(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記組成物が、2〜5μg/ml、1〜10μg/ml、および0.5〜20μg/mlの範囲からなる群より選択される量の前記IL-12またはIL-12変異体を含む、請求項1に記載の組成物。
(a)前記組成物が、250 mM未満、225 mM未満、200 mM未満、175 mM未満、170 mM未満、160 mM未満、155 mM未満、150 mM未満、145 mM未満、140 mM未満、135 mM未満、130 mM未満、120 mM未満、100 mM未満、および50 mM未満からなる群より選択される量の安定剤を含むか;
(b)前記組成物が、20%未満、15%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.05%未満、0.01%未満、および0.005%未満からなる群より選択される量の界面活性剤を含むか;または
(c)(a)および(b)の任意の組合せである、
請求項1または2に記載の組成物。
前記医薬が、骨髄保存または回復にとって必要な期間にわたって、造血再増殖細胞、造血始原細胞または造血幹細胞を使用することなく、一つ以上の治療上有効量の該医薬を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における骨髄保存または回復のための方法において有用である、請求項7に記載の医薬。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(A. 実施形態の概要)
本発明の一実施形態においては、(a)約0.01〜約250 ng/mlのIL-12またはIL-12変異体;(b)約0.01%〜約40%の少なくとも一種の安定剤;(c)約0.001%〜約20%の少なくとも一種の界面活性剤;および(d)水を含み、IL-12が可溶化され、その溶液が約3.0〜約9のpHを有するIL-12医薬組成物が包含される。この組成物は、所望のpHを得るための少なくとも一種のバッファーを含んでもよい。
【0032】
本発明の一実施形態においては、(a)約0.01〜約250 ng/mlのIL-12またはIL-12変異体;(b)約0.1 mM〜約250 mMの少なくとも一種の安定剤としての塩;(c)約0.001%〜約20%の少なくとも一種のポロキサマー;および(d)水を含み、IL-12が可溶化され、その溶液が約3.0〜約9のpHを有するIL-12医薬組成物が包含される。この組成物は、所望のpHを得るための少なくとも一種のバッファーを含んでもよい。
【0033】
別の実施形態においては、前記組成物は、約2000 ng/ml未満、約1500 ng/ml未満、約1000 ng/ml未満、約500 ng/ml未満、約250 ng/ml未満、約240 ng/ml未満、約230 ng/ml未満、約220 ng/ml未満、約210 ng/ml未満、約200 ng/ml未満、約190 ng/ml未満、約180 ng/ml未満、約170 ng/ml未満、約160 ng/ml未満、約150 ng/ml未満、約140 ng/ml未満、約130 ng/ml未満、約120 ng/ml未満、約110 ng/ml未満、約100 ng/ml未満、約90 ng/ml未満、約80 ng/ml未満、約70 ng/ml未満、約60 ng/ml未満、約55 ng/ml未満、約50 ng/ml未満、約45 ng/ml未満、約40 ng/ml未満、約35 ng/ml未満、約30 ng/ml未満、約25 ng/ml未満、約20 ng/ml未満、約15 ng/ml未満、約10 ng/ml未満、および約5 ng/ml未満からなる群より選択される量のIL-12またはIL-12変異体を含む。
【0034】
別の実施形態においては、前記組成物は、約1μg/ml以上、約500 ng/ml以上、約250 ng/ml以上、約240 ng/ml以上、約230 ng/ml以上、約220 ng/ml以上、約210 ng/ml以上、約200 ng/ml以上、約190 ng/ml以上、約180 ng/ml以上、約170 ng/ml以上、約160 ng/ml以上、約150 ng/ml以上、約140 ng/ml以上、約130 ng/ml以上、約120 ng/ml以上、約110 ng/ml以上、約100 ng/ml以上、約90 ng/ml以上、約80 ng/ml以上、約70 ng/ml以上、約60 ng/ml以上、約55 ng/ml以上、約50 ng/ml以上、約45 ng/ml以上、約40 ng/ml以上、約35 ng/ml以上、約30 ng/ml以上、約25 ng/ml以上、約20 ng/ml以上、約15 ng/ml以上、約10 ng/ml以上、および約5 ng/ml以上からなる群より選択される量のIL-12またはIL-12変異体を含む。
【0035】
別の実施形態においては、前記組成物は、2〜5μg/ml、1〜10μg/ml、0.5〜20μg/mlおよび0.1〜50μg/mlの範囲からなる群より選択される量のIL-12またはIL-12変異体を含む。
【0036】
前記組成物は、可変量の少なくとも一種の安定剤および/または少なくとも一種の界面活性剤を含んでもよい。例えば、前記組成物は、約40%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満、および約0.05%未満からなる群より選択される量の少なくとも一種の安定剤を含んでもよい。前記組成物はまた、約250 mM未満、約225 mM未満、約200 mM未満、約175 mM未満、約170 mM未満、約160 mM未満、約155 mM未満、約150 mM未満、約145 mM未満、約140 mM未満、約135 mM未満、約130 mM未満、約120 mM未満、約100 mM未満、約50 mM未満、および約1 mM未満からなる群より選択される量の少なくとも一種の安定剤を含んでもよい。さらに、前記組成物は、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満、約0.05%未満、約0.01%未満、および約0.005%未満からなる群より選択される量の少なくとも一種の界面活性剤を含んでもよい。
【0037】
本発明の一実施形態においては、安定剤は、糖、例えば、スクロースまたはトレハロースである。本発明の一実施形態においては、界面活性剤は、ポリソルベート20である。例示的な組成物においては、前記組成物は、約6%のトレハロースおよび約0.04%のポリソルベート20を含み、少なくともpH 5.5およびpH 6.5未満のpHを有する。
【0038】
本発明のpHは、任意の製薬上許容し得るpHであってよい。例えば、前記組成物は、約3.5〜約8.5、約4〜約8、約4.5〜約7.5、約5.0〜約7.0、および約5.5〜約6.5からなる群より選択されるpHを有してもよい。
【0039】
本発明の一実施形態においては、安定剤は、塩、例えば、塩化ナトリウムまたは塩化カリウムである。本発明の一実施形態においては、界面活性剤は、ポロキサマー188である。例示的な組成物においては、前記組成物は、約150 mMの塩化ナトリウム、および約0.1%のポロキサマー188を含み、少なくともpH 5.5およびpH 6.5未満のpHを有する。
【0040】
本発明の一実施形態においては、前記組成物は、末梢血単核細胞が該組成物に曝露された場合、インターフェロンγの発現にとって製薬上許容し得るEC50を有する。いくつかの実施形態においては、前記組成物は、約0.1〜1ピコグラム、約0.15〜0.9ピコグラム、および約0.2〜約0.7ピコグラムからなる群より選択されるEC50を有する。
【0041】
本発明の別の実施形態においては、本発明の組成物を使用する方法が包含される。例示的方法は、第一に、(a)関連造血毒性を有する治療を哺乳動物に施すこと;および(b)該治療の施行の時点の近くで一つ以上の治療上有効量の請求項1に記載の組成物を投与することを含み、哺乳動物への請求項1に記載の組成物の投与が前記治療の造血毒性を低下させる、哺乳動物における疾患状態を治療する方法を含む。
【0042】
第二の例示的方法においては、造血の欠乏を改善するのに必要とされる一つ以上の治療上有効量の本発明の組成物を投与することを含む、該欠乏に関して哺乳動物を治療する方法が包含される。
【0043】
第三の例示的方法においては、造血の刺激または増強を含む治療効果を達成する期間にわたって一つ以上の治療上有効量の本発明の組成物を投与することを含む、哺乳動物における造血を刺激または増強する方法が包含される。
【0044】
第四の例示的方法においては、骨髄保存または回復にとって必要な期間にわたって、造血再増殖細胞、造血始原細胞または造血幹細胞を用いることなく、一つ以上の治療上有効量の本発明の組成物を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における骨髄保存または回復のための方法が包含される。
【0045】
第五の例示的方法においては、非治療的全身電離放射線への急性曝露後に被験体に本発明の組成物を投与することを含む、被験体における生存率を増加させる、および/または骨髄機能を保存する、および/または造血回復もしくは修復を促進するための方法が包含される。
【0046】
本発明の全ての方法において、哺乳動物はヒトであってよい。
【0047】
本発明の方法においては、造血の欠乏と相関する治療は、化学療法、放射線療法、またはその組合せを含んでもよい。造血の欠乏は、一種以上の造血細胞型または系列の欠乏を含んでもよい。
【0048】
本発明の方法は、造血の欠乏の改善をもたらすことができ、その欠乏は、IL-12またはIL-12変異体により促進された(容易になった)一種以上の型の骨髄細胞の増殖によって改善される。骨髄細胞は、造血再増殖細胞、造血幹細胞、造血始原細胞(造血前駆細胞)、またはその任意の組合せを含んでもよい。
【0049】
本発明の方法および組成物においては、IL-12またはIL-12変異体の用量は、約50μg/ml未満、約45μg/ml未満、約40μg/ml未満、約35μg/ml未満、約30μg/ml未満、約25μg/ml未満、約20μg/ml未満、約15μg/ml未満、約10μg/ml未満、約8μg/ml未満、約5μg/ml未満、約2μg/ml未満、約1.5μg/ml未満、約1μg/ml未満、約500 ng/ml未満、約250 ng/ml未満、約240 ng/ml未満、約230 ng/ml未満、約220 ng/ml未満、約210 ng/ml未満、約200 ng/ml未満、約190 ng/ml未満、約180 ng/ml未満、約170 ng/ml未満、約160 ng/ml未満、約150 ng/ml未満、約140 ng/ml未満、約130 ng/ml未満、約120 ng/ml未満、約110 ng/ml未満、約100 ng/ml未満、約90 ng/ml未満、約80 ng/ml未満、約70 ng/ml未満、約60 ng/ml未満、約55 ng/ml未満、約50 ng/ml未満、約45 ng/ml未満、約40 ng/ml未満、約35 ng/ml未満、約30 ng/ml未満、約25 ng/ml未満、約20 ng/ml未満、約15 ng/ml未満、約10 ng/ml未満、および約5 ng/ml未満からなる群より選択される。本発明の方法および組成物においては、IL-12またはIL-12変異体の用量は、約1μg/ml以上、約500 ng/ml以上、約250 ng/ml以上、約240 ng/ml以上、約230 ng/ml以上、約220 ng/ml以上、約210 ng/ml以上、約200 ng/ml以上、約190 ng/ml以上、約180 ng/ml以上、約170 ng/ml以上、約160 ng/ml以上、約150 ng/ml以上、約140 ng/ml以上、約130 ng/ml以上、約120 ng/ml以上、約110 ng/ml以上、約100 ng/ml以上、約90 ng/ml以上、約80 ng/ml以上、約70 ng/ml以上、約60 ng/ml以上、約55 ng/ml以上、約50 ng/ml以上、約45 ng/ml以上、約40 ng/ml以上、約35 ng/ml以上、約30 ng/ml以上、約25 ng/ml以上、約20 ng/ml以上、約15 ng/ml以上、約10 ng/ml以上、および約5 ng/ml以上からなる群より選択される。本発明の方法および組成物のためのIL-12またはIL-12変異体の用量範囲は、2〜5μg/ml、1〜10μg/ml、0.5〜20μg/ml、および0.1〜50μg/mlからなる群より選択される。
【0050】
本発明の方法において、造血の欠乏と相関する治療は、一つ以上の高用量治療モダリティを含んでもよく、該治療を用量集中治療レジメンで施してもよく、またはその任意の組合せであってもよい。本発明の一実施形態においては、高用量治療モダリティは、放射線療法の施行を含む;用量集中治療レジメンは放射線療法の施行を含む;またはその任意の組合せを含む。
【0051】
本発明の方法において、前記組成物の投与は、治療の関連造血毒性からの骨髄細胞の保護をもたらすことができる。例えば、本発明の組成物の投与は、骨髄細胞の化学防御をもたらすことができる。別の実施形態においては、骨髄細胞は、造血再増殖細胞、造血幹細胞、造血始原細胞、またはその任意の組合せを含んでもよい。
【0052】
本発明の方法において、造血の欠乏と相関する治療は、一つ以上の固形腫瘍の治療を標的とする、一つ以上の造血細胞障害の治療を標的とする、および/またはウイルス感染の治療を標的とすることができる。治療が一つ以上の固形腫瘍の治療を標的とする場合、前記方法は、疾患状態のみを標的とすることを意図された治療と比較して、一つ以上の固形腫瘍の寛解の増加をもたらし得る。治療が一つ以上の造血細胞障害の治療を標的とする場合、前記方法は、疾患状態のみを標的とすることを意図された治療と比較して、一つ以上の造血細胞障害の寛解の増加をもたらし得る。治療がウイルス感染の治療を標的とする場合、(a)前記方法はウイルス感染もしくはその関連する症候の減少をもたらし得る;(b)哺乳動物の白血球計数を増加させることができる;(c)哺乳動物のT細胞計数を増加させることができる;または(d)その任意の組合せである。
【0053】
本発明の方法において、造血の欠乏と相関する治療は化学療法を含んでもよく、(a)化学療法は一つ以上の造血細胞型もしくは系列の欠乏をもたらし、前記組成物の投与は該欠乏を改善する;(b)化学療法治療は二つ以上の化学療法の施行を含む;(c)前記組成物を化学療法の前に投与する;(d)前記組成物を化学療法の後に投与する;(e)前記組成物を化学療法の前もしくは後に投与する;(f)前記組成物を化学療法の前および後に投与する;または(g)その任意の組合せである。
【0054】
本発明の方法において、造血の欠乏と相関する治療は放射線療法を含んでもよく、(a)前記組成物の投与は骨髄細胞の放射線防御をもたらす;(b)前記組成物の投与は骨髄細胞の放射線防御をもたらし、骨髄細胞は造血再増殖細胞、造血幹細胞、造血始原細胞、もしくはその任意の組合せを含む;(c)放射線療法は致死量に近い放射線を含む;(d)放射線療法は致死量以下の放射線を含む;(e)放射線療法を用量集中治療レジメンで施す;(f)前記組成物を放射線療法の前に投与する;(g)前記組成物を放射線療法の後に投与する;(h)前記組成物を放射線療法の前もしくは後に投与する;(i)前記組成物を放射線療法の前および後に投与する;(j)放射線療法は一種以上の造血細胞型もしくは系列の欠乏をもたらし、前記組成物の投与は該欠乏を改善する;または(k)その任意の組合せである。
【0055】
一つ以上の治療上有効量の前記組成物を、前記治療の施行の前、前および後、または後に、様々な時間間隔で投与することができる。
【0056】
本発明の方法において、造血の欠乏は、(a)実質的に疾患状態の結果である;(b)リンパ球減少症を含む;(c)骨髄球減少症を含む;(d)白血球減少症を含む;(e)好中球減少症である白血球減少症を含む;(f)赤血球減少症を含む;(g)巨核球減少症を含む;(h)血小板の欠乏を含む;(i)リンパ球の欠乏を含む;(j)赤血球の欠乏を含む;(k)単球の欠乏を含む;(l)好中球の欠乏を含む;(m)T細胞の欠乏を含む;(n)顆粒球の欠乏を含む;(o)樹状細胞の欠乏を含む;または(p)その任意の組合せであってよい。
【0057】
本発明の方法において、造血の刺激または増強は、IL-12またはIL-12変異体により促進された(容易になった)骨髄細胞の増殖を含んでもよい。別の実施形態においては、造血の刺激または増強は、IL-12またはIL-12変異体により促進された(容易になった)、造血再増殖細胞、造血始原細胞、造血幹細胞、またはその任意の組合せの増殖を含んでもよい。造血再増殖細胞は、長期再増殖細胞を含んでもよい。
【0058】
本発明の方法において、哺乳動物は、(a)一種以上の造血細胞型もしくは系列の欠乏;(b)リンパ球減少症を含む造血欠乏;(c)骨髄球減少症を含む造血欠乏;(d)白血球減少症を含む造血欠乏;(e)好中球減少症である白血球減少症を含む造血欠乏;(f)赤血球減少症を含む造血欠乏;(g)巨核球減少症を含む欠乏;(h)血小板の欠乏を含む造血欠乏;(i)単球の欠乏を含む造血欠乏;(k)リンパ球の欠乏を含む造血欠乏;(l)赤血球の欠乏を含む造血欠乏;(m)好中球の欠乏を含む造血欠乏;(n)T細胞の欠乏を含む造血欠乏;(o)顆粒球の欠乏を含む造血欠乏;(p)樹状細胞の欠乏を含む造血欠乏;または(q)その任意の組合せを有してもよい。
【0059】
哺乳動物における骨髄保存または回復のための方法において、哺乳動物は骨髄損傷を有してもよい。別の方法においては、哺乳動物は疾患状態およびその疾患状態と闘うための治療レジメンの副産物である骨髄の破壊に近い状態に罹患していてもよい。さらに別の実施形態においては、治療上有効量の本発明の組成物の投与は、骨髄保存または回復に必要な期間にわたるものであってよく、骨髄移植の必要性を除去することができる。さらに別の実施形態においては、骨髄保存または回復は、造血再増殖細胞、造血幹細胞、造血始原細胞、またはその任意の組合せの増加を含む。
【0060】
本発明の方法において、骨髄保存または回復は、(a)一種以上の分化した造血細胞型の増加;(b)造血支援細胞(造血支持細胞)の増加;または(c)その任意の組合せを含んでもよい。
【0061】
