(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1から第3アウター層のうち、前記機能性フィルムと接触するアウター層のヤング率は、いずれも、周波数100Hz,温度20℃において、560MPa以上である、請求項1に記載の合わせガラス。
前記外側ガラス板側に配置される前記アウター層のヤング率が、前記内側ガラス板側に配置される前記アウター層のヤング率よりも大きい、請求項1から7のいずれに記載の合わせガラス。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る合わせガラスの一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係る合わせガラスの断面図である。同図に示すように、本実施形態に係る合わせガラスは、外側ガラス板1、内側ガラス板2、及びこれらのガラスの間に挟持される中間膜3で構成されている。外側ガラス板1とは、外乱を受けやすい側に配置されるガラス板であり、内側ガラス板2は、その反対側に配置されるガラス板である。したがって、例えば、この合わせガラスを自動車のガラスとして用いる場合には、車外側のガラス板が外側ガラス板になり、建築材として用いる場合には、屋外を向く側が外側ガラス板になる。但し、受け得る外乱によっては、これとは反対の配置になることもある。以下、各部材について説明する。
【0021】
<1.外側ガラス板及び内側ガラス板>
外側ガラス板1及び内側ガラス板2は、公知のガラス板を用いることができ、熱線吸収ガラス、一般的なクリアガラスやグリーンガラス、またはUVグリーンガラスで形成することもできる。但し、この合わせガラスを自動車の窓に用いる場合には、自動車が使用される国の安全規格に沿った可視光線透過率を実現する必要がある。例えば、外側ガラス板1により必要な日射吸収率を確保し、内側ガラス板2により可視光線透過率が安全規格を満たすように調整することができる。以下に、クリアガラスの組成の一例と、熱線吸収ガラス組成の一例を示す。
【0022】
(クリアガラス)
SiO
2:70〜73質量%
Al
2O
3:0.6〜2.4質量%
CaO:7〜12質量%
MgO:1.0〜4.5質量%
R
2O:13〜15質量%(Rはアルカリ金属)
Fe
2O
3に換算した全酸化鉄(T−Fe
2O
3):0.08〜0.14質量%
【0023】
(熱線吸収ガラス)
熱線吸収ガラスの組成は、例えば、クリアガラスの組成を基準として、Fe
2O
3に換算した全酸化鉄(T−Fe
2O
3)の比率を0.4〜1.3質量%とし、CeO
2の比率を0〜2質量%とし、TiO
2の比率を0〜0.5質量%とし、ガラスの骨格成分(主に、SiO
2やAl
2O
3)をT−Fe
2O
3、CeO
2およびTiO
2の増加分だけ減じた組成とすることができる。
【0024】
本実施形態に係る合わせガラスの厚みは特には限定されないが、軽量化の観点からは、外側ガラス板1と内側ガラス板2の厚みの合計を、2.4〜3.8mmとすることが好ましく、2.6〜3.4mmとすることがさらに好ましく、2.7〜3.2mmとすることが特に好ましい。このように、軽量化のためには、外側ガラス板1と内側ガラス板2との合計の厚みを小さくすることが必要であるので、各ガラス板のそれぞれの厚みは、特には限定されないが、例えば、以下のように、外側ガラス板1と内側ガラス板2の厚みを決定することができる。
【0025】
外側ガラス板1は、主として、外部からの障害に対する耐久性、耐衝撃性が必要であり、例えば、この合わせガラスを自動車のウインドシールドとして用いる場合には、小石などの飛来物に対する耐衝撃性能が必要である。他方、厚みが大きいほど重量が増し好ましくない。この観点から、外側ガラス板1の厚みは1.8mm以上、1.9mm以上、2.0mm以上、2.1mm以上、2.2mm以上の順で好ましい。一方、外側ガラス板1の厚みの上限は、5.0mm以下、4.0mm以下、3.1mm以下、2.5mm以下、2.4mm以下の順で好ましい。この中で、2.1mmより大きく2.5mm以下、特に、2.2mm以上2.4mm以下が好ましい。何れの厚みを採用するかは、ガラスの用途に応じて決定することができる。
【0026】
内側ガラス板の厚みは、外側ガラス板1と同等にすることができるが、例えば、合わせガラスの軽量化のため、外側ガラス板1よりも厚みを小さくすることができる。具体的には、0.6mm以上、0.8mm以上、1.0mm以上、1.3mm以上の順で好ましい。一方、内側ガラス板2の厚みt2の上限は、1.8mm以下、1.6mm以下、1.4mm以下、1.3mm以下、1.1mm未満の順で好ましい。この中で、例えば、0.6mm以上1.1mm未満が好ましい。内側ガラス板2についても、何れの厚みを採用するかは、ガラスの用途に応じて決定することができる。
【0027】
