【実施例】
【0018】
以下に実施例、比較例のクリーム状メイクアップ化粧料を用いた試験結果を示し、本発明の特徴と効果をさらに詳細に説明する。
【0019】
メイクアップ化粧料の調製
表1に示す実施例1〜7、比較例1〜6の組成のクリーム状メイクアップ化粧料(乳化タイプ;水中油型ファンデーション)を調製した。
【0020】
(調製方法)
油相(成分A、B、C、D、SIMULGEL NS及び顔料分散物)と水相(成分E、水溶性高分子、pH調整剤、多価アルコール、中和剤)をそれぞれ別に混合し、80〜85℃に加熱して、十分に攪拌後、水相を油相へ添加し、ホモミキサーで3000rpm、5分攪拌して乳化し、その後、室温まで攪拌冷却する。
【0021】
<試験・評価>
得られたクリーム状のメイクアップ化粧料を、「肌への塗布のしやすさ(使用感)」、「移りのなさ(転写抑制機能)」、「洗い流しやすさ」について試験し、評価した。移りのなさについては、塗布した化粧膜そのまま、水の存在下、油の存在下の3つの条件にて試験した。
【0022】
1.肌への塗布のしやすさ(使用感)
実施例、比較例の各メイクアップ化粧料を上腕内側部にとり、塗り伸ばす最中の使用感を、下記の基準により専門パネルが官能評価した。
○:塗布時の使用感がゴワついたりなじみが悪かったりせず良好である
×:塗布時の使用感がゴワつく又は肌にはじく感じでなじみが悪い
【0023】
2.転写抑制(化粧移り)
転写抑制(化粧移り)の試験方法は、「塗布した化粧膜そのまま」、「水の存在下」、「油の存在下」の3つの条件で試験した。
得られたメイクアップ化粧料15mmgを上腕内側部にとり、2×3cmの範囲に塗り伸ばして10分間放置し、化粧膜を形成させた後、3つの条件下(1.化粧膜そのまま、2.水の存在下、3.油の存在下)で移りのなさを夫々試験した。
「化粧膜そのまま」とは、化粧膜に何も滴下しないで10分経過後にティッシュペーパーを押し当てて、ティッシュペーパーにメイクアップ化粧料の色調が転写されるか否かを評価する試験である。
「水の存在下」とは、化粧膜の表面が均一に濡れるまでミスト状にした水を噴霧して10分経過後にティッシュペーパーを押し当てる試験である。水による再乳化による転写の有無を評価するものである。
「油の存在下」とは、化粧膜にスクワランをスポイトで1滴滴下して10分経過後にティッシュペーパーを押し当てる試験である。皮脂による化粧落ちの有無を評価するものである。
目視観察の結果、移りのなさを下記の判断基準で評価する。
○:移りがほとんどない(転写がほとんどない)
△:移りが少しある(転写が少しある)
×:かなり移りがある(かなり転写する)
【0024】
3.メイク汚れの落としやすさ(洗い流しやすさ)
実施例、比較例の各メイクアップ化粧料15mmgを上腕内側部にとり、2×3cmの範囲に塗り伸ばして10分間放置して化粧膜を形成させた後、市販の洗顔パウダー(株式会社ファンケル社製)を洗顔料の使用方法に従って洗浄した場合の、化粧膜(メイク)の洗浄容易性を評価した。
洗願パウダーを使用説明書に従って水で泡立て、この泡を化粧膜上にのせ、次いで手で15回往復させてこすり、さらに流水で10秒間洗い落とした。洗浄後の肌の状態を目視観察した。化粧膜(メイク)の洗浄除去状態を観察して評価した。
判定基準は次のとおりである。
○:化粧膜が完全に落とせた
×:化粧膜が完全に落とせない(あと残り感が強いものも含む)
試験・評価の結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
<試験結果の評価>
表1に示す実施例、比較例の結果から、以下のことがわかった。
実施例1〜7のクリーム状メイクアップ化粧料(ファンデーション)はいずれも塗布時の使用感がゴワついたりなじみが悪かったりせず良好であった。また洗い流しやすさも「化粧膜が完全に落とせた」との評価であった。
また、皮膚に塗布した化粧膜の転写抑制(化粧移り)の試験では、実施例1〜5は、いずれの試験条件でも「移りがほとんどない」との評価結果であった。そして実施例6、7は、「化粧膜そのまま」の試験、「水の存在下」の試験では「△(移りが少しある(転写が少しある))」との評価であった。これは実施例6、7の成分(B)の配合量が0.01%であることに起因するものと考えられる。
以上の結果から実施例1〜7のクリーム状ファンデーションは、使用感に優れ、洗浄しやすく、化粧移りの少ないことから化粧もちに優れていると評価することができる。
【0027】
一方、成分(B)ジ脂肪酸アシルグルタミン酸リシン塩を配合していない組成である比較例1と2は、皮膚に塗布した化粧膜の転写抑制(化粧移り)において劣っていた。
