(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0025】
<1.実施の形態>
<1−1.システムの概要>
図1は、本実施の形態の運転支援システム1の概要を示す図である。運転支援システム1は、車載システム2とセンター4とを含んで構成されている。運転支援システム1は、主として高速道路の走行時に使用されるシステムであり、車両の走行速度に応じてコンテンツの再生方法を変化させるシステムである。本実施の形態において使用可能なコンテンツとしては、例えば楽曲や動画などが挙げられるが、以下においては、コンテンツとして音楽等の楽曲を用いた場合を例に説明する。
【0026】
運転支援システム1は、例えば、車両が走行する際に目標とする速度範囲(以下「目標速度範囲」という。)が予め設定されており、車両が当該速度範囲内の速度で走行している場合と、範囲外の速度で走行している場合とで音楽等の楽曲の再生方法を変化させる処理を行う。この再生方法を変化させる処理とは、例えば、再生速度を変化させる処理などを含む。そして、運転支援システム1は、車両が速度範囲内を走行した度合いを示す結果を導出し、その結果が一定の基準をクリアしていた場合には、センター4がドライバ(ユーザ)に対して特典としての楽曲データを提供するといった処理も行う。
【0027】
これにより、一定の速度範囲内の速度で走行しようとするため、速度超過を防止できると共に、速度維持のために運転に集中するため、眠気の防止にもつながる。また、このような運転支援を特定の地点で行った場合には、速度低下も回避できるため渋滞抑制にもつながる。なお、以下においては、運転支援システム1が提供する一連の処理を「サービス」と記載する場合がある。
【0028】
車載システム2は、車両5に搭載され、車両5を運転中のドライバに対して音楽等の楽曲を出力する。より具体的には、車載システム2は、車両5の速度に応じて楽曲の再生方法を変化させる。したがって、車載システム2は、車載ネットワーク58を介して、車両5に設けられる他の電子装置50と信号の送受信が可能になっている。例えば、車載システム2は、速度センサなどから車両5の速度の情報を受信する。また、車載システム2は、インターネットなどの広域のネットワーク9を介して、センター4とも情報の送受信が可能になっている。そして、例えば、車載システム2は、センター4からドライバの嗜好に合った楽曲データを受信する。
【0029】
センター4は、上述のように、ネットワーク9を介して車載システム2と情報の送受信が可能である。また、センター4は、複数の楽曲データを有していると共に、各車載システム2のドライバに対応付けられた嗜好等の情報も蓄積している。そして、車載システム2で出力する楽曲データの送信要求があった際には、そのドライバの嗜好に合った楽曲データを抽出して送信するようになっている。以下、車載システム2及びセンター4の構成及び処理について詳細に説明する。
【0030】
<1−2.車載システムの構成>
まず、車載システム2の構成について説明する。
図2は、車載システム2の構成とともに、車載システム2に関連する構成を併せて示す図である。車載システム2は、ディスプレイ21と、スピーカ22と、運転支援装置3とを主に備えている。
【0031】
ディスプレイ21は、カラー表示が可能なドットマトリクス方式の液晶パネルを備えた表示装置であり、図形を含む各種の画像をカラーで表示可能である。ディスプレイ21は、ドライバが容易に視認できる車両5のメータパネル内に配置される。これにより、ディスプレイ21は、車両5を運転中のドライバに情報を提供する。また、ディスプレイ21は、タッチパネル機能を備えており、ドライバがタッチパネル部分を指で接触することで表示ボタン等の操作が可能になっている。なお、ディスプレイ21としては、液晶パネルを備えた表示装置に限定されるものではなく、例えば、有機ELパネルを備えた表示装置等でもよい。
【0032】
スピーカ22は、車両5の車室内の適切な位置に設けられ、各種の楽曲や音声を車両5の車室内に出力する。これにより、車両5を運転中のドライバに対して楽曲を出力したり、情報を提供したりする。
【0033】
マイク23は、車両5の車室内の適切な位置に設けられ、車両5のドライバが発した音声を集音する。主として、車載システム2がドライバに対して行った音声による質問に対する、ドライバの音声による回答を集音するのに用いられる。
【0034】
運転支援装置3は、車両5内の他の電子装置50やセンター4との間で情報の送受信をし、取得した情報に基づいて所定の支援を行う。また、運転支援装置3は、ディスプレイ21及びスピーカ22の動作を制御し、ディスプレイ21に画像を表示させ、スピーカ22に楽曲や音声を出力させる。このような運転支援装置3は、外部通信部31と、情報入出力部32と、楽曲再生部33と、記憶部34と、車内通信部35と、制御部30とを備えている。
【0035】
