(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電波を反射する部材は、前記偏波の方向に長手方向を有する導電材料で構成された導体であって、前記反射板から予め定められた第3の距離に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のアレイアンテナ。
前記第2の周波数帯において、前記偏波と直交する偏波の電波を送受信する第4のアンテナ素子をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のアレイアンテナ。
導電材料で構成された反射板と、当該反射板から予め定められた第1の距離に、予め定められた偏波の方向と交差する方向に配列され、第1の周波数帯における当該偏波の電波を送受信する複数の第1のアンテナ素子と、当該反射板から予め定められた第2の距離に、当該偏波の方向と交差する方向において当該複数の第1のアンテナ素子と混在して配列され、当該第1の周波数帯より高い第2の周波数帯の当該偏波の電波を送受信する複数の第2のアンテナ素子と、当該複数の第2のアンテナ素子のうち、当該偏波の方向と交差する方向において隣接する2個の第2のアンテナ素子の間に、当該複数の第1のアンテナ素子のいずれも配置されない場合に配置され、当該第2のアンテナ素子が送受信する電波を反射する部材と、を備えるアレイアンテナと、
前記アレイアンテナを収納するレドームと
を備えるセクタアンテナ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
<基地局アンテナ1>
図1は、第1の実施の形態が適用される移動体通信用の基地局アンテナ1の全体構成の一例を示す図である。
図1(a)は、基地局アンテナ1の斜視図であり、
図1(b)は、基地局アンテナ1の設置例を説明する図である。
図1(a)に示すように、基地局アンテナ1は、例えば鉄塔20に保持された3個のセクタアンテナ10−1〜10−3を備えている。そして、
図1(b)に示すように、基地局アンテナ1は、セル2内において電波(ビーム)を送受信する。すなわち、セル2は、基地局アンテナ1が送信する電波が到達する範囲であり、基地局アンテナ1が電波を受信する範囲である。
セクタアンテナ10−1〜10−3は、それぞれの外形(後述する
図2におけるレドーム500)が例えば円筒状であって、その円筒が大地に対してほぼ垂直に設けられている。
【0012】
図1(b)に示すように、セル2は、垂直方向に直交する水平面において角度で分割した複数のセクタ3−1〜3−3を備えている。セクタ3−1〜3−3のそれぞれは、基地局アンテナ1の3個のセクタアンテナ10−1〜10−3に対応して設けられている。つまり、セクタアンテナ10−1〜10−3が電波を放射する場合、セクタアンテナ10−1〜10−3のそれぞれが出力する電波の電界が大きいメインローブ11の方向が、対応するセクタ3−1〜3−3に向くようになっている。
ここでは、セクタアンテナ10−1〜10−3をそれぞれ区別しないときは、セクタアンテナ10と表記する。また、セクタ3−1〜3−3をそれぞれ区別しないときは、セクタ3と表記する。
【0013】
なお、
図1に例として示した基地局アンテナ1は、3個のセクタアンテナ10−1〜10−3及びこれらに対応するセクタ3−1〜3−3を備えている。しかし、セクタアンテナ10及びセクタ3は、3未満又は3を超える数であってよい。また、
図1(b)では、セクタ3は、セル2を3等分に分割(中心角120°)して構成されているが、等分でなくともよく、いずれか1つのセクタ3が他のセクタ3に比べ広く又は狭く構成されていてもよい。
【0014】
そして、それぞれのセクタアンテナ10は、セクタアンテナ10が備える低周波数帯用のダイポール素子(後述する
図2における低周波数帯用ダイポール素子110−1〜110−3参照。それぞれを区別しないときは低周波数帯用ダイポール素子110と表記する。)に送信信号及び受信信号(送受信信号)を送受信する送受信ケーブル31を備えている。さらに、高周波数帯用のダイポール素子(後述する
図2における高周波数帯用ダイポール素子120−1〜120−6参照。それぞれを区別しないときは高周波数帯用ダイポール素子120と表記する。)に送信信号及び受信信号(送受信信号)を送受信する送受信ケーブル32を備えている。
送受信ケーブル31、32は、基地局(不図示)内に設けられた送受信信号を送受信する送受信部(不図示)に接続されている。送受信ケーブル31、32は、例えば同軸ケーブルである。
【0015】
なお、以下では主に基地局アンテナ1が電波を送信するとして説明するが、アンテナの可逆性により、基地局アンテナ1は電波を受信することができる。電波を受信する場合は、例えば送信信号を受信信号として、信号の流れを逆にすればよい。
【0016】
また、セクタアンテナ10は、セクタアンテナ10が備える複数の低周波数帯用ダイポール素子110のそれぞれに送信する送信信号の位相を互いに異ならせるための移相器を備えていてもよい。さらに、セクタアンテナ10が備える複数の高周波数帯用ダイポール素子120のそれぞれに送信する送信信号の位相を互いに異ならせるための他の移相器を備えていてもよい。
複数の低周波数帯用ダイポール素子110及び/又は高周波数帯用ダイポール素子120に供給する送信信号の位相を異ならせることで、電波(ビーム)の放射方向を水平面から地上方向に傾けて(ビームチルトさせて)、電波がセル2外に到達しないように設定できる。
【0017】
<セクタアンテナ10>