比較例3は成分(B)ジ脂肪酸アシルグルタミン酸リシン塩を配合せず(A)デキストリン系樹脂状被膜形成剤を6質量%と多く配合している組成であるが、「転写抑制(化粧移り)」は成分(A)を増やしたことにより改善したが、肌に塗布する時にゴワついてしまい使用感が良くなかった。
また、成分(B)ジ脂肪酸アシルグルタミン酸リシン塩を含み、成分(A)デキストリン系樹脂状被膜形成剤を配合していない組成である比較例4、5は、(B)ジ脂肪酸アシルグルタミン酸リシン塩の配合量を0.5%から6%に増加させると、比較例4の転写抑制(化粧移り)は改善するが、使用感は悪化(比較例5)した。また比較例5は洗い流しやすさについても悪化した。
また、比較例6は従来技術で多用されている組成のメイクアップ化粧料の組成である。この組成は成分(A)デキストリン系樹脂状被膜形成剤と成分(B)ジ脂肪酸アシルグルタミン酸リシン塩をともに配合していない。この比較例6、は使用感と洗い流しやすさは良好であったが、化粧移りのなさは、いずれの条件でも不良であった。
【0028】
本発明の構成をとることにより、使用感に優れ、その化粧膜の耐水性・耐皮脂性が良好な化粧もちに優れたメイクアップ化粧料となることが明らかとなった。また本発明のメイクアップ化粧料は通常の洗顔料のみで容易に落とすことができ、油性クレンジング料を使用するダブル洗顔が不要である。
【0029】
以下に、本発明のメイクアップ化粧料の処方例を示す。
処方例1 クリーム状ファンデーション
成分 質量%
(1)イソステアリン酸デキストリン 0.5
(2)ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム(29%水溶液) 0.5
(3)ステアリン酸グリセリル 0.2
(4)ステアリン酸ソルビタン・ヤシ脂肪酸スクロースの混合物 1.76
(5)モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E・O) 1.44
(6)ベヘニルアルコール 0.5
(7)ネオペンタン酸イソステアリル 10
(8)SIMULGEL NS 0.1
(9)SOLAVEIL CT−300−LQ−(WD) 15
(10)着色顔料混合物 7
(11)精製水 適量
(12)カルボマー 0.1
(13)キサンタンガム 0.2
(14)クエン酸ナトリウム 適量
(15)クエン酸 適量
(16)グリセリン 5
(17)1.3−ブチレングリコール 10
(18)水酸化カリウム 適量
(調製方法)
油相(1)〜(10)と水相(11)〜(18)をそれぞれ別に混合し、80〜85℃に加熱して、十分に攪拌後、水相を油相へ添加し、ホモミキサーで3000rpm、5分攪拌して乳化し、その後、室温まで攪拌冷却した。
(評価)
処方例1のクリーム状ファンデーションは塗布時にゴワついたりなじみが悪かったりせず、使用感が良好であり、化粧膜は耐水性、耐皮脂性があって化粧料に移りのない特性(転写抑制機能)を有していた。また、洗顔料のみで容易に落とすことができ、ダブル洗顔が不要であった。
【0030】
処方例2 クリーム状ファンデーション
成分 質量%
(1)イソステアリン酸デキストリン 0.5
(2)ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム(29%水溶液) 1
(3)ステアリン酸グリセリル 0.2
(4)ステアリン酸ソルビタン・ヤシ脂肪酸スクロースの混合物 1.76
(5)モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E・O) 1.44
(6)ベヘニルアルコール 0.5
(7)ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン 10
(8)SIMULGEL NS 0.1
(9)SOLAVEIL CT−300−LQ−(WD) 15
(10)着色顔料混合物 7
(11)精製水 適量
(12)カルボマー 0.15
(13)キサンタンガム 0.1
(14)クエン酸ナトリウム 適量
(15)クエン酸 適量
(16)ジグリセリン 3
(17)ジプロピレングリコール 10
(18)水酸化カリウム 適量
(調製方法)
油相(1)〜(10)と水相(11)〜(18)をそれぞれ別に混合し、80〜85℃に加熱して、十分に攪拌後、水相を油相へ添加し、ホモミキサーで3000rpm、5分攪拌して乳化し、その後、室温まで攪拌冷却した。
(評価)
処方例2のクリーム状ファンデーションは塗布時にゴワついたりなじみが悪かったりせず、使用感が良好であり、化粧膜は耐水性、耐皮脂性があって化粧料に移りのない特性(転写抑制機能)を有していた。また、洗顔料のみで容易に落とすことができ、ダブル洗顔が不要であった。
【0031】
処方例3 クリーム状ファンデーション
成分 質量%
(1)イソステアリン酸デキストリン 1
