特許第6267480号(P6267480)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リコーエレメックス株式会社の特許一覧 ▶ 横浜ゴム株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6267480-撮像装置および検査装置 図000002
  • 特許6267480-撮像装置および検査装置 図000003
  • 特許6267480-撮像装置および検査装置 図000004
  • 特許6267480-撮像装置および検査装置 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6267480
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】撮像装置および検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/954 20060101AFI20180115BHJP
   G01B 11/30 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   G01N21/954 Z
   G01B11/30 A
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-217649(P2013-217649)
(22)【出願日】2013年10月18日
(65)【公開番号】特開2015-78958(P2015-78958A)
(43)【公開日】2015年4月23日
【審査請求日】2016年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006932
【氏名又は名称】リコーエレメックス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】中川 啓二
(72)【発明者】
【氏名】小山 正道
(72)【発明者】
【氏名】多田 拡太郎
【審査官】 蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−207458(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/124553(WO,A1)
【文献】 特開平11−281332(JP,A)
【文献】 特開2011−059022(JP,A)
【文献】 特開2001−174224(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2001/0024279(US,A1)
【文献】 特開2012−47478(JP,A)
【文献】 特開2012−112838(JP,A)
【文献】 特開2001−249012(JP,A)
【文献】 特開2004−108833(JP,A)
【文献】 特開平11−230728(JP,A)
【文献】 実用新案登録第2504636(JP,Y2)
【文献】 特開平10−124648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
G01B 11/00−11/30
B60C 19/00
G01M 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に対向した一対の対向部と、前記一対の対向部を接続した接続部と、を有した検査対象物の一部を映す鏡と、
前記鏡に映った前記検査対象物の鏡像と、前記検査対象物における前記鏡に映っていない部分とを撮像する一つの撮像部と、
を備え
前記撮像部と前記鏡とによって構成される光学系のうち、前記一対の対向部間に位置された前記鏡は、二つだけであり、
二つの前記鏡のうちの一方は、前記一対の対向部のうちの一方を映し、二つの前記鏡のうちの他方は、前記一対の対向部のうちの他方を映す、撮像装置。
【請求項2】
前記検査対象物は、タイヤであり、
前記撮像部は、当該撮像部の撮像方向で前記接続部と対向した請求項に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記検査対象物は、タイヤであり、
前記撮像部は、前記タイヤの外側に位置され、第二の鏡を介して前記鏡像と前記映っていない部分とを撮像する請求項に記載の撮像装置。
【請求項4】
請求項1ないしのいずれか一項に記載の撮像装置と、
前記撮像装置から出力された撮像データを用いて前記検査対象物の異常を検出する異常検出部と、
を備えた検査装置。
【請求項5】
前記検査対象物にライン光を照射する照明装置を備え、
前記撮像部は、前記照明装置と一体に、前記検査対象物と相対移動させられながら前記検査対象物に照射された前記ライン光を撮像し、
