(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
ビル管理等の業務では、会社の敷地内やビル内部等を対象施設として外部の清掃会社や清掃員に施設内の定期清掃を依頼することがある。このような場合、清掃員は、対象施設で清掃を行う清掃エリア(作業エリア)を所定の順序で定期的あるいは不定期に巡回し、各清掃エリア内の清掃を実施する。係る清掃業務においては、清掃員は予め施設内の清掃すべき箇所とその内容を覚える必要があり、その記憶に従って清掃を行わなければならない。
【0003】
上述した清掃業務では、外部の清掃員が清掃位置を熟知している必要があり、清掃員の負担が少なくない。これは、清掃業務だけに限らず、設備機器などの保守点検業務でも同様である。保守点検の分野では、こうした課題について以下に示すように作業員の負担を軽減するための発明も提案されている。
【0004】
特許文献1には、設備の点検保守を行なう作業員が所持し、その作業を支援することにより設備の点検保守を確実に行うことができる携帯端末装置の発明が開示されている。この携帯端末装置は、各設備に対して与えられた設備IDの各々と、設備の点検順序を示す点検順序情報が登録された点検スケジュール管理用の制御装置と、各種情報を表示するディスプレイと、設備に貼付された無線タグから出た設備IDを受信するインタフェース装置とを備えている。そして、制御装置は、インタフェース装置が設備IDを受け付けた際に、前述の点検順序情報をもとに、現時点で入力されるべき設備IDを点検スケジュールから抽出し、抽出した設備IDと、インタフェース装置が受け付けた設備IDとを比較して、その結果をディスプレイに表示する。この装置によれば、点検スケジュール上の設備の識別情報と、現場で取得する設備の識別情報との一致、不一致が表示手段に表示されるため、これから点検をはじめようとする設備が目的とする設備なのか否かがはっきりし、
作業員に無用な心配を抱かせるようなことがないとされている。
【0005】
特許文献2には、携帯入出力装置を用いることにより、作業員の熟練度に依存することなく、効率よくかつ確実に設備の点検を行える設備管理支援システムの発明が開示されている。このシステムのデータ管理装置の記憶手段には、巡回順序を含む設備点検情報を記憶させる。このデータ管理装置から通信インターフェイス装置を介して携帯入出力装置へ設備点検情報を転送すると、携帯入出力装置の画面上では「次ポイント」がタッチされる毎に、設備点検情報に含まれている巡回順序に基づいて、巡回対象が順次表示されて行く。点検が終了する毎にこの操作を行うことにより、次の巡回先が画面上で指し示され、データ管理装置で決められた巡回順序通りに設備の点検を進めて行くことが可能となる。この携帯入出力装置を用いれば、作業員の熟練度に依存することなく、効率よくかつ確実に設備の点検を行うことができるようになるものとされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の清掃業務では、先に述べたように、対象施設の清掃エリア、清掃箇所などについて清掃員が事前に熟知しておく必要があり、清掃員に対する個人的な負担が重く、特に新人の清掃員にとっては不安を感じながらの実施とならざるを得ないのが通常である。また、清掃業務を管理する清掃会社などにとっても、確実に清掃できたか把握するのが難しいといった問題があった。
【0008】
特許文献1、2に示したような装置は、構成の簡素な電子的なデバイスにより、このような各所を巡回しつつ作業を行うような場合に負担を軽減するものであり、これによって作業案内がわかりやすくなり、新人の作業員であっても漏れなく作業できるようなアシストが可能となる可能性はある。しかし、特許文献1、2に記載の装置は作業のアシスト以外の点においては、必ずしも満足な結果を得ることが難しいという問題がある。なぜなら、清掃業務など、顧客の目の届かないところで作業を行うような業務においては、その作業業務が正しく行われたことを客観的に証明することが必要だからである。また、清掃業務を管理する清掃会社などにとっても、遠隔の対象施設で確実に清掃できたか把握可能とすることが求められる。
【0009】
清掃業務など、顧客や管理者の目の届かないところで作業を行うような業務における係る要望に応えるためには、作業員(清掃員)による作業の進捗を客観的に確認可能として、業務のサービス品質にムラが生じているか否かを、作業員自身あるいは作業員を管理する側から客観的に把握することが必要であると考えられる。例えば、作業員を管理する側では、作業員が手を抜いていないか、必要程度の作業品質が担保されているか把握する必要がある。
【0010】