外部通信部31は、LTEやWiMAXなどの無線通信規格を利用した通信機能を備えており、ネットワーク9を介して通信を行う。運転支援装置3は、外部通信部31により、センター4との間で情報の送受信を行うことが可能となる。運転支援装置3は、例えば、本サービスを開始する旨の情報を外部通信部31を介してセンター4に送信し、センター4から外部通信部31を介して楽曲データを受信する。
【0036】
情報入出力部32は、画像信号をディスプレイ21に送信し、ドライバに提供すべき情報に係る画像をディスプレイ21に表示させる。また、情報入出力部32は、音声信号をスピーカ22に送信し、ドライバに提供すべき楽曲や情報に係る音声をスピーカ22に出力させる。さらに、情報入出力部32は、ドライバがディスプレイ21をタッチパネルとして操作した場合には、その操作信号をディスプレイ21から入力する。また、情報入出力部32は、マイク23を介してドライバが発話した音声データを入力する。
【0037】
楽曲再生部33は、楽曲の再生処理を行う。すなわち、楽曲再生部33は、符号化された楽曲データを復号してスピーカ22から出力するデータに変換した後にスピーカ22に出力する。
【0038】
車内通信部35は、CANなどの車載ネットワーク58に接続され、車両5に設けられる他の電子装置50と通信を行う。車載ネットワーク58には、他の電子装置50として、周辺監視装置51、ドライバ監視装置52及び車両監視装置53が接続される。車内通信部35は、車載ネットワーク58を介して、これらの電子装置50から情報を含む信号を受信するとともに、これらの電子装置50に信号を送信する。
【0039】
周辺監視装置51は、車両5の周辺を監視して、車両5の周辺の物体(他車両等)に関する情報を取得する装置である。周辺監視装置51は、車両5の前方及び後方の他車両の位置を検出するミリ波レーダやレーザレーダなどのレーダ装置、車両5の周辺の画像を取得する車載カメラ、及び、車両5の近傍に存在する物体を検出するクリアランスソナーなどを含む。
【0040】
ドライバ監視装置52は、車両5のドライバを監視して、ドライバの状態に関する情報を取得する装置である。ドライバ監視装置52は、ドライバの画像を取得する車内カメラ、及び、ドライバの生体情報を検出する生体センサなどを含む。車内カメラは、ドライバの前方に配置され、ドライバの目の位置などが解析可能な画像を取得する。生体センサは、例えば、ドライバと直接的に接触するステアリングホイールなどの部位に配置される。生体センサは、心拍数、発汗量、心電図、血圧、脳波、及び、体温などの各種の生体情報を取得できることが望ましい。
【0041】
車両監視装置53は、車両5自体を監視して、車両5自体に関する情報を取得する装置である。車両監視装置53は、車両5の位置を取得する位置センサ、車両5の速度を取得する車速センサ、車両5にかかる加速度を検出する加速度センサ、車両5のヨーレートを検出するヨーレートセンサ、車両5の操作部材(アクセル、ブレーキ、ステアリングホイール及びウインカなど)の操作内容及び操作量を検出する操作センサ、並びに、車両5の運転時間を計測する計時装置などを含む。
【0042】
また、運転支援装置3の記憶部34は、運転支援装置3の動作に必要な各種の情報を記憶する。記憶部34は、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性の記憶装置である。記憶部34は、制御用のプログラム34aを記憶している。このプログラム34aは、メモリカードなどの記憶媒体からの読み出しにより取得され、記憶部34に予め記憶される。なお、プログラム34aは、ネットワーク9に接続された通信装置からダウンロードするなど、他の手法で取得されてもよい。また、記憶部34は、地図情報34bを記憶している。地図情報34bは、全国又は一定の広域の道路情報や施設情報が含まれた情報である。
【0043】
制御部30は、例えば、CPU、RAM、及び、ROMなどを備えるマイクロコンピュータであり、運転支援装置3の全体を制御する。制御部30のCPUが記憶部34に記憶されたプログラム34aを実行する(プログラム34aに従った演算処理を行う)ことにより、制御部30として必要な各種の機能が実現される。
【0044】
図2に示す、情報取得部30a、開始制御部30b、再生制御部30c及び結果導出部30dは、プログラム34aの実行により実現される制御部30の機能のうちの一部である。
【0045】
情報取得部30aは、車内通信部35を介して、車載ネットワーク58に接続された他の電子装置50から各種の情報を取得する。情報取得部30aは、車両5の周辺の物体に関する情報を周辺監視装置51から取得し、ドライバの状態に関する情報をドライバ監視装置52から取得し、車両5自体に関する情報を車両監視装置53から取得する。
【0046】
