特許第6267556号(P6267556)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6267556
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】注出補助具付きパウチ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/36 20060101AFI20180115BHJP
   B65D 33/17 20060101ALI20180115BHJP
   B65D 77/30 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   B65D33/36
   B65D33/17
   B65D77/30 C
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-60317(P2014-60317)
(22)【出願日】2014年3月24日
(65)【公開番号】特開2015-182786(P2015-182786A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2017年2月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000419
【氏名又は名称】特許業務法人太田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 尚
【審査官】 谷川 啓亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−124657(JP,A)
【文献】 特表2013−542147(JP,A)
【文献】 独国実用新案第202006019841(DE,U1)
【文献】 独国特許出願公開第102006005739(DE,A1)
【文献】 スイス国特許出願公開第00701361(CH,A3)
【文献】 米国特許第03815810(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/00 − 33/38
B65D 67/00 − 79/02
B65D 81/18 − 81/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を注ぎ出す際に先端を切断して注出口を形成するパウチの注出部の外表面に注出補助具を固着した注出補助具付きパウチであって、
前記パウチは表面シートと裏面シートとを重ね合わせて形成されてなり、
該注出補助具は、
前記注出部のうち前記表面シートのみの外表面に固着する固着部と、
該固着部に連設して、前記外表面と固着せずに注出口部に跨ってその両側で内方に折れ曲がった側板を有し、
前記固着部で固着した前記注出部の外表面を上方に持ち上げるとともに、
前記側板で前記注出部の両脇の上方への持ち上がりを押さえることによって、前記注出口を広げるようにしたことを特徴とする注出補助具付きパウチ。
【請求項2】
前記固着部と前記側板との境界部は、
前記注出部の先端を切断して形成される注出口の切取り予定線に対しほぼ垂直方向の線Sに沿って形成される折曲り部か、または先端側が前記垂直方向の線S寄りに傾斜して形成される折曲り部で、内方に折り曲げられて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の注出補助具付きパウチ。
【請求項3】
前記注出補助具の前記固着部の表側には、
前記固着部の表側前部を後部方向に折り曲げて重ね合わせ、
前記注出口をリシールするための係合手段が備えられていること特徴とする請求項1又は2に記載の注出補助具付きパウチ。
【請求項4】
内容物を注ぎ出す際に先端を切断して注出口を形成するパウチの注出部の外表面に注出補助具を固着した注出補助具付きパウチの製造方法であって、
表面シートと裏面シートとを重ね合わせて前記パウチを形成し、
前記パウチのうち前記表面シートのみの外表面に固着する固着部に連設してその両側で内方に折れ曲がっている側板を、該外表面と固着させずに前記注出口を跨ぐようにするとともに、
折曲げ部が、切取り予定線に対してほぼ垂直になるようにするか、その先端側が前記固着部の中心線寄りに傾斜するようにして位置決めし、
上方から前記注出補助具の固着部を前記注出部の外表面に押さえつけて、前記外表面と前記側板とを固着させずに前記固着部の下部と前記注出部の外表面とを固着させ、
