特許第6267060号(P6267060)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6267060
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】操作装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20180115BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   G06F3/041 522
   G06F3/044 Z
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-112462(P2014-112462)
(22)【出願日】2014年5月30日
(65)【公開番号】特開2015-228053(P2015-228053A)
(43)【公開日】2015年12月17日
【審査請求日】2017年1月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104662
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智司
(72)【発明者】
【氏名】小松 雅広
(72)【発明者】
【氏名】倉本 勉
【審査官】 岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−123740(JP,A)
【文献】 特開2013−228972(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0200524(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03− 3/0489
G05B 23/00−23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作対象物を制御する制御装置に接続され、該制御装置に前記操作対象物を操作するための操作信号を入力する操作装置であって、
画面表示する表示部、及び該表示部に重ね合された状態で配設され、二次元平面上でマトリクス状に配置された複数の電極を有し、グランド電位と各電極との間に生じる静電容量に応じた信号を、それぞれ出力するように構成された入力部を備えるタッチパネルと、
前記タッチパネルの表示部に表示される画面に係るデータであって、1以上の操作キーを配置した操作画面に係るデータを、少なくとも記憶した表示画面データ記憶部と、
前記表示部に表示される操作画面上の位置に対応して定義される操作情報を記憶した操作情報記憶部と、
前記表示画面データ記憶部に格納された操作画面データを読み出して、前記タッチパネルの表示部に表示する表示制御部と、
前記入力部の各電極から出力される信号を受信し、受信した信号を基に、オペレータが接触した接触位置を認識し、認識した接触位置を基に、前記操作情報記憶部に格納された操作情報を参照して操作信号を生成し、生成した操作信号を前記制御装置に送信する入力信号処理部と、
前記入力部の各電極から出力される信号、又は前記入力部の電極から出力される信号と相関性のある信号を出力するノイズ検出素子から出力される信号を受信して、前記入力部が電気的に安定しているか否かを判定する判定部とを備えて成り、
前記表示画面データ記憶部には、更に、警告表示用の警告画面に係るデータが記憶され、
前記判定部は、更に、前記入力部が電気的に不安定であると判定される場合には、前記表示制御部によって、前記表示画面データ記憶部に格納された警告画面データを基に、該警告画面を前記表示部に表示させるように構成され
前記入力信号処理部は、更に、前記判定部によって、前記入力部が電気的に不安定であると判定された場合に、前記接触位置が1か所のみ認識される場合には、認識した接触位置に対応した操作信号を生成して前記制御装置に送信する一方、前記接触位置が同時に2か所以上認識された場合には、前記制御装置に前記操作信号を送信しないように構成されていることを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記入力信号処理部は、前記入力部の各電極から出力される信号を、所定の接触基準値と比較して、該接触基準値を上回る信号を出力する電極に対応した位置を前記接触位置と認識するように構成されるとともに、
前記判定部は、少なくとも、前記入力部の各電極から出力される信号を、前記接触基準値及び該接触基準値よりも値の小さい安定判定基準値と比較した場合に、該安定判定基準値以上であり、且つ前記接触基準値以下の値の信号を出力する電極があるとき、又は、前記入力部の各電極から出力される信号を、前記接触基準値と比較した場合に、該接触基準値以上の値の信号を出力する電極が位置する領域の総計が、予め定めた基準総領域を超えるときには、前記入力部が電気的に不安定であると判定するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の操作装置。
【請求項3】
前記表示画面データ記憶部には、前記入力部の不安定度に応じて設定される複数の警告画面に係るデータが記憶され、
前記判定部は、少なくとも、前記入力部の各電極から出力される信号であって、前記安定判定基準値以上であり、且つ前記接触基準値以下の値を示す信号が、所定時間内に検出される回数を計数し、又は、前記所定時間内に、前記接触基準値以上の値の信号を出力する電極が位置する領域の総計が、予め定めた基準総領域を超える回数を計数して、計数された回数に応じて前記入力部の不安定度を分類するとともに、前記表示制御部によって、前記表示画面データ記憶部に格納された警告画面データを基に、分類された不安定度に応じた警告画面を前記表示部に表示させるように構成されていることを特徴とする請求項2記載の操作装置。
