【実施例1】
【0017】
図1ないし
図8を参照して、実施例1について説明する。
図1の駐輪機1の正面図に、車輪7(
図4参照)が載置されていない状態を示す。駐輪機1は、車輪台2、フレーム3、ラック4、アーム5、中間板5C、引張バネ5D、アームロック機構6(ロックピン6Dを含む、
図2参照)を備える。
車輪台2は受け皿形状の底部に自転車の車輪7(典型的には前輪)を載置する部品で、導入側に回動軸2A(支点)を有しており、その支点を中心とて回転するローラ2Bが設けられている。車輪7がローラ2Bを載り越えて受け皿形状の底部に載置されると、自転車の荷重が車輪台2に作用して、車輪台2は支点2Aの周りに回動し、支点2Aの逆側が下降して所定の駐輪位置に保持される。所定の駐輪位置は典型的には車輪台2が水平に保持される位置である。
【0018】
フレーム3はベースとも称され、駐輪機1の各部品が取り付けられる基板である。本実施例では2t(板厚2mm)の板金が採用されている。フレーム3は車輪台2の左右及び下側に設けられ、左右の部分が下側で連結され、左右についてはアーム5を搭載する側の面積が反対側より広い。
ラック4は、2本のパイプ材が所定の間隔を維持して互いに平行にフレーム3に固定される。これにより、駐輪中の自転車の車輪7の横移動や横転を防止する。また、2本のパイプ材は前方で接続され、自転車の前方への移動を抑止する。所定の間隔は自転車の車輪7の幅より幾分広い距離である。
【0019】
アーム5はロック状態において車輪7を挟み込む部品である。本実施例では車輪台2とアーム5の第2の先端部5Bとで車輪7を挟み込む。また、アーム5は、予想外の外力が印加された場合に、板厚が薄いと折れ曲がる恐れがあり、逆に厚いとフレーム3側が変形(歪曲、破壊)する恐れがある。そこでアーム5の板厚を適切な範囲に定めることが重要であり、例えば降伏点応力が高い材料で3〜5mmが適切である。本実施例ではアーム5に炭素工具鋼鋼材で、板厚4t(4mm)の板金を採用した。炭素工具鋼鋼材は、例え外力(典型的には駐輪機1において駐輪位置に対して上方向及び後方向に印加される)によりアーム5の第2の先端部5Bが変形しても、外力が除去された時に元に戻るように、降伏点応力は500N/mm
2以上であることが好適である。また、アーム5は回動軸5Gを介して中間板5Cに取り付けられ、中間板5Cはフレーム3に垂直方向に固定的に取り付けられる。5Dは引張バネ(第1の付勢バネ)であり、アーム5のほぼ中間の孔と中間板5Cの適宜の位置に架設され、アーム5の開位置を維持するように付勢する。6Dはロックピンであり、閉状態時にアーム5を閉位置にロックする。アーム5の詳細については後述する。
【0020】
図2の駐輪機1の側面図に、車輪7が載置されていない状態を示す。ただし、車輪台2については、車輪7が載置されていない状態を二点鎖線で、車輪7が載置されている状態を点線で示す。前述のように、車輪7が車輪台2に載置されると、車輪台2は支点2Aの周りに回動して支点2Aの逆側が下降し、所定の駐輪位置に保持される。フレーム3、ラック4、アーム5、中間板5C、引張バネ5Dについては
図1の説明を参照されたい。
【0021】
駐輪機1はアームロック機構6を備える。アームロック機構6は、閉位置にあるアーム5が開位置にならないように、アーム5の回動運動を拘束するものであり、駆動手段6A、中間板6B、第2の付勢バネ6C、ロックピン6D、リンク機構6E、検出器6Fを有する。駆動手段6Aはアームの閉位置への拘束、開位置への解除を電気的に行う。具体的には、例えば閉位置への拘束、開位置への解除を1つのソレノイドで行う。中間板6Bは典型的には、ある程度の間隔(例えば約1mm)を隔ててフレーム3に平行かつ固定的に取り付けられる基板であり、中間板6Bに駆動手段6A、ロックピン6D、検出器6Fが取り付けられる。また、ロックピン6Dが突出する貫通孔が設けられている。ロックピン6Dは、駆動手段6Aに連動して中間板6Bの貫通孔から突出することにより、アーム5を閉位置に機械的に拘束するピンである。