(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6267272
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】ヒンジ付き封入容器
(51)【国際特許分類】
B65D 43/16 20060101AFI20180115BHJP
【FI】
B65D43/16 100
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-114057(P2016-114057)
(22)【出願日】2016年6月8日
(62)【分割の表示】特願2012-262837(P2012-262837)の分割
【原出願日】2012年11月30日
(65)【公開番号】特開2016-155607(P2016-155607A)
(43)【公開日】2016年9月1日
【審査請求日】2016年7月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤波 進
(72)【発明者】
【氏名】波佐間 香絵
【審査官】
吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−101105(JP,A)
【文献】
実開平06−045042(JP,U)
【文献】
米国特許第06609633(US,B1)
【文献】
特開2005−280713(JP,A)
【文献】
実開昭51−112501(JP,U)
【文献】
米国特許第04325492(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 43/16
B65D 43/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁部と周壁部とを含み上面開口面となった容器本体と、ヒンジ部を介して前記容器本体の周壁部の上端部に回転可能に連結され、前記開口面を開閉可能に覆う蓋体とを備えるヒンジ付き封入容器であって、
前記ヒンジ部は、前記容器本体の周壁部の上端部から外側に張り出して設けられた本体側連結部の一対のピン孔を有する本体側回転係合部に、前記蓋体の周縁部から外側に張り出して設けられた蓋体側連結部の一対の係合ピンを有する蓋側回転係合部を、回転可能に各々挿入してヒンジ連結することによって形成されており、
且つ前記蓋体には、上面を該蓋体の上面と連続させた状態で外側に張り出す庇状張出し部が、前記ヒンジ部の少なくとも前記容器本体の周壁部の上端部から外側に張り出して設けられた前記本体側回転係合部と前記蓋体の周縁部から外側に張り出して設けられた前記蓋側回転係合部による一対の回転連結部の上方を覆って設けられているヒンジ付き封入容器。
【請求項2】
前記容器本体の周壁部の上端部内周面に周方向に環状に連続して設けられた本体側環状装着部の内側に、閉塞時に、前記蓋体の下面から下方に突出して環状に連続して設けられた蓋体側環状装着部を装着させている請求項1記載のヒンジ付き封入容器。
【請求項3】
前記一対の本体側回転係合部は、間隔をおいて、前記ピン孔が形成された孔側回転対向面を対向配置させた状態で設けられている請求項1又は2記載のヒンジ付き封入容器。
【請求項4】
前記庇状張出し部は、先端縁部の両側の端部が、前記一対の蓋側回転係合部よりも側方部分に設けられた斜め縁部を介して、前記蓋体の上面板の周縁部と接続している請求項1〜3のいずれか1項記載のヒンジ付き封入容器。
【請求項5】
前記庇状張出し部は、少なくとも前記一対の蓋側回転係合部の間の部分を外側から覆うようにして先端縁部から下方に折れ曲がって延設する先端カバー壁を備えている請求項1〜4のいずれか1項記載のヒンジ付き封入容器。
【請求項6】
前記容器本体の周壁部の上端部から外側に張り出して設けられた前記本体側連結部には、前記一対の本体側回転係合部から両側の端部に向けて張出し高さを徐々に減少させた、張出しスロープ部が設けられている請求項1〜5のいずれか1項記載のヒンジ付き封入容器。
【請求項7】
前記蓋体の前記上面板の周縁部分には、下方に延設する舌状係着壁が設けられており、該舌状係着壁の中央部の下部内側面には、前記容器本体の上端部の外側に設けられた係着爪突起に係着される係着爪が設けられている請求項1〜6のいずれか1項記載のヒンジ付き封入容器。
【請求項8】