【請求項4】
前記表示画面データ記憶部に記憶される警告画面データには、オペレータに、前記タッチパネルに対して同時多点接触しないことを促す内容が含まれていることを特徴とする請求項1乃至記載のいずれかの操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作対象物を制御する制御装置に接続され、この制御装置に、前記操作対象物を操作するための操作信号を入力する操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の上記操作装置の一例として、NC工作機械の数値制御装置に接続される操作装置を挙げることができる。NC工作機械は、一般的には、ワークを加工するための動作を行う加工機構部と、この加工機構部の動作を制御する数値制御装置とを備え、加工機構部には、例えば、旋盤では、ワークを把持して回転させる主軸及びその駆動機構や、工具を保持する刃物台及びこの刃物台を所定の軸方向に移動させる送り機構などが含まれ、マシニングセンタでは、ワークを保持するテーブル、工具を保持する主軸及びその駆動機構や、テーブル及び主軸を相対的に所定の軸方向に移動させる送り機構などが含まれる。
【0003】
そして、従来の一般的な操作装置は、前記加工機構部の状態や各種加工情報を画面表示するための表示部と、前記数値制御装置に操作信号を入力するための操作キーを有する操作部とを備え、更に、近年では、前記表示部及び操作部を、所謂マンマシンインターフェース機能を有するタッチパネルから構成し、このタッチパネル上に、ソフトキーとしての操作キーを表示させ、オペレータがこの操作キーを押下することで、対応する操作信号が前記数値制御装置に入力されるように構成されたものがある。
【0004】
従来、このようなタッチパネルとして、タッチキーやタッチスクリーンなど、各種のものが提案されている。タッチキーは、静電容量方式のもが一般的であり、プリント基板,ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)膜や導電ゴムなどの素材でタッチ電極を形成し、人体との間に発生する静電容量を計測することで、キーのON/OFFを判別するようにしている。
【0005】
また、タッチスクリーンには、同じく静電容量方式の他、抵抗膜式、光学式や音波式などのものがある。このうち、静電容量方式は、自己容量検出方式のものと、相互容量検出方式のものがあり、それぞれプリント基板やITO膜などの素材で、X,Y方向にマトリクス状に形成された電極を備える。
【0006】
相互容量検出方式のタッチスクリーンは、図8に示すように、帯状の配線101をX方向及びY方向にそれぞれ配列し、各方向の配線101が相互に直交するように配置して、田形に電極を形成したものである。この相互容量検出方式のタッチスクリーンは、図9に示すように、その電極が、受信電極102と送信電極103とから形成されるとともに、受信電極102をグランドに接地した構成を備え、送信電極103にパルスを入力することで、図9に示すように、受信電極102と送信電極103との間に電界(Field coupling)104を発生させる。そして、図10に示すように、オペレータの指105が送信電極103に近づくと、電界の一部104aがオペレータの指105との間で発生することにより、受信電極102と送信電極103との間の電界104が減少するため、この電界104の減少に伴う電荷の減少を測定することによって、オペレータの指105の接触が検出される。
【0007】
一方、自己容量検出方式のタッチスクリーンは、図11に示すように、ひし形の電極110をX方向とY方向とに接続し、これらを格子上に配置して構成される。自己容量検出方式のタッチスクリーンでは、図12に示すように、電極110に、当該電極110の周辺にあるプリント基板のグランドパターンや金属フレーム等との間に寄生容量が発生している。そして、図13に示すように、オペレータの指105が電極110に近づくと、オペレータが仮想グランドに接地されているため、オペレータの指105と電極110との間に静電容量が発生し、当該電極110における静電容量が増加することになる。自己容量検出方式のタッチスクリーンでは、この静電容量の増加を測定することによって、オペレータの指105の接触が検出される。
【0008】
尚、相互容量検出方式のタッチスクリーンに係る発明としては、その一例として、従来、特表2012−502397号公報に開示されるものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特表2012−502397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、前記相互容量検出方式のタッチスクリーンは、パルスを送信する仕組みが必要となるため構造が複雑になるというデメリットがあるが、受信電極102を送信電極103で囲む構造とすることで、ノイズに対する耐性を強化することができるというメリットがあるとされている。
【0011】
一方、前記自己容量検出方式のタッチスクリーンの場合、構造が単純ではあるが、電極110や検出ICまでの配線をグランドパターンで保護できないため、ノイズに対する耐性が低いというデメリットがあるとされている。実際、グランド電位が不安定な環境下では、グランド電位の変動によって前記静電容量が大きく変動するため、オペレータが接触していない場合でも、各電極110における静電容量が、オペレータが接触した場合と同様に増加して、誤検出されるといった問題が生じている。
