、コンフォーマル・コーティング、又は他のいずれかの適切なタイプの材料の中に封入することができる。本明細書において説明される幾つかの実施形態において、非パッケージ化コンデンサは、そのような封入を有さない。これらの実施形態の幾つかにおいて、非パッケージ化コンデンサは、回路内に挿入される(スルーホール技術コンデンサ用の)ワイヤリード、又は表面実装技術により回路に挿入される電気コンタクト(例えば、ピン、リード、はんだボールなど)さえ有していない。これらの実施形態の幾つかにおいて、非パッケージ化コンデンサの第1の金属部品は、ブラシに動作可能に結合され、非パッケージ化コンデンサの第2の金属部品は、例えば回転装置のハウジングに接続することにより、動作可能に接地又はアースされる。ブラシは、整流子に接触して、回転装置の内部又は外部へ電気エネルギーを伝導する。
【0008】
幾つかの実施形態は、ブラシを有する回転装置に向けられることに留意されたい。とはいえ、他の幾つかの実施形態は、ブラシレス装置(例えば、ブラシレス直流モータ)が、本明細書で説明される1つ又はそれ以上の非パッケージ化コンデンサを含んで、本明細書で説明される機能、例えば、電磁干渉の抑制、コンデンサ・ランのための機能、コンデンサ始動のための機能、それらのブラシレス回転装置内部のスペース要求の低減のための機能、それらのいずれかの組み合わせなどの機能の全てを完全且つ等価な効果で行うことにも向けられる場合がある。従って、本明細書において説明されるブラシは、例えばブラシ式電気モータ内のブラシを指すことができ、一般に、整流目的の整流装置(例えば、ブラシ式電気モータにおけるブラシ、又はブラシ式電気モータの整流のためのブラシと整流子との組立体を置き換える電子制御器若しくは固体回路、又はブラシレス電気モータの回転子の位置を判断するホール効果センサのようなセンサまでも)を指すことができる。本出願の全体を通じて、「ブラシ」及び「整流装置」という用語は、特段の記載がない限り又は特許請求されない限り、交換可能に用いられる。
【0009】
幾つかの実施形態において、回転装置は、回転装置の内部又は外部へ電気エネルギーを伝導するために、端部キャップに取り付けられたブラシをさらに含むことができる。これらの実施形態において、少なくとも1つの非パッケージ化コンデンサを、回転装置の端部キャップとハウジングの一部との間に配置することができる。さらに、回転装置の端部キャップは、その法線方向が回転装置の回転子の軸線に実質的に垂直な、端部金属部分(例えば、金属プレート又は金属製円筒形スカート)をさらに含むことができ、その結果、少なくとも1つの非パッケージ化コンデンサの第1の金属部品の少なくとも一部は、幾つかの実施形態において、端部キャップの端部金属部分の実質的に平坦な又は湾曲した表面に取り付けられるようになっている。
【0010】
第1の金属部品は、種々のタイプの電気的接続を通じてブラシに電気的に結合することができ、これらの実施形態において、端部キャップは、指定された部品(例えば、ブラシ、第1及び第2の金属部品、相互接続部など)のみが回転装置の動作中に電気的に導通するように、それ以外は電気的に絶縁することもできる。これらの実施形態の幾つかにおいて、第2の金属部品は、第2の金属部品を端部キャップの少なくとも一部に沿って重ねて、回転装置のハウジングに接触するようにすることにより、接地又はアースすることができる。これらの実施形態において、少なくとも1つの非パッケージ化コンデンサの誘電体部品は、第1の金属部品と第2の金属部品との間に密閉することができる。
【0011】
幾つかの実施形態において、端部キャップは、ブラシを通じて電気エネルギーを回転装置の内部及び外部に電気的に接続するために、複数の端子又はコネクタをさらに含むことができる。これらの複数の端子又はコネクタは、端部キャップの内側で電気的に結合することができ、ブラシ並びに非パッケージ化コンデンサの第1の金属部品及び第2の金属部品を電気的に結合する。幾つかの実施形態において、ブラシと少なくとも1つの非パッケージ化コンデンサの第1の金属部品との間の電気的接続は、第1の金属部品とブラシとの間に相互接続部品を配置することにより達成することができる。
【0012】
これらの実施形態の幾つかにおいて、回転装置の端部キャップは、その上にブラシが配置される相互接続部品を含むことができ、この相互接続部品はさらに、非パッケージ化コンデンサの第1の金属部品に電気的に結合することができる。幾つかの実施形態において、端部キャップは、回転装置のハウジングの一方の端部上の開口部に取り付けることができ、ハウジングと共に、回転装置の内部部品(例えば、ブラシ、回路、整流子など)のための保護ケーシングを形成することができる。
【0013】
例示的な回転装置が少なくとも1つの非パッケージ化コンデンサを含む種々の実施形態において、この少なくとも1つの非パッケージ化コンデンサの使用、位置、又は構成により、回転装置のハウジングの内部にコンデンサを配置するために必要なスペースの量が削減される。これらの実施形態は、端部キャップ近傍の、該端部キャップが回転装置のハウジングに取り付けられるスペースを利用して、少なくとも1つの非パッケージ化コンデンサを嵌合するので、この少なくとも1つの非パッケージ化コンデンサのために端部キャップ又は回転装置の中に付加的なスペースを確保する必要がない。
【0014】
例えば、幾つかの実施形態は、非パッケージ化コンデンサを端部キャップのフランジに取り付けることができ、その結果、非パッケージ化コンデンサの第1の金属部品(例えば、端部キャップの内部に面したフランジの内側上の金属部品)は、ブラシに電気的に結合され、その一方で、第2の金属部品は、端部キャップの外部に面したフランジの外側上に又はその近くに配置されて、回転装置のハウジングに電気的に結合されることによりアース又は接地されるようになっている。これらの実施形態において、回転装置内部の回転する又はスピンする磁界(例えば、ブラシ式モータにおけるスピンする電磁石、又はブラシレス直流モータにおけるスピンする固体磁石)は、回転装置の金属ボディの中に交番電界を誘導する。別の実施形態において、ハウジングは、エネルギー変換要素の回転シャフトに対して垂直のフランジをさらに含み、端部キャップの第1のフランジは、エネルギー変換要素の回転シャフトに対して垂直に延びており、第1の非パッケージ化コンデンサは、ハウジングのフランジと端部キャップの第1のフランジとの間に挟持された部分を含む。
【0015】
この磁界の平均ポテンシャルはゼロとなり得るが、瞬間的なポテンシャルは高くなり得る。従って、これらの非パッケージ化コンデンサは、この磁界がボディから外に放射することができるようになる前にボディからこの磁界を吸い取ることができ、かくして、例えば周囲の電子製品への電磁干渉が低減される。コンデンサの収容に必要なスペースを削減することで、電磁干渉を抑制するという性能特性を損なうことなく、さらにコストの削減をもたらすことができる。非パッケージ化フィルタの構成、配置、及び/又は位置決めは、マイカ又はガラス・コンデンサのような高価な高温コンデンサの余分なコストを負担することなく、高温での静電容量のより良好な安定性又は信頼性の維持における、より高いロバスト性も呈示する。
【0016】
