(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、本発明者らの知見によれば、油圧機械において、作動油が流れている最中に低圧弁を閉じると、低圧弁の下流側通路が長かったり非対称である場合において圧力が急減してキャビテーションが生じ、その後圧力回復に伴ってサージ圧が生じたり、下流側通路内での不均一流れを生じさせてしまう。このため、低圧油ラインにおける圧力変動(圧力スパイク)が生じ、油圧機械の各部に損傷を与える可能性があった。
【0006】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも幾つかの実施形態の目的は、低圧油ラインにおける圧力変動を抑制することができる油圧機械及び再生可能エネルギー型発電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る油圧機械は、
回転シャフトと、
前記回転シャフトの径方向に沿って設けられたシリンダと、
前記シリンダとともに油圧室を形成し、前記シリンダに案内されて前記シリンダ内を前記径方向に沿って往復運動可能に設けられたピストンと、
前記油圧室に連通可能な高圧油ライン及び低圧油ラインと、
前記シリンダに対して前記径方向の内側に位置して前記低圧油ラインを少なくとも部分的に形成するカム室内に設けられ、前記ピストンの往復運動と連動して前記回転シャフトとともに回転するように構成されたカムと、
前記油圧室と前記高圧油ラインとの間に設けられ、第1電磁石を用いて前記油圧室と前記高圧油ラインとの連通状態を切り替えるための高圧バルブと、
前記油圧室と前記低圧油ラインとの間に設けられ、前記第1電磁石とは別に設けられた第2電磁石を用いて前記油圧室と前記高圧油ラインとの連通状態を切り替えるための低圧バルブと、
を備え、
前記低圧バルブの低圧弁体は、前記高圧バルブの高圧弁体に対して前記径方向の内側において前記シリンダと前記低圧油ラインとの間に設けられる。
【0008】
上記(1)の構成によれば、高圧バルブを駆動するための第1電磁石と、低圧バルブを駆動するための第2電磁石とを別に設けたので、高圧弁と低圧弁とを互いに独立して開閉動作させることができる。これにより、高圧弁及び低圧弁の連通状態の切替えをスムーズに行うことができる。また、上記(1)の構成では、油圧室に連通可能な低圧油ラインがカム室を含み、かつ、低圧バルブの低圧弁体が、高圧バルブの高圧弁体に対して径方向の内側(すなわち、高圧弁体よりもシリンダに近い側)に設けられる。このため、低圧弁体が高圧弁体に対して径方向の外側(すなわち、高圧弁体よりもシリンダから遠い側)に設けられる場合に比べて、低圧弁体とカム室との間の距離を短くすることができ、低圧油ラインを形成するカム室と、油圧室との間の流路を短縮することができる。よって、低圧バルブの閉動作時に低圧バルブの下流側に生じるキャビテーションが緩和され、低圧油ラインにおける圧力変動(圧力スパイク)を抑制できる。
【0009】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記低圧バルブは、前記低圧弁体が着座可能な低圧弁シートを含み、
前記低圧弁体は、前記径方向において前記低圧弁シートよりも前記シリンダから離れて配置される。
【0010】
上記(2)の構成によれば、油圧室内の作動油が高圧である場合、低圧バルブを挟んで両側の圧力差により低圧弁体を低圧弁シートに押し付けて、低圧弁体と低圧弁シートとの隙間を確実にシールすることができる。
また、低圧弁シートに対して低圧弁体を径方向外側に設けたので、例えばシリンダブロックにより囲まれるカム室が低圧油ラインの一部を構成する場合、低圧弁シートからカム室に向かう低圧通路を短縮し、低圧油ラインにおける圧力変動を抑制することができる。
【0011】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、
前記低圧弁体は、前記高圧バルブと前記シリンダとの間で流れる作動油が前記径方向に沿って通過可能な開口を有する。
【0012】
上記(3)の構成によれば、高圧バルブの半径方向位置よりも径方向内側に低圧バルブを配置することが可能となり、シリンダとカム室との間の低圧流路の長さをより一層短縮できる。また、高圧バルブとシリンダとの間において流れる作動油の低圧弁への衝突に起因した流体力が低圧弁に作用することを抑制することができる。
【0013】
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)の構成において、
前記低圧弁体は、前記油圧室の中心軸に関して対称の位置に設けられた複数の前記開口を有する。
【0014】
上記(4)の構成によれば、高圧バルブとシリンダとの間において低圧弁体を通過する作動油の流れを対称に近づけることができ、非対称な流れに起因した損失や圧力変動を抑制することができる。
【0015】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(4)の何れかの構成において、
前記低圧バルブは、前記高圧弁体と同軸に設けられた前記低圧弁体を含む。
【0016】
上記(5)の構成によれば、高圧弁体と同軸に低圧弁体を配置することで、開状態となっている高圧バルブ又は低圧バルブの一方を介した作動油の流れが、高圧バルブ又は低圧バルブの他方に関して対称となるため、非対称な作動油の流れが高圧バルブ又は低圧バルブの他方の動作に影響を及ぼしにくくなる。このため、油圧機械の信頼性を高めることができる。