本発明は、以上説明した従来の清掃業務など作業員による作業の課題を解決するためになされたものであり、作業員による作業を客観的に把握可能にし、これを遠隔から管理できるようにするための作業支援端末、そのシステムおよび方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために本発明による作業支援システムは、複数の作業エリアを有する作業区域で作業する作業員に携帯される作業支援端末と、前記作業支援端末と通信する管理装置を備えた作業支援システムであって、前記作業支援端末は、前記作業区域内の現在の作業エリアを検出する作業エリア検出部と、前記作業区域における作業開始および作業終了の入力を受け付ける開始終了検出部とを備え、前記管理装置は、前記作業区域に含まれる複数の作業エリアを予め記憶した記憶部と、前記作業支援端末から前記作業エリア検出部にて検出された作業エリアと前記作業開始および前記作業終了の入力を受け付けたことを取得する通信部と、前記作業支援端末が前記作業終了を受け付けたときに、当該作業区域に含まれる作業エリアがすべて前記作業エリア検出部にて検出されているか否かを判定する作業評価部と、前記作業評価部において前記作業区域内の作業エリアがすべて検出されていないと判定されると当該作業区域の作業が不適切と判定する判定部と、を備えていることを特徴としている。
【0012】
また、本発明による作業支援システムは、前記作業支援端末において、前記作業エリア検出部は、前記作業区域内に設けられた標識装置を認識する手段であって、該認識した標識装置に基づき前記現在の作業エリアを検出し、前記開始終了検出部は、前記作業区域内の特定の標識装置の認識を前記作業開始または作業終了の入力として受け付けるようにしてもよい。
【0013】
さらに、本発明による作業支援システムは、前記管理装置は、前記記憶部に前記作業区域における作業の異常を判定する異常判定時間を記憶し、さらに、前記作業区域における作業開始から作業終了までの作業時間を計時する計時部と、前記作業時間が前記異常判定時間以上であれば異常と判定する時間監視部とを備え、前記時間監視部は、前記判定部にて不適切と判定された場合に前記異常判定時間の延長処理を行うようにしてもよい。
【0014】
また、本発明による作業支援システムは、さらに、前記管理装置は、前記作業エリアの作業が不適切と判定すると前記作業支援端末に不適切判定信号を送信し、前記作業支援端末は、前記不適切判定信号を受信すると、再作業の指示を表示出力する再作業指示部を備えるようにしてもよい。
【0015】
また、上記の目的を達成するために本発明による作業支援端末は、複数の作業エリアを有する作業区域で作業する作業員に携帯される作業支援端末であって、前記作業区域に含まれる複数の作業エリアを予め記憶した記憶部と、前記作業区域内の現在の作業エリアを検出する作業エリア検出部と、前記作業区域における作業開始および作業終了の入力を受け付ける開始終了検出部と、前記作業終了を受け付けたときに、当該作業区域に含まれる作業エリアがすべて前記作業エリア検出部にて検出されたか否かを判定する作業評価部と、前記作業評価部において前記作業区域に含まれる作業エリアがすべて検出されていないと判定されると当該作業区域の作業が不適切と判定する判定部と、を備えることを特徴としている。
【0016】
さらに、上記の目的を達成するために本発明による作業支援方法は、複数の作業エリアを有する作業区域で作業する作業員を支援する作業支援方法であって、前記作業区域に含まれる複数の作業エリアを予め記憶するステップと、前記作業区域内の現在の作業エリアを検出するステップと、前記作業区域における作業開始および作業終了の入力を受け付けるステップと、前記作業終了を受け付けたときに、当該作業区域に含まれる作業エリアがすべて前記作業エリア検出部にて検出されたか否かを判定するステップと、前記作業評価部において前記作業区域に含まれる作業エリアがすべて検出されていないと判定されると当該作業区域の作業が不適切と判定するステップと、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、作業エリアにおける作業員の作業度合いが十分か不十分かを管理装置においても確認できる。すなわち、作業員が本来作業すべきエリアを飛ばしていたり失念していた場合に、これを管理する側にて把握できる。これにより作業員による作業が正しく行なわれたか否かを客観的に確認して、正しく作業が遂行されているかを判断することができ、再作業を指示するなど作業品質を担保するための是正措置を進めることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1〜
図5を参照して本実施形態の作業支援システム(以下、単にシステムとも称する)について説明する。
【0020】
まず本システムが対象とする作業及び本システムの概要について
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は、作業の一例として清掃業務を例示し、清掃の対象施設となる建物T内に設定された清掃エリアを示している。この清掃エリアは、図中一点鎖線で区分した各領域に記号A〜Dを付して示したように、点検エリアと呼ばれる複数の区画に分けられている。各点検エリアA〜Dでは、図中記号ア〜チで示すように作業員となる清掃員Pが点検して清掃すべき点検項目が定められている。図中破線の矢印で示すように、清掃員Pは、所定の順序で各点検エリアを巡回し、各点検エリアA〜D内では所定の順序で各点検項目ア〜チを点検していく。
【0021】
