(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6267561
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 36/20 20090101AFI20180115BHJP
H04W 88/12 20090101ALI20180115BHJP
H04W 92/20 20090101ALI20180115BHJP
【FI】
H04W36/20
H04W88/12
H04W92/20
【請求項の数】12
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-63575(P2014-63575)
(22)【出願日】2014年3月26日
(65)【公開番号】特開2015-186204(P2015-186204A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2016年7月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100131886
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 隆志
(74)【代理人】
【識別番号】100170667
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩次
(72)【発明者】
【氏名】難波 忍
(72)【発明者】
【氏名】竹内 和則
(72)【発明者】
【氏名】林 高弘
【審査官】
米倉 明日香
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−182792(JP,A)
【文献】
特開2007−37029(JP,A)
【文献】
特開2012−134708(JP,A)
【文献】
難波 忍 他,Centralized RANにおけるBBU-RRH切替手法,電子情報通信学会技術研究報告 Vol.112 No.424 IEICE Technical Report,電子情報通信学会技術研究報告, RCS2012−250,2013年 1月24日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のベースバンドユニットに接続された第1のリモートラジオヘッドと、前記第1のリモートラジオヘッドが供するエリアと隣接するエリアを供する第2のベースバンドユニットに接続された第2のリモートラジオヘッドとが互いに接続されうる、無線通信システムにおける制御装置であって、
前記第1のリモートラジオヘッドに接続される端末における、前記第2のリモートラジオヘッドからの干渉量を評価する評価手段と、
前記評価の結果に基づいて、前記第2のリモートラジオヘッドと前記第1のリモートラジオヘッドとの接続を確立させて、前記第2のリモートラジオヘッドの制御を前記第1のベースバンドユニットによって行うように、前記第2のリモートラジオヘッドの接続先を変更する変更手段と、
を有することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記第2のリモートラジオヘッドは、前記第2のベースバンドユニットに接続される第3のリモートラジオヘッドと接続されることができ、前記第2のベースバンドユニットに接続される際には当該第3のリモートラジオヘッドに接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記第2のリモートラジオヘッドと前記第3のリモートラジオヘッドとは、互いに無線接続するための通信機能を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記第1のリモートラジオヘッドと前記第2のリモートラジオヘッドとは、互いを無線接続するための通信機能を有し、前記第2のリモートラジオヘッドの接続先を変更する際に、当該通信機能による無線接続が確立される、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記無線接続は、異なる複数の無線接続を含む、
ことを特徴とする請求項3または4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記無線接続は、降雨の影響を受ける第1の無線接続と、降雨の影響を受けない第2の無線接続とを含み、前記通信機能は、降雨の有無に応じて、前記第1の無線接続と前記第2の無線接続とのいずれかを用いて通信を行う、
ことを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記無線接続は、マイクロ波接続、ミリ波接続、または光無線接続の少なくともいずれかを含む、