幾つかの実施形態は、電気エネルギーと機械エネルギーとの間の変換のための回転装置に向けられ、この回転装置は、側壁を含むハウジングと、ハウジングに取り付けられた端部キャップであって、該端部キャップの高さ方向に沿って突出した第1のフランジを含む端部キャップと、ハウジングに接地され、端部キャップの第1のフランジとハウジングとの間に挟持され、導電部品に電気的に結合された第1の金属部品及びハウジングに接地された第2の金属部品を有する第1の非パッケージ化コンデンサと、を含む。これらの実施形態の幾つかにおいて、回転装置の導電部品は、端部キャップの底面に取り付けられた、第1の非パッケージ化コンデンサに動作可能に結合された第1のブラシをさらに含む。これらの後者の実施形態の幾つかにおいて、回転装置の導電部品は、端部キャップ上に配置された、第1の非パッケージ化コンデンサ及び第1のブラシに動作可能に結合された相互接続部品をさらに含むことができる。代替的に、導電部品は、端部キャップ上に配置された、第1のブラシと第1の非パッケージ化コンデンサの第1の金属部品とに接続された第1の相互接続部品をさらに含む。
【0017】
付加的に又は代替的に、幾つかの実施形態において、第1の非パッケージ化コンデンサは、第1の金属部品と、第2の金属部品と、第1の金属部品と第2の金属部品との間に挟持された誘電体部品とを含むことができる。これらの実施形態の幾つかにおいて、第1の金属部品は、第1の金属薄膜を含むことができ、第2の金属部品は、第2の金属薄膜を含む。第1の非パッケージ化コンデンサが第1の金属部品及び第2の金属部品を含む幾つかの実施形態において、第1の金属部品は、第1のブラシに電気的に結合され、第2の金属部品は、回転装置のハウジングに電気的に結合される。非パッケージ化コンデンサが第1の金属部品、第2の金属部品、及び誘電体部品を含む幾つかの実施形態において、第1の非パッケージ化コンデンサは、第1のフランジとハウジングの側壁の内側との間に複数の曲げ部を有する縦断面をさらに含むことができる。曲げ部は、2つの鈍角の曲げ部とすることができる。非パッケージ化コンデンサの最終寸法は、原材料のシートから、特定の設計基準に適合するようにカスタム製作することができる。幾つかの実施形態において、上部金属層は、薄膜状構造を含むことができることに留意されたい。幾つかの実施形態において、非パッケージ化コンデンサは、比較的可撓性の(例えば、手で扱うことが可能な)薄膜状コンデンサを実際に含むことができる。とはいえ、実際の非パッケージ化コンデンサは、他の幾つかの実施形態において、必ずしも薄膜状又は可撓性にする必要が全くない場合がある。これらの実施形態において、非パッケージ化コンデンサは、少なくとも1つの第1の金属板と、第2の金属薄膜又は金属板と、第1の金属板と第2の金属薄膜又は金属板との間に挟持されるように予備成形(例えば、種々の成形プロセスによる)された誘電体層とを含むことができる。
【0018】
回転装置がハウジング、端部キャップ、及び第1の非パッケージ化コンデンサを含む幾つかの実施形態において、回転装置は、ハウジングに接地された、第2のフランジとハウジングの側壁の内側との間に配置された第2の非パッケージ化コンデンサをさらに含むことができる。すぐ前で述べた実施形態の幾つかにおいて、回転装置は、端部キャップの底面に取り付けられた、第2の非パッケージ化コンデンサに動作可能に結合された第2のブラシと、端部キャップ上に配置された、第2の非パッケージ化コンデンサ及び第2のブラシに動作可能に結合された第1の相互接続部品と、をさらに含むことができる。回転装置が第2の非パッケージ化コンデンサを含む幾つかの実施形態において、第1のフランジ及び第2のフランジは、端部キャップの単一の一体型フランジの2つの異なる部分を構成することができる。別の実施形態において、回転装置は、導電部品に電気的に結合された第1の金属部品と、ハウジングに電気的に結合された第2の金属部品とを有する、第2の非パッケージ化コンデンサを含み、ここで、端部キャップは第2のフランジをさらに有し、第1の非パッケージ化コンデンサは、端部キャップの第2のフランジとハウジングとの間に挟持される。この実施形態において、導電部品は、第1のブラシ及び第2のブラシを含み、第1の非パッケージ化コンデンサの第1の金属部品は、導電部品の第1のブラシに電気的に結合され、第2の非パッケージ化コンデンサの第1の金属部品は、導電部品の第2のブラシに電気的に結合される。
【0019】
幾つかの実施形態は、回転装置を用いて第1の形態のエネルギーと第2の形態のエネルギーとの間の変換を行うための方法に向けられる。これらの第1の実施形態において、本方法は、外部源から第1の形態のエネルギーを受け取ることと、第1の期間中に第1の形態のエネルギーを回転装置の第1の整流装置に伝達することと、第1の期間中に、第1の整流装置に動作可能に結合された第1の非パッケージ化コンデンサを充電することと、第2の期間中に第1の非パッケージ化コンデンサを少なくとも放電することにより電磁干渉を低減することと、を含むことができる。
【0020】
幾つかの実施形態において、本方法は、電気モータを使用する場合のように、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する。幾つかの実施形態において、本方法は、発電機を使用する場合のように、機械エネルギーを電気エネルギーに変換する。幾つかの実施形態において、本方法は、第1の非パッケージ化コンデンサを含む回路を流れる電流が比較的安定した状態を保持している期間中に、第1の非パッケージ化コンデンサを充電する動作を行うことができる。幾つかの実施形態において、本方法は、回路を流れる電流が、例えば、整流装置(例えば、ブラシ)が整流子の2つの整流子プレートを横切る際の振動又は整流が原因である程度の変動を示す第2の期間中に、すでに充電されてエネルギーを貯蔵している第1の非パッケージ化コンデンサを少なくとも放電することにより、電磁干渉を低減する動作を行うことができる。これらの第1の実施形態の幾つかにおいて、本方法は、第1の形態のエネルギーを回転装置の第2のブラシに伝達することと、第2のブラシに動作可能に結合された第2の非パッケージ化コンデンサを充電することと、第2の非パッケージ化コンデンサを少なくとも放電することにより電磁干渉を低減することと、をさらに含むことができる。
【0021】
第1の実施形態の幾つかにおいて、本方法は、回転装置のハウジングに第1の非パッケージ化コンデンサを動作可能に結合することにより、第1の非パッケージ化コンデンサを接地することと、回転装置のハウジングに第2の非パッケージ化コンデンサを動作可能に結合することにより、第2の非パッケージ化コンデンサを接地することと、をさらに含むことができる。付加的に又は代替的に、本方法は、第1の整流装置及び第2の整流装置を整流子に少なくとも結合することにより、第1の形態のエネルギーを第2の形態のエネルギーに変換することと、第2の形態のエネルギーの少なくとも一部を出力することと、を含むことができる。これらの実施形態の幾つかにおいて、第1の整流装置及び第2の整流装置は、一般に、整流目的の整流装置(例えば、ブラシ式電気モータにおけるブラシ、又はブラシ式電気モータの整流のためのブラシと整流子との組立体を置き換える電子制御器若しくは固体回路、又はブラシレス電気モータの回転子の位置を判断するホール効果センサのようなセンサまでも)を指す。
【0022】
第1の実施形態の幾つかにおいて、本方法は、リレーにより制御される第3の非パッケージ化コンデンサを回転装置に直列に接続して回転装置の電気位相をシフトさせることにより、初期トルクを与えることをさらに含むことができる。例えば、幾つかの実施形態において、本方法は、回転装置のスタートアップ巻線に直列に電気的に結合された非パッケージ化コンデンサを用いてモータの電気位相を僅かにシフトさせ、モータを始動させるための始動トルクを作り出すことができる。これらの実施形態の幾つかにおいて、本方法はさらに、モータがその動作速度に近づいたときに、制御器内のリレーを開いて第3の非パッケージ化コンデンサを回路から除外し、かくして、例えばモータの電機子を駆動するための回路から、第3の非パッケージ化コンデンサを外すことができる。これらの実施形態の幾つかにおいて、本方法は、少なくとも1つの第4の非パッケージ化コンデンサを、回転装置が特定の速度(例えば、回転装置の設計上の動作速度に対して所定の比率、又は始動後の所定の期間)でスピンしている又は回転していると該方法が判断した後で回転装置にかかる負荷を引き受けるためのラン・コンデンサとして使用することにより、回転装置を動作させることをさらに含むことができる。
