(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6267328
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/566 20060101AFI20180115BHJP
C07K 14/705 20060101ALI20180115BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20180115BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20180115BHJP
G01N 33/15 20060101ALI20180115BHJP
G01N 33/50 20060101ALI20180115BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20180115BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20180115BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20180115BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20180115BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
G01N33/566ZNA
C07K14/705
A23L33/10
C12N15/00 A
G01N33/15 Z
G01N33/50 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C07K19/00
【請求項の数】8
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2016-518579(P2016-518579)
(86)(22)【出願日】2014年6月13日
(65)【公表番号】特表2016-530487(P2016-530487A)
(43)【公表日】2016年9月29日
(86)【国際出願番号】GB2014000233
(87)【国際公開番号】WO2014199114
(87)【国際公開日】20141218
【審査請求日】2016年1月27日
(31)【優先権主張番号】1310664.6
(32)【優先日】2013年6月14日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】390037914
【氏名又は名称】マース インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】MARS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】マクグレン,スコット ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】テイラー,アンドリュー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ギブズ,マシュー ロナルド
【審査官】
赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2009/125804(WO,A1)
【文献】
国際公開第2007/026874(WO,A1)
【文献】
国際公開第2005/083070(WO,A1)
【文献】
特開2005−325055(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第01688138(EP,A1)
【文献】
国際公開第2007/134613(WO,A1)
【文献】
Uniprot: "Sequence UPI00005A4EBB",[online],2012年 4月26日,[平成28年12月19日検索], インターネット <URL : http://www.uniprot.org/uniparc/UPI00005A4EBB>
【文献】
Uniprot: "Sequence UPI00004BCC30",[online],2004年12月 9日,[平成28年12月19日検索], インターネット <URL : http://www.uniprot.org/uniparc/UPI00004BCC30>
【文献】
Uniprot: "Sequence UPI0002989000",[online],2012年11月 7日,[平成28年12月19日検索], インターネット <URL : http://www.uniprot.org/uniparc/UPI0002989000>
【文献】
Uniprot: "Sequence UPI0002988ED2",[online],2012年11月 7日,[平成28年12月19日検索], インターネット <URL : http://www.uniprot.org/uniparc/UPI0002988ED2>
【文献】
Cartoni, C et al.,Taste preference for fatty acids is mediated by GPR40 and GPR120,The Journal of Neuroscience,2010年,30(25),p. 8376-8382
【文献】
Martin, C et al.,The lipid-sensor candidates CD36 and GPR120 are differentially regulated by dietary lipids in mouse taste buds: Impact on spontaneous fat preference,PLoS ONE,2011年,6(8), e24014,p. 1-10
【文献】
伏木亨,油脂の嗜好性に関する栄養生理学的研究,平成25年度 日本農芸化学会賞受賞者講演要旨,日本,2013年,[平成28年12月19日検索], インターネット <URL : http://www.jsbba.or.jp/wp-content/uploads/file/award/2013/award_2013_fushiki.pdf>
【文献】
平澤明、辻本豪三,脂肪酸受容体に対するリガンド探索、生理機能の解明と創薬応用,医学のあゆみ,日本,2010年 5月29日,233(9),p. 755-760
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48−33/98
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネコ科動物の呈味化合物を同定する方法において、
(i)ネコ科のGPR120受容体の配列;
(ii)配列番号1で示されるアミノ酸配列;
(iii)配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列;または
(iv)(i)、(ii)もしくは(iii)の機能性断片;
を含むポリペプチドに、試験化合物が結合するおよび/またはその活性を調節するか否かを特定するステップを含み、前記ポリペプチドに結合するおよび/またはその活性を調節する化合物を呈味化合物として同定する、方法。
【請求項2】
GPR120受容体に結合するおよび/またはその活性を調節する呈味化合物を同定する方法において、前記GPR120受容体が、
i)ネコ科のものであるか;
ii)配列番号1のアミノ酸配列を有するか;または
iii)配列番号1に対して少なくとも97%同一である、方法。
【請求項3】
in vitro法である、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
in silico法である、請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
(i)化合物の非存在下および存在下における、前記ポリペプチドまたは前記GPR120受容体の生物活性を測定するステップ、および