図2は、第1の実施の形態が適用されるセクタアンテナ10の一例を示す斜視図である。
図2では、
図1に示したセクタアンテナ10−1〜10−3の内の一つを横に置いて、斜めから見た斜視図で示している。
セクタアンテナ10は、アレイアンテナ100とアレイアンテナ100を包むように収納するレドーム500とを備えている。
図2では、レドーム500を破線で示し、レドーム500の内部に設けられたアレイアンテナ100が見えるようにしている。
【0018】
アレイアンテナ100は、反射板200と、反射板200上に垂直方向に配列され、第1の周波数帯の一例としての低周波数帯において電波を送受信する第1のアンテナ素子の一例としての低周波数帯用ダイポール素子110−1〜110−3と、同様に反射板200上に垂直方向に配列され、第2の周波数帯の一例としての高周波数帯において電波を送受信する第2のアンテナ素子の一例としての高周波数帯用ダイポール素子120−1〜120−6と、同様に反射板200上に垂直方向に配列された導電材料で構成された導体130−1〜130−4とを備えている。なお、導体130−1〜130−4をそれぞれ区別しないときは、導体130と表記する。
低周波数帯用ダイポール素子110、高周波数帯用ダイポール素子120、導体130は、導電材料で構成されていればよく、例えばAl、Cuなどの金属板が適用できる。また、板状に限らず、Al、Cuなどの金属棒であってもよい。さらに、低周波数帯用ダイポール素子110、高周波数帯用ダイポール素子120、導体130は、ガラスエポキシなどの誘電材料で構成された基板上に設けられたAl、Cuなどの金属層によって構成されたものであってもよい。
図2では、低周波数帯用ダイポール素子110、高周波数帯用ダイポール素子120、導体130は、ガラスエポキシなどの誘電材料で構成された基板上に設けられた金属層を想定して表示している。なお、誘電材料で構成された基板の表記は省略している。他の図でも同様である。
【0019】
反射板200は、導電材料で構成された板状の部材であって、ここでは、長手方向が垂直方向に設けられている。反射板には、例えばAl、Cuなどの金属板が適用できる。また、ガラスエポキシなどの誘電材料で構成された基板上に設けられたAl、Cuなどの金属層であってもよい。
【0020】
低周波数帯用ダイポール素子110(低周波数帯用ダイポール素子110−1〜110−3)は、反射板200から予め定められた第1の距離(後述する
図3における距離D
L)離れて、垂直方向に間隔P
Lで配列されている。なお、それぞれの低周波数帯用ダイポール素子110は、一対の素子部が水平方向に並ぶように設けられ、水平偏波を送受信する。
高周波数帯用ダイポール素子120(高周波数帯用ダイポール素子120−1〜120−6)は、反射板200から低周波数帯用ダイポール素子110が設けられた側に、予め定められた第2の距離(後述する
図3における距離D
H)離れて、垂直方向に間隔P
Hで配列されている。なお、それぞれの高周波数帯用ダイポール素子120も、一対の素子部が水平方向に並ぶように設けられ、水平偏波を送受信するように配置されている。なお、間隔P
L=2×間隔P
Hである。
低周波数帯用ダイポール素子110−1〜110−3、高周波数帯用ダイポール素子120−1〜120−6には、不図示の給電手段を備え、送受信信号が供給される。
一方、導体130−1〜導体130−4は、反射板200から低周波数帯用ダイポール素子110が設けられた側に、反射板200から予め定められた第3の距離(後述する
図3における距離D
C)離れて配列されている。なお、それぞれの導体130は、水平方向に設けられた棒状又は板状であって、給電手段は備えていない。
【0021】
低周波数帯用ダイポール素子110、高周波数帯用ダイポール素子120、導体130は、それぞれの中点から反射板200に下した垂線が反射板200と交わる点が、反射板200上において、垂直方向の一直線上に並ぶように配置されている。
そして、2個の低周波数帯用ダイポール素子110の間に、2個の高周波数帯用ダイポール素子120が配置されている。例えば、低周波数帯用ダイポール素子110−1と低周波数帯用ダイポール素子110−2との間に、高周波数帯用ダイポール素子120−2、120−3が設けられている。
また、導体130は、2個の低周波数帯用ダイポール素子110の間に設けられた2個の高周波数帯用ダイポール素子120の間に配置されている。例えば、導体130−2は、2個の低周波数帯用ダイポール素子110−1、110−2の間に設けられた高周波数帯用ダイポール素子120−2と高周波数帯用ダイポール素子120−3との間に設けられている。導体130−2は、高周波数帯用ダイポール素子120−2、120−3のそれぞれから間隔P
H/2離れて配置されている。
すなわち、低周波数帯用ダイポール素子110、高周波数帯用ダイポール素子120とは混在して配列されている。このように配列することにより、それぞれを別に配列する場合に比べ、アレイアンテナ100の垂直方向の長さを短くすることができる。
【0022】
導体130は、高周波数帯用ダイポール素子120の低周波数帯用ダイポール素子110が配置されていない側に配置されている。すなわち、高周波数帯用ダイポール素子120は、低周波数帯用ダイポール素子110と導体130とに挟まれている。
以上のように、アレイアンテナ100では、垂直方向に、低周波数帯用ダイポール素子110、高周波数帯用ダイポール素子120、導体130、高周波数帯用ダイポール素子120、低周波数帯用ダイポール素子110が、繰り返すように配列されている。
【0023】