図2は、清掃業務の対象となる建物Tの外に設定された清掃エリアを示している。詳細は図示しないが、この清掃エリアも複数の点検エリアに分けられており、各点検エリアごとに複数の点検項目が定められている。図中破線の矢印で示すように、清掃員Pは、清掃作業の開始時に、清掃エリアを訪問して所定の順序で各点検エリアを巡回し、各点検エリア内において定められた点検項目を順に点検して清掃作業を行う。この清掃エリアが本発明の作業区域に対応し、清掃エリアに含まれる複数の点検エリアが本発明の作業エリアに対応している。
【0022】
例えば、
図1に示した建物T内の清掃エリアの例では、点検エリアAでは、点検項目アは窓、点検項目イは床や天井などの室内空間、点検項目ウは窓、点検項目エはコピー機である。点検エリアBでは、点検項目オは窓、点検項目カは床や天井などの室内空間である。点検エリアCでは、点検項目キは扉、点検項目クはキャビネット、点検項目ケは窓、点検項目コはテーブル、点検項目サは窓、点検項目シは床や天井などの室内空間、点検項目スは窓である。点検エリアDでは、点検項目セは扉、点検項目ソは床や天井などの室内空間、点検項目タは窓、点検項目チは灰皿である。
【0023】
なお、建物T内及び建物T外のいずれについても、清掃エリア内における点検エリアの区分や、各点検エリア内での点検項目は、予め清掃業務を管理する清掃会社と対象施設となる建物の管理者とが契約などにより定めるものであって、外観上識別できるようになっているわけではない。
【0024】
図1中には示していないが、
図1に示す清掃エリアの各点検エリアA〜Dには、各点検エリアごとに、点検エリアを示す識別標識である標識装置1がそれぞれ配置されている。また、清掃員Pは作業支援端末としての携帯端末2を所持しており、清掃エリアにおいて所定の順序で点検エリアを巡回して清掃を行う。清掃員Pは、各点検エリアA〜Dにおいて携帯端末2で標識装置1を認識することにより、現在清掃を行う各点検エリアA〜Dを識別し、この点検エリアA〜Dの点検項目を携帯端末2に表示させて点検を行う。また、
図1には示していないが、清掃エリアとは異なる離れた位置に清掃員Pの作業を管理する管理センターがあり、そこには管理装置3が設置されている。管理装置3は管理員によって運用されており、清掃業務中は適宜清掃員Pの携帯端末2と通信を行い、点検結果を保存し、また各点検エリアA〜Dを巡回する清掃員Pの進行ペースが標準的であるか否かを客観的な手法で常に監視し、清掃員Pによる清掃業務が正しく行なわれたことを客観的に保証する作業等を行なう。
【0025】
次に、以上概要を説明した本システムの詳細について、本システムのブロック図である
図3及び携帯端末2の表示・入力部11の画面を示す
図4を参照して説明する。
図3に示すように、清掃エリアを構成する各点検エリアA,B…には、それぞれ標識装置1が設けられている。標識装置1は、具体的にはNFCタグのような識別タグによって構成されており、設置されている清掃エリアと点検エリアとを識別可能な識別情報がそれぞれ記憶されていて、後述する携帯端末2の読取部6によって近接的に読み取ることにより当該標識装置1がどの清掃エリアのいずれの点検エリアに設けられたものであるかを知ることができるようになっている。標識装置1は、壁面に貼付けられたり壁紙の裏側等に埋め込まれて設置される。
【0026】
標識装置1としては、少なくとも清掃エリアにおいて清掃員Pが最初に読み取る標識装置1(清掃エリアの始点標識装置)と、清掃エリアにおいて最後に通過する位置に設けられた標識装置1(清掃エリアの終点標識装置)とは、携帯端末2を所持する清掃員Pが意識的に携帯端末2を標識装置1に近接させるよう、非接触通信による読み取り可能距離が数cm程度となるようパッシブ方式によるRFタグとすることが好ましい。これらは清掃エリアの清掃開始と清掃エリアの清掃終了を示す特定の標識装置として機能するものであり、清掃員Pが清掃中に近傍を通過したときに意図せず読み取ってしまわないようにする必要がある。一方で、清掃エリアの始点標識装置と清掃エリアの終点標識装置以外のその他の標識装置1については、清掃中に近傍を通過したときに読み取れるよう、非接触通信による読み取り可能距離が数mとなるような例えばBluetooth(登録商標)などによるアクティブ方式によるRFタグを採用してよく、また、始点標識装置および終点標識装置と同様にパッシブ方式によるRFタグとしてもよい。
【0027】
なお、ここで標識装置1とは、必ずしもNFCタグのように機械的又は電子的な内部構造を有するデバイスとの意味ではなく、要するに点検エリアの識別を行なう媒体となるものであればよく、より簡素な構成として、例えば各種バーコード類を用いることもできる。その場合、バーコードを携帯端末2の読取部6にて光学的に読み取るために、NFCタグとは異なり当該バーコードは各点検エリアにおいて視認可能な状態で設置する必要がある。
【0028】
また、
