特許第6266994号(P6266994)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6266994
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   E21F 17/00 20060101AFI20180115BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20180115BHJP
   F21V 21/34 20060101ALI20180115BHJP
   F21V 15/00 20150101ALI20180115BHJP
   F21W 131/101 20060101ALN20180115BHJP
【FI】
   E21F17/00
   F21S2/00 630
   F21S2/00 612
   F21V21/34
   F21V15/00
   F21W131:101
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-23423(P2014-23423)
(22)【出願日】2014年2月10日
(65)【公開番号】特開2015-151678(P2015-151678A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2016年11月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100064414
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 道造
(74)【代理人】
【識別番号】100111545
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 悦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100129067
【弁理士】
【氏名又は名称】町田 能章
(72)【発明者】
【氏名】吉井 康宏
(72)【発明者】
【氏名】藤本 昭弘
【審査官】 西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−213715(JP,A)
【文献】 特開2004−019304(JP,A)
【文献】 特開2001−323800(JP,A)
【文献】 実開昭49−013583(JP,U)
【文献】 特開昭58−136531(JP,A)
【文献】 特開昭47−015983(JP,A)
【文献】 実開昭59−134225(JP,U)
【文献】 米国特許第04625631(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21F 1/04
E21F 17/00
E21F 17/02
F21S 2/00
F21V 15/00
F21V 21/34
F21W 131/101
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルの軸方向に沿って設置されたレール、および前記レール上を移動する送風用または集塵用の風管が採用されるトンネル工事に使用する照明装置であって、
記トンネルの坑内を照らす照明具と、
前記レール上を移動することにより、前記照明具を移動させる移動手段と、を備え、
前記移動手段は、
前記風管を移動するための移動手段とは別に設けられており、前記風管と前記照明具との距離を自在に調整可能である、
ことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
発破による飛石から前記照明具を防護する板状の照明防護板と、前記照明具が発射する光を遮らない位置に前記照明防護板を移動させる移動機構と、をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル工事に使用する照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
山岳トンネルなどのトンネル工事では、作業エリアを照らす照明装置を使用している。切羽の発破作業を行う場合には、切羽近傍の照明装置が発破により損傷することがないように退避させている。照明装置としては、トンネルの天端に固設されたレールに沿って移動する懸垂型モノレール設備を備えるものが知られていた(特許文献1参照)。
【0003】