【0023】
第1の実施形態の幾つかにおいて、本方法は、回転装置に第4の非パッケージ化コンデンサを直列に接続して回転装置の電気位相をシフトさせることにより、回転装置の複数の特性の少なくとも1つを改善することをさらに含むことができる。始動コンデンサとして第3の非パッケージ化コンデンサを含む上記の例において、本方法は、回転子が特定の速度でスピン又は回転しているときにリレーを(例えば、制御器を介して信号を送ることにより)開いて、第3のコンデンサに直列に動作可能に接続することができるラン・コンデンサとして働くことができる第4の非パッケージ化コンデンサを回路から除外することなく、第3の非パッケージ化コンデンサを回路から除外することができる。この例において、本方法は、始動コンデンサとして働く第3の非パッケージ化コンデンサが始動した後で特定の速度で回転装置が動作しているときに停止するように工夫されている一方で、無期限に稼働するように工夫されたものとすることができる第4の非パッケージ化コンデンサを用いることにより、回転装置を駆動し続けることができる。
【0024】
第1の実施形態の幾つかにおいて、本方法は、第1の非パッケージ化コンデンサの少なくとも一部を、回転装置のハウジングと、回転装置の端部キャップの高さ方向に沿って突出したフランジとの間に位置決めすることにより、回転装置のサイズを小さくすることをさらに含むことができる。第3又は第4の非パッケージ化コンデンサに関する上記の例において、幾つかの実施形態において動作速度ではより小さい静電容量しか必要とされないことがあるので、本方法は、負荷を引き受けるために、より小さな静電容量値を有する第4の非パッケージ化コンデンサを用いることができる。本方法は、かくして回転装置の幾つかの特性を改善することができる。例えば、本方法は、第3の非パッケージ化コンデンサ、第4の非パッケージ化コンデンサ、又はその両方を使用することにより、回転装置の効率を高め、電流引き込みを減らし、動作をより円滑にさせ、又は雑音若しくは振動を減らすことができる。
【0025】
幾つかの実施形態は、電気エネルギーと機械エネルギーとの間の変換のための回転装置に向けられる。幾つかの第1の実施形態において、回転装置は、回転装置のシャフトの軸線に沿った側壁を含む、回転装置の内部部品を保護するための手段と、エネルギー変換要素の回転シャフトに平行な方向に延びた第1のフランジを含み、回転装置の内部部品を保護するための手段に取り付けられて共同で回転装置の内部部品を保護する、第1の整流装置を取り付けるための手段と、内部部品を保護するための手段に接地され、第1のフランジと側壁の内側との間に配置された、第1の非パッケージ化コンデンサと、を含むことができる。幾つかの実施形態において、回転装置の内部部品を保護するための手段は、「発明を実施するための形態」の項で説明されるように、回転装置のハウジング、フレーム、又はいずれかの均等物を含むことができる。幾つかの実施形態において、第1の整流装置を取り付けるための手段は、「発明を実施するための形態」の項において説明されるように、回転装置の端部キャップ又はいずれかの任意の均等物を含むことができる。
【0026】
すぐ前で述べた実施形態の幾つかにおいて、回転装置は、第1の整流装置を取り付けるための手段の底面に取り付けられ、第1の非パッケージ化コンデンサに動作可能に結合された第1の整流装置と、内部部品を保護するための手段に接地され、第1の整流装置を取り付けるための手段上に配置された第2のフランジと側壁の内側との間に配置された、第2の非パッケージ化コンデンサと、第1の整流装置を取り付けるための手段の底面に取り付けられ、第2の非パッケージ化コンデンサと動作可能に結合された、第2の整流装置と、をさらに含むことができる。代案では、すぐ前で述べた実施形態の幾つかにおいて、回転装置は、第1の非パッケージ化コンデンサと整流のための第1の整流装置とを相互接続するための手段を含むことができる。
【0027】
改善された回転装置についての更なる詳細は、以下のように与えられる図1図8を参照して、「発明を実施するための形態」の項で説明される。
【0028】
図面は、実施形態の設計及び有用性を示すものであり、図中、同様の要素は、共通の参照符号で示される。これらの図面は、必ずしも縮尺通りに描かれているとは限らない。上記及びその他の利点及び目的がどのようにして得られるのかをより良く理解するために、添付の図面に示された実施形態のより具体的な説明がなされることになる。これらの図面は、単に例示的な実施形態を図示したものであり、従って特許請求の範囲を限定するものであると考えるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】幾つかの実施形態における例示的な回転装置を示す。
図2】幾つかの実施形態における、図1に示された例示的な回転装置1の断面図を示す。
図3】幾つかの実施形態における、図1に示された例示的な回転装置の例示的な端部キャップ、及び付随する幾つかの例示的な部品を示す。
図4】幾つかの実施形態における非パッケージ化コンデンサの小部分の略図を示す。
図5】幾つかの実施形態における、図2の区域202の拡大図を示す。
図6】幾つかの実施形態における、例示的な回転装置の回路図を示す。
図7】幾つかの実施形態における、例示的な回転装置の分解斜視図を示す。
図8】幾つかの実施形態における、図2の代替的な構成の区域202の拡大図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
これより、図面を参照して、種々の特徴を説明する。図面は必ずしも縮尺通りに描かれているとは限らず、また、図面全体を通して、類似の構造又は機能の要素は同様の参照符号で表されることに留意されたい。図面は、1つ又はそれ以上の特定の実施形態において明確に述べられているか又は1つ又はそれ以上の特定の請求項において特許請求されている場合を除き、例示及び説明の目的で特徴の記述を容易にすることのみを意図したものであることにも留意されたい。描かれた図面及び本明細書に記載の種々の実施形態は、その他の種々の実施形態の網羅的な図示又は記述であることを意図するものでもなく、特許請求の範囲、又は本出願に記載された実施形態を鑑みて当業者には明白なその他の何らかの実施形態の範囲に対する限定であることを意図するものでもない。
【0031】
幾つかの実施形態は、電気エネルギーと機械エネルギーとの間の変換のための回転装置に向けられ、この回転装置は、側壁を含むハウジングと、ハウジングに取り付けられた端部キャップであって、該端部キャップの高さ方向に沿って突出した第1のフランジを含む端部キャップと、ハウジングに接地され、第1のフランジと側壁の内側との間に配置された第1の非パッケージ化コンデンサと、を含む。これらの実施形態の幾つかにおいて、回転装置は、端部キャップの底面に取り付けられた、第1の非パッケージ化コンデンサに動作可能に結合された第1のブラシをさらに含む。これらの後者の実施形態の幾つかにおいて、回転装置は、端部キャップ上に配置され、第1の非パッケージ化コンデンサ及び第1のブラシに動作可能に結合された相互接続部品をさらに含むことができる。
【0032】