また、本実施形態に係る外側ガラス板1及び内側ガラス板2の形状は、平面形状及び湾曲形状のいずれであってもよい。しかしながら、後述するガラスの音響透過損失(STL:Sound Transmission Loss)は湾曲形状の方が低下するため、湾曲形状ガラスは特に音響対策が必要である。湾曲形状の方が平面形状よりSTL値が低下するのは湾曲形状の方が共振モードによる影響が大きいためと考えられる。
【0028】
さらに、ガラスが湾曲形状である場合には、ダブリ量が大きくなると遮音性能が低下するとされている。ダブリ量とは、ガラス板の曲げを示す量であり、例えば、
図2に示すように、ガラス板の上辺の中央と下辺の中央とを結ぶ直線Lを設定したとき、この直線Lとガラス板との距離のうち最も大きいものをダブリ量Dと定義する。
【0029】
図3は、湾曲形状のガラス板と、平面形状のガラス板の、一般的な周波数と音響透過損失の関係を示すグラフである。
図3によれば、湾曲形状のガラス板は、ダブリ量が30〜38mmの範囲では、音響透過損失に大きな差はないが、平面形状のガラス板と比べると、4000Hz以下の周波数帯域で音響透過損失が低下していることが分かる。したがって、湾曲形状のガラス板を作製する場合、ダブリ量は小さい方がよいが、例えば、ダブリ量が30mmを超える場合には、後述するように、中間膜のコア層のヤング率を18MPa(周波数100Hz,温度20℃)以下とすることが好ましい。
【0030】
ここで、ガラス板が湾曲している場合の厚みの測定方法の一例について説明する。まず、測定位置については、
図4に示すように、ガラス板の左右方向の中央を上下方向に延びる中央線S上の上下2箇所である。測定機器は、特には限定されないが、例えば、株式会社テクロック製のSM−112のようなシックネスゲージを用いることができる。測定時には、平らな面にガラス板の湾曲面が載るように配置し、上記シックネスゲージでガラス板の端部を挟持して測定する。なお、ガラス板が平坦な場合でも、湾曲している場合と同様に測定することができる。
【0031】
<2.中間膜>
中間膜3は、複数の層で形成されており、一例として、
図1に示すように、軟質のコア層31を、これよりも硬質のアウター層321,322で挟持した3層にするとともに、さらに機能性フィルム4及び追加のアウター層323を外側ガラス板1側に設けた5層構造としている。但し、この構成に限定されるものではなく、コア層31を中心に両側にそれぞれ2層以上の偶数の数のアウター層を配置した中間膜3、あるいはコア層31を挟んで一方に奇数の数のアウター層、他方の側に偶数の数のアウター層を配置した中間膜3とすることもできる。ここでは、説明の便宜のため、コア層31を挟んで外側ガラス板1側に配置されたアウター層を第1アウター層321、内側ガラス板2側に配置されたアウター層を第2アウター層322、外側ガラス板1に接触するアウター層を第3アウター層323と称し、第1アウター層321と第3アウター層323とで機能性フィルム4が挟持されている。なお、ここではコア層31及びアウター層32の説明を行い、機能性フィルム4については、次項で説明する。
【0032】
コア層31はアウター層321、322、323よりも軟質であるかぎり、その硬さは特には限定されないが、例えば、ヤング率を基準として材料を選択することができる。具体的には、周波数100Hz,温度20度において、1〜18MPaであることが好ましく、1〜14MPaであることがさらに好ましい。このような範囲にすると、概ね3500Hz以下の低周波数域で、STLが低下するのを防止することができる。
【0033】
この点について、本発明者により、一般的にコア層31のヤング率を低下させると、3000〜5000Hzの周波数域で遮音性能が向上することが見出されている。この点について、以下の表1には、クリアガラスからなる外側ガラス板と内側ガラス板、及びコア層とコア層の両側に位置するアウター層で構成された中間膜を有する合わせガラスの遮音性能を示している。外側ガラス板の厚みは2.0mm、内側ガラス板の厚みは1.3mm、中間膜の厚みは、コア層が0.10mm、アウター層が0.33mmであり、合計0.76mmである。以下の表1では、周波数が1250〜10000Hzの間での音響透過損失を示している。具体的には、中間膜のヤング率(周波数100Hz、温度20℃で測定)を25MPa,12.5MPa,及び6.25MPaとした場合の音響透過損失を算出し(算出方法は後述する実施例の方法に従う)、ヤング率が25MPaの場合を基準として(以下の表では基準であるため0としている)、ヤング率が12.5MPa,6.25MPaのときの音響透過損失の差(単位はdB)を示している。このとき、アウター層のヤング率は560MPa、tanδは0.26(温度20℃、周波数100Hz)である。表1によれば、周波数が、3150〜5000Hzの間では、中間膜のヤング率が25MPaから12.5MPa,6.25MPaへと低下するのにしたがって音響透過損失が向上していることが分かる。
【表1】
【0034】
