【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するための本発明は、操作対象物を制御する制御装置に接続され、該制御装置に前記操作対象物を操作するための操作信号を入力する操作装置であって、
画面表示する表示部、及び該表示部に重ね合された状態で配設され、二次元平面上でマトリクス状に配置された複数の電極を有し、グランド電位と各電極との間に生じる静電容量に応じた信号を、それぞれ出力するように構成された入力部を備えるタッチパネルと、
前記タッチパネルの表示部に表示される画面に係るデータであって、1以上の操作キーを配置した操作画面に係るデータを、少なくとも記憶した表示画面データ記憶部と、
前記表示部に表示される操作画面上の位置に対応して定義される操作情報を記憶した操作情報記憶部と、
前記表示画面データ記憶部に格納された操作画面データを読み出して、前記タッチパネルの表示部に表示する表示制御部と、
前記入力部の各電極から出力される信号を受信し、受信した信号を基に、オペレータが接触した接触位置を認識し、認識した接触位置を基に、前記操作情報記憶部に格納された操作情報を参照して操作信号を生成し、生成した操作信号を前記制御装置に送信する入力信号処理部と、
前記入力部の各電極から出力される信号、又は前記入力部の電極から出力される信号と相関性のある信号を出力するノイズ検出素子から出力される信号を受信して、前記入力部が電気的に安定しているか否かを判定する判定部とを備えて成り、
前記表示画面データ記憶部には、更に、警告表示用の警告画面に係るデータが記憶され、
前記判定部は、更に、前記入力部が電気的に不安定であると判定される場合には、前記表示制御部によって、前記表示画面データ記憶部に格納された警告画面データを基に、該警告画面を前記表示部に表示させるように構成された操作装置に係る。
【0015】
本発明に係る操作装置によれば、前記表示制御部による制御の下、前記表示画面データ記憶部に格納された前記操作画面に係るデータに基づいて、当該操作画面が前記タッチパネルの表示部に表示される。
【0016】
一方、タッチパネルの入力部を構成する各電極には、グランド電位との間に静電容量が発生しており、各電極について、この静電容量に応じた信号(例えば、電圧信号)が、それぞれ前記入力部から前記入力信号処理部及び判定部に送信される。
【0017】
そして、オペレータがタッチパネルに接触すると、その接触位置に配置された電極及びその周辺に位置する電極の静電容量が増加し、前記入力信号処理部には、増加した静電容量に応じた信号が前記入力部から送信される。入力信号処理部は、このようにして入力される信号の値を、所定のサンプリング間隔で処理して、前記静電容量が増加した電極、即ち、オペレータが接触したタッチパネル上(前記操作画面上)の接触位置を認識し、認識した接触位置を基に、前記操作情報記憶部に格納された操作情報を参照して、当該認識した接触位置が操作画面上の操作キーに対応する位置である場合には、その操作情報に対応した操作信号を生成して前記制御装置に送信する。
【0018】
ところで、前記入力部のように、各電極とグランド電位との間に生じる静電容量の変化を検出することで、オペレータの接触を検出するように構成された、所謂、自己容量検出方式による入力部の場合、上述したように、グランド電位が不安定な環境下では、グランド電位の変動によって前記静電容量が大きく変動するため、オペレータが接触していない場合でも、各電極における静電容量が、オペレータが接触した場合と同様に増加して、誤検出されるといった問題がある。
【0019】
そこで、本発明に係る操作装置では、前記判定部により、前記入力部の各電極から出力される信号、又は前記入力部の電極から出力される信号と相関性のある信号を出力するノイズ検出素子から出力される信号を基に、当該入力部が電気的に安定しているか否かを判定するように構成し、更に、前記判定部により、前記入力部が電気的に不安定であると判定された場合には、前記表示制御部によって、前記表示画面データ記憶部に格納された警告画面データを基に、当該警告画面を前記表示部に表示させるように構成した。
【0020】
