【文献】
EAファーマ株式会社 製品情報 MOVIPREP(登録商標)Information,2017年 4月14日,URL,http://www.eapharma.co.jp/medicalexpert/product/moviprep/moviprep_information.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1つの色素は、メチレンブルー、コンゴレッド、インジゴカルミン、トルイジンブルーまたはこれらの混合物のうちから選択されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の固体組成物。
前記単位投与量は、前記腸清浄処理剤の飲用の開始時および/または途中および/または終了時に、十分に正確な順番で、患者自身により前記患者に自己投与されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の固体組成物。
前記固体組成物は、胃腸管、好ましくは結腸の炎症性、潰瘍性、前新生物性、異形成性および/または新生物性の病理および/または病変の内視鏡診断のために使用されることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の固体組成物。
前記固体組成物は、固着、平坦、有茎形状のがん性形態、前がん性形態、中間期がん、腺癌、癌腫、鋸歯状病変、上皮内新生物、異形成、ポリープ、偽ポリープ、プレポリープまたは異なる炎症性病理および/または病変の診断における腸粘膜病変の検出を増強するために使用されることを特徴とする請求項14に記載の固体組成物。
前記固体組成物は、例えば炎症性腸疾患(IBD)、潰瘍性大腸炎またはクローン病などの他の炎症性病理を以前から患っているヒトにおける早期診断のための腸粘膜病変の検出を増強するために使用されることを特徴とする請求項10に記載の固体組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
染色過程において、その使用により、色素を適用することに伴う難題に起因する、解決することが困難でありうる幾つかの実践上の問題が明らかにされることが、観察されるべきである。まず最初に、内視鏡検査が実施される施設の調剤室は、一般に0.1%から1%の範囲の色素濃度を有する溶液を調製することができるべきであり、次に色素は、評価の対象になる粘膜表面を均質に覆うように、均一に(専用の噴霧カテーテルを使用して)分散されるべきである。
【0011】
更に、噴霧された過剰量の色素は、洗浄および吸引操作を介して数分後に除去されるべきである。その過剰量色素の除去は、結腸鏡検査の際のそれぞれの染色噴霧過程の繰り返しの後に、追加の時間を必要とする。したがってこの過程は、看護師および医師の両方にとって時間がかかることであり、内視鏡検査処置のスケジュールの効率性を最大限にすることを困難にする。この処置は、十分に希であり、操作者依存性になる傾向があることから、得られた特定の染色パターンおよびその有意性を評価することができる正しいレベルの専門的知識を得る専用の学習曲線が必要とされる。
【0012】
まさにこれらの条件が同時に存在する必要性が、色素内視鏡検査処置を実施することの困難さに寄与している。これらの困難さにより、処置が、病院および胃腸病学に特化した養護施設内の少数の内視鏡検査ユニットのみにより実施されるという結果がもたらされている。
【0013】
更に他の問題がもたらされている。粘膜壁への溶液の従来の局所噴霧は、潜在性であるが、依然として検出するには小さすぎる形態を明らかにするのを失敗することがあり、消化系の変性過程を明らかにするのを失敗することがある。
【0014】
更に、溶液の局所噴霧は、色素の短時間の機能時間をもたらしうる。特に、色素の噴霧と観察の間の時間は、一般に僅か数秒間または2、3分間であり、良好な対比の発生、また、良好な染色効力の達成をもたらす色素の一定の吸収を可能にするには、短すぎることが知られている時間である。これらの問題は、内視鏡検査医が、例えば生検のために介入して、良好な検出および評価を得ることを困難にすることがある。
【0015】
更に、処置を実施するそれぞれの内視鏡検査医の経験は、幾分主観的であり、内視鏡および関連する診断評価の両方の実施に追加的な問題を生じる。実践上の困難さとして、経験および操作者の都合からもたらされるそのような主観性は、望ましくないことに結果に大きな変動をもたらす。そして内視鏡検査医の経験は、重要な役割を果たし、経験の少ない内視鏡検査医と比較して、経験の多い内視鏡検査医は、色素が現行の色素内視鏡検査に従って噴霧されるとき、疑わしい領域を見つけることができ、試験結果の主観性を更に強める。試験結果における有意な変動は、また、使用される装置によって、ならびに診断評価の実施に対する特定の患者の許容性によってもたらされることがある。
【0016】
このように、診断内視鏡検査における色素の使用に簡素性および安全性の両方について更なる改善を提供する必要性が生じる。治療領域を評価する改善された効果のため、色素の均質で完全な分布を提供する投与方法を改善することが望ましい。
【0017】
そして、上記から明らかなように、改善された診断評価を可能にする、内視鏡評価の客観性を増加させる改善が得られることが望ましい。
【0018】
特に、結腸内視鏡検査(結腸鏡検査)の場合では、改善された粘膜染色を提供する、および診断内視鏡検査評価の効力を改良する必要性が依然として存在する。
【0019】
内視鏡検査の前に、確定された分割スケジュールに従って経口投与される、少なくとも1つの色素および少なくとも1つの生理学的に許容される賦形剤を含有する特定の固体組成物は、改善された粘膜染色を提供しうることが、驚くべきことに、発見された。そして、内視鏡検査の客観性が増加されるので、本明細書に開示される固体組成物は、内視鏡診断に改善された検出特徴決定を提供することもできる。
【課題を解決するための手段】
【0020】
したがって、本明細書に開示されているものは、少なくとも1つの色素を、少なくとも1つの生理学的に許容される賦形剤と関連して含有する固体組成物であって、
a)90℃未満の融点を有する親油性化合物および場合により両親媒性化合物を含み、少なくとも1つの色素が少なくとも部分的に組み込まれている、マトリックスと、
b)親水性化合物を含み、親油性マトリックスおよび場合により両親媒性マトリックスが分散されている、外側マトリックスと、
c)場合により、他の生理学的に許容される賦形剤と、
d)場合により、胃抵抗性被覆剤と
を、内視鏡診断に使用するために含み、固体組成物の2以上の単位投与量が、100から400mgの合計量の前記少なくとも1つの色素が内視鏡診断前の48時間以内にヒトに投与される分割スケジュールに従って、ヒトに経口投与されることを特徴とする、固体組成物である。例えば、前記少なくとも1つの色素は、内視鏡診断の24時間前にヒトに投与される。