前記固着部の押さえ圧力を解放して、前記固着部で固着した前記注出部の外表面を上方に持ち上げるとともに、前記側板で前記注出部の両脇の上方への持ち上がりを押さえて前記注出口を広げるようにしたことを特徴とする注出補助具付きパウチの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗剤、トイレタリー、果汁飲料、調味料などの詰替え用のパウチに関するもので、内容物を注出させ易い注出補助具付きパウチ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、台所用液体洗剤、洗濯用洗剤、柔軟剤、漂白剤、シャンプー、リンス、ボディーソープなどの商品は、必要時にボトル容器に収容物を移し替えることができる詰替え用のパウチが広く用いられている。
詰め換え用のパウチの一つとして、樹脂製の表面シートと裏面シートとを重ね合わせて周辺をヒートシールにより貼り合わせ、必要時に注出部を開封してボトル容器などの口部に当接させて内容物をボトル容器などに移し替えるようにしている。
また、このようなパウチは、移し替え時に内容物を外にこぼすことのないように、
表面シートと裏面シートを貼り合わせて形成した容器上部の一部の幅を狭くした注出口が設けられている。
【0003】
上記のような詰替え用のパウチにおいては、内容物の注出に際してパウチの一部を切断することで注ぎ出しを可能にしているが、上述した容器上部の一部に幅を狭くして正面シートと背面シートの重ね合わせ部分からなる注出口部を備える包装容器でも、内容物を他のボトル容器などに移し替える際の操作性、安定性はある程度は改善できるものであったが、その注出部での正面シートと背面シートとが接合し易いために、開封しても注出部自体の開きの保持性が劣っていて、ボトル容器などの口部への差し込みや注出の際に不便であり、移し替えの容易性の点で問題があった。
【0004】
このような問題を解決するものとして、例えば、特許文献1には、使用時に先端を切断して注出口を開口する注出口部をもち、表裏の樹脂フィルムの周縁部をシールしてなるパウチの注出口部の注出口に、折り曲げ可能で平板状で剛性をもつ開口維持部材を挿着し、接着し、内容物の注出時に、開口維持部材を折り曲げて係合して立体構造にするパウチが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3608357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のパウチは、開口維持部材をパウチ内に挿入し、内面側に接着する為、内容物の充填前のパウチに予め固着しておく必要があった。
また、詰め替えの際、使用者に、開口維持部材を折り曲げて挿着された注出口部の先端を切断して開口し、パウチの外側から指で開口維持部材を挟んで、ヒンジを折り曲げて係合爪や係合突起で係合させて立体構造に変える作業を強いており、小さな注出口部に対してこのような作業は容易ではない。
本発明は、上述の問題を解決したものであり、パウチの外表面に取り付けて用いることができ、注出部の注出口を注ぎ出し易く、パウチの一部を切断するだけで確実に広く開口できる注出補助具付きパウチを提供するものである。
また、本発明の他の目的は、内容物充填前のパウチに限らず、すでに内容物が充填されたパウチに対して後から取り付ける事も可能な注出補助具を取り付ける注出補助具付きパウチの製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の注出補助具付きパウチは、内容物を注ぎ出す際に先端を切断して注出口を形成するパウチの注出部の外表面に注出補助具を固着した注出補助具付きパウチであって、前記パウチは表面シートと裏面シートとを重ね合わせて形成されてなり、該注出補助具は、前記注出部のうち前記表面シートのみの外表面に固着する固着部と、該固着部に連設して、前記外表面と固着せずに注出口部に跨ってその両側で内方に折れ曲がった側板を有し、前記固着部で固着した前記注出部の外表面を上方に持ち上げるとともに、前記側板で前記注出部の両脇の上方への持ち上がりを押さえることによって、前記注出口を広げるようにしたことを特徴とする。
(2)本発明の注出補助具付きパウチは、上記(1)において、前記固着部と前記側板との境界部は、前記注出部の先端を切断して形成される注出口の切取り予定線に対しほぼ垂直方向の線Sに沿って形成される折曲り部か、または先端側が前記垂直方向の線S寄りに傾斜して形成される折曲り部で、内方に折り曲げられて形成されていることを特徴とする。
(3)本発明の注出補助具付きパウチは、上記(1)又は(2)において、前記注出補助具の前記固着部の表側には、前記固着部の表側前部を後部方向に折り曲げて重ね合わせ、前記注出口をリシールするための係合手段が備えられていること特徴とする。