【0012】
斯くして、このような自己容量検出方式のタッチスクリーンを、NC工作機械の操作装置に採用した場合、オペレータが押下していない操作キーが押下されたと誤検出され、これを受けてNC工作機械が動作するという問題を生じる。NC工作機械が設置される工場では、種々の要因によって、グランド電位が不安定に成り易く、その対策が望まれている。
【0013】
本発明は、以上の実情に鑑みなされたものであって、信号の入力部として自己容量検出方式に係るタッチスクリーンを用いた操作装置において、当該入力部が電気的に不安定になったときに、これを検出することが可能な操作装置の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するための本発明は、操作対象物を制御する制御装置に接続され、該制御装置に前記操作対象物を操作するための操作信号を入力する操作装置であって、
画面表示する表示部、及び該表示部に重ね合された状態で配設され、二次元平面上でマトリクス状に配置された複数の電極を有し、グランド電位と各電極との間に生じる静電容量に応じた信号を、それぞれ出力するように構成された入力部を備えるタッチパネルと、
前記タッチパネルの表示部に表示される画面に係るデータであって、1以上の操作キーを配置した操作画面に係るデータを、少なくとも記憶した表示画面データ記憶部と、
前記表示部に表示される操作画面上の位置に対応して定義される操作情報を記憶した操作情報記憶部と、
前記表示画面データ記憶部に格納された操作画面データを読み出して、前記タッチパネルの表示部に表示する表示制御部と、
前記入力部の各電極から出力される信号を受信し、受信した信号を基に、オペレータが接触した接触位置を認識し、認識した接触位置を基に、前記操作情報記憶部に格納された操作情報を参照して操作信号を生成し、生成した操作信号を前記制御装置に送信する入力信号処理部と、
前記入力部の各電極から出力される信号、又は前記入力部の電極から出力される信号と相関性のある信号を出力するノイズ検出素子から出力される信号を受信して、前記入力部が電気的に安定しているか否かを判定する判定部とを備えて成り、
前記表示画面データ記憶部には、更に、警告表示用の警告画面に係るデータが記憶され、
前記判定部は、更に、前記入力部が電気的に不安定であると判定される場合には、前記表示制御部によって、前記表示画面データ記憶部に格納された警告画面データを基に、該警告画面を前記表示部に表示させるように構成された操作装置に係る。
【0015】
本発明に係る操作装置によれば、前記表示制御部による制御の下、前記表示画面データ記憶部に格納された前記操作画面に係るデータに基づいて、当該操作画面が前記タッチパネルの表示部に表示される。
【0016】
一方、タッチパネルの入力部を構成する各電極には、グランド電位との間に静電容量が発生しており、各電極について、この静電容量に応じた信号(例えば、電圧信号)が、それぞれ前記入力部から前記入力信号処理部及び判定部に送信される。
【0017】
そして、オペレータがタッチパネルに接触すると、その接触位置に配置された電極及びその周辺に位置する電極の静電容量が増加し、前記入力信号処理部には、増加した静電容量に応じた信号が前記入力部から送信される。入力信号処理部は、このようにして入力される信号の値を、所定のサンプリング間隔で処理して、前記静電容量が増加した電極、即ち、オペレータが接触したタッチパネル上(前記操作画面上)の接触位置を認識し、認識した接触位置を基に、前記操作情報記憶部に格納された操作情報を参照して、当該認識した接触位置が操作画面上の操作キーに対応する位置である場合には、その操作情報に対応した操作信号を生成して前記制御装置に送信する。
【0018】
ところで、前記入力部のように、各電極とグランド電位との間に生じる静電容量の変化を検出することで、オペレータの接触を検出するように構成された、所謂、自己容量検出方式による入力部の場合、上述したように、グランド電位が不安定な環境下では、グランド電位の変動によって前記静電容量が大きく変動するため、オペレータが接触していない場合でも、各電極における静電容量が、オペレータが接触した場合と同様に増加して、誤検出されるといった問題がある。
【0019】
そこで、本発明に係る操作装置では、前記判定部により、前記入力部の各電極から出力される信号、又は前記入力部の電極から出力される信号と相関性のある信号を出力するノイズ検出素子から出力される信号を基に、当該入力部が電気的に安定しているか否かを判定するように構成し、更に、前記判定部により、前記入力部が電気的に不安定であると判定された場合には、前記表示制御部によって、前記表示画面データ記憶部に格納された警告画面データを基に、当該警告画面を前記表示部に表示させるように構成した。
【0020】
このように、本発明に係る操作装置では、前記グランド電位が不安定になるなどの原因によって、前記入力部が電気的に不安定となった場合には、これが前記判定部によって認識されるとともに、前記入力部が電気的に不安定になったことを表す警告画面が前記表示部に表示される。斯くして、この操作装置によれば、前記表示部に警告画面が表示されることで、オペレータは入力部が電気的に不安定になっていることを認識することができ、当該操作装置による操作を中断するなど、適切な措置を講じることができる。そして、このような措置を講じることで、当該操作装置が、例えば、工作機械のような加工機構部を操作するものである場合に、前記誤検出により加工機構部が動作するといった問題が生じるのを、未然に防止することができる。