付加的に又は代替的に、幾つかの実施形態において、第1の非パッケージ化コンデンサは、第1の金属部品と、第2の金属部品と、第1の金属部品と第2の金属部品との間に挟持された誘電体部品とを含むことができる。これらの実施形態の幾つかにおいて、第1の金属部品は、第1の金属薄膜を含むことができ、第2の金属部品は、第2の金属薄膜を含む。第1の非パッケージ化コンデンサが第1の金属部品及び第2の金属部品を含む幾つかの実施形態において、第1の金属部品は、第1のブラシに電気的に結合され、第2の金属部品は、回転装置のハウジングに電気的に結合される。非パッケージ化コンデンサが第1の金属部品、第2の金属部品、及び誘電体部品を含む幾つかの実施形態において、第1の非パッケージ化コンデンサは、第1のフランジとハウジングの側壁の内側との間に複数の曲げ部を有する縦断面をさらに含むことができる。非パッケージ化コンデンサの最終寸法は、原材料のシートから、特定の設計原理に適合するようにカスタム製作することができる。幾つかの実施形態において、上部金属層は、薄膜状構造を含むことができることに留意されたい。幾つかの実施形態において、非パッケージ化コンデンサは、比較的可撓性の(例えば、手で扱うことが可能な)薄膜状コンデンサを実際に含むことができる。とはいえ、実際の非パッケージ化コンデンサは、他の幾つかの実施形態において、必ずしも薄膜状又は可撓性にする必要が全くない場合がある。これらの実施形態において、非パッケージ化コンデンサは、少なくとも1つの第1の金属板と、第2の金属薄膜又は金属板と、第1の金属板と第2の金属薄膜又は金属板との間に挟持されるように予備成形(例えば、種々の成形プロセスによる)された誘電体層とを含むことができる。
【0033】
回転装置がハウジング、端部キャップ、及び第1の非パッケージ化コンデンサを含む幾つかの実施形態において、回転装置は、ハウジングに接地された、第2のフランジとハウジングの側壁の内側との間に配置された第2の非パッケージ化コンデンサをさらに含むことができる。すぐ前で述べた実施形態の幾つかにおいて、回転装置は、端部キャップの底面に取り付けられた、第2の非パッケージ化コンデンサに動作可能に結合された第2のブラシと、端部キャップ上に配置された、第2の非パッケージ化コンデンサ及び第2のブラシに動作可能に結合された第1の相互接続部品と、をさらに含むことができる。回転装置が第2の非パッケージ化コンデンサを含む幾つかの実施形態において、第1のフランジ及び第2のフランジは、端部キャップの単一の一体型フランジの2つの異なる部分を構成することができる。
【0034】
幾つかの実施形態は、回転装置を用いて第1の形態のエネルギーと第2の形態のエネルギーとの間の変換を行うための方法へ向けられる。これらの実施形態において、本方法は、外部源から第1の形態のエネルギーを受け取ることと、第1の期間中に第1の形態のエネルギーを回転装置の第1の整流装置に伝達することと、第1の期間中に、第1の整流装置に動作可能に結合された第1の非パッケージ化コンデンサを充電することと、第2の期間中に第1の非パッケージ化コンデンサを少なくとも放電することにより電磁干渉を低減することと、を含むことができる。
【0035】
幾つかの実施形態において、本方法は、電気モータを使用する場合のように、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する。幾つかの実施形態において、本方法は、発電機を使用する場合のように、機械エネルギーを電気エネルギーに変換する。幾つかの実施形態において、本方法は、第1の非パッケージ化コンデンサを含む回路を流れる電流が比較的安定した状態を保持している期間中に、第1の非パッケージ化コンデンサを充電する動作を行うことができる。幾つかの実施形態において、本方法は、回路を流れる電流が、例えば、整流装置(例えば、ブラシ)が整流子の2つの整流子プレートを横切る際の振動又は整流が原因である程度の変動を示す第2の期間中に、すでに充電されてエネルギーを貯蔵している第1の非パッケージ化コンデンサを少なくとも放電することにより、電磁干渉を低減する動作を行うことができる。これらの実施形態の幾つかにおいて、本方法は、第1の形態のエネルギーを回転装置の第2のブラシに伝達することと、第2のブラシに動作可能に結合された第2の非パッケージ化コンデンサを充電することと、第2の非パッケージ化コンデンサを少なくとも放電することにより電磁干渉を低減することと、をさらに含むことができる。
【0036】
実施形態の幾つかにおいて、本方法は、回転装置のハウジングに第1の非パッケージ化コンデンサを動作可能に結合することにより、第1の非パッケージ化コンデンサを接地することと、回転装置のハウジングに第2の非パッケージ化コンデンサを動作可能に結合することにより、第2の非パッケージ化コンデンサを接地することと、をさらに含むことができる。付加的に又は代替的に、本方法は、第1の整流装置及び第2の整流装置を整流子に少なくとも結合することにより、第1の形態のエネルギーを第2の形態のエネルギーに変換することと、第2の形態のエネルギーの少なくとも一部を出力することと、を含むことができる。これらの実施形態の幾つかにおいて、第1の整流装置及び第2の整流装置は、一般に、整流目的の整流装置(例えば、ブラシ式電気モータにおけるブラシ、又はブラシ式電気モータの整流のためのブラシと整流子との組立体を置き換える電子制御器若しくは固体回路、又はブラシレス電気モータの回転子の位置を判断するホール効果センサのようなセンサまでも)を指す。
【0037】
実施形態の幾つかにおいて、本方法は、リレーにより制御される第3の非パッケージ化コンデンサを回転装置に直列に接続して回転装置の電気位相をシフトさせることにより、初期トルクを与えることをさらに含むことができる。例えば、幾つかの実施形態において、本方法は、回転装置のスタートアップ巻線に直列に電気的に結合された非パッケージ化コンデンサを用いてモータの電気位相を僅かにシフトさせ、モータを始動させるための始動トルクを作り出すことができる。これらの実施形態の幾つかにおいて、本方法はさらに、モータがその動作速度に近づいたときに、制御器内のリレーを開いて第3の非パッケージ化コンデンサを回路から除外し、かくして、例えばモータの電機子を駆動する回路から、第3の非パッケージ化コンデンサを外すことができる。これらの実施形態の幾つかにおいて、本方法は、回転装置が特定の速度(例えば、回転装置の設計上の動作速度に対して所定の比率、又は始動後の所定の期間)でスピンしている又は回転していると該方法が判断した後で回転装置にかかる負荷を受けるためのラン・コンデンサとして、少なくとも1つの第4の非パッケージ化コンデンサを使用することにより、回転装置を動作させることをさらに含むことができる。
【0038】
実施形態の幾つかにおいて、本方法は、回転装置に第4の非パッケージ化コンデンサを直列に接続して回転装置の電気位相をシフトさせることにより、回転装置の複数の特性の少なくとも1つを改善することをさらに含むことができる。始動コンデンサとして第3の非パッケージ化コンデンサを含む上記の例において、本方法は、回転子が特定の速度でスピン又は回転しているときにリレーを(例えば、制御器を介して信号を送ることにより)開いて、第3のコンデンサに直列に動作可能に接続することができるラン・コンデンサとして働くことができる第4の非パッケージ化コンデンサを回路から除外することなく、第3の非パッケージ化コンデンサを回路から除外することができる。この例において、本方法は、始動コンデンサとして働く第3の非パッケージ化コンデンサが始動した後で特定の速度で回転装置が動作しているときに停止するように工夫されている一方で、無期限に稼働するように工夫されたものとすることができる第4の非パッケージ化コンデンサを用いることにより、回転装置を駆動し続けることができる。
【0039】