第2の付勢バネ6Cは開状態において、例えば圧縮バネによりロックピン6Dを貫通孔から引き抜く方向に付勢する。リンク機構6Eはロックピン6Dを駆動手段6Aとリンクさせて、駆動手段6Aに連動して動作するように構成する運動伝達機構である。検出器6Fはアーム5の第1の先端部5Aの位置が所定の位置にあることを電気的に検出し、これにより、自転車の車輪が所定の駐輪位置にあることを検出する。また、駆動手段6Aの駆動を電気的に検出する。検出された検知信号は制御装置14に出力される。なお、中間板5Cと中間板6Bとはフレーム3の近傍で直交するが、直交する位置において一体的に連結されている。なお、3Aはフレームのラックとの結束部分である。また、中間板6Bは上部からの水を電装部品に到達させない役目も有する。
【0022】
図3はアーム5の斜視図である。ここでは、主として
図1について説明した以外の点について説明する。アーム5は第1の先端部5A、第2の先端部5Bを有し、孔5E、軸孔5Fが形成されている。また、第2の先端部5Bの先端下側(第1の先端部5Aの側)に突起5Hが形成されている。第1の先端部5Aは先端が車輪台2の底部に当接し、車輪台2の上下運動に連動して、中間板5Cに取り付けられた回動軸5Gの周りに回動するようになっている。アーム5の第2の先端部5Bは、自転車が駐輪位置にない状態では、フレーム3から車輪台2上に僅かに突出する状態(以下、開位置という。)に位置し(
図1参照)、自転車を車輪台上で移動できる状態にある。第2の先端部5Bは、自転車が駐輪位置にある状態で、車輪台2の下降によるアーム5の回動運動で、フレーム3から突出し、更に自転車の車輪7のスポークの間隙から突出して、車輪台2と共に車輪7を挟み込む状態(以下、閉位置という。)に位置する。この状態では自転車を持ち上げると車輪7のリム7Aが第2の先端部5Bに当たり(実際は第2の先端部5Bの先端下側の突起5Hに当たり)、自転車が出庫できなくなる。そして、アーム5はこのように回動軸5Gの周りに回動して、開位置と閉位置を行き来できる形状になっている。なお、閉位置では、第2の先端部5Bと車輪7との間に間隙が存在する。また、第1の先端部5Aと第2の先端部5Bとは、寸法、形状共異なる。
【0023】
本実施例では、アーム5は開位置において、第2の先端部5Bの先端がフレーム3の側壁から僅かに突出している。また、閉位置において第2の先端部5Bがフレーム3の側壁から大きく突出し、車輪台2と共に車輪7を挟み込む位置にある。この状態で車輪7を強制的に引き抜こうとした場合に、車輪7のリム7Aは突起5Hに点接触する。このようにアーム5は回動軸5Gの周りを回動することにより、第2の先端部5Bを車輪台2の上に突き出し・引き込みできる形状になっている。かかる形状とすることで、強制的に車輪7を引き抜く動作が行われると、車輪7のリム7Aがアーム5の第2の先端部5Bの先端下側に形成された突起5Hに点接触して、リム7Aに突き当たることになる。自転車を引き抜こうとするものは、車輪7を持ち上げようとすると、突起に引っかかる。このため、連続的に持ち上げ続けるより、上げ下げを繰り返す場合が多く、突起5Hへの接触は断続的となり、したがって突起5Hへの負荷の掛り方も断続的となる場合が多くなる。つまり、リム7Aがアーム5の第2の先端部5Bの下辺を線状にすべり、第2の先端部5Bに継続的に負荷が掛り、アーム5に歪曲が生じることは避けられる。
【0024】
なお、突起5Hの先端はリム7Aを傷つけないように滑らかに形成されることが好ましい。また、「1点で接触する」とは、典型的には突起5Hが1つであり、その1つの頂点で接触することをいう。しかし、これに限られず突起5Hに複数の分岐がある場合でも、これらの分岐の頂点(接触部分)がアーム5の第2の先端部5Bの先端下側の狭い部分、例えば第2の先端部5Bの下辺の長さd
