(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
詳細な説明
この発明は、多くの異なる形態の実施例が可能である。図面が示されるとともに、本願明細書において詳細な特定の実施例が説明されることとなるが、このような実施例のこの開示は原則の例として考えられるべきであり、図示および記載される特定の実施例に本発明を限定することを意図するものではないということが理解される。以下の記載では、図面のうちのいくつかの図において、同様の参照番号は、同じ部分、同様な部分、または対応する部分を記載するよう用いられる。
【0009】
本願明細書において用いられる「ある」という用語は、1つまたは1つより多いと規定される。本願明細書において用いられる「複数」という用語は、2つまたは2つより多いと規定される。本願明細書において用いられる「別の」という用語は、少なくとも第2またはそれより多いと規定される。本願明細書において用いられる「含む」および/または「有する」という用語は、備える(すなわちオープンな用語)として規定される。本願明細書において用いられる「プログラム」、「コンピュータプログラム」、または同様の用語は、コンピュータシステム上での実行のために設計された命令のシーケンスとして規定される。「プログラム」または「コンピュータプログラム」は、実行可能なアプリケーションにおける、サブルーチン、プログラムモジュール、スクリプト、関数、プロシージャ、オブジェクトメソッド、オブジェクトインプリメンテーション、アプレット、サーブレット、ソースコード、オブジェクトコード、共用ライブラリ/ダイナミックロードライブラリ、および/またはコンピュータシステム上での実行のために設計された命令の他のシーケンスを含んでもよい。
【0010】
この文書を通じて、「一実施例」、「ある実施例」、「実施例」、「実現例」、「例」、または同様の用語に対する参照は、実施例に関連して記載される特定の特徴、構造、または特性が本開示の少なくとも1つの実施例に含まれることを意味する。したがって、この明細書を通じてさまざまな場所に現れるこのようなフレーズは必ずしもすべて同じ実施例を参照しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、限定されることなく、1つ以上の実施例において任意の好適な態様で組み合されてもよい。
【0011】
本願明細書において用いられる「または」という用語は、包含的論理和として解釈されるか、またはいずれか1つまたは任意の組合せを意味すると解釈されるべきである。したがって、「A、BまたはC」は、「A;B;C;AおよびB;AおよびC;BおよびC;A、BおよびC」のうちのいずれかを意味する。要素、機能、ステップ、または作用の組合せが何らかの態様で本質的に相互排除的である場合にのみ、この規定の例外が発生することとなる。
【0012】
図1は例示的な工具交換システム100を示す。工具交換システム100は、自動工具交換装置(ATC)110と工具移送装置130とを含む。ATC110は工具交換部112を含む。工具交換部112は、ATC110の工具搬送位置にある工具120および/もしくは工具ポット125をマシンの工具交換位置に供給するよう構成されており、ならびに/または工具交換位置にある別の工具および/もしくは工具ポットを工具搬送位置に供給するよう構成されている。例示的な工具は、ドリル、ミリング工具、ターニング工具などといった切削工具を含む。他の切削工具はたとえば、ワークから材料を除去するかまたはワークを成形するようミリングマシンまたはターニングマシンにおいて用いられるものであれば何でも含み得る。付加的な工具の例には、バニッシング工具、センサデバイス(たとえば、ワークタッチプローブ)、ワーククリーニングブラシ、または部品クリーニングファンといった専門工具が含まれる。工具ポットは、1つ以上の工具を格納するよう構成される。
【0013】
一実施例では、工具交換部112は、1つ以上の工具を工具搬送位置と工具交換位置との間で移動するよう回転するダブルアームアセンブリである。ダブルアームアセンブリ112は、第1のアーム114aと第2のアーム144bとを含む。
図1は、本開示のある実施例に従った、工具交換位置にある第1のアーム114aと、工具搬送位置にある第2のアーム114bとを示す。
【0014】
一実施例では、工具交換部112は、異なる数のアーム(たとえば、1つのアーム)を含む。他の実施例では、工具交換部112は、コンベアアセンブリなどの他の方法を用いて、工具搬送位置と工具交換位置との間をリニアガイドなどに沿って1つ以上の工具を移動させる。
【0015】
