(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の利点及び特徴、これらを達成する方法は添付する図面と共に詳細に後述する実施形態において明確になるであろう。しかし、本発明は、以下で開示する実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現されるものであり、本実施形態は、単に本発明の開示を完全にし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範囲によってのみ定義される。
【0019】
素子(elements)または層が異なる素子または層「上(on)」と指称される場合、他の素子の真上にまたは中間に他の層または他の素子を介在する場合をすべて含む。明細書全体にかけて同一参照符号は同一構成要素を指称する。
【0020】
第1、第2等が多様な構成要素を叙述するために使用されるが、これら構成要素はこれら用語によって制限されないのは勿論である。これら用語は単に一つの構成要素を他の構成要素と区別するために使用するものである。したがって、以下で言及する第1構成要素は本発明の技術的思想内で第2構成要素であり得るのはもちろんである。
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態による有機発光表示装置100を概略的に図示する断面図である。
図1を参照すると、本発明の一実施形態による有機発光表示装置100は、基板110、第1電極112、第1媒介層114、複数の発光層(118、122、126)、複数の補助層(120、124)、第2媒介層130、第2電極132、及び保護層134を含む。
【0023】
基板110は絶縁基板を含む。絶縁基板は透明なSiO
2を主成分とする透明材質のガラス材で形成される。いくつかの実施形態で、絶縁基板は不透明材質からなるか、またはプラスチック材質からなる。さらに、絶縁基板はベンディング、フォールディングやローリングが可能なフレキシブル基板である。
【0024】
図1には示していないが、基板110は絶縁基板上に形成された他の構造物をさらに含む。他の構造物の例としては配線、電極、絶縁膜などが挙げられる。本実施形態による有機発光表示装置100が能動型有機発光表示装置である場合、基板110は絶縁基板上に形成された複数の薄膜トランジスタを含む。薄膜トランジスタは、ゲート電極、ソース電極、及びドレイン電極とチャンネル領域である半導体層を含む。半導体層は、非晶質シリコン、微細結晶シリコン、多結晶シリコン、または単結晶シリコンで形成される。他の対案的な実施形態では、半導体層は酸化物半導体からなる場合もある。複数の薄膜トランジスタのうち少なくとも一部のドレイン電極は第1電極112と電気的に接続できる。
【0025】
基板110は複数の領域(I、II、III)を含む。複数の領域(I、II、III)は基板110上で互いに一定間隔で離隔して形成され得る。複数の領域(I、II、III)は画素が位置する領域である。例示的な実施形態で、複数の領域(I、II、III)は第1領域I、第2領域II、第3領域IIIを含み得る。第1領域I、第2領域II、第3領域IIIは各々赤、緑、青の光を放出できる領域であり得る。他の例示的な実施形態で、複数の領域は追加して第4領域(図示せず)を含み得る。第4領域は白色の光を放出できる領域である。
【0026】
第1電極112は基板110上に形成される。第1電極112は基板110上の複数の領域(I、II、III)各々に位置する。すなわち、第1電極112は画素別に相互分離するように形成される。例示的な実施形態で、第1電極112は基板110上の第1領域I、第2領域II、第3領域IIIのすべてに位置する。第1電極112は、基板110上に直接接触して形成され得、第1電極112と基板110との間に絶縁膜などの物質が介在し得る。
【0027】
第1電極112はアノード電極またはカソード電極である。第1電極112がアノード電極である場合、第2電極132はカソード電極になり、以下ではこのように仮定して実施形態が例示的に説明される。ただし、第1電極112はカソード電極であり、第2電極132はアノード電極であってもよい。
【0028】
アノード電極として使用される第1電極112は仕事関数が高い導電性物質からなる。有機発光表示装置100が背面発光型表示装置である場合、第1電極112はITO、IZO、ZnO、またはIn
2O
3等の物質であるが、これらの積層膜で形成され得る。有機発光表示装置100が全面発光型表示装置である場合、第1電極112はAg、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、またはCaなどで形成された反射膜をさらに含み得る。第1電極112はこれらのうち互いに異なる2以上の物質を利用して2層以上の構造を有し得るなどの多様な変形することが可能である。
【0029】
第1電極112は500Åないし1500Åの厚さを有する。好ましい第1電極112の厚さは概ね1000Åである。
【0030】
図1には示していないが、互いに異なる画素の第1電極112の間には画素定義膜が介在するため、各画素を区分することができる。画素定義膜は基板110上に形成されるが、各画素の第1電極112が形成される領域を露出する開口部を含む。画素定義膜は、ベンゾシクロブテン(Benzo Cyclo Butene、BCB)、ポリミド(polyimide、PI)、ポリアミド(poly amaide、PA)、アクリル樹脂及びフェノール樹脂などから選択された少なくとも一つの有機物質を含んでなるか、またはシリコン窒化物などのような無機物質を含んでなる。
【0031】
第1媒介層114は第1電極112上に形成される。第1媒介層114は第1電極112と第2電極132との間で電子または正孔の注入や輸送を助ける役割を果たす。第1電極112がアノード電極である場合、第1媒介層114は正孔の注入や輸送に関する層であり得る。
【0032】
第1媒介層114は各画素別に分離できるが、