0(例えば5mm以内)の範囲に集中して存在すれば良い。また、「突起」は側面から見た突起をいい、板厚方向には突起があってもなくても良い。また、アーム5に降伏点応力が高い炭素工具鋼鋼材を採用することで、変形が生じても外力が除去された時に元に戻る。このようにアーム5は塑性変形(永久変形)せず、変形しても弾性により元に戻るので、車輪7が外れることは極めて困難になる。また、断続的に負荷が掛る場合は継続的に掛る場合に比して累積負荷量は小さくなるので、この点からも外れ難くなる。また、アーム5は、予想外の外力が印加された場合に、板厚が薄いと折れ曲がる恐れがあり、逆に厚いとフレーム3側が変形(破壊)する恐れがある。このため適正な板厚とすべきである。そこで、アーム5の板厚を3〜5mmの範囲とし、具体的には4mmとした。また、孔5Eは引張バネ5Dがビスで固定される孔である。軸孔5Fは回動軸5Gが貫通する軸孔である。
【0025】
図4の駐輪機1の正面図に車輪7が載置されている状態を示す。車輪7が車輪台2の底部に載置されると、自転車の荷重が車輪台2に作用して、車輪台2は支点2Aの周りに回動して支点2Aの逆側が下降し、車輪台2が所定の駐輪位置に保持される。すなわち、車輪台2は水平に保持される。また、アーム5は回動軸5Gの周りに回動して、第2の先端部5Bがフレーム3から突出し、さらに車輪7のスポークの間から突出して、突出した第2の先端部5Bが車輪台2と共に車輪7を挟み込む閉位置に至る。そして、アームロック機構6が作動して、ロックピン6Dがアーム5の肩部に突出して、アーム6が逆回転しないように抑止する。閉位置において、アーム5の第2の先端部5Bと車輪7のリム7Aとの間には少し間隙(一般的な26・27インチのタイヤで数十mm)がある。これは、自転車を取り出す時に上方に持ち上げる余裕を設けることにより、アーム5が回動軸5Gの周りに回動できるようにするためである。また、種々の車輪7の寸法に対応できるようにするためである。アーム5が回動することにより、アーム5の第2の先端部5Bが引っ込みスポークの間から抜けると、自転車を取り出すことができる。
【0026】
図5の駐輪機1の正面図に車輪7を強引に引き抜こうとする状態を示す。車輪台2は車輪7が載置されていないので、
図1と同様に上昇した位置にあるが、アーム5はロックピン6Dによってロックされているので閉位置に保持される。アーム5の第2の先端部5Bの先端下側にはリム7Aに1点で接触する突起5Hが設けられているので、この状態で車輪を引き抜こうとすると、断続的に車輪7のリム7Aが突起5Hに点接触する。すなわち、突起5Hがリム7Aに突き当たる。これにより、従来のように、リム7Aがアーム5の第2の先端部5Bを線状にすべり、第2の先端部5Bに継続的に負荷が掛り、アーム5に歪曲が生じることは避けられる。また、アーム5に降伏点応力が高い炭素工具鋼鋼材を採用することで、変形が生じても弾性変形なので外力が除去された時に元に戻る。このため、車輪7を引き抜くことが極めて困難である。
【0027】
図6にフレーム3に外カバー8を付した状態を示す。外カバー8は、雨仕舞やいたずら防止のために、アームロック機構6を覆うものである。具体的には硬質樹脂製のものが用いられる。ステンレス鋼や亜鉛メッキ鋼板製、その他の金属・合金製板を用いても良い。
【0028】
図7に駐輪機システム10を示す。駐輪機は駐輪機1自体からなるもの1A及び、駐輪機1と、自転車を駐輪機1に案内するレール12からなるもの1Bとがある。本実施例における駐輪機システム10は、駐輪場の地表面に設けられる台座11に、駐輪機1Aと、台座11と駐輪機1Bとを接続する支柱13を駐輪機1Bと組み合わせたもの(自転車の前輪を高い位置に保持できる)とを交互に配置し、制御装置14で制御するように構成したものである。制御装置14は駐輪機1A、1Bからアーム5がロックされた旨の信号を受信する、開錠信号を駐輪1A、1Bに送信する等の制御を行う。
【0029】
図8に本実施例における自転車施錠(セット)・開錠(リセット)の処理フロー図を示す。
〔待機状態〕
