(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
油冷式の圧縮機本体より冷却油との気液混合流体として吐出された圧縮気体を導入する圧力容器であるレシーバタンク本体と,前記レシーバタンク本体内に貯留される冷却油の液面を表示するレベルゲージを備え,
前記レシーバタンク本体が,
円筒状に形成された側壁外側の上部寄りの位置に設けられた導入口と,
前記導入口からの圧縮気体を前記レシーバタンク本体内において吐出する吐出口と,
前記導入口と前記吐出口間を連通し,前記導入口を介して導入された圧縮気体を,前記レシーバタンク本体の内壁に沿った旋回流を生じさせるように誘導して前記吐出口より吐出させる誘導路を備え,
前記レベルゲージが,
冷却油の液面の上限位置よりも上方で前記レシーバタンク本体の側壁を貫通して形成された上部接続孔と,
冷却油の液面の下限位置よりも下方で前記レシーバタンク本体の側壁を貫通して形成された下部接続孔と,
前記レシーバタンク本体の外側において上端を前記上部接続孔に,下端を前記下部接続孔にそれぞれ連通された流路を内部に備え,前記流路内に導入された冷却油を透視可能に構成された可視部を備えると共に,
前記上部接続孔から前記レシーバタンク本体の内方に突出する上部延長管,及び/又は前記下部接続孔から前記レシーバタンク本体の内方に突出する下部延長管を備え,
前記上部延長管,及び/又は前記下部延長管の先端部に設けた開口を,平面視における前記レシーバタンク本体の中心を中心とし,該中心と前記吐出口の内周側端部間の距離を半径とする円の内側に配置したことを特徴とするレベルゲージ付きレシーバタンク。
【背景技術】
【0002】
油冷式圧縮機では,圧縮機本体に吸入された空気やガスなどの気体に冷却・潤滑・密封を目的として油(本明細書において「冷却油」という。)の噴射を行いながら圧縮作用を行うことから,圧縮機本体が吐出する圧縮気体には冷却油が多量に含まれている。
【0003】
そのため,油冷式圧縮機では圧縮機本体より吐出された圧縮気体をそのまま消費側に供給することができず,消費側に供給する前に圧縮機本体が吐出した圧縮気体から冷却油を除去する作業が必要となる。
【0004】
そこで油冷式圧縮機では,
図9に示すように圧縮機本体150の吐出口より冷却油との気液混合流体として吐出された圧縮気体を,一旦,レシーバタンク100に導入することにより,このレシーバタンク100内において圧縮気体に含まれる冷却油の一次分離を行い,この一次分離によって冷却油が分離された圧縮気体を,オイルセパレータ160を通過させて更に圧縮気体中にミストの状態で含まれる冷却油を除去した後,空気作業機等が接続された圧縮気体の消費側に供給できるようにしている。
【0005】
一方,レシーバタンク100内で圧縮気体から分離されてレシーバタンク100の底部に溜まった冷却油は,オイルクーラやオイルフィルタ(図示せず)を通過させた後,圧縮機本体150の給油口に導入することで,再度,圧縮作用空間の潤滑,冷却及び密封に使用している。
【0006】
以上のように構成された油冷式圧縮機において,レシーバタンク100内に貯留する冷却油の油量は,多過ぎても少な過ぎても装置の動作に支障を来すおそれがあることから,レシーバタンク100内に貯留する油量の適正量が予め決定されていると共に,この適正量の冷却油がレシーバタンク100内に貯留されるよう,レシーバタンク100内に貯留する冷却油液面の上限位置HLと下限位置LLが決められている。
【0007】
そして,レシーバタンク100内に貯留されている冷却油の液面位置を表示するレベルゲージ130を設ける等して,油冷式圧縮機の保守・点検等に際しレベルゲージ130によって表示されている冷却油の液面が,前述した上限位置HLと下限位置LLとの間にある適正量となるようレシーバタンク100内に貯留する油量が調整される。
【0008】
レシーバタンク100に設けられる前述のレベルゲージ130としては,