図1に示すように、基板110の全面に渡って一体型に形成され得る。すなわち、第1媒介層114は画素区分を問わず共通層として形成され得る。言い換えると、第1媒介層114は複数の領域(I、II、III)に共通して形成され得る。いくつかの実施形態で、第1媒介層114は省略する場合もある。
【0033】
第1媒介層114は正孔注入層114a及び/または正孔輸送層114bを含む。例示的な実施形態で、第1媒介層114は正孔注入層114aまたは正孔輸送層114bのうち一つのみを含み得る。他の例示的な実施形態で、第1媒介層114は正孔注入層114aと正孔輸送層114bの積層膜を含み得る。
【0034】
正孔注入層114aは第1電極112上に位置する。正孔注入層114aを成す物質は、公知の正孔注入材料から選択できる。例えば、銅フタロシアニンなどのフタロシアニン化合物またはスターバースト型アミン誘導体類のTCTAまたはm−MTDATA、導電性高分子であるPani/DBSA(Polyaniline/Dodecylbenzenesulfonic acid:ポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸)またはPEDOT/PSS(Poly(3、4−ethylenedioxythiophene)/Poly(4−styrenesulfonate):ポリ(3、4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルホナート))、Pani/CSA (Polyaniline/Camphor sulfonic acid:ポリアニリン/カンファースルホン酸)またはPANI/PSS(Polyaniline)/Poly (4−styrene−sulfonate):ポリアニリン)/ポリ(4−スチレンスルホナート))、などを使用できるが、これに限定されない。
【0035】
正孔輸送層114bは正孔注入層114a上に位置する。正孔輸送層114bを成す物質は、公知の正孔注入材料から選択できる。例えば、1、3、5−トリカルバゾリルベンゼン、4、4’−ビスカルバゾリルビフェニル、ポリビニルカルバゾール、m−ビスカル
バゾリルフェニル、4、4’−ビスカルバゾリル−2、2’−ジメチルビフェニル、4、
4’、4’−トリー(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン、1、3、5−トリー(2
−カルバゾリルフェニル)ベンゼン、1、3、5−トリス(2−カルバゾリル−5−メトキシフェニル)ベンゼン、ビス(4−カルバゾリルフェニル)シラン、N、N’−ビス(
3−メチルフェニル)−N、N’−ジフェニル−[1、1−ビフェニル]−4、4’ ジ
アンミン(TPD)、N、N’−ジ(ナフタリン−1−イル)−N、N’−ジフェニルベ
ンジジン(NPD)、N、N’−ジフェニル−N、N’−ビス(1−ナフチル)−(1、
1’−ビフェニル)−4、4’−ジアンミン(NPB)、ポリ(9、9−ジオクチルフル
オレンco−N−(4−ブチルフェニル)ジフェニルアミン)(poly(9、9−dioctylfluorene−co−N−(4−butylphenyl)diphenylamine) (TFB)またはポリ(9、9−ジオクチルフルオレンco−ビス−N、N−フェニル−1、4−フェニレンジアミン(poly(9、9−dioctylfluorene−co−bis−(4−butylphenyl−bis−N、N−phenyl−1、4−phenylenediamine) (PFB)などが含まれるが、これに限定されない。正孔輸送層114bは700Åないし1700Åの厚さに形成され得る。好ましい正孔輸送層114bの厚さは1200Åである。
【0036】
このような正孔注入層114aまたは正孔輸送層114bは真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法などのような多様な方法により形成され得る。真空蒸着法を用いることが好ましい。真空蒸着法によって正孔注入層114aまたは正孔輸送層114bを形成する場合、その蒸着条件は、正孔注入層114aまたは正孔輸送層114bの材料として使用する化合物、目的とする正孔注入層114aまたは正孔輸送層114bの構造及び熱的特性などによって異なるが、通常、蒸着温度100ないし500℃、真空度10
-8ないし10
-3torr、蒸着速度0.01ないし100Å/secの範囲で選択するのが好ましい。
【0037】
複数の発光層(118、122、126)は第1媒介層114上に形成される。このような複数の発光層(118、122、126)は特定の色の光を放出する。具体的には、複数の発光層(118、122、126)で第1電極112及び第2電極132によって発生した正孔及び電子が結合してエキシトンを形成し、複数の発光層(118、122、126)はエキシトンが励起状態から基底状態にエネルギー準位が変動する際に変動したエネルギー準位に対応する色を有する光を放出する。例示的な実施形態で、複数の発光層(118、122、126)は赤、緑及び青の光を放出する。他の例示的な実施形態で、複数の発光層(118、122、126)は赤、緑、及び青だけではなく白色の光も放出し得る。
【0038】
複数の発光層(118、122、126)のうち少なくとも二つは基板110の全面に渡って一体型に形成される。すなわち、複数の発光層(118、122、126)のうち少なくとも二つは画素区別を問わず、共通層として形成される。言い換えると、複数の発光層(118、122、126)のうち少なくとも二つは複数の領域(I、II、III)に共通して形成され得る。
【0039】
複数の発光層(118、122、126)は、第1発光層122、第2発光層126及び第3発光層118を含む。例示的な実施形態で、第1発光層122は赤の光を放出し、第2発光層126は緑の光を放出し、第3発光層118は青の光を放出する。以下ではこのように仮定して説明するが、これに限定されない。
【0040】
第1発光層122は第1領域Iに位置する。具体的には、第1発光層122は第1領域Iにのみ存在する。すなわち、第1発光層122は第2領域II及び第3領域IIIに存在しない。また、第1発光層122は第2発光層126と第3発光層118との間に介在する。
