【実施例】
【0043】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【0044】
[実施例1]
実施例1は、第1のはんだ層をSnNiCuGe4元系はんだ材料で形成し、第2のはんだ層をSnCu2元系はんだ材料で形成した。
【0045】
(基板又は電子部品)
一例として、縦100mm×横100mmのプリント基板1に幅Wが50μmで厚さが20μmの銅配線パターンが形成された基板10を準備した(例えば
図1参照)。その銅電極2に以下の組成を有する第1の有機脂肪酸含有溶液を噴射し、コーティング処理して銅電極2上に図示しない有機脂肪酸コーティング膜を設けた。この有機脂肪酸コーティング膜は、第1の有機脂肪酸含有溶液で銅表面を清浄化した結果として付着されるものである。第1の有機脂肪酸含有溶液として、ニッケル塩やコバルト塩等の金属塩や酸化防止剤等が含まれていないエステル合成油にパルミチン酸を10質量%になるように含有させた有機脂肪酸含有溶液を用いた。その第1の有機脂肪酸含有溶液の温度は150℃に制御した。
【0046】
引き続いて、以下の組成を有する溶融はんだAの液流(250℃)をコーティング処理した基板10に向けて噴射した。溶融はんだが吹き付けられた銅電極2上は、溶融はんだが付着して盛られた状態になった。用いた溶融はんだは、Ni:0.05質量%、Ge:0.005質量%、Cu:0.7質量%、残部がSnからなる4元系鉛フリーはんだ(融点:約227℃)を用い、そのはんだを上記第1の有機脂肪酸含有溶液と同じ有機脂肪酸含有溶液で250℃の条件下で強撹拌しで精製したものを用いた。この溶融はんだ5aの粘度は、250℃で0.0035Pa・sであった。
【0047】
引き続いて、銅電極2上に盛られた余剰の溶融はんだを除去した。その除去手段は、噴射ノズルを用い、噴射ノズルからは、上記した第1の有機脂肪酸含有溶液と同じ組成の第2の有機脂肪酸含有溶液を250℃に加温して噴射させた。溶融はんだを銅電極2に噴射してから、第2の有機脂肪酸含有溶液で余剰はんだを除去し、その後、部品にエアー流を吹き付けて第1の溶融はんだをその融点未満である200℃に急冷するまでの時間は、合計10秒であった。その結果、
図1に示す形態の基板10を得た。この基板10は、銅電極2上に、電極溶食防止層3、はんだ層4(除去後に残っているはんだ層。)、図示しないコーティング膜の順で設けられている。
【0048】
こうして、電極溶食防止層3を有するはんだ層4が形成された基板10を準備した。その断面を電子顕微鏡で観察したところ、基板10が有する銅電極2上には、厚さ1.5μm程度で亀裂のない電極溶食防止層3が設けられている厚さTが2.5μm程度のはんだ層4が付着しており、そのはんだ層4上にコーティング膜が薄く付着していることを確認した。このように、有機脂肪酸含有溶液で銅表面を清浄化し、かつ有機脂肪酸含有溶液で精製した溶融はんだを用いることで、銀を含まなくても濡れ性よくはんだ層4が形成された基板10を準備することができる。こうした基板10を準備することで、基板10の準備段階から銀を用いることが不要となる。その結果、こうして準備した基板10に対しては、より低コストではんだ付けが可能なはんだ材料5を適用できる。
【0049】
(はんだ付け)
こうして得られた基板10の銅電極2上に、はんだ材料5をスクリーン印刷して付着させた(
図3B)。実施例1に係るはんだ材料5として、Cu:3.0質量%、残部がSnからなる2元系鉛フリーはんだ(融点:約227℃)を用いた。
【0050】
引き続き、はんだ材料5上に電子部品20の銅電極2が接するように電子部品20を載せ(
図3C)、引き続き、250℃に設定したリフロー炉で10分間加熱した。こうして、実施例1に係るはんだ材料5を用いて基板10と電子部品20とをはんだ付けした(