図3に示すように、清掃員Pが所持する携帯端末2は、マイクロコンピュータ等によって構成される制御部5を備えており、以下に説明するような機能を備えた携帯端末用プログラムを制御部5に読み込むことによって本システム用の携帯端末2とすることができる。かかる携帯端末2としては、ハード及びソフト共に専用に開発した装置を用意してもよいが、例えば必要な機能を備えたスマートフォンのような携帯端末に、必要な機能を備えた携帯端末用アプリケーションを搭載して利用することもできる。
【0029】
図3に示すように、携帯端末2は、前述した標識装置1を読み取って現在の作業エリアを検出する作業エリア検出部として、制御部5によって制御される読取部6を備えている。読取部6は、例えばNFCタグとしての標識装置1と近接通信により情報を読み取るタグリーダとして構成される。また標識装置1がバーコードなどである場合には、読取部6はカメラ等でバーコードを認識する撮像手段として構成される。清掃業務中、清掃員Pが携帯端末2を標識装置1に近接させれば、読取部6は標識装置1の識別情報を読み取ることができる。
【0030】
また、
図3に示すように、携帯端末2は、作業開始および作業終了の入力を受け付ける開始終了検出部として、点検エリアの清掃を開始したか、あるいは終了したかを判定する開始終了判定部7を備えている。開始終了判定部7は、清掃員Pが標識装置1に携帯端末2をかざして標識装置1の識別情報を読み出したときに、これを直前の点検エリアの作業終了として受け付けて、この標識装置1が設置された位置直前の点検エリアの清掃が終了したと判定する。また、このとき、この標識装置1の識別情報の読み出しを、当該標識装置1が設置された位置以降の点検エリアの作業開始として受け付けて、清掃が開始したと判定する。そして、清掃が終了した点検エリアおよび清掃が開始した点検エリアの情報と現在時刻情報が業務管理情報として記憶部8に記憶されるとともに、管理装置3に送信される。清掃が終了した点検エリアおよび清掃が開始した点検エリアの情報の記憶と送信は、読み取った標識装置1の識別情報により行われてよい。
【0031】
また、開始終了判定部7は、清掃員Pが清掃エリア内の始点標識装置に携帯端末2をかざし、この始点標識装置の識別情報を読み出したときに、清掃開始を判定して管理装置3に清掃エリアの情報とともに清掃開始信号を送信する。始点標識装置は、清掃エリアにおいて最初に通過する位置に設けられた所定の標識装置1であって、例えば清掃エリアの出入り口に設けられている。また、清掃員Pが清掃エリア内の終点標識装置に携帯端末2をかざし、この終点標識装置の識別情報を読み出したときに、これらの操作がトリガーとなって終了判定を実行される。終点標識装置は、清掃エリアにおいて最後に通過する位置に設けられた所定の標識装置1であって、例えば清掃エリアの出入り口に設けられている。終了判定においては、清掃業務中に認識した標識装置1の情報に、当該清掃エリアに含まれる全ての点検エリアの標識装置1が含まれるか否かが判定される。本実施形態においては、かかる判定は携帯端末2から通知を受けた管理装置3の作業判定部19にて行われ、判定結果が携帯端末2に送信される例について説明する。開始終了判定部7は、終点標識装置の識別情報を認識すると、管理装置3に清掃エリアの情報とともに清掃終了信号を送信する。清掃エリアの清掃開始および清掃終了の情報送信は、読み取った標識装置(始点標識装置または終点標識装置)の識別情報により行われてよい。管理装置3では、清掃エリアの全ての標識装置1を読み取っていれば、当該清掃エリアの清掃終了と判定する。他方、清掃業務中に認識していない(読取部6にて読み取っていない)標識装置1があれば、点検漏れがあることが判定され、判定結果が表示・入力部11に表示される。
【0032】
なお、本実施形態において、業務管理情報は標識装置1を認識するたびに管理装置3に送信する例について説明しているが、これに限らず、清掃エリアの終点標識装置を認識して終了判定を行うときに、業務管理情報として清掃エリア内で記憶していた全ての標識装置1の識別情報とこれに対応させて記憶した時刻情報とが管理センターの管理装置3に送信されるようにしてもよい。
また、開始終了判定部7は、標識装置1の識別情報を読み出したときに点検エリアの開始/終了あるいは清掃エリアの終了を判定する例に限定されず、携帯端末2の表示・入力部11から所定の入力操作を受け付けて点検エリアの開始/終了あるいは清掃エリアの終了を判定するようにしてもよい。
【0033】
図3に示すように、携帯端末2は、制御部5によって制御される記憶部8を備えている。この記憶部8には、清掃エリアに含まれる点検エリアとその標識装置1の情報、および、清掃業務に際して各点検エリアで行なうべき点検項目等についてのデータを記憶する。携帯端末2は、予め管理装置3から清掃エリアに含まれる点検エリアと点検項目に関するデータをダウンロードしてもよく、また、移動体通信網を介して、標識装置1を読み取ったことを管理装置3に送信し、その都度対応する点検エリアの点検項目のデータを管理装置3から受信するようにしてもよい。
【0034】
また、携帯端末2は、制御部5によって制御される記憶処理部14を備えている。記憶処理部14は、清掃業務中、読取部6が標識装置1を認識して取得した識別情報と、この標識装置1を認識したときの現在時刻情報を、業務管理情報として互いに対応付けて記憶部8に記憶させる。なお、時刻情報の取得は制御部5内のクロックによって行なうことができる。