実施形態の幾つかにおいて、本方法は、第1の非パッケージ化コンデンサの少なくとも一部を、回転装置のハウジングと、回転装置の端部キャップの高さ方向に沿って突出したフランジとの間に位置決めすることにより、回転装置のサイズを小さくすることをさらに含むことができる。第3又は第4の非パッケージ化コンデンサに関する上記の例において、幾つかの実施形態において動作速度ではより小さい静電容量しか必要とされないことがあるので、本方法は、負荷を引き受けるために、より小さな静電容量値を有する第4の非パッケージ化コンデンサを用いることができる。本方法は、かくして回転装置の幾つかの特性を改善することができる。例えば、本方法は、第3の非パッケージ化コンデンサ、第4の非パッケージ化コンデンサ、又はその両方を使用することにより、回転装置の効率を高め、電流引き込みを減らし、動作をより円滑にさせ、又は雑音若しくは振動を減らすことができる。
【0040】
幾つかの実施形態は、電気エネルギーと機械エネルギーとの間の変換のための回転装置に向けられる。幾つかの実施形態において、回転装置は、回転装置のシャフトの軸線に沿った側壁を含む、回転装置の内部部品を保護するための手段と、シャフトの軸線に沿って突出した第1のフランジを含み、回転装置の内部部品を保護するための手段に取り付けられて共同で回転装置の内部部品を保護する、第1の整流装置を取り付けるための手段と、内部部品を保護するための手段に接地され、第1のフランジと側壁の内側との間に配置された第1の非パッケージ化コンデンサと、を含むことができる。幾つかの実施形態において、回転装置の内部部品を保護するための手段は、「発明を実施するための形態」の項で説明されるように、回転装置のハウジング、フレーム、又はいずれかの均等物を含むことができる。幾つかの実施形態において、第1の整流装置を取り付けるための手段は、「発明を実施するための形態」の項において説明されるように、回転装置の端部キャップ又はいずれかの均等物を含むことができる。
【0041】
すぐ前で述べた実施形態の幾つかにおいて、回転装置は、第1の整流装置を取り付けるための手段の底面に取り付けられ、第1の非パッケージ化コンデンサに動作可能に結合された、第1の整流装置と、内部部品を保護するための手段に接地され、第1の整流装置を取り付けるための手段上に配置された第2のフランジと側壁の内側との間に配置された、第2の非パッケージ化コンデンサと、第1の整流装置を取り付けるための手段の底面に取り付けられ、第2の非パッケージ化コンデンサと動作可能に結合された、第2の整流装置と、をさらに含むことができる。代案では、すぐ前で述べた実施形態の幾つかにおいて、回転装置は、第1の非パッケージ化コンデンサと整流のための第1の整流装置とを相互接続するための手段を含むことができる。
【0042】
特定の実施形態と関連して説明される1つの態様又は利点は、必ずしもその実施形態に限られるものではなく、他のいずれの実施形態においても、たとえそのように示されていなくでも、又は明示的に記載されていなくても、実践することができる。また、本明細書の全体を通じて、「幾つかの実施形態」又は「他の実施形態」への言及は、その実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、材料、プロセス、又は特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。従って、本明細書の全体を通じて様々なところに「幾つかの実施形態において」、「1つ又はそれ以上の実施形態において」、又は「他の実施形態において」という語句が出てくることは、必ずしも同じ1つ又は複数の実施形態を指すとは限らない。
【0043】
幾つかの実施形態は、電気エネルギー(例えば、電流)を機械エネルギー(例えば、機械的回転力又はトルク)に変換するか又はその逆に変換する回転装置に向けられる。回転装置は、例示であり限定ではないが、電気エネルギーを受け取り、これを機械的回転エネルギーに変換するブラシ式モータ、又は機械エネルギーを受け取り、これを電気エネルギー(例えば、電位、電動力など)に変換する発電機を含むことができ、これは整流子及びブラシを含む。実施形態の幾つかにおいて、整流子は、ある角度方向に配列された複数の整流子プレート又は整流子要素(プレートと総称する)を含み、ブラシの各々は、1つ又はそれ以上の導電性材料で作られた1つ又はそれ以上の構造体を含む。
【0044】
これらの実施形態の幾つかにおいて、回転装置は、端部キャップと、少なくとも1つの非パッケージ化コンデンサとを含むことができる。端部キャップは、回転装置のハウジングの少なくとも取り外し可能な部分であって、回転装置の種々の部品(例えば、電気モータの出力シャフト用ベアリング)を支持又は収容するためにハウジングに取り付けられるものを指す。端部キャップはハウジングと共に、回転装置内部の電気部品(例えば、種々のリード又は回路)及び又は機械部品(例えば、種々の回転部品又は固定部品)に対する保護ガードとして働くことができる。これらの実施形態において、少なくとも1つの非パッケージ化コンデンサは、第1の金属部品と、第2の金属部品と、誘電体部品とを含み、誘電体部品の少なくとも一部分が第1の金属部品と第2の金属部品との間に密閉されてコンデンサ素子を形成する。
【0045】
幾つかの実施形態において、第1の金属部品及び第2の金属部品は、平坦な又は湾曲した金属薄膜、箔、プレート、又はそのいずれかの組み合わせを含むことができる。第1の金属部品又は第2の金属部品の形状又は寸法は、少なくとも部分的に、非パッケージ化コンデンサが取り付けられる構造体の寸法に基づいて決定することができる。例えば、幾つかの実施形態において、端部キャップ上に配置された実質的に平坦なフランジに取り付けるために、実質的に平坦な非パッケージ化コンデンサ(それゆえ、実質的に平坦な第1の金属部品、実質的に平坦な第2の金属部品、及び実質的に平坦な誘電体部品)を工夫することができる。別の例として、幾つかの実施形態において、端部キャップ上に配置された湾曲したフランジに適合するように取り付けるために、湾曲した非パッケージ化コンデンサ(それゆえ、湾曲した第1の金属部品、湾曲した第2の金属部品、及び湾曲した誘電体部品)を工夫することができる。
【0046】
付加的に又は代替的に、幾つかの実施形態において、個々の部品の各々は、異なる弾性率又は選択材料により、可撓性又は剛性とすることができ、これは、少なくとも部分的にコンデンサの1つ若しくはそれ以上の電気特性又は1つ若しくはそれ以上の動作要件に基づいて決定することができる。この1つ又はそれ以上の電気特性は、幾つかの実施形態において、例えば、コンデンサの公差(例えば、±5%、±10%、又は±20%)を含むことができるが、これらに限定されない。1つ又はそれ以上の動作要件は、例えば、動作温度、電流量などを含むことができるが、これらに限定されない。
【0047】
これらの実施形態の幾つかにおいて、誘電体部品は、種々の選択材料の平坦な又は湾曲した誘電体薄膜、箔、プレートを含むことができる。例えば、幾つかの実施形態において、誘電体部品は、できる限り高い誘電率若しくは絶縁破壊電圧を示すか、又はできる限り低い誘電吸収若しくは漏れを示す、無極性電解質材料、紙片、油含浸紙、プラスチック又はポリマー材料片、セラミック材料、ガラス材料、マイカ材料などを含むことができる。誘電体部品の選択は、幾つかの実施形態において、少なくとも部分的に、エージング要件、公差要件、温度要件、共鳴周波数要件、動作電圧若しくは動作電流、コスト、製造若しくは組み立ての容易さ、又はそのいずれかの組み合わせに基づいて決定することができる。他の幾つかの実施形態において、第1の金属部品又は第2の金属部品は、例えば、吹き付け、堆積、又は他のいずれかの適切な製造プロセスによる、誘電体部品の両側上の金属被覆層を含むことができる。
【0048】
