(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記リード部は、前記側部延出部の延出端で曲げ加工されることにより前記本体部の外底面に沿って延出する外部延出部をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の半導体圧力センサ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、好適な実施形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
(第1実施形態)
図1(a)は、本発明の半導体圧力センサ(以下、単に圧力センサという)の第1の実施形態である圧力センサ10の側断面図である。
図1(b)は圧力センサ10の下面図である。
図2は圧力センサ10の斜視図である。
以下の説明においては、「上」および「下」は、
図1(a)における上下に即している。また、高さ方向とは、
図1(a)における上方である。「平面視」とは、リードフレーム1の実装部21の厚さ方向(上下方向)から見ることをいう。
また、各構成の位置関係は、XYZ座標系を参照して説明することがある。リードフレーム1のリード部22の基延出部31(31a〜31d)の長さ方向をX軸方向とする。リードフレーム1の実装部21に平行な面内でX軸方向に直交する方向をY軸方向とする。X軸方向およびY軸方向と直交する方向をZ軸方向とする。
X軸とY軸によって形成される面をXY平面という。Y軸とZ軸によって形成される面をYZ平面という。X軸とZ軸によって形成される面をXZ平面という。中心軸C1はZ軸方向に沿う。
【0011】
図1(a)に示すように、圧力センサ10は、リードフレーム1と、リードフレーム1の実装部21の上面21a側に設けられた圧力センサ素子2と、実装部21の下面21b側に設けられた制御素子3と、実装部21の少なくとも一部および制御素子3を覆う基体部4(パッケージ部)と、を備えている。
【0012】
基体部4は、本体部6(制御側基体)と、本体部6上に形成された上部基体7(センサ側基体)とを有する。
基体部4は、例えばエポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリフェニレンサルファイドなどの樹脂からなり、モールド成形により一体に形成することができる。
【0013】
図1(b)および
図2に示すように、本体部6の外底面6cは、周方向位置が互いに異なる4箇所が切り欠かれた円形、すなわち、直線状の4つの辺部6a(6a1〜6a4)と4つの湾曲部6b(6b1〜6b4)とを有する形状とすることができる。
第1辺部6a1と第3辺部6a3とは互いに対向する位置にあり、互いに平行である。第2辺部6a2と第4辺部6a4とは互いに対向する位置にあり、互いに平行である。
第1湾曲部6b1と第3湾曲部6b3とは互いに対向する位置にあり、第2湾曲部6b2と第4湾曲部6b4とは互いに対向する位置にある。
【0014】
湾曲部6bは、隣り合う辺部6a,6aの間に形成されている。詳しくは、湾曲部6b1は辺部6a1と辺部6a2との間に形成され、湾曲部6b2は辺部6a2と辺部6a3との間に形成され、湾曲部6b3は辺部6a3と辺部6a4との間に形成され、湾曲部6b4は辺部6a4と辺部6a1との間に形成されている。
湾曲部6bは、外底面6cの中央6c1を中心とする円弧に沿う形状とされている。
外底面6cは、XY面に沿う面である。
【0015】
図2に示すように、本体部6は、外底面6cと、辺部6aに沿う平坦な4つの辺部側面6dと、湾曲部6bに沿う4つの湾曲部側面6eとを有するブロック状とされている。
第1〜第4辺部6aに沿う辺部側面6dを、それぞれ第1〜第4辺部側面6d1〜6d4という。第1および第3辺部側面6d1,6d3はYZ面に沿う面であり、第2および第4辺部側面6d2,6d4はXZ面に沿う面である。
湾曲部側面6eは、中心軸C1を有する円筒形に沿う湾曲面である。中心軸C1の平面視位置は外底面6cの中央6c1の平面視位置と一致する。
【0016】
図1(a)に示すように、本体部6は、リードフレーム1の実装部21の第2面21b、制御素子3、およびボンディングワイヤ15を覆って形成されている。