すなわち、隣接する2個の低周波数帯用ダイポール素子110の間に、2個の高周波数帯用ダイポール素子120が挟まれている。高周波数帯用ダイポール素子120から見ると、垂直方向の一方に低周波数帯用ダイポール素子110が配置されているが、他方には低周波数帯用ダイポール素子110が設けられていない。すなわち、高周波数帯用ダイポール素子120の上下で非対称になっている。そして、高周波数帯用ダイポール素子120の低周波数帯用ダイポール素子110が設けられていない側に、導体130が設けられている。
なお、高周波数帯用ダイポール素子120と低周波数帯用ダイポール素子110との間隔は、場所ごとに異なっていてもよい。
そして、隣接する2個の低周波数帯用ダイポール素子110の間に、3個以上の高周波数帯用ダイポール素子120が挟まれていてもよい。この場合、高周波数帯用ダイポール素子120の垂直方向の上下において、高周波数帯用ダイポール素子120が設けられていない場合には、共に導体130を設ければよい。
【0024】
図2において、反射板200の垂直方向の上端部と下端部とには、導体130−1及び導体130−4が設けられている。すなわち、上記の低周波数帯用ダイポール素子110、高周波数帯用ダイポール素子120、導体130、高周波数帯用ダイポール素子120、低周波数帯用ダイポール素子110の配列の繰り返しにおいて、導体130が上端部及び下端部に残るように切られた配列になっている。
なお、低周波数帯用ダイポール素子110が上端部及び下端部に残るように切られた配列でもよい。また、低周波数帯用ダイポール素子110が上端部又は下端部の一方に残り、導体130が上端部又は下端部の他方に残るように切られた配列としてもよい。
しかし、後述するように、指向性におけるサイドローブの発生を抑制するためには、高周波数帯用ダイポール素子120が上端部及び下端部のいずれにおいても残らないのが好ましい。
【0025】
なお、低周波数帯用ダイポール素子110、高周波数帯用ダイポール素子120、導体130の個数は上記の数値に限定されない。
【0026】
レドーム500は、例えば円筒状であって、壁部501、蓋部502、底部503を備え、壁部501、蓋部502、底部503で囲まれた内部に、アレイアンテナ100を格納している。
【0027】
セクタアンテナ10は、低周波数帯の水平偏波を送受信する低周波数帯用ダイポール素子110と高周波数帯の水平偏波を送受信する高周波数帯用ダイポール素子120とを備えることから、周波数共用である。なお、「低周波」及び「高周波」の用語は、2種類のアンテナ素子を区別するために使用する。
【0028】
<アレイアンテナ100>
図3は、第1の実施の形態が適用されるセクタアンテナ10におけるアレイアンテナ100を反射板200に対して垂線方向から見た平面図及び反射板200の垂線方向の断面図である。
図3(a)は、平面図を示し、
図3(b)は、
図3(a)のIIIb−IIIb線での断面図を示す。
低周波数帯用ダイポール素子110は長さW
L、高周波数帯用ダイポール素子120は長さW
H、導体130は長さW
Cである。
なお、前述した低周波数帯用ダイポール素子110の反射板200からの距離D
Lは、反射板200に立てた垂線における反射板200の表面から低周波数帯用ダイポール素子110の垂線方向の中心までの長さである。同様に、前述した高周波数帯用ダイポール素子120の反射板200からの距離D
Hは、反射板200に立てた垂線における反射板200の表面から高周波数帯用ダイポール素子120の垂線方向の中心までの長さである。さらに同様に、前述した導体130の反射板200からの距離D
Cは、反射板200に立てた垂線における反射板200の表面から導体130の垂線方向の中心までの長さである。
【0029】
ここで、低周波数帯の自由空間における波長λ
L、高周波数帯の自由空間における波長λ
Hの場合に、低周波数帯用ダイポール素子110の長さW
Lなどのパラメータについて数値の一例を説明する。
低周波数帯用ダイポール素子110は、長さW
Lが約0.45λ
L、反射板200からの距離D
Lが約0.2λ
Lである。
高周波数帯用ダイポール素子120は、長さW
Hが約0.45λ
H、反射板200からの距離D
Hが約0.25λ
Hである。そして、高周波数帯用ダイポール素子120の間隔P
Hが約0.75λ
Hである。
よって、低周波数帯用ダイポール素子110の間隔P
Lは、2×間隔P
Hの場合、約1.5λ
Hである。
そして、導体130は、長さW
Cが約0.55λ
H、反射板200からの距離D
Cが約0.25λ
Hである。
ここでは、高周波数帯用ダイポール素子120の反射板200からの距離D
Hと、導体130の反射板200からの距離D
Cとが等しく設定されている。なお、距離D
Hと距離D
Cとが異なっていてもよい。
なお、上記のパラメータは、上記以外の数値に設定されてもよい。
【0030】
また、
図2、
図3では、水平偏波と低周波数帯用ダイポール素子110、高周波数帯用ダイポール素子120、導体130の配列方向とが直交するとしたが、交差してもよい。
【0031】
図4は、第1の実施の形態が適用されるアレイアンテナ100において、2個の低周波数帯用ダイポール素子110の間に挟まれた2個の高周波数帯用ダイポール素子120のそれぞれの垂直面内指向性を示す図である。
図4(a)は、垂直方向上側に配置された高周波数帯用ダイポール素子120の指向性を示し、
図4(b)は、垂直方向下側に配置された高周波数帯用ダイポール素子120の指向性を示す。なお、本明細書では、指向性のグラフにおいて、垂直方向を0°とし、反射板200から低周波数帯用ダイポール素子110、高周波数帯用ダイポール素子120、導体130が配置されている方向を90°としている。