また、トンネル工事では、発破作業に伴い大量の粉塵が発生するため、換気装置を用いて切羽近傍の粉塵をトンネルの外部に排出する必要がある。換気装置としては、トンネルの掘削方向に沿って設けられたレールと、このレールに吊設された伸縮風管とを備えるものが知られていた(特許文献2参照)。この換気装置では、伸縮風管をレールに沿って伸長させることで、伸縮風管の吸引位置を掘削の進行に追随させることができる。そして、切羽近傍の粉塵を伸縮風管の一端側において吸引し、その他端側において集塵したり、またはトンネルの外に排出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−213715号公報
【特許文献2】特開2003−301699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載された照明装置および特許文献2に記載された換気装置は、共にレールを用いるので一定のスペースが必要になる。特に、トンネル内はスペースが限定されるので、これらの装置を効率よく配置する必要がある。
【0006】
ここで、照明装置を換気装置の風管の先端に取り付けることが考えられる。この構成の場合、スペース活用の効率は高いが、照明装置と換気装置とを別々に移動させることができないため、トンネル坑内での作業に支障をきたす虞がある。例えば、トラクタショベルを用いてズリをクラッシャーへ投入する場合に、ショベルが風管に接触しないように風管の先端をクラッシャーの後方(坑口側)へ移動する必要があるが、照明装置もクラッシャーの後方へ移動するので切羽が暗くなってしまう。
【0007】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、トンネル内のスペースを効率的に利用でき、かつ、切羽近傍の作業をより安全に行える照明装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明に係る照明装置は、トンネルの軸方向に沿って設置されたレール、および前記レール上を移動する送風用または集塵用の風管が採用されるトンネル工事に使用する照明装置であって、前記トンネルの坑内を照らす照明具と、前記レール上を移動することにより、前記照明具を移動させる移動手段と、を備え、前記移動手段は、前記風管を移動するための移動手段とは別に設けられており、前記風管と前記照明具との距離を自在に調整可能である、ことを特徴とする。
【0009】
ここで、前記照明装置は、発破による飛石から前記照明具を防護する板状の照明防護板と、前記照明具が発射する光を遮らない位置に前記照明防護板を移動させる移動機構と、をさらに備えるのがよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、トンネル内のスペースを効率的に利用でき、かつ、切羽近傍の作業をより安全に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る照明装置が使用されるトンネル坑内のようすを説明するための図である。
図2】実施形態に係る照明装置の側面図である。
図3】実施形態に係る照明装置の正面図であり、図3(a)は照明防護板が照射位置にある場合を示し、図3(b)は照明防護板が防護位置にある場合を示したものである。
図4】実施形態に係る照明防護手段の照射位置から防護位置への移動を説明するための図であり、図4(a)は照射位置から防護位置への移動途中の状態を示し、図4(b)は防護位置に移動を完了した状態を示す。
図5】実施形態に係る照明防護手段の防護位置から照射位置への移動を説明するための図であり、図5(a)は防護位置から照射位置への移動途中の状態(1)を示し、図5(b)は防護位置から照射位置への移動途中の状態(2)を示す。
図6】発破作業時における実施形態に係る照明装置の位置を説明するための図である。
図7】ズリ出し作業時における実施形態に係る照明装置の位置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施をするための形態を、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、参照する図面において、本発明を構成する部材の寸法は、説明を明確にするために誇張して表現されている場合がある。なお、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0013】
≪実施形態に係る照明装置の構成≫
最初に、図1を参照して、実施形態に係る照明装置が使用されるトンネル坑内の構成およびトンネル坑内で行なわれる作業について説明する。その後に、他の図面を参照して照明装置の詳細な構成を説明する。
【0014】
図1に示すトンネル坑内では、切羽Aで発破作業が行われる。発破作業による生じたズリBは、連続ベルトコンベヤを用いた方法(ベルトコンベヤ方式)によりトンネル坑外に搬出される。このベルトコンベヤ方式は、図示しないダンプトラックを用いた方法に比べて、トンネル坑内を走行する車両が少ないため安全性が高い、路盤の損傷が小さい等の利点がある。この方法を実現するために、トンネル坑内では、トラクタショベル1、クラッシャー2、テールピース台車3、ベルトコンベヤ4、集塵機5、照明装置6などが使用される。