図3D)。そのはんだ付け部分には、欠陥やボイドは見られなかった。また、その断面を電子顕微鏡で観察すると、
図4(B)に示すように、電極2の溶食が極力抑えられており、
図4(A)に示す当初のものとあまり変化していなかった。また、電極溶食防止層3の厚さははんだ付け前の基板10とほぼ同じ厚さであった。これらの製造条件を表1に示し、評価結果を表2に示した。
【0051】
[実施例2]
実施例2は、第1のはんだ層をSnNiCuGe4元系はんだ材料で形成し、第2のはんだ層をSnNiCu3元系はんだ材料で形成した。
【0052】
実施例1のはんだ材料5に替えて、実施例2に係るはんだ材料5として、Ni:0.5質量%、Cu:3.0質量%、残部がSnからなる3元系鉛フリーはんだ(融点:約228℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして、基板10と電子部品20とをはんだ付けした。そのはんだ付け部分には、欠陥やボイドは見られなかった。また、その断面を電子顕微鏡で観察すると、電極溶食防止層3がはんだ付け前の基板10よりもやや厚くなっていたものの、実施例1と同様に、電極2の溶食が極力抑えられており、当初のものとあまり変化していなかった。
【0053】
[実施例3]
実施例3は、第1のはんだ層をSnAgNiCuGe5元系はんだ材料で形成し、第2のはんだ層をSnCu2元系はんだ材料で形成した。
【0054】
実施例1の基板10に替えて、以下の基板10を用いた以外は、実施例1と同様に、基板10を準備した。すなわち、実施例1において、基板10について第1の有機脂肪酸によるコーティング処理及び溶融はんだの精製化処理は行わず、さらに、溶融はんだ5に替えて、以下の組成の溶融はんだを用いた以外は、実施例1で用いた基板10と同様にして、基板10を準備した。ここで用いた溶融はんだは、Ni:0.05質量%、Ge:0.005質量%、Ag:3質量%、Cu:0.5質量%、残部がSnからなる5元系鉛フリーはんだ(融点:約217℃)である。この基板10の断面を電子顕微鏡で観察したところ、基板10が有する銅電極2上には、厚さ1.5μm程度で亀裂のない電極溶食防止層3を有する厚さTが2.5μm程度のはんだ層4が付着しており、そのはんだ層4上にコーティング膜が薄く付着していることを確認した。
【0055】
引き続き、実施例1と同様に、基板10と電子部品20とをはんだ付けした。そのはんだ付け部分には、欠陥やボイドは見られなかった。また、その断面を電子顕微鏡で観察すると、実施例1と同様に、電極2の溶食が極力抑えられており、当初のものとあまり変化していなかった。
【0056】
[実施例4]
実施例4は、第1のはんだ層をSnAgNiCuGe5元系はんだ材料で形成し、第2のはんだ層をSnNiCu3元系はんだ材料で形成した。
【0057】
実施例1において、上記した実施例3で準備した基板10を用い、実施例2に係るはんだ材料5を用いた以外は、実施例1と同様に、基板10と電子部品20とをはんだ付けした。そのはんだ付け部分には、欠陥やボイドは見られなかった。また、その断面を電子顕微鏡で観察すると、電極溶食防止層3が実施例1よりもやや厚くなっていたものの、実施例1と同様に、電極2の溶食が極力抑えられており、当初のものとあまり変化していなかった。
【0058】
[比較例1]
比較例1は、第1のはんだ層をSnNiCuGe4元系はんだ材料で形成し、第2のはんだ層をSnAgNiCuGe5元系はんだ材料で形成した。
【0059】