【0017】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(5)の何れかの構成において、
前記高圧バルブは、前記径方向に沿って延在し、前記高圧弁体の前記径方向の動きをガイドするためのガイド軸を含み、
前記低圧バルブは、前記低圧弁体に結合されるとともに前記径方向に沿って延在する弁棒を含み、
前記低圧バルブの前記弁棒は、前記高圧バルブの前記ガイド軸を前記径方向に貫通する貫通孔に挿通されている。
【0018】
上記(6)の構成によれば、高圧弁体と低圧弁体とを同軸に配置する構成をコンパクトに実現することができる。
【0019】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(6)の何れかの構成において、
前記高圧バルブは、前記高圧弁体を駆動するための磁力を生成するように構成された前記第1電磁石を含み、
前記第1電磁石は、前記径方向において前記低圧弁体及び前記高圧弁体よりも前記シリンダから離れて配置される。
【0020】
上記(7)の構成によれば、第1電磁石の径方向位置よりも低圧弁体および高圧弁体の径方向位置をシリンダに近づけることができるので、油圧室のデッド容積(ピストンの往復動によって膨張・収縮することがない容積)を小さくすることができ、油圧機械の効率を向上させることができる。
【0021】
(8)幾つかの実施形態では、上記(7)の構成において、
前記高圧バルブは、
前記高圧弁体が着座可能な高圧弁シートと、
前記高圧弁体を前記高圧弁シートに向かう方向に付勢するための第1付勢部材と、を含み、
前記第1電磁石は、前記第1付勢部材の付勢力に抗して、磁力によって前記高圧弁体を駆動するように構成される。
【0022】
上記(8)の構成によれば、第1付勢部材の付勢力に抗して第1電磁石によって高圧弁体を駆動するようにしたので、第1電磁石の非励磁状態において第1付勢部材の付勢力によりノーマル位置に高圧弁体を維持することができる。
【0023】
(9)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(8)の何れかの構成において、
前記低圧バルブは、前記低圧弁体を駆動するための磁力を生成するように構成された前記第2電磁石を含み、
前記第2電磁石は、前記径方向において前記低圧弁体及び前記高圧弁体よりも前記シリンダから離れて配置される。
【0024】
上記(9)の構成によれば、第2電磁石の径方向位置よりも低圧弁体および高圧弁体の径方向位置をシリンダに近づけることができるので、油圧室のデッド容積(ピストンの往復動によって膨張・収縮することがない容積)を小さくすることができ、油圧機械の効率を向上させることができる。
【0025】
(10)幾つかの実施形態では、上記(9)の構成において、
前記低圧バルブは、前記低圧弁体を前記低圧弁シートから離れる方向に付勢するための第2付勢部材をさらに含み、
前記第2電磁石は、前記第2付勢部材の付勢力に抗して、磁力によって前記低圧弁体を駆動するように構成される。
【0026】
上記(10)の構成によれば、第2付勢部材の付勢力に抗して第2電磁石によって低圧弁体を駆動するようにしたので、第2電磁石の非励磁状態において第2付勢部材の付勢力によりノーマル位置に低圧弁体を維持することができる。
【0027】
(11)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(10)の何れかの構成において、
前記高圧バルブは、前記高圧弁体を駆動するための磁力を生成するように構成された前記第1電磁石を含み、
前記低圧バルブは、前記低圧弁体を駆動するための磁力を生成するように構成された前記第2電磁石を含み、
前記第1電磁石及び前記第2電磁石は、前記径方向において前記低圧弁体及び前記高圧弁体よりも前記シリンダから離れた位置において、前記油圧室の中心軸に沿って配列されている。
【0028】
上記(11)の構成によれば、第1電磁石及び第2電磁石の径方向位置よりも低圧弁体および高圧弁体の径方向位置をシリンダに近づけることができるので、油圧室のデッド容積(ピストンの往復動によって膨張・収縮することがない容積)を小さくすることができ、油圧機械の効率を向上させることができる。
【0029】
(12)幾つかの実施形態では、上記(11)の構成において、
前記第2電磁石は、前記径方向において前記第1電磁石よりも前記シリンダから離れて配置される。
【0030】
上記(12)の構成によれば、高圧バルブの第1電磁石と高圧弁体とを互いに近づけることができるので、高圧油ラインの高圧の作動油から受ける大きな荷重に高圧バルブが耐え得る丈夫な構造をコンパクトに実現できる。
【0031】
(13)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(12)の何れかの構成において、
前記高圧バルブは、前記高圧弁体と、前記高圧弁体が着座可能な高圧弁シートと、を含み、
前記高圧弁体は、前記径方向において前記高圧弁シートよりも前記シリンダから離れて配置される。
【0032】
上記(13)の構成によれば、油圧室内の作動油が低圧である場合、高圧バルブを挟んで両側の圧力差により高圧弁体を高圧弁シートに押し付けて、高圧弁体と高圧弁シートとの隙間を確実にシールすることができる。
【0033】
(14)本発明の少なくとも一実施形態に係る再生可能エネルギー型発電装置は、
再生可能エネルギーを受け取って回転するように構成されたロータと、