ある実施例では工具交換部112は、1つ以上の異なる方向に移動し、工具120および/または工具ポット125が工具搬送位置から除去されるおよび/または工具搬送位置に配置されることを可能にする。たとえば、工具交換部112は、工具交換部112の回転軸と平行な軸に沿って移動するよう構成される。一実施例では、工具交換部112は、この移動を利用して、工具120を工具ポット125の中から除去および/もしくは工具ポット125の中に配置するか、または工具120および工具ポット125を除去および/もしくは配置する。さらに一実施例では、工具交換部112はこの移動を利用して、工具120および/もしくは工具ポット125をマシン上から除去および/もしくはマシン上に配置するか、またはそうでなければ工具および/もしくは工具ポット125を工具交換位置に供給する。別の実施例では、当該マシン自体が移動して、工具120および/または工具ポット125をマシン上から除去および/またはマシン上に配置する。
【0016】
一実施例では、マシン上の(たとえばマシンのスピンドルに取りつけられた)工具および/または工具ポットが工具交換位置に位置している場合、工具交換部112は、第1のアーム114aが工具交換位置に位置決めされるまで回転する。そのとき、第1のアーム114aは、マシン上の当該工具および/または工具ポットを保持する。この保持は、把持、クランピング、またはマシン上の工具および/もしくは工具ポットを第1のアーム114aに固定する任意の他の方法によって行われ得る。一実施例では、工具交換部112は、工具および/もしくは工具ポットをマシンから除去ならびに/または工具および/もしくは工具ポットをマシン上に配置するために、工具交換部112の回転軸に平行な軸に沿って移動するよう構成される。その後、工具交換部102は、第1のアーム114aが保持する工具および/または工具ポットが工具搬送位置に供給されるように回転される。
【0017】
同様に、工具120および/または工具ポット125がマシンに供給されると、工具交換部112は第2のアーム114bが工具搬送位置に位置決めされるように回転する。そのとき、第2のアーム114bは、工具120および/または工具ポット125を保持する。一実施例では、第2のアーム114bは、第1のアーム114aがマシン上の工具および/または工具ポットを保持したのと同じ態様で、工具120および/または工具ポット125を保持する。しかしながら、他の実施例では、第1のアーム114aおよび第2のアーム114bの各々は、さまざまな形状および/またはサイズの工具および/または工具ポットを保持することを容易にするよう、工具および/または工具ポットを固定するための複数の異なる方法を有するよう構成される。
【0018】
さらに一実施例では、工具交換部112は、工具120および/または工具ポット125を工具搬送位置から除去または工具搬送位置に配置するために、工具交換機構112の回転軸に平行な軸に沿って移動するよう構成される。次いで、工具交換部112は、第2のアーム114bが保持する工具120および/または工具ポット125が工具交換位置まで移動されるように回転される。
【0019】
工具移送装置130は、工具120および/または工具ポット125を工具搬送位置に移送ならびに工具搬送位置から移送するよう構成される。ある実施例では、工具移送装置130はさらに、オペレータ工具装填ステーション(工具段取りステーションとも称する)および/または工具マガジン(たとえばラックマガジン)の間に工具120および/または工具ポット125を移送するよう構成される。工具移送装置130が工具120および/または工具ポット125を工具搬送位置に移送すると、工具移送装置130は、工具交換部112が工具交換位置に供給されるべき工具120および/または工具ポット125を保持するまで工具120および/または工具ポット125を工具搬送位置に保持する。したがって、工具移送装置130は、工具120および/もしくは工具ポット125が工具交換部112に保持されるまでならびに/または工具交換位置に供給されるまで別のタスクを行うことができない。
【0020】
本開示のある実施例は、ATC工具ホルダを提供する。ATC工具ホルダは、工具120が工具搬送位置に移送された後、工具移送装置130が1つ以上の他のタスクを行うことを可能にする。すなわち、ATC工具ホルダは、マシン動作における遅延を低減しつつ、工具移送装置130が複数のタスクのために用いられることを可能にする。
【0021】
ATC工具ホルダにより、工具移送装置130が他のタスクを行うことが可能になる。他のタスクとしては、1つ以上の工具をオペレータ工具装填ステーションと工具マガジンとの間で移動すること、工具を工具搬送位置とオペレータ工具装填ステーションとの間で移動すること、工具を工具搬送位置と工具マガジンとの間で移動すること、1つ以上の工具を工具マガジン内に再配置すること、工具をRFIDチップ読取ステーションに移動すること、工具を工具洗浄ステーションに移動することなどがある。これにより、通常動作の間、マシンが工具交換時間を短縮し、オペレータが工具を装填している際または他のタスクが行われる必要がある際の待ち時間を最小化することが可能になる。
【0022】