前記庇状張出し部は、一対の前記蓋側回転係合部の間の部分では、該蓋側回転係合部の張出し長さと同様の張出し長さで設けられている請求項1〜7のいずれか1項記載のヒンジ付き封入容器。
【請求項9】
前記容器本体及び前記蓋体は、プラスチック材料からなる成形品である請求項1〜8のいずれか1項記載のヒンジ付き封入容器。
【請求項10】
前記容器本体に、ウェットシートが複数枚積層した状態で収容されている請求項1〜9のいずれか1項記載のヒンジ付き封入容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒンジ付き封入容器に関し、特に、上面が開口面となった箱状の容器本体と、ヒンジ部を介して容器本体に回転可能に連結されて開口面を開閉可能に覆う板状蓋体とからなるヒンジ付き封入容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えばトイレ掃除用のウェットシートや、その他の種々の収容物を封入した状態で収容する容器として、上面が開口面となった箱状の容器本体と、ヒンジ部を介して容器本体に回転可能に連結されて開口面を開閉可能に覆う板状蓋体とからなる、ヒンジ付き封入容器が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
これらのヒンジ付き封入容器では、容器本体の上端部内周面に、周方向に環状に連続する本体側環状装着部が設けられており、この本体側環状装着部に、板状蓋体の下面から下方に突出して環状に連続して設けられた蓋体側環状装着部を、内側から密着させた状態で装着させることにより、開口面を閉塞した際に収容物を内部に封入できるようになっている。また本体側環状装着部と蓋体側環状装着部との全周に亘る密着状態を阻害しないように、ヒンジ部は、容器本体の上端部から外側に張り出して設けられた本体側連結部の本体側回転係合部と、板状蓋体の蓋体側環状装着部の外側部分から外側に張り出して設けられた蓋体側連結部の蓋側回転係合部とを、ヒンジ連結することによって形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−101106号公報
【特許文献2】特開2005−280713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のヒンジ付き封入容器では、板状蓋体を容器本体に回転可能に連結するヒンジ部は、容器本体の上端部から外側に張り出して設けられた本体側連結部の、係合ピンやピン孔からなる一対の本体側回転係合部に、板状蓋体から外側に張り出して設けられた蓋体側連結部の、ピン孔や係合ピンからなる一対の蓋側回転係合部を、回転可能に各々係合することで形成されることになるが、
これらの係合ピンやピン孔による回転連結部には、対向して位置された、係合ピンが突出するピン側回転対向面とピン孔が形成された孔側回転対向面との間に幅の狭い隙間が生じているので、これらの隙間に埃や汚れが溜まり易くなる。
【0006】
また、ヒンジ付き封入容器は、例えばトイレ掃除用のウェットシートを複数枚積層した状態で収容して、トイレの床面に設置して用いられることがあり、尿の飛沫などが容器の上面部分に付着し易くなるが、尿の飛沫などの付着物が付着した上面部分の、特に外側に張り出したヒンジ部の部分では、ピン孔や係合ピンによる回転連結部に幅の狭い隙間や凹凸が存在しているので、ウェットシート等を用いて、好ましくは一拭きで付着した付着物を簡単に拭き取って除去することが困難になる。
【0007】
本発明は、容器本体の上端部から張り出して設けられた本体側連結部と、板状蓋体から張り出して設けられた蓋体側連結部とによるヒンジ部の回転連結部の隙間に、埃や汚れが溜まり易くなるのを効果的に回避できると共に、容器の上面部分に付着した付着物を簡単に拭き取って除去することのできるヒンジ付き封入容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、底壁部と周壁部とを含み上面が開口面となった箱状の容器本体と、ヒンジ部を介して前記容器本体の周壁部の上端部に回転可能に連結され、前記開口面を開閉可能に覆う板状蓋体とからなるヒンジ付き封入容器であって、前記容器本体の周壁部の上端部内周面に周方向に環状に連続して設けられた本体側環状装着部に、前記板状蓋体の上面板の周縁部分の下面から下方に突出して環状に連続して設けられた蓋体側環状