(4)本発明の注出補助具付きパウチの製造方法は、内容物を注ぎ出す際に先端を切断して注出口を形成するパウチの注出部の外表面に注出補助具を固着した注出補助具付きパウチの製造方法であって、表面シートと裏面シートとを重ね合わせて前記パウチを形成し、前記パウチのうち前記表面シートのみの外表面に固着する固着部に連設してその両側で内方に折れ曲がっている側板を、該外表面と固着させずに前記注出口を跨ぐようにするとともに、折曲げ部が、切取り予定線に対してほぼ垂直になるようにするか、その先端側が前記固着部の中心線寄りに傾斜するようにして位置決めし、上方から前記注出補助具の固着部を前記注出部の外表面に押さえつけて、前記外表面と前記側板とを固着させずに前記固着部の下部と前記注出部の外表面とを固着させ、前記固着部の押さえ圧力を解放して、前記固着部で固着した前記注出部の外表面を上方に持ち上げるとともに、前記側板で前記注出部の両脇の上方への持ち上がりを押さえて前記注出口を広げるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
使用者は、内容物を注ぎ出す際にパウチの注出部先端を切断すると、注出補助具によって確実に広く注出口が開口するので、その開口部分を詰め替え用のボトル容器口部にあてがい易く、内容物をこぼすことなくボトル容器に注ぎ出すことができる。
また、パウチに内容物が残っている場合も注出補助具に備えられた係合手段によって、パウチの注出部をリシールすることができ、内容物の保存性にも優れている。
さらに、本発明の注出補助具付きパウチの製造方法は、内容物充填前のパウチ注出補助具を取り付けるだけでなく、すでに内容物を充填してあるパウチの外表面にも取り付け可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態1に係る、注出補助具を外表面に固着した注出補助具付きパウチの平面図である。
図2】注出補助具の斜視図である。
図3】注出補助具の上面図である。
図4】注出補助具の下面図である。
図5】(a)は注出補助具の正面図であり、(b)は(a)の左側面図である。
図6】パウチの切り取り線を切った後の開口部の状態を示す斜視図である。
図7】折曲り部の先端側(固着部の前部方向)が垂直方向の線S寄りに傾斜して形成された折曲り部を示す、注出補助具を外表面に固着した注出補助具付きパウチの平面図である。
図8】固着部の表裏を貫通する孔を側板に伸ばして、側板を4本脚にした注出補助具の斜視図である。
図9】注出補助具をパウチの外表面に固着させる製造方法を示す説明図であり、(a)は固着部をパウチの外表面に押さえ付けた状態を示し、(b)は固着部の押さえ付けを解放した状態を示す。
図10】パウチのリシール時の断面図である。
図11】実施形態2に係る、注出補助具を外表面に固着した注出補助具付きパウチの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態1>
本発明の注出補助具付きパウチを図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態1に係る、注出補助具を外表面に固着した注出補助具付きパウチの平面図である。
図1に示すように、実施形態1の注出補助具付きパウチ10は、パウチ10の注出部11の外表面に合成樹脂製の注出補助具12が取り付けられたものである。
すなわち、パウチ10の切取り予定線Cを切断して内容物の注ぎ出し用の注出口15を形成する近傍に注出補助具12を固着して、パウチ10からの内容物を注ぎ出す際に注出口15を広げるようにして、パウチ10から内容物を注ぎ出しを容易にしたものである。
【0011】
また、注出部11の先端側での側辺部には切り欠きやスリットからなるノッチN,Nが形成されており、注出部11の先端側をつまんで持ちながらこのノッチNから引き裂くようにすることで、ノッチNを始端として裂け目が、ノッチN,Nを結ぶ切取り予定線Cに沿って進行し、パウチの開封操作が手作業で簡単に行えるようにしている。
なお、図1では、ノッチN,Nは、パウチの左隅部の縦側辺部及び横側辺部にそれぞれ1カ所ずつ形成されているが、ノッチ形成の位置や数は特に限定するものではない。
【0012】
図2の斜視図、図3の上面図、図4の下面図、図5(a)の正面図及び(b)の左側面図に併せて示すように、注出補助具12は、注出部の外表面に固着する固着部と、固着部に連設して注出口に跨ってその両側で内方に折れ曲がった側板とから構成されている。
固着部13は、平板状であり、パウチの注出部11の外表面に、注出補助具12の固着部13の裏側を固着させて取り付けている。
そして、注出補助具12の固着部13に連設してその両側で内方(パウチ側)に折り曲げて形成した側板14、14は、注出口15に跨ってパウチの外表面を押さえるようにして取り付けられており、パウチの外表面には固着させないことが重要である。
このため、注出補助具12の固着部13で固着したパウチの注出部11の外表面を上方に持ち上げるとともに、折れ曲がった両側板14、14が注出部11の両脇の上方への持ち上がりを押さえることによって、注出口15を広げることができる。
したがって、注出部11の注出口15を大きく開口した状態に維持して内容物の流路が確保することができるので、パウチ10からの内容物を注ぎ出しが容易となる(図6参照)。
【0013】
次に、注出補助具12をパウチへ取り付け状態について説明する。