【0021】
尚、前記ノイズ検出素子は、グランドノイズを検出するもので、電極、アンテナ、およびアース線を流れるノイズ電流を検出する素子を採用できる。「ノイズ」とは、例えば静電容量式タッチパネルの検出基準電位から見た環境の相対的な電位の変動をいい、これを前記ノイズ検出素子で検出するには、予め、当該ノイズ検出素子で検出されるノイズレベルと、タッチパネルの検出基準電位に基づくノイズとの相関を取っておけば良い。
【0022】
そして、本発明において、前記入力信号処理部は、前記判定部によって、前記入力部が電気的に不安定であると判定された場合に、前記接触位置が1か所のみ認識される場合には、認識した接触位置に対応した操作信号を生成して前記制御装置に送信する一方、前記接触位置が同時に2か所以上認識された場合には、前記制御装置に前記操作信号を送信しないように構成される。
【0023】
前記入力部が電気的に不安定になると、オペレータが接触していないにも拘らず、各電極からの出力値が、オペレータが接触した場合と同様に増加することがあり、この場合、オペレータがタッチパネルの複数個所に同時に接触すると、これに誘発されて、各接触位置の周辺の領域の他の位置の電極からの出力値も増加することが多い。したがって、接触位置が1か所のみ認識される場合には、この接触位置はオペレータが実際に接触した位置であると見做して差支えない。一方、前記入力部が電気的に不安定になった場合に、上記のように、前記入力部からの入力を全て無効にすれば、安全性を高めることができる反面、あまりにも操作性を損ねる場合がある。そこで、接触位置が1か所のみ認識される場合には、前記入力部からの入力を有効なものとすれば、オペレータは、一点接触による入力を継続することができ、前記入力部が電気的に不安定になったと判断される場合でも、安全を確認しながら、継続して操作を行うことができるため、その操作性が極端に損なわれることがない。
【0024】
また、本発明では、前記入力信号処理部は、前記入力部の各電極から出力される信号を、所定の接触基準値と比較して、該接触基準値を上回る信号を出力する電極に対応した位置を前記接触位置と認識するように構成されるとともに、
前記判定部は、少なくとも、前記入力部の各電極から出力される信号を、前記接触基準値及び該接触基準値よりも値の小さい安定判定基準値と比較した場合に、該安定判定基準値以上であり、且つ前記接触基準値以下の値の信号を出力する電極があるとき、又は、前記入力部の各電極から出力される信号を、前記接触基準値と比較した場合に、該接触基準値以上の値の信号を出力する電極が位置する領域の総計が、予め定めた基準総領域を超えるときには、前記入力部が電気的に不安定であると判定する態様をとることができる。
【0025】
上述したように、オペレータがタッチパネルに接触すると、当該接触部に位置する電極及びその周辺に位置する電極の静電容量が増加する。したがって、前記入力信号処理部は、前記入力部の各電極から出力される信号を、所定の接触基準値と比較して、該接触基準値を上回る信号を出力する電極に対応した位置を前記接触位置と認識することができる。
【0026】
そして、前記入力部が電気的に不安定になると、オペレータが接触していないにも拘らず、各電極における静電容量が全体的に大きく変動し、各電極からの出力値が接触基準値を超えないまでも、これより所定の小さな値(これを上記安定判定基準値とする)を超える挙動を示す場合がある。したがって、前記判定部は、前記入力部の各電極から出力される信号を、前記接触基準値及び安定判定基準値と比較した場合に、該安定判定基準値以上であり、且つ前記接触基準値以下の値の信号を出力する電極があるときに、前記入力部が電気的に不安定であると見做すことができる。
【0027】
また、前記入力部が電気的に不安定になった場合に、オペレータが接触していないにも拘らず、各電極からの出力値が接触基準値を超える挙動を示す場合もある。この場合、オペレータの接触による静電容量の増加と、入力部が電気的に不安定になったことに起因する静電容量の増加とを識別する必要がある。一般的に、オペレータに許容されるタッチパネル上の接触位置は、1カ所(1点)に限られず、例えば、2か所(2点)乃至3か所(3点)位まで認められており、例えば、オペレータが接触した位置が許容点数を超えて認められる場合には、その入力を無効とすることができる。また、オペレータが手のひら全体でタッチパネルに接触するなど、接触領域が所定領域を超える場合には、その入力を不適正な入力として無効にすることができる。このように、オペレータの接触により静電容量の増加する電極が位置する領域の総計が、予め定められた基準総領域内にあるときに、前記接触が適正である認めることができる。したがって、前記接触基準値以上の値の信号を出力する電極が位置する領域の総計が、予め定めた基準総領域を超えるときには、当該入力は不適正な入力であり、前記入力部が電気的に不安定であると見做しても、運用上問題はない。即ち、仮に、前記入力部が電気的に不安定ではなかったとしても、オペレータは、前記表示部に表示された警告画面を確認したとき、自身の不適正な入力に起因した警告表示であることは、自身の行為が原因であるので、容易に理解し得ると認められるからである。
【0028】
また、本発明において、前記表示画面データ記憶部には、前記入力部の不安定度に応じて設定される複数の警告画面に係るデータが記憶され、