たとえば、通常動作の間、工具移送装置130は、工具マガジンにおける格納位置またはオペレータ工具装填ステーションから工具搬送位置まで工具を移動する。オペレータが工具移送装置130を必要とする要求をした場合(たとえば、オペレータが格納位置からオペレータ工具装填ステーションの中へ工具を移動することを要求した場合)、ATC工具ホルダはアクティブとなり、工具120および/または工具ポット125を適切な位置にクランプする。別の実施例ではATC工具ホルダは、自動工具交換のために必要とされた場合にアクティブになる。マシンが工具交換を要求すると、ATCは、マシンの準備ができているとともに工具移送装置130が戻るのを待つ必要がない場合はサイクル動作し得る。ATCのサイクル動作が完了した後、工具移送装置130は、工具搬送位置に工具が存在する場合は当該工具を次の工具と交換し、1つ以上の他のタスク(たとえば、オペレータ工具段取りステーションの装填/非装填)を再開する。1つ以上の他のタスクが完了すると、工具移送装置130は工具搬送位置に戻り、次の工具を保持し、必要ならば、ATC工具ホルダを非活性化する。
【0023】
一実施例では、ATC工具ホルダは、1つ以上の工具および/または工具ポットを工具装填ステーションに装填するよう/工具装填ステーションから非装填するようオペレータが工具移送装置130に要求した場合にのみ用いられる。すなわち一実施例では、マシンは、オペレータが1つ以上の工具をオペレータ工具装填ステーションに装填/非装填する必要がなければ、ATC工具ホルダの使用がない状態で動作される。
【0024】
図2は、本開示の一実施例に従ったATC工具ホルダ200を示す。ATC工具ホルダ200は、工具120および/または工具ポット125を支持するよう構成される基部210を含む。一実施例では、基部210は一体のキャストから形成される。さらに、ある実施例では、基部210は工具120を含む工具ポット125を支持する。
【0025】
基部210に面するブロック230は、駆動機構240(たとえば空気シリンダ、電動機など)によって駆動されてリニアガイド250に沿って移動する。駆動機構240は、工具120および/または工具ポット125が基部210とブロック230との間に固定されるまで、ブロック230を基部210に向かうよう駆動する。
【0026】
ある実施例では、工具120および/または工具ポット125には、位置合わせ目的でキーが設けられる。たとえば、工具ポット125はキー260bを含んでもよい。さらに一実施例では、ブロック230には、対応するキー260aが設けられる。当該キーは、工具120および/または工具ポット125の位置合わせを容易にし得るT字型または任意の他の形状であってもよい。
【0027】
さらに一実施例では、ATC工具ホルダ200は、ATC工具ホルダ200がまずATC110に搭載された後、搭載位置をセットするテーパピン270a,270bを含む。テーパピン270a,270bは、ATC工具ホルダ200のさまざまな位置に配置されてもよい。テーパピン270a,270bは、サービスのためにATC工具ホルダ200を除去および再搭載することを容易にするよう構成される。ATC工具ホルダ200の異なる実施例は、0を含む任意の数のテーパピンを組込んでもよい。さらに、ATC工具ホルダ200を搭載するとともにATC工具ホルダ200のサービスを容易にする他の方法が用いられてもよい。
【0028】
図3は、本開示のある実施例に従った工具交換システム300の第1の例示的な図を示す。
図1に示される工具交換システム100と同様に、工具交換システム300は、ATC110と、第1のアーム114aおよび第2のアーム114bを含む工具交換部112と、工具移送装置130とを含む。工具交換システム300はさらにATC工具ホルダ200を含む。一実施例では、ATC工具ホルダ200はATC110に取り付けられる。他の実施例では、ATC工具ホルダ200は、たとえば工具交換システム300を組込むマシニングセンタの別個の基部、土台、または構成要素によって支持される。
図3は、工具120および/または工具ポット125が工具移送装置130によって工具搬送位置に移送または工具搬送位置から移送されている例示的な図を示す。工具120および/または工具ポット125は、保持機構132(たとえばクランプ)によって保持される。
【0029】
ATC工具ホルダ200は、工具120および/または工具ポット125の搬送がATC工具ホルダ200と工具移送装置130との間および/またはATC工具ホルダ200と工具交換部112との間で行われることを可能にする位置に配置される。この位置は、ATC工具ホルダ200が工具120および/または工具ポット125を工具搬送位置に保持するように設定される。ある実施例では、ATC工具ホルダ200は、ATC110の工具搬送位置に配置される。他の実施例では、ATC工具ホルダ200は、工具搬送位置までおよび工具搬送位置から移動するよう構成される。
【0030】
図4は、工具移送装置130が工具120および/または工具ポット125を工具搬送位置に保持する工具交換システム300の第2の例示的な図を示す。