【0041】
第1発光層122は転写工程により形成され得る。ここで、転写工程はレーザ熱転写法(Laser Induced Thermal Imaging、LITI)を利用する工程であるが、これに限定されない。例示的な実施形態で、第1発光層122は後述する第1補助層120と同時に転写して形成され得る。
【0042】
第1発光層122は、固有発光色が赤である高分子物質または低分子有機物質や高分子/低分子混合物質からなる。いくつかの実施形態で、第1発光層122は赤ホスト物質及び赤ドーパント物質を含む。
【0043】
第1発光層122において、赤ホスト物質はビス{2−(2−ヒドロキシフェニル) ベンゾチアゾーレート}亜鉛{Bis(2−(2−hydroxyphenyl)benzothiazolato)zinc(Zn(BTZ)2)}、ビス−(2−メチル−8−キノリノラト)−4−(フェニルフェノラト)アルミニウム{Bis−(2−methyl−8−quinolinolate)−4−(phenylphenolate)aluminium}からなる群から選択された一つ以上であり得るが、これに限定されない。第1発光層122で赤ドーパント物質はPtOEP、Ir(piq)3、Btp2Ir(acac)、DCJTBなどを利用できるが、これに限定されない。
【0044】
第2発光層126は第1領域I、第2領域II、及び第3領域IIIのすべてに位置する。例示的な実施形態で、第2発光層126は基板110の全面に渡って一体型に形成される。すなわち、第2発光層126は画素区別を問わず共通層として形成され得る。言い換えると、第2発光層126は複数の領域(I、II、III)に共通して形成され得る。すなわち、第2発光層126は第1領域Iだけではなく第2領域II及び第3領域IIIにまで延長し、第1発光層122及び第3発光層118に重なる。
【0045】
第2発光層126は第1発光層122と第2電極132との間に介在する。具体的には、第2発光層126は第3発光層118と第2媒介層130との間に介在する。
【0046】
第2発光層126は蒸着工程により形成される。ここで、蒸着工程はオープンマスク(Open mask)を利用する真空蒸着工程であるが、これに限定されない。
【0047】
第2発光層126は固有発光色が緑である高分子物質または低分子有機物質や高分子/低分子混合物質からなる。いくつかの実施形態で、第2発光層126は緑ホスト物質及び緑ドーパント物質を含む。
【0048】
第2発光層126で緑ホスト物質はアントラセン誘導体、カルバゾール系化合物から選択された一つ以上であり得るが、これに限定されない。ここで、アントラセン誘導体としては、9、10−(2−ジナフチル)アントラセン(ADN)などを使用し、カルバゾール系化合物としては4、4’−(カルバゾール−9−イル)ビフェニル(CBP)などを
使用できる。第2発光層126で緑ドーパント物質はIr(ppy)
3 (ppy =フェニルピリジン)、Ir(ppy)
2(acac)、Ir(mpyp)
3、C
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5Tなどを利用することができるが、これに限定されない。
【0049】
第2発光層126は光を放出する機能だけではなく、電子を輸送する機能も有する。すなわち、第2発光層126は第2領域IIでは主に光を放出する機能を行うが、第1領域I及び第3領域IIIでは各々第1発光層122及び第3発光層118に電子を輸送する機能を行う。
【0050】
第3発光層118は第1領域I、第2領域II、第3領域IIIのすべてに位置する。例示的な実施形態で、第3発光層118は基板110の全面に渡って一体型に形成され得る。すなわち、第3発光層118は画素区別を問わず共通層として形成される。言い換えると、第3発光層118は複数の領域(I、II、III)に共通して形成される。すなわち、第3発光層118は第1領域Iだけではなく、第2領域II及び第3領域IIIにまで延長し、第1発光層122及び第2発光層126に重なる。
【0051】
第3発光層118は第1発光層122と第1電極112との間に介在する。具体的には、第3発光層118は第1媒介層114と第2発光層126との間に介在する。例示的な実施形態で、第1発光層122及び第2発光層126は各々第3発光層118の上に形成され得る。
【0052】
第3発光層118は蒸着工程により形成され得る。ここで、蒸着工程はオープンマスクを利用する真空蒸着工程であるが、これに限定されない。
【0053】
第3発光層118は固有発光色が青である高分子物質または低分子有機物質や高分子/低分子混合物質からなる。いくつかの実施形態で、第3発光層118は青ホスト物質及び青ドーパント物質を含む。
【0054】
第3発光層118において、青ホスト物質はアントラセン誘導体、カルバゾール系化合物から選択された一つ以上であり得るが、これに限定されない。ここで、アントラセン誘導体としては、9、10−(2−ジナフチル)アントラセン(ADN)などを使用し、カルバゾール系化合物としては4、4’−(カルバゾール−9−イル)ビフェニル(CBP
)などを使用できる。第3発光層118において、青ドーパント物質はF2Irpic、(F2ppy)2Ir(tmd)、Ir(dfppz)3、ter−フルオレン(fluorene)などを利用できるが、これに限定されない。
【0055】
第3発光層118は光を放出する機能だけではなく、正孔を輸送する機能も有する。すなわち、第3発光層118は第3領域IIIでは主に光を放出する機能を行うが、第1領域I及び第2領域IIでは各々第1発光層122及び第2発光層126に正孔を輸送する機能を行う。
【0056】
複数の補助層(120、124)は第1媒介層114上に形成される。具体的には、複数の補助層(120、124)は第2発光層126と第3発光層118との間に介在する。このような複数の補助層(120、124)は複数の発光層(118、122、126)で放出する光の共振周期(resonance cycle)を調整する機能などを有する。複数の補助層(120、124)は複数の発光層(118、122、126)で放出する光の色純度及び発光効率などを高めるために一定の厚さを有する。複数の補助層(120、124)は前述した正孔輸送層114bと同一物質からなる。例示的な実施形態で、複数の補助層(120、124)の各々は300Åないし1500Åの厚さに形成される。