非治療的全身電離放射線への急性曝露後の被験体に本発明の組成物を投与することを含む、被験体における生存率の増加、および/または骨髄機能の保存、および/または造血回復もしくは修復の促進に関する本発明の方法において、急性全身電離放射線照射は核事象であってよい。急性用量は、少なくとも約3.5 Gy(LD50)であってよい。さらに、そのような方法において、前記組成物を、(a)急性放射線曝露後約1時間〜約72時間の範囲の間に;(b)前記急性放射線曝露後約6時間〜約24時間の範囲の間に;(c)皮下的もしくは筋肉内的に;または(d)その任意の組合せで投与することができる。さらに、そのような方法において、(a)対症療法を、前記組成物の投与と同時に、もしくはその後に被験体に与えることができる;(b)対症療法を、前記組成物の投与と同時に、もしくはその後に被験体に与えることでき、対症療法は一種以上の抗生物質の投与を含む;(c)対症療法を、前記組成物の投与と同時に、もしくはその後に被験体に与えることができ、対症療法は一種以上の造血増殖因子の投与を含む;(d)対症療法を、前記組成物の投与と同時に、もしくはその後に被験体に与えることができ、対症療法は輸血の投与を含む;または(e)その任意の組合せである。
【0062】
別の実施形態においては、IL-12またはその変異体を、急性放射線曝露後、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、少なくとも約5時間、少なくとも約6時間、少なくとも約7時間、少なくとも約8時間、少なくとも約9時間、少なくとも約10時間、少なくとも約11時間、少なくとも約12時間、少なくとも約13時間、少なくとも約14時間、少なくとも約15時間、少なくとも約16時間、少なくとも約17時間、少なくとも約18時間、少なくとも約19時間、少なくとも約20時間、少なくとも約21時間、少なくとも約22時間、少なくとも約23時間、少なくとも約24時間、少なくとも約30時間、少なくとも約36時間、少なくとも約42時間、少なくとも約48時間、少なくとも約54時間、少なくとも約60時間、少なくとも約66時間、または少なくとも約72時間で投与することができる。
【0063】
本発明の別の実施形態においては、被験体の生存率は、同じ用量の放射線に曝露され、IL-12またはその変異体を与えられない被験体と比較して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%増加する。
【0064】
最後に、本発明の別の実施形態においては、一つ以上の用量の本発明の組成物を含む、全身電離放射線への非治療的急性曝露後の被験体の生存率を増加させる、および/または骨髄機能を保存する、および/または造血回復もしくは修復を促進するためのキットが包含される。
【0065】
(B. 定義)
以下の定義は、本明細書内で用いられる用語に対して明確性を与えるために提供されるものである。定義を明確にするために用いられる用語は、広く、かつ一般的に解釈されることを意味する。
【0066】
本明細書で用いられる「インターロイキン-12(IL-12)」は、現在公知であるか、または将来開発される、現在当業界で公知の任意の様式で製造された、または将来開発される、天然のIL-12分子、変異体IL-12分子および共有改変されたIL-12分子などの本明細書に開示される少なくとも一つの特性をもたらす任意の組換えIL-12分子を含む。一般に、本発明の実施形態で用いられるIL-12分子のアミノ酸配列は、IL-12p70と関連する標準的なヒト配列である。IL-12は、二つのサブユニット、IL-12A(p35)およびIL-12B(p40)を含む。しかしながら、IL-12について、特にp35サブユニットにおいては、多型が存在することが知られている。特に、公知の多型は、p35ヒトサブユニットのアミノ酸247に存在し、そこではメチオニンがトレオニンにより置換されている。本発明のさらに他の実施形態は、IL-12の天然アミノ酸配列が天然の配列から変化しているが、IL-12分子が本明細書に開示されるIL-12の特性をもたらすように機能する、IL-12分子を含む。IL-12の天然の種特異的アミノ酸配列からの変化は、IL-12の一次配列の変化を含み、一次アミノ酸配列に対する欠失および付加を包含し、変異体IL-12分子をもたらす。高度に誘導体化されたIL-12分子の例は、変異体IL-12分子がDNAシャッフリング法により製造される、Maxygen, Inc.により製造された再設計IL-12分子である(Leongら、Proc Natl Acad Sci USA, 100(3): 1163-8(2003年2月4日))。また、その保存期間、半減期、効力、溶解性、送達などを増加させるIL-12分子に対する共有改変、米国特許第4,640,835号;第4,496,689号;第4,301,144号;第4,670,417号;第4,791,192号または第4,179,337号(それぞれ、参照により本明細書に組み入れられるものとする)に記載の様式でのポリエチレングリコール基、ポリプロピレングリコールなどの付加などの、本発明の方法に含まれる改変IL-12分子も含まれる。IL-12分子のある種類の共有改変は、IL-12ポリペプチドの標的アミノ酸残基を、IL-12ポリペプチドの選択された側鎖またはNもしくはC末端残基と反応することができる有機誘導体化剤と反応させることにより、前記分子中に導入される。本発明に含まれる他のIL-12変異体は、標準的な配列を、天然の変化していないIL-12と比較して、得られるIL-12分子のグリコシル化パターンを増加させるように変化させたものである。この方法は、Aranespと呼ばれるエリスロポエチンの第二世代分子を作製するのに用いられてきた。IL-12の天然配列およびIL-12のアミノ酸配列変異体は両方とも、共有改変することができる。また、本明細書で言及されるように、IL-12分子を、組換え方法などの当業界で公知の様々な方法により製造することができる。変異体IL-12ポリペプチドの特徴を前もって予測することは困難であることが多いので、最適な変異体を選択するためには、回収された変異体の数回のスクリーニングが必要であることが理解されよう。変異体IL-12分子の特性の変化を評価する好ましい方法は、以下に開示される致死的照射レスキュープロトコールを介するものである。レドックスもしくは熱安定性、疎水性、タンパク質溶解的分解に対する感受性、または担体と共に、もしくは多量体に凝集する傾向などのタンパク質またはポリペプチド特性の他の潜在的改変を、当業者にはよく知られた方法によりアッセイする。
【0067】
別途指摘しない限り、「約」は記述された値の±10%を意味する。
【0068】
本明細書で用いられる用語「バッファー」は、医薬調製物のpHを安定化する製薬上許容し得る賦形剤を意味する。好適なバッファーは当業界でよく知られており、文献に見出すことができる。製薬上許容し得るバッファーとしては、限定されるものではないが、ヒスチジンバッファー、クエン酸バッファー、コハク酸バッファー、酢酸バッファー、リン酸バッファー、アルギニンバッファーまたはその混合物が挙げられる。上記バッファーは一般に、約1 mM〜約100 mM、約5 mM〜約50 mMおよび約10〜20 mMの量で用いられる。バッファー溶液のpHは、少なくとも4.0、少なくとも4.5、少なくとも5.0、少なくとも5.5または少なくとも6.0であってよい。バッファー溶液のpHは、7.5未満、7.0未満、または6.5未満であってよい。バッファー溶液のpHは、当業者には公知の酸または塩基、例えば、塩酸、酢酸、リン酸、硫酸およびクエン酸、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムを用いて約4.0〜約7.5、約5.5〜約7.5、約5.0〜約6.5、および約5.5〜約6.5にしてもよい。本明細書で用いられるように、pHを説明する場合、「約」は±0.2 pH単位を意味する。
【0069】
本明細書で用いられる用語「界面活性剤」は、撹拌および剪断などの機械的ストレスに対してタンパク質製剤を保護するために用いられる製薬上許容し得る賦形剤を意味する。製薬上許容し得る界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(Brij)、アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテル(Triton-X)、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー(Poloxamer、Pluronic)、およびドデシル硫酸ナトリウム(SDS)が挙げられる。好適な界面活性剤としては、ポリソルベート20(商標Tween 20(登録商標)の下で販売)およびポリソルベート80(商標Tween 80(登録商標)の下で販売)などのポリオキシエチレンソルビタン-脂肪酸エステルが挙げられる。好適なポリエチレン-ポリプロピレンコポリマーは、Pluronic(登録商標)F68またはPoloxamer 188(登録商標)の名称で販売されているものである。好適なポリオキシエチレンアルキルエーテルは、商標Brij(登録商標)の下で販売されているものである。好適なアルキルフェノールポリオキシエチレンエステルは、商標名Triton-Xの下で販売されている。ポリソルベート20(Tween 20(登録商標))およびポリソルベート80(Tween 80(登録商標))を用いる場合、それらは一般に、約0.001〜約1%、約0.005〜約0.2%および約0.01%〜約0.1%w/v(重量/体積)の範囲の濃度で用いられる。
【0070】
用語「安定剤」は、製造、保存および適用の間の化学的および/または物理的分解から、活性医薬成分および/または製剤を保護する製薬上許容し得る賦形剤を意味する。タンパク質薬剤の化学的および物理的分解経路は、Clelandら、Crit. Rev. Ther. Drug Carrier Syst., 10(4):307-77 (1993); Wang, Int. J. Pharm., 185(2):129-88 (1999); Wang, Int. J. Pharm., 203(1-2):1-60 (2000); およびChiら、Pharm. Res., 20(9):1325-36 (2003)により概説されている。安定剤としては、限定されるものではないが、以下に定義されるような、糖、アミノ酸、ポリオール、シクロデキストリン、例えば、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、スルホブチルエチル-β-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、ポリエチレングリコール、例えば、PEG 3000、PEG 3350、PEG 4000、PEG 6000、アルブミン、ヒト血清アルブミン(HSA)、ウシ血清アルブミン(BSA)、塩、例えば、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、キレート剤、例えば、EDTAが挙げられる。上記のように、安定剤は、約10〜約500 mMの量、約10〜約300 mMの量、または約100 mM〜約300 mMの量で製剤中に存在してもよい。
【0071】
本明細書で用いられる用語「糖」は、単糖またはオリゴ糖を意味する。単糖は、単純な糖およびその誘導体、例えば、アミノ糖などの、酸によって加水分解されないモノマー炭水化物である。単糖の例としては、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、リボース、デオキシリボース、ノイラミン酸が挙げられる。オリゴ糖は、分枝として、または鎖中にグリコシド結合を介して接続された二個以上のモノマー糖単位からなる炭水化物である。オリゴ糖内のモノマー糖単位は、同一であっても、または異なっていてもよい。モノマー糖単位の数に応じて、オリゴ糖は、二糖、三糖、四糖、五糖などである。多糖とは対照的に、単糖およびオリゴ糖は水溶性である。オリゴ糖の例としては、スクロース、トレハロース、ラクトース、マルトースおよびラフィノースが挙げられる。糖は、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、又は5%を超える濃度で製剤中に存在してもよい。糖は、20%、15%、10%、9%、8%、7%、または6%未満の濃度で製剤中に存在してもよい。糖は、約6%、約55〜約7%、約4〜約8%、約2%〜約10%、約1%〜約10%、約1%〜約20%、約0.1%〜約10%、または約0.1%〜約20%の量で製剤中に存在してもよい。
【0072】
本明細書で用いられる「ポリオール」は、二個以上のヒドロキシ基を有する製薬上許容し得るアルコールを意味する。好適なポリオールは、限定されるものではないが、マンニトール、ソルビトール、グリセリン、デキストラン、グリセロール、アラビトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、およびその組合せを含む。ポリオールを、約10 mM〜約500 mMの量、約10〜約300 mMの量、または約100〜約300 mMの量で用いることができる。
【0073】
安定剤内のサブグループは、凍結防止剤である。用語「凍結防止剤」は、凍結乾燥プロセス、その後の保存および再構成の間の不安定化条件に対して不安定な活性成分(例えば、タンパク質)を保護する製薬上許容し得る賦形剤を意味する。凍結防止剤としては、限定されるものではないが、糖、ポリオール(例えば、糖アルコールなど)およびアミノ酸からなる群が挙げられる。凍結防止剤としては、限定されるものではないが、スクロース、トレハロース、ラクトース、グルコース、マンノース、マルトース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラフィノース、ノイラミン酸などの糖、グルコサミン、ガラクトサミン、N-メチルグルコサミン(「Meglumine」)などのアミノ糖、マンニトールおよびソルビトールなどのポリオール、ならびにアルギニンおよびグリシンなどのアミノ酸が挙げられる。凍結防止剤は一般に、約10〜500 mMの量、約10〜約300 mMの量、または約100〜約300 mMの量で用いられる。
【0074】
安定剤内のサブグループは、酸化防止剤である。用語「酸化防止剤」は、活性医薬成分の酸化を防止する製薬上許容し得る賦形剤を意味する。酸化防止剤としては、限定されるものではないが、アスコルビン酸、グルタチオン、システイン、メチオニン、クエン酸、EDTAが挙げられる。酸化防止剤を、約1〜約100 mMの量、約5〜約50 mMの量、または約5〜約20 mMの量で用いることができる。
【0075】
本明細書で用いられる用語「等張剤」は、製薬上許容し得る等張剤を意味する。等張剤は、製剤の等張性を調節するのに用いられる。製剤は、低張性、等張性または高張性であってよい。一般に、等張性は、溶液と関連する浸透圧に関し、通常はヒト血清の浸透圧に関する。本発明による製剤は、低張性、等張性または高張性であってよいが、好ましくは等張性である。等張性製剤は、液体または固体形態から、例えば、凍結乾燥形態から再構成された液体であり、それが比較されるいくつかの他の溶液と同じ等張性を有する溶液、例えば、生理的塩溶液および血清を意味する。好適な等張剤としては、限定されるものではないが、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセリンおよびアミノ酸、糖の群に由来する任意の成分、特に、グルコースが挙げられる。等張剤は一般に、約5 mM〜約500 mMの量で用いられる。
【0076】
安定剤および等張剤の中に、両方の方法で機能することができる化合物群が存在する、すなわち、それらは同時に安定剤であり、等張剤である。その例は、糖、アミノ酸、ポリオール、シクロデキストリン、ポリエチレングリコールおよび塩の群に見出すことができる。安定剤および等張剤として機能することができる糖の例は、トレハロースである。
【0077】
本明細書に記載の化合物はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤などの「アジュバント」を含んでもよい。微生物汚染の防止を、滅菌手順ならびに様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などの含有の両方により確保することができる。保存剤は一般に、約0.001〜約2%(w/v)の量で用いられる。保存剤としては、限定されるものではないが、エタノール、ベンジルアルコール、フェノール、m-クレゾール、p-クロル-m-クレゾール、メチルまたはプロピルパラベン、およびベンズアルコニウムクロリドが挙げられる。
【0078】
本発明による製剤と関連して本明細書で用いられる用語「液体」は、大気圧下、少なくとも約2〜約8℃の温度で液体である製剤を意味する。
【0079】
本発明による製剤と関連して本明細書で用いられる用語「凍結乾燥物」は、当業界で公知の凍結-乾燥方法により製造される製剤を意味する。そのような製剤においては、溶媒(例えば、水)は、減圧下での昇華後の凍結および高温での残留水の脱離により除去される。凍結乾燥物は通常、約0.1〜5%(w/w)の残留湿度を有し、粉末または物理的に安定なケーキとして存在する。凍結乾燥物は、再構成媒体の添加後の迅速な溶解を特徴とする。
【0080】
本発明による製剤と関連して本明細書で用いられる用語「再構成された製剤」は、凍結乾燥され、再構成媒体の添加により再溶解された製剤を意味する。再構成媒体の例としては、限定されるものではないが、注射用の水(WFI)、注射用の静菌水(BWFI)、塩化ナトリウム溶液(例えば、0.9%(w/v)NaCl)、グルコース溶液(例えば、5%グルコース)、界面活性剤含有溶液(例えば、0.01%ポリソルベート20)、およびpH緩衝溶液(例えば、リン酸緩衝溶液)が挙げられる。
【0081】
本明細書で用いられる語句「非経口投与」および「非経口投与された」は、通常は注射による、腸内投与および局所投与以外の投与様式を意味し、限定されるものではないが、静脈内、筋肉内、動脈内、鞘内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、髄腔内、硬膜外および胸骨内の注射および輸液が挙げられる。
【0082】