【0032】
図4に示した高周波数帯用ダイポール素子120の垂直面内指向性について、
図2、
図3で説明する。2個の低周波数帯用ダイポール素子110の間に挟まれた2個の高周波数帯用ダイポール素子120とは、例えば、低周波数帯用ダイポール素子110−1と低周波数帯用ダイポール素子110−2とに挟まれた、高周波数帯用ダイポール素子120−2及び高周波数帯用ダイポール素子120−3である。そして、高周波数帯用ダイポール素子120−3が垂直方向上側に配置された高周波数帯用ダイポール素子120であり、高周波数帯用ダイポール素子120−2が垂直方向下側に配置された高周波数帯用ダイポール素子120である。
【0033】
図4(a)、(b)に示すように、垂直方向上側に配置された高周波数帯用ダイポール素子120(例えば、高周波数帯用ダイポール素子120−3)の指向性と垂直方向下側に配置された高周波数帯用ダイポール素子120(例えば、高周波数帯用ダイポール素子120−2)の指向性とで差が、後述する
図8で示す第1の実施の形態が適用されないアレイアンテナ100の高周波数帯用ダイポール素子120に比べて小さい。
これは、後述するように、2個の高周波数帯用ダイポール素子120(例えば、高周波数帯用ダイポール素子120−2、120−3)の間に導体130(例えば、導体130−2)を設けていることによる。
【0034】
図5は、第1の実施の形態が適用されるアレイアンテナ100における、高周波数帯の水平偏波における垂直面内指向性と、低周波数帯の水平偏波における垂直面内指向性とを示す図である。
図5(a)は、高周波数帯の水平偏波における垂直面内指向性を示し、
図5(b)は、低周波数帯の水平偏波における垂直面内指向性を示す。
なお、
図5(a)に示す高周波数帯の水平偏波における垂直面内指向性は、
図4(a)、(b)に示した高周波数帯用ダイポール素子120を12個合成した指向性である。
【0035】
図5(a)、(b)に示すように、高周波数帯の水平偏波における垂直面内指向性及び低周波数帯の水平偏波における垂直面内指向性は、いずれも90°方向に鋭いピークを有している。
特に、
図5(a)に示す高周波数帯の水平偏波における垂直面内指向性は、後述する
図9(a)で示す第1の実施の形態が適用されないアレイアンテナ100の場合に比べてサイドローブが小さく抑制されている。
【0036】
図6は、第1の実施の形態が適用されないセクタアンテナ10の一例を示す斜視図である。
図6に示す第1の実施の形態が適用されないセクタアンテナ10は、
図2に示した第1の実施の形態が適用されるセクタアンテナ10のアレイアンテナ100における導体130を備えていない。他の構成は、
図2に示した第1の実施の形態が適用されるセクタアンテナ10と同様であるので、同じ符号を付して説明を省略する。
【0037】
図7は、第1の実施の形態が適用されないセクタアンテナ10におけるアレイアンテナ100を反射板200の垂線方向から見た平面図及び反射板200の垂線方向の断面図である。
図7(a)は、平面図を示し、
図7(b)は、VIIb−VIIb線での断面図を示す。
図7に示す第1の実施の形態が適用されないアレイアンテナ100は、
図3に示した第1の実施の形態が適用されるアレイアンテナ100における導体130を備えていない。他の構成は、
図3に示した第1の実施の形態が適用されるアレイアンテナ100と同様であるので、同じ符号を付して説明を省略する。
【0038】
図8は、第1の実施の形態が適用されないアレイアンテナ100において、2個の低周波数帯用ダイポール素子110の間に挟まれた2個の高周波数帯用ダイポール素子120のそれぞれの垂直面内指向性を示す図である。
図8(a)は、垂直方向上側に配置された高周波数帯用ダイポール素子120の指向性を示し、
図8(b)は、垂直方向下側に配置された高周波数帯用ダイポール素子120の指向性を示す。
【0039】
図8に示した高周波数帯用ダイポール素子120の垂直面内指向性について、
図6、
図7で説明する。2個の低周波数帯用ダイポール素子110の間に挟まれた2個の高周波数帯用ダイポール素子120とは、例えば、低周波数帯用ダイポール素子110−1と低周波数帯用ダイポール素子110−2とに挟まれた、高周波数帯用ダイポール素子120−2及び高周波数帯用ダイポール素子120−3である。そして、高周波数帯用ダイポール素子120−3が垂直方向上側に配置された高周波数帯用ダイポール素子120であり、高周波数帯用ダイポール素子120−2が垂直方向下側に配置された高周波数帯用ダイポール素子120である。
【0040】
図8(a)、(b)に示すように、垂直方向上側に配置された高周波数帯用ダイポール素子120(例えば、高周波数帯用ダイポール素子120−3)の指向性と垂直方向下側に配置された高周波数帯用ダイポール素子120(例えば、高周波数帯用ダイポール素子120−2)の指向性とで差がある。
すなわち、
図8(a)に示す垂直方向上側に配置された高周波数帯用ダイポール素子120では、135°方向にピークを有する指向性を示している。
一方、
図8(b)に示す垂直方向下側に配置された高周波数帯用ダイポール素子120では、45°方向にピークを有する指向性を示している。
これらの指向性は、
図4に示した、第1の実施の形態が適用されるアレイアンテナ100における高周波数帯用ダイポール素子120の指向性と異なっている。
【0041】