図1の平面図に示すように、パウチの角部に斜め方向に内容物を注出させる注出部11を形成させるように注出補助具12を取り付けている。
注出補助具12は、パウチ10に固着された状態において、その側板14、14が、切取り予定線Cに対して平行な位置、且つ注出口15に跨るような位置(言い換えると、注出口15の中心位置に対応するような位置)に取り付けられるのが重要である。
また、固着部13と側板14の境界部は、注出部11の先端を切断して形成される注出口15の切取り予定線Cに対し、ほぼ垂直方向の線Sに沿って形成される折曲り部16,16で折り曲げられて形成されている。
すなわち、パウチ10に固着された状態において、注出補助具12の側板14、14は、固着部13に連設してその両側に広がって形成されるとともに、その先端部が内方(パウチ側方向)へ折れ曲がり、その折り曲がり線である折曲り部16は、先端を切断して形成される注出口15の切取り予定線Cに対し、ほぼ垂直方向になるように取り付けられている。
これにより、側板14、14がパウチの注出口15の両側を跨ぐようにして押さえ、注出補助具12の固着部13が外表面を上方に持ち上げて注出口15を大きく確実に開口させてそのまま維持させることができる(図6参照)。
【0014】
なお、固着部13と側板14との境界部に形成される折曲り部16は、上記説明のように、注出部11の先端を切断して形成される注出口15の切取り予定線Cに対しほぼ垂直方向の固着部13の中心線Sに沿って形成されてもよいが、図7に示すように、折曲り部の先端側(前部13a方向)が垂直方向の線S寄りに傾斜して形成される折曲り部16でもよい。
このように、折曲り部16を固着部13の中心線S寄りに傾斜して形成することにより、パウチの周囲から内容物をもれなく注出できるとともに、注出口15の先端を絞ることにより、詰め替え容器の口に確実に注ぎ入れることができる。
【0015】
<パウチ素材>
注出補助具を取り付けるパウチは、例えば、シャンプーなどの液体を収容する包装容器で、表面シート10aと裏面シート10bとを重ね合わせて、表面シート10aと裏面シート10bとの対向する辺部同士をヒートシールし、表面シート10aと裏面シート10bとの間を開くことで広がった容器に液体を収容することができる(図1、6参照)。
上述のパウチを構成する表側、裏側シート素材としては、ポリエステルシート、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシート、ナイロンシート、ポリプロピレンシート、アルミニウム箔シート、ポリエチレンシート、などが挙げられ、その積層シートの周縁部に、図1に示すように、ヒートシール法などの熱融着法によりシール部を設けて形成したものである。
【0016】
次に、注出補助具付きパウチのリシールについて説明する。
例えば、詰め替えに際し、全ての内容物を移し替えせず、内容物をパウチに残したい場合は、注出補助具を用いてパウチの注出口15をリシールすることができる。
図2の斜視図、図10の断面図に示すように、注出補助具12の固着部13の表側には、注出口15をリシールするための係合手段17が備えられている。
係合手段17は、注出補助具12の固着部13の表側前部13aに設けられている係合凹部などの係合維持部材17aと、固着部13の表側後部13bに設けられて、係合維持部材17aの係合凹部に対応する係合爪や係合突起などの被係合維持部材17bとからなり、固着部13の表側前部13aを後部13b方向に折り曲げて重ね合わせ、固着部13の係合維持部材17aを被係合維持部材17bに係合させることによって、注出口15をリシールすることができる。
【0017】
また、再び注出口15から内容物を注出する際には、折り曲げて重ね合わせた前部13aを上方向に持ち上げて、係合維持部材17aを被係合維持部材17bから解除することによって注出口15を開口することができる。
なお、図4に示すように、側板14の裏側には凹溝18、18が、切取り予定線Cとほぼ平行に形成されており、固着部13の表側前部13aを後部方向13bに溝線18aに沿って折り曲げて重ね合わせを容易にしている。もちろん、凹溝18は、側板14の裏側だけでなく、側板14の表側に設け固着部13の表側前部13aを後部方向13bに溝線18aに沿って折り曲げて重ね合わせを容易にしている。もちろん、凹溝18は、側板14の裏側だけでなく、側板14の表側に設けることや側板14のみならず固着部13に亘って設けることも可能であり、注出補助具12が、折れ曲げ易ければよい。
【0018】
なお、図示するように、固着部13の凹溝18寄りに、凹溝18に隣接して、固着部13の表裏を貫通する孔18bを設けることもできる。
これにより、凹溝18と相俟って、固着部13の表側前部13aを後部方向13bに溝線18aに沿って折り曲げて重ね合わせをより容易にする効果がある。
【0019】
また、図8に示すように、凹溝18を設けずに、固着部13の表裏を貫通する孔18bを側板14に伸ばして、側板14を4本脚にすることもできる。