測定方法としては、例えば、Metravib社製固体粘弾性測定装置DMA 50を用い、ひずみ量0.05%にて周波数分散測定を行うことができる。以下、本明細書においては、特に断りのない限り、ヤング率は上記方法での測定値とする。但し、周波数が200Hz以下の場合の測定は実測値を用いるが、200Hzより大きい場合には実測値に基づく算出値を用いる。この算出値とは、実測値からWLF法を用いることで算出されるマスターカーブに基づくものである。
【0035】
一方、アウター層321、322、323のヤング率はコア層31よりも大きいが、少なくとも機能性フィルム4を挟持する第1及び第3アウター層321,323の少なくとも一方のヤング率が、周波数100Hz,温度20度において560MPa以上、600MPa以上、650MPa以上、700MPa以上、750MPa以上、880MPa以上、または1300MPa以上とすることができる。一方、アウター層32321、322、323のヤング率の上限は特には限定されないが、例えば、加工性の観点から設定することができる。例えば、1750MPa以上となると、加工性、特に切断が困難になることが経験的に知られている。また、外側ガラス板1側の第1アウター層321及び第3アウター層323のヤング率を、内側ガラス板2側の第2アウター層322のヤング率よりも大きくすることが好ましい。これにより、車外や屋外からの外力に対する耐破損性能が向上する。
【0036】
また、コア層31のtanδは、周波数100Hz,温度20℃において、0.1〜0.9とすることができる。tanδが上記範囲にあると、遮音性能が向上する。
【0037】
この点について、本発明者により、一般的にコア層のtanδを大きくすると、5000〜10000Hzの周波数域で遮音性能が向上することが見出されている。この点について、以下の表2には、クリアガラスからなる外側ガラス板と内側ガラス板、及びコア層とコア層の両側に位置するアウター層で構成された中間膜を有する合わせガラスの遮音性能を示している。外側ガラス板の厚みは2.0mm、内側ガラス板の厚みは1.3mm、中間膜の厚みは、コア層が0.10mm、アウター層が0.33mmであり、合計0.76mmである。なお、このときのコア層、及びアウター層のヤング率はそれぞれ12.5MPa,560MPaである(周波数100Hz,温度20℃で測定)。以下の表2では、周波数が1250〜10000Hzの間での音響透過損失を示している。具体的には、中間膜のtanδ(周波数100Hz、温度20℃で測定)を0.8,1.2,及び1.6とした場合の音響透過損失を算出し(算出方法は後述する実施例の方法に従う)、tanδが0.8の場合を基準として(以下の表では基準であるため0としている)、tanδが1.2,1.6のときの音響透過損失の差(単位はdB)を示している。なお、アウター層のtanδは、0.26である。表2によれば、周波数が、5000〜10000Hzの間では、中間膜のtanδが0.8から1.2,1.6へと大きくなるのにしたがって音響透過損失が向上していることが分かる。
【表2】
【0038】
また、各層31,321、322、323を構成する材料は、特には限定されないが、少なくともヤング率が上記のような範囲とすることができる材料であることが必要である。例えば、アウター層32は、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)によって構成することができる。ポリビニルブチラール樹脂は、各ガラス板との接着性や耐貫通性に優れるので好ましい。一方、コア層31は、エチレンビニルアセテート樹脂(EVA)、またはアウター層を構成するポリビニルブチラール樹脂よりも軟質なポリビニルアセタール樹脂によって構成することができる。軟質なコア層を間に挟むことにより、単層の樹脂中間膜と同等の接着性や耐貫通性を保持しながら、遮音性能を大きく向上させることができる。
【0039】
一般に、ポリビニルアセタール樹脂の硬度は、(a)出発物質であるポリビニルアルコールの重合度、(b)アセタール化度、(c)可塑剤の種類、(d)可塑剤の添加割合などにより制御することができる。したがって、それらの条件から選ばれる少なくとも1つを適切に調整することにより、同じポリビニルブチラール樹脂であっても、アウター層32に用いる硬質なポリビニルブチラール樹脂と、コア層31に用いる軟質なポリビニルブチラール樹脂との作り分けが可能である。さらに、アセタール化に用いるアルデヒドの種類、複数種類のアルデヒドによる共アセタール化か単種のアルデヒドによる純アセタール化かによっても、ポリビニルアセタール樹脂の硬度を制御することができる。一概には言えないが、炭素数の多いアルデヒドを用いて得られるポリビニルアセタール樹脂ほど、軟質となる傾向がある。したがって、例えば、アウター層32がポリビニルブチラール樹脂で構成されている場合、コア層31には、炭素数が5以上のアルデヒド(例えばn−ヘキシルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−へプチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド)、をポリビニルアルコールでアセタール化して得られるポリビニルアセタール樹脂を用いることができる。なお、所定のヤング率が得られる場合は、上記樹脂等に限定されることはい。