前記ロータの回転によって駆動されるように構成された油圧ポンプと、
前記油圧ポンプで生成された圧油によって駆動されるように構成された少なくとも一つの油圧モータと、
前記少なくとも一つの油圧モータによって駆動される発電機と、を備え、
前記油圧ポンプ及び前記少なくとも一つの油圧モータの少なくとも一方は、上記(1)乃至(13)の何れかに記載の油圧機械であり、
前記高圧油ラインは、前記油圧ポンプの吐出口と前記油圧モータの吸込口とを接続し、
前記低圧油ラインは、前記油圧モータの吐出口と前記油圧ポンプの吸込口とを接続する。
【0034】
上記(14)の構成によれば、高圧バルブを駆動するための第1電磁石と、低圧バルブを駆動するための第2電磁石とを別に設けたので、高圧弁と低圧弁とを互いに独立して開閉動作させることができる。これにより、高圧弁及び低圧弁の連通状態の切替えをスムーズに行うことができる。また、上記(14)の構成では、油圧室に連通可能な低圧油ラインがカム室を含み、かつ、低圧バルブの低圧弁体が、高圧バルブの高圧弁体に対して径方向の内側(すなわち、高圧弁体よりもシリンダに近い側)に設けられる。このため、低圧弁体が高圧弁体に対して径方向の外側(すなわち、高圧弁体よりもシリンダから遠い側)に設けられる場合に比べて、低圧弁体とカム室との間の距離を短くすることができ、低圧油ラインを形成するカム室と、油圧室との間の流路を短縮することができる。よって、低圧バルブの閉動作時に低圧バルブの下流側に生じるキャビテーションが緩和され、低圧油ラインにおける圧力変動(圧力スパイク)を抑制できる。
【発明の効果】
【0035】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、低圧油ラインにおける圧力変動を抑制することができる油圧機械及び再生可能エネルギー型発電装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0038】
まず、幾つかの実施形態に係る油圧機械(油圧ポンプ又は油圧モータ)が適用される風力発電装置について説明する。
なお、以下の説明では、再生可能エネルギー型発電装置の一例として風力発電装置について説明するが、油圧機械が適用される再生可能エネルギー型発電装置は、例えば、潮流発電装置、海流発電装置、河流発電装置等の他の再生エネルギー発電装置であってもよい。
また、幾つかの実施形態に係る油圧機械の適用先は、再生可能エネルギー型発電装置に限定されず、例えば建設機械等の他の装置に適用されてもよい。
【0039】
図1は、一実施形態に係る風力発電装置の概略図である。
図1に示すように、風力発電装置1は、再生可能エネルギーとしての風を受けて回転するように構成されたロータ3と、ロータ3の回転を伝達するための油圧トランスミッション7と、電力を生成するための発電機16とを備える。
ロータ3は、少なくとも一本のブレード2と、ブレード2が取り付けられるハブ4とを含む。
【0040】
油圧トランスミッション7は、回転シャフト6を介してロータ3に連結される油圧ポンプ8と、油圧モータ10と、油圧ポンプ8と油圧モータ10とを接続する高圧油ライン12及び低圧油ライン14と、を含む。
【0041】
高圧油ライン12は、油圧ポンプ8の吐出口と油圧モータ10の吸込口とを接続する高圧外部配管11と、油圧機械(油圧ポンプ8または油圧モータ10)に設けられる高圧内部流路76(
図2参照;後述する)と、を含む。
低圧油ライン14は、油圧モータ10の吐出口と油圧ポンプ8の吸込口とを接続する低圧外部配管13と、油圧機械(油圧ポンプ8又は油圧モータ10)に設けられるカム室70(
図2参照;後述する)と、を含む。
【0042】
発電機16は、油圧モータ10の出力軸を介して油圧モータ10に連結される。一実施形態では、発電機16は、電力系統に連系されるとともに、油圧モータ10によって駆動される同期発電機である。
なお、油圧ポンプ8及び油圧モータ10や発電機16は、タワー19上に設置されたナセル18の内部に設置されてもよい。
【0043】
図1に示す風力発電装置1では、ロータ3の回転エネルギーは、油圧ポンプ8及び油圧モータ10を含む油圧トランスミッション7を介して発電機16に入力され、発電機16において電力が生成されるようになっている。
ブレード2が風を受けると、風の力によってロータ3全体が回転し、油圧ポンプ8がロータ3によって駆動されて作動油を加圧し、高圧の作動油(圧油)を生成する。油圧ポンプ8で生成された圧油は高圧油ライン12を介して油圧モータ10に供給され、この圧油によって油圧モータ10が駆動される。そして、出力軸を介して油圧モータ10に接続される発電機16において電力が生成される。油圧モータ10で仕事をした後の低圧の作動油は、低圧油ライン14を経由して油圧ポンプ8に再び流入するようになっている。
油圧ポンプ8及び油圧モータ10は、押しのけ容積が調節可能な可変容量型であってもよい。
【0044】
幾つかの実施形態において、油圧ポンプ8又は油圧モータ10の少なくとも一方は、以下に説明する油圧機械である。
【0045】
次に、幾つかの実施形態に係る油圧機械について説明する。
図2は、一実施形態に係る油圧機械20の構成を示す概略図である。
図2に示すように、油圧機械20は、回転シャフト21と、回転シャフト21の径方向に沿って設けられたシリンダ25と、シリンダ25内を往復運動可能なピストン24と、回転シャフト21とともに回転するカム22と、を備える。
図2に示す例示的な実施形態では、複数のシリンダ25及びピストン24が、油圧機械20の周方向に沿って配列されている。
【0046】