【0021】
代替的には、マトリックスは、90℃未満の融点を有する親油性化合物および場合により両親媒性化合物から構成され、これには少なくとも1つの色素が少なくとも部分的に組み込まれており、外側マトリックスは、親水性化合物から構成され、これには親油性マトリックスおよび場合により両親媒性マトリックスが分散されている。
【0022】
前記2以上の単位投与量は、内視鏡検査の24時間前などの内視鏡検査前の48時間以内に投与される、例えば、4、6または8単位投与量である。
【0023】
本開示の有用な色素は、例えば、コンゴレッド、カルミンインジゴ、メチレンブルー、トルイジンブルーまたはこれらの混合物のうちから選択することができ、例えば、色素はメチレンブルーである。
【0024】
本明細書に開示されているように、メチレンブルーは、無水または三水和物形態などの水和形態でありうる。
【0025】
しかし、開示によると、他の生体適合性色素物質を、これらが経口全身投与の妨げにならない毒性プロファイルを提供する限り、使用することもできる。
【0026】
開示による「分割スケジュール」は、直腸鏡検査の前に経口投与される色素の総量が、予め定義された投与スケジュールを得るために2以上の単位投与量に分けられることを意味する。用量分割は、望まれない奇妙な腸運動に起因して染色が失われる可能性を低減することができる。そして、用量分割は、ブルー染色マトリックスの伸展を促進することができる。
【0027】
本明細書に開示されている内視鏡診断は、結腸などの胃腸管を対象とする(結腸内視鏡診断または結腸鏡診断)。解剖学的分類によると、結腸は、四つの(4)関心領域(ROI)、すなわち、(1)上行結腸(AC)、(2)横行結腸(TC)、(3)下行結腸(DC)および(4)直腸S状結腸(RES)に分けられる。
【0028】
本明細書に開示されているように、前記の少なくとも1つの色素の用量の総量は、例えば100から400mgなど、100から250mgなど、更には200mgなどの50から500mgである。
【0029】
本明細書に開示されているように、組成物の単位投与量は、例えば、少なくとも1つの色素を20から200mgの重量で含有する。例えば、前記単位投与量は、前記少なくとも1つの色素を25mgまたは50mgなどの約25mgまたは約50mgの重量で含有する。
【0030】
本明細書に開示されている実施形態によると、前記少なくとも1つの色素を25mgなどの約25mgの重量でそれぞれ含有する組成物の8単位投与量は、内視鏡診断前の48時間以内に前記ヒトに投与される。
【0031】
本明細書に開示されている別の実施形態によると、前記少なくとも1つの色素を25mgなどの約25mgの重量でそれぞれ含有する組成物の6単位投与量は、内視鏡診断前の48時間以内に前記ヒトに投与される。
【0032】
本明細書に開示されているなお1つの他の実施形態によると、前記少なくとも1つの色素を25mgなどの約25mgの重量でそれぞれ含有する本発明の組成物の4単位投与量は、内視鏡診断前の48時間以内に前記ヒトに投与される。
【0033】
本明細書に開示されている更なる実施形態によると、前記少なくとも1つの色素を50mgなどの約50mgの重量でそれぞれ含有する組成物の4単位投与量は、内視鏡診断前の48時間以内に前記ヒトに投与される。本明細書に開示されているなお更なる実施形態によると、前記少なくとも1つの色素を200mgなどの約200mgの重量でそれぞれ含有する、本明細書に開示されている組成物の2単位投与量は、内視鏡診断前の48時間以内に前記ヒトに投与される。
【0034】
本明細書に開示されているように、内視鏡検査医による内視鏡を介した粘膜の観察を促進するため、前記ヒトは、内視鏡診断の前に、糞便および粘膜残留物を定量的に除去する腸清浄溶液の投与による、腸清浄処理に付されうる。この清浄操作は、一般に、内視鏡診断の24時間前などの内視鏡診断前の48時間以内に実施される、またはその同じ日の夕方に結腸鏡検査を実施することが実践的であると思われたときに実施される。
【0035】
結腸清浄処理は、清浄溶液の体積分画を前日に連続的に、または清浄溶液の体積の投与を、1つが結腸鏡検査の前日に投与され、1つが結腸鏡検査が続いて実施される日の朝に投与される2つの部分に分ける、いわゆる「分割」型で飲用することによって、施用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
腸清浄溶液は内視鏡検査の前に腸管および粘膜を清浄および洗浄するために使用される。腸清浄溶液は、例えば、ポリエチレングリコール水溶液などの生理食塩水および/またはポリエチレングリコール(PEG)水溶液である。更なる例として、前記水溶液は、水を除いて、50重量%から95重量%のポリエチレングリコールを含有し、時々、ナトリウム塩、カリウム塩、アスコルビン酸およびこれらの混合物などの塩および風味料もその溶液中に含む。例えば、硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウム無水物、塩化ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、アスコルビン酸のナトリウム塩、硫酸カリウム、塩化カリウムおよびこれらの混合物を使用することができる。更なる例として、腸清浄溶液は、Moviprep(登録商標)またはGolytely(登録商標)、Nulytely(登録商標)またはHalflytely(登録商標)またはMovicol(登録商標)またはMacro−P(登録商標)またはColirei(登録商標)またはIsocolan(登録商標)またはSelg 1000(登録商標)などの名称で販売されている市販の製品の水溶液である。
【0038】
しかし、本明細書の開示によると、他の腸清浄溶液または処理を、これらが経口全身投与の妨げにならない毒性プロファイルを提供する限り、使用することもできる。例えば、PEGではなく塩または他の少量の化学緩下薬のみを含有する腸清浄溶液は、Phospho−Lax(登録商標)またはPicoprep(登録商標)またはSuprep(登録商標)のブランドで市販されている。異なる腸処理の処置を使用することもできる。
【0039】
本明細書に開示されているように、清浄溶液を4リットルの総量で投与することができ、これを1または複数の単位投与量、例えばそれぞれ約1リットルの4単位投与量に分割することができる。
【0040】
したがって、本明細書に開示されている固体組成物を、内視鏡診断の前に、前記腸清浄溶液のそれぞれの単位投与量の摂取と一緒に、および/または摂取の後に投与することができる。その後、必要であれば、依然として水を追加的に投与することもできる。
【0041】
本明細書に開示されているように、それぞれ前記少なくとも1つの色素を25mgなどの約25mgの重量で含有する組成物の4単位投与量は、100mgなどの約100mgの合計量の前記少なくとも1つ色素が内視鏡診断前の48時間以内にヒトに投与される分割スケジュールに従って、前記ヒトに経口投与され、