本体部6の高さは一定であることが好ましい。
なお、辺部側面6dは、Z軸に対して傾斜する面であってもよい。また、基体部4は、実装部21の一部が露出する構造であってもよい。
【0017】
本体部6の外底面6cには、凹部8a,8b(第1凹部8aおよび第2凹部8b)が形成されている。
第1凹部8aは、第1辺部6a1の一部を一辺とする平面視矩形状とされている。第2凹部8bは、第3辺部6a3の一部を一辺とする平面視矩形状とされている。
凹部8a,8bの天面8a1,8b1は、XY平面に沿う面である。
【0018】
凹部8a,8bの深さ寸法D1は、リード部22の外部延出部33(33a〜33d)の外面(下面)の、天面8a1,8b1からの距離D2と同じ、またはこれより大きいことが好ましい。凹部8a,8bの深さ寸法D1は、外部延出部33の厚みと同じまたはこれより大きいことが好ましい。
深さ寸法D1が距離D2より大きい場合、外底面6cは外部延出部33(33a〜33d)の外面(下面)より低い位置となる。
【0019】
図1(a)に示すように、上部基体7は、基部11と、基部11の上面11aから上方に突出する筒状壁部12と、を有する。この例では、基部11および筒状壁部12は、それぞれ平面視円形に形成されている。
上部基体7には、上側が開口した収容部9が形成されている。収容部9は、例えば円筒形に形成された凹部であり、圧力センサ素子2および保護剤8を収容できる。
【0020】
図1(b)および
図2に示すように、基部11は、中心軸C1を有する円筒形とされており、基部11の周縁部の一部は、平面視において湾曲部6bと重なっている。
湾曲部6bと重なる部分以外の部分(周方向の位置が辺部側面6dに相当する部分)は、本体部6(辺部側面6d)よりも外側方に突出している。基部11のうち、辺部側面6dより外側方に突出した部分を突出部13という。
突出部13の平面視形状は、外周縁が円弧状であり、内周縁が直線状である部分円形である。図示例では、突出部13は4つあり、これらをそれぞれ突出部13a〜13dという。突出部13a〜13dは、平面視における周方向位置がそれぞれ辺部側面6d1〜6d4と一致する。
【0021】
本体部6の辺部側面6d(第1および第3辺部側面6d1,6d3)からの突出部13a,13cの最大突出寸法、すなわち
図1(a)および
図1(b)に示す突出寸法H1は、側部延出部32(32a〜32d)の外面(最外側面)の、辺部側面6dからの距離H2より大きい。
このため、突出部13a,13cの外面13a1,13c1(最大突出箇所。最も中心軸C1から離れた箇所)は、側部延出部32a,32bの外面の最外側方位置(最も中心軸C1から離れた位置)より外側方に位置している。
突出寸法H1は、少なくともリード部22の側部延出部32の厚みより大きくされることが望ましい。
突出寸法H1は、例えば100μm以上、1mm以下とすることができる。
【0022】
筒状壁部12は、圧力センサ素子2の外面(回路形成面2a)およびボンディングワイヤ14より高い位置に達するように形成することができる。これによって、圧力センサ素子2およびボンディングワイヤ14に外力が及ぶのを防ぐことができる。
筒状壁部12は、基部11と一体に形成することができる。
【0023】
収容部9の底面には、圧力センサ素子2が載置される載置台部16が形成されている。載置台部16は、収容部9の底面の一部または全部の領域に、収容部9の底面から膨出して形成されている。載置台部16は、ほぼ一定の厚さで形成することができる。
【0024】
本体部6および上部基体7の平面視形状(外形)は図示例に限らず、多角形(矩形など)、その他、任意の形状とすることができる。収容部9の形状は、収容される圧力センサ素子2の形状に応じて設計でき、その平面視形状は円形に限らず、多角形(矩形など)、その他、任意の形状とすることができる。
本体部6と上部基体7とは互いに別体であってもよいし、互いに一体に形成されていてもよい。
【0025】
図1(a)、
図1(b)および
図2に示すように、リードフレーム1は、導電体からなる板状体であり、制御素子3が設置される実装部21と、実装部21に対して延出する4つのリード部22とを有する。リードフレーム1の形成材料としては、銅(Cu)、鉄(Fe)等の金属が好ましい。