【0040】
また、機能性フィルムを除く中間膜3の総厚(コア層及びアウター層の総厚)は、特に規定されないが、0.3〜6.0mmであることが好ましく、0.5〜4.0mmであることがさらに好ましく、0.6〜2.0mmであることが特に好ましい。また、コア層31の厚みは、0.1〜2.0mmであることが好ましく、0.1〜0.6mmであることがさらに好ましい。一方、各アウター層321、322、323の厚みは、0.1〜2.0mmであることが好ましく、0.1〜1.0mmであることがさらに好ましい。その他、中間膜3の総厚を一定とし、この中でコア層31の厚みを調整することもできる。
【0041】
コア層31及びアウター層321、322、323の厚みは、例えば、以下のように測定することができる。まず、マイクロスコープ(例えば、キーエンス社製VH−5500)によって合わせガラスの断面を175倍に拡大して表示する。そして、コア層31及びアウター層321、322、323の厚みを目視により特定し、これを測定する。このとき、目視によるばらつきを排除するため、測定回数を5回とし、その平均値をコア層31、アウター層321、322、323の厚みとする。例えば、
図5に示すような合わせガラスの拡大写真を撮影し、このなかでコア層31やアウター層321、322、323を特定して厚みを測定する。
【0042】
なお、中間膜3のコア層31、アウター層321、322、323の厚みは全面に亘って一定である必要はなく、例えば、ヘッドアップディスプレイに用いられる合わせガラス用に楔形にすることもできる。この場合、中間膜3のコア層31やアウター層32の厚みは、最も厚みの小さい箇所、つまり合わせガラスの最下辺部を測定する。中間膜3が楔形の場合、外側ガラス板及び内側ガラス板は、平行に配置されないが、このような配置も本発明における外側ガラス板と内側ガラス板との「対向配置」に含まれるものとする。すなわち、本発明の「対向配置」は、例えば、1m当たり3mm以下の変化率で厚みが大きくなるコア層31やアウター層321、322、323を用いた中間膜3を使用した時の外側ガラス板と内側ガラス板の配置を含む。
【0043】
中間膜3の製造方法は特には限定されないが、例えば、上述したポリビニルアセタール樹脂等の樹脂成分、可塑剤及び必要に応じて他の添加剤を配合し、均一に混練りした後、第1及び第2アウター層321,322、コア層31を一括で押出し成型し、これに第3アウター層323、機能性フィルム4をプレス法、ラミネート法等により積層する方法が挙げられる。あるいはすべての層を成型した後、これを重ねてプレス法、ラミネート法で積層することもできる。なお、機能性フィルム4は、それ自体では、ガラス板1,2に接着できないため、アウター層で挟持する必要がある。
【0044】
<3.機能性フィルム>
機能性フィルムとしては、合わせガラスに特定の機能を付加する種々のものを利用することができる。例えば、熱線反射フィルム、調光フィルムなどを採用することができる。
<3−1.熱線反射フィルム>
熱線反射フィルムは、熱線を反射するフィルムであれば特に限定されない。例えば基材となる樹脂フィルム上に、酸化物層と金属層とを交互に積層することにより熱線反射フィルムを形成することができる。なお、樹脂フィルムと接していない主面上には、例えば保護層などの別の機能を有する層が形成されていてもよい。
【0045】
樹脂フィルムは、基本的に透明材料からなるものであれば特に限定されるものではなく、例えばポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリアリレート、ナイロン、シクロオレフィンポリマー等からなるものとすることができる。
【0046】
通常、比較的に高強度であり、合わせガラスの製造時の損傷を抑制する観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなるものが用いられる。樹脂フィルムの厚さは、必ずしも限定されるものではないものの、一般に5μm以上200μm以下であることが好ましく、20μm以上100μm以下であることがより好ましい。
【0047】
また、熱線反射膜を構成する酸化物層は、一般に屈折率(波長550nmでの屈折率、以下同様)が1.7以上2.6以下、特に1.8以上2.6以下であればよく、例えば酸化ビスマス、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化インジウム等の金属酸化物、あるいはこれらの混合物、またはスズ、アルミニウム、クロム、チタン、シリコン、ホウ素、マグネシウム、インジウム、ガリウム等を含有する酸化亜鉛、あるいはスズを含有する酸化インジウムからなるものである。
【0048】