種々の実施形態において、非パッケージ化コンデンサは、例えば、エポキシ、樹脂、コンフォーマル・コーティング、又は従来のコンデンサで通常見られるその他のいずれかの適切な種類の封入材料の、いかなる封入又は外箱も含まない。それどころか、非パッケージ化コンデンサは、2つの金属部品及び誘電体部品のみを含むことができる。とはいえ、非パッケージ化コンデンサは、挿入、はんだ付け、取り付け、又は洗浄中に生じる可能性のある摩耗又は損傷から非パッケージ化コンデンサを保護するために特定の外側層(例えば、付加的な材料層)によって保護することもできることに留意されたい。非パッケージ化コンデンサは、数マイクロメートル厚乃至数十マイクロメートル厚の範囲の厚さを有する誘電体層を含む埋込容量性材料と呼ぶこともできる。誘電体層は、2つの電気的に絶縁された金属層の間に挟持されて、1nF/in2未満乃至数百nF/in2の範囲の単位面積当たり静電容量を提供するコンデンサ素子を形成する。このような厚さ範囲を有するので、このような非パッケージ化コンデンサは、比較的柔軟で、種々の幾何学的構造体の上又はその周囲に埋め込むか又は形づくることができるものとなり得る。とはいえ、非パッケージ化コンデンサは、必ずしもこのように薄い誘電体層を有するものに限定されないことに留意されたい。幾つかの実施形態において、非パッケージ化コンデンサは、もはや非パッケージ化コンデンサは柔軟にはならないがそれでも特定の幾何学的構造体の上又はその周囲に埋め込むか又は形づくることができるような、上記範囲を超える厚さを有する誘電体層を有することができる。このような柔軟性のない非パッケージ化コンデンサは、種々の形状形成技術(例えば、種々の成形プロセス又は機械加工)用いて誘電体層を製造し、これを金属層に取り付けてコンデンサ素子を形成することにより、形成することができる。
【0049】
例示的な回転装置が幾つかの非パッケージ化コンデンサを含む幾つかの実施形態において、これらの非パッケージ化コンデンサは、電磁干渉又は雑音を抑制又は低減するためのデカップリング・コンデンサとして使用することができる。例えば、第1のブラシ又は第1の整流装置に動作可能に結合された第1の非パッケージ化コンデンサは、整流中に第1のブラシ又は第1の整流装置が正電源に動作可能に結合している期間中に、充電することができる。第1の非パッケージ化コンデンサは、その後、第2の期間中に第1のブラシが1つの整流子セグメント又はプレートからもう1つの整流子セグメント又はプレートへと横切る際の整流に起因するか、又は第1のブラシと整流子との間の電気的接触が例えば振動の結果として変動することに起因する電流の変化に応答して、貯蔵エネルギーを放電することにより、エネルギー貯蔵部として機能する。第1の非パッケージ化コンデンサが貯蔵エネルギーを放電した結果として、これらの実施形態において、電磁干渉又は雑音は、第1の非パッケージ化コンデンサを通って分路される。幾つかの実施形態において、デカップリング・コンデンサとして働く非パッケージ化コンデンサを、例えば回転装置のハウジングの金属部分に接地又はアースして、回路を適正に完成させることもできる。
【0050】
幾つかの実施形態において、例示的な回転装置は、始動コンデンサとして働く1つ又はそれ以上の非パッケージ化コンデンサを含むこともできる。例えば、非パッケージ化コンデンサは、幾つかの実施形態において、モータの電気位相を僅かにシフトさせて、モータを始動させるための始動トルクを作り出すことができる。これらの実施形態の幾つかにおいて、モータがその動作速度に近づくと、例えば制御器内のリレーが開いて、回路から非パッケージ化コンデンサを除外する。これらの実施形態の幾つかにおいて、例示的な回転装置は、ラン・コンデンサとして働く1つ又はそれ以上の第2の非パッケージ化コンデンサをさらに含むことができ、これは始動コンデンサとして働く1つ又はそれ以上の非パッケージ化コンデンサと直列に接続される。始動コンデンサに関して上で述べた例において、回転子が特定の速度でスピン又は回転しているときにリレーが開き、1つ又はそれ以上の非パッケージ化コンデンサを、ラン・コンデンサとして働く1つ又はそれ以上の第2の非パッケージ化コンデンサを除外することなく、除外する。上記の例において、始動コンデンサとして働く1つ又はそれ以上の非パッケージ化コンデンサは、始動してその後停止するように工夫されている一方で、1つ又はそれ以上の第2の非パッケージ化コンデンサは、無期限に稼働するように工夫されている。動作速度ではより小さい静電容量しか必要とされないことがあるので、より小さな静電容量値を有する1つ又はそれ以上の第2の非パッケージ化コンデンサが負荷を引き受けることができ、かくして回転装置の幾つかの特性を改善することができる。例えば、1つ又はそれ以上の第2の非パッケージ化コンデンサは、回転装置の効率を高め、電流引き込みを減らし、動作をより円滑にさせ、雑音又は振動を減らす。
【0051】
幾つかの実施形態において、例示的な回転装置(例えば、多位相誘導モータ)は、巻線に直列に接続された、位相シフト・コンデンサとしてとして働く1つ又はそれ以上の非パッケージ化コンデンサを含むことができる。回転装置には、1つ又はそれ以上のコンデンサの使用を伴うその他の多数の用途が存在することに留意されたい。非パッケージ化コンデンサは、そのような1つ又はそれ以上のコンデンサのいずれかを置き換えてスペース要求を低減するために用いることもでき、その理由は、非パッケージ化コンデンサは、非常に小さなスペース(例えば、端部キャップの取り付けフランジと回転装置のハウジング又はフレームとの間)に配置することができるためであり、このような小さなスペースは、通常は、その小さいスペースのため、及び/又は金属ハウジングに近接していること若しくは金属ハウジングの存在のため、いかなる電気部品を嵌合するためにも利用することができないものである。
【0052】
幾つかの実施形態において、雑音は、天然の発生源、及びときには人工的に導入された発生源(例えば、ブラシ・モータ又は発電機において2つの隣接する整流子プレート間に間隙が存在することに起因する整流、ブラシと整流子プレートとの間の接触の変化に起因するコンダクタンスの変動など)に由来する、所望されない又は外乱エネルギーの合計である。一方、電磁干渉は、幾つかの実施形態において、特定の送信機又は発生源に由来する、妨害、クロストーク、クロスカップリング、容量結合、又は他の所望されない無線周波数干渉を指す。とはいえ、「雑音」及び「電磁干渉」という用語は、本出願の全体を通じて、特にそれ以外に特許請求されているか又は指示されない限り、交換可能に用いることができる。
【0053】
図1は、幾つかの実施形態における例示的な回転装置を示す。より詳細には、回転装置1は、ハウジング10、端部キャップ20、及び出力シャフト16を含むことができる。図2は、幾つかの実施形態における、図1に示された例示的な回転装置1の断面図を示す。これらの実施形態において、回転装置1は、端部キャップ20と、ハウジング10と、ハウジング10の内部に配置された永久磁石又は電磁石12と、シャフト16の2つの端に近接する2つのベアリング19と、回転子14とを含む。より具体的には、回転子14は、シャフト16、電機子17、及び整流子18を含むことができる。電機子17及び整流子18は、シャフト16に関して軸対称に配列することができ、回転装置1の動作中に電機子17の回転又はスピンが電気エネルギーと機械エネルギーとの間の変換を生じさせるようになっている。図2はまた、以下の段落で図5を参照して説明される区域202を示す。
【0054】
図3は、幾つかの実施形態における、図1に示された例示的な端部キャップ20、及び付随する幾つかの例示的な部品を示す。図3において示されたこれらの実施形態において、例示的な端部キャップ20は、端部プレート22、外方へ延びるフランジ24、及び相互接続部品26を含むことができる。幾つかの実施形態において、端部キャップ20の本体は、端部キャップ20を回転装置のハウジング10に固定するための種々の構造体又は部品と共に誘電体材料で作ることができる。その他の種々の構造又は部品は、端部キャップ20の種々の部分に取り付けるか又は配置することができる。