図9に示すように,液面の上限位置HLよりも上方においてレシーバタンク100の側壁を貫通して形成された上部接続孔131を設けると共に,液面の下限位置LLよりも下方においてレシーバタンク100の側壁を貫通して形成された下部接続孔132を設け,レシーバタンク100の外側において上部接続孔131及び下部接続孔132にそれぞれに取り付けた継手(直角エルボ)133,134間にガラス管等の,内部流路内に流入した冷却油を透視可能な透明パイプを取り付ける等して可視部135を形成し,可視部135内に導入された冷却油の液面位置によってレシーバタンク100内に貯留されている冷却油の液面位置を確認することができるようにしたものがある(特許文献1,2参照)。
【0009】
なお,レシーバタンクにおける圧縮気体に含まれる冷却油の一次分離は,レシーバタンク内に圧縮気体と共に冷却油を導入すると,比重差によって液体である冷却油がレシーバタンクの底部に,圧縮気体はその上部に分離して溜まることを利用して行われる。
【0010】
これに対し,レシーバタンクにおける一次分離性能を向上させるために,レシーバタンク中に導入した圧縮気体に旋回流を生じさせるように構成したレシーバタンクも提案されている(特許文献3)。
【0011】
このように,レシーバタンク内で圧縮気体を旋回させることで,圧縮気体中に微細な油滴(例えばミスト)等の状態で含まれる冷却油についても旋回中に遠心力を受けてレシーバタンクの内壁に衝突して内壁を伝ってレシーバタンク底部の油溜まりに落下することにより分離・回収され,圧縮気体に含まれる冷却油の一次分離をより効率的に行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図9を参照して説明したレベルゲージ130を備えたレシーバタンク100では,レシーバタンク100の外部よりレシーバタンク100内に貯留されている冷却油の液面位置を確認することができ,レベルゲージ130の表示に従ってレシーバタンク100内に貯留される冷却油の液面が所定の上・下限位置間にあるよう油量を調整することにより,適切な冷却油量を維持することができる。
【0014】
しかし,上記構成のレベルゲージでは,
図10に示すように,可視部135内の冷却油中に気柱が生じた場合,可視部135内の冷却油がこの気柱によって上下に分断される等してレシーバタンク100内に貯留されている冷却油の液面位置を正確に表示することができなくなる。
【0015】
しかも,可視部135内の冷却油中に生じた気柱は除去され難く,一旦気柱が発生すると,この気柱は長時間,可視部135内に留まり,その間,液面の正確な表示が妨げられる。
【0016】
可視部135内の冷却油に対するこのような気柱の発生は,レシーバタンク100の側壁に設けた上部接続孔131から可視部135内に冷却油の流入が生じた場合や,下部接続孔132から可視部135内に気体(気泡)が導入された場合に起こり,比較的径の小さな可視部135内にこのような冷却油の流入や気泡の導入が生じると,冷却油の粘性によって気体(気泡)は上昇が妨げられ,気体(気泡)と冷却油の置換が行われないまま気体が冷却油内に閉じ込められることによって生じる。
【0017】
従って,可視部135内の冷却油中に気柱が生じることを防止しようとすれば,上部接続孔131を介した冷却油の流入と,下部接続孔132を介した気体(気泡)の導入を抑制することが必要となる。
【0018】
一方,前述したようにレシーバタンクにおける圧縮気体に含まれる冷却油の一次分離性能を向上させるために,レシーバタンク内に導入した圧縮気体に旋回流を生じさせるように構成したレシーバタンクでは,圧縮気体と共に導入された冷却油は,レシーバタンクの内壁に衝突して内壁を伝ってレシーバタンク底部の油溜まりに落下する。
【0019】
そのため,この型式のレシーバタンクに,
図9を参照して説明した構造のレベルゲージ130を設けた場合,レシーバタンクの内壁において開口する上部接続孔131を介して可視部135内に冷却油が流れ込み易く,可視部135内の冷却油中に気柱が生じ易くなる。
【0020】