これらの中でも、金属層を安定的に、かつ高い結晶性を有しながら形成できる点から、酸化亜鉛、またはスズ、アルミニウム、クロム、チタン、シリコン、ホウ素、マグネシウム、インジウム、ガリウム等から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する酸化亜鉛からなるもの、特にアルミニウムおよび/またはチタンを含有する酸化亜鉛からなるものが好ましい。なお、各酸化物層は、単層であってもよいし、多層であってもよい。
【0049】
一方、金属層は、銀を主成分とするものであり、銀のみからなるもの、または銀を主成分とする合金からなるものである。金属層における銀以外の構成成分は、例えばパラジウム、金、銅等であり、これら銀以外の構成成分の含有量は合計で0.3原子%以上10原子%以下であることが好ましい。
【0050】
酸化物層や金属層の厚さは、全体の層数や各層の構成材料によっても異なるが、例えば各酸化物層は5nm以上100nm以下、各金属層は5nm以上20nm以下、全ての酸化物層と金属層とを合わせた全体の層厚は50nm以上400nm以下、より好ましくは150nm以上300nm以下である。
【0051】
なお、熱線反射フィルムは、上記した酸化物層と金属層とからなるものの代わりに、高屈折率層と低屈折率層とからなるものであってもよい。通常、高屈折率層と低屈折率層とを合計した層数は3以上であり、高屈折率層の厚さが70nm以上150nm以下、低屈折率層の厚さが100nm以上200nm以下である。
【0052】
高屈折率層は、例えば屈折率が1.9以上、好ましくは1.9以上2.5以下のものであり、具体的には酸化タンタル、酸化チタン、酸化ジルコニウム、および酸化ハフニウム等の高屈折率材料の中から選ばれる少なくとも1種からなるものである。
【0053】
また、低屈折率層は、例えば屈折率が1.5以下、好ましくは1.2以上1.5以下のものであり、具体的には酸化シリコン、およびフッ化マグネシウム等の低屈折率材料の中から選ばれる少なくとも1種からなるものである。
【0054】
<3−2.調光フィルム>
調光フィルムとしては、公知のものを採用できるが、例えば、複数の空孔に液晶が封入された調光機能を有する液晶層と、この液晶層を挟持する一対の透明導電膜と、透明導電膜を挟持する一対のポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)とを備えている。液晶層は多数の空孔を有する透明なポリマーフィルムで形成され、空孔の各々は液晶が封入されることによって液晶カプセルを形成する。また、一対の透明導電膜には、電圧が印加される。
【0055】
この調光フィルムは、電圧が印加されていないときには、液晶分子が液晶カプセルの壁の曲面に沿って整列し、液晶カプセルを透過する透過光の進行方向に沿って配列していないので、透過光の光路を曲折したり、液晶カプセルとポリマーフィルムの境界層において入射光を散乱したりして液晶層を乳白色にする。一方、透明導電膜に、電圧が印加されると液晶分子は発生する電界方向に沿って整列する。このとき、ポリマーフィルムの屈折率と液晶分子の常光線屈折率とが一致するような材料から液晶層が構成されていると、液晶カプセルとポリマーフィルムとの境界層が光学的に存在しない状態となる。その結果、液晶層に入射した透過光をそのまま透過させることができ、これにより液晶層を透明にする。
【0056】
以上のように、調光フィルムは、電圧が印加されていないときには入射光の散乱により視野を遮断し、電圧印加時には入射光をそのままの状態で透過することにより視野を確保するという視野制御機能を有する。したがって、透過光量を調整することができる。
【0057】
上記は液晶方式の調光フィルムであるが、このほか、SPD(suspended Particle Device)方式、エレクトロクロミック方式、サーモクロミック方式など、種々の態様の公知の調光フィルムを用いることができるが、基材としてPETフィルムなどの熱収縮性のフィルムが用いられている。
【0058】
<4.合わせガラスの製造方法>
本実施形態に係る合わせガラスの製造方法は、特に限定されず、従来公知の合わせガラスの製造方法を採用することができる。例えば、まず、中間膜3を外側ガラス板1及び内側ガラス板2の間に挟み、これをゴムバッグに入れ、減圧吸引しながら約70〜110℃で予備接着する。予備接着の方法は、これ以外でも可能である。例えば、中間膜3を外側ガラス板1及び内側ガラス板2の間に挟み、オーブンにより45〜65℃で加熱する。続いて、この合わせガラスを0.45〜0.55MPaでロールにより押圧する。次に、この合わせガラスを、再度オーブンにより80〜105℃で加熱した後、0.45〜0.55MPaでロールにより再度押圧する。こうして、予備接着が完了する。
【0059】
次に、本接着を行う。予備接着がなされた合わせガラスを、オートクレーブにより、8〜15気圧で、100〜150℃によって、本接着を行う。具体的には、14気圧で145℃の条件で本接着を行うことができる。こうして、本実施形態に係る合わせガラスが製造される。