− 第1リットルの腸清浄溶液の摂取後に1個の固体経口組成物、
− 第2リットルの腸清浄溶液の摂取後に1個の固体経口組成物、
− 第3リットルの腸清浄溶液の摂取後に1個の固体経口組成物、および
− 第4(最後の)リットルの腸清浄溶液の摂取後に1個の固体経口組成物にある。
【0042】
本明細書に開示されているように、それぞれ前記少なくとも1つの色素を25mgなどの約25mgの重量で含有する組成物の8単位投与量は、200mgなどの約200mgの合計量の前記少なくとも1つ色素が内視鏡診断前の48時間以内にヒトに投与される分割スケジュールに従って、前記ヒトに経口投与され、
− 第1リットルの腸清浄溶液の摂取後に2個の固体経口組成物、
− 第2リットルの腸清浄溶液の摂取後に2個の固体経口組成物、
− 第3リットルの腸清浄溶液の摂取後に2個の固体経口組成物、および
− 第4(最後の)リットルの腸清浄溶液の摂取後に2個の固体経口組成物にある。
【0043】
例えば、それぞれ前記少なくとも1つの色素を25mgなどの約25mgの重量で含有する、本明細書に開示されている組成物の8単位投与量は、200mgなどの約200mgの合計量の前記少なくとも1つの色素が内視鏡診断前の48時間以内にヒトに投与される分割スケジュールに従って、前記ヒトに経口投与され、
− 第1リットルの腸清浄溶液の摂取後に0個の固体経口組成物、
− 第2リットルの腸清浄溶液の摂取後に2個の固体経口組成物、
− 第3リットルの腸清浄溶液の摂取後に3個の固体経口組成物、および
− 第4(最後の)リットルの腸清浄溶液の摂取後に3個の固体経口組成物にある。
【0044】
更なる例として、それぞれ前記少なくとも1つの色素を25mgなどの約25mgの重量で含有する、本明細書に開示されている組成物の8単位投与量は、200mgなどの約200mgの合計量の前記少なくとも1つの色素が内視鏡診断前の48時間以内にヒトに投与される分割スケジュールに従って、前記ヒトに経口投与され、
− 第1リットルの腸清浄溶液の摂取後に0個の固体経口組成物、
− 第2リットルの腸清浄溶液の摂取後に4個の固体経口組成物、
− 第3リットルの腸清浄溶液の摂取後に4個の固体経口組成物、および
− 第4リットルの腸清浄溶液の摂取後に0個の固体経口組成物にある。
【0045】
なお更なる例として、それぞれ前記少なくとも1つの色素を25mgなどの約25mgの重量で含有する、本明細書に開示されている組成物の8単位投与量は、200mgなどの約200mgの合計量の前記少なくとも1つの色素が内視鏡診断前の48時間以内にヒトに投与される分割スケジュールに従って、前記ヒトに経口投与され、
− 第1リットルの腸清浄溶液の摂取後に0個の固体経口組成物、
− 第2リットルの腸清浄溶液の摂取後に3個の固体経口組成物、
− 第3リットルの腸清浄溶液の摂取後に3個の固体経口組成物、および
− 第4リットルの腸清浄溶液の摂取後に2個の固体経口組成物にある。
【0046】
本明細書内に更に開示されているように、それぞれ前記少なくとも1つの色素を25mgなどの約25mgの重量で含有する、本明細書に開示されている組成物の4単位投与量は、100mgなどの約100mgの合計量の前記少なくとも1つの色素が内視鏡診断前の48時間以内にヒトに投与される分割スケジュールに従って、前記ヒトに経口投与され、
− 第1リットルの腸清浄溶液の摂取後に0個の固体経口組成物、
− 第2リットルの腸清浄溶液の摂取後に1個の固体経口組成物、
− 第3リットルの腸清浄溶液の摂取後に1個の固体経口組成物、および
− 第4(最後の)リットルの腸清浄溶液の摂取後に2個の固体経口組成物にある。
【0047】
本明細書内に更に開示されているように、それぞれ前記少なくとも1つの色素を200mgなどの約200mgの重量で含有する、本明細書に開示されている組成物の2単位投与量は、400mgなどの約400mgの合計量の前記少なくとも1つの色素が内視鏡診断前の48時間以内にヒトに投与される分割スケジュールに従って、前記ヒトに経口投与され、
− 第1リットルの腸清浄溶液の摂取後に0個の固体経口組成物、
− 第2リットルの腸清浄溶液の摂取後に1個の固体経口組成物、
− 第3リットルの腸清浄溶液の摂取後に1個の固体経口組成物、および
− 第4(最後の)リットルの腸清浄溶液の摂取後に0個の固体経口組成物にある。
【0048】
本明細書にいっそう更に開示されているように、それぞれ前記少なくとも1つの色素を25mgなどの約25mgの重量で含有する組成物の6単位投与量は、150mgなどの約150mgの合計量の前記少なくとも1つの色素が内視鏡診断前の48時間以内にヒトに投与される分割スケジュールに従って、前記ヒトに経口投与され、
− 第1リットルの腸清浄溶液の摂取前の、腸処理の開始時に2個の固体経口組成物、
− 第1リットルの腸清浄溶液の摂取後に2個の固体経口組成物、
− 第2リットルの腸清浄溶液の摂取後に2個の固体経口組成物、
− 第3リットルの腸清浄溶液の摂取後に0個の固体経口組成物、および
− 第4(最後の)リットルの腸清浄溶液の摂取後に0個の固体経口組成物にある。
【0049】
なお別の更なる例として、上記に示されている投与スケジュールを、「分割」腸清浄処置の適用によっても実施することができる。そのような場合には、錠剤投与は、ここに記載されている関連するスケジュールを維持しながら、2日間の腸清浄処理にわたって分割される。本明細書に開示されている更なる例による分割処理の例を、ここで下記に詳述する。
それぞれ前記少なくとも1つの色素を25mgなどの約25mgの重量で含有する、本明細書に開示されている組成物の8単位投与量は、200mgなどの約200mgの合計量の前記少なくとも1つの色素が、分割処理手順による内視鏡診断の24時間前にヒトに投与される分割スケジュールに従って、前記ヒトに経口投与され、
− 結腸鏡検査の前日の第1リットルの腸清浄溶液の摂取後に3個の固体経口組成物、
− 結腸鏡検査の前日の第2リットルの腸清浄溶液の摂取後に3個の固体経口組成物、
− 結腸鏡検査と同じ日の第3リットルの腸清浄溶液の摂取後に2個の固体経口組成物、および
− 結腸鏡検査と同じ日の第4リットルの腸清浄溶液の摂取後に0個の固体経口組成物である。
【0050】
あるいは、更なる例として、それぞれ前記少なくとも1つの色素を25mgなどの約25mgの重量で含有する、本明細書に開示されている組成物の8単位投与量は、200mgなどの約200mgの合計量の前記少なくとも1つの色素が、分割処理手順による内視鏡診断の24時間前にヒトに投与される分割スケジュールに従って、前記ヒトに経口投与され、
− 結腸鏡検査の前日の第1リットルの腸清浄溶液の摂取後に0個の固体経口組成物、
− 結腸鏡検査の前日の第2リットルの腸清浄溶液の摂取中に6個の固体経口組成物、
− 結腸鏡検査と同じ日の第3リットルの腸清浄溶液の摂取後に2個の固体経口組成物、および