装着部を、内側から密着させた状態で装着させることにより、前記開口面の閉塞時に収容物を内部に封入できるようになっており、前記ヒンジ部は、前記容器本体の周壁部の上端部から外側に張り出して設けられた本体側連結部の一対の本体側回転係合部に、前記板状蓋体の前記蓋体側環状装着部の外側部分から張り出して設けられた蓋体側連結部の一対の蓋側回転係合部を、回転可能に各々ヒンジ連結することによって形成されており、且つ前記板状蓋体には、上面を前記上面板の上面と連続させた状態で外側に張り出す庇状張出し部が、前記ヒンジ部の少なくとも前記本体側回転係合部と前記蓋側回転係合部よる一対の回転連結部の上方を覆って設けられているヒンジ付き封入容器を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のヒンジ付き封入容器によれば、容器本体の上端部から張り出して設けられた本体側連結部と、板状蓋体から張り出して設けられた蓋体側連結部とによるヒンジ部の回転連結部の隙間に、埃や汚れが溜まり易くなるのを効果的に回避できると共に、容器の上面部分に付着した付着物を簡単に拭き取って除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の好ましい一実施形態に係るヒンジ付き封入容器を正面側から見た斜視図である。
【
図2】本発明の好ましい一実施形態に係るヒンジ付き封入容器を、板状蓋体を開いた状態で示す側面図である。
【
図3】本発明の好ましい一実施形態に係るヒンジ付き封入容器をヒンジ部側から見た斜視図である。
【
図4】本発明の好ましい一実施形態に係るヒンジ付き封入容器をヒンジ部側の斜め下方から見た斜視図である。
【
図5】ヒンジ部の構成を説明する
図4のA−Aに沿った断面図である。
【
図6】(a)は
図3のB−Bに沿った断面図、(b)は(a)のC部拡大図である。
【
図7】本発明の他の形態に係るヒンジ付き封入容器をヒンジ部側の斜め下方から見た斜視図である。
【
図8】本発明の他の形態に係るヒンジ付き封入容器をヒンジ部側の斜め下方から見た斜視図である。
【
図9】ヒンジ部の他の形態を例示する略示分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1〜
図6に示す本発明の好ましい一実施形態に係るヒンジ付き封入容器10は、収容物として、例えばトイレ掃除用のウェットシートを複数枚積層した状態で収容して、トイレの床面に設置して用いられる。また、本発明のヒンジ付き封入容器10は、箱状の容器本体11に板状蓋体12を回転可能に連結するヒンジ部13が、容器の上面部分に表れないようにして、当該上面部分の全体を実質的に滑らかに連続させることで、当該上面部分に付着した尿の飛沫等の付着物を、ウェットシート等を用いて簡単に拭き取って除去できるようにする機能を備えると共に、ヒンジ部13に埃や汚れが溜まり易くなるのを回避できるようにする機能を備える。
【0012】
そして、本実施形態のヒンジ付き封入容器10は、底壁部14と周壁部15とを含み上面が開口面となった箱状の容器本体11と、ヒンジ部13を介して容器本体11の周壁部15の上端部に回転可能に連結され、容器本体11の開口面を開閉可能に覆う板状蓋体12とからなる封入容器であって、容器本体11の周壁部15の上端部内周面に周方向に環状に連続して設けられた本体側環状装着部16(
図6(a)、(b)参照)に、板状蓋体12の上面板17の周縁部分の下面から下方に突出して環状に連続して設けられた蓋体側環状装着部18(
図6(a)、(b)参照)を、内側から密着させた状態で装着させることにより、容器本体11の開口面の閉塞時に収容物を内部に封入できるようになっている。ヒンジ部13は、容器本体11の周壁部15の上端部から外側に張り出して設けられた本体側連結部19の一対のピン孔を有する本体側回転係合部20(
図5参照)に、板状蓋体12の蓋体側環状装着部18の外側部分から外側に張り出して設けられた蓋体側連結部21の一対の係合ピンを有する蓋側回転係合部22(
図5参照)を、回転可能に各々挿入してヒンジ連結することによって形成されている。且つ板状蓋体12には、上面を上面板17の上面と連続させた状態で外側に張り出す庇状張出し部24が、ヒンジ部13の少なくとも本体側回転係合部20と蓋側回転係合部22よる一対の回転連結部23(
図5参照)の上方を覆って設けられている。
【0013】