【0057】
複数の補助層(120、124)は第1補助層120と第2補助層124と、を含む。
【0058】
第1補助層120は第1領域Iに位置する。具体的には、第1補助層120は第1領域Iにのみ存在する。すなわち、第1補助層120は第2領域IIと第3領域IIIに存在しない。また、第1補助層120は第1発光層122と第3発光層118との間に介在する。第1補助層120は転写工程により形成される。ここで、転写工程は、レーザ熱転写法を利用した工程であるが、これに限定されない。例示的な実施形態で、第1補助層120は前述した第1発光層122と同時に転写して形成され得る。
【0059】
第1補助層120は第1発光層122で放出する光の共振周期を調整するために一定の厚さに形成される。第1補助層120は第1発光層122で放出する光の発光効率、色純度などが高められるように、500Åないし1800Åの範囲の厚さに設定する。好ましい第1補助層120の厚さは概ね900Åである。例示的な実施形態で、第1補助層120の厚さは第2補助層124の厚さより厚い場合もある。第1補助層120をなす物質は正孔輸送層114bをなす物質と同じ物質で形成されるが、これに限定されない。例示的な実施形態で、第1補助層120は窒化ケイ素(SiNx)、酸化ケイ素(SiO
2)及び窒酸化ケイ素(SiO
N)から選択された少なくとも一つを含む。
【0060】
第2補助層124は第2領域IIに位置する。具体的には、第2補助層124は第2領域IIにのみ存在する。すなわち、第2補助層124は第1領域I及び第3領域IIIに存在しない。また、第2補助層124は第2発光層126と第3発光層118との間に介在する。第2補助層124は転写工程により形成される。ここで、転写工程はレーザ熱転写法を利用する工程であるが、これに限定されない。例示的な実施形態で、第2補助層124のみ転写して形成され得る。
【0061】
第2補助層124は第2発光層126で放出する光の共振周期を調整するために一定の厚さに形成される。第2補助層124は第2発光層126で放出する光の発光効率、色純度などが高められるように、300ないし1500Åの範囲の厚さに設定する。好ましい第2補助層124の厚さは概ね700Åである。第2補助層124をなす物質は正孔輸送層114bの物質と同じ物質で形成されるが、これに限定されない。例示的な実施形態で、第2補助層124は窒化ケイ素(SiNx)、酸化ケイ素(SiO
2)及び窒酸化ケイ素(SiO
N)から選択された少なくとも一つを含む。
【0062】
前述した複数の発光層(118、122、126)と複数の補助層(120、124)の構造を整理すると、次の通りである。第1領域Iでは第1媒介層114上に第3発光層118、第1補助層120、第1発光層122、及び第2発光層126が順に積層される。第2領域IIでは第1媒介層114上に第3発光層118、第2補助層124、第2発光層126が順に積層される。第3領域IIIでは第1媒介層114上に第3発光層118、第2発光層126が順に積層される。また、第2発光層126及び第3発光層118は蒸着工程により形成され、第1発光層122、第1補助層120、及び第2補助層124は転写工程により形成される。また、第2発光層126及び第3発光層118は基板110の全面に渡って共通して形成され、第1発光層122及び第1補助層120は第1領域Iにのみ選択的に形成され、第2補助層124は第2領域IIにのみ選択的に形成される。また、第1発光層122、第1補助層120、及び第2補助層124は、第2発光層126と第3発光層118によって囲まれた形態に配置される。
【0063】
また、前述した複数の発光層(118、122、126)及び複数の補助層(120、124)の発光メカニズムを整理すると、次の通りである。
【0064】
先ず、第1領域Iを見ると、第1電極112から発生した正孔は正孔輸送能力を有する第3発光層118及び第1補助層120を通過して第1発光層122に伝達される。第2電極132から発生した電子は電子輸送能力を有する第2発光層126を通過して第1発光層122に伝達される。第1発光層122に伝達された正孔及び電子はエキシトンを形成し、エキシトンが励起状態から基底状態にエネルギー準位が変動することにより赤の光を放出する。ここで、第1補助層120の存在によって第1電極112から発生した正孔がすべて第1発光層122に伝達され、第2電極132から発生した電子が第3発光層118に伝達されないため、第3発光層118は光を放出できない場合もある。ただし、第2発光層126は第1領域Iで主に電子輸送層130bと同じ機能を行うが、一部の緑の光を放出することもある。すなわち、第1発光層122で70%ないし80%の赤光が放出され、第2発光層126で20%ないし30%の緑光が放出される。第1発光層122及び第2発光層126で放出された光は第1領域I内で共振することによってフィルタリングされ、最終的に第1領域Iでは赤光のみ有機発光表示装置100の外部に出射される。
【0065】
次に、第2領域IIを見ると、第1電極112から発生した正孔は正孔輸送能力を有する第3発光層118及び第2補助層124を通過して第2発光層126に伝達される。第2電極132から発生した電子は第2媒介層130を通過して第2発光層126に伝達される。第2発光層126に伝達された正孔及び電子はエキシトンを形成し、エキシトンが励起状態から基底状態にエネルギー準位が変動し、緑の光を放出する。ここで、第2補助層124の存在によって第1電極112から発生した正孔がすべて第2発光層126に伝達され、第2電極132から発生した電子は第3発光層118に伝達されないため、第3発光層118は光を放出できない場合もある。すなわち、第2発光層126で100%の緑光が放出され得る。第2発光層126から放出された緑光は第2領域IIで共振することによって色純度が向上した状態で有機発光表示装置100の外部に出射される。