車両5の周辺の物体に関する情報は、車両5の周辺に存在する他車両に関する情報であり、例えば、他車両の位置や先行車との車間距離などの情報を含む。ドライバに関する情報は、例えば、上述した各種の生体情報の他に、ドライバの眠気の程度を示す情報なども含む。車両5自体に関する情報は、車両5自身の走行に関する情報であり、例えば、位置情報、速度、加速度、蛇角、アクセル情報、ブレーキ情報などを含む。
【0047】
また、情報取得部30aは、さらに、外部通信部31を介して、センター4から各種の情報を取得する。例えば、情報取得部30aは、センター4から楽曲データを取得する。
【0048】
開始制御部30bは、本サービスを実行していない際には、サービスを実行する条件が成立したか否かを判定し、成立した際にサービスを開始する処理を実行する。また、サービス継続中においても、サービスを実行する条件が成立し続けているか否かを判定し、成立しなくなった際にはサービスを終了する処理を実行する。サービスを実行する条件とは、例えば、所定の地点に到達した場合や、運転時間が所定時間以上継続した場合や、ドライバの指示があった場合などである。
【0049】
再生制御部30cは、本サービスが開始された後に、楽曲再生部33を制御して楽曲の再生を行う。また、再生制御部30cは、車両5の車速に応じて楽曲の再生方法を変化させる処理を実行する。例えば、再生制御部30cは、車両監視装置53から車両5の速度情報を取得して、速度が目標速度範囲に含まれているか否かを判定し、含まれていない場合に楽曲の再生速度を変化させる制御を行う。つまり、再生速度を速くしたり、遅くしたりする。ただし、再生方法の変化はこれに限定されるものではなく、例えば、音量の変化や音質の変化等、他の方法で変化させてもよい。
【0050】
結果導出部30dは、楽曲の再生が終了すると、その間における車両5の走行を評価した結果を導出する。具体的に説明すると、本サービスは、車両5の速度が目標速度範囲に含まれるようにドライバの運転を支援するサービスである。このため、結果導出部30dは、車両5の速度が目標速度範囲にどの程度含まれているかを評価結果として導出する。例えば、走行速度が目標速度範囲を逸脱している時間が多いほど評価結果は悪くなり、また、逸脱している程度が大きいほど評価結果が悪くなる等である。結果導出部30dは、楽曲を再生している間の車両5の速度と基準範囲との比較を行い、再生が終了するとそれらを総合して結果を導出する。
【0051】
<1−3.センターの構成>
次に、センター4の構成について説明する。
図3は、センター4の構成とともに、センター4に関連する構成を併せて示す図である。センター4は、外部通信部41と、データベース42と、記憶部43と、制御部40とを主に備えている。
【0052】
外部通信部41は、優先又は無線による通信機能を備えており、ネットワーク9を介して通信を行う。すなわち、センター4は、外部通信部41により、運転支援装置3との間で情報の送受信を行うことが可能となる。例えば、センター4は、外部通信部41を介してサービスを開始する旨の情報を受信し、楽曲データなどを送信する。
【0053】
データベース42は、外部のサーバなどから取得した複数の楽曲データを蓄積したデータベースである。また、データベース42には、車両5のドライバに関する情報(ドライバ情報)も蓄積されている。ドライバ情報は、ドライバを識別するための情報であり、例えば、ID番号、性別、年齢、運転歴などを含む情報である。また、ドライバ情報には、各ドライバに対応付けられた、音楽の嗜好情報も含まれている。
【0054】
記憶部43は、センター4の動作に必要な各種の情報を記憶する。記憶部43は、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性の記憶装置であり、制御用のプログラム43aを記憶している。
【0055】
制御部40は、例えば、CPU、RAM、及び、ROMなどを備えるマイクロコンピュータであり、センター4の全体を制御する。制御部40のCPUが記憶部43に記憶されたプログラム43aを実行する(プログラム43aに従った演算処理を行う)ことにより、制御部40として必要な各種の機能が実現される。
【0056】
図3に示す、情報取得部40a、楽曲抽出部40b及び楽曲提供部40cは、プログラム43aの実行により実現される制御部40の機能のうちの一部である。
【0057】
情報取得部40aは、外部通信部41を介して、運転支援装置3から各種の情報を取得する。例えば、情報取得部40aは、運転支援装置3からサービス開始の情報や、サービスの評価結果の情報などを取得する。また、情報取得部40aは、データベース42からサービスに使用する楽曲データを取得する。取得した楽曲データは、外部通信部41を介して運転支援装置3に送信される。
【0058】
楽曲抽出部40bは、本サービスを実行するにあたって、使用する楽曲データを抽出する。運転支援装置3からサービス開始情報を取得すると、楽曲抽出部40bは、対応する車載システム2のドライバ情報からドライバを識別し、そのドライバの音楽の嗜好情報に基づいてサービスの使用に適切と考えられる1又は複数の楽曲データを抽出する。抽出した楽曲データは、運転支援装置3に送信される。