【0060】
<5.車体>
本実施形態に係る合わせガラスは、種々の自動車の窓ガラスに適用することができる。この中でも、本実施形態に係る合わせガラスは、後述するように、5000Hz以上の周波数帯域の音に対する遮音性能に優れているため、特に、ハイブリッド車やEV車に取り付けると、遮音効果が大きい。これは、ハイブリッド車やEV車において使用しているモーターは、高周波数で駆動するため、高周波数の音が発生しやすいからである。
【0061】
<6.車体に用いられる位置>
本実施形態に係る合わせガラスは、自動車のいずれの位置の窓ガラスにも適用することができる。この中でも、特に、ウインドシールドに用いることが望ましい。また、ルーフガラスにも用いることが望ましい。なぜなら、特に、ルーフガラスは熱反射性能が求められることから、熱線反射フィルムを挟んだルーフガラスが多いからである。但し、本実施形態に係る合わせガラスは、ウインドシールドに限定されず、サイドガラス、リアガラスにも用いることができる。
【0062】
<7.合わせガラスの取付構造>
上述した合わせガラスは、例えば、自動車、建築物などの取付構造体に取付けることができる。このとき、合わせガラスは、取付部を介して取付構造物に取付けられる。取付部とは、例えば、自動車に取付けるためのウレタン枠などのフレーム、接着材、クランプなどが該当する。自動車への取付の一例を挙げると、
図6(a)に示すように、まず、合わせガラス10の両端にピン50を取付けておき、取付対象となる自動車のフレーム70に接着材60を塗布する。フレームには、ピンが挿入される貫通孔80が形成されている。そして、
図6(b)に示すように、合わせガラス10をフレーム70に取付ける。まず、ピン50を貫通孔80に挿入し、合わせガラス10をフレーム70に対して仮止めする。このとき、ピン50には段差が形成されているため、ピン50は貫通孔80の途中までしか挿入されず、これにより、フレーム70と合わせガラス10との間に隙間が生じる。そして、この隙間には上述した接着材60が塗布されているため、時間の経過とともに接着材60を介して合わせガラス10とフレーム70が固定される。
【0063】
このような合わせガラスの取付構造体への取付において、合わせガラス10の取付角度はθは、
図6(c)に示すように、垂直Nから45度以下にすることが好ましい。
【0064】
<8.特徴>
本実施形態によれば、中間膜3の一部を構成するアウター層32のヤング率を周波数100Hz,温度20℃において560MPa以上とすることで、次の効果を得ることができる。
【0065】
すなわち、本発明者は、中間膜3のアウター層32のヤング率を向上すると、約4000Hz以上の周波数域での遮音性能が向上することを見出した。例えば、一般的に用いられるヤング率が441MPa(20℃、100Hz)のアウター層に対し、ヤング率が560MPa(20℃、100Hz)のアウター層32を用いると、周波数6300Hzにおいて、STLが0.3dB向上することを見出した。一般的に、人間は0.3dB以上の音の変化を認識できるとされているため、ヤング率を高めることで、高周波数域において、人間が認識できるほどの遮音効果を得ることができる。また、アウター層32のヤング率は高くなるほど、遮音性能が高くなることが見出されている。
【0066】
一方、1000〜3500Hzの低周波数域では、アウター層のヤング率を向上すると、STLが低下することが分かっている。しかしながら、その低下は小さいことも見出されている。
【0067】
また、以下の数式に示すように、ガラスは一般的に厚みやヤング率が小さくなるほどコインシデンス周波数は高周波側にシフトする。
【数1】
【0068】
したがって、厚みの小さい合わせガラスであれば、上述したように、ヤング率の高いアウター層32を用いることが有利である。
【0069】
また、合わせガラスの総厚が同じでも、外側ガラス板1と内側ガラス板2の厚みが相違する場合には、特定の周波数域での遮音性能が低下することが、本発明者によって見出されている。例えば、
図7に示すように、同厚の場合に比して、人間が聞き取りやすい2000〜5000Hzの周波数領域の遮音性能が低下することを見出した。同図は、周波数と音響透過損失(STL)との関係をシミュレーションした結果を示すグラフである。このグラフには、厚みが1.5mmのガラス板で構成された合わせガラス(以下、第1合わせガラスという)と、厚みが2.0mmと1.0mmの異なるガラス板で構成された合わせガラス(以下、第2合わせガラスという)が表示されている。いずれの合わせガラスも、ガラス板の間に樹脂製の中間膜が配置されている。このグラフによれば、3000〜5000Hzの周波数領域において、第2合わせガラスの音響透過損失は、第1合わせガラスに比べて低下していることが分かる。すなわち、厚みの異なるガラス板を用いることで、人間が聞き取りやすい2000〜5000Hzの周波数領域の遮音性能が低下することが分かった。