また、本実施形態では、庇状張出し部24は、先端縁部24aの両側の端部が、一対の蓋側回転係合部22よりも側方部分に設けられた斜め縁部24bを介して、上面板17の周縁部17aと接続している。
【0014】
さらに、本実施形態では、庇状張出し部24は、少なくとも一対の蓋側回転係合部22の間の部分を容器の外側から覆うようにして先端縁部24aから下方に折れ曲がって延設する先端カバー壁25を備えている。
【0015】
さらにまた、本実施形態では、容器本体11の周壁部15の上端部から外側に張り出して設けられた本体側連結部19には、一対の本体側回転係合部20から両側の端部に向けて張出し高さを徐々に減少させた、張出しスロープ部26が設けられている。
【0016】
本実施形態では、容器本体11は、例えばポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン (HDPE)などのプラスチック材料からなる射出成形品であって、底壁部14と4方の周壁部15とからなる、上面が開口面となった、略矩形の平面形状を備える底の深い略六面体形状の箱体として形成されている。容器本体11の周壁部15の上端部内周面には、周壁部15の上端から数mm程度下がった位置に、段差部16aが設けられており(
図6参照)、この段差部16aよりも上方の部分が、周方向に環状に連続して設けられた本体側環状装着部16となっている。上面の開口面を板状蓋体12によって閉塞する際に、この本体側環状装着部16に、板状蓋体12の下面から下方に突出して設けられた蓋体側環状装着部18が、全周に亘って内側から密着して装着されることで、収容物であるウェットシートを内部に密封状態で封入して、ウェットシートが乾燥するのを効果的に回避できるようになっている。
【0017】
また、容器本体11の上端部には、当該上端部を断面コの字形状に外側に折り曲げるようにして、周縁補強台27が形成されている。上面の開口面を板状蓋体12によって覆うように塞ぐ際に、この周縁補強台27には、板状蓋体12の上面板17の周縁部を断面L字形状に下方に折り曲げるようにして形成された、スカート壁28の下端部が当接する。本実施形態では、周縁補強台27における略矩形の平面形状の一方の長辺部の中央部分から外側に張り出して、ヒンジ部13の本体側連結部19を構成する一対の本体側回転係合部20が、間隔をおいて、具体的にはピン孔が形成され孔側回転対向面20a(
図5参照)を対向配置させた状態で設けられている。本体側連結部19には、一対の本体側回転係合部20の間の間隔部分とは反対側に両側に延設して、張出しスロープ部26が、両側の端部に向けて張出し高さを徐々に減少させた状態で設けられている。各々の張出しスロープ部26の端部は、周縁補強台27による容器本体11の周壁部15の上端部における角部近傍部分の外周面15aに、滑らかに接続するようになっている。周縁補強台27における略矩形の平面形状の他方の長辺部の中央部には、板状蓋体12の係着爪を係着させる係着爪突起30a(
図2参照)が設けられている。
【0018】
板状蓋体12は、容器本体11と同様に、例えばポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン(HDPE)などのプラスチック材料からなる射出成形品であって、容器本体11と同様の、略矩形の平面形状を備えように形成されている。板状蓋体12は、上面板17と、上面板17の周縁部を断面L字形状に下方に折り曲げるようにして形成されたスカート壁28とからなり、さらに、スカート壁28の内側に当該スカート壁28と間隔をおいて、蓋体側環状装着部18が、板状蓋体12の上面板17の周縁部分の下面から下方に突出して、環状に連続して設けられている(
図6(b)参照)。容器本体11の上面の開口面を板状蓋体12によって閉塞する際に、上述のように、スカート壁28の下端部が、容器本体11の周縁補強台27の上面に当接すると共に、蓋体側環状装着部18が、容器本体11の本体側環状装着部16に内側から密着する。
【0019】
また、本実施形態では、上面板17の略矩形の平面形状の一方の長辺部に沿ったスカート壁28の中央部分から外側に張り出して、ヒンジ部13の蓋体側連結部21を構成する一対の蓋側回転係合部22が、例えば縦板状に突出して設けられている。これらの一対の縦板状の蓋側回転係合部22は、容器本体11に設けられた、例えばピン孔が形成された一対の本体側回転係合部20の間の間隔と略同様の、これよりも狭い間隔をおいて、例えば係合ピンを突出させたピン側回転対向面22aを対称に背向配置させた状態で設けられている。