− 結腸鏡検査と同じ日の第4リットルの腸清浄溶液の摂取後に0個の固体経口組成物である。
【0051】
本明細書に開示されている固体組成物は、制御放出組成物でありうる。本明細書に開示されている組成物の「制御放出」という表現は、部位−時間選択的な方法で、すなわち目的の領域において進行的に色素を放出することができる組成物を示すために使用される。したがって、そのような表現は、「遷延、持続、延長、遅延または変更」放出の定義を含む。
【0052】
本明細書に開示されている制御放出組成物の製剤に適した技術は、拡散、膨張および巨大分子緩和などの当技術分野で既知の溶出制御機構および技術を使用する、系としてマトリックス構造およびレザバー構造を利用する結腸特異的放出技術から選択することができる。
【0053】
本明細書に開示されている経口組成物は、特許文献1、特許文献2および特許文献3、ならびに2012年9月4日出願の特許文献4に記載されている、商標MMX(登録商標)として商業的に知られているマルチマトリックス技術に従って処方することができ、マルチマトリックス技術に関連する開示は、参照として本明細書に特定的に組み込まれる。
【0054】
本明細書に開示されている適切な親油性化合物は、40から90℃など、更には60から70℃などの90℃未満の融点を有する、飽和、不飽和および水素化長鎖アルコール、飽和、不飽和および水素化脂肪酸、その塩、エステルおよびアミド、脂肪酸のモノ−、ジ−およびトリグリセリド、そのポリエトキシル化誘導体、ロウ、セラミド、コレステロール、コレステロール誘導体ならびにこれらの混合物から選択されうる。
【0055】
本明細書に開示されている適切な両親媒性化合物は、IおよびII型の極性脂質(レシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミンおよびこれらの混合物)、セラミド、グリコールアルキルエーテル(例えばジエチレングリコールモノメチルエーテルなど)、硫酸アルキルおよびスルホコハク酸塩、ならびにこれらの混合物のうちから選択されうる。
【0056】
本明細書に開示されている適切な親水性化合物は、アクリル酸のポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸のコポリマー、アルキルビニルポリマー、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、変性および/または多置換セルロース、多糖、デキストリン、ペクチン、デンプン、複合デンプンおよびデンプン誘導体、アルギン酸、合成ゴム、天然ゴム、多価アルコールならびにこれらの混合物のうちから選択されるものなど、ヒドロゲルを形成する化合物(すなわち、水性溶媒との接触によりヒドロゲルを形成する化合物)から選択されうる。
【0057】
ヒドロゲルは、乾燥状態から水和状態に移行するとき、いわゆる「分子緩和」を受ける、すなわち、賦形剤のポリマー鎖に存在する極性末端基による多数の水分子の配位の後に質量および重量の顕著な増加を受ける化合物である。
【0058】
本明細書に開示されている適切な胃抵抗性被覆剤は、アクリル酸のポリマー、メタクリル酸のポリマー、アクリル酸のコポリマー、メタクリル酸のコポリマー、セルロース誘導体(例えば酢酸フタル酸セルロースなど)、ヒドロキシブチレートに基づいたポリマー、シェラックおよびこれらの混合物から選択されうる。本発明のそのような胃抵抗性被覆剤を、可塑剤、乳白剤、色素およびこれらの混合物と組み合わせることもできる。
【0059】
本明細書に開示されている制御放出組成物の投与は、実際に、腸領域など、いっそう更には結腸域などの内視鏡評価に付されることが意図される胃腸区域から厳密に開始する、組成物に含有された色素の放出を可能にする。
【0060】
本明細書に開示されている組成物は、被覆錠剤の形態など、更には胃保護錠剤の形態などの錠剤、カプセル剤、顆粒剤、微粒剤およびペレット剤から選択される形態に処方される。
【0061】
本明細書に開示されているカプセル剤形態は、次に、顆粒剤、微粒剤および/またはペレット剤を含有してもよい。
【0062】
例えば、本明細書に記載されている組成物は、胃抵抗性錠剤の形態または胃抵抗性顆粒剤、胃抵抗性微粒剤および/または胃抵抗性ペレット剤を含有するカプセル剤の形態でありうる。
【0063】
更に、本明細書に開示されている組成物は、二重層錠剤などの二重層形態で処方されうる。
【0064】
本明細書に開示されているように、結腸鏡検査の場合では、2以上の単位投与量の本明細書に開示されている組成物は、例えば胃、十二指腸および空腸などの結腸鏡検査に付されることが意図されない消化管の領域に色素が分散するのを防止するように、2以上の単位投与量の制御放出錠剤などの本明細書に記載されている組成物の経口投与のために提供されうる。
【0065】
制御放出組成物の調製において、1つまたは複数の色素を、進行性または大量または制御または遷延溶出特性を付与することができる物質と共に処方して、製剤にすることができる。加えて、製剤は、腸内視鏡評価に付されることが意図される区分に典型的なpHの一般にpH5からpH7である特定のpHに達することのみによって溶解することが可能である物質により被覆される。
【0066】
胃保護被覆が溶解し始める特定のpH値により特徴付けられる目的の腸区分に到達すると、色素の溶出は、一般に4から24時間である結腸に到達する時間などの腸の通過に必要な時間内に生じることを確実にするように、速度に関して制御されうる。
【0067】
本明細書に開示されているように、色素は、界面活性剤の特徴を有する1つまたは複数の両親媒性物質の存在下などで親油性マトリックスを形成することができる材料により最初に混合または造粒され、後に、この任意の凝集度の粉末マトリックスを、ヒドロゲルとしても知られている、親水性型のポリマーまたはコポリマーにより形成される主要構造に、無水状態または幾らかの残留水分値を有して挿入される。
【0068】
あるいは、なおかつこの技術の典型的な適用によると、色素は、親油性マトリックスを形成することができる材料により最初に混合または造粒されるべきであり、このマトリックス構造を任意の凝集度で造粒した後、例えば界面活性剤の特徴を有する1つまたは複数の両親媒性物質の存在下で、親水性型のポリマーまたはコポリマーにより形成される主要構造に、無水状態または幾らかの残留水分値を有して挿入される。続いて、最終混合物は、圧縮に付される。
【0069】
強酸環境において組成物の溶出を防止することができる胃保護被覆フィルムを、組成物の表面に後に適用することができる。
【0070】
嚥下すると、そのような多マトリックス被覆組成物は、胃保護被覆が可溶化し、かつ、製剤に挿入された色素を、消化腔内の通過の進行と同時に進行的に分布することをもたらす溶出プログラムが開始する、5または7を越えるpHなどの適切なpHの環境に到達するまで胃および腸の酸との接触から保護されうる。