【0066】
次に、第3領域IIIを見ると、第1電極112で発生した正孔は正孔輸送能力を有する第1媒介層114を通過して第3発光層118に伝達される。第2電極132で発生した電子は電子輸送能力を有する第2発光層126を通過して第3発光層118に伝達される。第3発光層118に伝達された正孔及び電子はエキシトンを形成し、エキシトンが励起状態から基底状態にエネルギー準位が変動し、青の光を放出する。ここで、第2発光層126は第3領域IIIで主に電子輸送層130bと同じ機能を行うが、一部の緑の光を放出する場合もある。すなわち、第3発光層118で70%ないし80%の青光が放出され、第2発光層126で20%ないし30%の緑光が放出される。第3発光層118及び第2発光層126で放出された光は第3領域III内で共振することによってフィルタリングされ、最終的に第3領域IIIでは青光のみ有機発光表示装置100の外部に出射される。
【0067】
第2媒介層130は第2発光層126上に形成される。第2媒介層130は第1電極112と第2電極132との間で電子または正孔の注入や輸送を助ける役割を果たす。第2電極132がカソード電極である場合、第2媒介層130は電子の注入や輸送に関する膜である。
【0068】
第2媒介層130は画素定義膜の側面及び画素定義膜の上部面に延長される。第2媒介層130は各画素別に分離もできるが、
図1に図示するように、基板110の全面に渡って一体型に形成される。すなわち、第2媒介層130は画素区別を問わず、共通層として形成される。言い換えると、第2媒介層130は複数の領域(I、II、III)に共通して形成される。いくつかの実施形態で、第2媒介層130は省略できる。
【0069】
第2媒介層130は電子輸送層130b及び/または電子注入層130aを含む。例示的な実施形態で、第2媒介層130は電子輸送層130bまたは電子注入層130aのうち一つのみを含み得る。他の例示的な実施形態で、電子輸送層130bと電子注入層130aの積層膜を含み得る。
【0070】
電子輸送層130bは第2発光層126上に位置する。電子輸送層130bをなす電子輸送層材料は電子注入電極(Cathode)から注入された電子を安定するように輸送する機能を果たすものであって、キノリン誘導体、特にトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq
3)、TAZ、Balqなどのように公知の材料を使用できるが、これに限定されない。電子輸送層130bは200Åないし400Åの厚さを有する。好ましい電子輸送層130bの厚さは概ね300Åである。
【0071】
電子注入層130aは電子輸送層130b上に位置する。電子注入層130aは公知の材料を利用して形成でき、例えば、LiF、NaCl、CsF、Li
2O、BaOなどを利用して形成できるが、これに限定されない。電子注入層130aは10Åないし15Åの厚さを有する。好ましい電子注入層130aの厚さは概ね13Åである。
【0072】
このような電子輸送層130bまたは電子注入層130aは真空蒸着法、スピンコーティング法などの多様な方法を利用して形成する。電子輸送層130bまたは電子注入層130aを真空蒸着法またはスピンコーティング法を利用して形成する場合、蒸着条件及びコーティング条件は使用する化合物によって異なるが、通常、正孔注入層114aの形成条件とほぼ同じ条件の範囲から選択される。
【0073】
第2電極132は第2媒介層130上に形成される。第2電極132がカソード電極として使用される場合、仕事関数が低い導電性物質からなる。第2電極132はAg、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、またはCaなどで形成される。第2電極132は50Åないし150Åの厚さを有する。好ましい第2電極132の厚さは概ね100Åである。
【0074】
保護層134は第2電極132の上部に配置される。保護層134は保護層134の下部の積層膜を保護する。保護層134は絶縁基板からなる。第2電極132と保護層134との間にスペーサ(図示せず)が配置される場合もある。保護層134は400Åないし800Åの厚さを有する。好ましい保護層134の厚さは概ね600Åである。本発明の他のいくつかの実施形態では、保護層134を省略する場合もある。この場合、絶縁物質からなる封止膜が全体構造物を覆って保護する。
【0075】
高解像度有機発光表示装置を製造するためには転写工程、例えば、レーザ熱転写法を利用する必要がある。しかし、レーザ600を利用した転写工程を利用する際、レーザ600から発生した熱が転写する層に直接影響を及ぼし、有機発光表示装置の寿命低下が生じる。特に、緑光を放出する発光層の寿命低下が最も酷くなる。
【0076】
これに、本発明による一実施形態によれば、有機発光表示装置100の製造時、転写工程を利用することによって高解像度有機発光表示装置100を得ると共に、第1発光層122及び複数の補助層(120、124)のみを転写工程により形成することによって有機発光表示装置100の寿命低下を最小化できる。特に、緑の光を放出する第2発光層126を蒸着工程により形成することによって、第2発光層126の寿命低下を防止できる。
【0077】
また、複数の発光層(118、122、126)及び複数の補助層(120、124)を形成する際、ドナー基板及びオープンマスクを使用し、ファインメタルマスク(Fine metal mask、FMM)を使用しないことによって工程効率性を高める。
【0078】
以下、
図2〜
図7を参照して本発明の一実施形態による有機発光表示装置100の製造方法について説明する。
図2は、
図1の有機発光表示装置100の製造方法中、基板110、第1電極112、及び第1媒介層114の積層体を備える工程を示す断面図である。
図3は、
図1の有機発光表示装置100の製造方法中、積層体上に第3発光層118を形成する工程を示す断面図である。
図4は、
図1の有機発光表示装置100の製造方法中、第3発光層118上に第1補助層120及び第1発光層122を形成する工程を示す断面図である。
