(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6267316
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】太陽電池用の高ヘイズ下層
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0224 20060101AFI20180115BHJP
H01L 31/0236 20060101ALI20180115BHJP
H01B 5/14 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
H01L31/04 266
H01L31/04 282
H01B5/14 A
【請求項の数】18
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-500728(P2016-500728)
(86)(22)【出願日】2014年3月6日
(65)【公表番号】特表2016-517169(P2016-517169A)
(43)【公表日】2016年6月9日
(86)【国際出願番号】US2014021144
(87)【国際公開番号】WO2014164194
(87)【国際公開日】20141009
【審査請求日】2015年9月11日
(31)【優先権主張番号】61/777,182
(32)【優先日】2013年3月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516319474
【氏名又は名称】ビトロ、エセ.ア.ベ. デ セ.ウベ.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マッカミー、ジェイムズ、ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】トウシュ、ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ネリス、ゲイリー、ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ルー、ソンウェイ
【審査官】
佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/084297(WO,A2)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0146767(US,A1)
【文献】
特開2000−261013(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L31/02−31/078;
H01L31/18−31/20;
H01L51/42−51/48;
H02S10/00−10/40;
H02S30/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の少なくとも一部の上に形成された下地被覆であって、酸化スズを含む連続的な第1の層と、スズ、リン及びケイ素の酸化物を含む第2の層とを備える下地被覆と、
前記下地被覆の少なくとも一部の上に形成された透明導電性被覆と
を備え、
前記第2の層は、上面に、前記導電性被覆の非平坦な結晶成長を生じさせる、リンの豊富な核形成場所である突出部を有し、
前記第2の層は、50〜60原子%のケイ素、12〜16原子%のスズ、及び25〜30原子%のリンを含む、太陽電池。
【請求項2】
前記基板がガラスである、請求項1に記載された太陽電池。
【請求項3】
前記第1の層が無ドープ酸化スズの連続的な層からなる、請求項1に記載された太陽電池。
【請求項4】
前記第1の層が10nm〜25nmの範囲の厚さを有する、請求項1に記載された太陽電池。
【請求項5】
前記第2の層が40nm未満の厚さを有する、請求項1に記載された太陽電池。
【請求項6】
前記透明導電性被覆がフッ素ドープ酸化スズを含む、請求項1に記載された太陽電池。
【請求項7】
前記基板がガラスであり、
前記第1の層が、10nm〜25nmの範囲の厚さを有する無ドープ酸化スズの連続的な層を備え、
前記第2の層が、37nm以下の厚さを有する、シリカ、酸化スズ及び酸化リンの混合物を含み、