前記異常検出部は、光切断法によって前記異常を検出する請求項に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置および検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タイヤの内面を撮像する撮像装置を有し、撮像装置から出力された撮像データを用いて、タイヤの内面を検査する検査装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−112838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の検査装置の撮像装置では、例えば検査時間の短縮化のために複数の撮像部を設けると、撮像装置が複雑化してしまう。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、一例として、一つの撮像部で検査対象物の複数の部位を撮像することができる撮像装置および検査装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の撮像装置は、相互に対向した一対の対向部と、前記一対の対向部を接続した接続部と、を有した検査対象物の一部を映す鏡と、前記鏡に映った前記検査対象物の鏡像と、前記検査対象物における前記鏡に映っていない部分とを撮像する一つの撮像部と、を備え、前記撮像部と前記鏡とによって構成される光学系のうち、前記一対の対向部間に位置された前記鏡は、二つだけであり、二つの前記鏡のうちの一方は、前記一対の対向部のうちの一方を映し、二つの前記鏡のうちの他方は、前記一対の対向部のうちの他方を映す
【0007】
また、本発明の検査装置は、前記撮像装置と、前記撮像装置から出力された撮像データを用いて検査対象物の異常を検出する異常検出部と、を備えた。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、一つの撮像部で検査対象物の複数の部位を撮像することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態にかかる検査装置の一例を示す概略図である。
図2図2は、実施形態にかかる撮像部が撮像した撮像画像の一例を示す概略図である。
図3図3は、実施形態にかかる検査装置の一例を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態の変形例にかかる検査装置の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、撮像装置および検査装置の実施形態を詳細に説明する。以下の実施形態では、検査対象物がタイヤであり、タイヤの内面を検査する場合を一例として説明する。
【0011】
図1に示すように、検査装置1は、撮像装置2を備え、タイヤ100の内面100a(面)を撮像装置2で撮像し、撮像によって得られた撮像データ(画像データ)を用いて、内面100aの凹凸の有無を検査する。詳細には、検査装置1は、撮像装置2の他に、タイヤ100を回転させる搬送装置30(図3参照)と、タイヤ100の内面100aに光(一例として、ライン光)を照射する照明装置4(図3参照)と、を備えている。
【0012】
検査対象物の一例であるタイヤ100は、相互に対向した一対の対向部100b,100cと、一対の対向部100b,100cを接続した接続部100dと、を有している。対向部100b,100cは、サイドウォール部を含み、接続部100dは、トレッド部を含む。また、タイヤ100には、タイヤ100の軸方向にタイヤ100を貫通した中空部100eが設けられている。また、タイヤ100には、一対の対向部100b,100cと接続部100dとに囲まれた円環状の内部空間100fが形成されている。
【0013】
搬送装置30は、タイヤ100の軸心回り(車両へ装着されたときのタイヤ100の回転方向)にタイヤ100を回転させるものである。搬送装置30は、一例として、対向部100cと接触した状態でタイヤ100が載置される回転台と、この回転台を回転させるモータと、を有する。検査装置1では、搬送装置30が、タイヤ100を回転させることで、タイヤ100と、撮像装置2および照明装置4と、が相対移動(相対回転)させられる。
【0014】
撮像装置2は、タイヤ100の一部を映す鏡3A,3Bと、一つの撮像部5と、を有している。撮像装置2は、保持部(図示せず)に、照明装置4と一体となって保持されている。保持部は、例えば、ロボットアームなどである。
【0015】