また,圧縮気体と共にレシーバタンク内に導入された,気泡を多量に含む冷却油は,レシーバタンクの底部に貯留されることで気泡が冷却油中を浮上して液面より放出され,これにより経時と共に気泡の除去が行われるものとなっているが,前述したように,導入された圧縮気体に旋回流を生じさせる型式のレシーバタンクでは,圧縮気体と共にレシーバタンク内に導入されたばかりの,多量に気泡を含む冷却油がレシーバタンクの内壁を伝って油溜まりに落下すると共に,油溜まりに落下する際に液面と衝突して冷却油中に更に気泡を巻き込むことで,レシーバタンクの内壁近く(油溜まりの外周側)にある冷却油の気泡含有量を増加させる。
【0021】
そのため,このようなレシーバタンクに
図9を参照して説明した構造のレベルゲージ130を設けた場合,レシーバタンク100の内壁,すなわち,冷却油のうち,最も多く気泡を含む部分で開口する下部接続孔132には気泡が導入され易く,この点でも可視部135内の冷却油中に気柱が生じ易くなる。
【0022】
このように,レシーバタンク中で圧縮気体に旋回流を生じさせる構成を備えたレシーバタンクに,
図9を参照して説明した構造のレベルゲージをそのまま設けた場合には,液面の正確な表示を行わせることができなくなる。
【0023】
そこで本発明は,上記欠点を解消するために成されたものであり,圧縮機本体が吐出した圧縮気体を旋回流として内部に導入する型式のレシーバタンクに適用した場合であっても,透明パイプ等によって構成された可視部内の冷却油に,誤表示の原因となる気柱が生じることを防止することができるレベルゲージを備えたレシーバタンクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
以下に,課題を解決するための手段を,発明を実施するための形態で使用する符号と共に記載する。この符号は,特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態の記載との対応を明らかにするためのものであり,言うまでもなく,本願発明の技術的範囲の解釈に制限的に用いられるものではない。
【0025】
上記目的を達成するために,本発明のレベルゲージ付きレシーバタンク1は,
油冷式の圧縮機本体より冷却油との気液混合流体として吐出された圧縮気体を導入する圧力容器であるレシーバタンク本体2と,前記レシーバタンク本体2内に貯留される冷却油の液面を表示するレベルゲージ30を備え,
前記レシーバタンク本体2が,
円筒状に形成された側壁外側の上端寄りの位置に設けられた導入口11と,
前記導入口11からの圧縮気体を前記レシーバタンク本体2内において吐出する吐出口13と,
前記導入口11と前記吐出口13間を連通し,前記導入口11を介して導入された圧縮気体を,前記レシーバタンク本体2の内壁に沿った旋回流を生じさせるように誘導して前記吐出口13より吐出させる誘導路12を備え,
前記レベルゲージ30が,
冷却油の液面の上限位置HLよりも上方で前記レシーバタンク本体2の側壁を貫通して形成された上部接続孔31と,
冷却油の液面の下限位置LLよりも下方で前記レシーバタンク本体2の側壁を貫通して形成された下部接続孔32と,
前記レシーバタンク本体2の外側において上端を前記上部接続孔31に,下端を前記下部接続孔32にそれぞれ連通された流路を内部に備え,前記流路内に導入された冷却油を透視可能に構成された透明パイプ等の可視部35を備えると共に,
前記上部接続孔31から前記レシーバタンク本体2の内方に突出する上部延長管36,及び/又は前記下部接続孔32から前記レシーバタンク本体2の内方に突出する下部延長管37を備え,
前記上部延長管36,及び/又は前記下部延長管37の先端部(36a,37a)に設けた開口38,39を,平面視における前記レシーバタンク本体2の中心Oを中心とし,該中心Oと前記吐出口13の内周側端部13a間の距離dを半径とする円Cの内側に配置したことを特徴とする(請求項1)。
【0026】