(ii)化合物の非存在下と存在下との間で生物活性に差がある場合に、前記ポリペプチドまたは前記GPR120受容体に結合するまたはその生物活性を調節するものとして前記化合物を同定するステップ、
を含む、請求項3記載のin vitro法。
【請求項6】
前記ポリペプチドまたは前記GPR120受容体を化合物と接触させるステップをさらに含む、請求項5記載のin vitro法。
【請求項7】
(a)前記ポリペプチドまたは前記GPR120受容体の3次元(3D)構造を予測するステップ、
(b)試験化合物の3D構造を用いて、前記ポリペプチドまたは前記GPR120受容体の予測された3D構造をin silicoでスクリーニングするステップ、
(c)前記試験化合物が前記ポリペプチドまたは前記GPR120受容体の結合部位に適合するか否かを特定するステップ、および
(d)化合物の3D構造が前記ポリペプチドまたは前記GPR120受容体の3D構造の結合部位に適合する場合、前記ポリペプチドまたは前記GPR120受容体に結合しおよびその生物活性を調節するものとして前記化合物を同定するステップ、
を含む、請求項4記載のin silico法。
【請求項8】
ネコ科動物の呈味化合物を同定するためのキットにおいて、
(i)ネコ科のGPR120の配列;
(ii)配列番号1で示されるアミノ酸配列;
(iii)配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列;または
(iv)(i)、(ii)もしくは(iii)の機能性断片;
を含むポリペプチドの1つまたは複数のポリペプチド、および1つまたは複数の試験化合物を含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂肪酸の検出および知覚に関与する1つまたは複数の受容体をコードする1つまたは複数のポリペプチドに結合するまたはその活性を調節する化合物を同定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くのネコ科またはイヌ科の伴侶動物が食物について神経質であることはよく知られている。動物は、暫くの間食べていた食料を食べることを拒絶したり、あるいは最小限の量を超える食料を食べることを拒絶することが頻繁にある。この現象の一部は、原材料の知覚プロファイルに微妙な差があることにより引き起こされることがある。これらの差は、ヒト消費者によっては知覚されない可能性があるが、ネコ科およびイヌ科の伴侶動物は、嗅覚系および味覚系の相違により、これらの差を十分知覚することができる。これらの知覚の差は、使用される原材料の自然変動により、または材料が供給不足になって代替物で置き換えなければならない場合に起こり得る。これは、飼い主を極めて苛立たしくさせ得るものであり、動物が不幸で食物を楽しんでいないと飼い主に認識させ得るものである。動物はまた、利用できる適正量の食物を摂取しないと、必須栄養素を必要量摂取できないおそれがある。したがって、提供される食料を食べるように伴侶動物を促す方法に対する必要性が存在することを明確に理解することができる。この問題を克服するために、多くの解決策が提案されてきた。ほとんどの市販のペットフードは、一連の異なる風味(flavours)および/または食感(textures)で提供される。しかしながら、伴侶動物の飼い主は、最も好むと飼い主が感じる風味を、動物が明確な理由もなく突然拒絶することが頻繁にあることを知ることになる。種々の食料を選択して動物に提供することにより、伴侶動物の風味嗜好性に関する多くの研究が行われてきた。
【0003】
哺乳動物の味覚は、動物の舌の味蕾上に見出された味覚受容体により支配されており、一般に、5つの味覚;塩味、甘味、苦味、酸味、および旨味を含むと考えられている。食物の味(taste)は、いずれの受容体が刺激されるかによって決定される。一部の味覚受容体は種間で相同性を共有するが、予測されるように、草食動物は肉食動物とは異なる味覚刺激を必要とするので、各受容体型の保有率、頻度、および活性は種に依存する。ネコ科およびイヌ科の味覚受容体は、ヒトのものと一部相同性を共有するが、公知のように、ネコ科およびイヌ科の動物とヒトとでは、異なる受容体は異なるレベルの活性化および/または選択性を有する。
【0004】
食物中の脂肪の知覚は、一般には、食感、またある程度は臭いによると考えられている。しかしながら、ヒトおよびげっ歯類の領域で、脂肪酸の味覚受容体が最近同定され(Cartoni et al,2010;Galindo et al 2012;Martin et al,2011)、脂肪の知覚および検出にも味覚反応が関与することが示された。
【0005】
GPR120(GPR129、O3FAR1、PGR4、FFAR4としても知られている)は、特定の脂肪酸の検出に関与する7回膜貫通ドメイン(および細胞外部分)ならびにシグナル伝達に関与するGタンパク質結合細胞内部分を含有するGタンパク質共役細胞表面受容体であると予測される。GPR120は、遊離形態の中鎖から長鎖の脂肪酸、例えばオレイン酸およびリノール酸に結合すると考えられる。GP120受容体の2つのアイソフォーム(スプライスバリアント)、GPR120LおよびGPR120Sが、ヒトにおいて、結腸の内分泌細胞上に存在することが予測されている。長いアイソフォームは、味の知覚において機能的にシグナル伝達することはないと示唆されている。
【0006】
GPR120は、種々の哺乳類組織で発現され、腸管の分泌細胞株であるSTC−1からのコレシストキニン(CCK)分泌の刺激に関与することが知られており、加えて、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)の分泌に対して刺激効果があることが報告されている。GPR120は、脳下垂体でも発現され、そのため、ストレス調節への関与の可能性も探究されている。GPR120は、不飽和長鎖脂肪酸の公知の受容体であり、GLP−1分泌、インスリン感作、ならびに抗炎症効果および抗肥満効果に関与する。GPR120アゴニストまたはアンタゴニストは、糖尿病など種々の代謝疾患の処置のための可能な治療法として有用になり得ることが示唆されている。しかしながら、GPR120は、その嗜好性増強効果の可能性については、さらに探究する必要がある。
【0007】
特許文献1(Takeda Pharmaceutical Company Limited)は、ヒト由来14273受容体(GPR120受容体)機能を調節するための特定薬剤に対する欧州特許出願である。この文献は、GPR120を刺激するための低分子量合成アゴニストまたはアンタゴニストについて記載している。これらの物質は、過食、糖尿病、または肥満の処置に有用であると記述されている。GPR120を抑制することができる代替薬剤も記載されており、食欲不振の処置におけるその使用が記載されている。この出願は、ヒトおよびマウスのGPR120受容体に限定されており、治療の文脈における化合物の同定および使用に関するものである。
【0008】
特許文献2(Rheo−Science A/S)は、種々の哺乳類組織におけるGPR120受容体発現に関するものである。この出願では、糖尿病および/または肥満の処置、緩和、予防、または診断のために、すなわちヒトにおける治療用途のために、GPR120の発現を調節するための化合物の使用を提案している。
【0009】
特許文献3(Eisai R&D Management Co Ltd)は、治療用途のために、物質がヒトGPR120媒介細胞刺激活性を変化させるか否かを特定するための方法について開示している。
【0010】
特許文献4(Metabolex Inc)は、ヒトおよびラットGPR120のアゴニスト、および糖尿病を含む代謝疾患および悪い血糖コントロールに関連した疾患の処置におけるその使用について記載している。この出願は、GPR120アゴニストをマウスに投与して、インスリン、グルカゴン様ペプチド1、および種々の他のホルモンの分泌に対する効果を特定したことについて記載している。マウスにおいて、腹膜内グルコースチャレンジに応答した血中グルコースを、GPR120アゴニストが低下させ得ることが示された。
【0011】
非特許文献1は、治療用途用のヒトGPR120アゴニストについて開示している。
【0012】
非特許文献2は、治療目的のヒトGPR120アゴニストについて記載している。