このように、本発明に係る操作装置では、前記グランド電位が不安定になるなどの原因によって、前記入力部が電気的に不安定となった場合には、これが前記判定部によって認識されるとともに、前記入力部が電気的に不安定になったことを表す警告画面が前記表示部に表示される。斯くして、この操作装置によれば、前記表示部に警告画面が表示されることで、オペレータは入力部が電気的に不安定になっていることを認識することができ、当該操作装置による操作を中断するなど、適切な措置を講じることができる。そして、このような措置を講じることで、当該操作装置が、例えば、工作機械のような加工機構部を操作するものである場合に、前記誤検出により加工機構部が動作するといった問題が生じるのを、未然に防止することができる。
【0021】
尚、前記ノイズ検出素子は、グランドノイズを検出するもので、電極、アンテナ、およびアース線を流れるノイズ電流を検出する素子を採用できる。「ノイズ」とは、例えば静電容量式タッチパネルの検出基準電位から見た環境の相対的な電位の変動をいい、これを前記ノイズ検出素子で検出するには、予め、当該ノイズ検出素子で検出されるノイズレベルと、タッチパネルの検出基準電位に基づくノイズとの相関を取っておけば良い。
【0022】
そして、本発明において、前記入力信号処理部は、前記判定部によって、前記入力部が電気的に不安定であると判定された場合に、前記接触位置が1か所のみ認識される場合には、認識した接触位置に対応した操作信号を生成して前記制御装置に送信する一方、前記接触位置が同時に2か所以上認識された場合には、前記制御装置に前記操作信号を送信しないように構成される。
【0023】
前記入力部が電気的に不安定になると、オペレータが接触していないにも拘らず、各電極からの出力値が、オペレータが接触した場合と同様に増加することがあり、この場合、オペレータがタッチパネルの複数個所に同時に接触すると、これに誘発されて、各接触位置の周辺の領域の他の位置の電極からの出力値も増加することが多い。したがって、接触位置が1か所のみ認識される場合には、この接触位置はオペレータが実際に接触した位置であると見做して差支えない。一方、前記入力部が電気的に不安定になった場合に、上記のように、前記入力部からの入力を全て無効にすれば、安全性を高めることができる反面、あまりにも操作性を損ねる場合がある。そこで、接触位置が1か所のみ認識される場合には、前記入力部からの入力を有効なものとすれば、オペレータは、一点接触による入力を継続することができ、前記入力部が電気的に不安定になったと判断される場合でも、安全を確認しながら、継続して操作を行うことができるため、その操作性が極端に損なわれることがない。
【0024】
また、本発明
では、前記入力信号処理部は、前記入力部の各電極から出力される信号を、所定の接触基準値と比較して、該接触基準値を上回る信号を出力する電極に対応した位置を前記接触位置と認識するように構成されるとともに、
前記判定部は、少なくとも、前記入力部の各電極から出力される信号を、前記接触基準値及び該接触基準値よりも値の小さい安定判定基準値と比較した場合に、該安定判定基準値以上であり、且つ前記接触基準値以下の値の信号を出力する電極があるとき、又は、前記入力部の各電極から出力される信号を、前記接触基準値と比較した場合に、該接触基準値以上の値の信号を出力する電極が位置する領域の総計が、予め定めた基準総領域を超えるときには、前記入力部が電気的に不安定であると判定する態様をとることができる。
【0025】
上述したように、オペレータがタッチパネルに接触すると、当該接触部に位置する電極及びその周辺に位置する電極の静電容量が増加する。したがって、前記入力信号処理部は、前記入力部の各電極から出力される信号を、所定の接触基準値と比較して、該接触基準値を上回る信号を出力する電極に対応した位置を前記接触位置と認識することができる。
【0026】
そして、前記入力部が電気的に不安定になると、オペレータが接触していないにも拘らず、各電極における静電容量が全体的に大きく変動し、各電極からの出力値が接触基準値を超えないまでも、これより所定の小さな値(これを上記安定判定基準値とする)を超える挙動を示す場合がある。したがって、前記判定部は、前記入力部の各電極から出力される信号を、前記接触基準値及び安定判定基準値と比較した場合に、該安定判定基準値以上であり、且つ前記接触基準値以下の値の信号を出力する電極があるときに、前記入力部が電気的に不安定であると見做すことができる。