本明細書で用いられる「治療上有効量もしくは用量」または「十分量もしくは用量」は、それが投与される間に効果をもたらす用量、例えば、急性用量の全身電離放射線に曝露された被験体における生存率を増加させる、および/または骨髄機能を保存する、および/または造血回復もしくは修復を促進するのに十分な用量を含む。正確な用量は、治療の目的およびIL-12投与のタイミング、治療される被験体の特定の特徴、照射の総量またはタイミングに依存し、当業者であれば公知の技術を用いて確認できる(例えば、Lieberman, Pharmaceutical Dosage Forms (vols. 1-3, 1992); Lloyd, The Art, Science and Technology of Pharmaceutical Compounding (1999); Pickar, Dosage Calculations (1999); およびRemington: The Science and Practice of Pharmacy, 第20版、2003, Gennaro(編)、Lippincott, Williams & Wilkinsを参照されたい)。
【0083】
一般に、本発明の方法および組成物による治療剤の用量を、投与される薬剤の総量を単位として(すなわち、ng、μg、またはmg)表すことができる。好ましくは、用量を、投与を受ける被験体の重量または表面積に対する、投与される薬剤の比率として表すことができる(すなわち、ng/kg、μg/kg、ng/m
2、またはmg/m
2)。被験体の質量あたりの投与される質量を単位とする用量に言及する場合(すなわち、ng/kg)、用量は異なる動物間で等価ではなく、かくして、ある動物が別の動物と同じ用量等価物を受けることを確保するためには、変換因子を用いる必要があることが理解される。異なる動物の「用量等価物」へのマウスの「用量等価物」の変換のための好適な因子は、以下の検索表に与えられる。かくして、好ましい実施形態においては、用量は、表面積に対する質量を単位として与えられ(すなわち、ng/m
2)、これは全ての動物について等価である。以下の基本的な変換因子を用いて、ng/kgをng/m
2に変換することができる:マウス=3.0、ハムスター=4.1、ラット=6.0、モルモット=7.7、ヒト=38.0(Cancer Chemother Repts., 50(4):219(1966))。
【表1】
【0084】
本明細書で用いられる用語「低用量」は、約15μg/m
2未満、または約14μg/m
2未満、または約13μg/m
2未満、12μg/m
2未満、11μg/m
2未満、10μg/m
2未満、9μg/m
2未満、8μg/m
2未満、7μg/m
2未満、6μg/m
2未満、5μg/m
2未満、4μg/m
2未満、3μg/m
2未満、2μg/m
2未満、1μg/m
2未満、または約900 ng/m
2未満、800 ng/m
2未満、700 ng/m
2未満、600 ng/m
2未満、500 ng/m
2未満、400 ng/m
2未満、300 ng/m
2未満、200 ng/m
2未満、または100 ng/m
2未満の用量を含む。
【0085】
本明細書で用いられる用語「超低用量」は、約3μg/m
2未満、2μg/m
2未満、1μg/m
2未満、または約900 ng/m
2未満、800 ng/m
2未満、700 ng/m
2未満、600 ng/m
2未満、500 ng/m
2未満、400 ng/m
2未満、300 ng/m
2未満、200 ng/m
2未満、または100 ng/m
2未満の用量を含む。
【0086】
「治療の施行の時点の近く」とは、治療の施行の前および/または後の任意の合理的な期間、例えば、1ヶ月、3週間、2週間、1週間、数日、1日、20時間、数時間、1時間または数分でのIL-12の投与を指す。治療の施行の時点の近くはまた、治療およびIL-12の同時投与または同時に近い投与、すなわち、数分から1日以内の投与を指す。
【0087】
「疾患状態」とは、哺乳動物の健康および福祉が障害される、哺乳動物に存在する症状を指す。本発明の特定の実施形態においては、疾患状態を標的とすることを意図された治療を、哺乳動物に施す。
【0088】
「治療」は、疾患状態を標的とし、それと闘う、すなわち、疾患状態を改善することを意図される。かくして、特定の治療は、標的とされる疾患状態ならびに医学的療法および治療手法の現在または将来の状態に依存する。治療は関連毒性を有してもよい。
【0089】
「関連造血毒性」は、哺乳動物の造血系に有害に作用する哺乳動物への治療の施行から実質的に生じる毒性である。この有害作用は、哺乳動物中に広く現れることがあり、それによって、多くの造血細胞型が、治療の結果として、もしくは治療と疾患状態との組合せの結果として、正常レベルであると考えられるものから変化するか、または有害作用は哺乳動物中により特異的に現れることがあり、それによって、ただ一種もしくは数種の造血細胞型が、治療の結果として、もしくは治療と疾患状態との組合せの結果として、正常レベルであると考えられるものから変化する。
【0090】
「化学療法」とは、医学界で現在公知であるか、または開発されている天然または合成の薬剤を含む任意の療法を指す。化学療法の例としては、現在利用可能であるいくつかの抗癌剤が挙げられる。しかしながら、化学療法はまた、疾患状態を治療することを意図される天然または合成の任意の薬剤も含む。本発明の特定の実施形態においては、化学療法は、疾患状態を治療することが意図されるいくつかの公知技術の薬剤の投与を含んでもよい。例としては、頭部の局所進行性扁平細胞癌を有する患者のためのドセタキセル、シスプラチン、および5-フルオロウラシルとの混合化学療法(Tsukudaら、Int. J. Clin. Oncol.,9(3):161-6(2004年6月))、ならびに難治性および再発性緩慢性リンパ腫におけるフルダラビンおよびベンダムスチン(Konigsmannら、Leuk Lymphoma., 45(9): 1821-1827(2004))が挙げられる。
【0091】
「放射線療法」とは、任意の形態の放射線を用いて、疾患状態を治療する任意の療法を指す。放射線療法のための放射線を生成する機器は、現在利用可能であるか、または将来利用可能になる機器である。
【0092】
「高用量治療モダリティ」とは、高い致死量未満であるか、または致死量に近い治療を指す。高用量治療モダリティは、疾患状態と闘う高い能力を有することを意図されるが、一般には高い関連毒性を有する。さらに、一般に、高用量治療モダリティは、従来の治療モダリティと比較して、高い造血毒性を示す。高用量治療モダリティのためのプロトコールは、現在用いられているか、または将来用いられるものである。
【0093】
「用量集中治療レジメン」は一般に、加速された様式で治療を連続的に繰り返して、従来の治療レジメンと比較して望ましい治療結果を達成する治療レジメンである。本発明の方法は、治療の関連造血毒性を減少させるか、または改善することによって、用量集中治療レジメンの使用を可能にし、特定の疾患状態の治療の成功率を増加させることにより、用量集中治療レジメンの使用を容易にする(一般的には、Hudisら、Semin. Oncol., 31 (3 Suppl 8): 19-26 (2004年6月); Keithら、J. Clin. Oncol., 22 (4): 749 (2004年2月15日); 著者の返答751-3; Maurelら、Cancer, 100(7): 1498-506 (2004年4月1日); Atkins C D, J. Clin. Oncol., 15; 22 (4): 749-50 (2004年2月15日)を参照されたい)。
【0094】
「化学防御または放射線防御」とは、疾患状態を標的とすることを意図された治療の関連造血毒性からの防御、またはその見かけ上の低減を指す。
【0095】
「寛解の増加」とは、特定の疾患状態の一つ以上の測定可能なパラメータにおける低減、軽減、低下、縮小、減少などを指す。
【0096】
「固形腫瘍」とは、一般に血液、骨髄、またはリンパ系以外の体組織の癌の存在を指す。
【0097】
「造血障害(癌)」とは、一般に造血系を起源とする癌細胞の存在を指す。
【0098】
本明細書で用いられる「貧血」とは、赤血球レベルの低下または一般的なヘモグロビン欠乏と関連する血液症状の群を指す。特定の貧血の例としては、限定されるものではないが、未熟児貧血、再生不良性貧血、ファンコニ貧血、溶血性貧血、遺伝性球状赤血球症、鎌状赤血球貧血、温式自己免疫性溶血性貧血、寒冷凝集素溶血性貧血、悪性貧血、骨髄障害性貧血または骨髄癆、および妊娠貧血が挙げられる。一般的には、貧血は疾患もしくは障害により引き起こされ得るか、または癌などの疾患もしくは症状を治療するのに用いられる療法の結果として生じる。貧血の原因の非限定例としては、鉄欠乏、慢性疾患(例えば、慢性感染、慢性免疫活性化、または悪性腫瘍)、サラセミア、葉酸欠乏、甲状腺機能低下症、大赤血球症、DNA複製阻害剤(例えば、メトトレキサート、ジドブジン)、急性失血、化学療法、放射線療法、急性放射線曝露などが挙げられる。貧血のための典型的な治療としては、鉄または葉酸の補給、輸血、エリスロポエチン(EPO)の投与などが挙げられる。
【0099】
本明細書で用いられる「白血球減少症」とは、白血球レベルの低下と関連する血液症状を指す。一般に、白血球減少症は、疾患もしくは障害により引き起こされ得るか、または癌もしくはC型肝炎などの疾患もしくは症状を治療するのに用いられる療法の結果として生じる。白血球減少症の原因の非限定例としては、白血病、骨髄線維症、再生不良性貧血、インフルエンザ、全身性エリテマトーデス、ホジキンリンパ腫、癌、腸チフス、マラリア、結核、デング熱、リケッチア感染、脾臓の肥大、葉酸欠乏、オウム病、敗血症、ミネラル欠乏、化学療法、放射線療法、急性放射線曝露、特定の薬剤などが挙げられる。白血球減少症を引き起こし得る薬剤の例としては、クロザピン、免疫抑制剤、例えば、シロリムス、ミコフェノール酸モフェチル、タクロリムス、およびシクロスポリン、インターフェロン治療、例えば、Rebif、Avonex、およびBetaseron、Wellbutrin、Minocyclineなどが挙げられる。白血球減少症のための一般的な治療としては、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)または顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)の投与が挙げられる。
【0100】
本明細書で用いられる用語「好中球減少症」とは、好中球レベルの低下と関連する血液症状を指す。一般に、好中球減少症は、疾患もしくは障害により引き起こされ得るか、または癌もしくはC型肝炎などの疾患もしくは症状を治療するのに用いられる療法の結果として生じる。好中球減少症の原因の非限定例としては、再生不良性貧血、癌、血液の癌、先天性好中球減少症、周期性好中球減少症、葉酸欠乏、自己免疫性好中球減少症、ウイルス感染、血液透析、化学療法、放射線療法、急性放射線曝露、抗ウイルス剤の投与などが挙げられる。いくつかの実施形態においては、好中球減少症は、急性または慢性好中球減少症を含んでもよい。好中球減少症のための一つの一般的な治療は、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、例えば、商標名Neupogen(登録商標)の下で販売されている組換えG-CSFの投与である。
【0101】
本明細書で用いられる「血小板減少症」とは、血小板レベルの低下と関連する血液症状の群を指す。一般に、血小板減少症は、疾患もしくは障害により引き起こされ得るか、または癌などの疾患もしくは症状を治療するのに用いられる療法の結果として生じる。血小板減少症の原因の非限定例としては、葉酸欠乏、白血病または骨髄異形成症候群、肝不全、敗血症、全身性ウイルスもしくは細菌感染、デング熱、様々な遺伝性症候群、先天性無巨核球性血小板減少症(CAMT)、血小板減少性橈骨欠乏症、ファンコニ貧血、ベルナール・スリエ症候群、メイ・ヘグリン異常、灰色血小板症候群、アルポート症候群、化学療法、放射線療法、急性放射線曝露、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、溶血性尿毒症症候群(HUS)、播種性血管内凝固症候群(DIC)、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、抗リン脂質症候群、全身性エリテマトーデス(SLE)、輸血後紫斑病、新生児同種免疫性血小板減少症(NAITP)、脾機能亢進症、デング熱、HIV関連血小板減少症、種々の薬剤、例えば、バルプロン酸、メトトレキサート、カルボプラチン、インターフェロン、イソトレチノイン、H2ブロッカーおよびプロトンポンプ阻害剤などが挙げられる。特定のサブタイプの血小板減少症(すなわち、ITP、TTP、12HIT)のための薬剤治療が存在するが、慢性血小板減少症のための治療は限られ、典型的には、血小板輸血または骨髄/幹細胞(step cell)移植が挙げられる。
【0102】
本明細書で用いられる「汎血球減少症」とは、赤血球、白血球、および血小板のレベルの低下と関連する血液症状を指す。関連する症状である二血球減少症は、これらの三つの細胞型のうちの二つのレベルの低下と関連する。一般に、汎血球減少症は、疾患もしくは障害により引き起こされ得るか、または癌などの疾患もしくは症状を治療するのに用いられる療法の結果として生じる。汎血球減少症の原因の特定例としては、限定されるものではないが、脾機能亢進症、骨髄線維症、再生不良性貧血、悪性形態の骨粗鬆症、家族性血球貪食症候群、先天性異常角化症、骨髄異形成症候群、白血病、リーシュマニア症、重篤な葉酸またはビタミンB12欠乏、全身性エリテマトーデス、発作性夜間血色素尿症、ウイルス感染(最も一般的には、HIV)、食中毒性無白血球症(ATA)、銅欠乏、化学療法、放射線療法、急性放射線曝露などが挙げられる。汎血球減少症のための一般的な治療としては、G-CSF、GM-CSF、EPOの投与、および骨髄移植が挙げられる。
【0103】
本明細書で用いられるヒトにおける「急性放射線症候群」は、2 Gy以上の急性放射線曝露を含む。
【0104】
本明細書で用いられる「造血症候群」は、汎血球減少症をもたらす骨髄画分に対する損傷、すなわち、あらゆる血球型、すなわち、白血球、赤血球および血小板に関する末梢血球計数の欠乏を含む。造血症候群はまた、骨髄画分における造血始原細胞および幹細胞の喪失も指す。
【0105】
本明細書で用いられる「生存率」は、マウスまたは非ヒト霊長類などの、対照群と比較して、非ヒト種において測定することができる生存率の増加を含む。
【0106】
本明細書で用いられる「造血回復」は、対照群と比較した、マウスまたは非ヒト霊長類などの非ヒト種において測定された、白血球、赤血球および血小板に関する末梢血球計数の早期回復を含む。
【0107】
本明細書で用いられる「骨髄機能の保存」は、対照群と比較した、マウスおよび非ヒト霊長類などの非ヒト種において測定された、骨髄画分における細胞性もしくはコロニー形成単位、または骨髄機能の任意の他の尺度の早期回復を含む。
【0108】
本明細書で用いられる用語「癌」とは、哺乳動物の癌および癌腫、例えば、ヒト、マウス、げっ歯類などの白血病、肉腫、腺癌、リンパ腫、固形癌およびリンパ癌などを指す。様々な型の癌の例としては、限定されるものではないが、結腸癌、結腸直腸癌、胃腸癌、食道扁平細胞癌もしくは腺癌、胃癌腫、印環細胞癌、胃リンパ腫(MALTリンパ腫)、形成性胃線維炎、十二指腸癌(例えば、腺癌)、虫垂癌(例えば、カルチノイドもしくは腹膜偽粘液腫)、結腸/直腸ポリープ、家族性大腸腺腫症、結腸腺癌、家族性大腸腺腫症、遺伝性非腺腫性大腸癌、肛門癌、上部もしくは下部消化管間質腫瘍、Krukenberg腫瘍、肝細胞癌(例えば、線維層板型)、肝芽腫、肝細胞腺腫、限局性結節性過形成、結節性再生性過形成、胆管腫瘍、胆管癌、Klatskin腫瘍、胆嚢癌、膵臓腺癌、膵管癌、膵芽腫、腹膜原発癌、乳癌、胃癌、膀胱癌、卵巣癌、甲状腺癌、肺癌、前立腺癌、子宮癌、精巣癌、神経芽腫、頭部、首、頸部および膣の扁平細胞癌、多発性骨髄腫、柔組織および骨の肉腫、肝臓癌(すなわち、肝細胞癌)、腎臓癌(すなわち、腎細胞癌)、胸膜癌、膵臓癌、頸部癌、肛門癌、胆管癌、消化管カルチノイド腫瘍、食道癌、胆嚢癌、小腸癌、中枢神経系の癌、皮膚癌、絨毛癌、骨肉腫、線維肉腫、神経膠腫、褐色腫、B細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、小細胞リンパ腫、大細胞リンパ腫、単球性白血病、骨髄性白血病、急性リンパ球性白血病、および急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、前骨髄球性白血病などが挙げられる。
【0109】
「欠乏を改善する」とは、造血欠乏の減少、すなわち、欠乏の改善、または現在の医療業務により定義される正常状態の部分的もしくは完全な修復を指す。かくして、造血欠乏の改善とは、一般的または特異的な造血の増加、刺激、増強または促進を指す。造血欠乏の改善は、一般的である、すなわち、二種以上の造血細胞型もしくは系列を増加させる、または特異的である、すなわち、一種の造血細胞型もしくは系列を増加させると観察することができる。
【0110】
「骨髄細胞」は一般に、哺乳動物の骨髄画分に存在する、および/または生息する細胞を指す。用語「骨髄細胞」に含まれるのは、限定されるものではないが、造血再増殖細胞、造血幹細胞および/または始原細胞(前駆細胞)などの造血起源の細胞だけでなく、内皮細胞、間葉細胞、骨細胞、神経細胞、支持細胞(間質細胞)などの骨髄から誘導され得る任意の細胞、例えば、限定されるものではないが、これらのおよびその他の細胞型および系列の関連する幹細胞および/または始原細胞である。
【0111】
「造血細胞型」は一般に、様々な種類の分化した造血細胞を指すが、特定の造血細胞型を起源とする造血始原細胞、例えば、幹細胞、始原細胞などの血液細胞産生と関連するあらゆる細胞型に関する様々な芽細胞、および様々な系列細胞、例えば、骨髄性細胞、リンパ系細胞なども含んでもよい。
【0112】
「造血細胞系列」は一般に、特定の系列の分化した造血細胞、例えば、骨髄性細胞またはリンパ系細胞を指すが、さらに分化した系列、例えば、樹状細胞、赤血球などを指してもよい。
【0113】
細胞の「IL-12により促進された(容易になった)増殖」は、一般に哺乳動物の骨髄に存在するか、または生息する細胞、例えば、造血始原細胞および/または幹細胞中での増殖、または増加に少なくとも一部帰する造血の増加、刺激、または増強を指すが、骨髄ニッチの微小環境を含む他の細胞を含む。
【0114】
「造血の刺激または増強」は一般に、一種以上の造血細胞型または系列の増加を指し、特に、哺乳動物が一種以上の造血細胞型または系列の欠乏を有する場合、一種以上の造血細胞型または系列の刺激または増強に関する。
