特許第6267263号(P6267263)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6267263
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】燃料電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/24 20160101AFI20180122BHJP
   H01M 8/2485 20160101ALI20180122BHJP
   H01M 8/02 20160101ALI20180122BHJP
   H01M 8/12 20160101ALI20180122BHJP
【FI】
   H01M8/24 E
   H01M8/24 S
   H01M8/02 Z
   H01M8/12
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-93219(P2016-93219)
(22)【出願日】2016年5月6日
(65)【公開番号】特開2017-201601(P2017-201601A)
(43)【公開日】2017年11月9日
【審査請求日】2017年1月26日
【審判番号】不服2017-12022(P2017-12022/J1)
【審判請求日】2017年8月10日
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 梨沙子
(72)【発明者】
【氏名】大森 誠
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 真司
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 徳之
【合議体】
【審判長】 千葉 輝久
【審判官】 長谷山 健
【審判官】 河本 充雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−164852(JP,A)
【文献】 特開2015−15214(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属材料によって構成され、貫通孔を有するマニホールドと、
接合材を介して前記貫通孔に基端部が固定される横縞型の固体酸化物型燃料電池と、
を備え、
前記燃料電池は、
内部にガス流路を有する絶縁性の多孔支持基板と、
前記多孔支持基板上に配置される少なくとも1つの発電部と、
前記多孔支持基板の外表面の少なくとも一部を覆う絶縁性の緻密シール層と、
前記緻密シール層と前記多孔支持基板との間に介挿され、前記発電部と電気的に接続されて導電経路を形成する中間層と、
前記発電部と電気的に接続される集電部材と、
を有し、
前記中間層の導電率は、前記多孔支持基板及び前記緻密シール層それぞれの導電率よりも高く、
前記中間層は、微弱電流が流れるとジュール効果によって発熱して前記多孔支持基板を加熱し、
前記集電部材は、前記マニホールドの前記発電部側に配置され、
前記接合材は、前記マニホールドと前記緻密シール層とを接合する、
燃料電池スタック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、絶縁性の多孔支持基板と、多孔支持基板上に配置される複数の発電部と、多孔支持基板の外表面を覆う絶縁性の緻密シール層とを備える燃料電池が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−230845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多孔支持基板において、発電部が設けられた領域の温度は上昇しやすいのに対して、発電部が設けられていない領域の温度は相対的に上昇しにくい。従って、多孔支持基板内の温度差に起因して内部応力が発生するおそれがあるため、多孔支持基板内の温度差を抑制することによって燃料電池の信頼性を向上させたいという要請がある。
【0005】
本発明の課題は、多孔支持基板内の温度差を抑制可能な燃料電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る燃料電池は、絶縁性の多孔支持基板と、少なくとも1つの発電部と、絶縁性の緻密シール層と、中間層とを備える。多孔支持基板は、内部にガス流路を有する。少なくとも1つの発電部は、多孔支持基板上に配置される。緻密シール層は、多孔支持基板の外表面の少なくとも一部を覆う。中間層は、緻密シール層と多孔支持基板との間に介挿され、少なくとも1つの発電部と電気的に接続される。中間層の導電率は、多孔質支持基板及び緻密シール層それぞれの導電率よりも高い。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、多孔支持基板内の温度差を抑制可能な燃料電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】燃料電池スタックの斜視図