【0013】
非特許文献3は、ヒトGPR120受容体に対する新規治療リガンドを同定することを試みている。しかしながら、著者らは部分アゴニストを同定することができただけであった。
【0014】
非特許文献4は、治療剤として使用することができる、GPR120の選択的アゴニストを発見する必要性について記載している。
【0015】
CD36(FAT、GP3B、GP4、GPIV、SCARB3、トロンボスポンジン受容体としても知られている)は、Gタンパク質共役受容体ファミリーに属するものではなく(それはクラスBスカベンジャー受容体ファミリーに属する)、これは、ヒトにおける他の公知の脂肪酸味覚受容体を参照すると、普通ではない。
【0016】
飼われているネコ科の動物は食物について神経質であることが知られており、多くの飼い主は、ネコはある日にはある食料を食べるに過ぎないことを認識している。したがって、ネコが特定の食料によく反応することを保証することができれば、動物が食料を常に受け入れることを保証することになり、また動物が幸福で健康であると飼い主が認識することも保証することになる。
【0017】
イヌ科の動物も、神経質になることがあり、一部の動物の場合には、食物の選択がでたらめなこともある。食料の味を改善することにより、特定の食料をより確実にかつ一貫して食べるようにイヌ科の動物を促すことができる。
【0018】
現在、ネコおよびイヌの味覚刺激に対する嗜好性は、飼育試験を通して同定されるが、これは、費用、時間、および結果の点から非効率的であることがある。さらに、どれがネコ科およびイヌ科の動物にとって確実に魅力的であり得るかを特定するために、動物嗜好性試験を用いて多くの化合物を試験し処理する必要性が生じ得るので、新規の味覚刺激の同定は困難である。比較的大量の各試験化合物がこのような方法には必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1688138号明細書
【特許文献2】国際公開第2007/134613号パンフレット
【特許文献3】欧州特許出願公開第1932920号明細書
【特許文献4】国際公開第2011/159297号パンフレット
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】Bharat Shimpukade et al.,Journal of Medicinal Chemistry,Discovery of a Patent and Selective GPR120 Agonist,2012 May 10;59(9):4511−4515
【非特許文献2】Qi Sun et al.,Molecular Pharmacology,Structure−Activity Relationships of GPR120 Agonists Based on a Docking Simulation,2010 Nov;78(5):804−810
【非特許文献3】Takafumi Hara et al.,Naunyn−Schmied Arch Pharmacol,Novel Selective Ligands for Free Fatty Acid Receptors GPR120 and GPR40,2009 Sep;380(3):247−255
【非特許文献4】Takayoshi Suzuki et al.,Journal of Medicinal Chemistry,Identification of G Protein−Coupled Receptor 120−Selective Agonists Derived from PPARy Agonists,2008 Dec 11;51(23):7640−7644
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
したがって、動物、特にイヌ科およびネコ科の動物の特定の味覚受容体に結合し、それを刺激する(または、そうでなければ調節する)ことができる呈味化合物(taste compounds)を同定するための、信頼性が高く、より効率的なスクリーニング方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0022】
したがって、一態様では、本発明は、ポリペプチドに結合するおよび/またはその活性を調節する化合物を同定するための方法において、そのポリペプチドが、
(i)ネコ科もしくはイヌ科のGPR120またはネコ科もしくはイヌ科のCD36受容体の配列;
(ii)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7で示されるアミノ酸配列;
(iii)配列番号1または配列番号3に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列;
(iv)配列番号5または配列番号7に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列;
(v)配列番号3または配列番号7のアミノ酸127〜279を含むアミノ酸配列;あるいは
(vi)(i)(ii)(iii)、(iv)または(v)の機能性断片
を含み、試験化合物がポリペプチドに結合するか否かおよび/またはその活性を調節するか否かを特定するステップを含む方法を提供する。
【0023】
本発明者らは、配列番号1および配列番号3の配列を含むポリペプチドがそれぞれ、ヒトGPR120およびCD36脂肪酸受容体のネコ科ホモログのアミノ酸配列であることを見出した。配列番号5および配列番号7はそれぞれ、イヌ科GPR120およびCD36受容体のアミノ酸配列である。これらのヒト配列はそれぞれ、配列番号9および配列番号llに示される。
【0024】
これらの配列を、ネコ科またはイヌ科の再配列決定されたゲノムDNA(re-sequenced genomic DNA)から入手し、ヒト配列ならびに提案された予測ネコ科およびイヌ科配列と比較した。ネコ科のCD36遺伝子配列において、公開された配列と本発明者らにより単離された配列との間に、幾つかの相違が見出された。配列に相違があり得るが、脂肪酸により依然として刺激され、動物による脂肪酸の知覚をもたらし得る機能的および対立遺伝子的変異体の使用も本発明に含まれ、そのためスクリーニング方法の範囲内である。
【0025】
ネコ科およびイヌ科の配列は、入手可能なヒト、ラット、およびマウスのGPR120およびCD36の配列に対して配列類似性(少なくとも82%の類似性)があるため、活性のある機能的な受容体であると予測される。特に、本発明者らが、等価なヒト受容体に結合することが知られているオレイン酸およびリノール酸に対するネコ科およびイヌ科の動物の明確な応答を明らかにした事実、ならびにin vitroアッセイが、これらの受容体の公知リガンドへの結合および応答を示す事実を考慮すると、このような受容体がin vivoで機能的でないと信じない理由はない。
【0026】
したがって、本発明の1つの態様では、本方法はin vitro法である。このin vitro法は、
−試験化合物の非存在下および存在下におけるポリペプチドの生物活性を測定するステップと、
−試験物質の非存在下と存在下との間で生物活性に差がある場合に、ポリペプチドに結合するかまたはその生物活性を調節するものとして物質を同定するステップと
を含み得る。
【0027】
このin vitro法は、試験化合物とポリペプチドを接触させるステップをさらに含んでいてよい。
【0028】
この方法で使用される検出方法は、標識化合物/物質の使用、および洗浄後どの試験化合物が受容体に結合したままであるかを特定するステップを含み得る。受容体への化合物の結合により誘導される活性の検出は、当業者に周知のように、カルシウムフラックスとして知られている受容体活性化の結果として増加する、細胞内の遊離カルシウム濃度をモニターすることによって行うことができる。モニターは、カルシウム感受性色素など蛍光検出によって、または発光タンパク質を用いるルミネセンス検出によって行うことができる。別法には、当業者にも知られているcGMP活性モニターが含まれる。
【0029】