【0035】
また、
図3に示すように、携帯端末2は、制御部5によって制御される通信部9を備えている。通信部9は、管理センターに設置された管理装置3と、任意の手法によって通信し、必要な情報の伝達を行なうことができる。本システムでは、各点検エリアを作業する清掃員Pの進行ペースや作業箇所が適正であるかを確認するため、制御部5の制御により、記憶部8に対応付けて記憶した標識装置1の識別情報と標識装置1を読み取った時刻情報を管理装置3に送ることができる。また、清掃員Pが入力した点検結果情報や理由情報を管理装置3に送ることができる。通信部9より管理装置3に送信される信号には、携帯端末2を識別する情報あるいは携帯端末2を所持する清掃員Pを識別する情報が付加される。携帯端末を識別する情報は例えば電話番号やシリアル番号であり、清掃員Pを識別する情報は例えば社員番号などである。なお、通信部9の通信手法は問わない。電波によって直接的に通信してもよいし、各種電気通信回線10を用いて通信してもよい。
【0036】
図3に示すように、携帯端末2は、点検を行なおうとする点検エリアの点検項目を表示する点検項目表示手段かつ点検項目について点検結果情報を入力する点検情報入力手段として、表示・入力部11を備えている。点検結果情報(以下、単に点検情報とも称する)は、点検エリアの点検項目についての点検の状態に関する備考などを清掃員Pの入力により設定した情報である。本実施形態において、この表示・入力部11は、タッチスイッチ機能を有する表示装置であり、制御部5によって制御される。清掃業務中、ある点検エリアで清掃員Pが携帯端末2を標識装置1にかざし、携帯端末2の読取部6が標識装置1を認識すると、当該点検エリアに対応して記憶部8に予め記憶された点検項目のデータを制御部5が読み出し、
図4(a)に例示するように点検項目を点検画面11aに表示する。清掃員Pは、この表示を見て、漏れの無いように点検して清掃を行う。また、点検結果に問題があった場合等、必要に応じて
図4(b)に例示するコメント画面11bを表示し、未点検の理由等の入力を行う。これによって清掃員Pの清掃業務をアシストする。
【0037】
図4(a)に示すように、点検画面11aに表示される点検項目は、点検ポイント12aと、その点検ポイントに対応したコメントボタン12bから構成されている。清掃員Pは、各項目ごとの点検ポイントで、清掃を行う。例えば、点検ポイント「南東窓」については、拭き掃除を実施する。順次点検する中で、何らかの特記事項を記録すべきものについては、コメントボタン12bを押して
図4(b)に示すコメント画面11bを表示させる。コメント画面11bでは、チェック欄12cへのチェック又は自由入力欄12dへの記載によって、点検画面11aの対応する点検項目について未点検の理由などを記録することができる。コメント画面11bの記入後、確定ボタン12eを押せば点検画面11aに戻る。コメントが記録された場合には、点検画面11aの対応する点検項目のコメントボタン12bがコメント記録前とは異なる色彩で表示されている(例えば
図4(a)最下段参照)。
【0038】
また、
図3に示すように、携帯端末2は、制御部5によって制御される再作業指示部13を備える。再作業指示部13は、清掃員Pに点検漏れ箇所の再作業を指示する手段として機能する。本実施形態において、再作業指示部13は、後述する清掃作業の終了判定において、点検漏れがあることが判定された場合に、管理装置3より不適切判定信号を受信すると、表示・入力部11に点検漏れとなった点検エリア(点検漏れエリア)の点検画面を表示してこの点検漏れエリアにて清掃作業を実施するよう促す。点検漏れエリアの点検画面は、点検漏れと判定された点検エリアを示すもので、例えば
図4(a)に示した点検画面11aと同様であってよい。清掃員Pはこの表示を見て点検漏れエリアに移動して、当該エリアの標識装置1を携帯端末2で読み取って記憶部8に記憶された点検項目のデータを点検画面11aに表示させて清掃作業を行う。また、作業中に問題があった場合には、必要に応じて
図4(b)に例示するコメント画面11bを表示し、未点検の理由等の入力を行う。点検漏れエリアの清掃作業が終了したら、清掃員Pは清掃エリアの終点標識装置を携帯端末2で読み取って終了判定を開始する。
【0039】
図3に示す管理装置3は、点検エリアA,B…から離れた場所に設置された管理センター内に配置されている。管理装置3は、マイクロコンピュータ等によって構成される制御部15を備えており、以下に説明するような機能を備えた管理装置用プログラムを制御部15に読み込むことによって本システム用の管理装置3とすることができる。かかる管理装置3としては、パソコンに必要な機能を備えた管理装置用アプリケーションを搭載して利用することもできる。
【0040】
図3に示すように、管理装置3は、清掃員Pの情報および清掃員Pが所持する携帯端末2の情報を対応付けて記憶するとともに、各対象施設の清掃エリアに含まれる点検エリア(清掃エリア内で作業すべき点検エリア)とその標識装置1の情報、および、清掃業務に際して各点検エリアで行なうべき点検項目等についてのデータを予め記憶した記憶部16を備えている。