前記判定部は、少なくとも、前記入力部の各電極から出力される信号であって、前記安定判定基準値以上であり、且つ前記接触基準値以下の値を示す信号が、所定時間内に検出される回数を計数し、又は、前記所定時間内に、前記接触基準値以上の値の信号を出力する電極が位置する領域の総計が、予め定めた基準総領域を超える回数を計数して、計数された回数に応じて前記入力部の不安定度を分類するとともに、前記表示制御部によって、前記表示画面データ記憶部に格納された警告画面データを基に、分類された不安定度に応じた警告画面を前記表示部に表示させるように構成された態様を採ることができる。
【0029】
即ち、前記判定部は、前記入力部が不安定となる状態が所定時間内に出現する回数を計数して、その頻度に応じて設定された不安定度、例えば、高、中、低の3段階に分類する。そして、前記表示制御部は、前記表示画面データ記憶部に格納された警告画面データを参照して、分類された不安定度に応じた警告画面を前記表示部に表示させる。斯くして、オペレータは、前記表示部に表示された警告画面を確認することで、前記入力部の不安定度合いを認識することができ、例えば、不安定度が「高」である場合には、操作を緊急的に中止する、或いは、不安定度が「中」である場合には、現在の操作を完了してから後の操作を中止する、或いは、不安定度が「低」である場合には、十分に安全を確認しながら操作を続行するといった、前記入力部の不安定度合いに応じた対応を採ることができる。
【0030】
また、本発明において、前記表示画面データ記憶部に記憶される警告画面データには、オペレータに、前記タッチパネルに対して同時多点接触しないことを促す内容が含まれていても良い。
【0031】
上述したように、前記入力部が電気的に不安定になった場合、オペレータがタッチパネルの複数個所に同時に接触することにより、これに誘発されて、各接触位置の周辺の領域の他の位置、即ち、オペレータが接触していない位置の電極から、接触基準値を超える出力があることが多い。これに対し、オペレータがタッチパネルの1か所に接触する場合には、上記のような入力の誤検出は少なく、比較的安定している。したがって、前記入力部が電気的に不安定になった場合には、オペレータがタッチパネルに対して1か所のみ接触して入力するのが好ましい。上記のように、入力部が電気的に不安定になったときに表示に表示される警告画面に、タッチパネルに対して同時多点接触しないことを促す内容を含ませれば、オペレータに、タッチパネルに対して1か所のみ接触して入力することを促すことができ、入力部が電気的に不安定になった状況下でも、安定した操作入力を確保することができる。
【発明の効果】
【0032】
以上のように、本発明に係る操作装置によれば、前記入力部が電気的に不安定となった場合には、これが前記判定部によって認識されるとともに、前記入力部が電気的に不安定になったことを表す警告画面が前記表示部に表示される。そして、この警告画面が表示されることで、オペレータは入力部が電気的に不安定になっていることを認識することができ、当該操作装置による操作を中断するなど、適切な措置を講じることができる。
【0033】
更に、前記判定部により、入力部が電気的に不安定であると判定される場合に、接触位置が1か所のみ認識される場合には、これに応じた操作信号が入力信号処理部から制御装置に送信され、一方、接触位置が同時に2か所以上認識された場合には、入力信号処理部から制御装置に操作信号が送信されないように構成すれば、オペレータは、誤検出される可能性が低い一点接触による入力を継続することができ、入力部が電気的に不安定になったと判断される場合でも、安全を確認しながら、継続して操作を行うことができるため、その操作性が極端に損なわれることがない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の一実施形態に係る操作装置を備えたNC工作機械の概略構成を示すブロック図である。
図2実施形態に係る操作装置の表示画面を示した説明図である。
図3実施形態に係る操作装置の表示画面を示した説明図である。
図4実施形態に係る操作装置の表示画面を示した説明図である。
図5実施形態に係る操作装置の表示画面を示した説明図である。
図6変形例に係る操作装置の表示画面を示した説明図である。
図7変形例に係る操作装置の表示画面を示した説明図である。
図8】相互容量検出方式のタッチパネルの電極構造を示した説明図である。
図9】相互容量検出方式のタッチパネルにおける検知原理を説明するための説明図である。
図10】相互容量検出方式のタッチパネルにおける検知原理を説明するための説明図である。
図11】自己容量検出方式のタッチパネルの電極構造を示した説明図である。
図12】自己容量検出方式のタッチパネルにおける検知原理を説明するための説明図である。
図13】自己容量検出方式のタッチパネルにおける検知原理を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の具体的な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0036】
図1に示すように、本例の操作装置10は、工作機械1の一部を構成するもので、操作制御装置11及び操作盤20からなり、操作制御装置11は、表示制御部12、表示画面データ記憶部13、入力信号処理部14、操作情報記憶部15及び判定部16からなり、操作盤20はタッチパネル21を備えている。
【0037】