4つのリード部22のうち、実装部21の一方側(+X側)に形成された2つのリード部22をそれぞれ第1および第2リード部22a,22bという。実装部21の他方側(−X側)に形成された2つのリード部22をそれぞれ第3および第4リード部22c,22dという。
なお、図示例では4つのリード部22a〜22dが用いられているが、リード部の数は1でもよいし、2以上の任意の整数でもよい。
【0026】
図2に示すように、リード部22は、外方に延出する基延出部31と、基延出部31の延出端において屈曲し、前記延出端から垂下する側部延出部32と、側部延出部32の延出端において屈曲し、前記延出端から内方に延出する外部延出部33とを有する。リード部22は、基延出部31の延出端および側部延出部32の延出端の合計2箇所で曲げ加工されている。以下、各リード部22の構造を詳しく説明する。
【0027】
第1および第2リード部22a,22bは、実装部21と平行な面内(XY面内)で延出する基延出部31a,31bと、基延出部31a,31bの延出端31a1,31b1から垂下する側部延出部32a,32bと、側部延出部32a,32bの延出端32a1,32b1から第1凹部8a内に延出する外部延出部33a,33bとを有する。
図示例では、側部延出部32a,32bは基延出部31a,31bに対して垂直であり、外部延出部33a,33bは側部延出部32a,32bに対して垂直である。
第1および第2リード部22a,22bは互いに並列している。
【0028】
基延出部31a,31bは、X軸に沿う一方向(+X方向)に延出しており、Y軸方向に間隔をおいて、互いに並列して形成されている。基延出部31a,31bの大部分は基体部4に埋設され、延出端31a1,31b1およびその近傍部分は本体部6の外面(辺部側面6d)に露出している。
【0029】
側部延出部32a,32bは、本体部6の外面(辺部側面6d)に露出しており、延出端31a1,31b1から辺部側面6dに沿って下方に延出している。
側部延出部32a,32bは、Y軸方向に間隔をおいて、互いに並列して形成されている。側部延出部32a,32bは、辺部側面6dに接して形成されていてもよいし、辺部側面6dから離れて形成されていてもよい。
側部延出部32a,32bは、辺部側面6dの表面に露出しているため、辺部側面6dに対して外側方に露出しているといえる。
なお、図示例の側部延出部32a,32bは全長が露出しているが、側部延出部は一部のみが露出していてもよい。
【0030】
上述のように、側部延出部32の外面の、辺部側面6dからの距離H2(
図1(a)および
図1(b)参照)は、辺部側面6dからの突出部13の突出寸法H1より小さいため、側部延出部32a,32bの外面は、突出部13cの外面13c1(最大突出箇所)より内側方(すなわち中央寄り)に位置している。
【0031】
外部延出部33a,33bは、側部延出部32a,32bの延出端32a1,32b1から、第1凹部8aの天面8a1に沿って基延出部31a,31bとは反対の方向(−X方向)に延出している。
外部延出部33a,33bは、本体部6の外面(天面8a1)に露出している。外部延出部33a,33bは、Y軸方向に間隔をおいて、互いに並列して形成されている。外部延出部33a,33bは、天面8a1に接していてもよいし、天面8a1から離れていてもよい。
【0032】
第3および第4リード部22c,22dは、実装部21と平行な面内(XY面内)で延出する基延出部31c,31dと、基延出部31c,31dの延出端31c1,31d1から垂下する側部延出部32c,32dと、側部延出部32c,32dの延出端32c1,32d1から第2凹部8b内に延出する外部延出部33c,33dとを有する。
図示例では、側部延出部32c,32dは基延出部31c,31dに対して垂直であり、外部延出部33c,33dは側部延出部32c,32dに対して垂直である。
第3および第4リード部22c,22dは互いに並列している。
【0033】
基延出部31c,31dは、X軸に沿う他方向(−X方向)に延出しており、Y軸方向に間隔をおいて、互いに並列して形成されている。基延出部31c,31dの大部分は基体部4に埋設され、延出端31c1,31d1およびその近傍部分は本体部6の外面(辺部側面6d)に露出している。