【0055】
例えば、図3に示される例示的な実装は、分離できるように取り付けられた又は分離できないように形成されたブラシ保持具28を含むことができる端部キャップ20を含み、このブラシ保持具にブラシ30が取り付けられる。幾つかの実施形態において、ブラシ保持具28は、ブラシ保持具28に取り付けられたブラシ30を容易に保守点検することができるように、端部キャップ20に取り外し可能に取り付けることができる。例えば、ブラシ保持具28は、ブラシ保持具28を所望の位置に固定するための、さねはぎ機構及び保持構造(例えば、止めねじ、ばね押しリテーナ)を用いて、端部キャップ20に取り付けることができる。
【0056】
端部プレート22は、回転装置1のその他の種々の構造体又は部品を収容するための種々の突出部又は成形された構造体をさらに含むことができる。1つ又はそれ以上の実質的に平坦な又は湾曲したフランジ24が、端部キャップ20の側壁の一部を形成し、これを用いて端部キャップ20をハウジング10に正しい向きで位置決めし又は固定することができる。分離できるように取り付けられた又は分離できないように一体に形成された相互接続部品26は、導電性材料を含み、ブラシ30を、電源(例えば、電気モータの電源機構)又は電気エネルギー貯蔵手段(例えば、発電機の場合の整流器)に、それらの間の適切な相互接続を通じて電気的に結合するために用いられる。
【0057】
図4は、幾つかの実施形態における、第1の金属部品42、第2の金属部品44、及び誘電体部品46を含む非パッケージ化コンデンサ40の部分の略図を示す。図5は、幾つかの実施形態における、図2の区域202の拡大図を示す。加えて図4図5を参照すると、例示的な回転装置1は、第1の金属部品42、第2の金属部品44、及び誘電体部品46を含む少なくとも1つの非パッケージ化コンデンサ40を含むことができる。
【0058】
幾つかの実施形態において、第1の金属部品42又は第2の金属部品44は、アルミニウム、タンタル、銅、スズ、又はコンデンサに適したその他のいずれかの材料を含むがこれらに限定されない、導電性材料で作ることができる。幾つかの実施形態において、誘電体部品46は、できる限り高い誘電率若しくは絶縁破壊電圧を示すか、又はできる限り低い誘電吸収若しくは漏れを示す、無極性電解質材料、紙片、油含浸紙、ポリマー材料片(例えば、ポリエステル、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレンなど)、セラミック材料、ガラス材料、マイカ材料などを含むがこれらに限定されない、誘電体材料を含むことができる。
【0059】
誘電体材料46又は金属部品(42又は44)の寸法は、コンデンサ40の所望の又は要求される静電容量、動作要件(例えば、電圧又は電流)、嵌め合い部品(例えば、フランジ24又は相互接続部品26など)の寸法、又はそれらのいずれかの組み合わせに、少なくとも部分的に基づいて決定することができる。コンデンサ40の少なくとも一部分は、フランジ24の外面に従って、第2の金属部品44の少なくとも一部分41がフランジ24の外面(端部キャップ20の内部から離れた方の面)の少なくとも一部分を覆うように、形づくることができる。幾つかの実施形態において、第2の金属部品44の一部分41は、接着剤又は他の適切なプロセスを用いて、フランジ24の外面の一部分に取り付けることができる。
【0060】
図3図5に示された実施形態において、非パッケージ化コンデンサ40は、コンデンサ40の第1の金属部品42の少なくとも一部分45が相互接続部品26に取り付けられて、第1の金属部品42が相互接続部品26に、従ってブラシ30に電気的に結合するように形づくることができる。幾つかの実施形態において、第1の金属部品42の少なくとも一部分45は、相互接続部品26に、例えば、これらに限定されないが、材料を互いに接合する、種々のタイプの溶接、ろう付け、はんだ付け、又はその他のいずれかの適切な製造プロセスによって取り付けることができる。
【0061】
他の幾つかの実施形態において、第1の金属部品42の少なくとも一部分45は、第1の金属部品42の少なくとも一部分45と相互接続部品26との間の接触抵抗が十分に低くなるように(例えば、電気的接触が不足していることによる所定の閾値を超える過剰量の熱を発生させることのない、又はある所定温度を上回る温度上昇を引き起こさない、所定の接触抵抗)、又はそれらの間の接触応力が十分に高くなるように(例えば、第1の金属部品42又は相互接続部品26の降伏強度に対して所定の比率)、機械的手段によって相互接続部品26に取り付けることができる。図5は、幾つかの実施形態における、図2の区域202の拡大図を示す。より詳細には、図5は、第2の金属部品44の一部分41がフランジ24の外側に取り付けられること、及び、第2の金属部品44の一部分43をフランジ24の内側(端部キャップ20の内部に近い方)に取り付けることができることを示す。これらの実施形態において、フランジ24の外側に取り付けられた部分41は、部分41がハウジング10の側壁とフランジ24との間で挟持されるように、端部キャップ20がハウジング10上に組み立てられるか又はその逆に組み立てられたときに、回転装置1のハウジング10に接触することによりアース又は接地される。
【0062】
幾つかの実施形態において、第2の金属部品44の部分43は、例えば、これらに限定されないが、部分43をフランジ24に固定的に取り付けるための接着剤又はその他のいずれかの適切なプロセスを用いることにより、フランジ24にさらに固定することができる。幾つかの実施形態において、非パッケージ化コンデンサ40の少なくとも一部分は、第1の金属部品42と相互接続部品26との間の適正な電気的接触を確実にするために、種々の製造プロセス又は組立プロセスで発生するあそび又は公差を収めるための締めしろを非パッケージ化コンデンサ40の部分とその嵌め合い部品との間に導入する、弾性的又は弾力的な構造的特徴又は構造を含むことができる。
【0063】
幾つかの実施形態において、第1の金属部品42は、実質的に永久変形又は破断することなく衝撃又は負荷に耐えるように弾力的な幾何学的形状を含む。実質的な永久変形は、非パッケージ化コンデンサ40が、第1の金属部品42の部分45が、相互接続部品26との十分な電気的接触を有するという意図された機能を遂行することがもはや可能ではなくなる程度まで、元の形状を失ったときに生じることに留意されたい。幾つかの実施形態において、第1の金属部品42は、例えば衝撃又は負荷に起因する変形の後で元の形状又はサイズに戻るように、弾性の幾何学的形状を含む。
【0064】
図6は、幾つかの実施形態における、例えば図1に示された回転装置1のような、例示的な回転装置の回路図を示す。より詳細には、図6は、整流子18と、整流のために整流子18に動作可能に結合された少なくとも2つのブラシ30とを有する、回転装置を示す。図6は、ブラシ30に動作可能に結合され、雑音又は電磁干渉を抑制又は排除するために例えば回転装置のハウジングを介してさらに接地又はアースされた、2つのコンデンサ(例えば、本明細書で説明したような2つの非パッケージ化コンデンサ)をさらに示す。
【0065】