図2】燃料電池スタックの断面図
図3】燃料マニホールドの斜視図
図4】燃料電池の斜視図
図5】燃料電池の断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(燃料電池スタック100)
図1は、燃料電池スタック100の斜視図である。図2は、燃料電池スタック100の断面図である。図3は、マニホールド200の斜視図である。図4は、燃料電池301の斜視図である。燃料電池スタック100は、マニホールド200と燃料電池301とを備える。
【0010】
(マニホールド200)
マニホールド200は、燃料ガスを各燃料電池301に供給するように構成されている。マニホールド200は、中空状であり、内部空間を有する。燃料ガスは、導入管201を介してマニホールド200の内部空間に供給される。マニホールド200は、天板203と、マニホールド本体204とを有する。
【0011】
天板203は、複数の貫通孔202を有する。各貫通孔202は、マニホールド200の内部空間と外部空間に連通する。各貫通孔202には、各燃料電池301が挿入される。天板203は、例えば金属材料によって構成することができる。金属材料としては、例えばステンレス等を用いることができる。
【0012】
マニホールド本体204は、上方が開口した直方体状に形成される。マニホールド本体204の上方は、天板203によって封止される。マニホールド本体204は、導電性を有していてもよいし、導電性を有していなくてもよい。
【0013】
(燃料電池301の概要)
各燃料電池301は、マニホールド200の各貫通孔202に挿入される。燃料電池301の外周には空気が供給される。燃料電池301は、貫通孔202に挿入された状態で、接合材101によってマニホールド200の天板203に固定される。
【0014】
接合材101は、例えば、結晶化ガラス、非晶質ガラス、ろう材、又はセラミックス等によって構成することができる。結晶化ガラスとしては、例えば、SiO−B系、SiO−CaO系、又はSiO−MgO系が挙げられる。
【0015】
各燃料電池301は、いわゆる横縞型の固体酸化物型燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)である。燃料電池301は、図4に示すように、複数の発電部10と、被覆層11と、多孔支持基板20とを有する。
【0016】
複数の発電部10は、多孔支持基板20上に配置される。各発電部10は、多孔支持基板20の両方の主面に配置されているが、多孔支持基板20の片方の主面のみに配置されていてもよい。各発電部10は、燃料電池301の長手方向において、互いに間隔をあけて配置される。
【0017】
図2に示すように、隣接する2つの燃料電池301において、一方の燃料電池301の発電部10は、集電部材302を介して、他方の燃料電池301の発電部10と電気的に接続される。また、各燃料電池301において、一方の主面に配置された発電部10は、集電部材500を介して、他方の主面に配置された発電部10と電気的に接続される。本実施形態において、集電部材302はマニホールド200に最も近い発電部10どうしを接続し、かつ、集電部材500はマニホールド200から最も離れた発電部10どうしを接続している。ただし、集電部材302はマニホールド200から最も離れた発電部10どうしを接続し、かつ、集電部材500はマニホールド200に最も近い発電部10どうしを接続していてもよい。
【0018】
集電部材302と集電部材500は、酸化物セラミックスの焼成体、貴金属系(Pt、Au、Ag)又は卑金属系(Ni、Ni基合金、Niとセラミックスのコンポジット)の材料によって構成することができる。酸化物セラミックスとしては、例えば、ペロブスカイト酸化物やスピネル酸化物などが挙げられる。ペロブスカイト酸化物としては、例えば、(La,Sr)MnOや(La,Sr)(Co,Fe)O等が挙げられる。スピネル酸化物としては、例えば、(Mn,Co)や(Mn,Fe)等が挙げられる。
【0019】
図4に示すように、被覆層11は、多孔支持基板20の外表面を覆う。被覆層11は、多孔支持基板20の主面のうち複数の発電部10が配置された領域以外の領域を覆っている。被覆層11の詳細については後述する。
【0020】
図4に示すように、多孔支持基板20は、平板状に形成される。多孔支持基板20は、燃料ガスを流すための6本のガス流路21を内部に有する。各ガス流路21は、燃料電池301の長手方向に沿って延びる。ガス流路21の本数及びサイズは適宜変更可能である。
【0021】
(燃料電池301の詳細)
図5は、図2の部分拡大図である。
【0022】
多孔支持基板20は、複数の第1凹部22を有する。複数の第1凹部22は、多孔支持基板20の両方の主面に形成される。