前記第2の層が20重量%以下の酸化スズを含む、請求項1に記載された太陽電池。
【請求項8】
前記透明導電性被覆が500nm〜700nmの範囲の厚さを有する、請求項1に記載された太陽電池。
【請求項9】
前記透明導電性被覆が10Ω/□未満のシート抵抗を有する、請求項1に記載された太陽電池。
【請求項10】
前記透明導電性被覆が10nm〜15nmの範囲の表面粗さを有する、請求項1に記載された太陽電池。
【請求項11】
前記下層が、前記透明導電性被覆の表面粗さよりも小さい表面粗さを有する、請求項1に記載された太陽電池。
【請求項12】
前記第1の層が10nm〜25nmの範囲の厚さを有する、請求項3に記載された太陽電池。
【請求項13】
前記第2の層が40nm未満の厚さを有する、請求項12に記載された太陽電池。
【請求項14】
前記透明導電性被覆がフッ素ドープ酸化スズを含む、請求項13に記載された太陽電池。
【請求項15】
前記基板がガラスであり、
前記第1の層が、10nm〜25nmの範囲の厚さを有する無ドープ酸化スズの連続的な層を備え、
前記第2の層が、37nm以下の厚さを有する、シリカ、酸化スズ、及び酸化リンの混合物を含み、
前記第2の層が、20重量パーセント以下の酸化スズを含む、請求項3に記載された太陽電池。
【請求項16】
前記透明導電性被覆が、500nm〜700nmの範囲の厚さを有すると共に、10Ω/□未満のシート抵抗を有する、請求項14に記載された太陽電池。
【請求項17】
前記下層が、前記透明導電性被覆の表面粗さよりも小さい表面粗さを有する、請求項16に記載された太陽電池。
【請求項18】
ガラス基板と、
前記基板の少なくとも一部の上に形成された下地被覆であって、10nm〜25nmの範囲の厚さを有する無ドープ酸化スズからなる連続的な第1の層と、スズ、リン及びケイ素の酸化物を含み、50〜60原子%のケイ素、12〜16原子%のスズ、及び25〜30原子%のリンを含む第2の層とを備える下地被覆と、
前記下地被覆の少なくとも一部の上に形成されたフッ素ドープ酸化スズを含む透明導電性被覆と
を備え、
前記第2の層は、上面に、前記導電性被覆の非平坦な結晶成長を生じさせる、リンの豊富な核形成場所である突出部を有する、被覆体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広く言えば、太陽電池に関するものであり、特定の一具体例としては、改善された下層構造を有する非晶質シリコン薄膜太陽電池に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来の非晶質シリコン薄膜太陽電池は、通常はガラス基板を含み、ガラス基板上には、透明導電性酸化物(TCO)接触層及びp−n接合を有する非晶質シリコン薄膜活性層が設けられる。裏側の金属層は、反射体及び裏面接触として作用する。TCOは、光散乱を増大させるための不規則な表面を有する。太陽電池において、光散乱又は「ヘイズ」は、電池の活性領域において光を閉じ込めるために使用される。電池に閉じ込められる光が多くなればなるほど、より高い効率を得ることができる。
【0003】
しかしながら、ヘイズは、TCOを通る光透過性に悪影響を与えるほど大きくすることはできない。したがって、光閉じ込めは、太陽電池の効率の改善を試みる際の重要な問題であり、薄膜電池設計において特に重要である。しかしながら、薄膜装置に関しては、層の厚さが公知の単結晶装置の層の厚さよりも非常に薄いので、この光閉じ込めはより困難となる。膜の厚さが薄くなると、膜の厚さは、主として平行な表面を有する被覆が支配的となる。このような平行な表面は、通常は、有効な光散乱を提供しない。
【0004】
薄膜太陽電池の別の重要な特徴は、TCOの表面抵抗率である。電池に光が当たると、照射によって発生した電子は、シリコンを通過して透明導電性酸化物層へと移動する。光電変換効率にとって、電子が導電性層中を可能な限り速く移動することが重要である。すなわち、透明導電性層の表面抵抗率は低いことが望ましい。また、透明導電性層は、最大限の太陽輻射がシリコン層へと通過するような高い透明性を有することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、太陽電池の光散乱特性及び透過特性を高めながらも、透明導電性酸化物層を通る電子の流れを向上させる太陽電池用の被覆構造を提供することが望まれるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