ことを特徴とする請求項3から6のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記第1のリモートラジオヘッドに接続されている端末の数と前記第2のリモートラジオヘッドに接続されている端末の数との比を特定する特定手段をさらに有し、
前記変更手段は、前記干渉量が第1の所定値以上であり、かつ、前記比が第2の所定値以上である場合、前記第2のリモートラジオヘッドの接続先を変更する、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記変更手段が、前記第2のリモートラジオヘッドの接続先を変更する際に、前記第2のベースバンドユニットに、前記第2のリモートラジオヘッドの接続先を変更する要求を送信し、前記第2のベースバンドユニットは、当該要求を受信したことに応じて、前記第2のリモートラジオヘッドに接続されている端末に対して、他のリモートラジオヘッドに接続するように指示する信号を送信する、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記制御装置は、前記第1のベースバンドユニットと前記第2のベースバンドユニットとの少なくともいずれかに含まれる、
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項11】
第1のベースバンドユニットに接続された第1のリモートラジオヘッドと、前記第1のリモートラジオヘッドが供するエリアと隣接するエリアを供する第2のベースバンドユニットに接続された第2のリモートラジオヘッドとが互いに接続されうる、無線通信システムにおける制御装置の制御方法であって、
評価手段が、前記第1のリモートラジオヘッドに接続される端末における、前記第2のリモートラジオヘッドからの干渉量を評価する評価工程と、
変更手段が、前記評価の結果に基づいて、前記第2のリモートラジオヘッドと前記第1のリモートラジオヘッドとの接続を確立させて、前記第2のリモートラジオヘッドの制御を前記第1のベースバンドユニットによって行うように、前記第2のリモートラジオヘッドの接続先を変更する変更工程と、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項12】
第1のベースバンドユニットに接続された第1のリモートラジオヘッドと、前記第1のリモートラジオヘッドが供するエリアと隣接するエリアを供する第2のベースバンドユニットに接続された第2のリモートラジオヘッドとが互いに接続されうる、無線通信システムにおける制御装置に備えられたコンピュータに、
前記第1のリモートラジオヘッドに接続される端末における、前記第2のリモートラジオヘッドからの干渉量を評価する評価工程と、
前記評価の結果に基づいて、前記第2のリモートラジオヘッドと前記第1のリモートラジオヘッドとの接続を確立させて、前記第2のリモートラジオヘッドの制御を前記第1のベースバンドユニットによって行うように、前記第2のリモートラジオヘッドの接続先を変更する変更工程と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信におけるネットワーク構成技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンやタブレット端末の普及により、モバイルデータのトラヒックが大幅に増加している。これに伴い、そのようなトラヒックを収容するために、高速かつ大容量の通信を提供可能な無線通信システムとしてLTE(Long Term Evolution)の無線通信システムが展開されている。そして、そのような無線通信システムにおいては、多数の端末から発生する大量のトラヒックを収容するために、多くの無線基地局が面的に展開されている。
【0003】
ここで、多くの無線基地局を面的に密に配置すると、送信された信号が互いに干渉する可能性が高くなる。このため、これらの無線基地局間の干渉を低減するための仕組みが必要となる。これに対して、ベースバンド処理等を実行する機能部(ベースバンドユニット、BBU)と、無線周波数の処理等を実行する機能部(リモートラジオヘッド、RRH)とを分離し、1つのBBUが複数のRRHにおける無線通信を制御することが考えられている。すなわち、1つのBBUに複数のRRHが接続され、RRH間での干渉が生じないように、1つのBBUが各RRHにおける無線リソース等の制御を行う。
【0004】