前記上部延長管36は,前記先端部36aに設けた開口38が水平方向に対し下方に向くように形成することが好ましく,また,前記下部延長管37は,前記先端部37aに設けた開口39が水平方向に対し上方に向くように形成することが好ましい〔請求項2:
図3(B),
図3(C),
図5参照〕。
【0027】
また,前記上部延長管36の前記先端部36aに設けた開口38に対し前記上部接続孔31寄りの位置で,前記上部延長管36の側面に下向きに開口した油抜き孔38aを,好ましくは前記円C内に配置されるよう形成しても良く,また,前記下部延長管37の前記先端部37aに設けた開口39に対し前記下部接続孔32寄りの位置で,前記下部延長管37の側面に上向きに開口した気泡抜き孔39aを,好ましくは前記円C内に配置されるよう形成しても良い(請求項3;
図7参照)。
【発明の効果】
【0028】
以上で説明した本発明の構成により,本発明のレベルゲージ付きレシーバタンク1にあっては,レシーバタンク本体2として,内部に導入された圧縮気体に旋回流を生じさせる構造を備えたものを採用した場合であっても,レベルゲージ30の可視部35内にある冷却油中に気柱が発生することを好適に防止することができた。
【0029】
すなわち,前記構成の上部延長管36を設けたことにより,上部接続孔31のレシーバタンク本体2内側における開口位置をレシーバタンク本体2の内方に延長することができたこと(レシーバタンク本体2の内壁より開口位置を離すことができたこと)により,旋回流の発生に伴う遠心力によって冷却油がレシーバタンク本体2の内壁を伝って落下する場合でも,この冷却油が上部接続孔31を介して可視部35に流入することを好適に防止することができた。
【0030】
また,上部延長管36の先端部36aに設けた開口38を,平面視におけるレシーバタンク本体2の中心Oを中心とし,この中心Oと,吐出口13の内周側端部13a間の距離dを半径とする円Cの内側に配置したことで,上部延長管36の先端部36aは,吐出口13より吐出されてレシーバタンク本体2の内壁に沿って移動する,冷却油を多量に含んだ圧縮気体流の流動方向(
図1中の矢印参照)の前方から外れた位置に設けられることとなるため,吐出口13を介して吐出された冷却油が,直接,上部延長管36の先端部36aに設けた開口38内に流入することを好適に防止できた。
【0031】
更に,前述した構成の下部延長管37を設けたことにより,下部延長管37の先端部37aに設けた開口39を,レシーバタンク本体2の底部に溜まった冷却油中,最も気泡の含有量が少ない,油溜まりの中心付近に配置できたことで,下部延長管37の先端部37aに設けた開口39内に気泡が導入されることを防止することができた。
【0032】
上部延長管36の先端部36aに設けた開口38を,水平方向に対し下方に向くように上部延長管36を形成した構成,前記上部延長管36の前記先端部36aに設けた開口38を,該上部延長管36の先端部36aの側面に下向きに形成された孔として形成した構成では,吐出口13を介して圧縮気体と共に吐出された冷却油が,仮に上部延長管36の先端部36aに直接降りかかることがあったとしても,先端部36aに設けた開口38が下向きに設けられていることで,開口38内に冷却油が流入することを好適に防止することができた。
【0033】
また,下部延長管37の先端部37aに設けた開口39を,水平方向に対し上方に向くように下部延長管37を形成した構成,前記下部延長管37の前記先端部37aの開口39を,先端部37aにおける下部延長管37の側面に上向きに形成された孔として形成した構成では,冷却油中を浮上する気泡が下部延長管37の先端部37aに設けた開口39付近を通過した場合であっても,開口39内に気泡が導入されることを好適に防止することができた。
【0034】
更に,上部延長管36に前述の油抜き孔38aを設けた構成では,仮に開口38を介して上部延長管36内に冷却油が流入した場合であっても,この冷却油は,上部延長管36内を可視部35に向かって移動する際に必ず油抜き孔38a上を通過することとなり,この油抜き孔38aを介して排出されるため,上部延長管36を介して可視部35に冷却油が導入されることをより確実に防止することができた。