尚、前記工作機械1は、同図1に示すように、その他の構成として、ワークを加工する加工機構部2や、前記加工機構部2の動作を数値制御する数値制御装置3などを備えている。加工機構部2には、例えば、旋盤の場合には、ワークを把持して回転させる主軸及びその駆動機構や、工具を保持する刃物台及びこの刃物台を所定の軸方向に移動させる送り機構などが含まれ、マシニングセンタの場合には、ワークを保持するテーブル、工具を保持する主軸及びその駆動機構や、テーブル及び主軸を相対的に所定の軸方向に移動させる送り機構などが含まれる。
【0038】
前記タッチパネル21は、画面を表示する表示部22と、この表示部22上に重ね合された状態で配設された入力部23とを有し、この入力部23を透して外部から前記表示部22を視認することができるようになっている。尚、入力部23は、二次元平面上でマトリクス状に配置された複数の電極を有し、グランド電位と各電極との間に生じる静電容量に応じた信号を、それぞれ出力するように構成されるもので、この入力部23には、所謂、自己容量検出方式が採用されている。各電極には、グランド電位との間に静電容量が発生しており、各電極について、この静電容量に応じた信号(例えば、電圧信号)が、それぞれ前記入力信号処理部14及び判定部16に送信される。
【0039】
前記表示画面データ記憶部13は、前記タッチパネル21の表示部22に表示される表示画面に係るデータを記憶する機能部であり、前記表示制御部12は、この表示画面データ記憶部13に格納された表示画面データに基づいて、前記表示部22に適宜表示画面を表示させる処理部である。
【0040】
表示部22に表示される表示画面には、少なくとも、前記加工機構部2を操作するための操作画面、及び前記判定部16の判定結果に応じて設定された複数の警告画面が含まれる。この表示部22に表示される操作画面の一例を、図2に示す。図2に示した操作画面では、表示部22が11個の表示領域24〜34に分割され、各表示領域24〜34に表示される操作画面データが前記表示画面データ記憶部15に格納されている。
【0041】
因みに、表示領域24は、加工機構部2の3次元モデルを表示する領域であり、表示領域25は、主軸駆動モータの現在の負荷状況や、送り機構部について現在設定されている切削送り時及び早送り時のオーバライドなどに関する画面を表示する領域である。
【0042】
また、表示領域26〜34は、オペレータが操作信号を入力するための操作キーを表示する領域であり、表示領域26は、複数の運転モードから1つの運転モードを選択するためのモードキーを配列したモード切替画面を表示する領域である。図2に示した例では、このモード切替画面表示領域26に、メモリー運転モード(MEMORY)、MDI運転モード(MDI)、DNC運転モード(DNC)、編集モード(EDIT)、JOG送りモード(JOG)及び原点復帰モード(ZRN)に対応したモードキーが表示されている。
【0043】
また、表示領域27及び28は、各運転モードに応じて設定される操作キーを配列した操作画面を表示する領域、表示領域29はリセットキーを表示する領域、表示領域30は、クーラントのON,OFFを操作するための操作キーを表示する領域、表示領域31はドアのアンロックキーを表示する領域、表示領域32は機内照明のON,OFFを操作するための操作キーを表示する領域、表示領域33はエアーブローのON,OFFを操作するための操作キーを表示する領域、表示領域34はチップコンベアを操作するための操作キーを表示する領域である。
【0044】
また、前記警告画面の一例を図3図5に示す。この警告画面は、前記表示制御部12による制御の下で、現在表示部22に表示されている表示画面に重畳して表示される。尚、図3は、前記判定部16における判定の結果、前記入力部23の不安定度が「高」である場合の警告画面を示し、図4は、不安定度が「中」である場合の警告画面を示し、図5は、不安定度が「低」である場合の警告画面を示している。
【0045】
前記操作情報記憶部15は、前記表示部22に表示された操作キーの位置と操作内容とを関連付けた操作情報を記憶する機能部である。
【0046】
前記入力信号処理部14は、前記タッチパネル21の入力部23から送信される信号を受信して、オペレータが接触したタッチパネル21上、即ち、前記操作画面上の接触位置を認識し、認識した接触位置を基に、前記操作情報記憶部15に格納された操作情報を参照して、当該認識した接触位置が操作画面上の操作キーに対応する位置である場合には、その操作情報に対応した操作信号を生成して前記数値制御装置3に送信する処理を行う。
【0047】
オペレータがタッチパネル21に接触すると、その接触部に位置する電極、及びその周辺に位置する電極の静電容量が増加する。したがって、入力信号処理部14には、増加した静電容量に応じた信号が入力部23から送信される。入力信号処理部14は、このようにして入力部23から入力される信号の値を、所定のサンプリング間隔で接触基準値と比較し、当該接触基準値を上回る信号を出力する電極に対応した位置を前記接触位置と認識する。
【0048】
前記判定部16は、同じく前記入力部23から送信される信号を受信して、当該入力部23が電気的に安定しているか否かを判定し、入力部23が電気的に不安定であると判定される場合には、その不安定度に応じた警告表示信号を前記表示制御部12に送信して、当該表示制御部12による制御の下で、前記不安定度に応じた警告画面を前記表示部22に表示させる処理を行う。
【0049】
入力部23が電気的に安定しているか否かの判定処理は、色々な手法が考えられるが、本例では、前記入力部23の各電極から出力される信号を、前記接触基準値及びこの接触基準値よりも値の小さい安定判定基準値と比較した場合に、安定判定基準値以上であり、且つ接触基準値以下の信号を出力する電極があるときと、入力部23の各電極から出力される信号を、接触基準値と比較した場合に、接触基準値以上の信号を出力する電極が位置する領域の総計が、予め定めた基準総領域を超えるときに、前記入力部23が電気的に不安定であると判定する。