シリコン薄膜太陽電池は、基板と、基板の少なくとも一部の上に形成された下地被覆とを備える。下地被覆は、酸化スズを含む連続的な第1の層と、Sn、P及びSiのうちの少なくとも2つの酸化物を含む第2の層とを備える。導電性被覆は、第1の被覆の少なくとも一部の上に形成され、導電性被覆は、Zn、Fe、Mn、Al、Ce、Sn、Sb、Hf、Zr、Ni、Zn、Bi、Ti、Co、Cr、Si若しくはInのうちの1つ又は複数の酸化物、或いはこれらの材料の2つ以上の合金を含む。好ましい例では、第1の層は、無ドープ酸化スズの連続層からなる。
【0007】
ある特定の太陽電池においては、基板はガラスであり、第1の層は、10nm〜25nmの範囲の厚さを有する連続的な酸化スズ層を備える。第2の層は、10nm〜40nmの範囲の厚さを有すると共に、1モル%〜40モル%の範囲、例えば20モル%未満の酸化スズを有する、シリカ、酸化スズ及び酸化リンの混合物を含む。導電性被覆は、470nmを超える厚さを有するフッ素ドープ酸化スズを含む。
【0008】
太陽電池は、基板と、基板の少なくとも一部の上に形成された下地被覆とを有する。下地被覆は、酸化スズの連続的な第1の層と、Sn、P及びSiの酸化物を有する第2の層とを含む。透明導電性被覆は、下地被覆の少なくとも一部の上に形成される。第2の層は、上面に、導電性被覆の非平坦な結晶成長を生じさせる突出部を含む。
【0009】
被覆体は、ガラス基板と、基板の少なくとも一部の上に形成された下地被覆とを備える。下地被覆は、10nm〜25nmの範囲の厚さを有する酸化スズを含む連続的な第1の層と、Sn、P及びSiの酸化物を含む第2の層とを備える。第2の層は、50〜60原子%のケイ素、12〜16原子%のスズ、及び25〜30原子%のリンを含む。フッ素ドープ酸化スズを含む透明導電性被覆は、下地被覆の少なくとも一部の上に形成される。第2の層は、上面に、導電性被覆の非平坦な結晶成長を生じさせる突出部を含む。
【0010】
本発明の完全な理解は、添付の図面と関連させながら以下の説明から得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の下地被覆を形成された太陽電池基板の側面断面図(縮尺なし)。
【
図2】本発明の下地被覆を有する太陽電池基板の側面図(縮尺なし)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において使用されている「左」、「右」、「内部」、「外部」、「上」、「下」等の空間又は方向に関する用語は、図面に示された発明に関するものである。しかしながら、本発明は、様々な他の向きを想定できると理解されるべきであり、このような用語は限定として考慮されるべきではない。さらに、明細書及び特許請求の範囲において使用されている、寸法、物理的特性、処理パラメータ、成分量、反応条件等を表す全ての数字は、すべての場合において語「約」を付けることができると理解されるべきである。したがって、反対の指示がない限り、以下の明細書及び特許請求の範囲において記載される数値は、本発明によって得ようとされる所望の性質に基づいて変更可能である。少なくとも、特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限する試みとしてではなく、各数値は、少なくとも、報告された有効数字の観点及び通常の丸め技法の適用によって解釈されるべきである。さらに、本明細書に開示されたすべての範囲は、開始及び終了の範囲値並びに当該範囲に包含されるいずれか及びすべてのサブレンジを含むと理解されるべきである。例えば、「1〜10」と記載された範囲は、最小値1と最大値10との間(最小値1及び最大値10を含む)のいずれか及びすべてのサブレンジ、すなわち、1以上の最小値で開始し、10以下の最大値で終了するすべてのサブレンジ、例えば、1〜3.3、4.7〜7.5、5.5〜10等を含むと考えられるべきである。