【0035】
また,下部延長管37に前述の気泡抜き孔39aを設けた構成では,仮に開口39を介して下部延長管37内に気泡が導入された場合であっても,この気泡は,下部延長管37内を可視部35に向かって移動する際に必ず気泡抜き孔39aの下方を通過することとなり,この気泡抜き孔39aを介して冷却油中を浮上して排出されることで,下部延長管37内に導入された気泡を可視部35に至る前に排出することができた。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下に,添付図面を参照しながら本発明のレベルゲージ付きレシーバタンク1につき説明する。
【0038】
図1において,符号1は本発明のレベルゲージ付きレシーバタンクを示す。
【0039】
このレベルゲージ付きレシーバタンク1は,円筒状の側壁を有する圧力容器であるレシーバタンク本体2と,レシーバタンク本体2底部の油溜まり15内の液面位置を表示するレベルゲージ30を備えている。
【0040】
本発明のレベルゲージ付きレシーバタンク1で採用する前述のレシーバタンク本体2は,内部に導入された圧縮気体に旋回流を生じさせる旋回流発生手段10を備える。
【0041】
この旋回流発生手段10は,レシーバタンク本体2の側壁外側の上端寄りの位置に設けた導入口11と,該導入口11を介して導入された圧縮気体をレシーバタンク本体2内で吐出する吐出口13と,前記導入口11と吐出口13間を連通する誘導路12を備え,図示せざる圧縮機本体からの圧縮気体を導入口11に導入すると,この圧縮気体は,誘導路12によってレシーバタンク本体2の内壁に沿った旋回流を生じるように誘導されて吐出口13より吐出することができるように構成されている。
【0042】
図示の実施形態にあっては,前述の誘導路12を,導入口11と吐出口13間を直線状に繋ぐ流路として形成し,
図1に示すレシーバタンク1の平面視において,誘導路12の外側の一辺12sを,レシーバタンク本体2の内壁が描く円に対する接線TLと平行で且つ近接した位置に設けることで,導入された圧縮気体をレシーバタンク本体2の内壁に沿って誘導し,旋回流を生じさせることができるようにしている。
【0043】
なお,
図1に示す例では,誘導路12を直線状の流路として形成した場合を例に挙げて説明したが,誘導路12は,レシーバタンク本体2内に導入された圧縮気体がレシーバタンク本体2の内壁に沿った旋回流を生じるよう誘導し得るものであれば図示の構成に限定されず各種の変形が可能であり,例えば先に特許文献3として紹介したレシーバタンクのように,レシーバタンク本体2の内壁面に沿って形成された湾曲形状の誘導路を設けるものとしても良い(特許文献3の
図2,
図3,
図5参照)。
【0044】
レシーバタンク1に設けた前述のレベルゲージ30は,レシーバタンク本体20内に貯留する冷却油の液面上限位置HLに対し上方位置におけるレシーバタンク本体2の側壁を貫通して形成された上部接続孔31と,貯留する冷却油の液面下限位置LLに対し下方位置におけるレシーバタンク本体2の側壁を貫通して形成された下部接続孔32と,レシーバタンク本体2外において,上部接続孔31に上端が連結され,下部接続孔32に下端が連結された透明パイプ等,内部流路内に導入された冷却油を透視可能な部材を取り付けて形成した可視部35を備える構成である点は,
図9を参照して説明した従来のレベルゲージと共通である。
【0045】
なお,図示の実施形態にあっては,前述の可視部35をガラス管等の透明パイプによって構成し,上部接続孔31に取り付けた継手(直角エルボ)33に透明パイプ35の上端を,下部接続孔32に取り付けた継手(直角エルボ)34に透明パイプ35の下端をそれぞれ連結することにより,上部接続孔31及び下部接続孔32に対し透明パイプ(可視部)35を連結するものとしているが,可視部35の構成は,透明パイプによるものに限定されず,例えば透明板を嵌め込む等して内部流路を透視可能な窓を形成した金属製の筒体(円筒,角筒のいずれであっても良い)を設け,この筒体の上下端を,直接,又は,継手等を介して,上部接続孔31及び下部接続孔32に連結して可視部35を形成しても良い。