図5は、
図1の有機発光表示装置100の製造方法中、第3発光層118上に第2補助層124を形成する工程を示す断面図である。
図6は、
図1の有機発光表示装置100の製造方法中、第3発光層118上に第2発光層126を形成する工程を示す断面図である。
図7は、
図1の有機発光表示装置100の製造方法中、第2発光層126上に第2媒介層130、第2電極132、保護層134を形成する工程を示す断面図である。説明の便宜上、
図1に図示した図面に示す各エレメントと実質的に同じエレメントは同一符号で示し、重複する説明は省略する。
【0079】
図2ないし
図7を参照すると、本発明の一実施形態による有機発光表示装置100の製造方法は、基板110上の複数の領域(I、II、III)の各々に第1電極112を形成する段階、第1電極112上に複数の発光層(118、122、126)と複数の補助層(120、124)を形成する段階と、複数の発光層(118、122、126)と複数の補助層(120、124)上に第2電極132を形成する段階を含む。ここで、複数の発光層(118、122、126)のうち少なくとも二つは蒸着工程により形成し、複数の補助層(120、124)はすべて転写工程により形成する。具体的には、第1領域Iに第1発光層122と第1補助層120を転写工程により形成し、第2領域IIに第2補助層124を転写工程により形成し、第1領域I、第2領域II、第3領域IIIに第2発光層126と第3発光層118を蒸着工程により形成する。
【0080】
工程順に説明する。先ず、
図2を参照すると、基板110、第1電極112、及び第1媒介層114の積層体を備える。第1電極112及び第1媒介層114は通常の蒸着工程等により形成する。
【0081】
次に、
図3を参照すると、積層体を備えた後、積層体上に第3発光層118を形成する。ここで、第3発光層118はマスク200を利用した蒸着工程により形成される。具体的には、積層体上に開口部を含むマスク200、例えば、オープンマスクを整列し、第1媒介層114の一面と対向するように蒸着源300を配置した後、蒸着源300で第3発光層118をなす有機物を噴射することによって、第1媒介層114の一面上に第3発光層118を蒸着する。すなわち、第3発光層118は第1領域I、第2領域II、第3領域IIIに共通して形成する。
【0082】
次に、
図4を参照すると、第3発光層118を形成した後、第3発光層118上に第1補助層120と第1発光層122を形成する。第1補助層120と第1発光層122は第1ドナー基板400を利用した転写工程により同時に形成される。
【0083】
ここで、第1ドナー基板400は、第1補助層120及び第1発光層122を形成するための手段であって、第1ベースフィルム410、第1光−熱変換層412、第1転写層414を含む。
【0084】
第1ベースフィルム410は、透明性高分子からなるが、このような高分子としては、ポリエチレンテレフタラートのようなポリエステル、ポリアクリル、ポリエポキシ、ポリエチレン、ポリスチレンなどを使用する。そのうち、ポリエチレンテレフタラートフィルムを主に使用する。第1ベースフィルム410はサポートフィルムとしての光学的性質と機械的安全性を有しなければならない。第1ベースフィルム410の厚さは10μmないし500μmであることが好ましい。
【0085】
第1光−熱変換層412は第1ベースフィルム410上に位置する。第1光−熱変換層412は赤外線−可視光線領域の光を吸収して光の一部を熱に変換させる層であり、光学密度(optical density)を有し、光吸水性物質を含む。第1光−熱変換層412には例えば、アルミニウム酸化物またはアルミニウム硫化物を光吸水性物質として含む金属膜、カーボンブラック、黒鉛や、赤外線染料を光吸水性物質として含む高分子有機膜がある。この際、金属膜の場合は、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法またはスパッタリングを利用して100Åないし5、000Åの厚さに形成することが好ましく、有機膜の場合、通常のフィルムコーティング方法であるロールコーティング(roll coating)、グラビア(gravure)、押出(extrusion)、スピン(spin)及びナイフ(knife)コーティング方法を利用して0.1μmないし10μm厚さに形成することが好ましい。
【0086】
図4には示していないが、第1光−熱変換層412上には第1中間層が位置する。第1中間層は、第1光−熱変換層412に含まれた光吸水性物質、例えば、カーボンブラックが後続する工程により形成される第1転写層414を汚染させることを防止する役割を果たす。第1中間層はアクリル樹脂(acrylic resin)またはアルキド樹脂(alkyd resin)で形成する。第1中間層の形成は、溶媒コーティングなどの通常のコーティング過程と紫外線硬化過程などの硬化過程を経て行われる。
【0087】
第1光−熱変換層412(または第1中間層)上には第1転写層414が位置する。第1転写層414は二重層からなる。すなわち、第1転写層414は上部転写層414aと下部転写層414bを含む。上部転写層414aは第1発光層122と同じ物質からなり、下部転写層414bは第1補助層120と同じ物質からなる。
【0088】
このような第1ドナー基板400の第1転写層414が第3発光層118と対向するように整列した後、第1領域Iにレーザ600を照射する。第1領域Iにレーザ600が照射されると、レーザ600によって伝達された光エネルギーが第1領域Iに位置する第1光−熱変換層412で熱エネルギーに変換される。変換された熱エネルギーは第1光−熱変換層412を膨張させると同時に第1転写層414に伝達され、第1転写層414を第3発光層118上に転写させる。第3発光層118上に転写された第1転写層414、すなわち、上部転写層414a及び下部転写層414bは各々第1発光層122及び第1補助層120になる。
【0089】
次に、
