【実施例1】
【0025】
以下、本発明による実施例1のカップ型のLED発光装置について説明する。ここで、実施例1には4つの実施形態があり、第1の実施形態を
図1〜
図4に示し、第2の実施形態を
図5〜
図7に示し、第3の実施形態を
図8に示し、第4の実施形態を
図9に示す。
【0026】
〔実施例1の第1の実施形態の説明:
図1〜
図4〕
以下、
図1〜
図4を用いて実施例1の第1の実施形態のLED発光装置50について説明する。
図1(a)はLED発光装置50の放射光の照射面における色ムラ状況を示す照射図であり、(b)はLED発光装置50の断面構成を示す。また、
図2は光学膜層の反射特性を示し、LED発光装置50の発光のスペクトルを重ねて表示している。尚、グラフの横軸は波長(nm)を示し、左の縦軸は光学膜層の反射率(%)を示し、右の縦軸は発光スペクトルの相対発光強度を示す。ここでグラフの見方は、後述する他の実施形態においても同様である。また、
図3は誘電体多層膜の膜層構成及び反射に関する原理図であり後述する他の実施形態に共通である。また、
図4はリング状に形成された光学膜層の斜視図である。
【0027】
[構成の説明:
図1]
まず、
図1(b)を用いて、LED発光装置50の構成について説明する。
図1(b)において、青色LED素子1は一方の面に電極が設けられており2つのバンプ3により、基板4上に設けられた配線電極5及び配線電極6にそれぞれフリップチップ実装されて、電気的に接続している。配線電極5及び配線電極6は基板4の表面に形成されており、一方の面は青色LED素子1を実装するための配線パターンを形成し、他方の面はLED発光装置を照明装置等(図示なし)に実装するための配線パターンを形成している。
【0028】
尚、実施例ではLED素子の実装構造をフリップチップ接合としているが、LED素子の電極形成面側を主光取出し面とする、ワイヤー接続による実装方法も採用でき、適宜、素子の構造に合わせた接続手段を採用することができる。また、基板4は少なくともLED素子の電極と接続される配線パターンを形成したものであって、基板の材料としては放熱特性の良いアルミナなどのセラミック等が望ましく、LED素子からの発光を光取出し方向へ有効に反射できるように、少なくともその表面が高反射材料で構成されることが好ましい。
【0029】
次に、反射枠体7は基板4上に固定されていて、内部には、蛍光粒子を含有する蛍光樹脂8が充填されていて、実装された青色LED素子1を封止している。尚、反射性枠体7は構成する材料としては光を反射する材料を含有する樹脂からなり、成形機により基板4上に成形される。また、内側面はテ―パが付けられていて青色LED素子1の発光を取出し方向へ反射できるように構成されている。
【0030】
ここで、蛍光樹脂8は青色LED素子1の発光波長を変換して黄色光Pyを放射する黄色蛍光粒子を分散含有している。蛍光樹脂8が反射枠体7内に満たされることにより、LED素子1から発光される青色光は各方向へ放射され、蛍光樹脂8内を透過し蛍光粒子に遭遇しないで空気中に放射されるものと、蛍光粒子に遭遇して波長変換して黄色光Pyとなって空気中に放射されるものがある。
【0031】
次に、蛍光樹脂8の上面にはリング状の誘電体多層膜からなる光学膜層10が設けられている。このリング状の光学膜層10は、
図4に示すように反射枠体7の外形及び蛍光樹脂8の充填形状に合わせて蛍光樹脂8の上面を、幅t1で覆うように形成されている。尚、光学膜層10の光学特性及び詳細形状については後述する。
【0032】
[発光スペクトルの説明:
図2]
次に、
図2を用いて、LED発光装置50の発光スペクトル21について説明する。
図2に示す発光スペクトル21(破線で示す)は青色LED素子1から発光される青色光B(ピークは約450nm)と、黄色蛍光粒子により励起される黄色光Y(ピークは約560nm)の2つのピークを有する光から構成される。これにより、青色光Bと黄色光Yとが適度に混光し白色光が得られる。