図9は、第1の実施の形態が適用されないアレイアンテナ100における、高周波数帯の水平偏波における垂直面内指向性と、低周波数帯の水平偏波における垂直面内指向性を示す図である。
図9(a)は、高周波数帯の水平偏波における垂直面内指向性を示し、
図9(b)は、低周波数帯の水平偏波における垂直面内指向性を示す。
なお、
図9(a)に示す高周波数帯の水平偏波における垂直面内指向性は、
図8(a)、(b)に示した高周波数帯用ダイポール素子120を12個合成した指向性である。
【0042】
図9(a)に示すように、高周波数帯の水平偏波は、垂直面内において、90°方向に強いピークを有するが、50°方向及び130°方向に大きなサイドローブが発生している。これは、
図8(a)、(b)に示した2個の高周波数帯用ダイポール素子120が45°方向及び135°方向にピークを有していたことによる。この指向性は、
図5(a)に示した第1の実施の形態が適用されるアレイアンテナ100における高周波数帯の水平偏波における垂直面内指向性と異なっている。
一方、
図9(b)に示す低周波数帯の水平偏波における垂直面内指向性は、
図5(b)に示した第1の実施の形態が適用されるアレイアンテナ100における低周波数帯の水平偏波における垂直面内指向性との差が少ない。
【0043】
次に、第1の実施の形態が適用されるアレイアンテナ100と第1の実施の形態が適用されないアレイアンテナ100とで、高周波数帯の水平偏波において、指向性が異なる要因について説明する。
図10は、第1の実施の形態が適用されるアレイアンテナ100と第1の実施の形態が適用されないアレイアンテナ100とで、高周波数帯の水平偏波における垂直面内指向性が異なる要因について説明する図である。
図10(a)は、第1の実施の形態が適用されるアレイアンテナ100を示し、
図10(b)は、第1の実施の形態が適用されないアレイアンテナ100を示す。
図10(a)、(b)は、ともに断面図であって、
図10(a)は
図3(b)における低周波数帯用ダイポール素子110−1と低周波数帯用ダイポール素子110−2とで挟まれた範囲を示し、
図10(b)は
図7(b)における低周波数帯用ダイポール素子110−1と低周波数帯用ダイポール素子110−2とで挟まれた範囲を示している。
【0044】
図10(a)に示す第1の実施の形態が適用されるアレイアンテナ100では、例えば、高周波数帯用ダイポール素子120−2から出射された電波の一部αは、低周波数帯用ダイポール素子110−1によって反射された後、反射板200から遠い側に向かう。また、高周波数帯用ダイポール素子120−2から出射された電波の他の一部βは、導体130−2によって反射された後、反射板200から遠い側に向かう。
第1の実施の形態が適用されるアレイアンテナ100では、高周波数帯用ダイポール素子120−2に対して、垂直方向に対称の位置又は対象に近い位置に低周波数帯用ダイポール素子110−1及び導体130−2が設けられている。これにより、高周波数帯用ダイポール素子120−2が出射する電波の指向性が、
図4(b)に示したように、垂直面内において、上下対称に近くなる。
高周波数帯用ダイポール素子120−3においても同様である。
【0045】
これに対して、
図10(b)に示す第1の実施の形態が適用されないアレイアンテナ100では、例えば、高周波数帯用ダイポール素子120−2から出射された電波の一部αは、低周波数帯用ダイポール素子110−1によって反射された後、反射板200から遠い側に向かう。しかし、高周波数帯用ダイポール素子120−2から出射された電波の他の一部βは、導体130−2が設けられていないので、そのまま直進し、反射板200から遠い側に向かう。
第1の実施の形態が適用されないアレイアンテナ100では、高周波数帯用ダイポール素子120−2が出射する電波の指向性が、
図8(b)に示したように、垂直面内において、上下対称にならない。
高周波数帯用ダイポール素子120−3においても同様である。
【0046】
以上説明したように、第1の実施の形態が適用されるアレイアンテナ100では、2個の低周波数帯用ダイポール素子110の間に挟まれた2個の高周波数帯用ダイポール素子120の間に、低周波数帯用ダイポール素子110と同様に、高周波数帯用ダイポール素子120から出射された電波を反射する機能を有する導体130を設けることで、垂直面内指向性を、垂直方向において上下対称になるようにしている。
これにより、アレイアンテナ100の高周波数帯の水平偏波において垂直面内指向性にサイドローブが発生することを抑制している。
【0047】
よって、導体130の反射板200からの距離D
Cは、アレイアンテナ100の高周波数帯の水平偏波における垂直面内指向性に、サイドローブが発生することが抑制できる位置であればよい。
上記においては、導体130の反射板200からの距離D
Cは、高周波数帯用ダイポール素子120の反射板200からの距離D
Hと同じとしたが、低周波数帯用ダイポール素子110の反射板200からの距離D
Lと同じであってもよく、距離D
Hと距離D
Lとの間であってもよい。さらに、距離D
Hより小さくともよく、距離D
Lより大きくともよい。
【0048】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態では、セクタアンテナ10(アレイアンテナ100)は、低周波数帯及び高周波数帯の水平偏波を送受信する周波数共用とした。
第2の実施の形態では、セクタアンテナ10(アレイアンテナ100)は、低周波数帯及び高周波数帯において、水平偏波及び垂直偏波を送受信する周波数共用且つ偏波共用である。