【0015】
トラクタショベル1は、ショベルを前方に有し、発破作業によって切羽Aに生じるズリBをショベルに入れて運搬し、運搬したズリBをクラッシャー2に投入するものである。
クラッシャー2は、ズリBの投入口を有し、投入されたズリBをベルトコンベヤ4で搬送可能な大きさに破砕し、破砕したズリBをテールピース台車3に移送するものである。
【0016】
テールピース台車3は、ベルトコンベヤ4の先端に設置され、ベルトコンベヤ4を牽引するものである。テールピース台車3は、移送されたズリBをベルトコンベヤ4の上部に移動させる。
ベルトコンベヤ4は、トンネル坑外まで伸びるベルトを有し、ベルトの上部に移動されたズリBをトンネル坑外まで搬出するものである。
【0017】
なお、クラッシャー2およびテールピース台車3は、切羽Aの進捗に合わせて、切羽Aとクラッシャー2との距離を一定に保つために前方方向に移動する。また、それに合わせて、ベルトコンベヤ4を延長させる。
【0018】
集塵機5は、トンネル坑内の粉塵を回収するものである。集塵機5は、レール5aと、伸縮風管5bと、換気台車5cとを備えている。レール5aは、トンネルの天端に前後方向に沿って設けられ、形状は特に限定されない。ここでは、レール5aとして、Iビーム(I型鋼)を想定するが、他の形状であってもよい。伸縮風管5bは、レール5aに吊設され、図示しない移動手段によって先端が前後方向に移動することで伸縮する。伸縮風管5bは、先端から粉塵を吸引する。換気台車5cは、伸縮風管5bに接続され、伸縮風管5bから吸引した粉塵を回収する。
【0019】
図2および図3を参照して、照明装置6について説明する。照明装置6は、トンネル工事において作業エリア(特に、切羽A)を照らすものである。ここでは、照明装置6として、懸垂式の照明装置を想定して説明する。照明装置6は、レール2aに吊り下げた状態でレール2aに沿って移動するものであり、照明架台10と、照明手段20と、移動手段30と、照明防護手段40と、無線通信手段50とを備えて構成されている。
【0020】
<照明架台>
照明架台10は、照明装置6の本体となるものである。照明架台10は、形状や素材等は特に限定されず、例えば、鋼製の棒材や板材等を組み合わせたものでよい。
【0021】
<照明手段>
照明手段20は、トンネル坑内の作業エリア(特に、切羽A)を照らすものである。照明手段20は、単数または複数の照明具(例えば、ランプ、シェード等を備えたもの)で構成される。本実施形態では、照明手段20は、照明具21f,21rからなる。照明具21fは、照明架台10の前方側(切羽A側)に設置され、特に前方に光を照射する。照明具21rは、照明架台10の後方側(坑口側)に設置され、特に後方に光を照射する。ここでは、3つの照明具21fが前方側に設置され、2つの照明具21rが後方側に設置されている(図3参照)。しかしながら、図3に示す照明具21f,21rの数は例示であって、設置される個数は特に限定されない。
【0022】
照明具21fと照明具21rとは、構成が同じであってもよい。その為、以下では、照明具21fと照明具21rとを区別しない場合に、単に「照明具21」と呼ぶことにする。なお、照明手段10は、照明具21の向き(仰角)を調整する角度調整具をさらに備えてもよい。また、照明手段10は、トンネルの側面(左右方向)を照射する照明具21をさらに備えてもよい。
【0023】
<移動手段>
移動手段30は、照明装置6をレール5aに沿って移動させるものである。移動手段30は、構成が特に限定されるものではなく、レール5aを用いて移動することができるものであればよい。本実施形態では、移動手段30は、電動トロリー31と、プレントロリー32とを備えている。
【0024】
電動トロリー31は、照明架台10の後方側に設置される。電動トロリー31は、レール5aに当接する車輪と、車輪を回転されるモータとを備えて構成されている(いずれも図示せず)。電動トロリー31は、モータが発生する駆動力によって車輪を回転させ、回転する車輪とレール5aとの摩擦力によって照明装置6を前方または後方に移動させる。
【0025】
プレントロリー32は、レール5aに当接する車輪を備えるが(図示せず)、モータを備えない構成である。すなわち、プレントロリー32は、モータによって車輪を回転させるのではなく、照明装置6が前方または後方に移動することによって従動して車輪が回転するものである。
【0026】
<照明防護手段>