【0033】
[光学膜層の説明:
図1、
図2、
図3、
図4]
次に、
図3を用いて誘電体多層膜からなる光学膜層10の詳細について説明する。
図3は、
図1(b)に示すLED発光装置50において、蛍光樹脂8の上面部のE−E断面図である。
図3において、蛍光樹脂8の上面に誘電体からなる1/4波長厚の低屈折率材料13の膜がコーティングされ、さらにその上に誘電体からなる1/4波長厚の高屈折率材料14の膜がコーティングされている。この2層の膜をペアとして複数積層することにより、入射光に対して各層の境界面からの反射波面が相加的に重なって得られる反射特性を有する光学膜層10を構成することができる。
【0034】
また、この光学膜層10は、屈折率の低い誘電体膜13と屈折率の高い誘電体膜14との屈折率比を変化させたり、または、屈折率の低い誘電体膜13と屈折率の高い誘電体膜14の膜厚を変化させたりすることにより、その反射率を変化させることができる。また、特定の波長域の光に対して反射率を変化させることができる。
【0035】
次に、
図2を用いて、本実施形態で採用した光学膜層10の光学特性について説明する。
図2に示す光学膜層10の反射特性22(実線で示す)は、約500nm〜640nmの範囲の黄色光に対してra%の反射率を有し、他の波長域では反射率がゼロになるような特性になっている。また、上述の如く誘電体の膜層構成を変化させて、反射率と、反射波長域を変化させることができ、また、膜層幅t1(
図1)も変えることができる。この結果、光学膜層10の反射率、反射波長域及び膜層幅を、色ムラの色度差と色ムラのリング幅に対応して合わせ込むことにより、色ムラの原因となる余分な黄色光Pyを反射により蛍光樹脂8内へ戻すことが可能となり、
図1(b)に示す如く斜め方向の黄色光Pyの密度を、真上方向の黄色光Pyの密度と同等にすることができ、
図1(a)の照射面51では色ムラが抑制される構成になっている。
【0036】
次に、
図4を用いて光学膜層の形状について説明する。LED発光装置50において、反射枠体7の形状に合わせて光学膜層10の形状を変えることができる。例えば、
図4(a)に示すように、反射枠体7の内側壁が丸型のカップ形状の場合は、丸形の蛍光樹脂8に合わせて内径が丸形の光学膜層10a(LED発光装置50A)とすることができる。また、
図4(b)に示すように、反射枠体7の内側壁が角形のカップ形状の場合は角形の蛍光樹脂8に合わせて内側が角形の光学膜層10b(LED発光装置50B)としてもよい。
【0037】
尚、これらの誘電体からなる光学膜層は真空蒸着やスパッタリングなどの方法により形成可能であり、所定の材質を用いて所定の膜厚を積層生成することにより所定の特性を有する光学膜層を形成することができる。また、マスキング技術を用いて所定の形状や幅に形成することができる。また、
図2、
図3、
図4において説明した光学膜層の反射特性、誘電体多層膜の原理及び光学膜層の形状については、後述する他の実施形態においても同様であり、重複する図または説明は一部省略する。
【0038】
[発光動作の説明:
図1、
図2]
次に、
図1、
図2を用いて、LED発光装置50の発光動作について説明する。まず、
図1(b)において、LED発光装置50の基板4に配設された配線電極5及び配線電極6に対して、外部から電圧が印加(図示なし)されると、青色LED素子1の電極に電圧が印加され青色光を発光する。このLED光の内で、真上方向へ向かう青色光P1は蛍光樹脂8内を距離s1で透過して真上方向へ放射される。一方、斜め方向に向かう青色光P2は蛍光樹脂8内を通過する距離がs2で透過して斜め方向に放射される。
【0039】