【0071】
本明細書に開示されている内視鏡診断は、結腸など、更には結腸の右部などの胃腸管の炎症性、潰瘍性、前新生物性、異形成性および/または新生物性の病理および/または変質の診断を目的とする。
【0072】
例えば、本明細書に開示されている内視鏡診断評価は、結腸など、更に結腸の右部などの胃腸管のがん性形態、前がん性形態、中間期がん、腺腫、癌腫、鋸歯状病変、異形成、ポリープ、偽ポリープ、プレポリープ(pre−polyp)、過形成病変、ならびに異なる炎症性病理および/または病変の診断を目的とすることができる。
【0073】
結腸の右部の内視鏡診断は、右結腸腺腫、右結腸ポリープ、鋸歯状腺腫および右鋸歯状病変または中間期がんの診断を目的とすることもできる。
【0074】
中間期がんは、2回の連続した結腸内視鏡検査(結腸鏡検査)の間の時間でがん(腫瘍)になる可能性がある病変に関する。そのような時間は、一般に2〜5年間に相当する。
【0075】
本明細書に開示されている経口組成物は、白色光結腸鏡検査により大部分が見落とされているこれらの小さなサイズの病変および平坦病変の診断を増加および改善することを目的とすることができる。本明細書で使用されるとき、用語「小さなサイズ」は、5mm以下などの10mm以下のサイズである。例えば、直径が5mm未満のサイズの右結腸のポリープ、腺腫および鋸歯状病変が、「小さなサイズ」と考慮される。
【0076】
サイズは、標準的な異物鉗子を使用して推定または測定された病変の直径として決定される。
【0077】
これらの右結腸病変は、標準的な白色光結腸鏡検査の実施による病変の検出を非常に困難にする結腸粘膜組織の解剖学的構造および汚れた粘膜表面を有する可能性のため、この分野では見ることおよび検出することが困難であると実際考慮されている。
【0078】
また、より小さい結腸病変は、結腸ひだと混同する可能性、ならびにそのようなより小さい病変を隠し、したがってこれらのより小さい病変の検出を困難にする汚れた粘膜表面を有する可能性のため、選択されることがより困難である。
【0079】
本明細書に開示されているように、内視鏡診断は、例えば炎症性腸疾患(IBD)、潰瘍性大腸炎またはクローン病などの少なくとも別の炎症性病理を以前から患っているヒトにおける上記記述の病理および/または病変の診断を目的とすることもできる。
【0080】
その場合、前記ヒトは、「より危険性のある患者」であると示される。このような患者では、実際、続発性の腸および結腸粘膜の病理および/または病変の危険性は正常よりかなり高く、それは、粘膜が、制御されない細胞繁殖および新生物発生と長期間にわたって関連しうる慢性炎症過程に罹患しているからである。特に、危険性は結腸レベルで有意に増加し、例えば、結腸癌および/または結腸異形成および/または上皮内新生物は、長期の潰瘍性大腸炎およびクローン病を有する患者において生じる可能性がかなりありうる。
【0081】
本明細書に開示されている経口組成物の第1の利点は、結腸域(上行、下行、直腸S状および横行結腸)など、いっそう更には結腸の右部などの、内視鏡診断評価により調査される領域における改善された染色品質および染色効力を提供することである。
【0082】
この改善された染色品質は、多数の異なる要素に関連する。第1には、色素は、多マトリックス送達系および色素投与の特定のスケジュールに従って腸全長にわたってかなり均質に送達され、このことは着色物質の長期間の解剖学的に一定した利用能可能性を確実にする。第2には、そして最も重要なこととして、本明細書の開示は、色素と結腸粘膜の接触および内視鏡処置の間に、ある特定の時間間隔を初めて許容する。この時間間隔は、細胞への青色物質の組み込みのおかげで一定に着色される粘膜への正しい色素吸収を可能にするので、関連性がある。選択的色素吸収は、メチレンブルーのような生体色素の中心的な作用機構であると考慮される。
【0083】
事実、この吸収、その結果としての増強された対比は、色素が内視鏡処置の際に噴霧されるときに得られる最小限のものである。吸収は、ある特定の間隔が色素送達と内視鏡処置の間に続くと最大化される。
【0084】
改善された染色をもたらす第3の要素は、結腸解剖学に厳密に関連する。事実、右結腸は他の結腸区域と比較して大きな管腔および大きな粘膜表面を有する。
【0085】
これらの要素により、かつ重力の問題のため(内視鏡処置の際には、患者は仰臥位に寝かされる)、色素が内視鏡処置の時点で噴霧されると、色素は、例えば(重力のために)粘膜の最も下向きの部分に斑状に分配される傾向がある
この状況と異なり、MMX機構を有する色素の標的化経口投与の条件では、処置の少なくとも5時間前に、有意な投与量の色素の利用可能性および豊富な水性材料(腸処理液)が、右結腸の蠕動運動と一緒になって、色素の拡散を最適化し、色素を右結腸の異なる粘膜区域と接触させる。
【0086】
結腸粘膜がメチレンブルーにより一定して継続的に着色されると、得られる診断利点は、色素に特異的に関連する異なる作用による粘膜異常を検出する可能性の増加である。第1に、そして最も重要なこととして、炎症性または新生物性の変化を有する粘膜領域は、色素の取り込みを減少する傾向があり、したがって未染色領域をもたらし、これは均質な染色パターンを示す正常な粘膜から(内視鏡処置の際に)容易に識別される。
【0087】
本明細書に開示されている経口組成物の別の利点は、結腸域における全ての解剖学的区域(上行、下行、直腸S状および横行結腸)などの、内視鏡診断により調査される領域における病理および/または非病理病変の改善された検出を提供することである。例えば、結腸の右部は、より的確に染色される領域でありうる。
【0088】
本明細書に開示されている経口組成物は、細胞間および細胞内空間における色素の異なる取り込みのおかげで、クリプタ(cripta)および腺管を有する深部粘膜組織構造を知覚させる色素の対比増強効力を可能に、したがって、内視鏡検査医が同定し、取り出す必要がある病変および/または病変の境界の正確な限定を改善する。粘膜組織構造および病変組織の改善された限定が確実になり、病変の容易な検出を可能にする。
【0089】
本明細書に開示されている経口組成物および投与スケジュールにより提供される病変のより良好な限定は、病変の検出における増加した特異性および感度を促進し、したがって、偽陰性および偽陽性の発生を低減し、かつ病変または悪性領域がより正しく同定および検出されることを可能にする。換言すると、本明細書に開示されている特定の経口固体組成物および本明細書に定義されている固体組成物の投与スケジュールは、色素による粘膜組織構造の改善された対比をもたらす。
【0090】
特に、本明細書に開示されている経口固体組成物および投与スケジュールは、結腸異形成および結腸癌、特に前記の潰瘍性大腸炎またはクローン病をもたらすものの非常に初期の検出を可能にする。
【0091】