【0046】
本発明のレシーバタンク1に設けられるレベルゲージ30は,更に,レシーバタンク本体2内において前述した上部接続孔31,及び下部接続孔32のいずれか一方,又は双方(図示の例では双方)を,レシーバタンク本体2の内方に延長する延長管(上部延長管36,下部延長管37)を備え,この延長管(上部延長管36,下部延長管37)の先端部36a,37aに設けた開口38,39を,
図1に示すように,平面視におけるレシーバタンク本体2の中心Oを中心とし,この中心Oと吐出口13の内周側端部13a間の距離dを半径とする円Cの内側に設けている。
【0047】
図示の実施形態では,上部延長管36及び下部延長管37を,前述した直角エルボである継手33,34とは別体として形成したパイプ材によって構成し,このパイプ材の一端をレシーバタンク本体2の側壁に設けた接続孔31,32に取り付けた継手33,34に嵌合することによって取り付けるものとしているが,この延長管36,37は,継手33,34と一体的に形成しても良く,又は,継手33,34に取り付けることなく,レシーバタンク本体2の側壁に形成した接続孔31,32に直接,溶着,その他の方法により取り付けるものとしても良く,レベルゲージ30のレシーバタンク本体2内部との連通位置を,レシーバタンク本体2の内壁より内方であって,前述した円Cの内側に迄延長することができるものであれば,その構成は特に限定されない。
【0048】
また,
図1及び
図2に示す例では,上部延長管36及び下部延長管37をその全長に亘って一定径に形成し,その先端を,上部延長管36及び下部延長管37のそれぞれの軸線方向に対し直交方向に切断した形状に形成しているが,この構成に代えて,上部延長管36及び下部延長管37の先端部36a,37aの形状を
図3(A)に示すように絞った形状としても良く,又は
図3(B)に示すように,上部延長管36については開口38が下向きとなるように,下部延長管37については開口39が上向きとなるように,それぞれ斜めカットした形状としても良く,あるいは
図3(C)に示すように,上部延長管36の先端を塞ぐと共に,先端部36aの側面に下向きの孔を形成してこれを開口38とし,下部延長管37の先端を塞ぐと共に,先端部37aの側面に上向きの孔を形成してこれを開口39としても良い。
【0049】
このように,上部延長管36及び下部延長管37の先端部36a,37aを絞り〔
図3(A)参照〕,又は,斜めにカットした形状〔
図3(B)参照〕,あるいは,先端を塞ぐと共に延長管の側面に孔を形成〔
図3(C)参照〕することで,上部延長管36については,先端部36aに上方より冷却油が降りかかった場合であっても冷却油が開口38内に流入し難く,また,下部延長管37については,冷却油中を浮上する気泡が先端部37aと接触等した場合であっても,これを開口39内に捕集し難くすることができる。
【0050】
同様に,上部延長管36については,
図5に示すようにその先端部36aを水平方向に対し下向きに湾曲させることにより,同様に開口38に対する冷却油の流入を防止することができる。
【0051】
また,下部延長管37についても,
図5に示すようにその先端部37aを水平方向に対し上向きに湾曲させることにより,開口39内に対する気泡の導入を防止することができる。
【0052】
なお,上部延長管36の先端部36aに設けた開口38を介して冷却油の流入が生じた場合であっても,これを上部延長管36外に排出することができるようにするために,前記開口38に対し上部接続孔31寄りの位置における前記上部延長管36の側面に,下向きに開口する油抜き孔38aを設けるものとしても良い。
【0053】