ここで、蛍光樹脂8は黄色蛍光粒子が均一に分散しているので、透過距離の差s2−s1は、黄色蛍光粒子と遭遇する機会の差となり、斜め方向へ向かう青色光P2は黄色蛍光粒子と遭遇する機会が多くなる。このため、青色光P1が励起する黄色光Pyの密度が高くなる。その結果、LED発光装置50の照射範囲で青色光と黄色光Pyが混光された場合、真上方向に比べて斜め方向では黄色光Pyの密度が高い白色光となり、その結果、光学膜層10がない状態では、照射面において黄色味が強いリング状の色ムラが生じる。(前述した、従来のLED発光装置300から発光される黄色光Pyの密度を示す矢印のように、斜め方向のBの領域の密度が高くなる。
図15(b)参照))
【0040】
ここで、本実施形態では、蛍光樹脂8の上面に、斜め方向の放射光が出射する部分にリング状の光学膜層10を配設し、黄色光Pyの一部を蛍光樹脂8内へ反射させるようにしたので、黄色光Pyの密度を低減することができる。また、光学膜層10の反射率、反射波長領域、膜層幅を合わせ込むことができるので、斜め方向の放射光に対して黄色光Pyの密度を調整することができる。
【0041】
次に、
図2を用いて、蛍光樹脂8の上面に配設した光学膜層10の動作について説明する。光学膜層10は、前述の誘電体多層膜からなる光学膜層の原理にもとづいて、所定の構成に形成されていて、黄色光(約500nm〜640nmの範囲の黄色光)のra%を反射する特性になっている。これにより、光学膜層10を透過しようとする黄色光Pyのうち、ra%は反射され蛍光樹脂8内へ戻される。また、残りの(100−ra)%の黄色光Pyは光学膜層10を透過し外部へ放射される。また、光学膜層10の青色光に対する反射率はゼロ%であるため、すべての青色光は透過することができる。この結果、斜め方向の放射光は、黄色光Pyの密度が低くなり、真上方向に放射される黄色光Pyの密度と同じレベルにすることができる。これにより、全放射領域において黄色光Pyの密度がそろい、照射面51(
図1(a))において色ムラは抑制され、均一な白色光を得られる。
【0042】
[実施例1の第1の実施形態の効果]
以上説明した、実施例1の第1の実施形態によれば、次に示す効果が得られる。
[効果1]
反射枠体を備え、指向性を有するカップ型のLED発光装置において、蛍光樹脂の上面に誘電体多層膜からなるリング状の光学膜層を設け、その反射特性と形状を、色ムラ状況に対応して合わせ込むことにより効果的に色ムラを抑制することができる。
[効果2]
反射枠体内にLED素子を封止する波長変換部材は、一つの濃度の蛍光樹脂を用いることにより、含有する蛍光粒子の濃度管理が容易であるため、生産性が高い。
[効果3]
基板上に設けた反射枠体内に、LED素子を蛍光樹脂によって充填封止する構成(カップ型)とすることにより、蛍光粒子から発生する励起熱を蛍光樹脂または反射枠体を通して効率よく基板側に放熱することができる。
これにより、カップ型のLED発光装置において、励起熱の放熱効果に優れ、生産性が高く、色ムラを効果的に抑制する手段を備えたLED発光装置を提供することができる。
【0043】
尚、反射枠体の形状は、深さ、面積、斜面の形状など実施形態に限定されるものではなく、例えば、蛍光樹脂の充填部が丸型でも良く、または、角型であっても良い。また、本実施形態ではLED素子が1つの場合について説明したが、これに限定されるものではなく、アレイ状の複数のLED素子をパッケージにした発光装置にも適用できる。
【0044】
〔実施例1の第2の実施形態:
図5〜
図7〕
次に、
図5〜
図7を用いて実施例1の第2の実施形態のLED発光装置55について説明する。
図5(a)はLED発光装置55の放射光の照射面における色ムラ状況を示す照射図であり、(b)はLED発光装置55の断面構成を示す。
図6は光学膜層の反射特性を示し、
図7は光学膜層の斜視図を示す。LED発光装置55が第1の実施形態と異なるところは、第1の光学膜層10に加えて第2の光学膜層11を同心状に設けた点であり、基本的な構成及び動作は第1の実施形態と同様であるので同一要素には同一番号または同一符号を付し、重複する説明は一部省略する。
