特許第6267427号(P6267427)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6267427
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】はんだ付け方法及び実装基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/34 20060101AFI20180115BHJP
   B23K 1/00 20060101ALI20180115BHJP
   B23K 1/20 20060101ALI20180115BHJP
   B23K 35/26 20060101ALN20180115BHJP
   C22C 13/00 20060101ALN20180115BHJP
   B23K 101/42 20060101ALN20180115BHJP
   B23K 103/12 20060101ALN20180115BHJP
【FI】
   H05K3/34 512C
   B23K1/00 330E
   B23K1/20 J
   H05K3/34 505F
   !B23K35/26 310A
   !C22C13/00
   B23K101:42
   B23K103:12
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-14864(P2013-14864)
(22)【出願日】2013年1月29日
(65)【公開番号】特開2014-146713(P2014-146713A)
(43)【公開日】2014年8月14日
【審査請求日】2016年1月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】599036233
【氏名又は名称】株式会社谷黒組
(74)【代理人】
【識別番号】100117226
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 俊一
(72)【発明者】
【氏名】谷黒 克守
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 源蔵
【審査官】 原田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−222986(JP,A)
【文献】 特開2007−059506(JP,A)
【文献】 特許第5079170(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/34
B23K 1/00
B23K 1/20
B23K 35/26
B23K 101/42
B23K 103/12
C22C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に電子部品をはんだ付けする方法であって、
前記基板及び前記電子部品が有する電極表面を有機脂肪酸含有溶液により清浄化し、該電極上に該有機脂肪酸コーティング膜を設ける工程と、
該コーティング膜を設けた電極を、錫を主成分、ニッケルを副成分とし、銀を含まない溶融鉛フリーはんだであって前記と同じ有機脂肪酸含有溶液に溶融状態で撹拌して精製されたはんだに接触させることにより、該電極に含まれる成分と該成分に化合して電極溶食防止層を形成する成分とが化合して形成される前記電極溶食防止層を有するはんだ層が形成された基板及び電子部品を準備する工程と、
前記はんだ層が形成された基板に、前記電極のはんだ濡れ性を向上させる成分である銀を含まないはんだ材料を付着させる工程と、
その後、前記はんだ材料を付着させた基板及び前記はんだ層が形成された電子部品を加熱処理して前記基板に前記電子部品をはんだ付けする工程と、を有する、ことを特徴とするはんだ付け方法。
【請求項2】
前記はんだ材料が、前記電極に含まれる成分に化合して前記電極溶食防止層を形成する成分であるニッケルを含まない、請求項に記載のはんだ付け方法。
【請求項3】
前記基板が、プリント基板、ウエハー及びフレキシブル基板から選ばれるいずれかであり、前記電子部品が、チップ、抵抗、コンデンサ及びフィルタから選ばれるいずれかである、請求項1又は2に記載のはんだ付け方法。
【請求項4】
基板に電子部品がはんだ付けされた実装基板であって、
前記基板及び前記電子部品が有する電極表面は、有機脂肪酸含有溶液により清浄化され、該電極上に該有機脂肪酸コーティング膜が形成され、
該コーティング膜が設けられた電極は、錫を主成分、ニッケルを副成分とし、銀を含まない溶融鉛フリーはんだであって前記と同じ有機脂肪酸含有溶液に溶融状態で撹拌して精製されたはんだに接触させることにより、該電極に含まれる成分と該成分に化合して電極溶食防止層を形成する成分とが化合して前記電極溶食防止層を有するはんだ層が形成されており、
前記はんだ層が形成された基板と前記はんだ層が形成された電子部品とが、該電極のはんだ濡れ性を向上させる成分である銀を含まないはんだ材料によりはんだ付けされていることを特徴とする実装基板。