【0020】
板状蓋体12の上面板17は、本実施形態では、好ましくは美観等を考慮して、その上面が中央部分に向けて緩やかに盛り上がった形状に形成されており、また無視できる程度の極僅かな段差17bや緩やかな凹凸17cのみが形成されていることで、上面板17の上面は、その全体が、ウェットシート等を用いて、連続する拭き取り操作によって付着物を容易に拭き取ることが可能な、実質的に滑らかに連続する面となっている(
図1、
図3参照)。そして、本実施形態では、略矩形の平面形状の板状蓋体12の蓋体側連結部21が張り出した一方の長辺部の中央部分に、庇状張出し部24が、これの上面を、上面板17の滑らかに連続する上面と連続させた状態で外側に張り出して設けられている。
【0021】
すなわち、本実施形態では、庇状張出し部24は、これの上面を、蓋体側環状装着部18が設けられた上面板17の周縁部分の上面と面一に連続させて、スカート壁28が設けられた上面板17の周縁部を越えて、スカート壁28よりも外側に張り出して設けられている。また、庇状張出し部24は、スカート壁28から外側に張り出して設けられた一対の蓋側回転係合部22の間の部分では、当該蓋側回転係合部22の張出し長さと同様の張出し長さで設けられていると共に、一対の蓋側回転係合部22の間の部分を外側から覆うようにして、先端縁部24aから下方に折れ曲がって延設する先端カバー壁25が設けられている。先端カバー壁25は、その両端が一対の蓋側回転係合部22の張出し先端部に各々一体として接合されていることで、一対の蓋側回転係合部22に跨って設けられて(
図5参照)、例えば係合ピンを突出させた一対の蓋側回転係合部22を効果的に補強できるようになっている。さらに、庇状張出し部24は、一対の蓋側回転係合部22よりも側方部分に設けられた斜め縁部24bを介して、先端縁部24aの両側の端部が、上面板17の略矩形の平面形状の角部近傍部分において、スカート壁28が設けられた上面板17の周縁部17aと接続している(
図1、
図3参照)。
【0022】
また、本実施形態では、上面板17の略矩形の平面形状の他方の長辺部に沿ったスカート壁28には、両側の角部分を除いた略全域に亘って、円弧形状に下方に延設する舌状係着壁29が設けられている。舌状係着壁29の中央部の下部内側面には、係着爪が設けられており、この係着爪を、容器本体11の周縁補強台27に設けられた係着爪突起30a(
図2参照)に係着させることで、容器本体11の上面の開口面を板状蓋体12によって閉塞した状態を、安定して保持できるようになっている。
【0023】
ヒンジ付き封入容器10を構成する容器本体11と板状蓋体12とは、別々に形成された後に、例えば容器本体11の本体側連結部19の上方から、一対の本体側回転係合部20の間の間隔部分に、板状蓋体12の蓋体側連結部21の一対の蓋側回転係合部22を、無理押しするようにして押し込む(打ち込む)ことで、本体側回転係合部20に設けられたピン孔に、蓋側回転係合部22に設けられた係合ピンを係合させる。これによって、容器本体11と板状蓋体12とを、ヒンジ部13を介して回転可能に連結一体化させて、ヒンジ付き封入容器10を形成する。形成されたヒンジ付き封入容器10の箱状の容器本体11の内部には、例えばトイレ掃除用のウェットシートを複数枚積層して封入した状態で収容し、容器本体11の上面の開口面を板状蓋体12によって開閉しながら、ウェットシートを取出して使用する。
【0024】
そして、上述の構成を備える本実施形態のヒンジ付き封入容器10によれば、容器本体11の上端部から張り出して設けられた本体側連結部19と、板状蓋体12から張り出して設けられた蓋体側連結部21とによるヒンジ部13の回転連結部23の隙間に、埃や汚れが溜まり易くなるのを効果的に回避できると共に、容器の上面部分に付着した付着物を簡単に拭き取って除去することが可能になる。
【0025】