一方、すべてのRRHを1つのBBUに接続すると、BBUの処理負荷が過大となり、また、RRHが広大なエリアに地理的に分散して配置されることを考慮すれば、RRHとBBUとの間の回線の遅延が問題となりうる。このため、すべてのRRHを1つのBBUに接続するのではなく、BBUを複数用意し、1つ以上のRRHをそれぞれが含むRRHのグループ(クラスタ)ごとに、1つのBBUに接続されることが想定される。しかしながら、このような構成では、接続先のBBUが異なるRRH間の干渉制御を行うことは困難となるという課題があった。これに対して、特許文献1では、クラスタの境界において、指向性ビームの向きを制御することにより、その境界付近における干渉を抑制することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−034053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、干渉を回避するために、多彩なビームパターンを形成することができることが要求され、アンテナの構成が複雑となりうるという課題があった。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、特殊なアンテナ構成を用いることなく、異なるベースバンドユニットが管理するエリアの境界における干渉を低く抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明による制御装置は、第1のベースバンドユニットに接続された第1のリモートラジオヘッドと、前記第1のリモートラジオヘッドが供するエリアと隣接するエリアを供する第2のベースバンドユニットに接続された第2のリモートラジオヘッドとが互いに接続されうる、無線通信システムにおける制御装置であって、前記第1のリモートラジオヘッドに接続される端末における、前記第2のリモートラジオヘッドからの干渉量を評価する評価手段と、前記評価の結果に基づいて、前記第2のリモートラジオヘッドと前記第1のリモートラジオヘッドとの接続を確立させて、前記第2のリモートラジオヘッドの制御を前記第1のベースバンドユニットによって行うように、前記第2のリモートラジオヘッドの接続先を変更する変更手段と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、特殊なアンテナ構成を用いることなく、異なるベースバンドユニットが管理するエリアの境界における干渉を低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】制御装置のハードウェア構成例を示すブロック図。
【
図4】制御装置の処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
(無線通信システムの構成)
図1に、本実施形態に係る、無線通信におけるベースバンド処理等を実行するベースバンドユニット(BBU)と、無線周波数(RF)の処理等を実行するリモートラジオヘッド(RRH)とを含む無線通信システムの構成例を示す。
図1に示すように、無線通信システムは、複数のBBUを含み、各BBUは1つ以上のRRHと接続される。各RRHにおける無線リソース等の制御は、接続先のBBUが行う。このため、同一のBBUに接続されるRRH間では干渉を生じないようにすることができる。一方、異なるBBUに接続される、隣接するエリアを供するRRH間では干渉が生じうる。
【0013】
本実施形態では、このRRH間の干渉を低減するために、無線通信システムがRRHの接続先を制御する制御装置を含む。なお、制御装置は、
図1に示すように各BBUの内部に備えられてもよいし、複数のBBUに対応する1つの制御装置がネットワーク上に存在してもよい。また、本実施形態に係る無線通信システムでは、互いに隣接するエリアを供する、第1のBBUに接続された第1のRRHと第2のBBUに接続された第2のRRHとが、例えば無線接続によって接続を確立することができるように構成される。
【0014】
そして、制御装置は、例えば、第1のRRHのエリアに存在する端末における第2のRRHからの干渉量を評価し、評価の結果に基づいて、第2のRRHの接続先のBBUを第2のBBUから第1のBBUに変更する。これにより、第2のRRHが第1のBBUの制御下に置かれることとなるため、第1のRRHと第2のRRHとの間の干渉を第1のBBUの制御により抑制することが可能となる。また、例えば第1のBBUと第2のBBUとの間のX2回線による制御情報のやり取りを行うことで、BBUを跨る干渉制御が可能となると考えられる。しかしながら、この場合、X2回線の遅延が問題となりうる。これに対して、本実施形態では、上述のように、第1のRRHと第2のRRHとを接続して、第1のBBUが第2のRRHを直接制御することで、X2回線の遅延の影響を受けずに、高速かつ柔軟に干渉制御を行うことが可能となる。
【0015】