【請求項5】
前記はんだ材料が、前記電極に含まれる成分に化合して前記電極溶食防止層を形成する成分であるニッケルを含まない、請求項4に記載の実装基板。
【請求項6】
前記基板が、プリント基板、ウエハー及びフレキシブル基板から選ばれるいずれかであり、前記電子部品が、チップ、抵抗、コンデンサ及びフィルタから選ばれるいずれかである、請求項4又は5に記載の実装基板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだ材料及びそのはんだ材料を用いたはんだ付け材料に関する。詳しくは、電極溶食防止層を有するはんだ層が電極上に形成されている基板又は電子部品に対して、低コストで且つ高い信頼性ではんだ付けすることができるはんだ材料及びそのはんだ材料を用いたはんだ付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリント基板、ウエハー及びフレキシブル基板等の基板(以下、「実装基板」ともいう。)は、配線密度や実装密度がますます向上している。実装基板は、電子部品をはんだ付けするための電極を多数有している。その電極上に、電子部品をはんだ付けするためのはんだバンプやはんだペースト等のはんだ(以下、「接続はんだ」ともいう。)が設けられ、電子部品は、その接続はんだにはんだ付けされて実装基板に実装される。
【0003】
接続はんだは、電子部品との接合信頼性が高く、かつ高精度で耐久性に優れることが要求される。そうした接合はんだを、環境に配慮した鉛フリーのはんだ材料で形成する場合は、通常、銀が必要不可欠な成分として含有されている。銀を含むはんだ材料は、一般的に、電極に対するはんだ濡れ性が向上し、電子部品との接続信頼性が優れたはんだを形成することができるといわれている。
【0004】
しかし、銀は亜鉛や錫等に比べて高価であるため、銀を含むはんだ材料を用いて電子部品を実装すると、コストがかかるという問題点がある。また、銀は融点が高いため、銀を含むはんだ材料は、融点を下げるためにビスマスやインジウム等の他の高価な成分をさらに含む場合があり、その場合はコストがさらに嵩むという問題点がある。そのため、鉛フリーでかつ銀を含まず、しかも上記した要求に応え得る基板又は電子部品用のはんだ材料が求められている。
【0005】
ところで、一般的な接続はんだの形成方法として、銅等からなる電極(例えば銅電極。以下同じ。)が設けられた実装基板をそのまま溶融はんだ中にディッピング(浸漬)する方法が知られている。銅電極にはんだが接触すると、銅とはんだに含まれる錫とが化合してCuSn金属間化合物が生成する。このCuSn金属間化合物の生成自体がはんだ接合の基本である。しかし、その現象は、銅電極がはんだに含まれる錫で侵食される態様で形成されることから「電極溶食」と呼ばれることがある。こうした電極溶食は、電子部品を接続する銅電極の容積を減少させて信頼性を低下させ、実装基板の信頼性を損なわせるおそれがある。そのため、溶融はんだ中への実装基板のディッピング時間を短縮して電極溶食を抑制することが必要であり、そのために、実装基板の銅電極上に予備はんだ層を形成し、その後に実装基板を溶融はんだ中にディッピングする方法(ディッピング方法)が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5079169号公報
【特許文献2】特許第5079170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者は、これまでに、上記特許文献1及び2の実施形態の一例として、錫を主成分とし、ニッケルを副成分として少なくとも含む溶融はんだを用いて、銅電極上にCuNiSn金属間化合物層からなる電極溶食防止層を有するはんだ層を形成する技術を提案してきた。この技術によれば、溶融はんだがニッケルを必須に含むので、そのニッケルが銅電極の銅と化合し、さらに溶融はんだの錫とも化合してCuNiSn金属間化合物層を有するはんだ層が銅電極上に容易に形成される。CuNiSn金属間化合物層は、銅電極の銅溶食防止層として作用し、銅電極の欠損や消失を防ぐように作用する。その結果、CuNiSn金属間化合物層からなる電極溶食防止層を有するはんだ層は、その後において、そのはんだ層が実装された基板を高温で熱処理しても、銅電極がそのはんだ層中の成分に溶食されるのを抑制することができるという利点がある。
【0008】