以降、本明細書において、「回転シャフト21の径方向」を、単に「径方向」と称することがある。
【0047】
ピストン24は、シリンダ25とともにとともに油圧室27を形成し、シリンダ25に案内されて、径方向に沿ってシリンダ25内を往復運動するように設けられている。
図2に示す実施形態では、ピストン24の往復運動と回転シャフト21の回転運動とをスムーズに変換する観点から、ピストン24のカム22側の端部には、カム22のカム曲面に当接するピストンシュー23が取付けられている。
【0048】
カム22は、シリンダ25に対して径方向内側に少なくとも部分的に位置するカム室70内に設けられ、ピストン24の往復運動と連動して、回転シャフト21とともに回転するようになっている。
図2に示す実施形態において、カム室70は、油圧機械20のシリンダブロック30によって囲まれる主室72と、シリンダ25の外周側にてシリンダ25とシリンダブロック30との間に形成される副室74と、を含む。カム22は、シリンダ25に対して径方向内側に位置するカム室70の主室72に設けられている。
なお、カム室70の主室72は、シリンダブロック30の内周側において油圧機械20の軸方向に延在していてもよい。
【0049】
シリンダ25は、シリンダスリーブ26によって形成されている。
図2に示す例示的な実施形態では、シリンダスリーブ26は、シリンダブロック30に取付けられたスリーブ支持部材28によって、カム22の回転に合わせて揺動可能に支持されている。なお、スリーブ支持部材28には、シリンダスリーブ26がスリーブ支持部材28から脱落しないように保持するための保持部(不図示)が設けられていてもよい。
【0050】
図2に示す実施形態において、カム22は、回転シャフト21の軸中心Oから偏心して設けられた偏心カムである。ピストン24が上下動を一回行う間に、カム22及びカム22が取り付けられた回転シャフト21は一回転するようになっている。
なお、他の実施形態では、カム22は、複数のローブ(凸部)を有する環状のマルチローブドカム(リングカム)であってもよい。この場合、カム22及びカム22が取り付けられた回転シャフト21が一回転する間に、ピストン24は上下動をローブの数だけ行う。
【0051】
上述のカム室70は、上述の低圧外部配管13(
図1参照)とともに、油圧室27に連通可能な低圧油ライン14を形成する。カム室70(低圧油ライン14)は、後述する低圧通路64を介して、油圧室27に連通可能になっている。
【0052】
シリンダブロック30の内部には、油圧機械20の軸方向に延びるように高圧内部流路76が設けられている。
この高圧内部流路76は、上述の高圧外部配管11(
図1参照)とともに油圧室27に連通可能な高圧油ライン12を形成する。
図2に示す実施形態では、油圧機械20には、回転シャフト21の中心O周りに角度間隔をあけて複数本の高圧内部流路76が設けられている。これらの高圧内部流路76は、油圧機械20の軸方向端部に位置するエンドプレート(不図示)に設けられる流路を介して、高圧外部配管11(
図1参照)に接続される。
高圧内部流路76(高圧油ライン12)は、シリンダブロック30に設けられた第1高圧通路80と、低圧バルブ42及び高圧バルブ44を収容するバルブブロック32に設けられた第2高圧通路82と、を含む高圧連通路78を介して、油圧室27に連通可能になっている。
【0053】
油圧機械20は、油圧室27と高圧油ライン12との連通状態を切り替えるための高圧バルブ44と、油圧室27と低圧油ライン14との連通状態を切り替えるための低圧バルブ42と、を有する。
図2に示す油圧機械20において、高圧バルブ44は、シリンダ25と高圧内部流路76(高圧油ライン12)との間に設けられており、低圧バルブ42は、シリンダ25とカム室70(低圧油ライン14)との間に設けられている。
また、
図2に示す油圧機械20において、低圧バルブ42及び高圧バルブ44は、シリンダブロック30に取付けられたバルブブロック32に収容されている。
【0054】
なお、油圧機械20において、比較的高圧の作動油が流れる高圧側の部材間において、シールを確実に行うことが課題となる。
この点、
図2に示す実施形態では、高圧内部流路76をシリンダブロック30の内部に設けるとともに、高圧内部流路76と油圧室27とは、シリンダブロック30に設けられた第1高圧通路80と、バルブブロック32に設けられた第2高圧通路82と、を介して連通されているので、基本的には、シリンダブロック30とバルブブロック32との間のみを封止すれば足りる。また、第1高圧通路80及び第2高圧通路82は比較的流路径が小さいため、これらの接続部において、比較的小径のシールリングを設ければよい。よって、
図2に示す形態では、高圧領域のシールが比較的容易に実現できる。
【0055】
図3〜
図5は、それぞれ、一実施形態に係る油圧機械20の油圧室27周辺の構成の一例を示す図である。また、
図6は、
図3に示すスリーブ支持部材28(低圧シート形成部31)のA−A線に沿った断面図であり、
図7は、
図3に示す低圧弁体46の断面図であり、油圧室27の中心軸Qに直交する方向に沿った断面図である。
【0056】
なお、
図3及び
図4に示す油圧機械20は、それぞれ、上述した油圧機械20の油圧室27周辺の構成の一例を示す図である。
一方、
図5は、シリンダ25及びピストン24の構成において異なる以外は、上述と同様の構成を有する油圧機械20の油圧室27周辺の構成の一例を示す図である。具体的には、