自転車が駐輪機1に入れられていない待機状態では、駐輪機1のアーム5は、引張バネ5Dの作用によって開位置(アーム5の第2の先端部5Bがフレーム3から車輪台2上に僅かに突出する位置)を維持している。例えば無断出庫時の外力によって車輪台2が一時的に押されアーム5が閉位置(アームの第2の先端部5Bがフレーム3から突出して、車輪台2と共に車輪7を挟み込む位置)となっても、引張バネ5Dによってアーム5は開位置とする方向に付勢されるので、その外力がなくなるとすぐにアーム5が開位置に戻る。
【0030】
〔施錠処理〕
駐輪機1が空いているとき(駐輪可能な状態のとき)、アーム5が開位置を維持しているので、駐輪しようとする者は駐輪可能な駐輪機1を視認でき、スムーズに自転車を駐輪機1に導くことができる。駐輪しようとする者は、自転車の車輪7(典型的には前輪)を(場合によりレールに乗せ)車輪台2に誘導する。
車輪台2は横から見た場合、導入側を支点2Aとしており、その支点2Aを中心としたローラ2Bが設けられている。車輪7がローラ2Bを載り越えると自転車の荷重が車輪台2に作用して、所定の駐輪位置に導かれ、車輪台2に載置される(S101)。自転車が車輪台2に載置されると、車輪台2の支点の逆側が下降して(S102)、アーム5の第1の先端部5Aが下方に押される。これに伴ってアーム5が回動軸5Gの周りに(
図1では時計回りに)回動運動し、第2の先端部5Bが車輪7のスポークの間に突出し、アームが閉位置となる(S103)。この時、引張バネ5Dが伸びる。また、検出器6Fはアーム5が閉位置になったことを検知して(S104)、制御装置14に閉位置検知信号を送信する。
【0031】
検出器6Fから閉位置検知信号を受信した制御装置14は時間計測を開始し、アーム5の閉位置が継続して所定時間維持されたか否かを判断する。制御装置14は、もし所定時間経過前に検出器6Fがアーム5の開位置を検出した場合には時間計測をリセットし、アーム5の閉位置が継続して所定時間維持された場合には駆動手段6Aに施錠信号を送信する。所定時間は、例えば、アーム5が閉状態になってもすぐにはロックしないようにするための時間であり、適宜な値、例えば10秒に設定することができる。
制御装置14からの施錠信号を受信した駆動手段6Aは、ソレノイドによりロックピン6Dを突出させるように駆動する(S106)。駆動手段6Aの駆動により突出したロックピン6Dにより、アーム5の開位置への回動動作が拘束されて施錠(ロック)状態となる(S107)。制御装置14は、アーム5を解除する指令(すなわち、ロックピン6Dを解除する指令)を待つ状態となる。
【0032】
〔開錠処理〕
開錠処理は、例えば駐輪車を取り出そうとする者から所定の料金の支払いを受けたときに、制御装置14がロック状態を解除する開錠信号を駆動手段6Aに送信する(S201)ことにより開始される。アームロック機構6の駆動手段6Aは、制御装置14から開錠信号を受信し(S202)、ソレノイドによりロックピン6Dの突出を解除するよう駆動する(S203)。ロックピン6Dの突出が解除されることで(S204)、そのロックピン6Dによって回動動作が拘束されていたアーム5の拘束も解除される。駐輪車を取り出そうとする者は、拘束が解除されたアーム5を回動軸5Gの周りに(
図4では反時計周りに)回動させるように自転車を駐輪機の車輪台2から上方に持ち上げることで、アーム5は開位置に移動する(S205)。引張バネ5Dの付勢によるアーム5の回動に伴い車輪台2も上昇する。これにより、自転車を駐輪機1から取り出すことができ(S206)、駐輪機1は駐輪を待機する状態となる。
【0033】
〔自転車の強制引き抜き〕
アーム5がロックされた状態では、アーム5の第2の先端部5Bが片側のフレーム3側面から突出する位置にある。通常は自転車の車輪7のリム7Aとアーム5の第2の先端部5Bとの間に間隙が存在する。この状態で、自転車を無理やり引き抜こうとした場合には、アーム5が間隙分だけ回動動作するが、アーム5の肩部がロックピン6Dに当接することで、それ以上のアーム5の回動動作は阻止される。ロックピン6Dがアーム5に当接した状態でさらに自転車を引き抜こうとすると、アーム5の第2先端部5Bに自転車を引き抜く方向(後方)と、アーム5自体を上方に持ち上げる方向との力が加わる。