本発明は、上記技術をさらに進めたものであって、その目的は、電極溶食防止層を有するはんだ層が電極上に形成されている基板又は電子部品に対して、低コストで且つ高い信頼性ではんだ付けすることができるはんだ材料を提供することにある。本発明の他の目的は、そうしたはんだ材料を用いたはんだ付け材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記課題を解決するための本発明に係るはんだ材料は、基板又は電子部品のはんだ付けのために設けられるはんだ材料であって、前記基板又は電子部品は、該基板又は電子部品が有する電極上に、該電極に含まれる成分と、該成分に化合して電極溶食防止層を形成する成分とが化合して形成された前記電極溶食防止層を有するはんだ層が形成されており、前記はんだ材料は、前記電極のはんだ濡れ性を向上させる成分を含まない、ことを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、はんだ材料が、電極のはんだ濡れ性を向上させる成分(「はんだ濡れ性向上成分」ともいう。例えば銀。)を含まないので、基板又は電子部品にはんだ付けできる低コストのはんだ材料を提供できる。また、このはんだ材料によってはんだ付けされる基板又電子部品は、その電極上にはんだ層が形成されているので、はんだ材料に銀等のはんだ濡れ性向上成分が含まれていなくても、はんだ付けの時にはんだ材料が電極上にすばやく濡れ広がる。その結果、接続信頼性が優れたはんだ付けが可能なはんだ材料にすることができる。また、その電極上のはんだ層が電極溶食防止層を有するので、はんだ付けする際にリフロー炉等により高温で熱処理しても、基板や電子部品の電極が電極溶食防止層によって保護されて溶食が起こりにくい。その結果、はんだ付け後の電極の信頼性が高いはんだ材料にすることができる。
【0011】
本発明に係るはんだ材料において、前記電極に含まれる成分に化合して前記電極溶食防止層を形成する成分を含まないことが好ましい。
【0012】
この発明によれば、電極に含まれる成分に化合して電極溶食防止層を形成する成分を含まないので、電極溶食防止層の成分とはんだ材料に含まれる成分とが同じ場合に起こることがある電極溶食防止層の厚さ拡大現象を抑制することができる。その結果、このはんだ材料ではんだ付けした基板又は電子部品が有する電極の信頼性をより一層向上させることができる。
【0013】
本発明に係るはんだ材料において、前記電極のはんだ濡れ性を向上させる成分が銀であり、前記電極溶食防止層を形成する成分がニッケルであることが好ましい。
【0014】
本発明に係るはんだ材料において、前記基板が、プリント基板、ウエハー及びフレキシブル基板から選ばれるいずれかであり、前記電子部品が、チップ、抵抗、コンデンサ及びフィルタから選ばれるいずれかであることが好ましい。
【0015】
(2)上記課題を解決するための本発明に係るはんだ付け方法は、上記したいずれかに記載のはんだ材料を用いたはんだ付け方法であって、前記基板又は電子部品が有した電極上に、該電極に含まれる成分と該成分に化合して電極溶食防止層を形成する成分とが化合して形成された前記電極溶食防止層を有したはんだ層が形成された基板又は電子部品を準備する工程と、前記基板又は電子部品に、前記電極のはんだ濡れ性を向上させる成分を含まないはんだ材料を付着させる工程と、その後、前記基板又は電子部品を加熱処理して前記はんだ材料をはんだ付けする工程と、を有する、ことを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、はんだ材料が、電極のはんだ濡れ性を向上させる成分を含まないので、基板又は電子部品を低コストではんだ付けすることができる。また、電極上にはんだ層を有した基板又は電子部品を準備するので、はんだ材料が電極上にすばやく濡れ広がる。その結果、接続信頼性が優れたはんだ付けが可能になる。また、そのはんだ層が電極溶食防止層を有しているので、加熱処理する工程でリフロー炉等により高温で熱処理しても、基板や電子部品が有する電極が電極溶食防止層によって保護され、溶食を抑制することができる。その結果、はんだ付け後の電極の信頼性を確保することができる。
【0017】
本発明に係るはんだ付け方法において、前記はんだ材料が、前記電極に含まれる成分に化合して電極溶食防止層を形成する成分を含まないことが好ましい。
【0018】
この発明によれば、はんだ材料が、電極に含まれる成分に化合して電極溶食防止層を形成する成分を含まないので、形成されるはんだは、電極溶食防止層を形成する成分を含まない。その結果、電極溶食防止層の成分とはんだに含まれる成分とが同じ場合に起こることがある電極溶食防止層の厚さ拡大現象を抑制することができ、はんだ付け後の電極の信頼性をより一層向上させることができるはんだ付け方法にすることができる。
【0019】
本発明に係るはんだ付け方法において、前記電極のはんだ濡れ性を向上させる成分が銀であり、前記電極溶食防止層を形成する成分がニッケルであることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るはんだ材料及びはんだ付け方法によれば、電極溶食防止層を有するはんだ層が電極上に形成されている基板又は電子部品に対して、低コストで且つ高い信頼性ではんだ付けすることができるはんだ材料及びそのはんだ材料を用いたはんだ付け材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係るはんだ材料ではんだ付けする基板の一例を示す断面図である。