【0034】
側部延出部32c,32dは、本体部6の外面(辺部側面6d)に露出しており、延出端32c1,32d1から辺部側面6dに沿って下方に延出している。
側部延出部32c,32dは、Y軸方向に間隔をおいて、互いに並列して形成されている。側部延出部32c,32dは、辺部側面6dに接していてもよいし、辺部側面6dから離れていてもよい。
側部延出部32c,32dは、辺部側面6dの表面に露出しているため、辺部側面6dに対して外側方に露出しているといえる。
なお、図示例の側部延出部32c,32dは全長が露出しているが、側部延出部は一部のみが露出していてもよい。
【0035】
上述のように、側部延出部32の外面の、辺部側面6dからの距離H2(
図1(a)および
図1(b)参照)は、辺部側面6dからの突出部13の突出寸法H1より小さいため、側部延出部32c,32dの外面は、突出部13aの外面13a1(最大突出箇所)より内側方(中央寄り)に位置している。
【0036】
外部延出部33c,33dは、側部延出部32c,32dの延出端32c1,32d1から、第2凹部8bの天面8b1に沿って基延出部31c,31dとは反対の方向(+X方向)に延出している。
外部延出部33c,33dは、本体部6の外面(天面8b1)に露出している。外部延出部33c,33dは、Y軸方向に間隔をおいて、互いに並列して形成されている。外部延出部33c,33dは、天面8b1に接していてもよいし、天面8b1から離れていてもよい。
【0037】
リード部22(22a〜22d)の露出部分の表面には、金属層(図示略)を形成することができる。金属層は、例えば、下地層であるNi層と、その上に形成されたAu層とを有する積層構造としてよい。
【0038】
図1(a)に示すように、リード部22の基延出部31は、ボンディングワイヤ14によって圧力センサ素子2に接続されるとともに、ボンディングワイヤ15によって制御素子3に接続されている。
図示例では、リード部22の基延出部31a,31bの一部は収容部9の底面に露出しており、この部分にボンディングワイヤ14が接続されている。
【0039】
圧力センサ素子2としては、例えば、シリコン等からなる半導体基板の一面側に、ダイヤフラム部と、基準圧力室としての密閉空間と、圧力によるダイアフラム部の歪抵抗の変化を測定するための複数の歪ゲージとを備えたものが使用できる。
この例の圧力センサ素子2は、ダイアフラム部が圧力を受けて撓むと、各歪ゲージにダイアフラム部の歪み量に応じた応力が発生する。この応力に応じて歪ゲージの抵抗値がピエゾ抵抗効果によって変化し、この抵抗値変化に応じたセンサ信号が出力される。これにより、圧力を計測することができる。
この圧力センサ素子2は、MEMS(Micro Electro-Mechanical Systems)技術を利用した圧力センサ素子である。
なお、圧力センサ素子は、ピエゾ抵抗効果を用いたピエゾ抵抗式の圧力センサ素子に限らず、例えば、静電容量式等、その他の方式の圧力センサ素子であってもよい。
【0040】
圧力センサ素子2は、収容部9内に収容され、載置台部16上に設置される。
圧力センサ素子2は、実装部21の上面21a(第1面)側に設置されている。圧力センサ素子2は、少なくとも一部領域が実装部21に重なる位置にあることが望ましい。
圧力センサ素子2は、実装部21の上面21aに、例えばダイボンド樹脂を介して接着することができる。ダイボンド樹脂としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などが使用できる。
なお、圧力センサ素子2は、平面視において、一部領域が実装部21から外れた位置にあってもよい。また、圧力センサ素子2は、実装部21から高さ方向に離れた位置にあってもよい。
【0041】
圧力センサ素子2の回路形成面2aは外側(上面側)に向けられており、回路形成面2aの回路をなす配線層(図示略)は、ボンディングワイヤ14を介して実装部21に電気的に接続されている。
【0042】
図1(a)に示すように、圧力センサ素子2は収容部9内に収容され、収容部9内に充てんされた保護剤8に覆われていることが好ましい。保護剤8は、水や外気の浸入を防ぎ、圧力センサ素子2への悪影響を防ぐことができる。