本明細書に開示されている経口固体組成物および投与スケジュールの更なる利点は、色素の最大化された局所的生物学的利用能およびその最適化された生物学的効果を提供することである。
【0092】
実際、本明細書に開示されている色素は、内視鏡診断に付される正確な場所に均質な伸展を伴って局色的に放出されることが可能であることに留意するべきである。例えば、本明細書に開示されているように、色素は、結腸の右部も含む結腸に放出される。
【0093】
本明細書に開示されている特定の経口固体組成物および確定された投与スケジュールのおかげで、経口投与された色素は、局所的に放出され、また、結腸など、更には結腸の右部などの腸管に完全に吸収される。このようにして、本明細書に開示されているものは、内視鏡診断の目的ではない胃または小腸などの解剖学的な管における望ましくない任意の早期放出または早期吸収を回避する。
【0094】
腸粘膜における色素の局所吸収は、色素が細胞に浸透することを可能にし、そこで保持されて、改善された染色効果、増加した対比およびより良好な検出、ならびに関連する診断をもたらす。
【0095】
色素の改善された吸収は、メチレンブルーが内視鏡診断に色素として使用されるときに特に関連性がある。メチレンブルーは、細胞外空間と異なる方法で細胞により取り込まれうる「生体色素」であるので、そのことが分かる。更に、本明細書に開示されている投与スケジュールによる本明細書に定義されている組成物の経口投与は、より小さい分類の多数の病変の検出をもたらすことができ、したがって内視鏡診断を改善する。
【0096】
本明細書に開示されているように経口投与される、本明細書に開示されている固体組成物は、有利には、結腸粘膜を更に広範囲に染色することができ、内視鏡診断に関与する内視鏡検査医または操作者による結腸鏡検査の主観性を低減し、したがって診断評価それ自体の効力を改善する。
【0097】
本明細書に開示されている経口組成物は、色素を噴霧し、次に検査される粘膜からそれを洗い流すことに伴う不感時間を回避することによって、内視鏡診断に伴う時間を低減することができる。
【実施例】
【0098】
下記の実施例はまた、本明細書に開示されている経口組成物および投与スケジュールを、それらに関して何も限定を課すことなく明確にする。
【0099】
(実施例1):内視鏡検査(結腸)用制御放出被覆錠剤
【0100】
【表1】
【0101】
適用される過程は、色素とレシチン界面活性剤、ステアリン酸、マンニトールおよび必要量の半分のステアリン酸マグネシウムとの混合を提供する。混合物を圧縮した後、続いて造粒し、次にセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、コロイドシリカおよび残りのステアリン酸マグネシウムを加え、更に混合した後、最終圧縮を実施して、250mgの錠剤を得る。次に錠剤を、回盲および結腸環境に特徴的な≧pH7までインビトロでの溶出に抵抗性がある程度に、メタクリル酸コポリマーAおよびB型の混合物により被覆する。
【0102】
(実施例2):内視鏡検査(結腸)用制御放出被覆錠剤
【0103】
【表2】
【0104】
調製過程は、色素とレシチン、ステアリン酸および第二リン酸ナトリウムとの混合を提供し、ウエハへの圧縮、続いて乾式造粒、核の残りの成分との混合および最終圧縮により235mg/錠剤の重量にする。被覆は、基材としてメタクリル酸誘導体および適用段階を促進するためアルコール溶媒を使用する。
【0105】
このようにして得られた錠剤を、インビトロ溶出試験に付して、酸環境に対する良好な抵抗性および7.2のpHを有する中性環境における色素の進行的な移動が明らかになった。
【0106】
(実施例3):内視鏡検査(結腸)用制御放出被覆錠剤
【0107】
【表3】
【0108】
組成物は、色素、両親媒性成分としてレシチン、親油性マトリックスの成分としてステアリン酸、マンニトールおよびステアリン酸マグネシウムの一部を先に混合および造粒することによって得られる。得られた顆粒を予備的にスクリーニングしたあと、残りの成分、特に、親水性マトリックス構造を生じることができるセルロースを加える。粉末および顆粒の混合物を圧縮し、約720mgに計量することにより得た最終的な薬学的形態を、可塑剤、すなわちクエン酸トリエチル、色素顔料、すなわち二酸化チタンおよびタルクなどの粘着防止剤により支持された、メタクリル酸誘導体A型およびB型のコポリマーの混合物による、溶媒としてエチルアルコールを使用した被覆に付す。
【0109】
このようにして得られた錠剤は、pH<2の緩衝液中のインビトロ溶出に抵抗し、pH>7の緩衝液中での色素物質の進行的な放出を可能にし、ここで下記に詳述する。
【0110】
− pH1の溶出媒体中に2時間後の溶出%:0%(規格≦10%)
− pH7.2の溶出媒体中に4時間後の溶出%:27%
− pH7.2の溶出媒体中に8時間後の溶出%:84%(規格>80%)
実施例3と同じ錠剤をPK第I相試験に使用し、200および400mgの単一用量を比較し、以下の主なPKパラメーターの平均値を記録した。200mg用量では、
− 平均t
lag≧3時間
− 平均t
max(時間)16.10±4.01
− 注入用量と比較した生物学的利用能(F
abs%):139.19±52.0
− 平均C
max(ng/ml)1662.2±501.93
− 尿排泄(用量の平均%)=39.67±19.19
− 平均t
1/2(時間)20.19±4.68
であり、
一方、400mg用量では、記録された主なパラメーターは、
− 平均t
lag≧3時間
− 平均t
max(時間)17.67±3.60
− 平均C
max(ng/ml)1635.67±729.57
− 尿排泄(用量の平均%)=22.99±14.92
− 平均t
1/2(時間)17.25±7.43
であった。
【0111】
(実施例4):内視鏡検査(結腸)用制御放出被覆錠剤
【0112】
【表4】
【0113】
過程は、層1の成分の混合およびその圧縮、続く、層2の幾つかの成分、厳密には色素、レシチン、ステアリン酸、微晶質セルロースおよびマンニトールと半分のステアリン酸マグネシウムとの前の圧縮から得た粉末および顆粒の混合物と、残りの補助製剤化剤(co−formulant)との圧縮を提供する。
【0114】
約250mgに計量された錠剤は、胃部、続く腸部の両方における色素の異なる放出のために処方された、2つの異なった着色がなされた特有の層を有する。
【0115】
(実施例5):内視鏡検査(結腸)用制御放出被覆錠剤
【0116】
【表5】
【0117】
組成物は、色素、両親媒性成分としてレシチン、親油性マトリックスの成分としてステアリン酸の順序の混合によって得られ、次に残りの成分、特に、親水性マトリックス構造を生じることができるセルロースを、処方が完了するまで加えた。粉末および顆粒の混合物を圧縮し、約320mgに単位計量することにより得た最終的な薬学的形態を、可塑剤のクエン酸トリエチル、色素顔料の二酸化チタンおよびタルクなどの粘着防止剤により支持された、メタクリル酸誘導体A型およびB型のコポリマーの混合物による、溶媒としてエチルアルコールもしくは水またはこれらの混合物を使用した被覆に付す。