図5に示す油圧機械20において、シリンダ25は、シリンダブロック30に固定されるシリンダスリーブ26によって形成されている。なお、シリンダスリーブ26は、カム22(
図2参照)とは反対側の端部にフランジ部26aを有しており、該フランジ部26aがシリンダブロック30に設けられた凹部30aに当接している。また、シリンダ25内を往復運動可能なピストン24とカム22(
図2参照)との間には、ピストン24に揺動可能に連結されたコンロッド29が設けられる。そして、ピストン24の往復運動又はカム22の回転運動が、コンロッド29を介して相互に伝達されるようになっている。
【0057】
図3〜
図5に示す例示的な実施形態では、油圧機械20の高圧バルブ44は、少なくとも部分的に高圧弁ケーシング36に収容されており、高圧弁体56と、高圧弁体56が着座可能な高圧弁シート55と、を含む。高圧弁シート55は、高圧弁ケーシング36に形成されている。
すなわち、高圧弁体56が高圧弁シート55に着座しているとき(高圧バルブ44の閉止時)には、油圧室27と高圧内部流路76(高圧油ライン12)とは非連通状態であり、高圧弁体56が高圧弁シート55から離れているとき(高圧バルブ44の開放時)には、油圧室27と高圧内部流路76(高圧油ライン12)とは連通状態である。
【0058】
図3〜
図5に示す高圧バルブ44は、第1電磁石60を用いて油圧室27と高圧油ライン12との連通状態を切り替え可能に構成された電磁弁である。より具体的には、高圧バルブ44は、高圧弁体56を高圧弁シート55に向かう方向に付勢する第1付勢部材62(
図3〜
図5に示す実施形態においてはバネ)と、高圧弁体56を駆動するための第1電磁石60と、を含む、ノーマルクローズ式の電磁弁である。第1電磁石60は、第1付勢部材62の付勢力に抗して、磁力によって高圧弁体56を駆動するように構成されている。すなわち、第1電磁石60に電流を供給すると、第1電磁石60によって磁力が生成され、この磁力によって高圧弁体56が径方向外側に向かって(開弁方向に)吸引されるようになっている。よって、第1電磁石60への電流の供給を制御することで、高圧弁体56に作用させる吸引力を調節し、高圧バルブ44の開閉を制御することが可能となっている。
【0059】
また、高圧バルブ44は、径方向に延在するガイド軸58を有する。そして、このガイド軸58によって、高圧弁体56の径方向の動き(すなわち、開弁方向及び閉弁方向の動き)が案内されるようになっている。
【0060】
図3又は
図5に示す例示的な実施形態では、油圧機械20の低圧バルブ42は、ポペット式の低圧弁体46と、低圧弁体46が着座可能な低圧弁シート45と、を含む。
低圧弁シート45は、低圧シート形成部31によって形成される。
図3に示す例では、低圧シート形成部31は、シリンダブロック30に取付けられたスリーブ支持部材28を含み、スリーブ支持部材28に設けられた低圧通路64の一端(第2端64b)に連設されている。また、
図5に示す例では、低圧シート形成部31は、シリンダブロック30に支持されるシリンダスリーブ26のフランジ部26aを含み、フランジ部26aに設けられた低圧通路64の一端(第2端64b)に連設されている。
すなわち、
図3又は
図5に示す実施形態では、低圧弁体46が低圧弁シート45に着座しているとき(低圧バルブ42の閉止時)には、油圧室27とカム室70(低圧油ライン14)とは非連通状態であり、低圧弁体46が低圧弁シート45から離れているとき(低圧バルブ42の開放時)には、油圧室27とカム室70(低圧油ライン14)とは低圧通路64を介した連通状態である。
【0061】
なお、低圧弁シート45が形成される低圧シート形成部31としてのスリーブ支持部材28は、シリンダブロック30と一体的に形成されていてもよく、低圧弁シート45は、シリンダブロック30と一体のスリーブ支持部材28に形成されていてもよい。
【0062】
また、
図4に示す例示的な実施形態では、油圧機械20の低圧バルブ42は、スリーブ支持部材28の内周側に設けられる円筒型の低圧弁体46’を有し、該低圧弁体46’は、スリーブ支持部材28の内周面28aを、径方向に摺動可能になっている。また、スリーブ支持部材28の内周面28aには、カム室70と油圧室27との間に設けられる低圧通路64の一端(第2端64b)が開口している。
すなわち、低圧弁体46’が、低圧通路64の一端(第2端64b)における開口の全体を塞ぐ径方向位置にあるとき(低圧バルブ42の閉止時)には、油圧室27とカム室70(低圧油ライン14)とは非連通状態であり、低圧弁体46’が、低圧通路64の一端(第2端64b)における開口の少なくとも一部と重ならない径方向位置にあるとき(低圧バルブ42の開放時)には、油圧室27とカム室70(低圧油ライン14)とは低圧通路64を介した連通状態である。
【0063】
図3〜
図5に示す低圧バルブ42は、上述の第1電磁石60とは別に設けられた第2電磁石50を用いて油圧室27と低圧油ライン14との連通状態を切り替え可能に構成された電磁弁である。より具体的には、低圧バルブ42は、低圧弁体46又は46’を、低圧弁シート45又は低圧通路64の一端(第2端64b)における開口から離れる方向に(すなわち開弁方向に)付勢する第2付勢部材54(
図3〜
図5に示す実施形態においてはバネ)と、低圧弁体46又は46’を駆動するための第2電磁石50とを含む、ノーマルオープン式の電磁弁である。
低圧弁体46又は46’は、径方向に沿って延在する弁棒48の一端側に結合されており、弁棒48の他端側には、アーマチュア52が固定されている。第2電磁石50は、第2付勢部材54の付勢力に抗して、磁力によって低圧弁体46を駆動するように構成されている。