鏡3A,3Bは、一例として、複数(本実施形態では二つ)設けられている。鏡3A,3Bは、一例として、タイヤ100の一対の対向部100b,100c間に位置されている。つまり、鏡3A,3Bは、タイヤ100の内部空間100fに位置されている。これらの二つの鏡3A,3Bは、相互にタイヤ100の異なる部分を映すように配置されている。一例として、二つの鏡3A,3Bは、相互の鏡面3aが90度をなすように配置されている。そして、二つの鏡3A,3Bのうちの一方(鏡3A)は、一対の対向部100b,100cのうちの一方(対向部100b)の内面100aを映す。二つの鏡3A,3Bのうちの他方(鏡3B)は、一対の対向部100b,100cのうちの他方(100c)の内面100aを映す。鏡3A,3Bと撮像部5とによって構成される光学系には、鏡3A,3Bを介さない光軸A1と、鏡3Aによって屈曲された光軸A2と、鏡3Bによって屈曲された光軸A3と、が設けられている。
【0016】
撮像部5は、一例として、CMOSイメージセンサ等のエリアカメラとして構成されている。本実施形態では、撮像部5は、一例として、タイヤ100の中空部100eに位置されている。撮像部5は、当該撮像部5の撮像方向で接続部100dと対向している。撮像部5は、鏡3A,3Bに映ったタイヤ100の鏡像と、タイヤ100における鏡3A,3Bに映っていない部分と、を同時に撮像する。別の言い方をすると、撮像部5は、鏡3A,3Bを介してタイヤ100の一部を撮像するとともに、鏡3A,3Bを介さずタイヤ100の一部を撮像する。撮像部5は、鏡3Aに映った対向部100bの内面100aと、鏡3Bに映った対向部100cの内面100aと、タイヤ100における鏡3A,3Bに映っていない部分としての接続部100dと、を撮像する。
【0017】
撮像部5の撮像範囲6は、鏡3A,3Bを介さない撮像範囲6a(分割撮像範囲)と、鏡3Aを介した撮像範囲6bと、鏡3Bを介した撮像範囲6cとに、分割される。図1では、撮像範囲6a,6b,6cがオーバーラップしていない例が示されているが、撮像範囲6a,6b,6cをオーバーラップさせてもよい。図2に、撮像部5が撮像した撮像画像10の一例を示す。撮像画像10は、撮像範囲6aに対応する画像領域10aと、撮像範囲6bに対応する画像領域10bと、撮像範囲6cに対応する画像領域10cと含む。撮像部5は、照明装置4と一体にタイヤ100と相対移動させられながら、タイヤ100の内面100aの一周を撮像する。
【0018】
照明装置4は、タイヤ100の内面100aに光を照射する。一例として、照明装置4は、各撮像範囲6a〜6cに対応して複数の光源(第一の光源4A,第二の光源4B,第三の光源4C)を有している。各光源4A〜4Cは、例えば、LED光源やレーザ光源等である。
【0019】
第一の光源4Aは、撮像範囲6aにおける接続部100dの内面100aに光を照射し、第二の光源4Bは、撮像範囲6bにおける対向部100bの内面100aに光を照射し、第三の光源4Cは、撮像範囲6cにおける対向部100cの内面100aに光を照射する。本実施形態では、各光源4A〜4Cは、一例として、搬送装置30によるタイヤ100の回転方向と直交するライン光(スリット光)を照射する。各光源4A〜4Cからのライン光は、それぞれ、対応する光軸A1〜A3に対して斜めの角度で、内面100aに入射する。各光源4A〜4Cは、タイヤ100の内部空間100fに配置することができる。なお、各光源4A〜4Cは、タイヤ100の内部空間100fの外側に配置されてもよい。本実施形態では、光源4A〜4Cは、ライン光を内面100aに照射することができる位置であれば、タイヤ100の内側(中空部100eや内部空間100f)に配置されてもよいし外側に配置されていてもよい。このとき、鏡3A,3B以外の鏡(図示せず)を介して内面100aにライン光を照射してよい。また、光源4A〜4Cは、撮像部5の周囲や鏡3A,3Bの周囲に配置することができる。また、光源4B,4Cは、鏡3A,3Bを介さずにライン光を内面100aに照射する位置に配置することができる。なお、光源4B,4Cは、鏡3A,3Bを介してライン光を内面100aに照射する位置に配置されてもよい。また、撮像部5が光源4A〜4Cを撮像しないように、各光源4A〜4Cを各撮像範囲6a,6b,6c外に配置してよい。
【0020】
また、本実施形態では、一例として、図3に示すように、検査装置1は、制御部20(例えばCPU(central processing unit)等)や、ROM21(read only memory)、RAM22(random access memory)、SSD23(solid state drive)、光照射コントローラ24、撮像コントローラ25、搬送コントローラ26、表示コントローラ27等を備えている。光照射コントローラ24は、制御部20からの制御信号に基づいて、照明装置4の発光(オン、オフ)等を制御する。撮像コントローラ25は、制御部20からの制御信号に基づいて、撮像部5による撮像を制御する。搬送コントローラ26は、制御部20から受けた制御信号に基づいて、搬送装置30を制御し、タイヤ100の回転等を制御する。