さらに、本明細書において使用されている語句「上に形成される」、「上に堆積される」又は「上に設けられる」は、必ずしも表面と直接接触することなく形成され、堆積され又は設けられることを意味する。例えば、基板の「上に形成された」被覆層は、形成された被覆層と基板との間に位置する同じ若しくは異なる組成の1つ又は複数の他の被覆層又は膜の存在を排除しない。本明細書に使用されているように、用語「ポリマー」又は「ポリマーの」は、オリゴマー、ホモポリマー、コポリマー、及びターポリマー、例えば2種以上のモノマー又はポリマーから形成されたポリマーを含む。用語「可視領域」又は「可視光」とは、380nm〜760nmまでの範囲の波長を有する電磁放射のことをいう。用語「赤外領域」又は「赤外放射」とは、760nmよりも長く、100,000nmまでの範囲の波長を有する電磁放射のことをいう。用語「紫外領域」又は「紫外放射」とは、200nmから380nm未満の範囲の波長を有する電磁エネルギーを意味する。用語「マイクロ波領域」又は「マイクロ波放射」とは、300メガヘルツ〜300ギガヘルツの範囲の周波数を有する電磁放射をいう。加えて、限定はされないが、本明細書において参照される発行された特許及び特許出願等のすべての文献は、全体として、「参照により援用する」と考えられるべきである。以下の論述において、屈折率の値は550ナノメートル(nm)の基準波長についての値である。用語「膜」とは、所望の又は選択された組成を有する被覆の領域のことをいう。「層」は、1つ又は複数の「膜」を備える。「被覆」又は「被覆積層」は、1つ又は複数の「層」から構成される。用語「連続的な層」とは、被覆材料が、基礎となる層又は基板を覆うように施され、露出した箇所が意図的に形成されていないことを意味する。「無ドープ」とは、ドーパントが被覆材料に意図的に添加されていないことを意味する。
【0013】
本発明の構成を有する例示的な太陽電池10が
図1に示されている。太陽電池10は、少なくとも1つの主面14を有する基板12を含む。本発明の下地被覆16が、主面14の少なくとも一部の上に形成される。下地被覆16は、第1の層18及び第2の層20を有する。透明導電性酸化物(TCO)被覆22が、下地被覆16の少なくとも一部の上に形成される。非晶質シリコンの層24が、TCO被覆22の少なくとも一部の上に形成される。金属又は金属含有層26が、非晶質シリコン層24の少なくとも一部の上に形成される。
【0014】
本発明の幅広い実施において、基板12は、いずれかの所望の特性を有するいずれかの所望の材料を含むことができる。例えば、基板は、可視光に対して透明又は半透明とすることができる。「透明」とは、0%よりも大きく100%までの可視光透過率を有することを意味する。或いは、基板12は、半透明とすることもできる。「半透明」とは、観察者に対して反対側にある対象物がはっきりと視認できないように、電磁エネルギー(例えば、可視光)を通過させながらも、このエネルギーを散乱させることを意味する。好適な材料の例には、限定はされないが、プラスチック基板(例えば、ポリアクリレート等のアクリルポリマー;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸プロピル、及びその他等のポリメタクリル酸アルキル;ポリウレタン;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びその他等のポリアルキルテレフタレート;ポリシロキサン含有ポリマー;又はこれらを調製するためのいずれかのモノマーのコポリマー、若しくはこれらのいずれかの混合物)、ガラス基板、或いは上記のいずれかの混合物又は組み合わせが含まれる。例えば、基板12は、従来のソーダ石灰ケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸ガラス又は鉛ガラスを含むことができる。ガラスは透明ガラスとすることができる。「透明ガラス」とは、色が付いていない又は着色されていないガラスのことをいう。或いは、ガラスは、その反対に、色付き又は着色ガラスとすることができる。ガラスは、アニール処理された又は熱処理されたガラスとすることができる。本明細書に使用されているように、用語「熱処理」とは、焼き入れ又は少なくとも部分的に焼き入れすることを意味する。