【0064】
すなわち、第2電磁石50に電流を供給すると、第2電磁石50によって磁力が生成され、この磁力によってアーマチュア52が径方向内側に向かって(閉弁方向に)吸引され、その吸引力に応じて、アーマチュア52、弁棒48及び低圧弁体46又は46’が一体的に径方向において移動する。よって、第2電磁石50への電流の供給を制御することで、アーマチュア52に作用させる吸引力を調節し、低圧バルブ42の開閉を制御することが可能となっている。
【0065】
低圧バルブ42の弁棒48は、高圧バルブ44のガイド軸58を径方向に貫通する貫通孔59に挿通されている。これにより、ガイド軸58によって、弁棒48及び低圧弁体46又は46’の径方向の動き(すなわち、開弁方向及び閉弁方向の動き)が案内されるようになっている。
【0066】
また、低圧バルブ42は、少なくとも部分的に低圧弁ケーシング34に収容されている。
図3〜
図5に示す実施形態では、弁棒48の一部、第2電磁石50、アーマチュア52及び第2付勢部材54が、低圧弁ケーシング34に収容されている。
【0067】
図3〜
図5に示す実施形態では、高圧弁ケーシング36とシリンダブロック30との間には、油圧機械20において比較的高圧の作動油が流通する高圧領域と、比較的低圧の作動油が流通する低圧領域とを遮断するためのバルクヘッド38が設けられている。
【0068】
なお、
図3〜
図5に示す実施形態において、油圧室27とは、油圧機械20において、高圧バルブ44及び低圧バルブ42が閉止状態となったときに、ピストン24とシリンダ25とによって囲まれる領域に連通する空間のことをいう。
また、油圧室27の中心軸Qとは、油圧室27のうち、シリンダブロック30に対して動かない部材によって画定される部分の中心軸をいう。
図3及び
図4に示す実施形態では、油圧室27の中心軸Qは、油圧室27のうち、シリンダブロック30に対して動かない部材(シリンダ25やピストン24のように揺動しない部材;例えば、スリーブ支持部材28や、バルクヘッド38)によって画定される部分の中心軸である。また、
図5に示す実施形態では、シリンダブロック30に対して動かない部材はシリンダスリーブ26を含み、油圧室27の中心軸Qは、シリンダ25の中心軸でもある。
【0069】
上述した高圧バルブ44及び低圧バルブ42を有する油圧機械20では、高圧バルブ44及び低圧バルブ42の開閉制御により、ピストン24の往復運動に伴って油圧室27の圧力が周期的に変化するようになっている。
【0070】
例えば、油圧機械20が油圧モータ10(
図1参照)である場合、油圧ポンプ8により生成される高圧油ライン12と低圧油ライン14との差圧によって、ピストン24が周期的に上下動し、ピストン24が上死点から下死点に向かうモータ工程と、ピストン24が下死点から上死点に向かう排出工程とが繰り返される。油圧モータ10の運転中、ピストン24とシリンダ25の内壁面によって形成される油圧室27の容積は周期的に変化する。すなわち、油圧モータ10では、モータ工程において高圧バルブ44を開き低圧バルブ42を閉じることで高圧油ライン12から油圧室27内に作動油を流入させるとともに、排出工程において高圧バルブ44を閉じ低圧バルブ42を開くことで油圧室27内で仕事をした作動油を低圧油ライン14に送り出す。
このようにして、油圧室27への圧油の導入によってピストン24の往復運動が起こり、この往復運動がカム22の回転運動に変換される結果、カム22とともに油圧機械20の回転シャフト21が回転する。
【0071】
また、例えば、油圧機械20が油圧ポンプ8(
図1参照)である場合、回転シャフト21とともにカム22が回転すると、カム面に合わせてピストン24が周期的に上下動し、ピストン24が下死点から上死点に向かうポンプ工程と、ピストン24が上死点から下死点に向かう吸入工程とが繰り返される。そのため、ピストン24とシリンダ25の内壁面によって形成される油圧室27の容積は周期的に変化する。すなわち、油圧ポンプ8では、吸入工程において高圧バルブ44を閉じ低圧バルブ42を開くことで低圧油ライン14から油圧室27内に作動油を流入させるとともに、ポンプ工程において高圧バルブ44を開き低圧バルブ42を閉じることで油圧室27から高圧油ライン12に圧縮された作動油を送り出す。
このようにして、油圧機械20の回転シャフト21とともに回転するカム22の回転運動がピストン24の往復運動に変換され、油圧室27の周期的な容積変化が起こり、油圧室27で高圧の作動油(圧油)が生成される。
【0072】
図3〜
図5に示すように、油圧機械20は、カム室70に開口する第1端(一端)64aと、低圧バルブ42側に位置する第2端(他端)64bと、を有する低圧通路64を備える。
図3及び
図4に示す実施形態では、低圧シート形成部31であるスリーブ支持部材28を貫通するように低圧通路64が設けられている。また、
図5に示す実施形態では、シリンダスリーブ26のフランジ部26aを貫通するように低圧通路が設けられている。
なお、
図3〜
図5に示す実施形態では、低圧通路64の第1端64aは、カム室70の副室74(シリンダ25の外周側にてシリンダ25とシリンダブロック30との間に形成される副室74)に開口している。
【0073】
図3〜
図5に示す実施形態では、低圧バルブ42の低圧弁体46は、高圧バルブ44の高圧弁体56に対して径方向の内側においてシリンダ25とカム室70(低圧油ライン14)との間に設けられている。
【0074】