【0045】
[構成の説明:
図5]
まず、
図5(b)を用いて、第2の実施形態のLED発光装置55の構成について説明する。
図5(b)において、LED発光装置55は、光学膜層を除く基本構成はLED発光装置50と同様であり、第2の光学膜層11は第1の光学膜層10の内側に同心状に設けられている。そして第1の光学膜層10及び第2の光学膜層11は、それぞれ反射特性と膜層幅が異なり、段階的に色ムラを抑制できる構成になっている。ここで、第1の光学膜層10の膜層幅はt2、第2の光学膜層11の膜層幅はt3となっている。
【0046】
[光学膜層の説明:
図6、
図7]
次に、
図6を用いて光学膜層10及び光学膜層11の反射特性について説明する。
図6において、光学膜層10の反射特性22は反射率をrb%とし、光学膜層11の反射特性23は反射率をrc%としている。また、反射波長域は前述の第1の実施形態と同様に黄色光Yをほぼカバーする波長域となっている。これにより、2つの光学膜層の反射率と反射波長域及び膜層幅を変えて色ムラに対応して合わせ込むことができる。
【0047】
また、LED発光装置55において、反射枠体7の形状に合わせて光学膜層10及び光学膜層11の形状を変えることができる。例えば、
図7(a)に示すように、反射枠体7の内側壁が円形のカップ形状の場合は、外側が角形で内側が円形の光学膜層10a、及び、外側と内側ともに円形の光学膜層11aの組合せによる構成(LED発光装置55A)とすることができる。また、
図7(b)に示すように、反射枠体7の内側壁が角形のカップ形状の場合は、角形形状の光学膜層10b及び角形形状の光学膜層11bの組合せによる構成(LED発光装置55A)とすることができる。
【0048】
[発光動作の説明:
図5、
図6]
次に、
図5、
図6を用いて、LED発光装置55の動作について説明する。まず、
図5(b)において、蛍光樹脂8内を透過し、真上方向へ向かう青色光P1は蛍光樹脂8内を距離s1で透過して真上方向へ放射される。一方、斜め方向に放射される青色光P2は蛍光樹脂8内を通過する距離がs2となり、真上方向の通過距離s1に対して、s1<s2となり、黄色蛍光粒子と遭遇する機会が多くなり励起する黄色光Pyの密度が高くなる。
【0049】
また、真上方向と斜め方向の中間に向かう青色光P3は、蛍光樹脂8内を通過する距離はs3となり、それぞれの距離はs1<s2<s3の関係になる。その結果、黄色光Pyの密度はs1<s2<s3の順に高くなり、照射面において外側で黄色味が強く、その内側でやや黄色味があり中央部は白色というような色ムラが生じる。ここで、本実施形態では、蛍光樹脂8の上面に、斜め方向の放射光s2、s3に出射する部分に、それぞれリング状の光学特性の異なる光学膜層10及び光学膜層11を配設し、黄色光Pyの一部を蛍光樹脂8内へ反射させるようにしたので、黄色光Pyの密度を段階的に低減することができる。また、光学膜層10及び光学膜層11のそれぞれの反射率、反射波長領域、膜層幅を合わせ込むことができるので、斜め方向の放射光に対して段階的に黄色光Pyの密度を調整することができる。これにより、全放射領域において黄色光Pyの密度がそろい、照射面56(
図5(a))において色ムラは抑制され、均一な白色光を得られる。
【0050】
[実施例1の第2の実施形態の効果]
以上説明した、実施例1の第2の実施形態によれば、次に示す効果が得られる。
[効果1]
反射枠体を備え、指向性を有するカップ型のLED発光装置において、蛍光樹脂の上面に誘電体多層膜からなる二つのリング状の光学膜層を同心状に設け、それらの光学特性と形状を色ムラ状況に対応して段階的に合わせ込むことにより、より効果的に色ムラを抑制することができる。尚、本実施形態では2つの光学膜層を設けたがこれに限定されるものではなく、3つ以上の複数であっても良い。