照明防護手段40は、発破による飛石から照明具21を防護するためのものである。照明防護手段40は、照明防護板41と、リンク(節)42a,42b,42cと、モータ43と、ベルト44と、を備えて構成されている。
【0027】
照明防護板41は、発破による飛石が直撃することによって、飛石の勢いを無くすものである。照明防護板41は、発破作業時には照明具21と切破Aとの間に設置される。照明防護板41は、飛石が衝突した場合に破壊されない程度の強度を有する必要があり、例えば、金属製(例えば、鉄製)のものであってよい。また、照明防護板41の形状や大きさは、予想される飛石の大きさや、照明具21の位置や数にもよるが、例えば、厚さ3mm、横寸法1800mm×縦寸法900mm程度の平板状のものである。
【0028】
リンク42a,42b,42cは、リンク42aを原動節とし、リンク42b,42cを従動節とするリンク機構(移動機構)を構成する。リンク機構は、図3(a)に示すように、照明防護板41の両側に一対となって設置されている。このリンク機構は、リンク42a,42b,42cの各々が連結することで、照明防護板41を移動可能に支持する。具体的には、第一のリンク42aの一端は、ベルト44を介してモータ43に接続され、第一のリンク42aの他端は、第二のリンク42bに接続される。また、第二のリンク42bの一端は、第一のリンク42aに接続され、第二のリンク42bの他端は、照明防護板41に接続される。また、第三のリンク42cの一端は、照明架台10に接続され、第三のリンク42cの他端は、第二のリンク42bの中央部に接続される。
【0029】
モータ43およびベルト44は、リンク42a,42b,42cを介して、照明防護板41を移動させるものである。モータ43は、照明防護板41を移動させる駆動力を発生し、ベルト44は、モータ43が発生させた駆動力をリンク42aに伝達する。これにより、照明防護板41は、図2の実線で示す位置と破線で示す位置とを移動する。リンク42a,42b,42cの詳細な動作は後記する。図2の実線で示す位置は、図3(a)に示すように、照明具21fによる光の照射を遮らない位置であり、以下ではこの位置を「照射位置」と呼ぶ。一方、図2の破線で示す位置は、図3(b)に示すように、照明具21fを飛石から護る位置であり、以下ではこの位置を「防護位置」と呼ぶ。
【0030】
リンク42a,42b,42cの動作を説明する。第一のリンク42aは、モータ43の駆動力によって、図2の実線で示す位置からα方向(反時計回り)に回転する。それに伴い、第二のリンク42bは、第三のリンク42cとの接続点を中心にして、図2の実線で示す位置からβ方向(時計回り)に回転する。第三のリンク42cは、第一のリンク42aおよび第二のリンク42bの回転に伴ってβ方向に回転する。図2から一定の移動が進んだ状態を図4(a)に示す。
【0031】
続いて、図4(a)に示す状態から、第一のリンク42aは、モータ43の駆動力によって、さらにα方向に回転する。それに伴い、第二のリンク42bは、第三のリンク42cとの接続点を中心にして、さらにβ方向に回転する。第三のリンク42cは、第一のリンク42aが9時の位置を過ぎた時点から、β方向からα方向に方向を変えて回転する。図4(a)から一定の移動が進んだ状態を図4(b)に示す。図4(b)に示す位置は、前記説明した「防護位置」である。この防護位置では、発破が行われる切羽Aと照明具21f(図2参照)との間(ここでは、切羽Aまでの距離として40m程度を想定しているので照明具21fの前方)に照明防護板41が位置している。
【0032】
続いて、図4(b)に示す状態から、第一のリンク42aは、モータ43の駆動力によって、さらにα方向に回転する。それに伴い、第二のリンク42bおよび第三のリンク42cは、ともにα方向に回転する。図4(b)から一定の移動が進んだ状態を図5(a)に示す。
【0033】
続いて、図5(a)に示す状態から、第一のリンク42aは、モータ43の駆動力によって、さらにα方向に回転する。それに伴い、第二のリンク42bおよび第三のリンク42cは、ともにα方向にさらに回転する。図5(a)から一定の移動が進んだ状態を図5(b)に示す。
【0034】
続いて、図5(b)に示す状態から、第一のリンク42aは、モータ43の駆動力によって、さらにα方向に回転する。それに伴い、第二のリンク42bは、α方向にさらに回転する。第三のリンク42cは、第一のリンク42aが3時の位置を過ぎた時点から、α方向からβ方向に方向を変えて回転する。図5(b)から一定の移動が進んだ状態を図2に示す。図2に示す位置は、前記説明した「照射位置」である。この照射位置では、照明具21fの照射方向を遮らない照明具21fの下方に照明防護板41が位置している。
【0035】
<無線通信手段>
図2に戻り、無線通信手段50について説明する。