【0115】
「造血長期再増殖細胞」は一般に、骨髄中の最も原始的な血液細胞である;それらは様々な血液細胞型および系列の生涯にわたる産生を提供するのを担う血液幹細胞である。
【0116】
「造血幹細胞」は一般に、血液幹細胞である;二つの型が存在する:上記で定義された「長期再増殖」および短期間(哺乳動物に応じて、数週間、数ヶ月またはさらに時には数年)にわたって「始原細胞」を産生することができる「短期再増殖」である。
【0117】
「造血始原細胞(造血前駆細胞)」は一般に、血液幹細胞から分化する(すなわち、成熟する)最初の細胞である;次いで、それらは様々な血液細胞型および系列に分化(成熟)する。
【0118】
「造血支援細胞(造血支持細胞)」は、骨髄の非血液細胞である;これらの細胞は、血液細胞産生の「支援」を提供する。これらの細胞は、骨髄間質細胞とも呼ばれる。
【0119】
「骨髄保存」は、放射線、化学療法、疾患または毒素により損傷された骨髄がその正常な、または正常に近い状態で維持されるプロセスを意味する;「骨髄回復」は、放射線、化学療法、疾患もしくは毒素により損傷された骨髄がその正常な、正常に近い状態まで修復されるか、または骨髄機能における任意の測定可能な改善が得られるプロセスを意味する;骨髄機能は、好適なレベルの様々な血液細胞型または系列が造血(血液)幹細胞から産生されるプロセスである。
【0120】
「骨髄損傷」は、放射線、化学療法、疾患または毒素により損傷された骨髄が正常まで修復され得なくなり、従って、哺乳動物における適切な造血を維持するのに十分な血液細胞を産生できなくなる病理的プロセスである。
【0121】
(C. 造血細胞の産生)
造血細胞の産生は、米国特許第5,968,513号、第5,851,984号および第6,159,462号に一般的に記載されている。血中に循環する形態学的に認識可能であり、機能的に能力を有する細胞としては、赤血球、マクロファージまたは単球、好中性、好酸性、および好塩基性顆粒球、Bリンパ球、Tリンパ球、非Bリンパ球、非Tリンパ球、ならびに血小板が挙げられる。これらの成熟造血細胞は、必要に応じて、形態学的に認識可能な分裂する前駆細胞からそれぞれの系列に誘導され、それによって置換される、例えば、赤芽球から赤血球系列、髄芽球、前骨髄球および骨髄球から単球/マクロファージおよび顆粒球系列、ならびに巨核球から血小板に誘導され、置換される。
【0122】
前駆細胞は、二つの主要なサブグループに簡略化して分割することができるより原始的な細胞:幹細胞および始原細胞から誘導される。幹細胞および始原細胞の定義は操作可能であり、形態学的基準よりはむしろ機能的基準に依存する。幹細胞は、これらの細胞の不在または枯渇は短時間のうちに疾患および死亡をもたらし得る事象である一種以上の細胞系列または細胞型の完全な枯渇をもたらし得るため、幅広い自己再生または自己維持能力を有することが必要である。いくつかの幹細胞は必要時に分化するが、いくつかの幹細胞またはその娘細胞はこれらの細胞の貴重なプールを維持するために他の幹細胞を産生する。かくして、それ自身を維持することに加えて、多能性幹細胞、または造血再増殖細胞は、より限定された自己再生能力を有するか、または自己再生能力を有しないいくつかのサブ系列の始原細胞に分化することができる。これらの始原細胞は、究極的には形態学的に認識可能な前駆細胞を生じる。始原細胞は、一つ、または二つ以上の骨髄分化経路に沿って増殖および分化することができる(Lajtha, L.G.(Rapporteur), Blood Cells, 5: 447(1979))。
【0123】
さらに、癌および特定の免疫障害の治療において用いられる化学療法および放射線療法は、汎血球減少症または貧血、好中球減少症および血小板減少症の組合せを引き起こし得る。かくして、造血細胞の増加または置換は、そのような治療の成功にとって極めて重要であることが多い(造血障害およびその原因の一般的な考察については、例えば、「Hematology」、Scientific American Medicine,E.RubensteinおよびD.Federman(編)、Volume 2, chapter 5, Scientific American, New York(1996)を参照されたい)。
【0124】
さらに、再生不良性貧血は、幹細胞療法の非存在下では、再生不良性貧血を有する全患者の全体的な死亡率が高いため、重篤な臨床症状を呈する。この障害に罹患している個体の約60〜75%が、新しい幹細胞の非存在下では12ヶ月以内に死亡する。これらの疾患の全体的な発生率は、1年あたり、100万人あたり約25の新件である。単一の病理機構が全ての再生不良性貧血の主因となることは全くありそうもないが、一卵性双生児(すなわち、同系)(Pillowら、N.Engl.J.Med.,275:94-97(1966))またはHLAが同一のきょうだい(すなわち、同種異系)(Thomasら、The Lancet, pp.284-289(1972年2月5日))から得られた骨髄の、再生不良性貧血を有する患者への移植は、疾患を完全に治すことができるため、新しい造血幹細胞の提供が通常は永続的に回復させるのに十分であることは明らかである。しかしながら、再生不良性貧血を有するいくらかの患者は、移植された骨髄を拒絶する。この合併症は、複数回の治療的輸血の結果として免疫学的に感作された患者の間では特に一般的である。
【0125】
多くの造血障害ならびに化学療法または放射線療法により引き起こされる内因性造血細胞の破壊にとって利用可能な現在の療法は、骨髄移植である。しかしながら、骨髄移植の使用は、一卵性双生児が利用可能であるか、または寛解にある患者の骨髄細胞が生きた凍結状態で保存されている場合を除いて、完全に一致した(遺伝的に同一の)ドナーを有することが極めて稀であるため、厳しく制限されている。そのような自己事例を除いて、ある程度の遺伝的不一致が存在するのは避けられず、重篤で、時には致死的な合併症を伴う。これらの合併症には二つの要素がある。第一に、患者は通常、外来骨髄細胞の免疫拒絶(宿主対移植片反応)を回避するために、事前に薬剤によって免疫機能を奪われる。第二に、提供された骨髄細胞が確立された時、および確立されたならば、それらの細胞は、外来として認識される患者を攻撃し得る(移植片対宿主疾患)。密接に一致した家族ドナーの場合であっても、部分的不一致のこれらの合併症は、遺伝的に異なる個体からの骨髄移植に直接起因する実質的な死亡および罹患の原因である。
【0126】
造血再構成のための再増殖細胞、または幹細胞の供給源として、末梢血も調査されている(Nothdurttら、Scand. J. Haematol., 19: 470-481 (1977); Sarpelら、Exp. Hematol., 7: 113-120 (1979); Ragharacharら、J. Cell. Biochem., Suppl. 7A: 78 (1983); Juttnerら、Brit. J. Haematol., 61: 739-745 (1985); Abramsら、J. Cell. Biochem., Suppl. 7A: 53 (1983); Prummerら、Exp. Hematol., 13: 891-898 (1985))。いくつかの研究においては、様々な白血病(Reiffersら、Exp. Hematol., 14: 312-315 (1986); Goldmanら、Br. J. Haematol., 45: 223-231 (1980); Tillyら、The Lancet, pp. 154-155 (Jul. 19, 1986); また、To, L. B.およびJuttner, C. A., Brit. J. Haematol., 66: 285-288 (1987)、およびそこに引用された参考文献も参照されたい); およびリンパ腫(Korblingら、Blood, 67: 529-532 (1986))を有する患者について、有望な結果が得られている。しかしながら、末梢血を用いる他の研究は、再構成を行うことができなかった(Hershkoら、The Lancet, 1: 945-947 (1979); Ochsら、Pediatr. Res., 15: 601 (1981))。また、研究は、造血再構成のための幹細胞供給源としての胎児肝細胞移植(Cainら、Transplantation, 41: 32-25 (1986); Ochsら、Pediatr. Res., 15: 601 (1981); Paigeら、J. Exp. Med., 153: 154-165 (1981); Touraine, J. L., Excerpta Med., 514: 277 (1980); Touraine, J. L., Birth Defects, 19: 139 (1983); また、Goodら、Cellular Immunol., 82: 44-45 (1983)およびそこに引用された参考文献も参照されたい)または新生児脾臓細胞移植(Yunisら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 72: 4100 (1974))の使用も調査してきた。また、免疫再構成実験において、新生児胸腺の細胞も移植されている(Vickeryら、J. Parasitol., 69(3): 478-485 (1983); Hirokawaら、Clin. Immunol. Immunopathol., 22: 297-304 (1982))。
【0127】
(D. インターロイキン-12(IL-12))
IL-12に関する一般的説明については、米国特許第5,573,764号、第5,648,072号、第5,648,467号、第5,744,132号、第5,756,085号、第5,853,714号および第6,683,046号を参照されたい。インターロイキン-12(IL-12)は、免疫応答に関与する細胞の活性を調節する前炎症性サイトカインとして一般的に記載されるヘテロ二量体サイトカインである(Fitzら、J. Exp. Med., 170: 827-45 (1989))。一般に、IL-12は、ナチュラルキラー(NK)細胞およびT細胞からのインターフェロン-γ(IFN-γ)の産生を刺激し(Lertmemongkolchaiら、J. of Immunology, 166: 1097-105 (2001); Cuiら、Science, 278: 1623-6 (1997); Ohtekiら、J. Exp. Med., 189:1981-6 (1999); Airoldiら、J. of Immunology, 165: 6880-8 (2000))、Tヘルパー1(TH1)細胞の分化を助け(Hsiehら、Science, 260: 547-9 (1993); Manettiら、J. Exp. Med., 177: 1199-1204 (1993))、および先天的な抵抗性と適応免疫との関係を形成する。IL-12はまた、その免疫調節効果および抗血管新生効果を介して癌の増殖を阻害することも示されている(Brundaら、J. Exp. Med., 178: 1223-1230 (1993)); Noguchiら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 93: 11798-11801 (1996); Giordanoら、J. Exp. Med., 194: 1195-1206 (2001); Colomboら、Cytokine Growth factor, Rev.,13: 155-168 (2002); Yaoら、Blood, 96: 1900-1905 (2000))。IL-12は、一度、病原性細菌、真菌または細胞内寄生虫に遭遇することにより樹状細胞(DC)および食細胞(マクロファージおよび好中球)が活性化されたら、主にそれらによって産生される(Reisら、J. Exp. Med., 186: 1819-1829 (1997); Gazzinelliら、J. Immunol., 153: 2533-2543 (1994); Dalodら、J. Exp. Med., 195: 517-528 (2002))。IL-12受容体(IL-12R)は、主に活性化されたT細胞およびNK細胞によって発現される(Preskyら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 93: 14002-14007 (1996); Wuら、Eur. J. Immunol., 26: 345-50 (1996))。
【0128】
一般に、IL-12の産生は、IFN-γの産生を刺激し、次いで、IL-12の産生を増強し、かくして、正のフィードバックループを形成する。in vitro系では、IL-12は他のサイトカイン(例えば、IL-3およびSCF)と相乗作用して、初期造血始原細胞の増殖および分化を刺激することができる(Jacobsen S Eら、J. Exp. Med., 2: 413-8 (1993); Ploemacherら、Leukemia, 7: 1381-8 (1993); Hiraoら、Stem Cells, 13: 47-53 (1995))。
【0129】
しかしながら、本発明より前に、IL-12のin vivoでの投与が、末梢血細胞計数および骨髄造血を減少させることが観察された(Robertsonら、Clinical Cancer Research, 5: 9-16 (1999); Lenziら、Clinical Cancer Research, 8: 3686-95 (2002); Ryffel B., Clin Immunol Immunopathol., 83: 18-20 (1997); Carら、The Toxicol. Pathol., 27: 58-63 (1999))。IFN-γ受容体ノックアウトマウスを用いて、EngらおよびCarらは、高用量のIL-12が一般的に認められる毒性効果を誘導しない、すなわち、造血の阻害がないことを証明した(Engら、J. Exp Med., 181: 1893-8 (1995); Carら、American Journal of Pathology, 147: 1693-707 (1995))。この観察は、以前に報告されたような、IL-12により促進された(容易になった)分化した造血細胞の増強の一般的な現象は、優性の骨髄抑制様式で作用するIFN-γの産生によってin vivoで平衡を保たれ得ることを示唆している。
【0130】
任意の特定の理論に束縛されるものではないが、本発明者らは、造血細胞のIL-12媒介性増殖の機構的な経路に関する以前の報告とは対照的に、化学療法もしくは放射線療法の期間であるように、造血系が障害を受けた場合、または一つ以上の造血欠乏をもたらす特定の造血疾患および障害の事例において、INF-γの産生をもたらすIL-12媒介性経路が変更され得ると仮定する。かくして、本明細書に開示される例で使用される低用量以外に、本発明の実施形態における造血の副作用減少の別の可能な機構は、相対的に低用量のIL-12が造血系が障害を受けた哺乳動物に与えられた場合、IL-12/INF-γの正のフィードバックループが阻害され得るということである。INF-γは造血を阻害し、毒性の原因となる主要なサイトカインであると考えられるので、INF-γ産生の中断は、IL-12の投与が明らかな毒性なしに造血の保護および回復の効果を提供するとの本発明者らによる発見の基礎にある因子の一つであり得る。
【0131】
(E. 本発明の治療方法)
本発明は、造血細胞の量の増加が望ましい疾患および障害(例えば、一種以上の造血細胞型もしくは系列の数の低下に関連する疾患もしくは障害、または推奨される療法が関連造血毒性を有し、かくして、一種以上の造血細胞型もしくは系列の数の低下をもたらす疾患、例えば、癌)を、IL-12、その誘導体および類似体を投与することによって治療するための治療方法に関する。かくして、本発明の実施形態は、本明細書に開示される通り、様々な造血細胞欠乏、例えば、造血再増殖細胞、始原細胞および幹細胞の欠乏、ならびに一般的な骨髄欠乏を、哺乳動物へのIL-12の直接投与によって緩和するか、または治療する方法を提供する。
【0132】
本発明の第一の実施形態においては、疾患状態を標的とすることが意図される哺乳動物に対する治療を施すことにより、哺乳動物における疾患状態を治療するための方法であって、該治療が関連造血毒性を有すると共に、一つ以上の治療上有効量のIL-12を前記治療の施行時の近くで投与する、前記方法が開示される。本発明の本実施形態におけるIL-12の哺乳動物への投与の一つの効果は、治療の造血毒性の低下であり、かくして、設計された特定の患者の治療レジメンに利用される、高用量および用量集中プロトコールが可能になる。
【0133】
本発明の実施形態においては、一種以上の造血細胞型の産生を増加させることによる治療の影響を受けやすい疾患または障害(例えば、造血細胞欠乏に関連する疾患または障害)に罹患する哺乳動物、好ましくは、ヒトにIL-12を直接投与するための方法が開示される。本発明の第三の実施形態においては、それを必要とする哺乳動物における造血を刺激する方法は、造血の刺激を含む治療効果を達成する期間にわたって、一つ以上の治療上有効量のIL-12を投与することを含み、造血の刺激が、IL-12により促進された(容易になった)、造血再増殖細胞、造血始原細胞または造血幹細胞の増殖を含む。本発明の第四の実施形態においては、骨髄保存または回復に必要な期間にわたって、骨髄細胞、造血始原細胞または造血幹細胞を用いることなく、哺乳動物に一つ以上の治療上有効量のIL-12を投与することによる、該哺乳動物における骨髄保存または回復のための方法が開示される。
【0134】
本発明の特定の実施形態のさらなる態様は、様々な形態の放射線および化学療法と関連する造血毒性を軽減するためのアジュバント療法または補助療法としてのIL-12の使用が、高用量および用量集中治療プロトコールの使用を可能にし、かくして、特定の疾患状態の高い寛解率および全体的な患者の生存率を達成する。
【0135】
本発明の特定の実施形態は、哺乳動物における疾患状態を治療する方法を提供する。この実施形態においては、疾患状態は、任意の化学療法もしくは放射線療法、またはその両方を用いて治療される任意の疾患状態であってよい。本発明においては、化学療法剤の組合せた使用が好ましい、というのも、この臨床プロトコールが治療上より有効であると一般に考えられているからである。
【0136】