なお、第1のRRHと第2のRRHとの接続は、光ファイバまたは同軸ケーブルなどによる有線接続であってもよく、無線接続の場合は、例えば、マイクロ波接続、ミリ波接続、または光無線接続などの少なくともいずれかを用いることができる。また、無線接続の場合、例えば降雨による減衰がないが低速のマイクロ波接続と、降雨による減衰があるが高速のミリ波接続との両方に対する通信機能を用意しておき、降雨の有無に応じて、これらのうちのいずれかを用いて通信を行うようにしてもよい。同様に、例えば、降雨減衰はないが霧の影響を受けやすい光無線接続の通信機能と、霧の影響は受けにくいが降雨の影響を受けやすいミリ波接続の通信機能とを用意し、天候の状況に応じて、これらのうちのいずれかが選択的に用いられてもよい。なお、有線接続を用いる場合、安定的に高速通信を行うことができる。一方、無線接続を用いる場合、RRHの新設などの際に、柔軟にネットワーク構成を変更することができ、さらに、安価にRRH間の接続を確保することができる。
【0016】
また、第1のRRHは、第1のBBUと接続される別のRRHを介して第1のBBUと接続されてもよく、同様に、第2のBBUは、第2のBBUと接続される別のRRHを介して第2のBBUと接続されてもよい。この場合、第1のRRH又は第2のRRHと別のRRHとの間の接続は、有線接続であってもよいし、無線接続であってもよい。ここでの有線接続と無線接続との通信機能については、第1のRRHと第2のRRHとの接続に関するものと同様のものを用いることができる。このような第1のRRHまたは第2のRRHの例として、RRHの機能のみを有する(BBUの機能を有しない)移動基地局が挙げられる。すなわち、このような移動基地局は、近隣のRRHとの間で無線接続を確立し、そのRRHを介していずれかのBBUと接続される。そして、本実施形態では、例えば干渉の状態に応じて、近隣のRRHのうち、いずれに接続するかを適応的に定めることにより、既存のRRHが送信した信号に対する干渉を十分に抑えながら、一時的に移動先のエリアにおける通信容量を向上させることができる。
【0017】
(制御装置の構成及び処理の流れ)
図2に、本実施形態に係る制御装置の構成例を示す。
図2に示すように、制御装置は、例えば、情報取得部201、干渉評価部202、接続先変更判定部203及び出力部204を有する。
【0018】
なお、制御装置は、例えば
図3に示すようなハードウェア構成で実現されうる。制御装置は、一例において、
図3に示すようなハードウェア構成を有し、例えば、CPU301、ROM302、RAM303、外部記憶装置304、及び入出力装置305を有する。制御装置では、例えばROM302、RAM303及び外部記憶装置304のいずれかに記録された、制御装置の各機能を実現するプログラムがCPU301により実行される。そして、制御装置は、例えばCPU301により入出力装置305を制御して、各RRHに関する情報の取得と、BBUまたはRRHに対する指示又は要求の出力等を行う。なお、制御装置は、各機能を実行する専用のハードウェアを備えてもよいし、一部をハードウェアで実行し、プログラムを動作させるコンピュータでその他の部分を実行してもよい。また、全機能をコンピュータとプログラムにより実行させてもよい。
【0019】
情報取得部201は、例えば、各RRHに接続する端末における干渉量に関する通信品質(例えば、信号対干渉電力比、搬送波対干渉電力比、干渉信号電力など)を取得する。なお、これらの情報は、各端末から、各RRHに対して測定報告結果として送信され、各RRHが接続先のBBUに転送することによって、制御装置において取得される。例えば、
図1の例では、第1のRRHに接続している端末は、第2のRRHから受ける干渉に関する情報を第1のRRHに報告し、第1のRRHが受信した報告は第1のBBUに転送され、その第1のBBUの内部に存在する制御装置へ受け渡される。なお、この報告は、一例において各端末から定期的に取得され、又は、各端末における通信品質が所定の条件を満たした場合(例えば、通信品質が所定のレベル以下に低下した場合など)に取得される。
【0020】
干渉評価部202は、例えば、取得した干渉量が、所定値以上であるかの評価を行う。評価結果は、接続先変更判定部203へ入力される。
【0021】
接続先変更判定部203は、干渉量の評価結果に基づいて、干渉源であるRRHの接続先を変更するかを判定する。すなわち、
図1の例における第1のBBUに含まれる制御装置の接続先変更判定部203は、第1のRRHに接続している端末が受けた第2のRRHからの干渉量に応じて、第2のRRHの接続先を、第2のBBUから第1のBBUに変更するかを判定する。なお、同様にして、第2のBBUに含まれる制御装置の接続先変更判定部203は、第2のRRHに接続している端末が受けた第1のRRHからの干渉量に応じて、第1のRRHの接続先を、第1のBBUから第2のBBUに変更するかを判定しうる。
【0022】
ここで、干渉評価部202及び接続先変更判定部203の判定処理の流れの一例について、
図4を参照して説明する。なお、ここでは、第1のBBUの内部に存在している制御装置について、すなわち、第2のRRHの接続先の変更を判定する制御装置について説明する。