CD36のアミノ酸残基127と279との間の領域は、ヒトにおいて長鎖脂肪酸結合に関係しており、したがって、配列番号3または配列番号5のこの部分を含むポリペプチドを、本発明の方法で使用することができる。配列番号3または配列番号5のアミノ酸残基155〜183を含むポリペプチドを、本発明のスクリーニング方法で使用してもよい。
【0030】
本方法はまた、CD36タンパク質がシャペロンとして作用することができるので、化合物または物質がGPR120のタンパク質と相互作用することを可能にするために、あるいはGPR120と脂肪酸または他の活性化化合物との間の相互作用を増大させるために、本発明の2つのポリペプチドを同時に使用することを含んでいてもよい。したがって、両方のポリペプチドを含むin vitro法が、本発明のさらなる態様として含まれる。したがって、本発明は、試験化合物の非存在下および存在下でCD36ポリペプチド(それぞれ配列番号3または配列番号7)の存在下、GPR120ポリペプチド(配列番号1または配列番号5)またはそのフラグメントの生物活性を測定するステップと、物質の非存在下の活性に比較して活性に差を生じさせる物質を同定するステップとを含む方法を含む。
【0031】
ポリペプチドの生物活性を調節し得る物質に対するスクリーニング方法は、当技術分野で周知であり、本発明のポリペプチドを固定する固体支持体の使用を含んでいてよい。
【0032】
このようなスクリーニング方法により同定される物質は、本発明のペプチドの生物活性を阻害/アンタゴナイズまたは活性化/アゴナイズすることができる。したがって、このような物質は受容体のアゴニストまたはアンタゴニストとして有用になり得る。
【0033】
本発明のin vitro法により同定された化合物は、in vivo、例えば給餌試験でさらに試験することができる。
【0034】
本発明はまた、GPR120受容体および/またはCD36受容体に結合するおよび/またはその活性を調節する呈味化合物を同定するための方法において、GPR120またはCD36の受容体が、ネコ科、イヌ科またはヒトのもの(配列番号1、3、5、7、9、または11)であるか、GPR120受容体が配列番号1に対して少なくとも87%同一であり、CD36受容体が配列番号3に対して少なくとも82%同一である方法に関する。
【0035】
GPR120受容体は、配列番号1、5、または9のいずれかに対して90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であり得る。
【0036】
CD36受容体は、配列番号3、7、または11のいずれかに対して85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であり得る。
【0037】
このような呈味化合物の同定により、ネコ、イヌ、またはヒトの飲食のための風味が増した食料添加物がもたらされ得る。
【0038】
GPR120および/またはCD36に結合することがすでに知られている化合物よりも有益性が高い化合物を同定することが望ましく;例としては、製造がより容易で費用効果が高い化合物;より少量の使用で公知化合物と同様の効果を得ることができる化合物;他の化合物と相乗的に相互作用する化合物が挙げられる。
【0039】
本発明はまた、FFAR1(GPR40)、FFAR2(GPR43)、および/またはFFAR3(GPR41)として知られる受容体に関する。これらのポリペプチドは、脂肪酸に結合するとしてこれまでに記載されているが、この記載は呈味化合物の文脈でも、ネコ科およびイヌ科の動物の文脈でもない。
【0040】
したがって、FFAR1、2、または3受容体に結合するおよび/またはその活性を調節する化合物を同定するための、本明細書に記載の方法も本発明の範囲内に含まれる。
【0041】
各態様の特徴はすべて、必要な変更を加えて他の各態様に適用される。
【0042】
アミノ酸配列は、標準の一文字コードを用いて本明細書に記載される。配列は左から右にN末端からC末端の方向で記載される。ペプチドに組み込むことができるアミノ酸は、公知の天然アミノ酸のいずれかを含む。
【0043】
加えて、本発明のペプチドはまた、修飾アミノ酸、すなわち事実上天然に存在しないアミノ酸を含み得る。例えば、本発明のペプチドは、ノルロイシン、または当技術分野で公知の他の修飾アミノ酸を含んでいてよい。
【0044】
本発明のペプチドは、本明細書に開示のアミノ酸配列からのみなってもよく、それらの配列に加えて他のアミノ酸を含んでもよい。本明細書に記載のポリペプチド配列は、特に本発明のスクリーニング方法で使用される場合、配列のN末端(アミノ末端)および/またはC末端(カルボキシ末端)に追加のアミノ酸を含んでいてよい。そのような追加のアミノ酸は、スクリーニング目的のためのポリペプチドの固定化を補助することも、生物活性の検出を容易にするためにポリペプチドが融合タンパク質の一部になることも可能にする。
【0045】
本発明のポリペプチドは、中鎖から長鎖の脂肪酸に結合する能力を保持する、上記配列のホモログまたは誘導体を含む。何ら重要な構造的または機能的変化を引き起こすことなく、多くの保存的アミノ酸置換をペプチドに導入することができる。したがって、あるアミノ酸を同様の「タイプ」の別のアミノ酸に置き換えること、例えば、ある疎水性アミノ酸を別の疎水性アミノ酸に置き換えることが可能になり得る。適切な保存的アミノ酸置換が当技術分野で公知である。このようなホモログおよび誘導体の場合には、本明細書で同定された特定配列との同一性の程度は、ホモログまたは誘導体が、脂肪酸に結合し、シグナルが下流に伝達される能力を保持するべきであるということに比べると、それほど重要ではない。しかしながら、適切には、本明細書に提供される配列に対して少なくとも90%の同一性を有するホモログまたは誘導体が提供される。最も好ましくは、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するホモログまたは誘導体が提供される。
【0046】
2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列のパーセント同一性は、最適な比較を目的として配列をアライメントし(例えば、配列の最良のアライメントのために、ギャップを第1の配列に導入することができる)、対応する位置のアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較することにより決定される。「最良のアライメント」とは、最も高いパーセント同一性をもたらす2つの配列のアライメントである。パーセント同一性は、比較される配列中の同一のアミノ酸残基またはヌクレオチドの数により決定される(すなわち、%同一性=同一の位置の数/位置の総数×100)。
【0047】
2つの配列間のパーセント同一性の決定は、当業者に公知の数学的アルゴリズムを用いて行うことができる。2つの配列を比較するための数学的アルゴリズムの一例は、Karlin and Altschul(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873−5877のように改変された、Karlin and Altschul(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264−2268のアルゴリズムである。Altschul,et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403−410のNBLASTおよびXBLASTプログラムは、そのようなアルゴリズムを組み込んでいる。本発明の核酸分子に相同なヌクレオチド配列を得るために、BLASTヌクレオチド検索を、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12を用いて行うことができる。本発明のタンパク質分子に相同なアミノ酸配列を得るために、BLASTタンパク質検索を、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3を用いて行うことができる。比較を目的としたギャップアライメントを得るために、Altschul et al.(1997)Nucleic Acids Res.25:3389−3402に記載のように、Gapped BLASTを利用することができる。