【0051】
〔実施例1の第3の実施形態の説明:
図8〕
次に、
図8を用いて実施例1の第3の実施形態について説明する。ここで、第3の実施形態の構成を示す図は、第2の実施形態における
図5と同様であるので構成図は省略し、LED発光装置57とする。第3の実施形態のLED発光装置57が第2の実施形態と異なるところは、演色性を向上するために、蛍光樹脂8は2種類の蛍光粒子を含有していて、二つの光学膜層がそれに対応している点である。その他の構成と動作は第2の実施形態と同様であるので同一要素には同一番号または同一符号を付し、重複する説明は一部省略する。
【0052】
ここで、LED発光装置57は蛍光樹脂8に黄色蛍光粒子と赤色蛍光粒子を混入してあり、
図8を用いてLED発光装置57の発光スペクトルについて説明する。
図8において、発光スペクトル24(破線にて表示)は、青色LED素子1から発光される青色光B(ピークは約450nm)と黄色蛍光粒子により励起される黄色光Y(ピークは約560nm)と赤色蛍光粒子により励起される赤色光R(ピークは約650nm)の3つのピークを有する光から構成される。これにより、青色光Bと黄色光Yと赤色光Rが適度に混光し演色性が高い白色光が得られる。
【0053】
次に、二つの光学膜層の反射特性について説明する。第1の光学膜層10の反射率はrd%とし、第2の光学膜層11の反射率はre%としている。また、反射波長域はともに黄色光Yと赤色光Rを含む領域になっている。以上の構成により、蛍光樹脂8に黄色蛍光粒子と赤色蛍光粒子を混入して演色性を高めたLED発光装置57において、色ムラに対応して、二つの異なる光学膜層を設けることによって段階的に反射特性及び膜層幅を合わせ込み、黄色光Yと、赤色光Rの一部を反射して色ムラを抑制できる。
【0054】
[実施例1の第3の実施形態の効果]
以上説明した、実施例1の第3の実施形態によれば、次に示す効果が得られる。
[効果1]
黄色蛍光粒子と赤色蛍光粒子を含有する演色性を高めたカップ型のLED発光装置において、二つの光学膜層を設けることにより、より効果的に色ムラを抑制することができる。
尚、本実施形態では、二つの光学膜層を用いる構成としたが、一つの光学膜層を用いる構成としてもよい。
【0055】
〔実施例1の第4の実施形態の説明:
図9〕
次に、
図9を用いて実施例1の第4の発光装置58について説明する。ここで、第4の実施形態の構成を示す図は、第2の実施形態における
図5と同様であるので構成図は省略しLED発光装置58とする。第4の実施形態のLED発光装置58が第2の実施形態と異なるところは、演色性を向上するために、蛍光樹脂8は2種類の蛍光粒子を含有していて、二つの光学膜層がそれに対応している点である。その他の構成と動作は第2の実施形態と同様であるので同一要素には同一番号または同一符号を付し、重複する説明は一部省略する。
【0056】
ここで、LED発光装置58は蛍光樹脂8に緑色蛍光粒子と赤色蛍光粒子を混入してあり、
図9を用いてLED発光装置58の発光スペクトルについて説明する。発光スペクトル27(破線にて表示)は、青色LED素子1から発光される青色光B(ピークは約450nm)と緑色蛍光粒子により励起される緑色光G(ピークは約520nm)と赤色蛍光粒子により励起される赤色光R(ピークは約650nm)の3つのピークを有する光から構成される。これにより、青色光Bと緑色光Gと赤色光Rが適度に混光し演色性が高い白色光が得られる。
【0057】
次に、
図9を用いて二つの光学膜層の反射特性について説明する。第1の光学膜層10の反射率はrf%とし、第2の光学膜層11の反射率はrg%となっている。また、反射波長域はともに緑色光Gと赤色光Rを含む領域になっている。以上の構成により、蛍光樹脂8に緑色蛍光粒子と赤色蛍光粒子を混入して演色性を高めたLED発光装置58において、色ムラに対応して、二つの異なる光学膜層を設けることによって段階的に反射特性及び膜層幅を合わせ込み、緑色光Gと赤色光Rの一部を反射して、色ムラを抑制することができる。