【0070】
これに対して、本発明者は、中間膜3の一部を構成するコア層31のヤング率を周波数100Hz,温度20度において、18MPa以下、好ましくは、14MPa以下とすれば、人間が聞き取りやすい周波数においては、遮音性能は低下しないことも見出した。
【0071】
また、本実施形態に係る合わせガラスでは、中間膜3に機能性フィルム4を配置しているため、中間膜3に種々の機能を付与することができる。特に、本実施形態においては、機能性フィルム4として、熱線反射フィルム、調光フィルムなどが配置されているため、合わせガラスにおいて、外部からの光の制御が可能となる。
【0072】
そして、本実施形態においては、このような機能性フィルム4をヤング率の高い第1及び第3アウター層321,323で挟持しているため、特に、熱収縮性のある機能性フィルム4を用いた場合には、合わせガラスの製造時、つまり予備接着及び本接着時に収縮するのを抑制することができる。その結果、オレンジピールが生じるのを防止することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレートのような熱収縮性のあるフィルムで機能性フィルムを形成した場合には、合わせガラスを製造時のオートクレーブにおいて熱収縮によるオレンジピールが発生しやすいが、上記のように、構成することで、オレンジピールの発生を抑止することができる。なお、熱線反射フィルムは、調光フィルムと比べ、厚みが小さく、剛性が低いため、オレンジピールが発生しやすい傾向にある。
【0073】
ここで、機能性フィルム4を熱線反射フィルムとすれば、車外から入射する熱の反射は、第1アウター層321、コア層31、及び第2アウター層322よりも車外側で行われる。これにより、次の効果を得ることができる。
【0074】
まず、
図8は、5種類の中間膜の温度での、周波数と音響透過損失との関係をシミュレーションした結果を示している。この例では、厚みが2mmの2枚のガラス板の間に、ヤング率が441MPa、厚みが0.76mmの中間膜を配置した合わせガラスを対象としている。このシミュレーションでの中間膜は単層であり、ヤング率は441MPaではあるものの、傾向として、中間膜の温度が高いと、5000Hz以下の周波数域では音響透過損失が向上しており、温度が高くなるほど、この周波数域での遮音性能が高いことが分かる。一方、5000Hzよりも大きい周波数域では、傾向として、中間膜の温度が高くなるほど、概ね音響透過損失が低下していることが分かる。
【0075】
これに対して、上記のように、第1アウター層321と第3アウター層323との間に熱線反射フィルムを配置すると、熱は、第1アウター層321に到達する前に、車外へ反射されるため、第1アウター層321や第2アウター層322に熱が到達するのを抑制することができる。したがって、これらのアウター層321,322の温度が上昇するのを抑制することができ、その結果、5000Hzより大きい周波数域での遮音性能の低下を防止することができる。
【0076】
<9.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態では、機能性フィルム4を外側ガラス板1側に配置したが、内側ガラス板2側に配置することもできる。この場合、中間膜3は、外側ガラス板1側から、アウター層、コア層、アウター層、機能性フィルム、アウター層の順で配置される。
【実施例】
【0077】
以下、本発明の実施例について説明する。ここでの実施例、比較例に係る合わせガラスでは、機能性フィルム及び第3アウター層を設けず、第1及び第2アウター層でコア層を挟持した中間膜を使用し、遮音性能に関する試験を行った。しかしながら、機能性フィルム及び第3アウター層が設けられていない以下の実施例による試験で遮音性能が証明されることで、機能性フィルム及び第3アウター層を設けて積層枚数が増えた場合にも当然に同様の効果が期待できる。
【0078】
1.試験A
以下の通り、実施例1及び比較例1に係る合わせガラスを準備した。実施例1と比較例1の相違は、アウター層のヤング率のみである。
【0079】
まず、外側及び内側ガラス板を、上述したクリアガラスで形成した。外側ガラス板の厚みは2.0mm、内側ガラス板の厚みは1.3mmとした。そして、中間膜はコア層とこれを挟持する一対のアウター層で構成した。中間膜の厚みは0.76mm、コア層の厚みは0.1mm、両アウター層の厚みはそれぞれ0.33mmとした。そして、コア層のヤング率は19MPa(20℃、100Hz)に調整した。また、実施例1におけるアウター層のヤング率を882MPa(20℃、100Hz)とし、比較例1におけるアウター層のヤング率を441MPa(20℃、100Hz)とした。
【0080】
上記実施例1及び比較例1について、音響透過損失をシミュレーションにより、評価した。シミュレーション条件は、以下の通りである。
【0081】