これらの方法は一般的に、前記疾患状態を標的とすることが意図された哺乳動物に対する治療の施行を含む。この実施形態においては、疾患状態と闘うことを意図される治療は、関連造血毒性をも有する。本発明のこの実施形態における第二の成分は、前記治療の施行時の近くで治療上有効量のIL-12を投与することを含む。IL-12は、所望の治療効果をもたらす治療の施行の近くの任意の時点で投与することができる。本発明のこの実施形態を実施する全体的な利点は、哺乳動物へのIL-12の投与が、治療の造血毒性を低下または減少させ、結果として、様々な治療モダリティの限定的な毒性用量を変化させることである。
【0137】
これらの実施形態においては、前記方法は一般に、哺乳動物への第一治療剤と共に、IL-12の形態の第二治療剤を投与することを含み、ここで、第二治療剤、すなわち、IL-12は、第一治療剤のみの投与と比較して、造血を増強するか、または造血回復を改善する。本発明のこの実施形態における好ましい哺乳動物は、ヒトである。
【0138】
前記疾患状態を標的とすることを意図される治療は、前記疾患状態と闘うことを試みるための、任意の現在実施される療法、または化学療法もしくは放射線療法、または組合せ療法を用いる任意の開発される療法であってよい。本発明においては、化学療法は、任意の化学的状態、例えば、単量体から高度に重合した種で提供される天然または合成の薬剤であってよい化学剤の投与を含む。本発明においては、放射線療法は、治療モダリティとして哺乳動物への比較的高エネルギー波長の光または高エネルギー粒子の投与を含む。化学療法または放射線療法について、現在実施されているか、または将来開発される高用量の治療手法および用量集中プロトコールを、本発明の実施形態において用いることができる。
【0139】
一般に、本発明の方法によって治療することができる障害としては、限定されるものではないが、4つの広いカテゴリーが挙げられる。第一は、正常な血液細胞の産生および成熟の不全または機能障害の結果生じる疾患(すなわち、再生不良性貧血、血球減少症および低増殖性幹細胞障害)である。第二群は、造血器官における新生物性悪性疾患(例えば、白血病およびリンパ腫)である。障害の第三群は、広範囲の非造血器官の悪性固形腫瘍を有する患者のものを含む。これらの患者における造血細胞増殖の誘導は、さもなければ致死的化学療法または放射線療法および用量集中治療プロトコールを含む、化学療法および/または放射線療法に対するアジュバント療法として患者に提供される、細胞移植を用いない骨髄レスキュー手順として役立つ。疾患の第四群は、造血細胞の増加をもたらす、造血の増強または刺激が、異常な免疫系の置換源として役立ち得る、自己免疫症状からなる。in vivoでの造血細胞産生の誘導によって治療することができる特定の疾患および障害は、表2に列挙され、以下に記載されるものに限定されない。
【表2】
【0140】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の方法に従うIL-12投与を用いて、再生不良性貧血、血球減少症または低増殖性幹細胞障害などの正常な血液細胞の産生および成熟の不全または機能障害の結果生じる疾患を治療する。これらの障害は、機能的血液細胞の正常なメンバーを提供する骨髄中の幹細胞の不全を必要とする。再生不良性貧血は、赤血球、白血球および血小板の中間形態および成熟形態を生じる幹細胞の不全の結果生じる。赤血球の産生は通常最も重大に影響するが、他の成熟血液細胞エレメントの産生における顕著な疾患も、白血球および/または血小板の産生に特異的に影響するいくつかの貧血として認められる。これらの貧血の大多数は成人期に獲得され、見かけの遺伝的素因を有しない。これらの後天的な貧血の約半分は、毒物、薬剤への曝露または幹細胞機能を害する疾患プロセスなどの明らかな原因が存在しない状態で生じる。残りの事例は、非常に様々な化合物および薬剤への曝露と関連し、また、ウイルス感染の結果として、および妊娠後に起こる。他の特定の種類の再生不良性貧血は、無顆粒球症または血小板減少症と呼ばれ、主要な欠乏がそれぞれ特定の白血球または血小板の産生にあることを示す。さらに、無顆粒球症は、全身性エリテマトーデス(SLE)などの自己免疫症候群または新生児風疹などの他の感染症と関連し得る。
【0141】
さらに、病原性微生物による感染の一次的または二次的結果である免疫不全を、本発明に開示される方法によるIL-12の投与によって治療することができる。本発明のこの実施形態に従って治療することができる免疫不全を引き起こす微生物としては、限定されるものではないが、ブルセラ菌もしくはリステリア菌などのグラム陰性細菌、結核もしくはハンセン病(レプロシー)の病原菌であるマイコバクテリウム、プラスモジウム(マラリアの病原体)もしくはリーシュマニアなどの寄生虫、および真菌(免疫不全に対して二次的である肺炎および他の致死的感染を引き起こすものなど)が挙げられる(これらの障害の多くの考察については、Harrison's Principles of Internal Medicine、第6版、Wintrobeら(編)、McGraw-Hill, New York, pp. 798-1044 (1970)を参照されたい)。
【0142】
本発明の別の態様においては、非治療的全身電離放射線への急性曝露後に長期間の被験体への一つ以上の用量のIL-12の投与を含み、対症療法を、IL-12の投与と同時に、またはその後に前記被験体に与える、被験体の生存率を増加させる、および/または骨髄機能を保存する、および/または造血回復もしくは修復を促進する方法が提供される。
【0143】
IL-12の外因性の投与が、in vivoで長期再増殖(LTR)造血幹細胞(HSC)を増殖させることができることの証明も有意である。かくして、理論によって束縛されるものではないが、外因性IL-12によるHSCの増殖は、後の時点、例えば、照射後24時間で致死的放射線曝露の結果生じる造血損傷からの生存を担う機構であり得る。別の潜在的な機構は、放射線曝露後の造血幹細胞(HSC)中でのDNA修復を誘導し、アポトーシスを減少させるIL-12の能力に関連する。
【0144】
多くの骨髄始原細胞および幹細胞は高用量放射線照射後に細胞死になりやすいが、HSCまたは補助細胞のサブ集団は、おそらくその大部分が静止(G0)期にあるため、選択的により放射線耐性である。ヒトにおいては、これらの放射線耐性細胞は、外因性IL-12の非存在下での自己再生能力の低下にも拘らず、6 Gyもの用量への曝露後の造血の回復において重要な役割を果たし得る。
【0145】
造血再構成の別の決定因子は、放射線用量の非均質性であり、後に造血活性の焦点になるいくらかの骨髄部位を取っておく(spare)ことができる。いずれかの場合、すなわち、放射線耐性HSCが残存している場合または放射線用量が不均質である場合、本発明の知見は、IL-12受容体の存在により印を付けられたHSCのサブ集団(IL-12R+)が高用量放射線照射後にも生存し、持続すること、ならびにさらに、このIL-12R+ HSCサブ集団がIL-12の外因性投与時に自身を修復するよう活性化され、増殖し、および/または誘導されることを示唆する。
【0146】
放射線曝露後、急性放射線症候群と関連する造血症候群を軽減させるのにIL-12が有効であることが発見された。具体的には、本発明の実施形態は、電離放射線への急性曝露後に、被験体に一つ以上の有効量のIL-12を投与することにより、生存率を増加させ、および/または骨髄機能を保存し、および/または造血回復を促進するための方法を提供する。
【0147】
(1. 対症療法(支持療法))
急性用量の全身電離放射線に曝露された被験体の治療のためのIL-12と併せて有用な対症療法モダリティとしては、限定されるものではないが、液体、一種以上の抗生物質、血液もしくは血液成分輸血の投与、一種以上の増殖因子もしくは造血増殖因子の投与、組合せ療法などが挙げられる。
【0148】
一実施形態においては、対症療法は、一種以上の抗生物質の投与を含む。抗生物質支援は、限定されるものではないが、バクトリム、シプロフロキサシン、モキシフロキサシンなどの、低い血球計数の期間に感染を防止するのに有用である任意の抗生物質であってよい。当業者であれば、対症療法に有用な他の抗生物質を知っている。
【0149】
別の実施形態においては、対症療法は、造血増殖因子などの一種以上の増殖因子の投与を含む。限定されるものではないが、コロニー刺激因子(CSF、G-CSF、GM-CSF、M-CSF、IL-3)、エリスロポエチン、IL-1、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-11などの多くの好適な造血増殖因子が当業界で公知である。G-CSF(NeupogenまたはNeulasta)、IL-11、およびエリスロポエチン(Epogen、ProcritまたはAranesp)などの、いくつかのFDAに認可された造血増殖因子が現在入手可能であり、かくして、本明細書で提供される方法において用いることができる。いくつかの実施形態においては、対症療法は、ケラチノサイト増殖因子(KGFまたはFGF7)の投与を含む。
【0150】
一つの特定の実施形態においては、エリスロポエチン投与は、抗生物質支援または液体などの他の対症療法手段と共に超致死量を用いる場合、生存率を最大で約50%に増加させ、IL-12単独での生存率よりも増加させることができる。超致死量は、本明細書では5.5 Gy以上の放射線用量と定義される。エリスロポエチンは、ヒトでの使用のためのFDAに認可された組換えタンパク質薬剤、例えば、Epogen、ProcritまたはAranespとして入手可能である。一般に、これらのエリスロポエチン薬剤を用いる投薬は、IL-12の投与と同時であるか、またはその後である。エリスロポエチン薬剤を必要に応じて繰り返してもよいが、一般的には一日おき、または3日おきを超えて投与しない。好ましくは、エリスロポエチンを、IL-12の最後の投与の約48時間後に投与する。
【0151】
ヒトのためのエリスロポエチンの有効量は、約20 mg/kgであってよいが、IL-12投与に対するアジュバントとして使用する場合、生存率を増加させるにはより低用量およびより高用量でも有効である。従って、特定の実施形態においては、エリスロポエチンを、ヒトにおける治療のためには約1 mg/kg、もしくは約2 mg/kg、3 mg/kg、4 mg/kg、5 mg/kg、10 mg/kg、15 mg/kg、20 mg/kg、25 mg/kg、30 mg/kg、40 mg/kg、50 mg/kg以上で、またはヒト以外の動物における治療のためには用量等価量で投与する。
【0152】
別の実施形態においては、対症療法は、輸血の投与を含む。本明細書で用いられる場合、輸血は全血輸血、またはあるいは、血液画分もしくは血液成分の輸血、例えば、赤血球輸血、血小板輸血、白血球輸血を包含してもよい。関連する実施形態においては、対症療法は、骨髄または骨髄幹細胞移植の投与を含んでもよい。
【0153】
ヒトについては、表3に示されるように、造血症候群の初期兆候は、2 Gy以上の放射線用量範囲で生じ始める。同様に、約5.5〜7.5 Gyの放射線用量では、ヒトにおいては汎血球減少症および中程度のGI損傷が生じる。有利には、本発明の方法に従って投与された場合、IL-12は、これらの放射線用量レベルで汎血球減少症を軽減し、骨髄機能を保存するのに有効であり、さらなるGI損傷を誘導しない。しかしながら、放射線用量速度も、放射線傷害の相対レベルに影響し得る。かくして、二つの異なる用量速度で投与された二つの放射線用量は、相対放射線傷害の重篤度において差異を示し得る。
【表3】
【0154】
本発明の方法および組成物により包含される他の哺乳動物、例えば、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ウサギ、シカ、サルなどについては、造血症候群を誘導し得る放射線用量は、種および株によって変化する。例えば、アカゲザルについては、LD50は約7 Gyである。特定の株のマウス、例えば、Balb-cマウスについては、LD50はこれも約7 Gyである。C57BL6などの他の株のマウスについては、LD50は約7.5 Gyである。LD50はまた、動物の性別または一般的な健康状態に基づく差異を示し得る。
【0155】
放射線関連災害後に急性電離放射線に曝露された哺乳動物における放射線傷害の正確な程度を決定することは難しいが、本発明の実施形態に従って用いられた場合、IL-12は生存率を増加させ、および/または骨髄機能を保存し、および/または末梢血液細胞計数の造血回復を促進する。
【0156】
従って、本発明のいくつかの実施形態においては、少なくとも約1.0 Gy、またはヒトにおけるLD10と等価な量の電離放射線の急性用量に曝露された被験体に、IL-12を投与する。別の実施形態においては、約3.5 Gyの電離放射線、またはヒトにおけるLD50にほぼ等しい用量に曝露された被験体に、IL-12を投与する。さらに他の実施形態においては、IL-12は、少なくとも約2.0 Gy、または少なくとも約3.0 Gy、4.0 Gy、5.0 Gy、6.0 Gy、7.0 Gy、8.0 Gy、9.0 Gy、10.0 Gy、11.0 Gy、12.0 Gy、13.0 Gy、14.0 Gy、15.0 Gy、20.0 Gy、25.0 Gy、30.0 Gy以上の用量の電離放射線に曝露された被験体における生存率を増加させる、および/または骨髄機能を保存する、および/または末梢血液細胞計数の造血回復を促進するのに有用である。同様に、電離放射線の用量を、致死用量パーセント、例えば、約LD1、LD5、LD10、LD20、LD30、LD40、LD50、LD60、LD70、LD80、LD90、LD95、LD99またはLD100と等価な用量を単位として表すことができる。
【0157】
(2. 悪性腫瘍の治療)
様々な形態の癌、および他の疾患状態と闘うために単独で、または一緒に用いられる化学療法および放射線療法は共に、個体の造血系に対して毒性的である。かくして、化学療法、放射線療法、またはこれらの二つの治療モダリティの組合せを用いて治療された個体のために、その個体の血液供給を実質的に枯渇させることができる。さらに、血液供給のこの枯渇は一般に、様々な癌および他の疾患状態と闘うための化学療法および/または放射線療法の使用における制限因子であり、従って、一般に高用量または用量集中治療レジメンの使用を不可能にする。
【0158】
以前に、IL-12は免疫調節因子として中枢的な役割を果たすと報告されており、また、マウスにおいて腫瘍増殖を阻害することも以前に示されており、IL-12は癌治療において免疫応答を刺激するその能力について第I相および第II相ヒト臨床試験において試験されている(Engら、Journal of Experimental Medicine, 181: 1893-8; Carら、American Journal of Pathology, 147: 1693-707)。しかしながら、IL-12の一般的な副作用の一つは血球計数の一過的減少である:リンパ球減少症が一般的である(Engら、Journal of Experimental Medicine, 181: 1893-8; Carら、American Journal of Pathology, 147: 1693-707)。動物の毒性試験においては、リンパ球減少症はまた、一般的な副作用である(Netaら、J. Immunol., 153: 4230-7; Hayesら、Blood, 91: 4645-4651)。
【0159】
しかしながら、以前の試験とは対照的に、本発明者らは、化学療法または放射線療法などの一次療法の時間に関して特定の時間「ウィンドウ」の間にIL-12を投与した場合、IL-12の投与は最低状態の血球計数を広く増加させる、すなわち、IL-12投与の観察可能な毒性効果なしに、血球計数を増加させることを発見した。
【0160】
かくして、本発明の治療方法は、一般的には造血を促進する、および特に、特定の悪性腫瘍を標的とする治療レジメンとして化学療法および/または放射線療法を受けた、受けている、または受けようとする個体における造血を促進することができる。かくして、本発明の特定の実施形態においては、IL-12投与を、一次療法の施行の時点の近くで実行される一つ以上の一次療法に対するアジュバント療法または補助療法として用いる。かくして、本発明は、個体の血液供給を偶然に低下させる一つ以上の療法を受けている被験体の造血回復、ならびに全身回復を増強する。本明細書で用いられる用語「受けている」は、本発明の補助療法の実行の前、その間および/またはその後の一次療法の実行を包含する。
【0161】
化学療法および/または放射線療法に対するアジュバント療法または補助療法としての本発明の方法を用いる結果である個体に誘導される利益は、これらの一次治療モダリティの毒性副作用の低下、ならびにこれらの毒性副作用からの回復の増強である。これらの毒性副作用は、被験体の造血系の一つ以上の血液成分の枯渇を含む。本発明の方法を投与する特定の個体に誘導される利益は、より積極的な一次治療モダリティを用いて、標的とされた疾患状態と闘うことができることである。かくして、アジュバント療法または補助療法としての本発明の方法の使用は、一次療法を用量集中治療モダリティまたは高用量モダリティで施すことを可能にする。同様に、一次療法の成功の可能性は、伝統的な治療モダリティと共に補助療法または組合せ療法としてIL-12を含む治療組成物を投与した場合に実質的に増加する。本発明の治療方法の別の使用は、特定の疾患状態の結果生じるか、または積極的な化学療法および/もしくは放射線療法などの特定の治療モダリティの使用によって誘導される骨髄損傷の治療におけるものである。
【0162】
高増殖性悪性幹細胞障害ならびに非造血悪性腫瘍を、本明細書に開示されるIL-12の直接投与による造血細胞のレスキューと共に化学療法および/または放射線療法を用いて治療することができる。本発明によって治療することができる症状としては、限定されるものではないが、表2に列挙された白血病および表2に列挙された固形腫瘍が挙げられる。
【0163】
これらの悪性腫瘍は、特に、化学療法および/または放射線療法、実行可能である場合、同種異系骨髄移植によって現在治療されている。しかしながら、同種異系HLAが同一の同胞骨髄は、患者の3分の1未満で利用可能であるに過ぎず、この治療は免疫不全および移植片対宿主疾患などの移植関連合併症と関連する。本発明の方法によるin vivoでの造血細胞増殖の誘導は、好適な同種異系ドナーがない患者の造血再構成を可能にするか、または自己移植の場合、悪性細胞の再導入の危険性を取り除く。かくして、本発明の方法を、癌または免疫学的障害の治療のために化学療法および/または放射線療法を受けた患者に投与することができる。また、HAART療法などの感染を治療するのに用いられる様々な療法および/または以下に記載の全身リンパ組織放射線照射などの放射線療法に対するアジュバント療法としてのIL-12の投与の使用も、本発明のこの実施形態に含まれる。