【0034】
従来形状のアーム5’場合、車輪7のリム7Aとの接触が略線接触となるので、アーム5’の第2の先端部5B’の下辺がガイドの働きをして、リム7Aが下辺に沿ってスライドし、アーム5’自体に継続的な力が加わり、アーム5’の変形を助長することとなる(
図11参照)。また、アーム5’材料の強度を高くするだけでは負荷による変形が蓄積することが分かった。これに対し、本実施例では第2の先端部5Bの下辺に形成された突起(接触部分)5Hが点接触する形状であるので、車輪7のリム7Aが突起5Hに突き当たるが、突起5Hや第2の先端部5Bの下辺がガイドとして作用することはない(
図5参照)。いくら、強引に引き出そうとしても点接触となり、ガイドとして作用しない。点接触時にアーム5に係る負荷は大きなものとなるが、降伏点応力が高い炭素工具鋼鋼材を採用することで、一時的な変形はあるが塑性変形は小さく、変形が生じても外力が除去された時に弾性により元に戻る。したがって、アーム5自体の累積的な変形を小さくすることができ、車輪7を引き抜くことは極めて困難である。
【実施例3】
【0037】
図10を参照して実施例3について説明する。実施例3は突起5Hの変形例に係るものである。
図10はアーム5の第2の先端部5Bにおける突起の変形5Hの例を示すもので、
図10(a)は突起5Hの形状の要件を説明するための図、
図10(b),(c)は1点で接触する突起5Hに該当の例を、
図10(d)は該当しない例を、斜視図で示す。
【0038】
図10(a)を参照されたい。突起5Hの頂点(接触部位)Aは、車輪7に引っ掛かり易くするため極力第2の先端部5Bの端面に近くする(例えば突起5Hの頂点から第2の先端部5Bの端面までの距離d=0〜5mmとする)。端面の長さBは、第2の先端部5Bの強度を確保するため大き目にする(例えば10〜30mm)。第2の先端部5Bの下辺(第1の端部側の辺)に対する突起の斜面角度Cは車輪7に引っ掛かり易くするため大き目にする(例えば30〜60度)。第2の先端部5Bの下辺に垂直な面に対する端面の傾斜角度Dは、アーム5が開位置で端面がラック4から僅かに突き出す角度(開位置で端面はラック4の長手方向と平行になるのが好ましい。アーム5の縦横の寸法により異なるが、例えば25〜35度)とする。また、「1点で接触する」とは、典型的には突起5Hが1つであり、その1つの頂点で接触することをいう。しかし、これに限られず突起5Hに複数の分岐がある場合でも、これらの頂点がアーム5の第2の先端部5Bの狭い部分、例えば第2の先端部5Bの下辺の長さd
0(例えば5mm以内)の範囲に集中して存在すれば良い。また、「突起」は側面から見た突起をいい、板厚方向には突起があってもなくても良い。したがって、上記条件を満たした上で、突起は(分岐の有無に拘わらず)第2の先端部5Bの下辺の長手方向に長さd
0以内にあれば良い。また、板厚方向に厚みがあっても良い。(b)は半円状の突起で、第2の先端部5Bの長手方向に突起があるが、厚さ方向には一様な形状になっている。半円状の突起で頂点が1つなので1点で接触する突起に該当する。(c)は半球形(長手方向の直径が長くても良い)の突起であるが、この場合も突起の頂点が1つなので1点で接触する突起に該当する。(d)はリム7Aに当たり得る突起が2つで突起の頂点同士の距離dがd
0以上離れているので該当しない。もし、dがd
0以下である場合は該当する。なお、(b)〜(d)では(a)のBに対応する長さとしてB’を用いた。
図10(b)、(c)はいずれも車輪7のリム7Aに当接する場合、長手方向にずれる(ガイドになる)ことはないので、車輪7がアーム5から離脱することはない。なお、第2の先端部5Bの下側(リム7Aに当たる側)は、リム7Aを傷つけないように突起5Hを含めて滑らかに仕上げることが好ましい。