このような油抜き孔38aを設けることで,仮に上部延長管36の先端部36aに設けた開口38を介して冷却油の流入が生じた場合であっても,流入した冷却油は,可視部35に向かう移動時に油抜き孔38a上を通過する際に上部延長管36外に排出され,仮に開口38を介して上部延長管36内に冷却油が流入した場合であってもこの冷却油は可視部35に至ることはない。
【0054】
また,同様に,下部延長管37に対しても,その先端部37aに設けた開口39に対し下部接続孔32寄りの位置の側面に,上向きに開口する気泡抜き孔39aを設け,下部延長管37の先端部37aに設けた開口39を介して気泡が導入された場合であっても,導入された気泡は,可視部35に至る前に気泡抜き孔39aを介して下部延長管37外に排出されるようにすることができる。
【0055】
このような油抜き孔38a及び気泡抜き孔39aは,上部延長管36の先端部36aに設けた開口38や,下部延長管37の先端部37aに設けた開口39と同様,平面視におけるレシーバタンク本体2の中心Oを中心とし,この中心Oと吐出口13の内周側端部13a間の距離dを半径とする円Cの内側に設けることが好ましい。
【0056】
なお,上部接続孔31や下部接続孔32の形成位置や形成角度によっては,直線状の延長管36,37の取り付けにより,その先端部36a,37aを前述した円Cの内側に配置することができない場合があり,この場合には,
図8に平面視で示すように,上部延長管36や下部延長管37の全部又は一部を,先端部36a,37aがレシーバタンク本体2の中心O側に近付くように湾曲させて,先端部36a,37aに形成した開口38,39が円Cの内側に配置されるように構成しても良い。
【0057】
以上の説明では,上部延長管36と下部延長管37の双方を設ける構成について説明したが,上部延長管36と下部延長管37は,いずれか一方のみを設ける構成としても良い。
【0058】
また,以上の説明では,上部延長管36と下部延長管37の先端部形状を,相互に対応した形状とするものとして説明したが,上部延長管36の先端部形状と,下部延長管37の先端部形状は,相互に対応するものである必要はなく,前述した各種形状を適宜組み合わせて採用するものとしても良い。
【0059】
以上で説明したように,レシーバタンク本体2の側壁に設けた上部接続孔31からレシーバタンク本体2の内方に突出する上部延長管36を設けたことで,上部延長管36の先端部36aに設けた開口38をレシーバタンク本体2の側壁から離して配置することができ,内部に導入された圧縮気体に旋回流を生じさせるよう構成されたレシーバタンク1にレベルゲージ30を設けた場合であっても,レシーバタンク本体2の内壁に沿って流れる冷却油が上部延長管36の先端部36aに設けた開口38を介して可視部35に流入することがなく,また,上部延長管36の先端部36aに設けた開口38を,前述した円Cの内側に配置したことで,誘導路12を介してレシーバタンク本体2内に導入された,冷却油を多量に含む圧縮気体の流動方向(
図1中の矢印参照)の前方から外れた位置に上部延長管36の先端部36aに設けた開口38を設けることができ,圧縮気体中の冷却油が,直接,上部延長管36の先端部36aに設けた開口38内に流入することについても防止できた。
【0060】
特に,
図3(A)に示すように上部延長管36の先端部36aを絞った構成,
図3(B),
図3(C),
図5に示すように,上部延長管36の先端部36aに設けた開口38を下向きに設けた構成にあっては,仮に上部延長管36の先端部36aに冷却油が降りかかったとしても,開口38内に冷却油が流入し難くなっている。
【0061】
一方,前述した構成の下部延長管37を設けた構成にあっては,レシーバタンク本体2底部の油溜まり15中,最も気泡の含有量の少ない,中心付近において下部冷却管37の先端部37aに設けた開口39を配置するため,下部延長管37の開口39を介して気泡が導入されることについても好適に防止することができるものとなっている。
【0062】