図5は、ATC工具ホルダ200が工具120および/または工具ポット125を保持し、かつ工具移送装置130が工具搬送位置から離れるように移動した工具交換システム300の第3の例示的な図を示す。この実施例に依存して、ATC工具ホルダ200は、工具が存在するとともに工具移送装置130が工具搬送位置に位置決めされていないときはいつでもまたはその一部の時間にアクティブになってもよい。たとえば、ATC工具ホルダ200は、自動工具交換の間または工具交換部112が工具120および/もしくは工具ホルダ125を工具搬送位置から除去するのに必要な時間の間のみ、アクティブになってもよい。
【0031】
図4に示されるように一実施例では、ATC工具ホルダ200のブロック230は、工具移送装置130上で保持機構132によって遮られる。したがって、工具移送装置130は、ATC工具ホルダ200が工具120および/または工具ポット125を保持し得る前に、工具搬送位置から離れるように移動しなければならない。しかしながら他の実施例では、工具移送装置130およびATC工具ホルダ200は、工具120および/または工具ポット125の異なる部分を保持するよう構成される。それらの実施例では、工具移送装置130は、ATC工具ホルダ200が工具120および/または工具ポット125を保持し得る前に、離れるよう移動する必要はない。したがって、たとえば、工具交換システム300は、工具120および/または工具ポット125がATC工具ホルダ200に保持されているまで、工具移送装置130が工具120および/または工具ポット125を解放しないように構成されてもよい。さらに、上述したように、ある実施例では、ATC工具ホルダ200は自動工具交換の間またはその前および/もしくはその後の所定の時間の間にのみアクティブである。
【0032】
図6は、工具120および/または工具ポット125がATC工具ホルダ200によって保持されるとともに工具交換部112がマシンの工具交換位置までの搬送のために工具120および/または工具ポット125のピックアップを可能にする位置に回転した工具交換システム300の第4の例示的な図を示す。一実施例では、工具交換部112は、工具120を保持し、工具交換部112の回転軸に平行な軸に沿って、ATC110から離れる方向に移動して工具120を工具ポット125から除去する。別の実施例では、工具120および工具ポット125の両方が除去される。次いで、工具交換部112は180°回転して、工具120を工具交換位置に供給する。一実施例では、180°回転した後、工具交換部はさらに工具交換部112の回転軸に平行な軸に沿って移動し、工具120を工具交換位置に供給する。
【0033】
一実施例では、自動工具交換は、工具搬送位置からの工具120および/または工具ポット125のピックアップ、工具搬送位置からの工具および/または工具ポット125の除去、工具交換位置への工具120および/または工具ポット125の搬送、ならびに工具交換位置またはマシン上への工具120および/または工具ポット125の配置のうちの1つまたは組合せを含む。さらにまたは代替的には、一実施例では、自動工具交換は、工具を工具交換位置から搬送またはマシンから工具搬送位置に搬送するために1つ以上のステップを含む。
【0034】
図7は、本開示のある実施例に従った工具交換システム300を組込む例示的なマシニングセンタ700を示す。ある実施例では、マシニングセンタ700は、(たとえば、スピンドル上の工具を交換するための何らかの方法を有する)コンピュータ数値制御(CNC)マシニングセンタであるか、または横形もしくは立形のマシニングセンタ、(たとえば、ミリング機能性を有するタレットを有する)旋盤、ミル・ターンマシン、もしくはATCスタイルの工具交換装置が用いられ得る任意の他のマシンを含む他のタイプのマシニングセンタである。マシニングセンタ700は、オペレータ工具装填ステーション710、工具マガジン720、およびマシニングステーション730に分割される。さらに、コントローラ740は、マシニングセンタ700が行う1つ以上の動作および/またはプロセスを制御するよう構成される。
【0035】
一実施例では、オペレータ工具装填ステーション710、工具マガジン720、および工具移送装置130はマガジンシステムの一部である。別の実施例では、ATC110および工具ホルダ200もマガジンシステムの一部である。
【0036】
オペレータ工具装填ステーション710は、1つ以上の工具および/または工具ポットをマシニングセンタ700のオペレータから受け取るおよび/またはオペレータに供給するよう構成される。一実施例では、オペレータ工具装填ステーション710は、工具および/または工具ポットが挿入または除去され得る4つのスロットを含む。4つのスロットは、マシニングセンタ700上のドアを開くことによりアクセスされる。別の実施例では、オペレータ工具装填ステーション710は、回転壁を含む。この壁は、2つの側を有する。所与の時間で、その側の一方のみがオペレータにアクセス可能であり、一方の側が工具移送装置130にアクセス可能である。壁が180°回転すると、マシニングセンタ700の内部上の壁は、オペレータが工具および/もしくは工具ポットをオペレータ工具装填ステーション710に加えるまたは工具および/もしくは工具ポットをオペレータ工具装填ステーション710から除去し得るように外側へと回転される。