【0164】
(3. 自己免疫障害)
多くの慢性炎症疾患および変性疾患は、身体自身の組織に対する連続的免疫反応を特徴とする。そのような自己免疫障害としては、限定されるものではないが、慢性関節リウマチおよび他の炎症骨症、I型糖尿病、慢性肝炎、多発性硬化症、および全身性エリテマトーデスが挙げられる。自己免疫障害は、リンパ照射によって治療されることが多い。本明細書に開示されるIL-12の投与は、放射線療法後の造血系を再増殖させるのに価値があり得る。
【0165】
ステロイドなどの抗炎症剤は、炎症細胞が自己反応性T細胞により活性化されるのを遅らせるが、自己タンパク質を認識するT細胞が新しい炎症細胞を活性化するのを防止しない。自己免疫疾患の治療に対するより直接的な手法は、リンパ組織の照射によるT細胞の根絶に依存し、未照射の骨髄に由来する幹細胞が患者の造血系を再増殖させることに依存する。その原理は、骨髄幹細胞からの成熟T細胞の新しい集団の形成が、自己特異的抗原に対する反応性を有するT細胞の不在をもたらし得ることである。この手順は、全身リンパ組織放射線照射(TLI)と呼ばれ、難治性慢性関節リウマチを治療するのに用いられてきた(Stroberら、Annals of Internal Medicine, 102: 441-449, 450-458 (1985))。これらの臨床試験により、さもなければ難治性の事例の大部分において、関節疾患が少なくとも2〜3年間にわたって有意に軽減されることが示された。しかしながら、そのような治療の主な欠点は、これらの高齢患者の骨髄における幹細胞が造血系を効率的に再増殖させることができず、感染および出血障害をもたらすことである。同様の研究が、TLIの効果をSLEの治療のための細胞毒性剤に対する代替手段としてきた(Stroberら、Ann. Internal Med., 102: 450 (1985))。また、難治性SLEを治療するためのTLIの使用に関する研究により、この治療は疾患の活性を軽減するが、骨髄幹細胞が照射後に造血系を迅速かつ効率的に再増殖させることができないことによって厳しく制限されることが示された。かくして、本発明の治療方法を施し、残存する造血細胞の増殖を促進し、TLI療法の成功を増加させることができる。
【0166】
(4. IL-12の投与方法)
本発明は、所望の治療効果を達成する期間にわたって一つ以上の有効量のIL-12を被験体に投与することによる治療方法を提供する。被験体は、好ましくは哺乳動物であり、例えば、限定されるものではないが、ウシ、ブタ、ウマ、ニワトリ、ネコ、イヌなどの動物であり、最も好ましくは、ヒトである。
【0167】
例えば、リポソーム中への封入、微粒子、マイクロカプセル、IL-12を発現することができる組換え細胞、受容体媒介性エンドサイトーシス(例えば、WuおよびWu, J. Biol. Chem., 262: 4429-4432 (1987)を参照されたい)、レトロウイルスまたは他のベクターの一部としてIL-12の遺伝子を含む核酸の構築物などの、本発明の方法に従ってIL-12を投与するための様々な送達系が公知であり、それを用いることができる。導入の方法としては、限定されるものではないが、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻内、硬膜外および経口経路が挙げられる。
【0168】
本発明の方法に従って、任意の都合のよい経路により、例えば、輸液もしくはボーラス注射、上皮もしくは皮膚粘膜系列(例えば、口腔粘膜、直腸粘膜および腸粘膜など)を介する吸収により、IL-12を投与することができ、他の生物学的に活性な薬剤と一緒に投与することができる。投与は全身性または局所性であってよい。さらに、IL-12を含む医薬組成物を、任意の好適な経路、例えば、脳室内注射および鞘内注射により中枢神経系に導入することが望ましい;脳室内注射は、例えば、Ommaya容器などの容器に取り付けられた脳室内カテーテルによって容易にすることができる。例えば、吸入器または噴霧器と、エアロゾル化剤を含む製剤の使用により、経肺投与を用いることもできる。治療を必要とする領域に局所的にIL-12を含む医薬組成物を投与することが望ましい;これを、例えば、限定されるものではないが、局所適用により、注射により、カテーテルを用いて、坐剤を用いて、または多孔性、非多孔性もしくはゼラチン質材料、例えば、シラスティック(sialastic)膜などの膜もしくは繊維である埋込み物を用いて達成することができる。
【0169】
他の様式のIL-12投与は、ベシクル、特に、リポソーム中での送達を含む(Langer, Science, 249: 1527-1533 (1990); Treatら、Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer, Lopez-BeresteinおよびFidler (編), Liss, New York, pp. 353-365 (1989); Lopez-Berestein, 同書、pp. 317-327を参照されたい;一般的には同書を参照されたい)。
【0170】
さらに他の様式のIL-12投与は、制御放出系での送達を含む。特定の実施形態においては、ポンプを用いることができる(Langer、上掲; Sefton, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng., 14: 201 (1987); Buchwaldら、Surgery, 88: 507 (1980); Saudekら、N. Engl. J. Med., 321: 574 (1989)を参照されたい)。さらに、ポリマー材料を用いることができる(Medical Applications of Controlled Release, LangerおよびWise (編), CRC Pres, Boca Raton, Fla. (1974); Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance, SmolenおよびBall (編), Wiley, N.Y. (1984); RangerおよびPeppas, J. Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem., 23: 61 (1983)を参照されたい; また、Levyら、Science, 228: 190 (1985); Duringら、Ann. Neurol., 25: 351 (1989); Howardら、J. Neurosurg., 71: 105 (1989)も参照されたい)、または制御放出系を治療標的、すなわち、脳の近くに配置し、かくして、全身用量のほんのわずかのみを必要とすることができる(例えば、Goodson、Medical Applications of Controlled Release、上掲、vol. 2, pp. 115-138 (1984)を参照されたい)。他の制御放出系はLanger (Science, 249: 1527-1533 (1990))による概説で考察されている。
【0171】
(5. IL-12の形態および用量)
本発明の実施形態における使用のためのIL-12の好適な剤形は、本質的に非毒性的であり、非治療的である生理学上許容し得る担体を包含する。そのような担体の例としては、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えば、リン酸、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩、または電解質、例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、マグネシウムトリシリケート、ポリビニルピロリドン、セルロースに基づく物質、およびPEGが挙げられる。IL-12ポリペプチドの局所形態またはゲルに基づく形態のための担体としては、多糖類、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロースまたはメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、PEG、およびウッドワックスアルコールが挙げられる。全ての投与について、従来のデポー製剤が好適に用いられる。そのような形態としては、例えば、マイクロカプセル、ナノカプセル、リポソーム、プラスター、吸入形態、鼻スプレー、舌下錠、および持続放出調製物が挙げられる。
【0172】
持続放出調製物の好適な例としては、前記ポリペプチドを含有する固形疎水性ポリマーの半透過性マトリックスが挙げられ、そのマトリックスは、造形品、例えば、フィルム、またはマイクロカプセルの形態にある。持続放出マトリックスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル、例えば、Langerら、上掲およびLanger、上掲に記載されたポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール)、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸とγ-エチル-L-グルタミン酸とのコポリマー(Sidmanら、上掲)、非分解性エチレン-ビニルアセテート(Langerら、上掲)、分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、例えば、Lupron Depot(登録商標)(乳酸-グリコール酸コポリマーとロイプロリドアセテートから構成される注射用ミクロスフェア)、およびポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が挙げられる。エチレン-ビニルアセテートおよび乳酸-グリコール酸などのポリマーは100日を超える分子の放出を可能にするが、特定のヒドロゲルはより短期間にわたってタンパク質を放出する。封入されたIL-12ポリペプチドが長時間体内に残存する場合、それらは37℃での湿気への曝露の結果として変性または凝集し、生物活性の喪失および免疫原性が変化する可能性をもたらす。含まれる機構に応じて、安定化のための合理的戦略を考案することができる。例えば、凝集機構がチオ-ジスルフィド交換を介して分子間S-S結合形成であることが発見された場合、スルフヒドリル残基を改変する、酸性溶液から凍結乾燥させる、湿度含量を制御する、好適な添加剤を使用する、および特定のポリマーマトリックス組成物を開発することにより、安定化を達成することができる。
【0173】
持続放出性IL-12含有組成物はまた、リポソームに捕捉されたポリペプチドも含む。IL-12ポリペプチドを含有するリポソームを、Eppsteinら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82: 3688-3692 (1985); Hwangら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77: 4030 (1980); ならびに米国特許第4,485,045号および第4,544,545号に記載のような当業界で公知の方法により調製する。通常、リポソームは小さい(約200〜800オングストローム)単層型のものであり、その脂質含量は約30 mol%を超えるコレステロールであり、選択される割合は最適なWntポリペプチド療法のために調整される。循環時間が増強されたリポソームは、米国特許第5,013,556号に開示されている。
【0174】
疾患の治療のために、IL-12ポリペプチドの好適な用量は、上記で定義されるような、治療しようとする疾患の種類、疾患の重篤度および過程、以前の療法、患者の病歴および本明細書に開示されるIL-12治療方法に対する応答、ならびに担当医の裁量に依存する。本発明に従えば、IL-12は一時に、または一連の治療にわたって、患者に好適に投与される。
【0175】
疾患の種類および重篤度に応じて、例えば、一回以上の別々の投与によるとしても、または連続輸液によるとしても、約10 ng/kg〜2000 ng/kgのIL-12が患者への投与のための初期候補用量である。ヒトは約500 ng/kgの反復用量を安全に許容し得るが、最大で約200 ng/kgの単回用量なら毒性副作用をもたらすべきではない。例えば、用量は、G-CSF、GM-CSFおよびEPOなどの他のサイトカインに関するものと同じであってもよい。数日以上にわたる反復投与については、症状に応じて、疾患症候の望ましい抑制が起こるまで治療を持続させる。しかしながら、他の投薬レジメンも有用であり得る。この療法の進行は、従来の技術およびアッセイにより容易にモニターされる。
【0176】
IL-12を、他のサイトカインと共に、直接同時投与または連続投与により投与することができる。一種以上のサイトカインをIL-12と共に同時投与する場合、より低用量のIL-12を用いることができる。他のサイトカイン、すなわち、IL-12以外のサイトカインの好適な用量は、約1μg/kg〜約15 mg/kgのサイトカインである。例えば、用量はG-CSF、GM-CSFおよびEPOなどの他のサイトカインに関するものと同じであってよい。他のサイトカイン(複数可)を、IL-12の投与の前、それと同時、またはその後に投与してもよい。サイトカイン(複数可)およびIL-12を組合せて、哺乳動物への同時投与のための医薬組成物を形成させることができる。特定の実施形態においては、IL-12およびサイトカインの量は、血液細胞の相乗的再増殖(または造血細胞の増殖および/もしくは分化の相乗的増加)がIL-12および他のサイトカインの投与の際に哺乳動物中で起こるようなものである。換言すれば、血液細胞の再増殖(または造血細胞の増殖/分化)に関する二種以上の薬剤(すなわち、IL-12および一種以上のサイトカイン)の協調作用は、これらの分子の個々の効果の合計より大きい。
【0177】
IL-12の治療製剤は、所望の純度を有するIL-12と、任意選択の生理学的に許容し得る担体、賦形剤、または安定剤(Remington's Pharmaceutical Sciences、第16版、Osol,A.(編)、(1980))とを混合することにより、凍結乾燥ケーキまたは水性溶液の形態で保存のために調製される。許容し得る担体、賦形剤、または安定剤は、用いられる用量および濃度でレシピエントに対して非毒性的であり、それらのものとして、リン酸、クエン酸、および他の有機酸などのバッファー;アスコルビン酸などの酸化防止剤;低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、もしくはリジンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、もしくはデキストリンなどの単糖類、二糖類およびその他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;マンニトールもしくはソルビトールなどの糖アルコール;ナトリウムなどの塩形成性対抗イオン;ならびに/またはTween(登録商標)、Pluronics(登録商標)もしくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0178】
IL-12はまた、例えば、液滴形成技術または界面重合(例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースもしくはゼラチンマイクロカプセルおよびポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセル)により調製されたマイクロカプセル中、コロイド薬剤送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、およびナノカプセル)中、またはマクロエマルジョン中で捕捉することができる。そのような技術は、Remington's Pharmaceutical Sciences、上掲に開示されている。
【0179】
in vivoでの投与のために用いられるIL-12は無菌でなければならない。これは、凍結乾燥および再構成の前または後の、滅菌濾過膜を介する濾過によって容易に達成される。IL-12は通常、凍結乾燥形態または溶液中で保存される。治療用IL-12組成物は一般に、滅菌アクセスポートを有する容器、例えば、皮下注射針によって貫通できるストッパーを有する静脈内溶液バッグまたはバイアル中に入れられる。
【0180】
局所適用する場合、好適にはIL-12を他の成分、例えば、担体および/またはアジュバントと組合せる。そのような他の成分が生理的に許容されるものであり、その意図される用途にとって有効でなければならないこと、および組成物の活性成分の活性を分解することができないことを除いて、それらの性質に関する制限はない。好適なビヒクルの例としては、精製コラーゲンを含むか、または含まない、軟膏、クリーム、ゲル、または懸濁液が挙げられる。また、前記組成物を、好ましくは、液体または半液体形態で経皮パッチ、プラスター、および包帯中に含浸させることもできる。
【0181】
ゲル製剤を取得するために、液体組成物中で製剤化されたIL-12を、有効量の水溶性多糖または合成ポリマー、例えば、PEGと混合して、局所適用される適切な粘度のゲルを形成させることができる。用いることができる多糖としては、例えば、セルロース誘導体、例えば、エーテル化セルロース誘導体、例えば、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、およびアルキルヒドロキシアルキルセルロース、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびヒドロキシプロピルセルロース;デンプンおよび分画デンプン;寒天;アルギン酸およびアルギナート;アラビアゴム;プルラン;アガロース;カラゲナン;デキストラン;デキストリン;フルクタン;イヌリン;マンナン;キシラン;アラビナン;キトサン;グリコーゲン;グルカン;および合成バイオポリマー;ならびにキサンタンゴムなどのゴム;グアーゴム;ローカストビーンガム;アラビアゴム;トラガカントゴム;およびカラヤゴム;ならびにその誘導体および混合物が挙げられる。本明細書に記載の好ましいゲル化剤は、生体系に対して不活性であり、非毒性的であり、調製が容易であり、粘度が低すぎないまたは高すぎないものであり、その中に保持されるIL-12分子を不安定化しない。