すなわち,レシーバタンク本体2の底部に溜まった冷却油中の気泡は,時間の経過と共に冷却油中を浮上して液面より抜け出ることにより経時と共に除去されるが,前述したようにレシーバタンク本体2内で圧縮気体に旋回流を生じさせる型式のレシーバタンクでは,レシーバタンク内に圧縮気体と共に導入されたばかりの,気泡を多く含む冷却油が,レシーバタンク本体2の内壁面を伝って油溜まり15内に流れ込むこととなり,油溜まり15のレシーバタンク本体2の内壁付近における気泡の含有量が高くなる。
【0063】
しかも,内壁を伝って落下した冷却油は,油溜まり15に流れ込む際に液面と衝突することで冷却油中に気体を巻き込むことから,この点でも油溜まり15のレシーバタンク本体2の内壁付近における気泡の含有量を増加させる。
【0064】
なお,圧縮気体流をレシーバタンク本体2内で旋回させることにより,レシーバタンク本体2底部の油溜まり15内の冷却油も同一の旋回方向に旋回する。
【0065】
しかし,このようにして生じる冷却油の旋回は比較的回転速度が遅いこと,また,可視部35に導入された際に気柱となり得る気泡(本願において下部延長管37に対する浸入防止対象としている気泡)は,数mm〜1cm程度の比較的大きなものであるために冷却油中における浮力が強く,ミクロンオーダーの微細な気泡とは異なり冷却油中に留まる時間が比較的短いこと,冷却油の粘度が比較的高いことから,旋回によって冷却油に若干の遠心力が加わったとしても,冷却油中の気泡はレシーバタンクの中心側に移動する前に冷却油中を浮上して液面より放出されるために,油溜まり15の中心付近の冷却油は,気泡の含有量が少ない状態に維持される。
【0066】
その結果,前述したように,下部接続孔32から前述した円Cの内側に至るまで下部延長管37の先端部37aをレシーバタンク本体2の内方に延長することで,下部延長管37の先端部37aに設けた開口39を,油溜まり15に溜まった冷却油のうち,最も気泡の含有量の少ない部分に配置することができ,下部延長管37の先端部37aに設けた開口39を介して生じ得る気泡の導入についても好適に防止することができた。
【0067】
特に,
図3(A)に示すように下部延長管37の先端部37aを絞った構成,
図3(B),
図3(C),
図5に示すように,下部延長管37の先端部37aに設けた開口39を上向きに設けた構成にあっては,冷却油中を浮上する気泡が下部延長管37の先端部37aと接触等した場合であっても,開口39が気泡を捕集し難く,より確実に気泡の導入を防止することができた。
【0068】
なお,
図6及び
図7に示したように,上部延長管36に油抜き孔38aを設け,下部延長管37に気泡抜き孔39aを設けた構成にあっては,仮に開口38を介して上部延長管36内に冷却油が流入し,また,開口39を介して下部延長管37内に気泡が導入された場合であっても,流入した冷却油あるいは導入された気泡を可視部35に至る前に排出することができた。
【0069】
特に,油抜き孔38aを平面視における前記レシーバタンク本体2の中心Oを中心とし,該中心Oと前記吐出口13の内周側端部13a間の距離dを半径とする円Cの内側に配置した構成にあっては,油抜き孔38aを,吐出口13より吐出されてレシーバタンク本体2の内壁に沿って移動する冷却油を多量に含んだ圧縮気体流の流動方向(
図1中の矢印参照)の前方から外れた位置に設けることとなるため,吐出口13を介して吐出された冷却油が,直接,油抜き孔38aに到達することを防止でき,油抜き孔38aが下向きに開口していることと相俟って油抜き孔38aを介して上部延長管36内に冷却油が流入することを好適に防止できた。
【0070】
また,同様に気泡抜き孔39aを前記円C内に配置した構成では,気泡抜き孔39aを油溜まり15内で最も気泡が少ない部分で開口させることができ,気泡抜き孔39aが上向きに開口されていることとも相俟って,気泡抜き孔39aを介して下部延長管37内に気泡が導入されることも防止できた。
【0071】
このように,前述した構成の上部延長管36及び/又は下部延長管37を設けることにより,誤表示の原因となる,可視部35内の冷却油中に気柱が生じることを確実に防止することができた。