以下では、第1の実施の形態と異なるセクタアンテナ10及びアレイアンテナ100を説明する。
【0049】
<セクタアンテナ10>
図11は、第2の実施の形態が適用されるセクタアンテナ10の一例を示す斜視図である。
第2の実施の形態が適用されるセクタアンテナ10は、
図2に示した第1の実施の形態が適用されるセクタアンテナ10とは、アレイアンテナ100が異なっている。以下では、異なる部分を説明し、同様な部分は同じ符号を付して説明を省略する。
【0050】
第2の実施の形態が適用されるセクタアンテナ10におけるアレイアンテナ100は、
図2に示した第1の実施の形態が適用されるセクタアンテナ10が備える、水平偏波を送受信する低周波数帯用ダイポール素子110−1〜110−3、高周波数帯用ダイポール素子120−1〜120−6、導体130−1〜130−4に加え、垂直偏波を送受信する第3のアンテナ素子の一例としての低周波数帯用ダイポール素子111−1〜111−3、低周波数帯用ダイポール素子112−1〜112−3、第4のアンテナ素子の一例としての高周波数帯用ダイポール素子121−1〜121−6を備えている。なお、低周波数帯用ダイポール素子111−1〜111−3をそれぞれ区別しないときは低周波数帯用ダイポール素子111と、低周波数帯用ダイポール素子112−1〜112−3をそれぞれ区別しないときは低周波数帯用ダイポール素子112と、高周波数帯用ダイポール素子121−1〜121−6をそれぞれ区別しないときは高周波数帯用ダイポール素子121と表記する。
【0051】
そして、低周波数帯用ダイポール素子111と低周波数帯用ダイポール素子112とは、それぞれが垂直方向に並べて設けられた一対の素子部を備え、低周波数帯用ダイポール素子110の水平方向の一端部と他端部とに設けられている。例えば、低周波数帯用ダイポール素子111−1と低周波数帯用ダイポール素子112−1は、低周波数帯用ダイポール素子110−1の一端部と他端部とに設けられている。
一方、高周波数帯用ダイポール素子121は、垂直方向に並べて設けられた一対の素子部を備え、高周波数帯用ダイポール素子120と、十字状に組み合わされて設けられている。例えば、高周波数帯用ダイポール素子121−1は、高周波数帯用ダイポール素子120−1と、十字状に組み合わされて設けられている。
【0052】
低周波数帯用ダイポール素子111、低周波数帯用ダイポール素子112、高周波数帯用ダイポール素子121は、低周波数帯用ダイポール素子110、高周波数帯用ダイポール素子120、導体130と同様に、導電材料で構成されていればよく、例えばAl、Cuなどの金属板が適用できる。また、板状に限らず、Al、Cuなどの金属棒であってもよい。さらに、低周波数帯用ダイポール素子110、高周波数帯用ダイポール素子120、導体130と同様に、低周波数帯用ダイポール素子111、低周波数帯用ダイポール素子112、高周波数帯用ダイポール素子121は、ガラスエポキシなどの誘電材料で構成された基板上に設けられたAl、Cuなどの金属層によって構成されたものであってもよい。
【0053】
そして、セクタアンテナ10は、第1の実施の形態の低周波数帯及び高周波数帯の水平偏波の送受信ケーブル31、32に加えて、低周波数帯及び高周波数帯の垂直偏波の送受信ケーブル33、34を備えている。
なお、低周波数帯用ダイポール素子110、111、112、高周波数帯用ダイポール素子120、121、導体130の個数は上記の数値に限定されない。
【0054】
<アレイアンテナ100>
図12は、第2の実施の形態が適用されるセクタアンテナ10におけるアレイアンテナ100を反射板200の垂線方向から見た平面図及び反射板200の垂線方向の断面図である。
図12(a)は、平面図を示し、
図12(b)は、
図12(a)におけるXIIb−XIIb線での断面図を示す。
低周波数帯用ダイポール素子110、高周波数帯用ダイポール素子120、導体130のパラメータ(低周波数帯用ダイポール素子110の長さW
Lなど)は第1の実施の形態と同様である。
そして、低周波数帯用ダイポール素子111と低周波数帯用ダイポール素子112は、低周波数帯用ダイポール素子110と同様に長さW
Lであって、反射板200から距離D
Lに設けられている。
高周波数帯用ダイポール素子121は、高周波数帯用ダイポール素子120と同様に長さW
Hであって、反射板200から距離D
Hに設けられている。
【0055】
第2の実施の形態におけるアレイアンテナ100においても、高周波数帯用ダイポール素子120、121は、垂直方向に、低周波数帯用ダイポール素子110と導体130とで挟まれている。よって、垂直方向において、水平偏波の出射する電波が対称に反射させることができる。
これにより、アレイアンテナ100の高周波数帯の水平偏波における垂直面内指向性にサイドローブが発生することを抑制できる。
【0056】
ここでは、低周波数帯及び高周波数帯において偏波共用としたが、一方のみを偏波共用としてもよい。また、低周波数帯用ダイポール素子111及び低周波数帯用ダイポール素子112の反射板200から距離は、必ずしも低周波数帯用ダイポール素子110の反射板200から距離D
Lと同じでなくてもよく、距離D
Lと異なる距離D
L′としてもよい。同様に、高周波数帯用ダイポール素子121の反射板200から距離は、必ずしも高周波数帯用ダイポール素子120の反射板200から距離D
Hと同じでなくてもよく、距離D
Hと異なる距離D
H′としてもよい。