【0043】
保護剤8としては、例えば、シリコン系の樹脂(例えばシリコーン樹脂)やフッ素系の樹脂が使用できる。保護剤8は液状やゲル状とすることができる。保護剤8は高い粘性を持つことが好ましい。
保護剤8としては、例えば、硬度約0(ショアA硬度。JIS K 6253に準拠)の柔らかいゲル剤を用いることが望ましい。これによって、測定対象から加えられる圧力をそのまま圧力センサ素子2に伝達できる。
【0044】
保護剤8は、光透過性が低いことが望ましい。これによって、可視光や紫外線を遮断することができるため、圧力センサ素子2に光起電力を発生させることを防ぎ、測定誤差を低減できる。また、圧力センサ素子2やその周囲の配線の劣化を防ぐ効果も期待できる。保護剤8は、顔料等を含有させることによって、光透過性を低くすることができる。
【0045】
制御素子3は、圧力センサ素子2からのセンサ信号が、ボンディングワイヤ15を介して入力されると、これを処理して圧力検出信号として出力できるように構成されている。
制御素子3は、例えば、圧力センサ素子2のON/OFF制御、内蔵する温度センサによる検出値の補正、検出データのA/D変換、リニアリティの補正、信号波形の整形などの機能を有する。
【0046】
制御素子3は、例えば、外部温度を測定する温度センサ(図示略)と、温度センサからの信号をA/D変換して温度信号として出力するA/D変換器(図示略)と、前記温度信号が入力される演算処理部(図示略)とを有する構造を採用できる。
前記演算処理部では、前記温度信号に基づいて、圧力センサ素子2からのセンサ信号に補正処理を行うことができる。
温度センサとしては、抵抗式(ブリッジ抵抗式)、ダイオード式、熱電対式、赤外線式などがある。温度センサは、制御素子3内部において、回路形成面3aに近接した位置に設けることができる。
【0047】
制御素子3は、実装部21の下面21b(第2面)側に設置されている。制御素子3は、少なくとも一部領域が実装部21に重なる位置にあることが望ましい。
制御素子3は、実装部21の下面21bに、例えばダイボンド樹脂を介して接着することができる。ダイボンド樹脂としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などが使用できる。
なお、制御素子3は、平面視において、一部領域が実装部21から外れた位置にあってもよい。また、制御素子3は、実装部21から高さ方向に離れた位置にあってもよい。
【0048】
制御素子3の回路形成面3aは外側(下面側)に向けられており、回路形成面3aの回路をなす配線層(図示略)は、ボンディングワイヤ15を介して実装部21に電気的に接続されている。
【0049】
制御素子3は、平面視において、少なくとも一部が圧力センサ素子2に重なる位置にあることが好ましい。
制御素子3は、一部領域が圧力センサ素子2の一部領域または全領域に重なる位置にあってもよいし、制御素子3の全領域が圧力センサ素子2の一部領域または全領域と重なる位置にあってもよい。
ボンディングワイヤ14,15は、例えば金、アルミニウムなどの金属からなる。
【0050】
次に、圧力センサ10を製造する方法の一例を、
図3を参照しつつ説明する。
(制御素子の実装)
図3(a)に示すように、リード部22Aが屈曲されていないこと以外はリードフレーム1と同じ構成のリードフレーム基板1Aを用意する。
リードフレーム基板1Aのリード部22Aは全長にわたってX軸方向に沿って直線的に形成されている。
【0051】
リードフレーム基板1Aの実装部21の下面21bに制御素子3を設置する。制御素子3は、例えばダイボンド樹脂(エポキシ樹脂、シリコーン樹脂など)を介して実装部21の下面21bに接着することができる。
制御素子3とリード部22Aとをボンディングワイヤ15によって互いに接続する。
【0052】
(基体部の形成)
図3(b)に示すように、実装部21、制御素子3、およびボンディングワイヤ14を覆うように基体部4を形成する。
基体部4は、モールド成形により形成することができる。モールド(型)としては、本体部6に応じた内部形状を有する下部モールドと、上部基体7に応じた内部形状を有する上部モールドとを使用できる。