表示コントローラ27は、制御部20からの制御信号に基づいて、表示装置40(例えば、LCD(liquid crystal display)、OELD(organic electroluminescent display)等)を制御する。また、制御部20は、不揮発性の記憶部としてのROM21やSSD23等にインストールされたプログラム(アプリケーション)を読み出して実行する。RAM22は、制御部20がプログラムを実行して種々の演算処理を実行する際に用いられる各種データを一時的に記憶する。なお、図3に示されるハードウエアの構成はあくまで一例であって、例えばチップやパッケージにする等、種々に変形して実施することが可能である。また、各種演算処理は、並列処理することが可能であり、制御部20等は、並列処理が可能なハードウエア構成とすることが可能である。
【0021】
また、本実施形態では、一例として、制御部20は、ハードウエアとソフトウエア(プログラム)との協働によって、検査装置1の少なくとも一部として機能(動作)する。一例として、制御部20は、異常検出部として機能する。
【0022】
制御部20は、異常検出部として機能して、撮像装置2から出力された撮像データを用いてタイヤ100の異常を検出する。本実施形態では、撮像部5が、照明装置4と一体にタイヤ100と相対移動(相対回転)させられながらタイヤ100に照射されたライン光を撮像し、制御部20は、撮像装置2から出力された撮像データを用いて、光切断法によってタイヤ100の異常(凹部(傷)や凸部)を検出する。タイヤ100の内面100aに凹凸がある場合、内面100aに照射されたライン光は、その凹凸に応じて移動する。光切断法では、撮像部5の撮像データに含まれるスリット光の移動量を検出することで、タイヤ100の内面100aにおける凹凸(3次元高さデータ)を演算できる。制御部20は、演算された3次元高さデータと、予め設定されたタイヤ100のマスタデータとが一致するか否かを比較することで、凹凸不良の検査を行うことができる。制御部20は、検査結果を表示装置40に表示させることができる。なお、本実施形態では、撮像画像10には、画像領域10aと、画像領域10bと、画像領域10cとのそれぞれにライン光による輝線が出現する。光切断法では、撮像部5のピントが多少ずれていても問題無く検査を行うことができるので、撮像部5のピントは、接続部100dと鏡3A,3Bとのどちらに合わせてもよい。
【0023】
以上説明したように、本実施形態では、撮像部5が、鏡3A,3Bに映ったタイヤ100の鏡像と、タイヤ100における鏡4A,4Bに映っていない部分とを撮像する。したがって、一つの撮像部5でタイヤ100の複数の部位(本実施形態では、対向部100b,100cと接続部100d)を撮像することができる。
【0024】
また、本実施形態では、鏡4A,4Bは、二つ設けられ、二つの鏡3A,3Bのうちの一方(鏡3A)は、一対の対向部100b,100cのうちの一方(対向部100b)の内面100aを映し、二つの鏡3A,3Bのうちの他方(鏡3B)は、一対の対向部100b,100cのうちの他方(対向部100c)の内面100aを映す。したがって、本実施形態によれば、よりタイヤ100のより多くの部位を一つの撮像部5で撮像することができる。
【0025】
次に、本実施形態の変形例を説明する。本変形例では、撮像部5が、タイヤ100の外側に位置されている。撮像部5は、鏡50(第二の鏡)を介してタイヤ100の内面100aを撮像する。詳細には、撮像部5は、鏡50を介して、鏡3A,3Bに映ったタイヤ100の鏡像とタイヤ100における鏡3A,3Bに映っていない部分とを撮像する。以上の構成でも、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0026】
以上、本発明の実施形態および変形例を例示したが、上記実施形態および変形例はあくまで一例である。実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、実施形態および変形例の構成や形状は、部分的に他の構成や形状と入れ替えて実施することも可能である。また、各構成や形状等のスペック(構造や、種類、方向、角度、形状、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。例えば、検査対象物は、タイヤに限定するものではなく、例えば断面が略C字状やL字状の部分を含む部材(例えば、レール等)であってもよい。また、検査装置は、上述した異常以外の異常を画像処理で検出することができる。また、検査装置は、撮像装置を一つまたは複数備えることができる。
【符号の説明】
【0027】
1…検査装置、2…撮像装置、3A…鏡、3B…鏡、3a…鏡面、4…照明装置、5…撮像部、20…制御部(異常検出部)、50…鏡(第二の鏡)、100…タイヤ、100a…内面、100b,100c…対向部、100d…接続部。
図1
図2
図3
図4