このような油圧機械20では、油圧室27に連通可能な低圧油ライン14がカム室70を含み、かつ、低圧弁体46が、高圧弁体56に対して径方向の内側(すなわち、高圧弁体56よりもシリンダ25に近い側)に設けられる。このため、低圧弁体46が高圧弁体56に対して径方向の外側(すなわち、高圧弁体56よりもシリンダ25から遠い側)に設けられる場合に比べて、低圧弁体46とカム室70との間の距離を短くすることができ、低圧油ライン14を形成するカム室70と、油圧室27との間の流路(
図3〜
図5に示す実施形態では低圧通路64)を短縮することができる。よって、低圧バルブ42の閉動作時に低圧バルブ42の下流側に生じるキャビテーションが緩和され、低圧油ライン14における圧力変動(圧力スパイク)を抑制できる。
【0075】
図3〜
図5に示す例示的な実施形態において、低圧弁体46は、径方向において低圧弁シート45又は低圧通路64の一端(第2端64b)における開口よりもシリンダ25から離れて配置されている。すなわち、低圧弁体46は、低圧弁シート45又は低圧通路64の一端(第2端64b)における開口よりも径方向外側に配置されている。
【0076】
これにより、油圧室27内の作動油が高圧である場合、低圧バルブ42を挟んで両側の圧力差により低圧弁体46を低圧弁シート45に押し付けて、低圧弁体46と低圧弁シート45との隙間を確実にシールすることができる。
また、低圧弁シート45に対して低圧弁体46を径方向外側に設けることにより、低圧弁シート45からカム室70に向かう低圧通路64を短縮し、低圧油ライン14における圧力変動を抑制することができる。
【0077】
また、
図3〜
図5に示す例示的な実施形態では、高圧弁体56は、径方向において高圧弁シート55よりもシリンダ25から離れて配置される。すなわち、高圧弁体56は、高圧弁シート55よりも径方向外側に配置される。
【0078】
これにより、油圧室27内の作動油が低圧である場合、高圧バルブ44を挟んで両側の圧力差により高圧弁体56を高圧弁シート55に押し付けて、高圧弁体56と高圧弁シート55との隙間を確実にシールすることができる。
【0079】
図3〜
図5に示す例示的な実施形態では、低圧バルブ42の低圧弁体46は、高圧バルブ44の高圧弁体56と同軸に設けられている。
【0080】
このように、高圧弁体56と同軸に低圧弁体46を配置することで、開状態となっている高圧バルブ44又は低圧バルブ42の一方を介した作動油の流れが、高圧バルブ44又は低圧バルブ42の他方に関して対称となるため、非対称な作動油の流れが高圧バルブ44又は低圧バルブ42の他方の動作に影響を及ぼしにくくなる。このため、油圧機械20の信頼性を高めることができる。
【0081】
なお、
図3〜
図4に示す実施形態では、低圧バルブ42の弁棒48は、高圧バルブ44のガイド軸58を径方向に貫通する貫通孔59に挿通されている。これにより、高圧弁体56と低圧弁体46とを同軸に配置する構成をコンパクトに実現することができる。
【0082】
図3〜
図5に示す例示的な実施形態では、高圧弁体56を駆動する磁力を生成するための第1電磁石60、及び、低圧弁体46を駆動する磁力を生成するための第2電磁石50は、径方向において低圧弁体46及び高圧弁体56よりもシリンダ25から離れて配置される。すなわち、第1電磁石60及び第2電磁石50は、径方向において低圧弁体46及び高圧弁体56よりも外側に配置される。
【0083】
第1電磁石60又は第2電磁石50を径方向において低圧弁体46及び高圧弁体56よりも外側に配置することにより、第1電磁石60又は第2電磁石の径方向位置よりも低圧弁体46および高圧弁体56の径方向位置をシリンダ25に近づけることができるので、油圧室27のデッド容積(ピストン24の往復動によって膨張・収縮することがない容積)を小さくすることができ、油圧機械20の効率を向上させることができる。
【0084】
また、
図3〜
図5に示す実施形態のように、第1電磁石60及び第2電磁石50の両方を径方向において低圧弁体46及び高圧弁体56よりも外側に配置することにより、第1電磁石60の径方向位置及び第2電磁石の径方向位置よりも低圧弁体46および高圧弁体56の径方向位置をシリンダ25に近づけることができるので、油圧室27のデッド容積(ピストン24の往復動によって膨張・収縮することがない容積)をより小さくすることができ、油圧機械20の効率をより向上させることができる。
【0085】
図3〜
図5に示す例示的な実施形態では、低圧弁体46を駆動する磁力を生成するための第2電磁石50は、径方向において、高圧弁体56を駆動する磁力を生成するための第1電磁石60よりもシリンダ25から離れて配置される。すなわち、第2電磁石50は、第1電磁石60よりも、径方向外側に配置される。
【0086】
この場合、高圧バルブ44の第1電磁石60と高圧弁体56とを互いに近づけることができるので、高圧油ライン12の高圧の作動油から受ける大きな荷重に高圧バルブ44が耐え得る丈夫な構造をコンパクトに実現できる。
【0087】
図3又は
図5に示す例示的な実施形態では、低圧弁シート45は、油圧室27の中心軸Q周りにシリンダ25の外周側に設けられる。
特に、
図3に示す例示的な実施形態では、低圧弁シート45は、中心軸Q周りに、スリーブ支持部材28の内周面28aによって形成される油圧室27の部分の外周側に設けられる。
【0088】
このように、シリンダ25(又は油圧室27の上述の部分)の外周側に低圧弁シート45を設けたので、低圧弁シート45を介した作動油の流れを油圧室27の中心軸Qに対して対称にしやすくなり、非対称な流れに起因した損失や圧力変動を抑制することができる。