下部モールドと上部モールドとの間にリードフレーム基板1Aを挟み込んだ状態で、下部モールドおよび上部モールドの内部空間に材料樹脂を充てんすることによって、基体部4を形成することができる。
リード部22Aは、基延出部31(31a〜31d)の一部に相当する部分が基体部4に埋設される。
【0053】
(リード部への金属層形成)
リード部22Aの露出部分の表面には、金属層(図示略)を形成することができる。金属層は、例えば、下地層であるNi層と、その上に形成されたAu層とを有する積層構造としてよい。金属層は、無電解めっき等により形成できる。
【0054】
(リード部の曲げ加工)
図3(c)に示すように、リード部22Aをそれぞれ2箇所(延出端31a1〜31d1および延出端32a1〜32d1(
図2参照)に相当する位置)で屈曲させる。
リード部22Aでは、曲げ箇所において金属微粒子が発生するが、制御素子3は基体部4に覆われているため、金属微粒子が制御素子3に付着することはない。
【0055】
(圧力センサ素子の設置)
図3(d)に示すように、載置台部16に圧力センサ素子2を搭載し、圧力センサ素子2とリード部22とをボンディングワイヤ14によって互いに接続する。
【0056】
(保護剤の充てん)
図1(a)に示すように、上部基体7の収容部9に保護剤8を充てんし、圧力センサ素子2を覆う。
以上の工程を経て、
図1(a)等に示す圧力センサ10を得る。
【0057】
図4は、圧力センサ10の使用例を示す図である。
この図に示すように、圧力センサ10は、機器の筐体28内に設置できる。
筐体28は、下壁25と、その周縁部に立設された側壁26,26と、上壁27とを有する。筐体28は、下壁25と側壁26,26と上壁27とで区画される収容空間29に圧力センサ10を収容できる。
【0058】
基体部4の筒状壁部12は、上壁27の開口部27a内に配置される。
基部11の上面11aと上壁27の下面との間には、軟質樹脂からなるガスケット24(Oリング等)が設けられる。ガスケット24は筒状壁部12を囲んで設けられる。
ガスケット24は弾性的に圧縮変形し、その弾性力により上面11aと上壁27の下面との隙間を気密に塞いでいる。
リード部22の外部延出部33は、下壁25上に設置された配線基板34の上面34aに形成された配線層(図示略)に接続することができる。
【0059】
圧力センサ10は、以下の効果を奏する。
リード部22が、基体部4の外に位置する延出端31a1〜31d1および延出端32a1〜32d1で曲げられているため、この曲げ加工を、基体部4を形成した後に行うことができる(
図3参照)。
制御素子3は基体部4に覆われているため、曲げ加工によって金属微粒子が発生した場合でも、この金属微粒子が制御素子3に付着することはない。
従って、金属微粒子を原因とする制御素子3の不具合を防止できる。
【0060】
また、圧力センサ10では、突出部13(13a,13c)が、リード部22の露出部分の最外側面(側部延出部32の外面)よりも外側方に達するように形成されているため、圧力センサ10を筐体28の収容空間29(
図4参照)に収容する際に、リード部22が筐体28に誤って接触することはない。
よって、筐体28との接触によるリード部22の破損、および、リード部22と筐体28との電気的接続による問題を回避できる。
【0061】
さらに、基体部4が突出部13を有するため、筐体28の収容空間29に収容した状態で、基体部4と側壁26,26の内側面との隙間が小さくなるため、圧力センサ10の側方への位置ずれを防ぐことができる。
よって、圧力センサ10の設置位置が安定するため、ガスケット24が所定の位置からずれることによる防水性能の低下を防ぐことができる。
【0062】
図5(a)は、本発明の圧力センサの第2の実施形態である圧力センサ20を示す側断面図である。
図5(b)は圧力センサ20の下面図である。
図6は圧力センサ20の斜視図である。
なお、以下に説明する各実施形態では、既出の圧力センサとの共通部分については同じ符号を付してその説明を省略または簡略化する。
【0063】
図5(a)、
図5(b)および
図6に示すように、圧力センサ20は、リード部22(側部延出部32)が形成された辺部側面6d(6d1,6d3)に、それぞれ規制壁部17(17a、17b)(規制凸部)が形成されている点で、