【0182】
好ましくは、多糖は、エーテル化セルロース誘導体、より好ましくは、明確に定義され、精製され、USPに列挙されたもの、例えば、メチルセルロースおよびヒドロキシアルキルセルロース誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースである。本明細書で最も好ましいものは、メチルセルロースである。
【0183】
ゲル化にとって有用なポリエチレングリコールは、典型的には、適切な粘度を得るための低分子量および高分子量PEGの混合物である。例えば、分子量400〜600のPEGと、分子量1500のPEGとの混合物は、ペーストを得るために適切な比率で混合した場合、この目的にとって有効である。
【0184】
多糖類およびPEGに適用される用語「水溶性」は、コロイド溶液および分散物を含むことを意味する。一般に、セルロース誘導体の溶解度は、エーテル基の置換度により決定され、本明細書で有用な安定化誘導体は、該誘導体を水溶性にするために、セルロース鎖中の無水グルコース単位あたり十分な量のそのようなエーテル基を有するべきである。無水グルコース単位あたり少なくとも0.35のエーテル基のエーテル置換度が一般に十分である。さらに、セルロース誘導体は、アルカリ金属塩、例えば、Li、Na、KまたはCs塩の形態にあってもよい。
【0185】
メチルセルロースをゲル中で用いる場合、好ましくはそれは約2〜5%、より好ましくは約3%のゲルを含み、IL-12はゲル1 mlあたり約300〜1000 mgの量で存在する。
【0186】
治療的に用いられるIL-12の有効量は、例えば、治療対象、投与経路、および患者の症状に依存する。従って、最適な治療効果を得るために必要とされる用量の力価を決定し、投与経路を改変することが治療専門家にとって必要である。典型的には、医師は、所望の効果を達成する用量に達するまでIL-12を投与する。全身治療のための典型的な日用量は、上記の因子に応じて、約10 ng/kgから最大で2000 ng/kg以上の範囲であり得る。代替的な一般的提案として、IL-12受容体を製剤化し、有効であるが、過度に毒性的ではない最大用量までの約0.1 ng/ccを超えるIL-12レベルを組織中で確立することができる用量で標的部位または組織に送達する。連続輸液、持続放出、局所適用、または経験的に決定された頻度での注射などの投与レジメンによって、可能ならこの組織内濃度を維持すべきである。この療法の進行は、従来のアッセイによって容易にモニターされる。
【0187】
以下の実施例は、本発明を例示するために与えられる。しかしながら、本発明はこれらの実施例に記載される特定の状態または詳細に限定されるものではないことが理解されるべきである。本明細書で参照される全ての刊行物は、参照により具体的に本明細書に組み入れられるものとする。
【実施例】
【0188】
(実施例1 - 照射されたマウスを用いる製剤試験のための材料および方法)
マウス:約9〜10週齢のメスのマウスを、Harlan Laboratories(Indianapolis, Indiana)から購入したところ、受領時にそれぞれ少なくとも20グラムであった。マウスをオートクレーブしたケージで飼育し、21〜23℃の温度および50%〜60%の相対湿度に調節した空調管理された、特定の病原体を含まない動物室で維持した。マウスに市販のげっ歯類用の餌と水を自由に与えた。試験の開始の前に1週間、マウスを隔離した。この試験における全ての実験は、BATTS Laboratories(Northridge, CA)のInstitutional Animal Care and Use Committeeによって認可されたものであった。
【0189】
放射線:マウスの照射を、Gammacell(登録商標)40を用いて実行した。治療されたマウスおよび治療されていないマウスは7.9 Gy(790 rads)を受けた(治療されたマウスについてn=10)。対照群は、スクロースまたはトレハロースを注射したマウスの組合せである(それぞれn=10;合計n=20)。照射装置の中心位置にマウスを保持するように設計された特別に構築された「パイボックス(pie-box)」中でマウスを照射して、均等に分配された用量の放射線を提供した。
【0190】
薬剤:組換えマウスIL-12(rmIL-12)は、SBH Sciences(Natick,MA)により製造され、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に処方された液体として供給されたものであった。試験において使用する前に、液体rmIL-12を二つの製剤の一つ、すなわち、(1)スクロース/マンニトールまたは(2)トレハロースに基づく製剤に希釈した。各製剤の特定の組成は以下の通りである:(1)2%スクロース、4%マンニトール、0.02%Tween 20、10 mM酢酸ナトリウム、pH 5.6、および(2)6%トレハロース、0.04%Tween 20、5 mg/ml無水リン酸二水素ナトリウム、1.2 mg/ml無水リン酸水素ナトリウム。注射された用量は、マウスIL-12 ELISA(Biolegend San Diego, CA)により検証した。
【0191】
放射線軽減:照射されたマウスは、照射の24時間後にマウスrmIL-12の皮下(SC)注射を受けた。マウスをその後30日間にわたって生存について観察し、それぞれのマウスの体重を週に2回測定した。抗生物質を含む全ての対症療法を排除して、生存試験の厳密性を増加させた。
【0192】
統計学的方法:Power-On ジェネリックパワー(generic power)分析に基づいて、本発明者らは群の分散の歴史的(historical)見積もりおよび3〜4日のエフェクトサイズを用いるアルファ=0.05およびパワー=0.8について、rmIL-12で治療されたマウスと対照マウス(n=10の群サイズ)の生存時間の上昇が十分であることを決定した。後に、この同じnが、必要に応じてカイ二乗分析およびFisherの直接確率法による生存の40%以上の群の増分の検出にとって十分であることがわかった。
【0193】
Kaplan-Meier分析:生存時間の伝統的な尺度は、Kaplan-Meierの生存関数である。層化Kaplan-Meierを用いて、rmIL-12およびビヒクル対照群にわたる生存時間の全体的な差異を試験した。放射線治療後の体重減少を、共変量として分析した。個々の実験群と対照生存時間とのその後の比較を実施した。これらの条件下での分析は、生存時間のわずか3〜4日の差異を検出するのに十分に感受性であった。次いで、事後のTukey検定を用いる分散分析(ANOVA)を、生存時間尺度に対して実施して、用量応答関数を実証し、どの製剤が所与の用量のrmIL-12について最良の生存時間を与えたかを決定した。
【0194】
結果:様々な治療群における群生存率(%)分析-群生存率(%)を、必要に応じてk平均カイ二乗検定およびFisherの直接確率法により対照生存率(%)と比較した。
【0195】
独立変数:これらの試験において試験された変数は、rmIL-12の用量および製剤(スクロースまたはトレハロース)を含んでいた。
【0196】
(実施例2)
マウスrmIL-12の放射線軽減特性をさらに調査するための実験を、二つの製剤、すなわち、スクロースおよびトレハロースに基づく製剤を用いて行った。それぞれのビヒクル対照群と共に、いずれかの製剤を用いて三つの用量のマウスrmIL-12を試験した。調査した用量は2、18および162 ngであり、ビヒクルのみと比較した。
【0197】
7.9 Gyに曝露した24時間後に、マウスにrmIL-12を皮下注射した。Kaplan-Meier(K-M)プロットを、スクロースに基づく製剤中のrmIL-12については
図1に、およびトレハロースに基づく製剤中のRmIL-12については
図2に示す。
【0198】
図1および2に示されるように、いずれかの製剤中のrmIL-12は、強力な放射線軽減効果をもたらした。スクロース製剤中のrmIL-12に関する全体的な生存率(群生存率(%)として定義される)(
図1)は、18 ngで50%および162 ngで60%であった(p<0.05、Fisherの直接確率法)(LD85
30)。トレハロース製剤中のrmIL-12については(
図2)、全体の生存率は2 ngで70%(p<0.02、Fisher検定)および18 ngで80%(p<0.005、Fisher検定)であった(LD85
30)。
【0199】
スクロースに基づく製剤中の2 ng用量のrmIL-12は群生存率(%)の少しの増加をもたらしたが、この用量は生存時間のKaplan-Meier分析または群生存率(%)のカイ二乗分析のいずれかによる対照生存率と有意に異なっていた。同様に、トレハロースに基づく製剤中の162 ngの用量については群生存率の少しの増加が観察されたが、生存率は対照生存率または生存時間と有意に異ならなかった。
【0200】
対照的に、スクロース製剤中の162 ng用量のrmIL-12は、対照と比較して群生存率(%)(Fisher検定、p<0.05)および生存時間(K-M分析、p<0.001)の両方を有意に上昇させた。スクロース中の18 ngのrmIL-12製剤は対照と比較して生存時間を上昇させたが(K-M、p<0.04)、群生存率(%)をわずかに上昇させることができなかった(Fisher検定、n.s)。トレハロース製剤中の2 ngのrmIL-12は、生存率(%)(Fisher検定、p<0.02)を上昇させ、生存時間をわずかに上昇させた(K-M分析、p<0.07)。18 ng用量のIL-12は群生存率(%)(Fisher検定、p<0.005)および生存時間(K-M分析、p<0.03)の両方を上昇させた。
【0201】
二因子分散分析(ANOVA)をK-M分析から生存時間に対して実施した。これらの因子は用量および製剤の種類であった。両因子は高度に有意であったが(p<0.01)、用量x製剤の相互作用はなかった。有意な製剤因子は、同じ用量で投与した場合、スクロース製剤と比較してトレハロース製剤において生存時間がより長いという驚くべき、予想外の結果を示した。これらの結果は、トレハロース製剤のより高い効力を示唆しており、K-Mおよびカイ二乗分析と一致している。有意な用量因子は、生存時間は用量と関係するが、最大生存時間はトレハロース製剤についてより高いことを示唆している(
図3(生存時間対用量)および
図4(生存時間対製剤))。
【0202】
スクロースまたはトレハロース製剤のいずれかを用いた場合、rmIL-12は統計的に有意な放射線軽減効果をもたらしたが、トレハロース中のrmIL-12製剤は、この製剤がrmIL-12の放射線軽減効果に必要とされる有効量を約9〜10倍低下させる、すなわち、トレハロースにより安定化されたrmIL-12がその有効性を増加させる点でさらなる利益を加える。
【0203】
トレハロース中で製剤化されたrmIL-12は、100 ng/kgである標的化された低いヒト用量を可能にする(2 ngのマウス用量は約8 ng/kgのヒト用量に変換することができ、18 ngのマウス用量は約72 ng/kgのヒト用量に変換される)。さらに、このデータは、ヒトIL-12のための製剤としてのトレハロースの使用が臨床試験の間の薬剤の安全性プロフィールを増加させる可能性があるという見解を支持する。
【0204】
結論として、rmIL-12は、二つの異なる製剤、すなわち、スクロース/マンニトール製剤(pH 5.6)およびトレハロースに基づく製剤(pH 5.6)を用いる致死的照射の24時間後に投与された場合、強力な放射線軽減効果を有する。予想外かつ驚くべきことに、トレハロース製剤は、スクロース/マンニトール製剤と比較してrmIL-12の効力を有意に増加させる。
【0205】
(実施例3 - rHu-IL-12の安定性試験のための材料および方法)
製剤パラメータ:製剤のpH、バッファー、および等張性改変剤を、組換えヒトIL-12 (rHu-IL-12)の製剤試験において試験した。様々な組合せの製剤を作製し、25℃および40℃で24週間保存した後、SE-HPLC、RP-HPLCまたはSDS-PAGEのいずれかを用いてrHu-IL-12の分解レベルについて試験した。様々な界面活性剤を用いる撹拌ストレス試験に基づいて、ポロキサマー188をこれらの試験のための界面活性剤として選択した。以下の表4は、この試験において用いられた製剤を列挙するものである。
【表4】
【0206】
ストレス条件:製剤を、以下の表5に列挙される条件下で試験した。
【表5】
【0207】
凍結および解凍ならびにUV曝露は、製剤中でのrHU-IL-12の分解に対して観察された効果はなかった(データは示さない)。
【0208】
分解産物の分析:製剤中の分解の量を、サイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SE-HPLC)、逆相高速液体クロマトグラフィー、およびドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)を用いて分析した。
【0209】
SE-HPLCには移動相として100 mMリン酸ナトリウムおよび400 mM NaCl pH 7.0を用いた。カラムはTSKGel Super SW3000、4.6 x 300 mmであった。2μgのロードを0.35 mL/minの流速で20分間行った。
【0210】
RP-HPLCには水中の0.1%TFAの移動相A、アセトニトリル中の0.1%TFAの移動相B、Vydac C18カラムを用いた。カラム温度は30℃であり、流速は0.5 mL/minであり、検出器は214 nmであった。勾配を以下の表6に示す。
【表6】
【0211】
SDS-PAGEには可変%ゲル(NuPAGE Novex 4〜12%Bis Tris)を使用し、銀染色した。サンプルロードは1.5μgであった。
【0212】
(実施例4 - IL-12製剤の安定性に対するpHの効果)
4.5〜6.0のpH範囲を有するrHu-IL-12の製剤を、40℃で24週間保存した後、SE-HPLCを用いて試験して、保存中のrHu-IL-12の分解に対するpHの効果を決定した。この製剤は、バッファーとして酢酸ナトリウム、ヒスチジン、またはリン酸ナトリウムのいずれか、6%トレハロースの等張性改変剤、界面活性剤ポロキサマー188、および20または500μg/mlのrHu-IL-12濃度を含有していた。
図5は、40℃で24週間の保存後にトレハロース含有製剤の選択基のSE-HPLC純度プロファイルを示す。
図5に示される製剤の詳細を、以下の表7に列挙する。
【表7】
【0213】
凝集はpHが低いほど厳しくなったが、これは、より低いpHが24週間にわたってrHu-IL-12のより低い安定性をもたらすことを示唆している。500μg/mLのrHu-IL-12の製剤中では有意なpH効果は観察されなかった。保存中のpHの効果は、RP-HPLCおよびSDS-PAGEにより分析した場合に明らかではなかった(データは示さない)。
【0214】
(実施例4 - rHu-IL-12の保存安定性に対するトレハロースの効果)
それぞれ、非イオン性等張性改変剤およびイオン性等張性改変剤である、6.0%のトレハロースおよび150 mMの塩化ナトリウムを、この試験における等張性改変剤として試験した。
【0215】
結果:pH 4.5を除く全てのpHの20μg/mLのrHu-IL-12を含む製剤について、トレハロースは実施例3に記載のSE-HPLCにより分析された場合、NaClよりも多い凝集を示した。
図6Aは、25℃で0〜24週間のP6N(150 mM NaCl)およびP6T(トレハロース)に関するSE-HPLC純度データを示す。NaClサンプルは、24週間で100%の純度から実質的な低下を示さなかったが、トレハロースサンプルは、24週間でわずかに92%の純度を示した。同様に、150 mM NaClを用いる25℃の500μg/mLのrHu-IL-12製剤(A5N)は、24週間で100%の純度を示したが、比較可能なトレハロースサンプル(A5T)は24週間でわずかに約88%の純度であった(
図6B)。
【0216】
トレハロースはまた、高温での生成物の回復に負に影響した。150 mM NaCl中で24週間、40℃の20μg/mLのrHu-IL-12は、15μg/mlの濃度をもたらしたが(試験の開始時の20μg/mlから)、トレハロース中の同じ濃度のrHu-IL-12は24週間で10μg/mlの最終濃度をもたらした。等張性改変剤としての150 mM NaClは、6%トレハロースよりも長時間にわたってrHu-IL-12のより高い安定をもたらす。
【0217】
(実施例5 - 安定性に対するバッファーの効果)
ヒスチジンおよびリン酸ナトリウムを、等張性に関して150 mM NaClを用いる24週間の保存にわたってpH 6.0で緩衝剤として比較した。25℃での保存の24週間後、リン酸ナトリウム製剤は、SE-HPLCにより分析した場合、ヒスチジンよりも高い純度を示した。P6Nはほぼ100%の純度を示したが、H6Nは96%の純度を有していた。RP-HPLCにより分析した場合、回復および分解の顕著な損失がヒスチジン製剤において観察された。
【0218】
(実施例6 - 製剤比較のまとめ)
実施例3〜5の製剤化前比較からの結果は、生成物が回復を失い、撹拌ストレスの間に非共有的凝集物を生成し、これを界面活性剤として0.1%のポロキサマー188を添加することにより防止することができることを示した。生成物は低いpH 4.5〜5.5で、特にトレハロースの存在下で可溶性凝集物を形成する。生成物はまた、ヒスチジンを緩衝剤として用いた場合、安定性の低下を示した。
【0219】
二つの製剤が、試験したもののうち最良の安定性を示した:
(1)Dulbeccoのリン酸緩衝生理食塩水、
(2)リン酸ナトリウム(10 mM)、NaCl(150 mM)、0.1%(w/v)ポロキサマー188、および20μg/ml rHu-IL-12、pH 6.0。
【0220】
これらの製剤は、5℃で保存した場合、少なくとも6ヶ月間安定である。生成物が低いpHで急速に分解することを考慮すると、製剤を凍結温度で長期間保存することは推奨されない。リン酸ナトリウムのpHは、リン酸二ナトリウムの選択的結晶化に起因して凍結時に低下し得ることが知られている。
【0221】