あるいは、PSI−Blastを用いて、分子間の遠縁関係を検出する反復検索を行うことができる(Id.)。BLAST、Gapped BLAST、およびPSI−Blastプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメーターを使用することができる。http://www.ncbi.nlm.nih.govを参照されたい。配列の比較を目的として利用される数学的アルゴリズムの別の例は、Myers and Miller,CABIOS(1989)のアルゴリズムである。CGC配列アライメントソフトウェアパッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)は、そのようなアルゴリズムを組み込んでいる。当技術分野で公知の配列分析用の他のアルゴリズムとしては、Torellis and Robotti(1994)Comput.Appl.Biosci.,10:3−5に記載されるADVANCEおよびADAM;およびPearson and Lipman(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.85:2444−8に記載されるFASTAが挙げられる。FASTA内では、ktupは、検索の感度および速度を設定する制御オプションである。
【0048】
ヒトおよびげっ歯類のGPR120およびCD36タンパク質に関する実験は、リノール酸およびオレイン酸を用いて行われてきたが、そのうちの多数はノックアウトげっ歯類モデルであった。これらは受容体欠損の効果を示す一方、分子が受容体を活性化することを特に示していない。in vitroのヒトGPR120実験についてin vitroのオレイン酸およびリノール酸応答を示す例は、Galindo et al 2011 Chem.Sen.に記載されている。ヒトCD36実験は、リノール酸に関して(Kuda et al 2013 J.Biol.Chem)に記載されている。Cartoni et al,2010 J.Neurosci.は、GPR120ノックアウトマウスがリノール酸およびオレイン酸に対する応答を変化させたことを示した。Gaillard et al(2008,FASEB)は、マウスCD36+味覚受容体細胞はリノール酸に感受性があるが、CD36−味覚細胞はそうではないことを示した。本明細書に記載のポリペプチドのヒトおよびげっ歯類のホモログは、これらの特定の長鎖脂肪酸に結合することが示された。ネコ科およびイヌ科の等価配列は、本明細書に示されるように、濃度増加における、脂肪酸に対するin vivo応答を考慮すると、そのような分子に結合するように見える。さらに、ネコ科受容体を用いるin vitroアッセイにより、リノール酸およびオレイン酸による正の活性化が示されることが本明細書に記載される。
【0049】
本発明のスクリーニング方法で使用されるペプチドは、当技術分野で周知の化学合成法により製造することができる。例えば、ペプチドは、固相ペプチド合成を用いて化学的に合成することができる。これらの方法では固相または液相合成法のいずれかが使用される(例えば、固相合成技術については、J.M.Stewart,and J.D.Young,Solid Phase Peptide Synthesis,2nd Ed.,Pierce Chemical Co.,Rockford III.(1984)およびG.Barany and R.B.Merrifield,The Peptides:Analysis Synthesis,Biology editors E.Gross and J.Meienhofer Vol.2 Academic Press,New York,1980,pp.3−254;ならびに古典的溶液合成については、M Bodansky,Principles of Peptide Synthesis,Springer−Verlag,Berlin 1984,およびE.Gross and J.Meienhofer,Eds.,The Peptides:Analysis,Synthesis,Biology,supra,Vol 1を参照のこと)。他のペプチド合成法は当技術分野で公知である。
【0050】
あるいは、ペプチドは、ペプチドの前駆体をコードする核酸分子を発現させることにより生成することができる。別の態様では、本発明は、本発明のペプチドの前駆体をコードする核酸配列を提供する。そのような核酸は、当技術分野で周知の方法により合成することができる(例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual:3
rd Edition Sambrook and Russell,2001,Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照のこと)。
【0051】
加えて、ペプチドをコードする核酸を、適切な核酸ベクターに組み込むことができる。さらなる態様では、本発明は、本発明の核酸を含むベクターを提供する。ベクターは、ペプチドをコードする核酸配列に作動可能に連結されたプロモーターエレメントを有することができる。適切なベクターおよびそのようなベクターを作成する方法は、当技術分野で公知である。
【0052】
本発明の核酸または本発明のベクターを、宿主細胞に導入することができる。したがって、追加の態様では、本発明は、本発明の核酸またはベクターを含む細胞を提供する。細胞は、CHO K1細胞などの単離細胞であっても、他の適宜知られている安定な細胞株であってもよい。
【0053】
さらなる態様では、本発明は、本明細書に記載のポリペプチドを含む融合タンパク質を提供する。そのような融合タンパク質は、検出可能マーカー、担体などの機能性グループ、標識、安定化配列、または脂肪酸結合を検出することができる機構を含み得る。適切な標識としては、FLAGタグ、Hisタグ、MYCタグ、マルトース結合タンパク質、および当技術分野で公知の他のものが挙げられる。本発明はまた、そのような融合タンパク質をコードする核酸、融合タンパク質をコードする核酸を含有するベクター、およびそのような核酸またはベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0054】
そのような融合タンパク質を合成する方法は当技術分野で周知である。
【0055】
本発明の方法は、in silico法であってもよい。そのような方法は、
(i)ポリペプチドの(3次元)3D構造を予測するステップと、
(ii)試験化合物を用いて、ポリペプチドの予測された3D構造をin silicoでスクリーニングするステップと、
(iii)試験化合物がポリペプチドの結合部位と相互作用するか否かを予測するステップと、
(iv)化合物の3D構造がポリペプチドの3D構造の結合部位に適合する場合、ポリペプチドに結合しおよびその生物活性を調節するものとして化合物を同定するステップと
を含み得る。
【0056】
そのような手法および方法は、当業者に公知である。当業者によって通常行われるように、タンパク質構造データバンクから入手できる他のA群のGPCRの結晶構造をホモロジーモデリングの鋳型として用いて、GPR120のモデルを作製した。Modelerソフトウェアパッケージを使用した。当業者によって通常行われるように、個々の遊離脂肪酸(例えば、リノール酸)に対するシミュレーションおよび極小化を行った。適切なシミュレーションソフトウェアプログラムと同様に、任意の適切なモデリングソフトウェアパッケージを使用することができる。
【0057】
GPR120またはCD36に結合するものとして本発明のin silicoスクリーニングにより同定された化合物は、本発明のin vitro法によりさらに試験することができる。追加的または代替的に、そのような化合物は、in vivoで、例えば給餌試験で試験することができる。
【0058】
本発明のさらなる態様は、本発明の第1の態様に従って、GPR120受容体またはCD36受容体の生物活性を調節する化合物を提供する。
【0059】