図5を参照すると、第1発光層122と第1補助層120を形成した後、第3発光層118上に第2補助層124を形成する。第2ドナー基板500を利用した転写工程により第2補助層124のみ形成され得る。
【0090】
ここで、第2ドナー基板500は、第2補助層124を形成するための手段として、第2ベースフィルム510、第2光−熱変換層512、及び第2転写層514を含む。また、
図5には示していないが、第2光−熱変換層512と第2転写層514との間には第2中間層が介在する場合もある。
【0091】
第2ベースフィルム510及び第2光−熱変換層512は、各々第1ベースフィルム410及び第1光−熱変換層412に対応するため、詳細な説明は省略する。
【0092】
第2転写層514は単一層からなる。第2転写層514は第2補助層124をなす物質と同じ物質からなる。
【0093】
このような第2ドナー基板500の第2転写層514が第3発光層118と対向するように整列した後、第2領域IIにレーザ600を照射する。第2領域IIにレーザ600が照射すると、レーザ600によって伝達された光エネルギーが第2領域IIに位置する第2光−熱変換層512で熱エネルギーに変換する。変換された熱エネルギーは第2光−熱変換層512を膨張させると同時に第2転写層514に伝達され、第2転写層514を第3発光層118上に転写させる。第3発光層118上に転写した第2転写層514は第2補助層124になる。
【0094】
次に、
図6を参照すると、第2補助層124を形成した後、第1発光層122、第2補助層124、第3発光層118上に第2発光層126を形成する。ここで、第2発光層126はマスク200を利用した蒸着工程により形成される。具体的には、第1発光層122、第2補助層124、第3発光層118上に開口部を含むマスク200、例えば、オープンマスクを整列し、第1発光層122、第2補助層124、第3発光層118の一面と対向するように蒸着源300を配置した後、蒸着源300で第2発光層126をなす有機物を噴射することによって、第1発光層122、第2補助層124、第3発光層118の一面上に第2発光層126を蒸着する。すなわち、第2発光層126は第1領域I、第2領域II、第3領域IIIに共通して形成される。また、第2発光層126は第3発光層118と完全に重なるように形成する。
【0095】
前述した
図3ないし
図6の工程により、複数の発光層(118、122、126)及び複数の補助層(120、124)の厚さを調整することによって、第1領域I、第2領域II、第3領域IIIで放出する光の共振周期を調整する。すなわち、第1領域Iで赤光が放出し、第2領域IIで緑光が放出し、第3領域IIIで青光が放出するように複数の発光層(118、122、126)及び複数の補助層(120、124)の厚さを調整する。
【0096】
次に、
図7を参照すると、第2発光層126を形成した後、第2発光層126上に第2媒介層130、第2電極132、保護層134を順に積層する。第2媒介層130、第2電極132、保護層134は通常の蒸着工程などにより形成できる。
【0097】
このような本発明の一実施形態による有機発光表示装置100の製造方法によれば、有機発光表示装置100の製造時、転写工程を利用することによって、高解像度の有機発光表示装置100が得られると共に、第1発光層122及び複数の補助層(120、124)のみを転写工程により形成することによって、有機発光表示装置100の寿命低下を最小化できる。特に、緑の光を放出する第2発光層126を蒸着工程により形成することによって、第2発光層126の寿命低下を防止できる。
【0098】
また、複数の発光層(118、122、126)と複数の補助層(120、124)を形成する際、ドナー基板とオープンマスクを使用し、ファインメタルマスク(Fine metal mask、FMM)を使用しないことによって、工程効率性が高められる。
【0099】
以下、
図8を参照して本発明の他の実施形態による有機発光表示装置102を説明する。
図8は、本発明の他の実施形態による有機発光表示装置102を概略的に図示する断面図である。説明の便宜上、
図1に図示した各エレメントと実質的に同一なエレメントは同一符号で示し、重複する説明を省略する。
【0100】
図8を参照すると、複数の補助層(120、124、125)は第3補助層125をさらに含む。第3補助層125は第1補助層120と第3発光層118との間及び/または第2補助層124と第3発光層118との間に位置する。また、第3発光層118はP型ドーパントを含む。他の実施形態で、第3補助層125はP型ドーパントのみ含み得る。また他の実施形態で、第3補助層125は第1補助層120及び/または第2補助層124の下部領域、すなわち、第3発光層118と接する領域に第1補助層120及び/または第2補助層124と一体型に形成され得る。
【0101】
このような本発明の他の実施形態による有機発光表示装置102によれば、本発明の一実施形態による有機発光表示装置100に第3補助層125を追加することによって、第1電極112で発生した正孔を第1発光層122と第2発光層126により簡単に伝達できる。また、第2電極132で発生した電子が第3発光層118に伝達されることを確実に防止できる。また、第3補助層125にP型ドーパントを含めることによって、有機発光表示装置102の駆動電圧を減少させる。
【0102】
以下、
図9を参照して本発明のまた他の実施形態による有機発光表示装置104について説明する。
図9は、本発明のまた他の実施形態による有機発光表示装置104を概略的に図示する断面図である。説明の便宜上、
図1に図示した各エレメントと実質的に同一なエレメントは同一符号で示し、重複する説明を省略する。
【0103】
図9を参照すると、第1媒介層114'は無機物を含む。ここで、無機物とは、タングステンオキサイドまたはニッケルオキサイドのうち少なくとも一つである。
【0104】
具体的には、正孔注入層114a'が無機物を含む。例示的な実施形態で、正孔注入層114a'は無機物のみからなる。無機物を含む正孔注入層114a'の厚さは700Åないし1300Åであり得、好ましくは1000Åである。また、正孔注入層114a'の厚さが厚くなることにより、相対的に正孔輸送層114b'の厚さが薄くなる。例示的な実施形態で、正孔輸送層114b'の厚さは100Åないし300Åであり得、好ましくは200Åである。