【0057】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態が適用されるセクタアンテナ10(アレイアンテナ100)は、第2の実施の形態が適用されるセクタアンテナ10(アレイアンテナ100)と同様に低周波数帯及び高周波数帯の垂直偏波及び水平偏波を送受信する周波数共用且つ偏波共用である。
第3の実施の形態が適用されるセクタアンテナ10は、
図11に示した第2の実施の形態が適用されるセクタアンテナ10と、アレイアンテナ100が異なっている。以下では、異なる部分を説明し、同様な部分は同じ符号を付して説明を省略する。
【0058】
<セクタアンテナ10>
図13は、第3の実施の形態が適用されるセクタアンテナ10の一例を示す斜視図である。
第3の実施の形態が適用されるセクタアンテナ10におけるアレイアンテナ100は、
図2に示した第1の実施の形態における水平偏波を送受信する低周波数帯用ダイポール素子110−1〜110−3、高周波数帯用ダイポール素子120−1〜120−6を備えている。なお、高周波数帯用ダイポール素子120−1〜120−6は、第1の実施の形態と異なって、水平方向にずらして配置されている。
そして、高周波数帯用ダイポール素子120−1〜120−6と同様に、それぞれが水平方向に並べられた一対の素子部を備えて垂直方向に配置され、水平偏波を送受信する第2のアンテナ素子の他の一例としての高周波数帯用ダイポール素子122−1〜122−6を備えている。
高周波数帯用ダイポール素子120−1〜120−6と高周波数帯用ダイポール素子122−1〜122−6とは、添字(−1など)が同じものが、水平方向に並べて設けられている。
【0059】
そして、垂直偏波を送受信するために、第3のアンテナ素子の他の一例としての低周波数帯用ダイポール素子113−1〜113−3、第4のアンテナ素子の他の一例としての高周波数帯用ダイポール素子121−1〜121−6、高周波数帯用ダイポール素子123−1〜123−6を備えている。
さらに、第1の実施の形態及び第2の実施の形態における導体130−1〜130−4に代えて、導体131−1〜131−4、導体132−1〜132−4が設けられている。
低周波数帯用ダイポール素子113−1〜113−3、高周波数帯用ダイポール素子122−1〜122−6、高周波数帯用ダイポール素子123−1〜123−6をそれぞれ区別しないときは、低周波数帯用ダイポール素子113、高周波数帯用ダイポール素子122、高周波数帯用ダイポール素子123と表記する。また、導体131−1〜131−4、導体132−1〜132−4をそれぞれ区別しないときは、導体131、導体132と表記する。
【0060】
低周波数帯用ダイポール素子113、高周波数帯用ダイポール素子121、高周波数帯用ダイポール素子122、高周波数帯用ダイポール素子123、導体131、導体132は、低周波数帯用ダイポール素子110、高周波数帯用ダイポール素子120と同様に、導電材料で構成されていればよく、例えばAl、Cuなどの金属板が適用できる。また、板状に限らず、Al、Cuなどの金属棒であってもよい。さらに、低周波数帯用ダイポール素子110、高周波数帯用ダイポール素子120と同様に、低周波数帯用ダイポール素子113、高周波数帯用ダイポール素子121、高周波数帯用ダイポール素子122、高周波数帯用ダイポール素子123、導体131、導体132は、ガラスエポキシなどの誘電材料で構成された基板上に設けられたAl、Cuなどの金属層によって構成されたものであってもよい。
【0061】
低周波数帯用ダイポール素子113は、低周波数帯用ダイポール素子110と十字状に組み合わされて設けられている。例えば、低周波数帯用ダイポール素子113−1は、低周波数帯用ダイポール素子110−1と、十字状に組み合わされて設けられている。
高周波数帯用ダイポール素子121は、第2の実施の形態と同様に、高周波数帯用ダイポール素子120と、十字状に組み合わされて設けられている。例えば、高周波数帯用ダイポール素子121−1は、高周波数帯用ダイポール素子120−1と、十字状に組み合わされて設けられている。
さらに、高周波数帯用ダイポール素子123は、高周波数帯用ダイポール素子122と、十字状に組み合わされて設けられている。例えば、高周波数帯用ダイポール素子123−1は、高周波数帯用ダイポール素子122−1と、十字状に組み合わされて設けられている。
【0062】
さらに、導体131は、反射板200を含む面と平行な面における平面形状がH字状であって、2個の低周波数帯用ダイポール素子110の間に設けられた2個の高周波数帯用ダイポール素子120の間に設けられている。例えば、低周波数帯用ダイポール素子110−1と低周波数帯用ダイポール素子110−2との間に設けられた高周波数帯用ダイポール素子120−2と高周波数帯用ダイポール素子120−3との間に、導体131−2が設けられている。
導体132は、導体131と同様に反射板200を含む面と平行な面における平面形状がH字状であって、2個の低周波数帯用ダイポール素子110の間に設けられた2個の高周波数帯用ダイポール素子122の間に設けられている。例えば、低周波数帯用ダイポール素子110−1と低周波数帯用ダイポール素子110−2との間に設けられた高周波数帯用ダイポール素子122−2と高周波数帯用ダイポール素子122−3との間に、導体132−2が設けられている。
【0063】
そして、セクタアンテナ10は、第1の実施の形態の低周波数帯及び高周波数帯の水平偏波の送受信ケーブル31、32に加えて、低周波数帯及び高周波数帯の垂直偏波の送受信ケーブル33、34を備えている。
なお、低周波数帯用ダイポール素子110、113、高周波数帯用ダイポール素子120、121、122、123、導体131、132の個数は上記の数値に限定されない。