実施例1において、はんだ材料5に替えて、比較例1に係るはんだ材料として、Ni:0.05質量%、Ge:0.005質量%、Ag:3質量%、Cu:0.5質量%、残部がSnからなる5元系鉛フリーはんだ(融点:約217℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして、基板10と電子部品20とをはんだ付けした。そのはんだ付け部分には、欠陥やボイドは見られなかった。また、その断面を電子顕微鏡で観察すると、実施例1と同様に、電極2の溶食が極力抑えられているものの、はんだ材料が銀を含んでいることから、材料コストが高い。
【0060】
[比較例2]
比較例2は、第1のはんだ層をSnAgCu3元系はんだ材料で形成し、第2のはんだ層をSnCu2元系はんだ材料で形成した。
【0061】
実施例1において、基板10に替えて、以下の基板10を用いた以外は、実施例1と同様に、基板10を準備した。すなわち、実施例1において、基板10について第1の有機脂肪酸によるコーティング処理及び溶融はんだの精製化処理は行わず、さらに、溶融はんだ5に替えて、以下の組成の溶融はんだを用いた以外は、実施例1で用いた基板10と同様にして、基板10を準備した。溶融はんだは、Cu:6質量%、Ag:2質量%、残部がSnからなる3元系鉛フリーはんだ(融点:約216℃)を用いた。この基板10の断面を電子顕微鏡で観察したところ、基板10が有する銅電極2上には、電極溶食防止層3は形成されておらず、厚さ1μm程度のはんだ層のみが付着していることが確認された。
【0062】
引き続き、実施例1と同様にして、はんだ材料5を用いて基板10と電子部品20とをはんだ付けした。そのはんだ付け部分には、欠陥やボイドは見られなかった。また、その断面を電子顕微鏡で観察すると、電極が溶食されて当初のものより痩せている様子が確認された。したがって、準備した基板が有する電極上に形成されたはんだ層が電極溶食防止層を有していない場合は、はんだ付け後の電極の信頼性を確保することが難しい。
【0063】
[比較例3]
比較例3は、第1のはんだ層は設けず、第2のはんだ層をSnAgNiCuGe5元系はんだ材料で形成した。
【0064】
実施例1において、基板10に替えて、基板10をそのまま(すなわち、有機脂肪酸を用いたコーティング処理をせず、かつはんだ層4を形成しない状態で)用い、かつ、はんだ材料5に替えて、上述の比較例1に係るはんだ材料を用いた以外は、実施例1と同様に、基板10と電子部品20とをはんだ付けした。そのはんだ付け部分には、欠陥やボイドは見られなかった。また、その断面を電子顕微鏡で観察すると、実施例1と同様に、電極2の溶食が極力抑えられているものの、はんだ材料が銀を含んでいることから、材料コストが高い。
【0065】
[比較例4]
比較例4は、第1のはんだ層は設けず、第2のはんだ層をSnAgCu3元系はんだ材料で形成した。
【0066】
実施例1において、基板10に替えて、基板10をそのまま(すなわち、有機脂肪酸でを用いたコーティング処理をせず、かつはんだ層を形成しない状態で)用い、かつはんだ材料5に替えて、以下の組成を有するはんだ材料を用いた以外は、実施例1と同様に、基板10と電子部品20とをはんだ付けした。はんだ材料は、Cu:6質量%、Ag:2質量%、残部がSnからなる3元系鉛フリーはんだ(融点:約216℃)を用いた。そのはんだ付け部分には、欠陥やボイドは見られなかった。また、その断面を電子顕微鏡で観察すると、電極が溶食されて当初のものより痩せている様子が確認された。したがって、比較例4に係るはんだ材料は、はんだ付け後の電極の信頼性を確保することが難しい。また、銀を含んでいることから、材料コストが高い。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
以上、本発明に係るはんだ材料及びはんだ付け方法によれば、電極上にはんだ層を有する基板又は電子部品を低コストで信頼性高くはんだ付けできるはんだ材料及びそのはんだ材料を用いたはんだ付け方法を提供することができる。