【0037】
工具マガジン720は、1つ以上の工具および/または工具ポットをマシニングセンタ700の中に格納するよう構成される。一実施例では、工具マガジン720はラック構成を有する。他の実施例では、工具マガジン720は、マシニングセンタ700に必要な工具収納本数といった要因に依存した、リングスタイル、チェーンスタイル、ラック構成などのいずれか1つまたは組合せである。一実施例では、工具マガジン720は、工具120および/または工具ポット125が格納のために挿入される複数のスロットを含む。
【0038】
一実施例では、マシニングステーション730は、ATC110と、ATC工具ホルダ200と、1つ以上の工具(たとえば、工具120)を用いるマシンとを含む。上述したように、工具移送装置130は、1つ以上の工具および/または工具ポットをオペレータ工具装填ステーション710と、工具マガジン720と、マシニングステーション730との間で移送するよう構成される。一実施例では、工具移送装置130は、マシニングセンタ700において、リニアガイドに沿ってまたは別の移送もしくはガイダンス機構を介して移動する。
【0039】
図8は、
図3に示される工具交換システム300のような工具交換システムのための動作の例示的な方法を示す。一実施例では、コントローラ740は、当該例示的な方法において行われる動作および/またはプロセスを制御するよう構成される。他の実施例では、異なるコントローラの組合せが動作および/またはプロセスを制御するよう用いられてもよい。
【0040】
ステップS805では、工具移送装置130は、ワークを加工するためにマシンが必要とする工具120および/または工具ポット125をオペレータ工具装填ステーション710または工具マガジン720からATC110の工具搬送位置に移送する。ステップS810では、工具移送装置130は、工具120および/または工具ポット125を工具搬送位置に保持する。別の実施例では、工具移送装置130は、工具120および/または工具ポット125を工具支持部(たとえば、基部210)上に落下させてもよい。ステップS815では、工具移送装置130が別のタスクを行うのに必要とされているかどうかについて判断が行われる。一実施例では、この判断はコントローラ740によって行われる。上述したように、他のタスクの例は、1つ以上の工具をオペレータ工具装填ステーション710と工具マガジン720との間を移動することと、別の工具を工具搬送位置に供給することと、1つ以上の工具を工具マガジン720に再配置することと、工具をRFIDチップ読取ステーションに移動することと、工具を工具洗浄ステーションに移動することとなどを含む。代替的または付加的には、工具移送装置130が工具搬送位置または工具搬送位置から所定の距離内に配置されるかどうかについて判断が行われる。
【0041】
たとえば一実施例では、コントローラ740は、第1の工具および/または工具ポットを工具搬送位置に移送した後、第2の工具および/または工具ポットをオペレータ工具装填ステーション710または工具マガジン720から取得するよう工具移送装置130に指示するよう構成される。さらに、コントローラ740は、第2の工具および/または工具ポットを工具搬送位置に移送するよう工具移送装置130に指示する。コントローラ740は、ATC110が第1の工具および/または工具ポットを工具搬送位置から離れるように移動した後の任意の時間に第2の工具および/または工具ポットが工具搬送位置に到達するように工具移送装置130に指示する。たとえば、ATC110が第1の工具および/もしくは工具ポットをマシンに供給するとき、または第1の工具および/もしくは工具ポットが工具交換位置へ移動されるプロセス中にあるときである。
【0042】
別の例では、コントローラ740は、第2の工具および/または工具ポットをオペレータ工具装填ステーション710から取得するとともに第2の工具および/または工具ポットを工具マガジン720へ移送するよう工具移送装置130に指示するように構成される。
【0043】
別のタスクを行うのに工具移送装置130が必要でない場合、ステップS820において、工具移送装置130が保持する工具120および/または工具ポット125がマシンの工具交換位置に供給されるべきかどうか判断が行われる。工具120および/または工具ポット125がマシンの工具交換位置に供給されない場合、プロセスはステップS815に戻る。しかしながら、工具120および/または工具ポット125が工具交換位置に供給される場合、工具交換部112は、工具120および/または工具ポット125を工具交換位置に供給する。たとえば、コントローラ740は、工具120を工具ポット125から除去するとともに、工具120がマシンの工具交換位置に移動されるように回転するよう工具交換部112に指示する。別の例では、コントローラ740は、工具120を含む工具ポット125を除去するよう工具交換部112に指示する。