【0050】
入力部23が電気的に不安定になると、オペレータが接触していないにも拘らず、各電極における静電容量が全体的に大きく変動し、各電極からの出力値が接触基準値を超えないまでも、これより所定の小さな値(これを上記安定判定基準値とする)を超える挙動を示す場合がある。したがって、判定部16は、入力部23の各電極から出力される信号を、前記接触基準値及び安定判定基準値と比較した場合に、当該安定判定基準値以上であり、且つ接触基準値以下の信号を出力する電極があるときに、入力部23が電気的に不安定であると見做すことができる。
【0051】
また、入力部23が電気的に不安定になると、オペレータが接触していないにも拘らず、各電極からの出力値が接触基準値を超える場合もある。この場合、オペレータの接触による静電容量の増加と、入力部23が電気的に不安定になったことに起因する静電容量の増加とを識別する必要がある。一般的に、オペレータに許容されるタッチパネル21上の接触位置は、1点に限られず、例えば、2点乃至3点位まで認められており、例えば、オペレータが接触した位置が許容点数を超えて認められる場合には、その入力を無効とする処理がなされる。また、オペレータが手のひら全体でタッチパネルに接触するなど、接触領域が所定領域を超える場合には、その入力を不適正な入力として無効にする処理がなされる。このように、オペレータの接触により静電容量の増加する電極が位置する領域の総計が、予め定められた基準総領域内にあるときに、前記接触が適正であると認められる。したがって、前記接触基準値以上の信号を出力する電極が位置する領域の総計が、予め定めた基準総領域を超えるときには、当該入力は不適正な入力であり、入力部が電気的に不安定であると見做しても、運用上問題はない。即ち、仮に、入力部23が電気的に不安定ではなかったとしても、オペレータは、表示部22に表示された警告画面を確認したとき、自身の不適正な入力に起因した警告表示であることは、自身の行為が原因であるので、容易に理解し得ると認められるからである。
【0052】
そして、前記判定部16は、更に、入力部23が所定時間内に不安定状態となる回数を計数し、言い換えれば、入力部23が不安定状態になる頻度を算出するとともに、算出された頻度に応じてその不安定度を、例えば、「高」、「中」、「低」の3段階のいずれかに分類(評価)し、分類された不安定度に応じた警告表示信号を前記表示制御部12に送信する。
【0053】
以上の構成を備えた本例の操作装置10によれば、操作制御装置11が起動されると、表示制御部12により、例えば、図2に示すような操作画面がタッチパネル21の表示部22に表示される。
【0054】
一方、タッチパネル21の入力部23を構成する各電極には、グランド電位との間に静電容量が発生し、各電極について、この静電容量に応じた信号(例えば、電圧信号)が、それぞれ入力部23から入力信号処理部14及び判定部16に送信される。
【0055】
そして、オペレータがタッチパネル21に接触すると、その接触位置に配置された電極及びその周辺に位置する電極の静電容量が増加し、入力信号処理部14及び判定部16には、増加した静電容量に応じた信号が入力部23から送信される。
【0056】
前記入力信号処理部14は、このようにして入力される信号を、所定のサンプリング間隔で処理して、オペレータが接触したタッチパネル21上(前記操作画面上)の接触位置を認識し、認識した接触位置を基に、前記操作情報記憶部15に格納された操作情報を参照して、当該認識した接触位置が操作画面上の操作キーに対応する位置である場合には、その操作情報に対応した操作信号を生成して前記数値制御装置3に送信する。そして、数値制御装置3は、このようにして入力信号処理部14から送信される操作信号に基づいて前記加工機構部2を制御する。
【0057】
他方、判定部16は、同じく前記入力部23から送信される信号を受信して、当該入力部23が電気的に安定しているか否かを判定し、入力部23が電気的に不安定であると判定される場合には、その不安定度に応じた警告表示信号を前記表示制御部12に送信して、当該表示制御部12による制御の下で、前記不安定度に応じた警告画面を前記表示部22に表示させる。
【0058】
例えば、入力部23の不安定度が「高」である場合には、判定部16は、その警告表示信号を表示制御部12に送信して、図3に示すような警告画面を表示させ、同様に、不安定度が「中」である場合には、図4に示すような警告画面を表示させ、不安定度が「低」である場合には、図5に示すような警告画面を表示させる。
【0059】
斯くして、本例の操作装置10によれば、表示部22に警告画面が表示されることで、オペレータは入力部23が電気的に不安定になっていることを、その度合いと共に認識することができ、また、表示内容に従った対応を採ることで、不安定度が「高」である場合には、操作を緊急的に中止する、不安定度が「中」である場合には、現在の操作を完了してから後の操作を中止する、不安定度が「低」である場合には、十分に安全を確認しながら操作を続行するといった、入力部23の不安定度合いに応じた適切な対応を採ることができる。そして、このような対応を採ることで、誤検出により生成された操作信号に従って加工機構部2が動作するのを、未然に防止することができる。
【0060】