【0105】
通常、タングステンオキサイドまたはニッケルオキサイドのような無機物は不導体である。しかし、このような無機物を熱蒸着して無機層を形成すると、形成される無機層の内部に酸素原子が空く空間が生じ、空間で自由電子が発生する。自由電子によって無機層は一般的な有機物より高い伝導度を有する。
【0106】
したがって、このような本発明のまた他の実施形態によれば、有機発光表示装置104の駆動電圧を減少させることができる。
【0107】
以下、
図10及び
図11を参照して本発明の一実施形態による有機発光表示装置100と既存の有機発光表示装置を比較する。
図10は、下記製造例1により製造された有機発光表示装置100の時間に伴う輝度低下率を示すグラフである。
図11は、下記比較例1により製造された有機発光表示装置の時間に伴う輝度低下率を示すグラフである。すなわち、
図10は、本発明の一実施形態による有機発光表示装置100に対するグラフであり、
図11は、従来の有機発光表示装置に対するグラフである。
【0108】
[製造例1]
SiO
2を主成分とする基板110上にスパッタリング方法によりITOを蒸着して第1電極112を1000Åに形成した。
【0109】
第1電極112上にm−MTDATAを蒸着して正孔注入層114aを100Åに形成した。
【0110】
正孔注入層114a上にNPBを蒸着して正孔輸送層114bを1200Åに形成した。
【0111】
正孔注入層114a上に青ホスト物質で4、4’−(カルバゾール−9−イル)ビフェ
ニル(CBP)、青ドーパント物質でF
2Irpicを含む第3発光層118を、オープンマスクを利用して共通層として蒸着した。この際、第3発光層118は100Åに形成した。
【0112】
第3発光層118上の第1領域Iに第1発光層122及び第1補助層120を形成した。第1発光層122及び第1補助層120は第1ドナー基板400を利用したレーザ熱転写法により形成した。ここで、第1ドナー基板400はポリエチレンテレフタラートからなる第1ベースフィルム410上にアルミニウム酸化物からなる第1光−熱変換層412、アクリル樹脂からなる第1中間層と第1転写層414とを積層して形成した。ここで、第1転写層414はビス−(2−メチル−8−キノリノラト)−4−(フェニルフェノラト)アルミニウム{Bis−(2−methyl−8−quinolinolate)−4−(phenylphenolate)aluminium}とBtp2Ir(acac)からなる上部転写層414a及びNPBからなる下部転写層414bとした。このような第1ドナー基板400を第1転写層414が第3発光層118に対向するように互いに離隔して配置した後に、レーザ600を照射して第1発光層122及び第1補助層120を形成した。第1発光層122と第1補助層120は、各々上部転写層414a及び下部転写層414bと同じ物質とした。この際、第1発光層122は200Åに形成し、第1補助層120は900Åに形成した。
【0113】
第3発光層118上の第2領域IIに第2補助層124を形成した。第2補助層124は第2ドナー基板500を利用したレーザ熱転写法により形成した。ここで、第2ドナー基板500は、ポリエチレンテレフタラートからなる第2ベースフィルム510上にアルミニウム酸化物からなる第2光−熱変換層512、アクリル樹脂からなる第2中間層と第2転写層514とを積層して形成した。ここで、第2転写層514はNPBにした。このような第2ドナー基板500を第2転写層514が第3発光層118に対向するように互いに離隔して配置した後に、レーザ600を照射して第2補助層124を形成した。第2補助層124は第2転写層514と同じ物質で形成した。この際、第2補助層124は700Åに形成した。
【0114】
第1発光層122、第2補助層124、第3発光層118上に9、10−(2−ジナフチル)アントラセン(ADN)とIr(ppy)
2(acac)からなる第2発光層126を、オープンマスクを利用して共通層として蒸着した。この際、第2発光層126は200Åに形成した。第2発光層126上にAlq3を蒸着して電子輸送層130bを300Åに形成した。
【0115】
電子輸送層130b上にLiFを蒸着して電子注入層130aを13Åに形成した。
【0116】
電子注入層130a上にMgAgを蒸着して第2電極132を100Åに形成した。
【0117】
第2電極132上にSiO
2を蒸着して保護層134を600Åに形成した。
【0118】
このような製造例1により製造された有機発光表示装置100の時間に伴う輝度低下率を示すグラフを
図10に示す。具体的には、
図10に示すグラフは製造例1により製造された有機発光表示装置100の駆動電圧を6Vにし、効率を75cd/Aに設定した状態で第2発光層126の時間に伴う輝度低下率を示すグラフである。
【0119】
[比較例1]
製造例1と同一であるが、第2領域IIに第2発光層を第2補助層124と同時に転写工程により形成した。
【0120】
このような比較例1により製造された有機発光表示装置の時間に伴う輝度低下率を示すグラフを
図11に示す。具体的には、
図11に示すグラフは比較例1により製造された有機発光表示装置の駆動電圧を6Vにし、効率を75cd/Aに設定した状態で第2発光層の時間に伴う輝度低下率を示すグラフである。
【0121】
このように、製造例1により製造された有機発光表示装置100の寿命が比較例1により製造された有機発光表示装置の寿命より長かった。
【0122】
以上で本発明の実施形態を中心に説明したが、これは単に例示するだけであり、本発明を限定するものではなく、本発明が属する分野の通常の知識を有する者であれば、本発明の実施形態の本質的な特性から外れない範囲で上記例示の他に多様に変更及び応用できることが分かる。例えば、本発明の実施形態において具体的に示す各構成要素は変形して実施できる。また、このような変形と応用に関する差異点は添付する請求範囲で規定する本発明の範囲に含まれると解釈すべきである。