例示的な回転装置が非パッケージ化コンデンサを含むこれらの実施形態の幾つかにおいて、これらの非パッケージ化コンデンサは、回転装置のハウジングの内側壁と、回転装置の端部キャップのフランジの外側壁との間に挟持することができる。回転装置のハウジングと端部キャップのフランジとの間のこのようなスペースは、通常は何らかの部品を収容するために用いられることはない。したがって、このように適正に構成された又は工夫された非パッケージ化コンデンサを回転装置内に含めることで、回転装置の全体としてのサイズは、回転装置の雑音性能又はEMI性能を損なうことなく小さくなる。付加的に又は代替的に、このような非パッケージ化コンデンサを含めることで、これらのコンデンサの保守点検がより容易な作業になる。コンデンサはエージング・プロセスを示すことが知られているので、コンデンサの性能は経時的に劣化する。このような非パッケージ化コンデンサの交換は、非パッケージ化コンデンサを、例えばはんだ除去プロセスなしで単に取り外すことを伴うものとすることができるので、はんだ除去プロセス中の加熱により生じる可能性がある回路の損傷を回避することができる。
【0066】
図7は、幾つかの実施形態における例示的な回転装置の分解斜視図を示す。この例示的な回転装置において、ハウジング702は、分離できるように取り付けられた又は一体に分離できないように形成されたフランジ部分704をさらに含むことができ、このフランジ部分704は、これらの実施形態において、端部キャップ及び付属部品708を、分離できるように取り付けられた又は一体に分離できないように形成されたフランジ部分706を用いることによって固定するためのものである。ハウジング702のフランジ704及び端部キャップのフランジ706は、図7に示される回転子装置の回転シャフトに対して垂直の面に沿って延びる。さらに、フランジ704と706とは、端部キャップをハウジング702に固定することができるように互いに適合する。図7で示される幾つかの実施形態において、非パッケージ化コンデンサ40は、非パッケージ化コンデンサ40の第2の金属部品(例えば、参照符号44)が例えばハウジング702にフランジ部分704を介してアース又は接地することができるように、端部キャップのフランジ部分706に取り付けることができる。図7で示される幾つかの実施形態において、非パッケージ化コンデンサ40の第1の金属部品(例えば、図7では第2の金属部品44の下にある第1の金属部品42)は、誘電体材料で作られた端部キャップのフランジ706に取り付けることができる。第1の金属部品42の一部分、例えば部分45は、いずれかの適切な方法によって図7における相互接続部品26に動作可能に接続される。他の幾つかの実施形態において、相互接続部品26は、非パッケージ化コンデンサを整流装置に動作可能に接続する単なるワイヤを含むことができる。これらの実施形態の幾つかにおいて、非パッケージ化コンデンサ又は非パッケージ化コンデンサの第1の金属部品は、第1の金属部品が、対応する整流装置(例えば、ブラシ)に直接接続されるような様式で構成することができる。これらの実施形態において、回転装置は、非パッケージ化コンデンサとその対応する整流装置との間に相互接続部品を含まない。
【0067】
図8は、幾つかの実施形態における、図2の代替的な構成の区域202の拡大図を示す。より詳細には、図8は、幾つかの実施形態における、非パッケージ化コンデンサ40とモータ・ハウジング10と相互接続部品26との間の空間的関係を示す。この代替的な構成においては、図5で示されるようにフランジ24の下部の周りを包み込むのではなく、非パッケージ化コンデンサ40の部分は、十分な弾力又は可撓性をもたらすように2つの鈍角の曲げ部を伴って形づくられ、非パッケージ化コンデンサ40が相互接続部品26に十分に低い電気接触抵抗又は十分に高い接触応力で適正に接触することができるようになっている。非パッケージ化コンデンサ40は、これらの図示された実施形態においても、回転装置のハウジング10にアース又は接地される。
【0068】
非パッケージ化コンデンサを有する例示的な回転装置のスペース節約特性は、きびしいスペース制約に従う一方で、1つ又はそれ以上のコンデンサの使用によって達成することができる雑音又はEMIを抑制するか又は低減する性能又は他の性能特性を必要とする、例えば小型電気モータ又は他のいずれかの回転装置(例えば、位相シフト・コンデンサを含むヒステリシス同期モータ、コンデンサ・ラン型モータ、コンデンサ始動型モータなど)において、特に有利であり得る。
【0069】
幾つかの実施形態において、フィルタ回路内にコンデンサを有する同等の回転装置のEMI性能は、コンデンサを有さない実質的に同様の回転装置(例えば、フィルタ回路を有さない同一の回転装置)の性能よりも優れている。さらに、標準的な封入型コンデンサを有する幾つかの回転装置は、関心のある周波数範囲内で、非パッケージ化コンデンサを有する実質的に同様の回転装置に対して実質的に同様のレベルのEMI性能を実証した。
【0070】
非パッケージ化コンデンサを有する回転装置の改善された雑音又はEMI抑制又は低減特性及び有用なスペースを何ら占有しないという利点に加えて、非パッケージ化コンデンサは、幾つかの実施形態において優れた温度性能も示す。例えば、本明細書に記載の非パッケージ化コンデンサの幾つかは、市販のほとんどのスルー型又はSMD型の封入型コンデンサに関して標準的な−55℃乃至85℃の作業温度範囲どころか、−55℃乃至220℃の作業温度範囲を示すことが証明された。非パッケージ化コンデンサは、高温信頼性又は安定性を達成する一方で、従来のスルー型又はSMD型コンデンサよりいっそう低いコストを示す。
【0071】
別の例として、静電容量100pF及び安全動作温度240℃の非パッケージ化コンデンサのコストモデルは、このような非パッケージ化コンデンサのが、最大動作温度がわずか85℃の通常のスルー型又はSMD型コンデンサの約10分の1の費用しかかからないことを示す。静電容量100pF及び安全動作温度240℃の非パッケージ化コンデンサの同じコストモデルは、そのような非パッケージ化コンデンサが、最大動作温度が299℃の通常のスルー型又はSMD型コンデンサの約30分の1の費用しかからないことを示した。しかも、市販のほとんどのスルー型又はSMD型の封入型コンデンサは、接地が難しく、静電容量が増大するにつれてより多くの面積を必要とする。
【0072】
本明細書で説明した幾つかの実施形態の利点の1つは、非パッケージ化コンデンサは、ある合理的な範囲内では静電容量にかかわらず、非パッケージ化コンデンサの特有の幾何学的構成により、一般には使用されないスペースを単に占有するのみであり、従って貴重な設計スペースを占有しないという点である。非パッケージ化コンデンサの別の利点は、このような非パッケージ化コンデンサの適切な接地を、例えば回転装置のフランジ24及びハウジングを適切にサイズ設定又は設計することにより、容易に達成することができる点である。
【0073】
上記の明細書において、本発明は、その特定の実施形態を参照して説明された。しかしながら、本発明の最も広範な真意及び範囲から逸脱することなく、これに種々の修正及び変更を為すことができることは明らかとなろう。例えば、上述のプロセス・フローは、プロセス動作の特定の順序を参照して説明されている。しかしながら、説明されたプロセス動作の多くのものの順序は、本発明の範囲又は操作に影響を与えることなく変更することができる。従って、本明細書及び添付の図面は、制限的であるよりもむしろ例示的な意味で考慮されるべきである。
【符号の説明】
【0074】
1:回転装置
10、702:ハウジング
12:永久磁石又は電磁石
14:回転子
16:出力シャフト
17:電機子
18:整流子
19:ベアリング
20、708:端部キャップ
22:端部プレート
24、704、706:フランジ
26:相互接続部品
28:ブラシ保持具
30:ブラシ
40:非パッケージ化コンデンサ
41、43、45:非パッケージ化コンデンサの一部分
42:第1の金属部品
44:第2の金属部品
46:誘電体部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8