図2】本発明に係るはんだ材料ではんだ付けする電子部品の一例を示す断面図である。
図3】本発明に係るはんだ材料で基板と電子部品とをはんだ付けする方法の一例を示す工程図である。
図4】本発明に係るはんだ材料を電極の電極溶食防止層上に付着させた後、熱処理した電極の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係るはんだ材料及びはんだ付け方法について、図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は、以下に具体的に示す実施形態に限定されるものではない。また、「電極溶食防止層」とは、電極を構成する成分の一部又は全部がはんだによって溶食(電極成分が拡散して溶け出す態様のこと。)されるのを抑えるように機能する層のことである。
【0023】
[はんだ材料]
本発明に係るはんだ材料5は、図1図3に示すように、基板10又は電子部品20のはんだ付けのために設けられるはんだ材料5である。基板10又は電子部品20は、図1及び図2に示すように、基板10又は電子部品20が有する電極2上に、その電極2に含まれる成分と、その成分に化合して電極溶食防止層3を形成する成分とが化合して形成された電極溶食防止層3を有するはんだ層4が形成されている。
【0024】
本発明に係るはんだ材料5は、電極2のはんだ濡れ性を向上させる成分を含まないことに特徴がある。電極2のはんだ濡れ性を向上させる成分は、例えば銀等に代表されるように高価であるため、はんだ付けの材料コストが高くなる。本発明では、こうした電極2のはんだ濡れ性を向上させる成分を含まないので、低コストで基板10や電子部品20のはんだ付けを行うことができる。
【0025】
また、基板10又は電子部品20が有する電極2上にはんだ層4(第1のはんだ層ともいう。)が形成されているので、そのはんだ層4が予備はんだとして作用し、はんだ材料5がそのはんだ層4を有する電極2上にすばやく濡れ広がる。その結果、電極2のはんだ濡れ性を向上させる成分を含まずに接続信頼性が優れたはんだ付けが可能なはんだ材料5にすることができる。さらに、そのはんだ層4が、電極溶食防止層3を有するので、はんだ付けする際にリフロー炉等により高温で熱処理しても、電極2の溶食を生じさせず信頼性が高いはんだ付けが可能なはんだ材料5にすることができる。
【0026】
以下、各構成について詳しく説明する。
【0027】
(はんだ材料)
はんだ材料5は、電極2のはんだ濡れ性を向上させる成分を含まなければよく、各種のはんだ組成のものを用いることができる。電極2のはんだ濡れ性を向上させる成分は、例えば、電極2が銅電極である場合は銀であり、他の素材の電極2の場合はその電極2の濡れ性を向上させる種々の成分である。また、はんだ材料5は、電極2の表面に形成されたはんだ層が有する電極溶食防止層4の成分と同じ成分を含まないことが好ましい。こうしたはんだ材料5は、電極溶食防止層3の成分とはんだ材料5に含まれる成分とが同じ場合に起こることがある電極溶食防止層3の厚さ拡大現象を抑制することができ、はんだ付け後の電極の信頼性をより一層向上させることができる。電極溶食防止能を生じさせる成分は、例えば、ニッケルを挙げることができる。
【0028】
はんだ材料5は、例えば、後述する実施例で用いたニッケルを含有しない4元系、3元系、2元系のはんだや、ニッケルを含有する5元系、4元系、3元系のはんだ、又はビスマス系の低温はんだであってもよい。はんだ材料5は、例えば、錫を主成分とし、銅、亜鉛、ビスマス、アンチモン及びゲルマニウムから選ばれる1種又は2種以上を副成分として任意に含む鉛フリーはんだが好ましく用いられる。こうしたはんだ材料5は、銀を含まない鉛フリーはんだ材料であるので、環境に配慮しつつ低コストで基板10又は電子部品20のはんだ付けを行うことができる。
【0029】
はんだ材料5は、銀もニッケルも含まないものとしては、SnCu系はんだ、SnGe系はんだ、SnP系はんだ、SnCuGe系はんだ、SnCuGeP系はんだ、SnZnAl系はんだ、SnSb系はんだ、等を用いることができる。また、銀もニッケルも含まない低融点はんだとしては、SnBi系はんだ、SnBiZn系はんだ、等を挙げることができる。また、銀を含まずニッケルを含むものとしては、SnNi系はんだ、SnCuNi系はんだ、SnGeNi系はんだ、SnPNi系はんだ、SnCuGeNi系はんだ、SnCuGePNi系はんだ、SnZnAlNi系はんだ、SnSbNi系はんだ、等を用いることができる。また、銀を含まずニッケルを含む低融点はんだとしては、SnBiNi系はんだ、SnBiZnNi系はんだ、等を挙げることができる。
【0030】