また、導体131と導体132とを含む面は、必ずしも反射板200と平行でなくともよく、例えば、反射板200に対して垂直方向や、45度に回転した面であってもよい。
そして、導体131と導体132は、面状ではなく、棒状の導体をH字状やコの字状に曲げたものであってもよい。さらに、端部に中央部を構成する部材と向きが異なる部材を備えた形状であってもよい。このとき、これらの部材が直流的に接続されていることが好ましい。
【0064】
<アレイアンテナ100>
図14は、第3の実施の形態が適用されるセクタアンテナ10におけるアレイアンテナ100を反射板200の垂線方向から見た平面図及び反射板200の垂線方向の断面図である。
図14(a)は、平面図を示し、
図14(b)は、
図14(a)のXIVb−XIVb線での断面図を示す。
低周波数帯用ダイポール素子110、高周波数帯用ダイポール素子120のパラメータ(低周波数帯用ダイポール素子110の長さW
Lなど)は第1の実施の形態と同様である。
さらに、低周波数帯用ダイポール素子113のパラメータは、低周波数帯用ダイポール素子110と同じであり、高周波数帯用ダイポール素子121、122、123のパラメータは、高周波数帯用ダイポール素子120と同じである。
そして、導体131、132は、反射板200から距離D
Cの位置に設けられている。
【0065】
導体131、132のH字型の平面形状は、導体131、132の電気的な長さを等価的に長くするためである。長くすることで、導体131、132を反射器として動作させ、高周波数帯用ダイポール素子120が出射する電波の、低周波数帯用ダイポール素子110による反射と、導体131又は導体132による反射とのバランスを取って、垂直面内の上側と下側とで指向性の対称性を確保するためである。これにより、アレイアンテナ100において、高周波数帯の水平偏波における垂直面内指向性に発生するサイドローブを抑制している。
【0066】
以上説明したように、第3の実施の形態が適用されるアレイアンテナ100においても、水平偏波の送受信に用いられる高周波数帯用ダイポール素子120は、垂直方向の両側に、低周波数帯用ダイポール素子110又は導体131のいずれか一方が隣接する。同様に、高周波数帯用ダイポール素子122は、垂直方向の両側に、低周波数帯用ダイポール素子110又は導体132のいずれか一方が隣接する。よって、アレイアンテナ100において、高周波数帯の水平偏波における垂直面内指向性に発生するサイドローブが抑制されている。
【0067】
第3の実施の形態におけるアレイアンテナ100においても、高周波数帯用ダイポール素子120は、垂直方向には、低周波数帯用ダイポール素子110と導体131とで挟まれている。また、高周波数帯用ダイポール素子122は、垂直方向には、低周波数帯用ダイポール素子110と導体132とで挟まれている。
よって、アレイアンテナ100の高周波数帯の水平偏波における垂直面内指向性のサイドローブのレベルを抑制できる。
【0068】
ここでは、低周波数帯及び高周波数帯において偏波共用としたが、一方のみを偏波共用としてもよい。
また、第1の実施の形態及び第2の実施の形態における導体130の平面形状をH字状又はコの字状としてもよい。
【0069】
第1の実施の形態乃至第3の実施の形態において、導体130、131、132は導電材料で構成された導体であるとしたが、電波を反射する機能を有するものであればよく、金属材料より電気伝導度が低い炭素材料などを使用できる。
【0070】
第1の実施の形態乃至第3の実施の形態において、反射板200は、平坦な板状としたが、水平方向の両端部が、低周波数帯用ダイポール素子110、高周波数帯用ダイポール素子120などが設けられた側に折り曲げられていてもよく、高周波数帯用ダイポール素子120などが設けられた側と反対側に折り曲げられていてもよい。
さらに、第1の実施の形態及び第2の実施の形態の導体130、第3の実施の形態におの導体131、132は、無給電であって、いずれにも接続されていないとしたが、反射板200に電気的に接続されていてもよい。
【0071】
さらに、第1の実施の形態の低周波数帯用ダイポール素子110、高周波数帯用ダイポール素子120、第2の実施の形態の低周波数帯用ダイポール素子110、111、112、高周波数帯用ダイポール素子120、121、第3の実施の形態の低周波数帯用ダイポール素子110、113、高周波数帯用ダイポール素子120、121、122、123の一部又は全てに、反射板200から遠い側に電圧定在波比(VSWR)や指向性などの特性を調整するための無給電素子が設けられていてもよい。
【0072】
第2の実施の形態及び第3の実施の形態では、垂直偏波及び水平偏波を送受信するとした。
しかし、第2の実施の形態においては、添字(−1など)が等しい低周波数帯用ダイポール素子110、111、112を組にして低周波数帯用ダイポール素子110の中心で45°回転させるとともに、添字(−1など)が等しい高周波数帯用ダイポール素子120、121を組にして、高周波数帯用ダイポール素子120、121の中心で45°回転させることで、±45°の偏波を送受信することができる。
このとき、アレイアンテナ100は、垂直偏波及び水平偏波でなく、±45°の偏波を送受信することになる。よって、「垂直」、「水平」を「45°」、「−45°」と読み替えればよい。他の角度の偏波であっても同様である。
【0073】
本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。