【0089】
図3〜
図5に示す例示的な実施形態では、低圧通路64は、油圧室27の中心軸Qに関して対称の位置に設けられている。
【0090】
また、
図3及び
図4に示す実施形態では、低圧通路64は、油圧室27の中心軸Q周りにシリンダ25の外周側(又はスリーブ支持部材28の内周面28aによって形成される油圧室27の部分の外周側)に設けられた環状流路部66と、環状流路部66から分岐するように、環状流路部66からカム室70に向かって延在する複数本の支流部68と、を含む。
【0091】
一実施形態では、
図3及び
図6に示すように、シリンダ25の外周側(スリーブ支持部材28の内周面28aによって形成される油圧室27の部分の外周側)において、低圧シート形成部31としてのスリーブ支持部材28に環状流路部66が設けられている。環状流路部66は、環状の低圧弁シート45に連設され、低圧通路64の低圧バルブ42側の端部である第2端64bを形成する。
図3及び
図6に示す実施形態では、環状流路部66から分岐する複数本の支流部68が、環状流路部66からカム室70の副室74に向かって、油圧室27の中心軸Qを中心として放射状に延びている。
【0092】
図3〜
図5に示す実施形態のように、油圧室27の中心軸Qに対して対称の位置に低圧通路64を設けることで、低圧通路64と油圧室27との間の流れを対称なものとすることができ、非対称な流れに起因した損失や圧力変動を抑制することができる。
また、
図3及び
図4に示す実施形態のように、シリンダ25の外周側に設けられた環状流路部66と、該環状流路部66から分岐する複数本の支流部68とを含む低圧通路64を設けることで、低圧通路64とシリンダ25との間の流れの対称性を維持することができる。また、環状流路部66及び複数本の支流部68の採用により低圧通路64の流路断面積を増大させることができるから、低圧バルブ42の閉動作時に低圧バルブ42の下流側に生じるキャビテーションが効果的に緩和され、低圧油ライン14における圧力変動(圧力スパイク)をより一層抑制できる。
【0093】
図3〜
図5に示す例示的な実施形態において、低圧弁体46は、高圧バルブ44とシリンダ25との間で流れる作動油が径方向に沿って通過可能な開口47を有する。
このように、低圧弁体46が開口47を有することにより、高圧バルブ44の半径方向位置よりも径方向内側に低圧バルブ42を配置することが可能となり、シリンダ25とカム室70との間の低圧通路64の長さをより一層短縮できる。また、高圧バルブ44とシリンダ25との間において流れる作動油の低圧バルブ42への衝突に起因した流体力が低圧バルブ42に作用することを抑制することができる。
【0094】
幾つかの実施形態では、低圧弁体46は、油圧室27の中心軸Qに関して対称の位置に設けられた複数の開口47を有していてもよい。
例えば、
図3に示す低圧弁体46は、
図7(低圧弁体46の断面図)に示すように、油圧室27の中心軸Qに関して回転対称の位置に設けられた複数(
図7に示す例では4つ)の開口47を有する。
このように、油圧室27の中心軸Qに関して対称の位置に複数の開口47を設けることにより、高圧バルブ44とシリンダ25との間において低圧弁体46を通過する作動油の流れを対称に近づけることができ、非対称な流れに起因した損失や圧力変動を抑制することができる。
【0095】
図3〜
図5に示す例示的な実施形態では、油圧室27の中心軸Q周りに高圧バルブ44の外周側には、高圧環状流路75が設けられている。高圧環状流路75は、第2高圧通路82を含む高圧連通路78(
図2参照)を介して、高圧油ライン12に連通している。
このように、油圧室27の中心軸Q周りに高圧バルブ44の外周側に環状の高圧環状流路75を設けることにより、高圧油ライン12と油圧室27との間の流れを対称に近づけることができ、非対称な流れに起因した損失や圧力変動を抑制することができる。
【0096】
図3〜
図5に示す例示的な実施形態では、低圧弁シート45は平坦であり、低圧弁体46のうち低圧弁シート45と当接する部位は平坦面である。
このように、低圧弁シート45が平坦であるとともに、低圧弁体46のうち少なくとも低圧弁シート45との当接部位が平坦面であれば、低圧弁体46に変形が生じたとしても、その変形の度合い(例えば摩耗量)の偏りが低減されるので、低圧バルブ42を確実に閉止しやすくなる。
【0097】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0098】
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【解決手段】回転シャフトと、前記回転シャフトの径方向に沿って設けられたシリンダと、前記シリンダとともに油圧室を形成し、前記シリンダに案内されて前記シリンダ内を前記径方向に沿って往復運動可能に設けられたピストンと、前記油圧室に連通可能な高圧油ライン及び低圧油ラインと、前記シリンダに対して前記径方向の内側に位置して前記低圧油ラインを少なくとも部分的に形成するカム室内に設けられ、前記ピストンの往復運動と連動して前記回転シャフトとともに回転するように構成されたカムと、前記油圧室と前記高圧油ラインとの連通状態を切り替えるための高圧バルブと、前記油圧室と前記低圧油ラインとの連通状態を切り替えるための低圧バルブと、を備え、前記低圧弁体は、前記高圧弁体に対して前記径方向の内側において前記シリンダと前記低圧油ラインとの間に設ける。