まず、シミュレーションは、音響解析ソフト(ACTRAN、Free Field technology社製)を用いて行った。このソフトでは、有限要素法を用いて次の波動方程式を解くことにより、合わせガラスの音響透過損失(透過音圧レベル/入射音圧レベル)を算出することができる。
【数2】
【0082】
次に、算出条件について説明する。
(1) モデルの設定
本シミュレーションで用いた合わせガラスのモデルを
図9に示す。このモデルでは、音の発生源側から外側ガラス板、中間膜、内側ガラス板、ウレタン枠の順で積層した合わせガラスを規定している。ここで、ウレタン枠をモデルに追加しているのは、ウレタン枠の有無により音響透過損失の算出結果に少なからず影響があると考えられる点、及び、合わせガラスと車両のウインドシールドの間にはウレタン枠が用いられて接着していることが一般的である点を考慮したためである。
(2) 入力条件1(寸法等)
【表3】
【0083】
なお、ガラス板の寸法である800×500mmは、実際の車両で用いられるサイズよりも小さい。ガラスサイズが大きくなるとSTL値は悪くなる傾向にあるが、これは、サイズが大きいほど拘束箇所が大きくなり、それにともない共振モードが大きくなるからである。但し、ガラスサイズが異なっても、周波数毎の相対的値の傾向、つまり、異なる厚みのガラス板からなる合わせガラスが同厚のガラス板からなる合わせガラスに比して所定の周波数帯で悪くなる傾向は同じである。
【0084】
また、上記表1のランダム拡散音波とは、所定の周波数の音波が外側ガラス板に対してあらゆる方向の入射角をもって伝番していく音波であり、音響透過損失を測定する残響室での音源を想定したものとなっている。
(3) 入力条件2(物性値)
【表4】
[アウター層のヤング率及び損失係数について]
主な周波数毎に異なった値を用いた。これは、コア層及び両アウター層は粘弾性体のため、粘性効果によりヤング率は周波数依存性が強いためである。なお、温度依存性も大きいが、今回は温度一定(20℃)を想定した物性値を用いた。
【表5】
【0085】
結果は、
図10のグラフに示すとおりである。このグラフは、横軸が周波数(Hz)であり、縦軸は各周波数における実施例1と比較例1とのSTLの差(dB)である。この結果によれば、実施例1のように、アウター層のヤング率を大きくすることで、比較例1に比べ概ね4000Hz以上の周波数域におけるSTLを向上することができる。つまり、遮音性能を向上させることができる。例えば、約5000〜10000Hzにおいて、実施例1と比較例1とは0.6dB以上のSTLの差が生じており、実施例1において遮音性能が大きく向上していることが分かる。したがって、このような合わせガラスを自動車に用いた場合、ブレーキ音、風切り音などの高周波の音が車内に流入するのを効果的に遮断することができる。一方、実施例1は、1000〜3500Hzの周波数域で、比較例1と比べ、STLが概ね0〜0.2dB低下している。しかしながら、一般的に、人間は約0.3dBの変化があれば、音の相違を認識することができるため、0.2dB程度のSTLの差であれば、人間は認識できない可能性が高い。したがって、アウター層のヤング率を高くすると、約3500Hz以下の低周波でSTLは低下するものの、その低下は無視できるほどのものであり、その一方で、約3500Hz以上、特に、5000Hz以上の周波数域の音に対しては、効果的に遮音することができることが分かった。
【0086】
2.試験B
以下の通り、実施例2〜4及び比較例2に係る合わせガラスを準備した。実施例2〜4と比較例2の相違は、アウター層のヤング率のみである。
【0087】
外側及び内側ガラス板を、上述したクリアガラスで形成した。外側ガラス板の厚みは2.0mm、内側ガラス板の厚みは1.3mmとした。そして、中間膜はコア層とこれを挟持する一対のアウター層で構成した。中間膜の厚みは0.76mm、コア層の厚みは0.1mm、両アウター層の厚みはそれぞれ0.33mmとした。そして、コア層のヤング率は9.5MPa(20℃、100Hz)に調整した。また、実施例2〜4におけるアウター層のヤング率は、それぞれ882、1764、3528MPa(20℃、100Hz)とし、比較例2におけるアウター層のヤング率を441MPa(20℃、100Hz)とした。その他の試験条件は、試験Aと同じである。
【0088】
結果は、
図11に示すとおりである。この試験Bでは、コア層のヤング率を小さくしているが、試験Aと同様に、アウター層のヤング率が大きくなると、高周波数域でのSTLが大きく上昇し、この周波数域での遮音性能が大きく向上していることが分かる。また、この試験Bでは、コア層のヤング率を試験Aと比べ半分にしているが、これにより、1000〜3500Hzの周波数域でのSTLが若干増加していることが分かる。
【0089】
したがって、アウター層のヤング率を増大することで、高周波域でのSTLが増加し、遮音性能が向上していることが分かった。また、コア層のヤング率を低下させることで、1000〜3500Hzの周波数域での遮音性能が向上していることも確認できた。