はんだ材料5は、150℃以上、300℃以下の程度の範囲内で溶融するはんだ材料であれば、ペーストはんだであってもよいし、溶融可能な金属はんだであってもよい。なかでも、ペーストはんだは便利に用いられ、錫を主成分とし、銅、亜鉛、ビスマス、アンチモン及びゲルマニウムから選ばれる1種又は2種以上を副成分として任意に含むはんだペースト(ソルダーペーストともいう。)が好ましく用いられる。はんだペーストは、はんだ粉末とフラックスとのペースト状の複合材料であり、電子部品を表面実装にてはんだ付けする工法(SMT)のうち、接合材料として印刷工程に用いられるものである。フラックスは、特に限定されず各種のものが任意に配合されたものを用いることができる。
【0031】
(基板又は電子部品)
基板10又は電子部品20は、上記したはんだ材料5ではんだ付けする部品である。基板10又は電子部品20は、図1及び図2に示すように、基材1上に1又は2以上の電極2を有している。電極2の表面に、その電極2に含まれる成分とその電極2に含まれる成分に化合して電極溶食防止層3を形成する成分とが化合して形成された電極溶食防止層3を有するはんだ層4が形成されている。なお、基板10又は電子部品20のはんだ層4の上には、そのはんだ層4の酸化や汚染を防止するための有機脂肪酸のコーティング膜が形成されていてもよい。
【0032】
基板10としては、例えば、基材1上に電極2が任意の形態及び数で設けられている、プリント基板、ウエハー、フレキシブル基板等を挙げることができる。電子部品20としては、コネクタ、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Out Line Package)、BGA(Ball Grid Array)、LGA(Land Grid Array)、半導体チップ、チップ抵抗、チップコンデンサ、ジャンパー配線材等を挙げることができる。
【0033】
電極2は、その種類、寸法及び形態は特に限定されないが、その上に形成されるはんだ層4を形成するための溶融はんだに含まれる錫と化合して金属間化合物層を形成する金属成分を含む導電性電極が対象になる。錫と化合して金属間化合物層を形成する金属成分としては、例えば、Cu、Ag、Au、Pd、Rh、Zn、Sn、Ni、Co、Bi等を挙げることができる。電極2は、こうした金属成分から選ばれる1種又は2種以上で構成されている。具体的な電極2としては、銅電極、銅合金電極、銀電極、銀合金電極、金電極、金合金電極、パラジウム電極、パラジウム合金電極、アルミニウム電極、アルミニウム合金電極等を挙げることができる。
【0034】
電極溶食防止層3は、後述するはんだ層4が有する層であり、電極2に含まれる成分と、その電極2に含まれる成分に化合して電極溶食防止層3を形成する成分とが化合して、電極2の表面に形成された層である。こうした電極溶食防止層3は、金属間化合物からなり、特に、ニッケル含有金属間化合物からなる層であることが好ましい。ニッケル含有金属間化合物としては、例えば、CuNiSn合金、AgNiSn合金、AuNiSn合金、PdNiSn合金、RhNiSn合金、ZnNiSn合金、SnNiSn合金、NiNiSn合金、CoNiSn合金、BiNiSn合金等からなる金属間化合物層を挙げることができる。こうしたニッケル含有金属間化合物からなる電極溶食防止層3は、はんだ層4を形成するための溶融はんだや、その後に用いるはんだ材料5に含まれる錫が電極2の構成成分(例えばCu)に化合して電極を欠損させたり消失させたりすることを防ぐように作用する。その結果、ニッケル含有金属間化合物からなる電極溶食防止層3を有するはんだ層4は、その後において、そのはんだ層4を有する基板を高温で熱処理しても、電極2がそのはんだ層4中の成分に溶食されるのを抑制することができる。
【0035】
電極溶食防止層3の厚さは、0.5μm以上、3μm以下であることが好ましい。電極溶食防止層3の電極溶食防止能を安定化させるためには、電極溶食防止層3が欠陥等を抑えた均一な厚さで形成されていることが好ましい。電極溶食層3の厚さを上記範囲にすることにより、電極2上に設けられたはんだ層4に含まれる成分(例えばSn等)が、電極成分(例えばCu等)に化合して溶食してしまうのを抑制することができる。電極溶食防止層3の厚さが厚すぎると、電極溶食防止層3自体に割れや亀裂が生じるおそれがあるので、最も厚い部分の厚さは、3μm以下であることが好ましい。電極溶食防止層3の最も薄い部分が0.5μm以上で最も厚い部分が3μm以下であり、かつ、電極溶食防止層3の全体の平均厚さが1μm以上、2μm以下であることが特に好ましい。なお、厚さは、断面を走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡で観察した結果から、測定箇所100ポイントの結果から算出した。
【0036】
はんだ層4(第1のはんだ層)は、電極2上に形成されている層であり、はんだ材料5を用いてはんだ付けする際に予備はんだとして作用する。こうしたはんだ層4が形成されているので、はんだ材料5が電極2上に濡れ広がり、接続信頼性が優れたはんだ付けが可能なはんだ材料5にすることができる。
【0037】
はんだ層4は、基板10又は電子部品20の電極2に、その電極2に含まれる成分に化合して金属間化合物からなる電極溶食防止層を形成する成分(例えばニッケル)を含む溶融はんだを接触させ、電極2上にその溶融はんだを付着させ、その後に余剰の溶融はんだを除去することで形成されている。