ガラスは、従来のフロート・ガラス等のいずれの種類であってもよく、いずれかの光学的性質、例えば、可視光透過率、紫外線透過率、赤外線透過率、及び/又は全太陽エネルギー透過率のいずれかの値を有するいずれかの組成とすることができる。「フロート・ガラス」とは、溶融ガラスを溶融金属浴上に配し、制御可能に冷却してフロート・ガラス・リボンを形成する従来のフロート法によって形成されたガラスを意味する。本発明の実施に使用可能なガラスの非限定的な例には、Solargreen(登録商標)、Solextra(登録商標)、GL−20(登録商標)、GL−35(商標)、Solarbronze(登録商標)、Starphire(登録商標)、Solarphire(登録商標)、Solarphire PV(登録商標)、及びSolargray(登録商標)ガラスが含まれ、すべてペンシルベニア州ピッツバーグのPPG Industries Inc.から市販されている。
【0015】
基板12は、いずれかの所望の寸法、例えば、長さ、幅、形状又は厚さを有することができる。例えば、基板12は、平面若しくは曲面とすることができ、又は平面部分及び曲面部分の両方を有することができる。非限定的な一例において、基板12は、0.5mm〜10mmの範囲、例えば1mm〜5mm、例えば2mm〜4mm、例えば3mm〜4mm、の厚さを有することができる。
【0016】
基板12は、550ナノメートル(nm)の基準波長において高い可視光透過率を有することができる。「高い可視光透過率」とは、550nmにおける可視光透過率が85%以上、例えば87%以上、例えば90%以上、例えば91%以上、例えば92%以上であることを意味する。
【0017】
本発明の実施において、下地被覆16は、2以上の被覆層を有する多層被覆である。第1の層18は、基板12と、その上に配置される被覆層との間にバリアを提供することができる。第1の層18は、50nm未満、例えば40nm未満、例えば30nm未満、例えば25nm未満、例えば20nm未満、例えば15nm未満、例えば5nm〜25nmの範囲、例えば5nm〜15nmの範囲の厚さを有する連続的な層である。
【0018】
第1の層18は、好ましくは、無ドープ金属酸化物層である。好ましい例として、第1の層18は、無ドープ酸化スズの連続的な層を備える。
【0019】
第2の層20は、スズ、ケイ素及びリンの酸化物を含む。酸化物は、いずれかの所望の割合で存在することができる。酸化物の相対的割合は、いずれかの所望量、例えば0.1wt%〜99.9wt%の酸化スズ、99.9wt%〜0.1wt%のシリカ、及び0.1wt%〜99.9wt%の酸化リンで存在することができる。1つの例示的な第2の層20は、スズ、ケイ素及びリンの酸化物を含み、スズは、5原子%〜30原子%の範囲、例えば10原子%〜20原子%、例えば10原子%〜15原子%、例えば12原子%〜15原子%、例えば14原子%〜15原子%、例えば14.5原子%で存在する。ケイ素は、40原子%〜70原子%の範囲、例えば45原子%〜70原子%、例えば45原子%〜65原子%、例えば50原子%〜65原子%、例えば50原子%〜60原子%、例えば55原子%〜60原子%、例えば57原子%で存在する。リンは、15原子%〜40原子%の範囲、例えば20原子%〜35原子%、例えば20原子%〜30原子%、例えば25原子%〜30原子%、例えば28.5原子%で存在する。
【0020】
第2の層20は、いずれかの所望の厚さ、限定はされないが、例えば10nm〜100nm、例えば10nm〜80nm、例えば10nm〜60nm、例えば10nm〜40nm、例えば20nm〜40nm、例えば20nm〜35nm、例えば20nm〜30nm、例えば25nmの厚さを有することができる。例えば、第2の層20は、40nm未満、例えば37nm未満、例えば35nm未満、例えば30nm未満の厚さを有することができる。
【0021】
第2の層20は、(蛍光X線(XRF)によって決定される)1〜2μg/cm
2の範囲、例えば1.2〜2μg/cm
2、例えば1.5〜2μg/cm
2、例えば1.8μg/cm
2のSnを含むことができる。第2の層は、(XRFによって決定される)2〜2.5μg/cm
2の範囲、例えば2.1〜2.5μg/cm