また、記憶部16には、各清掃エリアにおける作業時間の超過を判定する基準時間として異常判定時間が記憶されている。異常判定時間は、清掃エリアごとに、清掃員Pの性別や年齢、体格といったそれぞれ異なる要因を考慮しつつ清掃作業に要する標準的な作業時間である。さらに、記憶部16には、異常判定時間の延長処理に用いる時間情報として、清掃エリアに含まれる点検エリアごとの基準時間を記憶されている。
【0041】
また、
図3に示すように、管理装置3は、制御部15によって制御される通信部17を備えている。通信部17は、清掃エリアを巡回する清掃員Pが携帯している携帯端末2と電気通信回線10又は任意の手段によって通信し、必要な情報の伝達を行なうことができる。本システムでは、各点検エリアにおける清掃員Pの作業箇所が適切か否かを客観的に確認するため、制御部15の制御により、業務管理情報として、携帯端末2が認識した標識装置1の識別情報と時刻情報を携帯端末2から通信により取得することができる。制御部15では、携帯端末2から清掃エリアまたは点検エリアの情報として標識装置1の識別情報を受信すると、記憶部16に記憶した情報と比較して、何れの清掃エリアまたは点検エリアの標識装置かを判別できる。また、清掃エリアの清掃が終了したときに点検結果のデータを携帯端末2から通信により取得する。
【0042】
図3に示すように、管理装置3は、制御部15によって制御される記憶処理部20を備えている。記憶処理部20は、携帯端末2から取得した情報を記憶部16に保存して管理するとともに、図示しないモニタなど表示手段に出力する。これによって、携帯端末2を用いて行う清掃作業の情報が、管理員による業務管理の情報把握に利用される。
記憶処理部20は、携帯端末2から清掃開始および清掃終了した点検エリアの情報と時刻情報を受信すると、これを記憶部16に清掃エリアの点検エリアごとに対応付けて記憶する。また、点検結果情報を受信するとこれを該当する点検エリアに対応付けて記憶する。
【0043】
また、
図3に示すように、管理装置3は、制御部15によって制御される作業評価部18を備えている。作業評価部18は、携帯端末2から清掃終了信号を受信すると、この清掃エリアの清掃開始信号を受信してから清掃エリアに含まれる全ての点検エリアの標識装置1の識別情報を受信しているか否かが判定される。これは、清掃エリアに対応する点検エリアの標識装置1が全て読取部6で検出されているかを判定することを意味する。作業評価部18は、清掃終了信号に含まれる終点標識装置の識別情報から清掃作業が終了した清掃エリアを判別し、この清掃エリアに含まれる点検エリアの情報を記憶部16から読み出す。そして、この清掃エリアに含まれる全ての点検エリアについて、携帯端末2が標識装置1を読み取ったか否か、すなわち携帯端末2から全ての点検エリアの業務管理情報を受信しているかを判別する。
【0044】
図3に示すように、管理装置3は、制御部15によって制御される作業判定部19を備える。作業判定部19は、作業評価部18の判別結果に基づき、清掃業務が適切に終了したか否かの判定を行う。作業判定部19は、作業評価部18により清掃作業が終了した清掃エリアに対応する全ての点検エリアについて、業務管理情報を受信していると判別された場合には、清掃エリアの清掃業務が終了したとの判定結果を出力する。この判定結果は、現在時刻情報とともに記憶部16に記憶されるとともに管理装置3の図示しない表示手段に表示される。作業判定部19は、清掃エリアの清掃業務が終了と判定すると、作業終了信号を通信部17、電気通信回線10を介して携帯端末2に送信する。これを受けて、携帯端末2では、作業終了を示す画面が表示・入力部11に表示出力される。
【0045】
他方、作業判定部19は、作業評価部18により清掃作業が終了した清掃エリアに対応する点検エリアのなかで、業務管理情報を受信していない点検エリアがあると判別された場合には、清掃エリアの清掃業務に点検漏れがあると判定して、清掃エリアの清掃業務が不適切であるとの判定結果を出力する。この判定結果は、管理装置3の図示しない表示手段に表示されて管理員の注意を喚起する。作業判定部19は、点検漏れがあると判定すると、清掃エリアに対応する点検エリアのなかで業務管情報を受信していない点検エリアを点検漏れエリアとして抽出し、この点検漏れエリアを示す不適切判定信号を通信部17、電気通信回線10を介して携帯端末2に送信する。これを受けて、携帯端末2では、再作業指示部13により再作業を指示する画面が表示出力されることとなる。
【0046】
また、
図3に示すように、管理装置3は、制御部15によって制御され、清掃エリアの清掃開始から清掃終了までの時間を計時する計時部21を備えている。計時部21は、計時カウンタを所定の周期でカウントアップまたはカウントダウンするハードウェアタイマまたはソフトウェアタイマである。計時部21は、携帯端末2から清掃開始信号を受信すると計時カウンタをリセットして経過時間の計時を開始し、作業判定部19にて清掃業務が終了と判定されると計時を終了する。
【0047】