【0038】
具体的には、例えば、銅電極2を、錫及びニッケルを含む溶融はんだに接触させて銅電極2上にその溶融はんだを付着させる。付着させる方法は、後述の実施例のように、溶融はんだ中に基板10又は電子部品20を浸漬して付着させてもよいし、電極2のはんだ層4上に印刷し、その後に加熱溶融して溶融はんだを電極2上に付着させてもよい。付着させた溶融はんだに含まれるニッケルは、銅電極2の銅と化合し、さらに溶融はんだに含まれる錫とも化合してCuNiSn金属間化合物層が電極2の表面に容易に形成される。その後、付着した溶融はんだに向けて気流又は液流を噴射して、余剰の溶融はんだが除去される。その結果、電極2上に電極溶食防止層3が設けられ、その電極溶食防止層3上に薄いはんだ層4が設けられる。
【0039】
溶融はんだは、電極2が銅電極又は銅合金電極である場合には、錫を主成分とし、ニッケルを副成分として少なくとも含む溶融鉛フリーはんだが好ましく用いられる。また、錫ビスマス系はんだに少なくともニッケルを副成分として含む低融点溶融はんだも好ましく用いられる。こうした溶融鉛フリーはんだには、さらに、銅、ゲルマニウム及びリンから選ばれる1種又は2種以上が副成分として任意に含まれていてもよい。また、さらに濡れ性を高めるといわれている銀が含まれていてもよい。なお、溶融はんだを接触させる前に、電極2に有機脂肪酸含有溶液を接触させて電極2の表面を清浄化してもよい。事前に電極2の表面を清浄化することで、電極2のはんだ濡れ性が高められるので、その場合は、溶融はんだは高価な銀を含む必要はない。
【0040】
[はんだ付け方法]
本発明に係るはんだ付け方法は、上記したはんだ材料5を用いたはんだ付け方法であって、図3に示すように、基板10又は電子部品20が有した電極2上に、その電極2に含まれる成分とその成分に化合して電極溶食防止層3を形成する成分とが化合して形成された電極溶食防止層3を有したはんだ層4が形成された基板10又は電子部品20を準備する工程(図3A)と、基板10又は電子部品20に、電極2のはんだ濡れ性を向上させる成分を含まないはんだ材料5を付着させる工程(図3B、C)と、その後、基板10又は電子部品20を加熱処理して前記はんだ材料5をはんだ付けして第2のはんだ層6を形成する工程(図3D)と、を有する。本発明では、はんだ材料が、電極2のはんだ濡れ性を向上させる成分を含まないことを特徴とする。
【0041】
はんだ材料5、基板10、電子部品20、電極溶食防止層3及びはんだ層4については、上述のとおりであるので、ここではその記載を省略する。はんだ材料5をはんだ層4に付着させる方法は、特に限定されず、例えば、ペースト状のはんだ材料5を、所定のパターンが形成されたメッシュ等を用いてはんだ層4の上に任意の方法で印刷して付着させる方法、又は、金属状のはんだ材料5の溶融はんだをはんだ層4の上に設けて付着させる方法を挙げることができる。
【0042】
加熱処理する方法は、特に限定されず、例えば、リフロー炉等ではんだ材料の融点以上まで加熱して処理することができる。このはんだ付け方法は、基板10及び電子部品20が有する電極2上に電極溶食防止層3を有するはんだ層4が予め形成されているので、こうした熱処理によっても、電極2各部での電極溶食を抑えることができ、電極2の信頼性を保つことができる。
【実施例】
【0043】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【0044】
[実施例1]
実施例1は、第1のはんだ層をSnNiCuGe4元系はんだ材料で形成し、第2のはんだ層をSnCu2元系はんだ材料で形成した。
【0045】
(基板又は電子部品)
一例として、縦100mm×横100mmのプリント基板1に幅Wが50μmで厚さが20μmの銅配線パターンが形成された基板10を準備した(例えば図1参照)。その銅電極2に以下の組成を有する第1の有機脂肪酸含有溶液を噴射し、コーティング処理して銅電極2上に図示しない有機脂肪酸コーティング膜を設けた。この有機脂肪酸コーティング膜は、第1の有機脂肪酸含有溶液で銅表面を清浄化した結果として付着されるものである。第1の有機脂肪酸含有溶液として、ニッケル塩やコバルト塩等の金属塩や酸化防止剤等が含まれていないエステル合成油にパルミチン酸を10質量%になるように含有させた有機脂肪酸含有溶液を用いた。その第1の有機脂肪酸含有溶液の温度は150℃に制御した。
【0046】
引き続いて、以下の組成を有する溶融はんだAの液流(250℃)をコーティング処理した基板10に向けて噴射した。溶融はんだが吹き付けられた銅電極2上は、溶融はんだが付着して盛られた状態になった。用いた溶融はんだは、Ni:0.05質量%、Ge:0.005質量%、Cu:0.7質量%、残部がSnからなる4元系鉛フリーはんだ(融点:約227℃)を用い、そのはんだを上記第1の有機脂肪酸含有溶液と同じ有機脂肪酸含有溶液で250℃の条件下で強撹拌しで精製したものを用いた。この溶融はんだ5aの粘度は、250℃で0.0035Pa・sであった。