【0118】
このようにして得られた錠剤は、pH1で2時間にわたって実質的な溶出がなく(<10%)、pH7.2の模擬腸媒体における進行性溶出が、
− 1時間後に約10%(規格限界≦30%)の放出
− 4時間後に約44%の放出、および
− 8時間後に90%超(規格限界≧80%)の放出であることを明らかにした。
【0119】
また錠剤を使用して、4リットルの、PEG含有腸処理溶液(Selg(登録商標)Esse 1000として商業的に知られている)の投与による標準的な腸清浄処置に付されたヒト志願者において、個別に25mgの色素を含有する分割用量としての2用量のメチレンブルーのPK特徴を決定した。
【0120】
同じ錠剤をPK第I相試験に使用し、100および200mgの単一用量を比較し、主なPKパラメーターの平均値を記録した。
【0121】
100mg用量では、
− 平均t
lag≧3時間
− 平均t
max(時間)12.0(個別の値9〜16)
− 平均C
max(ng/ml)573.60±175.83
− 0〜60時間の尿累積排泄(用量の平均%)=28.02±11.71
− 平均t
1/2(時間)13.87±5.09
であり、
一方、200mg用量では、記録された主なパラメーターは、
− 平均t
lag≧3時間
− 平均t
max(時間)16.0(個別の値10〜24)
− 平均C
max(ng/ml)1149.12±261.95
− 0〜60時間の尿累積排泄(用量の平均%)=38.67±15.8
− 平均t
1/2(時間)15.08±5.85
であった。
【0122】
粘膜染色の結果の関数として錠剤の投与方法を最適化するため、本来0および20の間の数から作成および構成され、0から5の範囲のそれぞれ個別の染色スコアの合計として計算され(0は、染色が全くなく、1は、「痕跡」、すなわち結腸粘膜に不十分な色素痕跡があり、2は、「検出可能」、すなわち領域の少なくとも25%の染色に関連し、3は、「許容可能」、すなわち領域の少なくとも50%の染色に関連し、4は、「良好」、すなわち領域の少なくとも75%の染色に関連し、5は、「過剰染色」、すなわち、内視鏡検査医が領域の100%において相応の精度で粘膜表面を見ることができない過剰染色に関連する)、結腸管の4区域で測定され、右または上行結腸、横行結腸、下行結腸およびS字直腸として指示される、スコアリングシステム(TSC)を識別パラメーターとして使用する臨床試験を上記に記載された錠剤により実施し、このスコアリングシステムを使用して、結腸鏡検査処置の間の錠剤投与および病変検出の可能性を最適化する目的で、色素の最も信頼性のある投与スケジュールを選択した。
【0123】
そこで、記載されたように処方された錠剤を使用して、投与スケジュールを小さな群の患者において変え、対応する染色スコアを決定した。結腸粘膜染色の重要性は、十分に染色された様相が、単一の結腸地域のみに集中するのではなく全ての結腸区域に拡大されるべきということであるので、染色スコアの≧2を有するNSAまたは染色領域の数という、追加のパラメーターが考慮された。これらの2つのパラメーター(TSCおよびNSA)の適用によって、結腸粘膜における全ての病変の検出を増強する、内視鏡検査医に最良の条件を得るため、錠剤投与スケジュールの決定を実施した。
【0124】
下記の表において、試験した2用量の異なる投与スケジュールを、対応する測定染色スコアと共に報告する。
【0125】
A)150mg用量では、
− 腸処理を飲用する前に2錠剤(錠)、第1リットル(L)の後に2錠、第2L後に2錠を含む投与スケジュールAを用い、平均染色スコアは6.8±4.0であり、平均染色結腸区域(NSA)は1.3であった。
− 腸処理を飲用する前に6錠剤(錠)を含む投与スケジュールBを用い、平均染色スコアは2.3±2.4であり、平均染色結腸区域(NSA)は0.4であった。
− 腸処理の終了時に6錠剤(錠)を含む投与スケジュールCを用い、平均染色スコアは8.1±3.6であり、平均染色結腸区域(NSA)は1.5であった。
【0126】
B)200mg用量では、
− 腸処理を飲用する前に4錠剤(錠)、第1Lの後に2錠、第2L後に2錠を含む投与スケジュールDを用い、平均染色スコアは7.0±5.0であり、平均染色結腸区域(NSA)は1.3であった。
− 腸処理溶液の終了時に8錠剤(錠)を含む投与スケジュールEを用い、平均染色スコアは9.8±4.4であり、平均染色結腸区域(NSA)は2.3であった。
−腸処理を飲用する前に2錠剤(錠)、腸処理の第1Lの後に2錠、第2L後に2錠、終了時に2錠を含む投与スケジュールFを用い、平均染色スコアは9.3±4.1であり、平均染色結腸区域(NSA)は2.2であった。
− 腸処理を飲用する前に2錠剤(錠)、腸処理の第1Lの後に2錠、第2L後に2錠、終了時に2錠を含む投与スケジュールGを用い、平均染色スコア(TSC)は10.5±7.8であり、平均染色結腸区域(NSA)は1.5であった。
− 腸処理の第3Lの後に4錠、終了時に4錠を含む投与スケジュールHを用い、平均染色スコア(TSC)は10.0±3.2であり、平均染色結腸区域(NSA)は2.1であった。
− 腸処理の第2Lの後に4錠、第3Lの後に4錠を含む投与スケジュールIを用い、平均染色スコア(TSC)は11.4±3.8であり、平均染色結腸区域(NSA)は2.8であった。
− 腸処理の第2Lの後に2錠剤(錠)、第3Lの後に3錠、終了時に3錠を含む投与スケジュールJを用い、平均染色スコア(TSC)は11.6±3.5であり、平均染色結腸区域(NSA)は2.6であった。
【0127】
実施例5に記載された同じ錠剤を使用し、200mgの総用量のメチレンブルーおよび腸処理の第2Lの後に2錠、第3Lの後に3錠、終了時に3錠の投与スケジュールを用いて、2つの第II相臨床試験を実施した。A)がん検診および調査監視を完了した96人の患者およびB)危険性の高い集団に属する追加の52人の患者、すなわち長期にわたる潰瘍性大腸炎を有する患者。
【0128】
A)がん検診および調査監視試験は、メチレンブルーMMX(登録商標)錠剤により得られた結腸粘膜染色後に完全な結腸鏡検査を受けた患者における、ポリープおよび腺腫検出率を評価する目的を有した。したがって、主要評価項目は、結腸粘膜染色後のポリープ検出率および腺腫検出率を評価することであった。
【0129】
他の副評価項目は、厳密には、
− 結腸粘膜染色後に検出されたポリープおよび腺腫を分類すること、
− 鋸歯状病変検出率を評価すること、
− メチレンブルーMMX(登録商標)錠剤の粘膜染色効力を評価すること、
− 腸清浄品質も、認められたBoston Bowel Preparation Scale(BBPS)に従って、評価した。
− 単一用量の200mgの投与後のメチレンブルーMMX(登録商標)錠剤の安全性および耐容性についてデータを収集すること