(2)ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム(29%水溶液) 1
(3)ステアリン酸グリセリル 0.2
(4)ステアリン酸ソルビタン・ヤシ脂肪酸スクロースの混合物 1.76
(5)モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E・O) 1.44
(6)ベヘニルアルコール 0.5
(7)スクワラン 10
(8)イソノナン酸イソトリデシル 5
(9)SIMULGEL NS 0.1
(10)SOLAVEIL CT−300−LQ−(WD) 15
(11)着色顔料混合物 7
(12)精製水 適量
(13)カルボマー 0.15
(14)キサンタンガム 0.1
(15)クエン酸ナトリウム 適量
(16)クエン酸 適量
(17)グリセリン 3
(18)ジプロピレングリコール 5
(19)水酸化カリウム 適量
(調製方法)
油相(1)〜(11)と水相(12)〜(19)をそれぞれ別に混合し、80〜85℃に加熱して、十分に攪拌後、水相を油相へ添加し、ホモミキサーで3000rpm、5分攪拌して乳化し、その後、室温まで攪拌冷却した。
(評価)
処方例3のクリーム状ファンデーションは塗布時にゴワついたりなじみが悪かったりせず、使用感が良好であり、化粧膜は耐水性、耐皮脂性があって化粧料に移りのない特性(転写抑制機能)を有していた。また、洗顔料のみで容易に落とすことができ、ダブル洗顔が不要であった。
【0032】
処方例4 クリーム状ファンデーション
成分 質量%
(1)イソステアリン酸デキストリン 1
(2)ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム(29%水溶液) 1.5
(3)ステアリン酸グリセリル 0.2
(4)ステアリン酸ソルビタン・ヤシ脂肪酸スクロースの混合物 1.76
(5)モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E・O) 1.44
(6)ベヘニルアルコール 0.5
(7)ネオペンタン酸イソステアリル 10
(8)SIMULGEL NS 0.1
(9)SOLAVEIL CT−300−LQ−(WD) 15
(10)着色顔料混合物 7
(11)精製水 適量
(12)カルボマー 0.1
(13)キサンタンガム 0.2
(14)クエン酸ナトリウム 適量
(15)クエン酸 適量
(16)グリセリン 5
(17)1.3−ブチレングリコール 10
(18)水酸化カリウム 適量
(調製方法)
油相(1)〜(10)と水相(11)〜(18)をそれぞれ別に混合し、80〜85℃に加熱して、十分に攪拌後、水相を油相へ添加し、ホモミキサーで3000rpm、5分攪拌して乳化し、その後、室温まで攪拌冷却した。
(評価)
処方例4のクリーム状ファンデーションは塗布時にゴワついたりなじみが悪かったりせず、使用感が良好であり、化粧膜は耐水性、耐皮脂性があって化粧料に移りのない特性(転写抑制機能)を有していた。また、洗顔料のみで容易に落とすことができ、ダブル洗顔が不要であった。
【0033】
処方例5 クリーム状ファンデーション
成分 質量%
(1)イソステアリン酸デキストリン 2
(2)ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム(29%水溶液) 3
(3)ステアリン酸グリセリル 0.2
(4)ステアリン酸ソルビタン・ヤシ脂肪酸スクロースの混合物 1.76
(5)モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E・O) 1.44
(6)ベヘニルアルコール 0.5
(7)ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン 10
(8)SIMULGEL NS 0.1
(9)SOLAVEIL CT−300−LQ−(WD) 15
(10)着色顔料混合物 7
(11)精製水 適量
(12)カルボマー 0.15
(13)キサンタンガム 0.1
(14)クエン酸ナトリウム 適量
(15)クエン酸 適量
(16)ジグリセリン 3
(17)ジプロピレングリコール 10
(18)水酸化カリウム 適量
(調製方法)
油相(1)〜(10)と水相(11)〜(18)をそれぞれ別に混合し、80〜85℃に加熱して、十分に攪拌後、水相を油相へ添加し、ホモミキサーで3000rpm、5分攪拌して乳化し、その後、室温まで攪拌冷却した。
(評価)
処方例5のクリーム状ファンデーションは塗布時にゴワついたりなじみが悪かったりせず、使用感が良好であり、化粧膜は耐水性、耐皮脂性があって化粧料に移りのない特性(転写抑制機能)を有していた。また、洗顔料のみで容易に落とすことができ、ダブル洗顔が不要であった。