2、例えば2.2〜2.4μg/cm
2、例えば2.31μg/cm
2のPを含むことができる。
【0022】
TCO層22は、少なくとも1つの導電性酸化物層、例えばドープ酸化物層を備える。例えば、TCO層22は、1つ又は複数の酸化物材料、限定はされないが、例えば、Zn、Fe、Mn、Al、Ce、Sn、Sb、Hf、Zr、Ni、Zn、Bi、Ti、Co、Cr、Si若しくはInのうちの1つ又は複数の1つ又は複数の酸化物、或いはこれらの材料のうちの2つ以上の合金、例えばスズ酸亜鉛を含むことができる。また、TCO層22は、1つ又は複数のドーパント材料、限定はされないが、例えばF、In、Al、P、及び/又はSbを含むこともできる。非限定的な一例において、TCO層22は、フッ素ドープ酸化スズ被覆であり、フッ素は、被覆の総重量に対して20wt%未満、例えば15wt%未満、例えば13wt%未満、例えば10wt%未満、例えば5wt%未満、例えば4wt%未満、例えば2wt%未満、例えば1wt%未満の量で存在する。TCO層22は、非晶質、結晶質、又は少なくとも部分的に結晶質であることができる。
【0023】
TCO層22は、200nm超、例えば250nm超、例えば350nm超、例えば380nm超、例えば400nm超、例えば420nm超、例えば470nm超、例えば500nm超、例えば600nm超の厚さを有することができる。非限定的な一例において、TCO層22は、フッ素ドープ酸化スズを含み、上述のような、例えば350nm〜1,000nmの範囲、例えば400nm〜800nm、例えば500nm〜700nm、例えば600nm〜700nm、例えば650nmの厚さを有する。
【0024】
TCO層22は、スクウェア当たり15オーム(Ω/□)未満、例えば14Ω/□未満、例えば13.5Ω/□未満、例えば13Ω/□未満、例えば12Ω/□未満、例えば11Ω/□未満、例えば10Ω/□未満のシート抵抗を有することができる。
【0025】
TCO層22は、5nm〜60nmの範囲、例えば5nm〜40nm、例えば5nm〜30nm、例えば10nm〜30nm、例えば10nm〜20nm、例えば10nm〜15nm、例えば11nm〜15nm、の表面粗さ(RMS)を有することができる。下層16の表面粗さは、TCO層22の表面粗さよりも小さくなるであろう。
【0026】
非晶質シリコン層24は、200nm〜1,000nmの範囲、例えば200nm〜800nm、例えば300nm〜500nm、例えば300nm〜400nm、例えば350nmの厚さを有することができる。
【0027】
金属含有層26は、金属とすることができ、又は1つ若しくは複数の金属酸化物材料を含むことができる。好適な金属酸化物材料の例には、限定はされないが、Zn、Fe、Mn、Al、Ce、Sn、Sb、Hf、Zr、Ni、Zn、Bi、Ti、Co、Cr、Si若しくはInのうちの1つ又は複数の酸化物、或いはこれらの材料のうちの2つ以上の合金、例えばスズ酸亜鉛が含まれる。金属含有層26は、50nm〜500nmの範囲、例えば50nm〜300nm、例えば50nm〜200nm、例えば100nm〜200nm、例えば150nmの厚さを有することができる。
【0028】
被覆層、例えば、下地被覆16、TCO層22、非晶質シリコン層24、及び金属層26は、何らかの従来の方法、限定はされないが、例えば噴霧熱分解、化学蒸着(CVD)、又はマグネトロン・スパッタ真空蒸着(MSVD)によって基板12の少なくとも一部の上に形成することができる。層はすべて同じ方法によって形成することができるか、又は異なる層は異なる方法によって形成することができる。噴霧熱分解法において、1つ又は複数の酸化物前駆材料、例えばチタニア及び/若しくはシリカ及び/若しくはアルミナ及び/若しくは酸化リン及び/若しくはジルコニア用の前駆材料を有する有機又は金属含有前駆組成物が、懸濁液、例えば水溶性又は非水溶性溶液に保持され、そして、基板温度を、前駆組成物を分解させると共に基板上に被覆を形成するのに十分な高温にしながら、基板の表面方向に向けられる。組成物は、1つ又は複数のドーパント材料を含むことができる。しかしながら、好ましい例では、下層の第1の層の組成物には、意図的にはドーパントを含有させない。CVD法において、前駆組成物はキャリア・ガス、例えば窒素ガスに保持され、加熱された基板方向に向けられる。MSVD法において、1つ又は複数の金属含有カソード・ターゲットが、不活性又は酸素含有雰囲気において減圧下でスパッタされ、基板上にスパッタ被覆を堆積させる。基板は被覆の間又は被覆後加熱され、スパッタ被覆の結晶化により被覆を形成することができる。