に設定された。
【0130】
対象は、結腸鏡検査日の前の午後に錠剤摂取を開始し、少なくとも250mLの処理を、腸処理摂取が4時間後に完了できるように、15分毎に飲用する必要があった。
【0131】
測定試験変数:
− ポリープを有する患者の頻度、
− 腺腫を有する患者の頻度、
− それぞれの患者の右結腸における腺腫の数、
− それぞれの患者に検出された鋸歯状病変の数、
− それぞれの領域の粘膜染色スコア、総染色スコア、
− 腸清浄処理品質のBoston腸処理スコア、
− 盲腸に到達する時間、
− 盲腸から引き出されて排出する時間、
− 有害事象
− 生命兆候(血圧、心拍、末梢血の飽和度)、体重。
得られた結果をここで下記にまとめる。
【0132】
1)患者1人あたりのそれぞれの結腸域における粘膜異常(ポリープ、腺腫および鋸歯状病変)(A)および総数(B)
【0133】
【表6】
【0134】
全ての内視鏡知見が組織病理学者により分類された。検出された病変は、主に、低悪性度管状腺腫、過形成性鋸歯状病変、低悪性度鋸歯状腺腫、低悪性度管状−絨毛状腺腫であったが、管状−絨毛状、絨毛状および管状病変を含む上皮内癌腫を有する高悪性度腺腫もあった。メチレンブルーMMX(登録商標)錠剤の粘膜染色効力は、検査された4つの結腸域全てにおいて粘膜の50%が染色され、平均して「許容可能」であった。腸清浄品質は、総BBPSスコアによると平均して「良好」であった。
結論:
結腸全体におけるポリープ検出率および腺腫検出率/患者は、平均して、検出されたポリープが1.8±2.9個であり、検出された腺腫が0.9±1.7個であった。ポリープ検出率は、対象1人あたり0から20個のポリープの範囲であり、最大で10個のポリープを有する直腸および最大で9個の病変を有する右結腸において高かった。腺腫検出率は、対象1人あたり0から14個の腺腫の範囲であり、最大で5個の腺腫を有する直腸において高かった。右結腸では、最大検出率は、8個の検出腺腫であった。鋸歯状病変は0から10個の範囲であり、直腸が最高の蔓延を有し、最大で9個の病変であった。
【0135】
以下の表にまとめたように、ポリープを有する患者(pPolyp)は64%の頻度、腺腫は47%の頻度、鋸歯状病変は27.1%の頻度で検出された(9%の対象の右結腸は、腺腫と同じ重篤度であると考慮された)。
【0136】
【表7】
【0137】
窩パターンスコアと組織学的分類との間に良好な一致があった。
【0138】
ポリープにより最も頻繁に影響を受けた域は、S状部および直腸(それぞれ、21.9%および19.8%)であり、鋸歯状病変は直腸(12.5%)において最も頻繁であった。3つの領域の右、横行、および下行結腸を考慮すると、最低の検出率を有するものは横行結腸であり、続いて右および下行結腸である。
【0139】
分析は、サイズにより上皮内新生物を細分化することによっても実施した。病変のサイズによる検出率を以下の表にまとめる。<5mmの検出されたポリープ、腺腫および鋸歯状病変の数、平均(±SD)、ならびに中央値(範囲)が報告されている。
【0140】
【表8】
【0141】
より小さな病変(≦5mm)が頻度において優性であり、従来の白色光結腸鏡検査では、そのようなより小さな病変は検出することが最も困難であるので、このことは注目に値する。≦5mmのポリープは、最大数の15個の検出異常を有した。≦5mmの検出腺腫の最大数は9個であり、≦5mmの鋸歯状病変は10個であった。
【0142】
サイズによる検出ポリープ、検出腺腫および検出鋸歯状病変を有する対象の割合も、以下の集計表に示した。結腸域による検出ポリープ、腺腫および鋸歯状病変を有する対象の割合、対象の数(%)が報告されている。
【0143】
【表9】
【0144】
結論:
メチレンブルーMMX(登録商標)25mg変更放出剤の効力を調査し、全ての結腸地域における粘膜病変、特に<5mmの病変を有するものの検出を実証した。文献のデータと比較して大きな割合の患者が、特にS状直腸地域、また右結腸におけるポリープおよび腺腫の存在により影響を受けていたことが見出された。
【0145】
B)メチレンブルーMMX(登録商標)25mg変更放出剤の効力を、≧8年間の潰瘍性大腸炎の診断および<8の結腸活性指数を有する患者において調査した。長期にわたる潰瘍性大腸炎を有する患者は、結腸関連結腸直腸がんを発生する有意に高い危険性を有するので、この集団を選択した。
【0146】
上皮内新生物検出率は、16%であり(PP集団に属する50人の対象のうち8人)、8人の対象において合計で10個の上皮内新生物が検出された。上皮内新生物は、大腸のS字区域(RES)において最も頻繁に見出され、続いて下行結腸(DC)および横行結腸(TC)が同じ頻度であり、最後に上行結腸(AC)であった。上皮内新生物/対象の数は、0.2±0.5個であった。
【0147】
下記にまとめられているように、偽陽性知見が8%提示され(50人の対象のうち4人)、一方、偽陰性知見は6%(50人のうち3人)であった。方法は、50%を越える感度(厳密には57.1%)および90%を越える特異性(厳密には90.7%)を有した。
【0148】
研究結果は、本明細書に開示されている腸処理の際に色素の経口投与の代わりに色素を噴霧する
ことにより適用された、色素内視鏡検査技術により得られた文献データの高いほうの範囲と一致する。色素噴霧技術は、上皮内新生物が、カテーテルを使用して噴霧された0.1%メチレンブルーの溶液により同じ集団において15.48%の率で検出された、引用噴霧色素内視鏡検査試験における無作為生検と比較して、検査時間を劇的に低減することができた。
【0149】
上皮内新生物の検出率、ならびに真性および偽の陽性および陰性知見分析集団(N=52)。
【0150】
【表10】
【0151】
メチレンブルーMMX(登録商標)錠剤の粘膜染色効力は、検査された4つの結腸域の全てにおいて粘膜の50%が染色され、平均して「許容可能」であることが確認され、最も良く染色された結腸区域は、異形成性病変を見つけることがより困難である上行結腸においてもたらされた。大部分の対象は、4域全てにおいてNSAを有した。腸清浄品質は、総BBPSスコアによると平均して「良好」であった。
【0152】
結腸内視鏡検査による2つの画像が、本発明をより良好に明らかにするためにも、下記に報告されている。画像1は、腺の病巣が十分に限定され、かつ結腸粘膜のプレポリープ変質が暗色化されている、深部粘膜組織構造を知覚させる本発明の色素の対比増強効力を示す。
【0153】
画像2は、内視鏡検査医が取り出す必要のある結腸平坦病変の境界を半連続青色線が正確に限定し、病変介入および摘出にとってより良好な解像度を可能にすることを示す。組織限定は、本明細書に開示されている経口投与色素によって確実に増強されている。従来の噴霧技術の範囲内では、噴霧と観察の間に利用可能な時間がほとんどない(数秒間または2、3分間)ので、同じ性能を得ることはできない。