【0023】
多孔支持基板20は、電子伝導性を有さない絶縁性の多孔質材料によって構成される。多孔支持基板20は、例えば、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(イットリア安定化ジルコニア)の複合材料、NiO(酸化ニッケル)とY(イットリア)の複合材料、MgO(酸化マグネシウム)とMgAl(マグネシアアルミナスピネル)の複合材料などによって構成することができる。多孔支持基板20の導電率は特に制限されないが、10−4[S/m]以下が好ましく、10−5[S/m]以下がより好ましい。多孔支持基板20の気孔率は、20%以上60%以下とすることができる。
【0024】
各発電部10は、燃料極4と電解質層5と空気極6と反応防止層7とインターコネクタ31を有する。燃料極4は、電子伝導性を有する多孔質材料によって構成することができる。燃料極4は、燃料極集電層41と燃料極活性層42とを有する。燃料極集電層41は、第1凹部22内に配置される。各燃料極集電層41は、第2凹部41a及び第3凹部41bを有する。燃料極活性層42は、第2凹部41a内に配置される。
【0025】
燃料極集電層41は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)の複合材料、NiO(酸化ニッケル)とY(イットリア)の複合材料、NiO(酸化ニッケル)とCSZ(カルシア安定化ジルコニア)の複合材料などによって構成することができる。燃料極集電層41の厚さは、例えば、50〜500μm程度とすることができる。
【0026】
燃料極活性層42は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(イットリア安定化ジルコニア)の複合材料、NiO(酸化ニッケル)とGDC(ガドリニウムドープセリア)の複合材料などによって構成することができる。燃料極活性層42の厚さは、例えば、5〜30μmとすることができる。
【0027】
電解質層5は、燃料極4上に配置される。電解質層5は、あるインターコネクタ31から他のインターコネクタ31まで長手方向に延びる。従って、燃料電池301の長手方向において、電解質層5とインターコネクタ31とが交互に配置される。電解質層5とインターコネクタ31は、多孔支持基板20側の燃料ガスと空気極6側の空気との混合を防止するガスバリア性を発揮する。
【0028】
電解質層5は、イオン伝導性を有し且つ電子伝導性を有さない緻密材料によって構成される。電解質層5は、例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)やLSGM(ランタンガレート)などによって構成することができる。電解質層5の気孔率は、20%未満が好ましく、10%以下がより好ましく、8%以下がさらに好ましい。電解質層5の厚さは、例えば、3〜50μm程度とすることができる。
【0029】
反応防止層7は、電解質層5と空気極6の間に介挿される。反応防止層7は、電解質層5内のYSZと空気極6内のSrとが反応して電解質層5と空気極6との界面に電気抵抗の大きい反応層が形成されることを抑制する。反応防止層7は、緻密材料によって構成される。反応防止層7は、例えば、GDC=(Ce,Gd)O(ガドリニウムドープセリア)によって構成することができる。反応防止層7の厚さは、例えば、3〜50μm程度とすることができる。反応防止層7は、電解質層5とともに上述のガスバリア性を発揮する。
【0030】
空気極6は、反応防止層7上に配置される。空気極6は、電子伝導性を有する多孔質材料によって構成される。空気極6は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)、LSF=(La,Sr)FeO(ランタンストロンチウムフェライト)、LNF=La(Ni,Fe)O(ランタンニッケルフェライト)、LSC=(La,Sr)CoO(ランタンストロンチウムコバルタイト)などによって構成することができる。空気極6の厚さは、例えば、10〜100μmとすることができる。
【0031】
電気的接続部30は、隣り合う2つの発電部10同士を電気的に接続する。本実施形態において、電気的接続部30は、隣り合う発電部10同士を直列に接続しているが、並列に接続していてもよい。
【0032】
電気的接続部30は、インターコネクタ31及び空気極集電層32を有する。インターコネクタ31は、第3凹部41b内に配置される。インターコネクタ31は、電子伝導性を有する緻密材料によって構成される。インターコネクタ31は、例えば、LaCrO(ランタンクロマイト)や(Sr,La)TiO(ストロンチウムチタネート)によって構成することができる。インターコネクタ31の厚さは、例えば、10〜100μmとすることができる。
【0033】