【0047】
引き続いて、銅電極2上に盛られた余剰の溶融はんだを除去した。その除去手段は、噴射ノズルを用い、噴射ノズルからは、上記した第1の有機脂肪酸含有溶液と同じ組成の第2の有機脂肪酸含有溶液を250℃に加温して噴射させた。溶融はんだを銅電極2に噴射してから、第2の有機脂肪酸含有溶液で余剰はんだを除去し、その後、部品にエアー流を吹き付けて第1の溶融はんだをその融点未満である200℃に急冷するまでの時間は、合計10秒であった。その結果、図1に示す形態の基板10を得た。この基板10は、銅電極2上に、電極溶食防止層3、はんだ層4(除去後に残っているはんだ層。)、図示しないコーティング膜の順で設けられている。
【0048】
こうして、電極溶食防止層3を有するはんだ層4が形成された基板10を準備した。その断面を電子顕微鏡で観察したところ、基板10が有する銅電極2上には、厚さ1.5μm程度で亀裂のない電極溶食防止層3が設けられている厚さTが2.5μm程度のはんだ層4が付着しており、そのはんだ層4上にコーティング膜が薄く付着していることを確認した。このように、有機脂肪酸含有溶液で銅表面を清浄化し、かつ有機脂肪酸含有溶液で精製した溶融はんだを用いることで、銀を含まなくても濡れ性よくはんだ層4が形成された基板10を準備することができる。こうした基板10を準備することで、基板10の準備段階から銀を用いることが不要となる。その結果、こうして準備した基板10に対しては、より低コストではんだ付けが可能なはんだ材料5を適用できる。
【0049】
(はんだ付け)
こうして得られた基板10の銅電極2上に、はんだ材料5をスクリーン印刷して付着させた(図3B)。実施例1に係るはんだ材料5として、Cu:3.0質量%、残部がSnからなる2元系鉛フリーはんだ(融点:約227℃)を用いた。
【0050】
引き続き、はんだ材料5上に電子部品20の銅電極2が接するように電子部品20を載せ(図3C)、引き続き、250℃に設定したリフロー炉で10分間加熱した。こうして、実施例1に係るはんだ材料5を用いて基板10と電子部品20とをはんだ付けした(図3D)。そのはんだ付け部分には、欠陥やボイドは見られなかった。また、その断面を電子顕微鏡で観察すると、図4(B)に示すように、電極2の溶食が極力抑えられており、図4(A)に示す当初のものとあまり変化していなかった。また、電極溶食防止層3の厚さははんだ付け前の基板10とほぼ同じ厚さであった。これらの製造条件を表1に示し、評価結果を表2に示した。
【0051】
[実施例2]
実施例2は、第1のはんだ層をSnNiCuGe4元系はんだ材料で形成し、第2のはんだ層をSnNiCu3元系はんだ材料で形成した。
【0052】
実施例1のはんだ材料5に替えて、実施例2に係るはんだ材料5として、Ni:0.5質量%、Cu:3.0質量%、残部がSnからなる3元系鉛フリーはんだ(融点:約228℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして、基板10と電子部品20とをはんだ付けした。そのはんだ付け部分には、欠陥やボイドは見られなかった。また、その断面を電子顕微鏡で観察すると、電極溶食防止層3がはんだ付け前の基板10よりもやや厚くなっていたものの、実施例1と同様に、電極2の溶食が極力抑えられており、当初のものとあまり変化していなかった。
【0053】
[実施例3]
実施例3は、第1のはんだ層をSnAgNiCuGe5元系はんだ材料で形成し、第2のはんだ層をSnCu2元系はんだ材料で形成した。
【0054】
実施例1の基板10に替えて、以下の基板10を用いた以外は、実施例1と同様に、基板10を準備した。すなわち、実施例1において、基板10について第1の有機脂肪酸によるコーティング処理及び溶融はんだの精製化処理は行わず、さらに、溶融はんだ5に替えて、以下の組成の溶融はんだを用いた以外は、実施例1で用いた基板10と同様にして、基板10を準備した。ここで用いた溶融はんだは、Ni:0.05質量%、Ge:0.005質量%、Ag:3質量%、Cu:0.5質量%、残部がSnからなる5元系鉛フリーはんだ(融点:約217℃)である。この基板10の断面を電子顕微鏡で観察したところ、基板10が有する銅電極2上には、厚さ1.5μm程度で亀裂のない電極溶食防止層3を有する厚さTが2.5μm程度のはんだ層4が付着しており、そのはんだ層4上にコーティング膜が薄く付着していることを確認した。
【0055】
引き続き、実施例1と同様に、基板10と電子部品20とをはんだ付けした。そのはんだ付け部分には、欠陥やボイドは見られなかった。また、その断面を電子顕微鏡で観察すると、実施例1と同様に、電極2の溶食が極力抑えられており、当初のものとあまり変化していなかった。
【0056】
[実施例4]
実施例4は、第1のはんだ層をSnAgNiCuGe5元系はんだ材料で形成し、第2のはんだ層をSnNiCu3元系はんだ材料で形成した。