すなわち、本実施形態によれば、ヒンジ部13は、容器本体11の周壁部15から張り出して設けられた本体側連結部19の一対の本体側回転係合部20に、板状蓋体12から外側に張り出して設けられた蓋体側連結部21の一対の蓋側回転係合部22を、回転可能にヒンジ連結することによって形成されており、且つ板状蓋体12には、上面を上面板17の上面と連続させた状態で外側に張り出す庇状張出し部24が、ヒンジ部13の本体側回転係合部20と蓋側回転係合部22よる一対の回転連結部23の上方を覆って設けられているので、ヒンジ部13の一対の回転連結部23が、容器の上面部分に表れないようにして、当該上面部分の全体を実質的に滑らかに連続させることで、当該上面部分に付着した尿の飛沫等の付着物を、ウェットシート等を用いて簡単に拭き取って除去することが可能になると共に、ヒンジ部13の回転連結部23の隙間に、埃や汚れが溜まったり、付着物が付着するのを効果的に回避することが可能になる。
【0026】
また、本実施形態によれば、庇状張出し部24は、先端縁部24aの両側の端部が斜め縁部24bを介して上面板17の周縁部17aに接続しているので、板状蓋体12の外周縁部に沿って周方向に拭き取る操作を、スムーズに行うことが可能になると共に、一対の蓋側回転係合部22の間の部分を外側から覆う先端カバー壁25を備えているので、一対の蓋側回転係合部22の間の部分に段差や凹凸の無い平滑な面を形成して、板状蓋体12の外周縁部に沿って周方向に拭き取る操作を、よりスムーズに行うことが可能になる。
【0027】
さらに、本実施形態によれば、容器本体11の周壁部15の上端部から外側に張り出して設けられた本体側連結部19には、一対の本体側回転係合部20から両側の端部に向けて張出し高さを徐々に減少させた張出しスロープ部26が設けられているので、容器本体11の周壁部15の上端部の外周面に沿って周方向に拭き取る操作を、スムーズに行うことが可能になると共に、上述の板状蓋体12の庇状張出し部24に斜め縁部24bが設けられていることや、先端カバー壁25が設けられていることと相俟って、ヒンジ付き封入容器10の上端部分の外周面に沿って周方向に拭き取る操作を、さらにスムーズに行うことが可能になる。
【0028】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、容器本体や板状蓋体は、略矩形の平面形状を備えている必要は必ずしも無く、略長円形や略楕円形等の、その他の種々の平面形状を備えていても良い。本体側連結部の一対の本体側回転係合部に係合ピンが、蓋体側連結部の一対の蓋側回転係合部に係合孔が、各々設けられていても良い。また、庇状張出し部に斜め縁部や先端カバー壁を設ける必要は必ずしも無い。庇状張出し部は、ヒンジ部の少なくとも一対の回転連結部の上方を覆って設けられていれば良く、上方から見た際に、例えば容器本体の本体側連結部の張出しスロープ部の一部が、庇状張出し部の外側にはみ出ていても良い。さらに、張出しスロープ部を設ける必要は必ずしも無く、張出しスロープ部26は、
図7や
図8に示すように、周壁部15の上端部の角部近傍部分に接続させることなく、その延設長さを適宜調整して設けることもできる。さらにまた、封入される収容物は、ウェットシートである必要は必ずしも無く、好ましくは湿潤状態を保持したり、乾燥状態を保持することが必要な、その他の種々の収容物であっても良い。
【0029】
さらにまた、例えば
図9に示すように、容器本体11の周壁部15の上端部に、両端部に係合ピンによる一対の本体側回転係合部20’を備える横長の張出し台状の本体側連結部19’を設けると共に、板状蓋体12の庇状張出し部24の下方に張り出して、蓋体側連結部21’の一対の蓋側回転係合部22’を、横長の本体側連結部19’の長さと略同様の間隔をおいて、ピン孔が形成された回転対向面を対向させた状態で設けておき、本体側連結部19’を両側から挟み込むようにして、一対の蓋側回転係合部22’を、一対の本体側回転係合部20’に回転可能に係合
させることで、ヒンジ部を形成することもできる。
【符号の説明】
【0030】
10 ヒンジ付き封入箱容器
11 容器本体
12 板状蓋体
13 ヒンジ部
14 容器本体の底壁部
15 容器本体の周壁部
16 本体側環状装着部
17 板状蓋体の上面板
17a 周縁部
18 蓋体側環状装着部
19 本体側連結部
20 本体側回転係合部
20a 孔側回転対向面
21 蓋体側連結部
22 蓋側回転係合部
22a ピン側回転対向面
23 回転連結部
24 庇状張出し部
24a 先端縁部
24b 斜め縁部
25 先端カバー壁
26 張出しスロープ部
27 周縁補強台
28 スカート壁
29 舌状係着壁
30a 係着爪
30b 係着爪突起