【0044】
工具移送装置130は、別のタスクを行う必要がある場合、ステップS830において、他のタスクを行うために工具搬送位置から離れるよう移動する。その後、工具移送装置130が工具搬送位置から所定の距離に到達すると、ATC工具ホルダ200は、工具120および/または工具ポット125を工具搬送位置に保持する。たとえば、コントローラ740は、工具120および/または工具ポット125が基部210とブロック230との間で固定されるまで、ブロック230を基部210に向かって駆動するようブロック駆動部240に指示する。別の実施例では、ATC工具ホルダ200は、自動工具交換が開始される前の所定の時間までまたは開始されるときまで、工具120および/または工具ポット125を保持しない。
【0045】
上述したように、一実施例では、工具移送装置130の保持機構132は、ブロック230が工具120および/または工具ポット125を保持することを妨げる。したがって、ATC工具ホルダ200は、工具移送装置130が工具搬送位置から離れるように移動した後、工具120および/または工具ポット125を保持する。しかしながら、他の実施例では、ブロック230が保持機構132によって妨げられない場合、工具移送装置130は、ATC工具ホルダ200が工具120および/または工具ポット125を保持する前に、離れるように移動する必要はない。たとえば、ATC工具ホルダ200は、工具移送装置130が工具および/または工具ポットを解放するまたは工具搬送位置から離れるように移動する前に、工具120および/または工具ポット125を保持してもよい。
【0046】
ステップS835のおいてATC工具ホルダ200が工具120および/または工具ポット125を保持した後、工具120および/または工具ポット125は、マシンの工具交換位置に供給されるべきかどうか(すなわち自動工具交換が開始されるべきかどうか)について判断が行われる。工具120および/または工具ポット125が工具交換位置に供給される場合、工具交換部112は、ステップS845において、工具120および/または工具ポット125を工具交換位置に供給する。上述したように、一例では、コントローラ740は、工具120を工具ポット125から除去するとともに、工具120がマシンの工具交換位置に移動されるように回転するよう工具交換部112に指示する。
【0047】
工具120および/または工具ポット125がマシンの工具交換位置に供給されない場合、プロセスはステップS850に進む。そのとき、工具移送装置130が工具搬送位置または工具搬送位置の所定の距離内に戻ったかどうかについて判断がなされる。工具移送装置130が工具搬送位置または工具搬送位置の所定の距離内にない場合、プロセスはステップS840に戻る。しかしながら、工具移送装置130が工具搬送位置または工具搬送位置の所定の距離内にある場合、プロセスはステップS855に進む。そのとき、ATC工具ホルダ200は工具および/または工具ポットを解放する。上述したように、一実施例では、ATC工具ホルダ200は、自動工具交換のために工具および/または工具ポットを保持するのみである。したがって、ATC工具ホルダ200が工具および/または工具ポットを保持していない場合には、ステップS855はスキップされる。ステップS860では、工具移送装置130は工具および/または工具ポットを保持する。別の実施例では、工具移送装置130は、自動工具交換が開始される前の所定の時間または自動工具交換が開始される時まで、工具および/または工具ポットを保持しない。
【0048】
上述したように、一実施例では、工具移送装置130の保持機構132は、ブロック230が工具120および/または工具ポット125を保持することを妨げる。したがって、ATC工具ホルダ200は、工具移送装置130が工具120および/または工具ポット125を工具搬送位置にて保持し得る前に工具120および/または工具ポット125を解放しなければならない。しかしながら、他の実施例では、ブロック230が保持機構132によって妨げられない場合、工具移送装置130は、ATC工具ホルダ200が工具120および/または工具ポット125を解放するまで待つ必要はない。たとえば、ATC工具ホルダ200は、工具移送装置130が工具および/もしくは工具ポットを保持した後または工具搬送位置まで移動した後、工具120および/または工具ポット125を解放してもよい。
【0049】
ある実施例では、ATC工具ホルダ200は、ブロック230の位置を確認するために1つ以上のセンサを含む。一実施例では、位置情報は、工具120および/または工具ポット125がATC工具ホルダ200によって固定されるかどうか判断するよう用いられる。別の実施例では、位置情報は、ATC工具ホルダ200が開状態または閉状態にあるかどうか判断するよう用いられる。1つ以上のセンサの例は、近接センサを含む。