【0027】
また、前記入力部が電気的に不安定になった場合に、オペレータが接触していないにも拘らず、各電極からの出力値が接触基準値を超える挙動を示す場合もある。この場合、オペレータの接触による静電容量の増加と、入力部が電気的に不安定になったことに起因する静電容量の増加とを識別する必要がある。一般的に、オペレータに許容されるタッチパネル上の接触位置は、1カ所(1点)に限られず、例えば、2か所(2点)乃至3か所(3点)位まで認められており、例えば、オペレータが接触した位置が許容点数を超えて認められる場合には、その入力を無効とすることができる。また、オペレータが手のひら全体でタッチパネルに接触するなど、接触領域が所定領域を超える場合には、その入力を不適正な入力として無効にすることができる。このように、オペレータの接触により静電容量の増加する電極が位置する領域の総計が、予め定められた基準総領域内にあるときに、前記接触が適正である認めることができる。したがって、前記接触基準値以上の値の信号を出力する電極が位置する領域の総計が、予め定めた基準総領域を超えるときには、当該入力は不適正な入力であり、前記入力部が電気的に不安定であると見做しても、運用上問題はない。即ち、仮に、前記入力部が電気的に不安定ではなかったとしても、オペレータは、前記表示部に表示された警告画面を確認したとき、自身の不適正な入力に起因した警告表示であることは、自身の行為が原因であるので、容易に理解し得ると認められるからである。
【0028】
また、本発明において、前記表示画面データ記憶部には、前記入力部の不安定度に応じて設定される複数の警告画面に係るデータが記憶され、
前記判定部は、少なくとも、前記入力部の各電極から出力される信号であって、前記安定判定基準値以上であり、且つ前記接触基準値以下の値を示す信号が、所定時間内に検出される回数を計数し、又は、前記所定時間内に、前記接触基準値以上の値の信号を出力する電極が位置する領域の総計が、予め定めた基準総領域を超える回数を計数して、計数された回数に応じて前記入力部の不安定度を分類するとともに、前記表示制御部によって、前記表示画面データ記憶部に格納された警告画面データを基に、分類された不安定度に応じた警告画面を前記表示部に表示させるように構成された態様を採ることができる。
【0029】
即ち、前記判定部は、前記入力部が不安定となる状態が所定時間内に出現する回数を計数して、その頻度に応じて設定された不安定度、例えば、高、中、低の3段階に分類する。そして、前記表示制御部は、前記表示画面データ記憶部に格納された警告画面データを参照して、分類された不安定度に応じた警告画面を前記表示部に表示させる。斯くして、オペレータは、前記表示部に表示された警告画面を確認することで、前記入力部の不安定度合いを認識することができ、例えば、不安定度が「高」である場合には、操作を緊急的に中止する、或いは、不安定度が「中」である場合には、現在の操作を完了してから後の操作を中止する、或いは、不安定度が「低」である場合には、十分に安全を確認しながら操作を続行するといった、前記入力部の不安定度合いに応じた対応を採ることができる。
【0030】
また、本発明において、前記表示画面データ記憶部に記憶される警告画面データには、オペレータに、前記タッチパネルに対して同時多点接触しないことを促す内容が含まれていても良い。
【0031】
上述したように、前記入力部が電気的に不安定になった場合、オペレータがタッチパネルの複数個所に同時に接触することにより、これに誘発されて、各接触位置の周辺の領域の他の位置、即ち、オペレータが接触していない位置の電極から、接触基準値を超える出力があることが多い。これに対し、オペレータがタッチパネルの1か所に接触する場合には、上記のような入力の誤検出は少なく、比較的安定している。したがって、前記入力部が電気的に不安定になった場合には、オペレータがタッチパネルに対して1か所のみ接触して入力するのが好ましい。上記のように、入力部が電気的に不安定になったときに表示
部に表示される警告画面に、タッチパネルに対して同時多点接触しないことを促す内容を含ませれば、オペレータに、タッチパネルに対して1か所のみ接触して入力することを促すことができ、入力部が電気的に不安定になった状況下でも、安定した操作入力を確保することができる。