図1(a)等に示す圧力センサ10と異なる。
規制壁部17は、平面視矩形とされ、幅(X方向の寸法)は突出部13a,13cの突出寸法とほぼ同じである。このため、辺部側面6dからの突出寸法H3は、側部延出部32の外面の、辺部側面6d1,6d3からの距離H2より大きい。
【0064】
規制壁部17(17a、17b)は、辺部側面6d1,6d3のほぼ中央(Y方向の中央)に、XZ平面に沿って形成することができる。
図示例の規制壁部17の高さ(Z方向の寸法)は本体部6の高さとほぼ同じであり、規制壁部17(17a、17b)の下端17a1,17b1は外底面6cとほぼ同じ高さ位置にある。なお、規制壁部17の高さ寸法は、辺部側面6dの高さと同じとしてもよい。
規制壁部17は、本体部6と一体に形成することができる。
【0065】
辺部側面6d1に形成された規制壁部17aは、側部延出部32cと側部延出部32dとの間にあるため、側部延出部32c,32dが互いに近づく方向に移動するのを規制できる位置にあるといえる。よって、側部延出部32c,32dの形成位置が変動した場合でも、側部延出部32c,32dが互いに短絡するのを確実に防止できる。
辺部側面6d3に形成された規制壁部17bは、側部延出部32aと側部延出部32bとの間にあるため、側部延出部32a,32bが互いに近づく方向に移動するのを規制できる位置にあるといえる。よって、側部延出部32a,32bの形成位置が変動した場合でも、側部延出部32a,32bが互いに短絡するのを確実に防止できる。
【0066】
図7は、本発明の圧力センサの第3の実施形態である圧力センサ30を示す斜視図である。
圧力センサ30は、規制壁部18(18a,18b)(規制凸部)を有する点で、
図1(a)等に示す圧力センサ10と異なる。
規制壁部18(18a,18b)は、辺部側面6d(6d1,6d3)から外底面6c(凹部8a,8b)にかけて、側部延出部32と外部延出部33の全長にわたって形成されている。
【0067】
詳しくは、規制壁部18aは、辺部側面6d1のほぼ中央(Y方向の中央)に、高さ方向に沿って形成された第1壁部18a1と、凹部8bの天面8b1のほぼ中央(Y方向の中央)に、X方向に沿って形成された第2壁部18a2とを有する。
規制壁部18bは、辺部側面6d3(
図1(b)参照)のほぼ中央(Y方向の中央)に、高さ方向(上下方向)に沿って形成された第1壁部18b1と、凹部8aの天面8a1のほぼ中央(Y方向の中央)に、X方向に沿って形成された第2壁部18b2とを有する。
【0068】
規制壁部18aは、延出部32c,33cと延出部32d,33dとの間に位置するため、延出部32c,33cと延出部32d,33dとが互いに近づく方向に移動するのを規制できる位置にあるといえる。よって、延出部32c,33c,32d,33dの形成位置が変動した場合でも、これらが短絡するのを防止できる。
規制壁部18bは、延出部32a,33aと延出部32b,33bとの間に位置するため、延出部32a,33aと延出部32b,33bとが互いに近づく方向に移動するのを規制できる位置にあるといえる。よって、延出部32a,33a,32b,33bの形成位置が変動した場合でも、これらが短絡するのを防止できる。
【0069】
圧力センサ30では、規制壁部18(18a,18b)が延出部32,33の全長にわたって形成されているため、延出部32,33の形成位置が変動した場合でも、これらが短絡するのを確実に防止できる。
【0070】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えば、図示例のリード部22は2箇所で曲げ加工されているが、曲げ箇所の数はこれに限らず、1でもよいし、3以上の任意の整数でもよい。
また、図示例のリード部22は、基延出部31と、基延出部31に垂直な側部延出部32と、側部延出部32に垂直な外部延出部33とを有する形状であるが、曲げ箇所の曲げ角度は垂直に限らず、任意の角度でよい。例えば、側部延出部は、基延出部に対して90°以外の角度で傾斜していてもよい。
また、図示例のリード部22は、基延出部31と、側部延出部32と、外部延出部33とを有する形状であるが、リード部は外部延出部がない形状としてもよい。