空気極集電層32は、隣り合う発電部10のインターコネクタ31と空気極6との間を延びるように配置される。空気極集電層32は、電子伝導性を有する多孔質材料によって構成される。空気極集電層32は、例えば、LSCF、LSC、Ag(銀)、Ag−Pd(銀パラジウム合金)などによって構成することができる。空気極集電層32の厚さは、例えば、50〜500μm程度とすることができる。
【0034】
被覆層11は、多孔支持基板20の外表面を覆う。図5では、被覆層11が、多孔支持基板20の両方の主面それぞれのうちマニホールド200側の端部を覆っている様子が図示されているが、被覆層11は、多孔支持基板20のうち電解質層5、反応防止層7及びインターコネクタ31が配置されていない領域全体を覆っている。被覆層11は、多孔支持基板20側の燃料ガスと被覆層11の外周の空気との混合を防止するガスバリア性を発揮する。本実施形態において、被覆層11は、電解質層5、反応防止層7及びインターコネクタ31とともにガスバリア層として機能する。
【0035】
被覆層11は、緻密シール層11Aと中間層11Bとを有する。
【0036】
緻密シール層11Aは、中間層11B上に配置される。本実施形態において、緻密シール層11Aは、電解質層5に連結される。
【0037】
緻密シール層11Aは、電子伝導性を有さない絶縁性の緻密材料によって構成される。緻密シール層11Aは、結晶化ガラス、非晶質ガラス、ろう材、セラミックス、及びこれらのうち2以上の複合材料などによって構成することができる。セラミックスとしては、例えば、緻密化した多孔支持基板20と同一材料などが挙げられる。
【0038】
緻密シール層11Aの厚みは特に制限されないが、十分なガスバリア性を発揮させることを考慮すると3μm以上が好ましい。
【0039】
中間層11Bは、緻密シール層11Aと多孔支持基板20との間に介挿される。中間層11Bは、多孔支持基板20と直接的に接触する。中間層11Bは、発電部10と電気的に接続される。本実施形態において、中間層11Bは、電解質層5を介して発電部10と電気的に連結される。
【0040】
中間層11Bは、微弱電流を流す程度の微導電性を有する。中間層11Bの導電率は、多孔質支持基板20及び緻密シール層11Aそれぞれの導電率よりも高い。そのため、中間層11Bは、接合材101を介して、マニホールド200と発電部10を電気的に繋ぐ導電パスとして機能する。中間層11Bに微弱電流が流れるとジュール効果によって発熱するので、中間層11Bによって多孔支持基板20を加熱(又は予熱)することができる。また、中間層11Bは、緻密シール層11Aと多孔支持基板20との間に介挿されているため、中間層11Bの表面からの放熱を抑制して多孔支持基板20をより効率的に加熱することができる。従って、多孔支持基板20のうち発電部10が設けられた領域と発電部10が設けられていない領域との温度差が低減されるため、多孔支持基板20に内部応力が発生することを抑制できる。その結果、燃料電池301の信頼性を向上させることができる。
【0041】
中間層11Bの導電率は特に制限されないが、多孔支持基板20を十分に加熱することを考慮すると10−3[S/m]以上が好ましく、10−2[S/m]以上がより好ましい。また、中間層11Bの導電率は、発電効率を考慮すると100[S/m]以下が好ましく、10[S/m]以下がより好ましい。
【0042】
中間層11Bは、微導電性材料によって構成される。中間層11Bは、結晶化ガラス、非晶質ガラス、ろう材、又はセラミックスやその複合材料などによって構成することができる。中間層11Bの厚みは特に制限されないが、多孔支持基板20を効率的に加熱することを考慮すると3μm以上が好ましい。
【0043】
(燃料電池スタック100の製造方法)
次に、燃料電池スタック100の製造方法について説明する。
【0044】
多孔支持基板20の材料粉末に造孔材とバインダーを添加して調製した坏土を押出成形することによって、6本のガス流路21と複数の第1凹部22を有する多孔支持基板20の成形体を形成する。
【0045】
次に、燃料極集電層41の材料をペースト化して、多孔支持基板20の成形体の各第1凹部22に充填することによって、第2凹部41a及び第3凹部41bを有する燃料極集電層41の成形体を形成する。
【0046】
次に、インターコネクタ31の材料をペースト化して、燃料極集電層41の成形体の第3凹部41bに充填することによって、インターコネクタ31の成形体を形成する。
【0047】
次に、燃料極活性層42の材料をペースト化して、燃料極集電層41の成形体の第2凹部41aに充填することによって、燃料極活性層42の成形体を形成する。
【0048】
次に、電解質層5の材料をペースト化して、燃料極活性層42の成形体上に印刷することによって、電解質層5の成形体を形成する。
【0049】
次に、電解質層5の成形体上に反応防止層7の材料をディップ成形することによって、反応防止層7の成形体を形成する。