この計時を監視する手段として、管理装置3は、制御部15によって制御される時間監視部22を備えている。時間監視部22は、携帯端末2より清掃開始信号を受信すると、清掃員Pが作業する清掃エリアに対応した異常監視時間を記憶部16から読み出して、計時部21が計時する経過時間と比較する。時間監視部22は、計時部21の経過時間が異常監視時間を超えると異常と判定して、管理装置3の図示しない表示手段に出力する。例えば、異常判定時間を超えても作業が終了しない場合、清掃員Pに非常事態が発生していることも考えられる。このため、管理装置3は、顧客や管理者の目の届かないところで行うような作業の動向を管理するために異常判定時間内に清掃エリアの作業が終了するかを監視している。なお、計時部21が、リセット時に時間監視部22から異常監視時間を受け取るようにして、異常監視時間を計時時間として設定して、経過時間が計時時間に達すると、時間監視部22に計時終了信号を出力してもよい。
【0048】
また、時間監視部22は、作業判定部19で点検漏れがあることが判定されると、これに応じて異常監視時間に所定時間を加算して新しい値に更新する延長処理を行う。この延長処理のために、時間監視部22は記憶部16に記憶されている基準時間を用いる。時間監視部22は、点検漏れと判定された点検エリアに対応する基準時間を読み出して、これを異常監視時間に加算して更新済み異常監視時間を取得する。そして、時間監視部22は、計時部21の経過時間がかかる更新済み異常監視時間を超えるか否かを監視して、経過時間が更新済み異常監視時間を超えると異常と判定して表示出力する。
【0049】
次に、本システムの動作例について、本システムの動作シーケンス例を示す
図5を参照して説明する。
図5に示すように、携帯端末2側の清掃業務手順においては、まず清掃業務の開始にあたり、携帯端末2に全点検エリアの点検項目に関するデータを記憶させる(S1)。そのデータ記憶の手段は、管理センターの管理装置3からのダウンロードでもよいし、その他の管理用サーバ等からのダウンロードでもよく、さらに点検項目に関するデータを記憶した記憶媒体を携帯端末2に接続して行なってもよい。
【0050】
図5に示すように、清掃員Pは、清掃エリアにおいて最初に読み取る標識装置1(清掃エリアの始点標識装置)を携帯端末2で読み取って、清掃エリアの巡回清掃を開始する(S2)。このとき、清掃エリアにおいて始点標識装置を読み取ると、携帯端末2から管理センターの管理装置3に対して清掃開始を通知する清掃開始信号が送信される。清掃開始信号は始点標識装置の識別情報を含む。これを受けて管理装置3ではこの清掃エリアの清掃開始が記憶され(S3)、遠隔で清掃業務が開始したことを把握することができる。またこのとき、計時部21により清掃作業の経過時間が計時開始される。
【0051】
清掃員Pは、最初の点検エリア(
図1の例では点検エリアA)において携帯端末2を標識装置1にかざし、その識別情報を読み取る(S4)。これが開始終了判定部7により、かかる最初の点検エリアの清掃開始の入力として受け付けられ、清掃開始が判定される(S5)。また、ここで読み取った最初の点検エリアの標識装置1の識別情報と、読み取り時の時刻である時刻情報は関連づけて業務管理情報として記憶部16に記憶される(S6)。また、この清掃開始を示す標識装置1の識別情報と時刻情報が、業務管理情報として管理センターの管理装置3に送信される。管理装置3では、記憶処理部20により、受信した標識装置1の識別情報と時刻情報が、清掃エリアに対応付けられて記憶される(S7)。また、このとき、管理装置3の表示手段に、この点検エリアの清掃開始の情報を表示してもよい。
【0052】
そして、携帯端末2は、標識装置1の認識により、携帯端末2の記憶部16に記憶させておいた点検項目のデータが読み出され、
図4(a)に例示するように点検項目が点検画面11aに表示される。点検員Pは、この表示を見て、漏れの無いように点検を行い清掃を実施して、必要に応じて
図4(b)に例示するコメント画面で必要なコメントなど点検結果情報を入力する。
【0053】
最初の点検エリアの清掃作業が終了すると、清掃員Pは次の点検エリアにおいて携帯端末2を標識装置1にかざし、その識別情報を読み取る(S8)。これにより、開始終了判定部7は、直前の点検エリアである最初の点検エリアの清掃が終了したこと、および次の点検エリアの清掃が開始したことが判定される(S9)。そして、携帯端末2では、読み取った新しい点検エリアの標識装置1の識別情報と、読み取り時の時刻である時刻情報が関連づけて記憶部16に記憶される(S10)。この最初の点検エリアの清掃終了および次の点検エリアの清掃開始を示す標識装置1の識別情報と時刻情報が、管理センターの管理装置3に送信される。管理装置3では、記憶処理部20により、受信した標識装置1の識別情報と時刻情報が、清掃エリアに対応付けられて記憶される(S11)。また、このとき、管理装置3の表示手段に、直前の点検エリアの清掃終了および次の点検エリアの清掃開始の情報を表示してもよい。
【0054】