したがって、本発明のこの態様の方法は、ネコ科またはイヌ科の動物のための食料に用いて、そのような食料の長期間の受容および一貫した摂取を保証することができる呈味化合物を同定するための適切なスクリーニング方法である。
【0060】
したがって、追加の態様では、本発明は、本発明の方法により同定された物質または化合物を含む食料を提供する。
【0061】
食料は、当技術分野で公知の任意のものであってよい。本発明の方法により同定された化合物は、ネコ科またはイヌ科の動物がその食餌で摂取することができる任意の製品中に組み込むことができる。したがって、本発明は、標準的な食物製品、サプリメント、ペットフード、飲料、スナック、およびおやつを包含する。食物製品は好ましくは調理品である。それは肉または動物由来材料(例えば、牛肉、ニワトリ、シチメンチョウ、子羊、血漿、髄骨等、またはそれらの2種以上)を組み込むことができる。あるいは、食物製品は、肉を含まずにタンパク質源を提供することができる(好ましくは、大豆、トウモロコシグルテン、または大豆製品など肉の代用品を含む)。製品は、例えば、大豆タンパク質濃縮物、乳タンパク質、グルテン等の追加のタンパク質源を含有し得る。製品はまた、デンプン源、例えばゼラチン状のデンプン、例えば1種または複数の穀物(例えば、小麦、トウモロコシ、米、燕麦、大麦等)を含有しても、デンプンを含有しなくてもよい。典型的な市販ドライキャットフードは、約10〜70%の粗タンパク質、約10〜60%の脂肪、ならびに食物繊維および灰分を含めて、残り炭水化物を含有する。典型的なウェットまたはモイスト製品は、(乾燥物質に基づいて)約40%の脂肪、50%のタンパク質、ならびに残り繊維および灰分を含有する。本発明は、特に、ネコまたはイヌ用の食餌、食料、またはサプリメントとして販売されている、本明細書に記載のペット食料に関する。本テキストでは、「飼い」ネコという用語は、ネコ、特に、フェリス・ドメスティカス(Felis domesticus)(イエネコ(Felis catus))を意味し、「飼い」イヌという用語は、イヌ、特に、カニス・ルーパス・ファミリアリス(Canis lupus familiaris)を意味する。好ましくは、ペットの食料は、動物の主要栄養素の必要量を満たす。
【0062】
本発明の各態様の好ましい特徴は、必要な変更を加えて他の態様のそれぞれに関しても同様である。
【0063】
参考文献はすべて、法律により許可される最も完全な程度まで本明細書に開示される。
【0064】
次に、以下の非限定実施例を参照しながら本発明を説明する。以下に添付図に関して言及する。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【
図1】ネコ科GPR120のアミノ酸配列を示す図である。
【
図2】ネコ科GPR120のヌクレオチド配列を示す図である。
【
図3】ネコ科CD36のアミノ酸配列を示す図である。
【
図4】ネコ科CD36のヌクレオチド配列を示す図である。
【
図5】イヌ科GPR120のアミノ酸配列を示す図である。
【
図6】イヌ科GPR120のヌクレオチド配列を示す図である。
【
図7】イヌ科CD36のアミノ酸配列を示す図である。
【
図8】イヌ科CD36のヌクレオチド配列を示す図である。
【
図9】ヒトGPR120のアミノ酸配列を示す図である。
【
図10】ヒトGPR120のヌクレオチド配列を示す図である。
【
図11】ヒトCD36のアミノ酸配列を示す図である。
【
図12】ヒトCD36のヌクレオチド配列を示す図である。
【
図13】配列番号3と公開されたネコ科CD36配列との間の配列の相違を示す図である。
【
図14】オレイン酸に対するネコ科の用量応答曲線を示す図である。
【
図15】リノール酸に対するネコ科の用量応答曲線を示す図である。
【
図16】ラウリン酸に対するネコ科の用量応答曲線を示す図である。
【
図17】パルミチン酸に対するネコ科の用量応答曲線を示す図である。
【
図18】リノール酸に対するイヌ科の応答曲線を示す図である。
【
図19】オレイン酸に対するイヌ科の応答曲線を示す図である。
【
図20】ネコ科GPR120の予測構造を示す図である。
【
図22】安定な細胞株における、ネコ科GPR120の一過性トランスフェクションを示す図である。
【
図23】CHOK1細胞における、ネコ科GPR120の一過性トランスフェクションを示す図である。
【
図24】ネコ科GRP120に対するin vitroアッセイを用いて得られた遊離脂肪酸用量応答曲線およびEC
50値を示す図である。
【
図25】ネコ科GPR120の単独およびCD36とのコトランスフェクションに対するin vitroアッセイを用いて得られた遊離脂肪酸用量応答曲線および対応するEC
50値を示す図である。
【
図26】CD36のアンタゴニストであるSSOの存在下でネコCD36のみに対する蛍光応答を示す図である。
【
図27】in silico法を用いた、GPR120の結合部位におけるリノール酸の模式図である。
【
図28】in silico法を用いた、GPR120の結合部位におけるオレイン酸の模式図である。
【実施例】
【0066】
実施例1
ネコ科GPR120の適正な配列の決定
頬スワブを用いて、DNAを26匹のネコから採取した。各ネコから2つのスワブ(swabs)を採取した。Qiagen DNeasy Blood and Tissue Kitで抽出したDNAを配列決定に使用した。公的に入手可能なネコ科配列ゲノムに基づいて、エクソン領域に隣接するようにプライマーを設計した。エクソン領域はすべて、可能な場合は両方向から配列決定した。配列は、Sequencher v5.1(Gene Codes,USA)を用いて分析した。26匹のネコに由来するコンセンサス配列を公的に入手可能な配列と比較し、すべてのエクソンに対する最終コンセンサス配列を作成した。
【0067】
これらの配列は、RIMA−Seqデータおよびネコおよびヒトの公的に入手可能な配列を参照しながら、再配列決定されたWCPNネコデータに基づいたものである。
【0068】
確認されたfGPR120コード配列は、Ensembl上の配列と一致する。ヒトで同定された他の長いアイソフォームは機能的にシグナル伝達しないので、これは適正なアイソフォームである。
【0069】
実施例2
ネコ科CD36の適正な配列の決定
頬スワブを用いて、DNAを26匹のネコから採取した。各ネコから2つのスワブを採取した。Qiagen DNeasy Blood and Tissue Kitで抽出したDNAを配列決定に使用した。公的に入手可能なネコ科配列ゲノムに基づいて、エクソン領域に隣接するようにプライマーを設計した。エクソン領域はすべて、可能な場合は両方向から配列決定した。配列は、Sequencher v5.1(Gene Codes,USA)を用いて分析した。26匹のネコに由来するコンセンサス配列を公的に入手可能な配列と比較し、すべてのエクソンに対する最終コンセンサス配列を作成した。
【0070】
これらの配列は、RNA−Seqデータ、ネコ科の味蕾に由来するcDNA配列決定データ、およびネコおよびヒトの公的に入手可能な配列を参照しながら、再配列決定されたWCPNネコデータに基づいたものである。
【0071】
ヒトとネコの両方に関する、Ensembl上で入手可能な転写物配列は、第1停止コドンの後に複数の部分を含有する。ヒトの場合と同様に、ネコでは、第1停止コドンまでの転写物配列の第1の部分が主要なコード配列であるように見える。
【0072】
位置300には、8個の連続したアデニン残基がある。これは、Ensembl上の予測された転写物とは異なるが、ネコの他のアイソフォームの長さと一致し、かつヒトタンパク質の長さと一致する472アミノ酸のタンパク質をもたらす。したがって、Ensembl上で予測された転写物はいずれも、この配列に正確には一致しないが、ネコ味覚乳頭に由来するcDNAの配列決定から、これが適正な転写物配列形態であることが示される。
【0073】
実施例3
イヌ科GPR120の適正な配列の決定
84匹のイヌから少量の血液試料を用いてDNAを採取した。15倍の平均カバレッジを与えるすべての試料について、イルミナプラットフォームを用いる全ゲノム配列決定を行った。Bowtie2を用いて、データを参照ゲノムに対してマッピングした。目的の領域をインハウスのPerlスクリプトを用いて抽出した。エクソン領域を同定し、すべてのエクソンに対する最終コンセンサス配列を作成した。