【0050】
一実施例では、工具移送装置130は、工具搬送位置に位置する工具支持部(たとえば、基部210)上に工具120および/または工具ポット125を配置した後、ATC110から離れるように移動する。他の実施例では、コントローラ740は、工具120および/または工具ポット125がATC工具ホルダ200によって保持されていることを確認した後、ATC110から離れるように移動するよう工具移送装置130に指示する。ある実施例では、コントローラ740は、この判断を1つ以上のセンサに基づき行う。
【0051】
さらに、ある実施例ではたとえば、
図6に示されるように、ATC110および/またはATC工具ホルダ200が、1つ以上の工具および/または工具ポット検出センサ602を含む。一実施例では、1つ以上のセンサは、ATC工具ホルダ200に組み込まれたリミットスイッチを含む。しかしながら、他のスイッチまたはセンサタイプ(たとえば、近接、画像など)が、工具120および/または工具ポット125を検出するのに用いられてもよい。さらに、1つ以上の工具および/または工具ポット検出センサが、マシニングセンタ700内のさまざまな異なる位置に組み込まれてもよい。
【0052】
図9は、本開示のある実施例に従った自動工具交換を開始する際の工具交換システム300のような工具交換システムのための動作の方法を示す。この方法は、
図8に示した方法と独立して行われてもよく、または、たとえばステップS820および/またはS845において工具をマシンの工具交換位置に供給する際に
図8と関連して行われてもよい。一実施例では、コントローラ740は、この方法において行われる動作および/またはプロセスを制御するよう構成される。他の実施例では、異なるコントローラの組合せは、動作および/またはプロセスを制御するよう用いられてもよい。
【0053】
ステップS905では、コントローラ740は、自動工具交換が開始されるべきかどうかを判断する。たとえば、コントローラ740は、(たとえば、ステップS820および/またはS840においてのように)工具搬送位置にある工具および/または工具ポットがマシンの工具交換位置に供給されるべきかどうか、マシンが工具交換を要求しているかどうかなどを判断する。
【0054】
一実施例では、コントローラ740は、自動工具交換が開始されるべきという判断がなされるまで待つ。コントローラ740は、自動工具交換が開始されるべきであると判断した場合、ステップS910に進み、工具移送装置130が工具搬送位置にあるかどうか判断する。一実施例では、工具移送装置130が工具搬送位置にあるかどうか判断するよう、コントローラ740は、自動工具交換の開始の前の所定の時間(たとえば、少なくともATC工具ホルダ200が活性化して工具および/または工具ポットを保持するのに必要とされる最小の時間量)まで待つ。
【0055】
コントローラ740は工具移送装置130が工具搬送位置にあると判断すると、ステップS915において、工具交換部112は工具120および/または工具ポット125を工具交換位置に供給する。工具/工具ポット125が工具移送装置130によって保持されていない場合、コントローラ740は、工具交換部112に搬送を行うよう命令する前に、工具移送装置130に工具および/または工具ポット125を保持するよう命令する。コントローラ740は、工具移送装置130が工具搬送位置にないと判断した場合、ステップS920において、ATC工具ホルダ200に工具120および/または工具ポット125を保持するよう命令する。工具交換部112は、ATC工具ホルダが工具120および/または工具ポット125を保持した後、ステップS925において、工具120および/または工具ポット125を工具交換位置に供給する。一実施例では、コントローラ740は、ATC工具ホルダ200が工具120および/または工具ポット125を保持していることを(たとえば、上記の位置センサの1つ以上を用いて)確認した後、工具120および/または工具ポットを工具交換位置に供給するよう工具交換部112に命令する。
【0056】
実施例に依存して、工具移送装置130および/またはATC工具ホルダ200は、工具120、工具120を含む工具ポット125、または工具ポット125および工具120を保持する。一実施例では、工具移送装置130および/またはATC工具ホルダ200が工具120を含む工具ポット125を保持する際、工具交換部112が工具120のみを工具搬送位置から工具交換位置まで搬送する。工具交換部112は、別の工具を工具交換位置から工具ポット125まで供給してもよい。他の実施例では、工具120または工具120および工具ポット125が工具移送装置130および/またはATC工具ホルダ200に保持されている場合に、工具移送装置130および/またはATC工具ホルダ200は、保持位置にあるままで工具120または工具120および工具ポット125が工具移送装置130および/またはATC工具ホルダ200から除去されることを可能にする態様でキー付けされる。
【0057】