尚、前記判定部16は、入力部23が電気的に不安定であるか否かのみを判定し、不安定度についての判定は行わないように構成されていても良い。また、入力信号処理部14は、判定部16によって、入力部23が不安定であると判定された場合に、前記接触位置が1か所のみ認識される場合には、認識した接触位置に対応した操作信号を生成して数値制御装置3に送信する一方、前記接触位置が同時に2か所以上認識された場合には、数値制御装置3に操作信号を送信しない、即ち、入力を無効にするように構成されていても良い。この場合、前記表示画面データ記憶部13に、図6に示すような警告画面を記憶させておき、前記判定部16は、前記表示制御部12に警告表示信号を送信して、図6に示すような警告画面を前記表示部22に表示させるようにするのが好ましい。
【0061】
上述したように、入力部23が電気的に不安定になると、オペレータが接触していないにも拘らず、各電極からの出力値が接触基準値を超えることがあり、この場合、オペレータがタッチパネル21の複数個所に同時に接触すると、これに誘発されて、各接触位置の周辺の領域の他の位置の電極から、接触基準値を超える出力があることが多い。これに対し、オペレータがタッチパネルの1か所に接触する場合には、上記のような入力の誤検出は少なく、比較的安定している。したがって、接触位置が1か所のみ認識される場合には、この接触位置はオペレータが実際に接触した位置であると見做して差支えない。一方、前記入力部が電気的に不安定になった場合に、前記入力部23からの入力を全て無効にすれば、安全性を高めることができる反面、あまりにも操作性を損ねる場合がある。
【0062】
そこで、接触位置が1か所のみ認識される場合に、入力部23からの入力を有効なものとすれば、オペレータは、一点接触による入力を継続することができ、入力部23が電気的に不安定になったと判断される場合でも、安全を確認しながら、継続して操作を行うことができるので、その操作性が極端に損なわれることがない。また、入力部23が電気的に不安定になったときに表示部22に表示される警告画面に、タッチパネル21に対して1か所のみ接触して入力することを促す内容を含ませれば、オペレータに、このような入力を認識させることができる。
【0063】
また、上記操作装置10において、前記入力信号処理部14は、前記判定部16によって、前記入力部23が電気的に不安定であると判定された場合には、前記数値制御装置3に操作信号を送信しないように構成されていても良い。この場合、前記判定部16は、入力部23が電気的に不安定であるか否かのみを判定し、不安定度についての判定は行わない構成で良い。また、前記表示画面データ記憶部13には、図7に示すような警告画面を記憶させておき、前記判定部16は、前記表示制御部12に警告表示信号を送信して、図7に示すような警告画面を前記表示部22に表示させるようにするのが好ましい。このような警告画面を表示することで、オペレータに、入力が不可であることを認識させることができる。
【0064】
以上、本発明の具体的な実施の形態について説明したが、本発明が採り得る態様は何らこれらに限定されるものではない。
【0065】
例えば、図2図7に示した警告画面は、当然のことながら一例に過ぎないものであり、これらに限られるものではない。例えば、入力部の不安定度に応じて操作パネルに表示される画面または操作キーの色やデザインを変えて表示しても良く、或いは不安定度(ノイズレベル)をレベルゲージに表示する方法でも良い。ノイズレベルが段階的にわかるように表示することにより、例えばアース強化など入力部の不安定度を低減させる対策を施しながら効果を確認できる。
【0066】
また、前記判定部16は、入力部23から出力される信号を、接触基準値及びこの接触基準値よりも値の小さい安定判定基準値と比較した場合に、安定判定基準値以上であり、且つ接触基準値以下の信号を出力する電極があるとき(判定1)と、入力部23から出力される信号を、接触基準値と比較した場合に、接触基準値以上の信号を出力する電極が位置する領域の総計が、予め定めた基準総領域を超えるとき(判定2)に、入力部23が電気的に不安定であると判定する構成されているが、これに限られるものではなく、判定部16は、入力部23が電気的に不安定となる実際の状況を考慮して、上記判定1及び判定2のいずれか一方の判定手法によって、入力部23が電気的に不安定である否かを判定するように構成されていても良い。
【0067】
また、上記実施例では入力部の各電極から出力される信号を受信して、前記入力部が電気的に安定しているか否かを判定する構成となっているが、入力部とは別にグランドノイズを取得するためのノイズ検出素子を備えても良い。ノイズ検出素子としては、電極、アンテナ、およびアース線を流れるノイズ電流を検出する素子を採用できる。尚、この構成において「ノイズ」とは、例えば静電容量式タッチパネルの検出基準電位から見た環境の相対的な電位の変動をいい、ノイズ検出素子を入力部の電極とは別に設けた場合には、予めノイズ検出素子で検出されるノイズレベルとタッチパネルの検出基準電位に基づくノイズとの相関を取っておく必要がある。
【符号の説明】
【0068】
1 操作装置
2 加工機構部
3 数値制御装置
10 操作装置
11 操作制御装置
12 表示制御部
13 表示画面データ記憶部
14 入力信号処理部
15 操作情報記憶部
16 判定部
20 操作盤
21 タッチパネル
22 表示部
23 入力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
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図13