【0074】
これらの配列は、RNA−Seqデータならびにイヌおよびヒトの公的に入手可能な配列を参照しながら、ゲノム配列決定イヌデータに基づいたものである。
【0075】
確認されたイヌ科GPR120コード配列は、Ensembl上の配列と一致する。
【0076】
実施例4
イヌ科CD36の適正な配列の決定
84匹のイヌから少量の血液試料を用いてDNAを採取した。15倍の平均カバレッジを与えるすべての試料について、イルミナプラットフォームを用いる全ゲノム配列決定を行った。Bowtie2を用いて、データを参照ゲノムに対してマッピングした。目的の領域をインハウスのPerlスクリプトを用いて抽出した。エクソン領域を同定し、すべてのエクソンに対する最終コンセンサス配列を作成した。
【0077】
これらの配列は、RNA−Seqデータならびにイヌおよびヒトの公的に入手可能な配列を参照しながら、ゲノム配列決定イヌデータに基づいたものである。
【0078】
確認されたイヌ科CD36コード配列は、Ensembl上の配列と一致する。
【0079】
実施例5
オレイン酸に対するネコ科応答を決定するための給餌試験
ネコのゲルパネルを用いて、単体の曝露における一連の濃度のオレイン酸の嗜好性を比較した。0.001%オレイン酸〜1%オレイン酸の範囲に及ぶ8濃度のオレイン酸について、用量応答を試験した。すべての製品(ブランク、0%オレイン酸、を含む)は、ベースラインのゲル摂取を増大させるために、食物摂取用/正の呈味物質として、25mM L−ヒスチジンを含有し、負の影響の可能性があるオレイン酸濃度の同定を可能にした。
【0080】
0.1%、0.2%、0.3%、および0.6%(w/v)のオレイン酸濃度が、ブランク(0%オレイン酸)に比較して顕著に高い摂取をもたらし、ネコがリノール酸の味を感じることができることが示された。
【0081】
実施例6
リノール酸に対するネコ科応答を決定するための給餌試験
ネコのゲルパネルを用いて、単体の曝露における一連の濃度のリノール酸の嗜好性を比較した。0.001%リノール酸〜1%リノール酸の範囲に及ぶ8濃度のリノール酸について、用量応答を試験した。すべての製品(ブランク、0%リノール酸、を含む)は、ベースラインのゲル摂取を増大させるために、食物摂取用/正の呈味物質として、25mM L−ヒスチジンを含有し、負の影響の可能性があるリノール酸濃度の同定を可能にした。
【0082】
0.1%(w/v)のリノール酸濃度が、ブランク(0%リノール酸)に比較して顕著に高い摂取をもたらした。濃度が高くなると、ブランク(0%リノール酸)に比較して摂取が低下し、忌避的/拒否的になる傾向があり、ネコがリノール酸の味を感じることができることが示された。
【0083】
実施例7
ラウリン酸に対するネコ科応答を決定するための給餌試験
ネコのゲルパネルを用いて、単体の曝露における一連の濃度のラウリン酸の嗜好性を比較した。0.05%ラウリン酸〜1%ラウリン酸の範囲に及ぶ5濃度のラウリン酸について、用量応答を試験した。すべての製品(ブランク、0%ラウリン酸、を含む)は、ベースラインのゲル摂取を増大させるために、食物摂取用/正の呈味物質として、25mM L−ヒスチジンを含有し、負の影響の可能性があるラウリン酸濃度の同定を可能にした。
【0084】
0.1%のラウリン酸濃度が、ブランク(0%ラウリン酸)に比較して全体的に最も高い摂取をもたらした。しかしながら、試験した最高濃度である0.6%および1%のラウリン酸は、ブランク(0%ラウリン酸)に比較して、顕著に忌避的/拒否的であり、ネコがラウリン酸の味も感じることができることが示された。
【0085】
実施例8
パルミチン酸に対するネコ科応答を決定するための給餌試験
ネコのゲルパネルを用いて、単体の曝露における一連の濃度のパルミチン酸の嗜好性を比較した。0.05%パルミチン酸〜1%パルミチン酸の範囲に及ぶ5濃度のパルミチン酸について、用量応答を試験した。すべての製品(ブランク、0%パルミチン酸、を含む)は、ベースラインのゲル摂取を増大させるために、食物摂取用/正の呈味物質として、25mM L−ヒスチジンを含有し、負の影響の可能性があるパルミチン酸濃度の同定を可能にした。
【0086】
パルミチン酸が室温で固体である(融解温度、約63℃)という事実のため、試験したパルミチン酸濃度のいずれにおいても摂取にあまり差がなかった。したがって、パルミチン酸は脂肪酸受容体と相互作用し結合して、ネコに味覚応答をもたらすことができなかった。
【0087】
実施例9
リノール酸に対するイヌ科応答を決定するための給餌試験
2つの異なるイヌパネルを用いて、複数濃度のリノール酸の嗜好性を比較した。各パネルは、単一品種のイヌから構成し;各パネルは異なる品種とした。
【0088】
イヌ科パネルを用いて、単体の曝露における一連の濃度のリノール酸の嗜好性を比較した。0.01%リノール酸〜1%リノール酸の範囲に及ぶ3濃度のリノール酸について、用量応答を試験した。すべての製品(ブランク、0%リノール酸、を含む)は、ベースラインのゲル摂取を増大させるために、食物摂取用/正の呈味物質として、100mM L−ヒスチジンを含有し、負の影響の可能性があるリノール酸濃度の同定を可能にした。
【0089】
異なる品種は、リノール酸に対して異なる応答を示した。品種1は、ブランク(0%リノール酸)に比較して、試験した最高濃度の1%のリノール酸に対して顕著な正の/食物摂取応答を示し、一方品種2では、試験したリノール酸濃度間の差は小さかった。
【0090】
実施例10
オレイン酸に対するイヌ科応答を決定するための給餌試験
2つの異なるイヌパネルを用いて、複数濃度のオレイン酸の嗜好性を比較した。各パネルは、単一品種のイヌから構成し;各パネルは異なる品種とした。
【0091】
イヌ科パネルを用いて、単体の曝露における一連の濃度のオレイン酸の嗜好性を比較した。0.01%オレイン酸〜1%オレイン酸の範囲に及ぶ3濃度のオレイン酸について、用量応答を試験した。すべての製品(ブランク、0%オレイン酸、を含む)は、ベースラインのゲル摂取を増大させるために、食物摂取用/正の呈味物質として、100mM L−ヒスチジンを含有し、負の影響の可能性があるオレイン酸濃度の同定を可能にした。
【0092】
異なる品種は両方とも、オレイン酸に対して応答を示した。品種1は、ブランク(0%オレイン酸)に比較して、試験した最高濃度の1%のオレイン酸に対して顕著な正の/食物摂取応答を示し、一方品種2は、ブランク(0%リノール酸)に比較して、0.1%のオレイン酸に対して顕著な正の/食物摂取応答を示した。このデータから、イヌがオレイン酸の味を感じることができたことが示される。
【0093】
実施例11
GP120およびGPR120+CD36受容体のin vitroアッセイの開発および使用のための方法
最初に、標的受容体GPR120およびCD36に対する遺伝子配列を、ネコおよびイヌの遺伝子を再配列決定することにより確認した。
【0094】
GPR120(FFAR4、O3FAR1)の場合、得られた配列を、現在入手可能なネコ科またはイヌ科の参照配列およびヒトの参照配列と比較した。短いアイソフォームに対する配列を使用した。
【0095】
CD36の場合にも、得られた配列を、現在入手可能なネコ科またはイヌ科の参照配列およびヒトの参照配列と比較した。
【0096】
いったん標的配列を確立したならば、それらを合成し、発現ベクターpcDNA3.1HygroおよびpcDNA3.1G418にクローニングした。次いで、これらのコンストラクトを、リポフェクタミン2000を用いて、CHO K1不死化細胞株および他の一般に用いられる細胞株に一過性にトランスフェクトし、標的タンパク質の順調な発現を確立するために試験を行った。この試験はカルシウム感受性蛍光色素(Fluo8)を用いて行った。トランスフェクトした細胞を、384ウェルアッセイプレートに播種した。細胞に色素を負荷した後、受容体のアゴニストで細胞をチャレンジすることにより、細胞内カルシウム放出に関連した蛍光の増加を測定することで、FLIPR
TETRA機器にて細胞の応答を記録することができ、それによって受容体の機能的な発現を確認した。適切な実験制御により、細胞の反応が非特異的であるといういかなる可能性も、蛍光増加が細胞による細胞内カルシウムの放出以外の要因によるといういかなる可能性も排除される。