【0029】
本発明の非限定的な一実施において、1つ又は複数のCVD被覆装置が、従来のフロート・ガラス・リボン製造工程における1つ又は複数の位置で使用することができる。例えば、CVD被覆装置は、フロート・ガラス・リボンがスズ浴中を通過するとき、フロート・ガラス・リボンがスズ浴を出た後、フロート・ガラス・リボンがガラス焼きなまし炉に入る前、フロート・ガラス・リボンがガラス焼きなまし炉中を通過するとき、又はフロート・ガラス・リボンがガラス焼きなまし炉を出た後に、使用することができる。CVD法は、移動するフロート・ガラス・リボンを被覆でき、さらにフロート・ガラス・リボンの製造に関する過酷な環境に耐えることができるので、CVD法は、特に、溶融スズ浴中のフロート・ガラス・リボン上に被覆を堆積させることに非常に適している。
【0030】
非限定的な一例において、1つ又は複数のCVD被覆装置は、溶融スズ・プール上のスズ浴に配置することができる。フロート・ガラス・リボンがスズ浴中を移動するとき、蒸発させられた前駆組成物がキャリア・ガスに添加され、リボンの上面上に方向付けすることができる。前駆組成物が分解し、リボン上に被覆を形成する。被覆組成物は、リボンの温度が704℃(1300°F)未満、例えば677℃(1250°F)未満、例えば649℃(1200°F)未満、例えば643℃(1190°F)未満、例えば621℃(1150°F)未満、例えば610℃(1130°F)未満、例えば643℃〜649℃(1190°F〜1200°F)の範囲である位置でリボン上に堆積させることができる。堆積温度が低下するほど、結果として得られる表面抵抗率が低下するので、この方法は、表面抵抗率を低下させたTCO層22(例えばフッ素ドープ酸化スズ)を堆積させるのに特に有用である。
【0031】
シリカ前駆物質の非限定的な一例は、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)である。酸化リン前駆物質の例には、限定はされないが、亜リン酸トリエチル及びリン酸トリエチルが含まれる。酸化スズ前駆物質の例には、モノブチルスズトリクロリド(MBTC)が含まれる。
【0032】
本発明の構成を有する被覆基板12を
図2に示す。基板12については上述の通りである。酸化スズの連続的な第1の層18が、基板12の主面14の少なくとも一部の上に形成される。酸化スズ、酸化ケイ素及び酸化リンの第2の層20が、第1の層18の少なくとも一部の上に形成される。所定の被覆条件下において、突出部30が、第2の層20の上面に形成されることが見出された。例えば、第2の層20の厚さが40nm未満、例えば39nm未満、例えば38nm未満、例えば37nm未満、例えば35nm未満、例えば30nm未満であり、及び/又は第2の層20が30重量パーセント未満、例えば25重量パーセント未満、例えば20重量パーセント未満、例えば15重量パーセント未満の酸化スズ組成物を有する場合に、これらの突出部30を形成することができる。突出部30にはリンが豊富にあると思われ、突出部30は、導電性酸化物22の非平坦な結晶成長のための核形成場所を提供する。
図2において、導電性酸化物層22の結晶32が模式的に示されている(縮尺なし)。第2の層20の比較的平坦な上面上において、結晶32は方向的に概ね一様である、すなわち、上方に、且つ第2の層20の上面の平坦部分に対して概ね垂直に延在する。しかしながら、突出部30の非平坦面上、例えば曲面上において、結晶配向はより不規則であり、すなわち一様ではなく、これによりヘイズ率が増大する。
【0033】
上述の説明において開示した概念から逸脱することなく本発明に対して変更をなし得ることは当業者によって容易に理解されるであろう。したがって、本明細書において詳細に説明した特定の例は、単なる例示であり、添付の特許請求の範囲の全範囲、並びにいずれか及びすべての特許請求の範囲の均等物を提示する本発明の範囲を限定するものではない。