尚、上述の演色性を高めた第3、第4の実施形態における光学膜層の効果は、後述するパンケーキ型のLED発光装置においても有効である。
【実施例2】
【0058】
次に、本発明による実施例2のパンケーキ型のLED発光装置について説明する。ここで、実施例2には2つの実施形態があり、第1の実施形態を
図10、
図11に示し、第2の実施形態を
図12、
図13に示す。
【0059】
〔実施例2の第1の実施形態の説明:
図10、
図11〕
まず、
図10、
図11を用いて実施例2の第1の実施形態のLED発光装置60について説明する。
図10(a)はLED発光装置60の放射光の照射面における色ムラ状況を示す照射図であり、(b)はLED発光装置60の断面構成を示す。また、
図11は光学膜層のLED発光装置60の蛍光樹脂8の曲面に光学膜層を設けた状態の斜視図を示す。LED発光装置60が前述の実施例1の第1の実施形態と異なるところは、反射枠体を有しないパンケーキ型のLED発光装置である点のみが異なり、リング状の光学膜層を設ける基本的な構成は実施例1の第1の実施形態と同様であるので同一要素には同一番号または同一符号を付し、重複する説明は一部省略する。
【0060】
[構成の説明:
図10]
まず、
図10において、パンケーキ型のLED発光装置60の構成は、実施例1のカップ型のLED発光装置に対して、反射枠体を備えず、蛍光樹脂8が略半球型になっていて横方向へも光を放射できる広角配光型になっている点が異なる。
図10(b)に示す光学膜層10は、蛍光樹脂8の曲面に設けられており、斜視図で示すと
図11に示すような立体的な光学膜層となる。しかしながら、これらの曲面への光学膜層の形成は、平面への形成と同様に真空蒸着やスパッタリングなどの方法によって容易に形成することができる。
【0061】
[発光動作の説明:
図10]
ここで、パンケーキ型のLED発光装置60においても、前述の各実施形態と同様の動作により色ムラを抑制することができる。
【0062】
[実施例2の第1の実施形態の効果]
以上、説明した実施例2の第1の実施形態によれば、次に示す効果が得られる。
[効果1]
広角配光が可能なパンケーキ型のLED発光装置において、蛍光樹脂の曲面にリング状の光学膜層を設け、その反射特性と膜層幅を色ムラ状況に対応して合わせ込むことにより色ムラを抑制することができる。
【0063】
〔実施例2の第2の実施形態の説明:
図12、
図13〕
次に、
図12、
図13を用いて実施例2の第2の実施形態のLED発光装置65について説明する。
図12(a)はLED発光装置65の放射光の照射面における色ムラ状況を示す照射図であり、(b)はLED発光装置65の断面構成を示す。また、
図13は光学膜層のLED発光装置65の蛍光樹脂8の曲面に光学膜層を設けた状態の斜視図を示す。LED発光装置65が前述の実施例2の第1の実施形態と異なるところは、パンケーキ型のLED発光装置の蛍光樹脂8の曲面に二つのリング状の光学膜層を設けた点であり、リング状の光学膜層を設ける基本的な構成は実施例1の第2の実施形態と同様であるので同一要素には同一番号または同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0064】
パンケーキ型のLED発光装置65は、広角配光型の構成において、実施例1の第2の実施形態と同様の効果が得られ、色ムラをより効果的に抑制できる。
尚、実施例2の第1実施形態または第2の実施形態は、パンケーキ型の発光装置における色ムラの抑制の改良について説明したが、これに限定されるものではなく、半球型や砲弾型のLED発光装置についても適用できる。