【0050】
次に、中間層11Bの材料をペースト化して、多孔支持基板20の外表面のうち露出している領域に印刷することによって、中間層11Bの成形体を形成する。
【0051】
次に、緻密シール層11Aの材料をペースト化して、中間層11Bの成形体上に印刷することによって、緻密シール層11Aの成形体を形成する。
【0052】
次に、多孔支持基板20、燃料極4、インターコネクタ31、電解質層5、反応防止層7、中間層11B及び緻密シール層11Aの成形体を共焼成(1300〜1600℃、2〜20時間)する。
【0053】
次に、空気極6の材料をペースト化して、電解質層5上に印刷することによって、空気極6の成形体を形成する。続いて、空気極集電層32の材料をペースト化して空気極6の成形体上に印刷することによって、空気極集電層32の成形体を形成する。
【0054】
次に、空気極7及び空気極集電層8の成形体を焼成(900〜1100℃、1〜20時間)する。
【0055】
次に、マニホールド200を準備する。そして、集電部材302及び第2接合材102によって各燃料電池301を互いに接続する。この段階において第2接合材102は焼成されておらず、各燃料電池301は互いに仮止めされた状態である。
【0056】
次に、各燃料電池301の下端部をマニホールド200の各貫通孔202に挿入して、燃料電池301と貫通孔202の隙間に第1接合材101を充填する。続いて、第1接合材101及び第2接合材102を熱処理することによって固化させる。
【0057】
(変形例)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0058】
上記実施形態において、被覆層11は、多孔支持基板20の主面のうち一部のみを覆っていてもよい。この場合、多孔支持基板20の主面のうち被覆層11から露出する領域は、電解質層5を延長することによって被覆してもよいし、被覆層11のうち緻密シール層11Aだけを延長することによって被覆してもよい。
【0059】
上記実施形態において、多孔支持基板20は、平板状に形成されることとしたが、これに限られるものではない。例えば、多孔支持基板20は、円筒状に形成されていてもよい。この場合、円筒状の多孔支持基板20の内部がガス流路として機能する。
【0060】
上記実施形態において、緻密シール層11A及び中間層11Bは、多孔支持基板20、燃料極4、インターコネクタ31、電解質層5及び反応防止層7とともに共焼成することによって形成されることとしたが、これに限られるものではない。緻密シール層11A及び中間層11Bは、多孔支持基板20、燃料極4、インターコネクタ31、電解質層5及び反応防止層7の成形体を共焼成した後であって、空気極7及び空気極集電層8の成形体の焼成の前に、緻密シール層11A及び中間層11Bの成形体を焼成することによって形成できる。また、緻密シール層11A及び中間層11Bは、多孔支持基板20、燃料極4、インターコネクタ31、電解質層5及び反応防止層7の成形体を共焼成した後に、空気極7及び空気極集電層8の成形体とともに緻密シール層11A及び中間層11Bの成形体を焼成することによっても形成できる。
【0061】
上記実施形態では、発電部10→被覆層11(中間層11B)→接合材101→マニホールド200の導電経路によって多孔支持基板20を加熱する構成について説明したが、多孔支持基板20を加熱する導電経路はこれに限られるものではない。
例えば、多孔支持基板20の一方の主面上の発電部10と他方の主面上の発電部10とを電気的に接続するように、多孔支持基板20の両主面及び側面に被覆層11を形成してもよい。この場合、多孔支持基板20の両主面に跨がるように、発電部10→被覆層11(中間層11B)→発電部10の導電経路が形成されるため、中間層11Bによって多孔支持基板20を加熱することができる。なお、被覆層11は、表裏の発電部10どうしを電気的に接続していればよいため、多孔支持基板20の両主面及び側面それぞれの一部のみを覆っていてもよい。
【0062】
また、多孔支持基板20の一方の主面上の2以上の発電部10どうしを電気的に繋ぐように、多孔支持基板20の一方の主面に被覆層11を形成してもよい。この場合、多孔支持基板20の一方の主面上において、発電部10→被覆層11(中間層11B)→発電部10の導電経路が形成されるため、中間層11Bによって多孔支持基板20を加熱することができる。なお、被覆層11は、発電部10どうしを電気的に接続していればよいため、多孔支持基板20の一方の主面の一部のみを覆っていてもよく、多孔支持基板20の側面を覆っていなくてもよい。
【符号の説明】
【0063】
10 発電部
11 被覆層
11A 緻密シール層
11B 中間層
20 多孔支持基板
100 :燃料電池スタック
101 :第1接合材
200 :マニホールド
301 :燃料電池
図1
図2
図3
図4
図5