【0057】
実施例1において、上記した実施例3で準備した基板10を用い、実施例2に係るはんだ材料5を用いた以外は、実施例1と同様に、基板10と電子部品20とをはんだ付けした。そのはんだ付け部分には、欠陥やボイドは見られなかった。また、その断面を電子顕微鏡で観察すると、電極溶食防止層3が実施例1よりもやや厚くなっていたものの、実施例1と同様に、電極2の溶食が極力抑えられており、当初のものとあまり変化していなかった。
【0058】
[比較例1]
比較例1は、第1のはんだ層をSnNiCuGe4元系はんだ材料で形成し、第2のはんだ層をSnAgNiCuGe5元系はんだ材料で形成した。
【0059】
実施例1において、はんだ材料5に替えて、比較例1に係るはんだ材料として、Ni:0.05質量%、Ge:0.005質量%、Ag:3質量%、Cu:0.5質量%、残部がSnからなる5元系鉛フリーはんだ(融点:約217℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして、基板10と電子部品20とをはんだ付けした。そのはんだ付け部分には、欠陥やボイドは見られなかった。また、その断面を電子顕微鏡で観察すると、実施例1と同様に、電極2の溶食が極力抑えられているものの、はんだ材料が銀を含んでいることから、材料コストが高い。
【0060】
[比較例2]
比較例2は、第1のはんだ層をSnAgCu3元系はんだ材料で形成し、第2のはんだ層をSnCu2元系はんだ材料で形成した。
【0061】
実施例1において、基板10に替えて、以下の基板10を用いた以外は、実施例1と同様に、基板10を準備した。すなわち、実施例1において、基板10について第1の有機脂肪酸によるコーティング処理及び溶融はんだの精製化処理は行わず、さらに、溶融はんだ5に替えて、以下の組成の溶融はんだを用いた以外は、実施例1で用いた基板10と同様にして、基板10を準備した。溶融はんだは、Cu:6質量%、Ag:2質量%、残部がSnからなる3元系鉛フリーはんだ(融点:約216℃)を用いた。この基板10の断面を電子顕微鏡で観察したところ、基板10が有する銅電極2上には、電極溶食防止層3は形成されておらず、厚さ1μm程度のはんだ層のみが付着していることが確認された。
【0062】
引き続き、実施例1と同様にして、はんだ材料5を用いて基板10と電子部品20とをはんだ付けした。そのはんだ付け部分には、欠陥やボイドは見られなかった。また、その断面を電子顕微鏡で観察すると、電極が溶食されて当初のものより痩せている様子が確認された。したがって、準備した基板が有する電極上に形成されたはんだ層が電極溶食防止層を有していない場合は、はんだ付け後の電極の信頼性を確保することが難しい。
【0063】
[比較例3]
比較例3は、第1のはんだ層は設けず、第2のはんだ層をSnAgNiCuGe5元系はんだ材料で形成した。
【0064】
実施例1において、基板10に替えて、基板10をそのまま(すなわち、有機脂肪酸を用いたコーティング処理をせず、かつはんだ層4を形成しない状態で)用い、かつ、はんだ材料5に替えて、上述の比較例1に係るはんだ材料を用いた以外は、実施例1と同様に、基板10と電子部品20とをはんだ付けした。そのはんだ付け部分には、欠陥やボイドは見られなかった。また、その断面を電子顕微鏡で観察すると、実施例1と同様に、電極2の溶食が極力抑えられているものの、はんだ材料が銀を含んでいることから、材料コストが高い。
【0065】
[比較例4]
比較例4は、第1のはんだ層は設けず、第2のはんだ層をSnAgCu3元系はんだ材料で形成した。
【0066】
実施例1において、基板10に替えて、基板10をそのまま(すなわち、有機脂肪酸でを用いたコーティング処理をせず、かつはんだ層を形成しない状態で)用い、かつはんだ材料5に替えて、以下の組成を有するはんだ材料を用いた以外は、実施例1と同様に、基板10と電子部品20とをはんだ付けした。はんだ材料は、Cu:6質量%、Ag:2質量%、残部がSnからなる3元系鉛フリーはんだ(融点:約216℃)を用いた。そのはんだ付け部分には、欠陥やボイドは見られなかった。また、その断面を電子顕微鏡で観察すると、電極が溶食されて当初のものより痩せている様子が確認された。したがって、比較例4に係るはんだ材料は、はんだ付け後の電極の信頼性を確保することが難しい。また、銀を含んでいることから、材料コストが高い。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
以上、本発明に係るはんだ材料及びはんだ付け方法によれば、電極上にはんだ層を有する基板又は電子部品を低コストで信頼性高くはんだ付けできるはんだ材料及びそのはんだ材料を用いたはんだ付け方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 基材
2 電極
3 電極溶食防止層
4 はんだ層(第1のはんだ層)
5 はんだ材料
6 第2のはんだ層
10 基板
20 電子部品


図1
図2
図3
図4