【0097】
安定な細胞株AまたはCHOK1細胞株で一過性に発現された場合、ヒトおよびネコのGPR120は両方とも、マイクロモル範囲の脂肪酸に特異的応答を示した(それぞれ
図22および
図23)。ヒト受容体は、外来性Gタンパク質の存在を必要としなかったが、ネコ受容体は、安定な細胞株Aではこれを必要とした。試験した化合物すべてについて、用量応答曲線を作成し(
図24)、EC
50値を算出した。GPR120とCD36の同時トランスフェクションの効果を
図25に示す。
【0098】
実施例12
CD36受容体のin vitroアッセイの開発および使用ための方法
最初に、標的受容体CD36に対する遺伝子配列を、ネコおよびイヌの遺伝子を再配列決定することにより確認した。
【0099】
得られたCD36配列を、現在入手可能なネコ科またはイヌ科の参照配列およびヒトの参照配列と比較した。
【0100】
いったん標的配列を確立したならば、それを合成し、発現ベクターpcDNA3.1Hygroにクローニングした。次いで、このコンストラクトを、リポフェクタミン2000を用いて、CHO K1不死化細胞株および他の一般に用いられる細胞株に一過性にトランスフェクトし、標的タンパク質の順調な発現を確立するために試験を行った。この試験はカルシウム感受性蛍光色素(Fluo8)を用いて行った。トランスフェクトした細胞を、384ウェルアッセイプレートに播種した。細胞に色素を負荷した後、受容体のアゴニストで細胞をチャレンジすることにより、細胞内カルシウム放出に関連した蛍光の増加を測定することで、FLIPR
TETRA機器にて細胞の応答を記録することができ、それによって受容体の機能的な発現を確認した。適切な実験制御により、細胞の反応が非特異的であるといういかなる可能性も、蛍光増加が細胞による細胞内カルシウムの放出以外の要因によるといういかなる可能性も排除される。
【0101】
推定上のCD36アンタゴニストであるスルホ−N−スクシニミジルオレアート(SSO)がタプシガルジンによる前処理後CD36媒介カルシウム流入を阻害するか否かを立証するために、CD36のさらなる実験を行った。CD36または模擬対照(mock control)でトランスフェクトされた細胞の反応を
図26に示す。
【0102】
実施例13
GPR120受容体のin silicoモデルの開発および使用のための方法
タンパク質構造データバンクから入手可能なA群のGPCRの結晶構造をホモロジーモデリングの鋳型として用いて、GPR120のモデルを構築した。Modelerソフトウェアパッケージを使用した。
【0103】
個々の遊離脂肪酸(例えば、リノール酸)に対するシミュレーションおよび極小化を行った。Discovery StudioのプログラムCharmmを使用した。
他の実施態様
1.(i)ネコ科もしくはイヌ科のGPR120またはネコ科もしくはイヌ科のCD36受容体の配列;
(ii)配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7で示されるアミノ酸配列;
(iii)配列番号1または配列番号3に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列;
(iv)配列番号5または配列番号7に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列;
(v)配列番号3または配列番号7のアミノ酸127〜279を含むアミノ酸配列;
(vi)(i)、(ii)、(iii)、(iv)または(v)の機能性断片
を含むポリペプチドに結合するおよび/またはその活性を調節する化合物を同定する方法において、
試験化合物が、前記ポリペプチドに結合するか否かおよび/またはその活性を調節するか否かを特定するステップを含む方法。
2.(a)GPR120受容体および/またはCD36受容体に結合するおよび/またはその活性を調節する呈味化合物を同定する方法において、
a)前記GPR120受容体が、
i)ネコ科、イヌ科もしくはヒトのものであるか;
ii)配列番号1、配列番号5もしくは配列番号9のアミノ酸配列を有するか;または
iii)配列番号1、配列番号5もしくは配列番号9に対して少なくとも87%同一であり;および、
b)CD36受容体が、
i)ネコ科、イヌ科もしくはヒトのものであり;
ii)配列番号3、7もしくは11のアミノ酸配列を有し;
iii)配列番号3、7もしくは11に対して少なくとも83%同一である、方法。
3.in vitro法である、実施態様1または2記載の方法。
4.in silico法である、実施態様1または2記載の方法。
5.(i)化合物の非存在下および存在下における前記ポリペプチドの生物活性を測定するステップ、および
(ii)化合物の非存在下と存在下との間で生物活性に差がある場合に、前記ポリペプチドに結合するまたはその生物活性を調節するものとして前記化合物を同定するステップ、
を含む、実施態様3記載のin vitro法。
6.前記ポリペプチドを化合物と接触させるステップをさらに含む、実施態様5記載のin vitro法。
7.(a)前記ポリペプチドの3次元(3D)構造を予測するステップ、
(b)試験化合物の3D構造を用いて、前記ポリペプチドの予測された3D構造をin silicoでスクリーニングするステップ、
(c)前記試験化合物が前記ポリペプチドの結合部位に適合するか否かを特定するステップ、および
(d)化合物の3D構造が前記ポリペプチドの3D構造の結合部位に適合する場合、前記ポリペプチドに結合しおよびその生物活性を調節するものとして前記化合物を同定するステップ、
を含む、実施態様4記載のin silico法。
8.実施態様1〜7いずれか記載の方法により同定された物質または化合物を含む食料。
9.化合物または物質が、
(i)ネコ科もしくはイヌ科のGPR120またはネコ科もしくはイヌ科のCD36受容体の配列;
(ii)配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7で示されるアミノ酸配列;
(iii)配列番号1または配列番号3に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列;
(iv)配列番号5または配列番号7に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列;
(v)配列番号3または配列番号7のアミノ酸127〜279を含むアミノ酸配列;
(vi)(i)、(ii)、(iii)、(iv)または(v)の機能性断片
を含むポリペプチドを活性化するか否かを特定するためのキットにおいて、
前記(i)〜(vi)の1つまたは複数のポリペプチド、および1つまたは複数の試験化合物を含むキット。
10.配列番号3で示されるアミノ酸配列を含む、単離ポリペプチド。
11.実施態様10記載のポリペプチドをコードする単離核酸。
12.配列番号4のヌクレオチド配列を含む、実施態様11記載の核酸。
13.実施態様11または12記載の核酸を含むベクター。
14.実施態様10記載のポリペプチド、実施態様11または12記載の核酸、あるいは実施態様13記載のベクターを含む、宿主細胞。
15.(i)ネコ科もしくはイヌ科のGPR120またはネコ科もしくはイヌ科のCD36受容体の配列;
(ii)配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7で示されるアミノ酸配列;
(iii)配列番号1、配列番号3に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列;
(iv)配列番号5または配列番号7に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列;
(v)配列番号3または配列番号7のアミノ酸127〜279を含むアミノ酸配列;
(vi)(i)、(ii)、(iii)、(iv)または(v)の機能性断片
を含むポリペプチドを含む、融合タンパク質。
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]