次の点検エリアの清掃作業を進めた際における携帯端末2での手順は、手順S8〜S11で説明した内容と同様である。清掃員Pはこのように携帯端末2を用いながら清掃エリアの清掃を進める。そして、携帯端末2が清掃エリアの最後を示す所定の標識装置1(清掃エリアの終点標識装置)を読み取ると(S12)、携帯端末2から管理センターの管理装置3に対して清掃終了を通知する清掃終了信号と点検結果情報が送信される。清掃終了信号は終点標識装置の識別情報を含む。これを受けて管理装置3ではこの清掃エリアの点検結果情報が記憶される(S13)。
【0055】
また、管理装置3の制御部15は、清掃終了信号を受けて、作業評価部18と作業時間判定部19を制御して清掃作業の終了判定処理を行う。作業評価部18は、記憶部16に記憶されている清掃エリアに含まれる点検エリアの情報を読み出して、これまでに受信した業務管理情報が示す点検エリアと比較する(S14)。清掃エリアに含まれる全ての点検エリアについて業務管理情報を受信していれば、作業判定部19は、清掃作業が終了と判定する。計時部21はこれを受けて計時を終了する。他方、点検エリアのなかで、業務管理情報を受信していない点検エリアがあれば、作業判定部19は、点検漏れがあると判定して、清掃エリアの清掃業務が不適切であるとの判定結果を出力する(S15)。このとき、業務管情報を受信していない点検漏れエリアを示す不適切判定信号を携帯端末2に送信する。清掃エリアでは、携帯端末2にて、不適切判定信号の受信により点検漏れエリアを示す再点検の支持画面が表示され、清掃員Pによる点検漏れエリアの再点検が行われる(S16)。
【0056】
また、管理装置3では、作業判定部19により点検漏れがあると判定されると、時間監視部22は、計時部21の経過時間が異常と判定するための異常監視時間に、点検漏れに伴う再点検に応じた所定時間を加算して異常監視時間の延長処理を行う(S17)。そして、時間監視部22は、計時部21の経過時間が異常監視時間を超えると異常と判定して表示出力する(S18)。
【0057】
以上説明したように、本システムでは、掃員Pによる清掃業務の作業の度合いが十分か不十分かを客観的に把握、管理できるようにした。すなわち、スマートフォン等の携帯端末2で識別タグを読んだときに、作業を行っている点検エリアの証跡を記録することで、各点検エリアにおける清掃員Pの清掃業務の程度を、管理センターの管理装置3でもチェックできるようにした。これにより、作業員が本来作業すべきエリアを飛ばしていたり失念していた場合に、これを管理する側にて把握できる。また、携帯端末2にて点検漏れが表示されることで、清掃員Pもその場で清掃業務が不十分であったことを把握することができる。
また、点検漏れがあり、これを補う場合においては、作業の監視時間を必要程度延長することで、正常な作業中にタイムオーバーとなって異常事態と誤判定されないようにすることができる。
【0058】
なお、本システムでは、清掃員Pが持つ携帯端末2から管理装置3が情報を取得し、管理センター側で清掃作業の終了判定処理や異常判定時間の監視を行っていたが、これに限定されない。例えば、清掃員Pが持つ携帯端末2の側で清掃作業の終了判定処理や異常判定時間の監視を行うようにしてもよい。以下、かかる変形例について説明する。
【0059】
この変形例において、管理装置3の作業評価部18、作業判定部19、計時部21および時間監視部22と、これらによる清掃作業の終了判定処理および異常判定時間の監視に用いる制御部15の制御プログラムを携帯端末2の構成要素として携帯端末2の制御部5にて制御するように構成し、管理装置3の記憶部16から点検エリアと点検項目に関する情報を取得するときに当該清掃エリアの異常判定時間と各点検エリアの基準時間の情報も取得するようにする。そして、
図5に示した動作シーケンス例において、携帯端末2がS2の手続きの後にS3の手続きを実行し、S12の手続きの後にS13からS18の手続きを実行するようにすればよい。携帯端末2によるS15の判定結果は、携帯端末2の表示・入力部11に出力されるとともに、管理装置3に送信されて管理装置3にて記憶および表示されて管理員の報知される。
【0060】
この変形例によれば、清掃エリアの各点検エリアに識別タグ等の構成の簡単な標識装置1を設け、清掃員Pはスマートフォン等で構成できる携帯端末2を所持して点検エリアを清掃しながら巡回するだけで、終点識別装置を読み取ったときに点検漏れがあったか否か、および点検漏れがあった場合に作業の監視時間を必要程度延長することができる。これにより、各点検エリアにおいて正しく清掃が行われたか否かを現場で確実に判別でき、アシストを受けて適正品質の清掃作業を確実に行なうことができる。
【0061】
さらに、本実施形態では、作業員による作業の一例として清掃員による清掃作業に本システムを用いて説明したが、本発明の適応範囲はこれに限定されない。設備機器などの保守点検業務や警備対象施設の警備巡回業務など、顧客や管理者の目の届かないところで作業を行うような業務において、作業員による作業の進捗を客観的に確認可能として、業務のサービス品質にムラが生じているか否かを、作業員自身あるいは作業員を管理する側から客観的に把握することが求められる種々の作業現場において適応することが可能である。