無線通信手段50は、無線装置51と、リモコン52とを備えて構成されている。無線装置51は、無線通信を用いてリモコン52からの信号を受信し、受信した情報を照明装置6の各構成(例えば、照明手段20、移動手段30および照明防護手段40)に送信するものである。リモコン52は、照明装置6を操作する者S(以下、操作者S)が手に持って操作し、無線装置51に無線通信を用いて情報を送信するものである。なお、リモコン52は、伸縮風管5bの移動に用いられてもよい。
以上で、実施形態に係る照明装置6の構成についての説明を終了する。
【0036】
≪実施形態に係る照明装置の使用方法≫
図6および図7を参照して、実施形態に係る照明装置6の使用方法について説明する(適宜、図2を参照)。図6は、発破作業時における実施形態に係る照明装置6の位置を説明するための図である。図7は、ズリ出し作業時における実施形態に係る照明装置6の位置を説明するための図である。
【0037】
<発破作業時>
発破作業時には、操作者S(図2参照)は、無線通信を用いて、伸縮風管5bおよび照明装置6を後退させる(図6参照)。また、操作者Sは、無線通信を用いて、照明防護板41を防護位置まで移動させる(図4(b)参照)。この状態の照明装置6は、切羽Aから一定の距離(例えば、40m程度)だけ離れていると共に、照明防護板41が照明具21を防いでいる。その為、発破によって発生する飛石が照明具21を直撃する可能性が極めて低い。
【0038】
<ズリ出し作業時>
ズリ出し作業時には、操作者S(図2参照)は、無線通信を用いて、切羽A付近まで照明装置6を前進させる(図7参照)。また、操作者Sは、無線通信を用いて、照明防護板41を照射位置まで移動させる(図2参照)。この状態の照明装置6は、切羽A近傍に位置するので、切羽Aを十分に照らすことができる。また、伸縮風管5bは、クラッシャー2の後方(坑外側)に位置しているので、トラクタショベル1のショベルが伸縮風管5bに接触する虞がない。
以上で、実施形態に係る照明装置6の使用方法について説明を終了する。
【0039】
以上のように、本実施形態に係る照明装置6は、集塵機5のレール5a上を移動可能である。つまり、照明装置6は、集塵機5のレール5aを共用して使用する。その為、集塵機5のレール5aとは別に、照明装置6用の新たなレールを設置しなくてよい。したがって、本実施形態に係る照明装置6を用いることで、トンネル坑内のスペースを有効に使用することができる。
【0040】
また、本実施形態に係る照明装置6は、伸縮風管5b移動させるための移動手段とは別の移動手段30を備える。その為、伸縮風管5bの先端から照明装置6までの距離を自在に調整可能であり、必要に応じて切羽A近傍まで照明装置6を移動することができる。したがって、本実施形態に係る照明装置6は、ズリ出し作業等により伸縮風管5bを後方に移動した場合であっても、切羽A近傍における作業をより安全に行うことができる。
【0041】
また、本実施形態に係る照明装置6は、照明防護手段40を備える。その為、発破作業時においては、飛石で照明具21が損傷するのを照明防護板41で防ぐことができる。
【0042】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を変えない範囲で実施することができる。実施形態の変形例を以下に示す。
【0043】
実施形態に係る照明装置6は、集塵機5のレール5aとしてIビームを用いる場合を説明したが、これに限定されるものではない。レール5aの形状は特に限定されず、種々のものを用いることができる。
【0044】
また、実施形態に係る照明装置6は、照明防護板41を照明具21の下方に移動させていた。しかしながら、移動方向はこれに限定されるものではなく、照射を妨げない位置であればよい。例えば、照明装置6は、照明防護板41を照明具21の左右方向に移動させてもよい。
【0045】
また、実施形態に係る照明装置6は、リンク42aが一方向(α方向)に回転することで、照明防護板41を照射位置と防護位置とに移動していた。しかしながら、リンク42aが逆方向(β方向)にも回転するようにし、回転方向を切り替えることで照明防護板41を照射位置と防護位置とに移動させてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 トラクタショベル
2 クラッシャー
3 テールピース台車
4 ベルトコンベヤ
5 集塵機
5a レール
5b 伸縮風管(風管)
6 照明装置
10 照明架台
20 照明手段
30 移動手段
40 照明防護手段
41 照明防護板
42a,42b,42c リンク(移動機構)
50 無線通信手段
A 切羽
B ズリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7