(実施例7 - IL-12製剤に関する効力アッセイ)
材料および方法:IL-12 in vivo効力アッセイは、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)の精製された集団中でのIFN-γ発現を誘導するrHu-IL-12の効力を決定するものである。ヒト末梢血細胞をFicoll-Hypaque(LSM-リンパ球分離培地)を用いる一段階勾配を用いて処理して、赤血球から白血球を分離し、赤血球を廃棄する。次いで、残りの白血球を抗CD14抗体と共にインキュベートして、内因性IL-12を産生し、結果を混同させ得る単球および樹状細胞集団を除去する。抗CD14抗体処理後に残存する細胞集団は、リンパ球について高度に富化されている。
【0222】
精製されたヒトPBMC(白血球除去を用いて得られた)を、ウェルあたり2.5 x 10
5個の細胞の密度で96穴組織培養プレート中のRPMI 1640/10%ウシ胎仔血清中に分注した後、37℃、5%CO
2で16〜18時間、27 fM〜27 pMのIL-12で細胞をチャレンジした。次いで、チャレンジされたPBMCによるIFN-γ発現を、BioLegendからのヒトIFN-γ特異的ELISAキットを用いて測定する。次いで、IL-12により誘導されたIFN-γ発現のEC50値を、ELISA応答データの4パラメータ適合から決定する。EC50は、50%の細胞がIFN-γを産生することにより応答する有効濃度である。
【0223】
実施例3に記載され、表4に列挙されたIL-12の様々な製剤を、保存の4週間後および保存の24週間後に、両方の時点とも様々な温度でIFN-γ発現についてアッセイした。
【0224】
結果:保存の4週間後、P6Nは0.484 pgで-20℃で保存した後に最も低いEC50量の一つを示した。4週間の保存に関する結果を、以下の表8にまとめる。
【表8】
【0225】
保存の24週間後、P6N製剤は、-20℃〜+25℃で一貫して低いEC50を示した(0.289 pg〜0.379 pg)。EC50は、保存温度が+40℃である場合にのみ増加した(0.989 pgまで)。結果を以下の表9にまとめる。
【表9】
【0226】
(実施例8 - 霊長類における製剤のPK/PD試験のための材料および方法)
非照射アカゲザルへの1μg/kgの用量の三つの異なる製剤の皮下(SC)投与後のrHu-IL-12の薬物動態(PK)および薬力学(PD)を決定するために、単回投与試験を実施した。試験したバイオマーカーは、IL-12、EPO、IFN-γ、IL-15、IL-18およびネオプテリンであった。
【0227】
ビヒクル:ビヒクル1(P56TT)はpH 5.6であり、6%トレハロースを含んでいた。ビヒクル2(P6NF)は6.0のpHを有し、10 mMのリン酸ナトリウム、150 mMのNaCl、および0.1%のポロキサマー188を含んでいた。ビヒクル3(p6TF)は、pH 6.0であり、10 mMのリン酸ナトリウム、6%のトレハロースおよび0.1%のポロキサマー188を含んでいた。
【0228】
投与およびサンプル採取:試験被験体あたり1回、1μg/kgのrHu-IL-12を含有するビヒクルを皮下投与した。三つの異なるビヒクル(第1〜3群)中でのrHu-IL-12の投与後、各動物から選択された時点で血液を採取した:0、2、6、12、18、24、30、36、48、72、96、120、144、168および192 hr。それぞれの血液サンプルを、抗凝固剤としてK2-EDTAを含有するチューブ中に静脈穿刺により採取し、ウェットアイスペンディング(wet ice pending)遠心分離機(最大30分間)上で保持した。サンプルを冷蔵下で10分間遠心分離した(1500 gで約+4℃(RCF))。血漿を必要に応じて分注し、分析まで凍結した。
【0229】
ELISA分析:以下の市販のキット:Quantikine Human IL-12(p70)ELISA (R&D Systems、キット番号D1200);サルIFN-γ(Mabtech #3420M-1H-6);Quantikine Human EPO ELISA (R&D Systems、キット番号DEP00);Quantikine Human IL-15 ELISA (R&D Systems、キット番号D1500);Human IL-18 ELISA(MBL/R&D Systems、キット番号7620);ネオプテリンELISA(GenWay、キット番号40-371-25012)を用いて、サンプルに対してELISA分析を行った。
【0230】
薬物動態分析:薬物動態分析は、可能な限り、Tmax、Cmax、曲線下面積(AUC)、t1/2、消失速度定数、初期分布容積(Vd)、およびクリアランス(CL)などの標準的なパラメータの評価からなっていた。ExcelのPK関数を用いるノンコンパートメント解析(NCA)により、血漿濃度対時間データを分析した。名目上の採血時間を使用し、送達されたrHu-IL-12用量を名目用量および平均投薬前体重に基づいて算出した。NCAを用いて、IL-12、γ-インターフェロン(IFN-γ)、エリスロポエチン(EPO)、IL-15、IL-18およびネオプテリン濃度対時間曲線を全て分析した。IL-12、INF-γ、EPO、IL-15、IL-18およびネオプテリンの量の下限は、それぞれ、7.8 pg/mL、7.8 pg/mL、25 pg/mL、3.9 pg/mL、25.6 pg/mL、および342 pg/mLであった。多くの場合、これらの曲線は、AUC
0-∞算出の有意な外挿を含み、結果として、AUC
0-tを稠度(consistency)に関する曝露の尺度として用いた。IL-15、IL-18、ネオプテリン、IFN-γおよびEPOに関するクリアランスパラメータまたは分布パラメータの容量を算出しなかった。
【0231】
(実施例9 - 霊長類に投与されたIL-12の薬物動態)
様々なビヒクル中のrHu-IL-12で治療された霊長類から得た血液サンプルを、実施例8に記載のようにELISAを用いてIL-12について分析した。1μg/kgの用量に関する最終的なIL-12 PKパラメータを表10にまとめ、
図7は濃度対時間曲線をプロットしたものである。群のサイズが非常に小さい(n=1〜2)ことを示すことが重要である。統計分析は純粋に記述的かつ暫定的でなければならない。さらに、データの希薄性に起因して、PKパラメータはそれぞれの時点で群平均濃度についてのみ算出することができる。場合によっては、直前および後の時点の濃度に基づいて失われる濃度を内挿することが必要であった。
【0232】
IL-12のCmaxは、第2群の製剤P6NFに関して最も高かった。平均±2SEとして定義される信頼区間は、187〜250 pg/mlにわたる。他の製剤のCmax値は、第2群のP6NFの信頼区間の最も低い境界よりも明らかに低いが、これは、この製剤が有意により高いCmaxをもたらすことを示唆している。これらのデータに由来するTmaxの最良推定値(モード値)は2 hrである(実際の範囲=2〜6 hr)。三つの製剤の半減期は非常に類似しており、約11から13 hrにわたる。同様に、消失速度定数も三つの製剤についてほぼ同一である。AUC
0-t値はAUC
0-inf値と40%も異なっていたが、これはデータセットの希薄性およびその後AUCに無限遠で外挿する難しさを示唆している。これらの理由から、AUC
0-t値がより信頼性が高いと考えられる。そのことを念頭に置けば、第2群のAUC
0-t(P6NF)は、他の二つの製剤のものよりも50%高かった。AUC
0-t値は利用可能なデータのプールに基づく一点測定値であるので、Cmaxは一般にAUCと相関するという以外には統計学的分析は可能ではない。CL/Fは、最も高いAUC
0-tと一致してこの群において数値的に最も低かった。分布の平均容量(Vz/F)は約24〜33 Lの範囲であった。分布容量は低いバイオアベイラビリティ(F)および/または血管外空間への大きい分布を示唆する。
【表10】
【0233】
(実施例10 - 霊長類におけるIFN-γの薬物動態)
様々なビヒクル中のrHu-IL-12で治療された霊長類から得た血液サンプルを、実施例8に記載のようにELISAを用いてIFN-γについて分析した。1μg/kgの用量のrHu-IL-12のSC投与後のIFN-γに関する最終的なPKパラメータ(投与された分子種とは対照的に、内因性の分子種について定義されていないVd/FおよびCL/Fは除く)を、以下の表11にまとめる。平均血漿濃度対時間データを、
図8に図示する。Cmax値は三つの製剤間で統計的に識別可能ではなかったが、第1群(P56TT)は数値として最高値を有する。Tmaxは三つ全部の製剤について96 hrである;従って、IFN-γのCmax値はIL-12のCmaxを過ぎて94 hr遅い。AUC
0-tはrHu-IL-12の第1群の製剤について最も高いが、これは数値的に最も高いCmaxと一致している。これは、IL-12のAUC
0-tが第2群について最も大きいという事実にも拘らず起こる。
【表11】
【0234】
(実施例11 - 霊長類におけるEPOの薬物動態)
様々なビヒクル中のrHu-IL-12で治療された霊長類から得た血液サンプルを、実施例8に記載のようにELISAを用いてEPOについて分析した。1μg/kgの用量のrHu-IL-12のSC投与後のEPOに関する最終的なPKパラメータを、以下の表12にまとめる。平均血漿濃度対時間データを
図9に図示し、それはRHu-IL-12投与に対する正の応答を示している。Cmaxは第2群において最も高く、ほぼ3倍でこの群に関する最も高いIL-12のCmaxと一致しているが、この小さいnについて、第2群の信頼区間は他の群のCmax値と重複する。Tmaxの範囲は36〜48 hrであり(n=2を有する群に基づく;第3群について72 hrの単一動物推定値(single animal estimate)であり、これはおそらく外れ値である)、いくつかはIL-12のTmaxの34〜46 hr後およびIFN-γのTmaxの48〜60 hr前である。消失速度定数は三つ全部の群において類似していた。第2群のAUC
0-tは、他の二つの群のいずれかのもののほぼ3倍であった。これは、その群におけるより高いCmax、ならびにその群における最も高いIL-12のAUCおよびCmaxと一致している。
【表12】
【0235】
(実施例12 - 霊長類におけるIL-15の薬物動態)
様々なビヒクル中のrHu-IL-12で治療された霊長類から得た血液サンプルを、実施例8に記載のようにELISAを用いてIL-15について分析した。1μg/kgの用量のrHu-IL-12のSC投与後のIL-15に関する最終的なPKパラメータを、以下の表13にまとめる。平均血漿濃度対時間データを、
図10に図示し、これはrHu-IL-12投与に対する正の応答を示している。Cmaxは第2群において最も高く、ほぼ3倍でこの群に関する最も高いIL-12のCmaxと一致している。Tmaxの範囲は72〜96 hrであり、IL-12についてはTmaxの少なくとも66 hr後(2〜6 hr)であるが、IFN-γのTmaxと類似している(96 hr)。消失速度定数は、それらを見積もることができた場合類似していたが、注意をもって解釈しなければならない。第2群のAUC
0-tは、他の二つの群のいずれかのものよりも非常に大きかった。これは、その群におけるより高いCmax、ならびにその群における最も高いIL-12のAUCおよびCmaxと一致している。
【表13】
【0236】
(実施例13 - 霊長類におけるIL-18の薬物動態)
様々なビヒクル中のrHu-IL-12で治療された霊長類から得た血液サンプルを、実施例8に記載のようにELISAを用いてIL-18について分析した。1μg/kgの用量のrHu-IL-12のSC投与後のIL-18に関する最終的なPKパラメータを、以下の表14にまとめる。平均血漿濃度対時間データを、
図11に図示し、これはrHu-IL-12投与に対する正の応答を示している。Cmaxは第2群において最も高く、ほぼ2倍でこの群に関する最も高いIL-12のCmaxと一致している。Tmaxの範囲は96〜120 hrであり、IL-12についてはTmaxの少なくとも90 hr後(2〜6 hr)であるが、IFN-γのTmaxと類似している(96 hr)。消失速度定数は、類似していたが、注意をもって解釈しなければならない。第2群のAUC
0-tは、他の二つの群のいずれかのものよりも非常に大きかった。これは、その群におけるより高いCmax、ならびにその群における最も高いIL-12のAUCおよびCmaxと一致している。AUC
0-inf値は、AUC
0-tと比較して非常に高いため、再び不完全な崩壊期のため信頼性が低い。
【表14】
【0237】
(実施例14 - 霊長類におけるネオプテリンの薬物動態)
様々なビヒクル中のrHu-IL-12で治療された霊長類から得た血液サンプルを、実施例8に記載のようにELISAを用いてネオプテリンについて分析した。1μg/kgの用量のrHu-IL-12のSC投与後のネオプテリンに関する最終的なPKパラメータを、以下の表15にまとめる。平均血漿濃度対時間データを、
図12に図示し、これはrHu-IL-12投与に対する正の応答を示している。Cmaxは第2群において最も高く、約15%でこの群に関する最も高いIL-12のCmaxと一致している。Tmaxの範囲は96〜120 hrであり、IL-12についてはTmaxの少なくとも90 hr後(2〜6 hr)であるが、IFN-γのTmaxと類似している(96 hr)。消失速度定数は、類似していたが、注意をもって解釈しなければならない。第2群のAUC0は第1群のものより大きかったが、第3群のものより約5%小さかった。高いAUCは第2群における高いCmaxならびにその群における最も高いIL-12のAUCおよびCmaxと一致している。AUC
0-inf値は、AUC
0-tと比較して非常に高いため、再び不完全な崩壊期のため信頼性が低い。
【表15】
【0238】
(実施例15 - 三つの製剤のPKの分析の概要)
非照射アカゲザルに1μg/kgの用量で三つの異なる製剤中で皮下(SC)投与した後のrHu-IL-12の薬物動態(PK)および薬力学(PD)を決定するために、単回用量試験を実施した。試験したバイオマーカーは、IL-12、EPO、IFN-γ、IL-15、IL-18およびネオプテリンであった。多くのPKパラメータは所与のバイオマーカー内、製剤間で類似していた。IL-12の分布容量は、低いバイオアベイラビリティ(F)および/または血管外空間への大きい分布を示唆していた。
【0239】
IFN-γ、EPO、IL-15、IL-18およびネオプテリンを、rHu-IL-12投与に対して正の応答を示す血漿濃度対時間曲線を用いて特性評価した。全事例において、これらの正の応答は、rHu-IL-12を投与した後の時間において遅延した。
【0240】
IL-12のCmaxおよびAUCは一般に、第2群のP6NF製剤について最も高かった。この製剤はまた、EPO、IL-15、およびIL-18に関しても数値的に最も高いCmaxおよびAUC値を与えた。第3群のP6TFのAUCは、ネオプテリンについては第2群のP6NF製剤よりもわずかに高かった。IFN-γについては、第1群のP56TT製剤は数値的に最も高いCmaxおよびAUC値をもたらした。しかし、群サイズが非常に小さく、この最後の観察はより大きい群サイズについて認められるものではないことを強調しなければならない。
【0241】
IL-12の血中レベルが最も重要な標的変数である場合、P6NF製剤は最も高いCmaxおよびAUCを与えると考えられる。しかし、IFN-γがIL-12のための主な治療エフェクターである場合、P56TT製剤がより優れている可能性がある。しかしそうであっても、この製剤は、P6NFについて認められるものと比較してAUCを約3.5%上昇させるに過ぎない。結局、P6NF製剤は、将来の試験のための最良の選択である。しかしながら、小さい群サイズは大きい標準誤差および信頼区間を作ったことを強調することが重要である。さらに、いくつかのサイトカインについて、崩壊期が不完全であったことが明らかである。これらの因子は同時に、消失速度定数およびAUCなどの算出されたPKパラメータを推定値として考慮しなければならないことを示唆している。
【0242】
別途定義しない限り、本明細書で用いられる全ての技術的および科学的用語は本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0243】
本明細書で例示的に説明された本発明を、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素または複数の要素、制限または複数の制限の非存在下でも好適に実施することができる。かくして、例えば、用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含む(containing)」などは、拡張的に、および制限なしに読まれるべきである。さらに、本明細書で用いられる用語および表現は、限定の用語としてではなく、説明の用語として用いられており、そのような用語および表現の使用に、示され、記載された特徴またはその一部の任意の等価物を排除する意図はないが、特許請求される本発明の範囲内で様々な改変が可能であることが認識される。
【0244】
かくして、本発明は好ましい実施形態および任意選択の特徴により具体的に開示されているが、本明細書に開示された本発明の実施形態の改変、改善および変更は、本発明の範囲内にあると考えられることが理解されるべきである。本明細書に提供される材料、方法、および実施例は、好ましい実施形態の代表例であり、例示的なものであり、本発明の範囲に対する限定を意図するものではない。
【0245】
本発明を、本明細書で広くかつ一般的に説明してきた。包括的開示の範囲内にあるそれぞれのより狭い種および亜属群も本発明の一部を形成する。これは、削除された材料が本明細書に具体的に記載されているかどうかに拘らず、属から任意の主題を除去するという条件または負の制限で、本発明の包括的説明を含む。
【0246】
本明細書に記載の全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、あたかもそれぞれが参照により個々に組み入れられるのと同程度まで、全ての式および図面を含むその全体が参照により明確に本明細書に組み入れられる。対立する場合、定義を含む本特許明細書が制御するものとする。
【0247】
他の実施形態は以下の特許請求の範囲内に記載される。