ステップS930では、ATC工具ホルダ200は、必要ならば、工具ポット125を随意に解放する。ATC工具ホルダ200は、工具移送装置130が戻るなどの場合、実施例に依存して、自動工具交換の終わりまたは自動工具交換が終わる前または後の所定の時間に工具ポット125を解放する。上述したように、一実施例では、工具ポット125は、工具ポット125が工具移送装置130および/またはATC工具ホルダ200によって保持されていない際に、工具搬送位置にて工具支持部(たとえば、基部210)によって支持される。さらに、一実施例では、工具支持部がさらに工具交換位置に設けられる。
【0058】
図10は、コントローラ740のようなマシニングセンタ700の機能の1つまたは組合せを実行するよう構成され得るコンピュータ1000のハードウェア構成の例を示すブロック図である。
【0059】
図10に示されるように、コンピュータ1000は、1つ以上のバス1008を介して互いに相互接続される中央処理装置(CPU)1002と、リードオンリーメモリ(ROM)1004と、ランダムアクセスメモリ(RAM)1006とを含む。1つ以上のバス1008はさらに、入出力インターフェイス1010に接続される。入出力インターフェイス1010は、キーボード、マウス、マイクロホン、リモートコントローラなどによって形成される入力部1012と接続される。入出力インターフェイス1010はさらに、オーディオインターフェイス、ビデオインターフェイス、ディスプレイ、スピーカなどによって形成される出力部1014と、ハードディスク、不揮発性メモリ、または他の一時的でないコンピュータ可読記憶媒体によって形成される記録部1016と、ネットワークインターフェイス、モデム、USBインターフェイス、ファイヤワイヤインターフェイスなどによって形成される通信部1018と、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリなどのリムーバブル媒体1022を駆動するためのドライブ1020とに接続される。
【0060】
一実施例に従うと、CPU1002は、記録部1016に格納されたプログラムを入出力インターフェイス1010およびバス1008を介してRAM1006にロードし、次いで、コントローラ740のようなマシニングセンタ700の機能の1つまたは組合せの機能性を提供するよう構成されるプログラムを実行する。
【0061】
上記の教示を考慮すると、当業者であれば、たとえばコントローラ740を用いる上記の例示的な実施例のあるものは、プログラム式プロセッサ(programmed processor)の使用に基づいているということを認識するであろう。しかしながら、本開示の実施例は、他の実施例が特殊目的ハードウェアおよび/または専用プロセッサのようなハードウェア構成要素の均等物を用いて実現され得るので、このような例示的な実施例に限定されない。同様に、汎用コンピュータ、マイクロプロセッサに基づくコンピュータ、マイクロコントローラ、光コンピュータ、アナログコンピュータ、専用プロセッサ、特定用途向け回路および/または専用のハードワイヤードロジックが、代替的な均等な実施例を構成するよう用いられてもよい。
【0062】
上記の教示を考慮すると、当業者であれば、コントローラ740による動作およびプロセスのような動作およびプロセスと、上記の実施例のうちのあるものを実現するよう用いられる関連するデータとは、本開示のある実施例から逸脱することがなければ、ディスクストレージおよび他の形態のストレージとを用いて実現され得るということを理解するであろう。その例として、たとえばリードオンリーメモリ(ROM)装置、ランダムアクセスメモリ(RAM)装置、ネットワークメモリ装置、光記憶素子、磁気記憶素子、光磁気記憶素子、フラッシュメモリ、コアメモリおよび/または他の均等な揮発性および不揮発性記憶技術を含む一時的でない記憶装置がある。「一時的でない」という用語は、情報が電力の除去または他の動作により失われ得ないということを示唆するものではない。このような代替的な記憶装置は、均等物と考えられるべきである。
【0063】
本願明細書で記載されるある実施例は、フローチャートの形式で上で広く記載した、任意の好適な電子またはコンピュータ可読記憶媒体上に格納され得るプログラミング命令を実行する1つ以上のプログラム式プロセッサを用いて実現されるか、または実現されてもよい。しかしながら、本開示を考慮すると、当業者であれば、本開示の実施例から逸脱することがなければ、上記のプロセスが任意の数の変形例で多くの好適なプログラミング言語により実現され得るということを理解するであろう。たとえば、当該開示のある実施例から逸脱することがなければ、実行されるある動作の順番はしばしば変動され得るか、付加的な動作が加えられ得るか、または動作が削除され得る。このような変形例は、均等であると意図および考慮される。
【0064】
ある例示的な実施例を記載してきたが、上記の記載に鑑みると当業者には多くの代替例、修正例、交換例、および変形例が明らかであることは明白である。