【0023】
まず、干渉評価部202は、干渉量の情報を取得し(S401)、この干渉量が第1の所定値以上であるかを判定する(S402)。なお、ここでの「干渉量」とは、干渉を示す任意の指標のことを指すが、値が大きいほど、干渉の電力が大きいことを前提とする。すなわち、干渉量が所定値以上である、ということは、例えば信号対干渉電力比が所定値以下である、ということと等価である。干渉評価部202は、S402で干渉量が第1の所定値以上でないと判定すると、次に干渉量の情報が受信されるのを待ち受ける(S402でNO)。一方、干渉量が第1の所定値以上である場合(S402でYES)は、その結果を接続先変更判定部203に受け渡す。
【0024】
接続先変更判定部203は、干渉量が第1の所定値以上であったとの判定に基づいて、第1のRRHに接続している端末数の、第2のRRHに接続している端末数に対する比を算出する(S403)。そして、接続先変更判定部203は、特定した比が、第2の所定値以上であるかを判定する(S404)。ここで、第1のRRHまたは第2のRRHに接続している端末とは、実際に通信を行っている端末のみならず、実際に通信を行っていないが、接続が確立している状態の端末をも含む。そして、接続先変更判定部203は、比が第2の所定値以上である場合(S404でYES)、第2のRRHの接続先を、第1のBBUに切り替えることを決定する(S405)。一方、接続先変更判定部203は、比が第2の所定値以上でない場合は、第2のRRHの接続先を変更することなく、干渉評価部202が次の干渉量の情報が受信されるのを待ち受ける処理に戻る(S404でNO)。
【0025】
例えば、第1のRRHに接続している端末数が第2のRRHに接続している端末数より一定以上多い場合は、システム全体として、第2のRRHから受ける干渉の影響が、一定以上の大きさとなると考えられる。このため、第2のRRHを第1のBBUに接続して、第1のRRHと第2のRRHとの間の干渉制御を行うことにより、この影響を抑え、システム全体としての周波数利用効率を高めることが可能となる。また、単に第1のRRHに接続している端末数が第2のRRHに接続している端末数より多い場合に第2のRRHの接続先を変更するのではなく、一定以上多い場合に変更することで、第2のRRHの接続先のBBUが頻繁に変更されることを防ぐことができる。
【0026】
また、接続先変更判定部203は、干渉評価部202から、干渉量が第1の所定値以上であったという評価結果を受け取った場合、上述のような比の判定をせずに、第2のRRHの接続先を第1のBBUに変更することを決定してもよい。例えば、接続先変更判定部203は、ある端末において干渉量が著しく多い場合に、第2のRRHの接続先の変更を決定する。
【0027】
このようにして、第2のRRHの接続先の変更が決定された場合、出力部204は、第2のBBUに対して、第2のRRHの接続先のBBUの変更を要求する信号を送信する。出力部204は、この要求信号を、X2回線を介して、または、第1のRRHから第2のRRHを介して、第2のBBUへ送信してもよい。なお、後者の場合、第2のBBUへ、要求信号が届くまでの遅延を低減することが可能となる。
【0028】
第2のBBUは、要求信号を受信すると、第2のRRHに接続している端末に対して、他のRRHへ接続を切り替えるように指示するハンドオーバ要求を送信する。第2のRRHに接続されている端末は、このハンドオーバ要求を受信すると、他のRRHにハンドオーバする。また、第2のBBUは、要求信号を受信した後は、第2のRRHへの端末の接続要求を拒否する。これにより、第2のRRHに接続する端末が存在しなくなる。
【0029】
その後、第2のRRHの接続先の変更が完了すると、第2のRRHは第1のBBUの制御下に置かれる。この状態となって以降は、第1のRRHと第2のRRHとの間の干渉制御が、第1のBBUによって行われることとなる。また、第2のRRHに対する端末の接続要求は、第1のBBUによって受け付けられるようになり、端末は、第2のRRHに接続することができるようになる。
【0030】
なお、RRH間の接続が無線接続である場合、例えばRRHの接続先のBBUの変更などの制御信号は、低周波数帯の回線で送信され、データを高周波数帯の回線または光無線回線で送信されてもよい。このようにすることで、制御信号を安定した回線で送信することが可能となり、一方で、データを大容量回線で送信することが可能となる。
【0031】
このように、制御装置が、互いに異なるBBUに接続される、隣接するエリアを供する複数のRRHについて、端末における干渉量の評価に基づいて、接続先のBBUを切り替えることを決定する。これにより、このようなRRH間の干渉を抑えることが可能となり、端末における通信品質を改善し、システム全体としての周波数利用効率を向上させることが可能となる。