これにより、固着部13の表側前部13aを後部方向13bに、幅の広い孔18bに沿って折り曲げて重ね合わせをさらに容易にする効果がある。
【0020】
<製造方法>
次に、上記注出補助具付きパウチの製造方法について説明する。
内容物が充填されたパウチの注出部の外表面に注出補助具を取り付ける場合は、以下のようにする。すなわち、図9(a)に示すように、固着部13に連設してその両側で内方(パウチ側)に折れ曲がっている側板14,14を、注出部に形成される注出口15を跨ぐようにするとともに、折曲げ部が、切取り予定線に対してほぼ垂直になるようにするか、その先端側が固着部の中心線寄りに傾斜するようにして位置決めし、上方から注出補助具の固着部を注出部の外表面に押さえつけて溶着などの手段により溶着部19を形成し、固着部の下部と注出部の外表面とを固着させる。
このとき、固着部13に連設してその両側で内方に折れ曲がっている側板14,14は、矢印のように両側が上方に広げられて平板状になるが、固着部の押さえ圧力を解放することにより、平板状だった側板14、14が、元の形状のように内方に折れ曲がった立体構造となる。
【0021】
なお、側板14の下端部(パウチ外表面と接触している部分)が、断面が弧状の湾曲部14aとなっているので、注出部の外表面に固着させた後、平板状の側板14、14が内方に折れ曲がった立体構造に戻る場合に、注出部11の外表面に接触している湾曲部14aが滑り易く、側板14がスムーズに折れ曲がるようになる。
【0022】
すなわち、図9(b)に示すように、注出補助具の注出部の外表面への固着時に平板状になっていた側板14,14がもとの形状に戻ることによって、固着部に溶着されている注出部外表面表シートの一部が持ち上げるとともに、折れ曲がった両側板14、14が注出部11の両脇の上方への持ち上がりを押さえることによって、注出口15を広げることができる。これにより、内容物のパウチからの注ぎ出しが容易になる(図9参照)。
なお、このようなパウチの注出部の外表面に固着する方法は、内容物を充填する前のパウチの注出部の外表面に注出補助具を固着する場合であっても同様である。
【0023】
<実施形態2>
実施形態2の注出補助具付きパウチは、パウチに形成する注出部の位置を変更したものである。
実施形態1では注出部の位置をパウチの左隅部に設けてあるが、実施形態2では、注出部の位置をパウチ20の上部中央部に設けてある点で異なる。
すなわち、実施形態2のパウチは、図11に示すように、パウチ20の上部辺の一部を上方に突出させて注出部21を設け、上方に突出させて形成した注出部21の外表面に注出補助具12を取り付けている。
また、実施形態2における注出補助具12の取り付けは、注出部に跨ってその両側で内方(パウチ側)に折れ曲がった側板で、注出部の外表面に固着部を固着して、その両側を押さえるようにして注出口を広げるようにしている。
そして、パウチの切取り予定線Cを切断するきっかけとなるノッチNは、注出部21の左右辺部にそれぞれ形成してある。
実施形態2のパウチにおいても、注出部21の先端側をつまんで持ちながらこのノッチNから引き裂くようにすることで、ノッチNを始端として、裂け目がノッチN,Nを結ぶ切取り予定線Cに沿って進行し、パウチの開封操作を手作業で簡単に行えるようにしている。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の注出補助具付きパウチは、液体洗剤、トイレタリー、果汁飲料、調味料などの詰替え用のパウチに利用でき、使用者が、内容物を注ぎ出す際に注出部先端を切断すると、注出補助具によって開口された注出口が形成されているので、その開口部分を詰め替え用のボトル容器口部にあてがい易く、内容物をこぼすことなくボトル容器に注ぎ出すことができる。
また、パウチに内容物が残っている場合も注出補助具に備えられた係合手段によって、パウチの注出部をリシールすることができ、内容物の保存性にも優れている。
さらに、本発明の注出補助具付きパウチの製造方法は、内容物充填前のパウチ注出補助具を取り付けるだけでなく、すでに内容物を充填してあるパウチの外表面にも取り付け可能であり、産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0025】
10:実施形態1の注出補助具付きパウチ
10a:表面シート
10b:裏面シート
11:注出部
12:注出補助具
13:固着部
13a:前部
13b:後部
14:側板
14a:湾曲部
15:注出口
16:折曲り部
17:係合手段
17a:係合維持部材
17b:被係合維持部材
18:凹溝
18a:溝線
18b:孔
19:溶着部
20:実施形態2の注出補助具付きパウチ
21:注出部
24:ノッチ
C:切取り予定線
N:ノッチ
S:垂直方向の線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11