【0059】
楽曲提供部40cは、運転支援装置3に楽曲データを提供する。例えば、サービス開始時には、楽曲抽出部40bが抽出した楽曲データを、サービスに使用する楽曲データとして運転支援装置3に提供する。また、サービス終了時には、評価結果が一定の条件を満たすと、サービスに使用していた楽曲データを、特典として運転支援装置3に提供する。本実施の形態における特典は、保存可能な状態で提供される楽曲データを前提としているが、保存が認められていない楽曲データの場合には、ストリーミング等により再生可能な権利が提供される。
【0060】
<1−4.システムの処理>
次に、運転支援システム1の処理について説明する。
図4は、運転支援システム1の処理を示すフローチャートである。
【0061】
運転支援システム1による処理は、運転支援装置3やセンター4が起動した状態で開始し、まず、運転支援装置3が、運転支援(サービス)の開始判定処理を実行する(ステップS10)。ここで、開始判定処理の詳細について
図5を用いて説明する。
図5は、開始判定処理を示すフローチャートである。
【0062】
図5に示すように、運転支援装置3は、サービスの開始条件が成立しているか否かを判定する(ステップS20)。本実施の形態では、予めサービスを開始するための条件が設定されており、運転支援装置3は、その開始条件が成立しているか否かを判定するようになっている。
【0063】
本実施の形態では、開始条件として3種類の条件を用いている。第1の条件は、ドライバからの指示があったことである。第2の条件は、ドライバの運転時間が所定の時間継続していることである。第3の条件は、車両5が所定の地点に到達したことである。本実施の形態では、これらいずれかの条件が成立すると、開始条件が成立したこととしている。ただし、これらの全ての条件が成立したときに、開始条件が成立したことにしてもよい。また、これら第1〜第3の条件は、いずれか1つだけ用いてもよく、いずれか2つを用いてもよい。
【0064】
第1の条件は、ドライバがサービスを開始する旨の指示を入力したことを条件としている。すなわち、ドライバが音声又は操作によってサービス開始の指示を入力すると、運転支援装置3は開始条件が成立したと判定する。音声により開始指示を入力する場合には、運転支援装置3は、ドライバの音声をマイク23で取得して、その内容を認識することで開始条件の成立を判定することができる。
【0065】
また、操作により開始指示を入力する場合には、運転支援装置3は、ディスプレイ21に開始ボタン等を表示させておいて、そのボタンが押されたことを検出することで開始条件の成立を判定することができる。つまり、この第1の条件は、ドライバの意思によって成立するものであり、サービスを使用したいというドライバの希望を実現する条件である。
【0066】
次に、第2の条件における所定の時間とは、ドライバの眠気が発生する可能性がある時間である。このような時間としては、例えば2時間である。つまり、第2の条件は、ドライバの運転時間が継続して2時間を超えていることを条件としている。2時間以上運転し続けた場合などのように、長時間運転していると疲労がたまり眠くなることがあるため、そのような時間を所定の時間として予め設定している。なお、この所定時間は、2時間に限定されるものではなく適宜設定可能である。
【0067】
運転支援装置3は、車両監視装置53の計時装置から車両5の運転時間を取得する。そして、運転支援装置3は、所定時間と取得した運転時間とを比較して、継続した運転時間が所定時間を超えている場合には、サービス開始条件が成立したと判定する。つまり、ドライバの眠気が発生する可能性がある程度に、継続して運転している場合に開始条件が成立する。
【0068】
次に、第3の条件における所定の地点とは、車両5の速度が超過し易い地点や、ドライバの眠気が発生し易い地点、車両5の速度が低下し易い地点などである。速度が超過し易い地点は、例えば下り坂である。勾配の緩やかな下り坂の場合には、下り坂であることにドライバが気づかずに自然と速度が上昇してしまうことがある。また、ドライバの眠気が発生し易い地点としては、例えば、長い直線が続く道路などがある。特に高速道路における長い直線では運転が単調になるため眠くなりやすくなる。
【0069】
また、速度が低下し易い地点は、例えば、トンネルの入り口やサグ部などである。トンネルの入り口は、ドライバが無意識のうちにブレーキを踏んでしまうため速度が低下し易い地点である。また、サグ部は、ドライバが上り勾配に変わったことに気付かずアクセルを踏み込まないため速度を維持できずに低下してしまうことがある地点である。
【0070】
これらの地点は、予め地図情報に記憶されており、運転支援装置3は、車両5の現在位置と地図情報とを比較して、車両5がこれらの地点に到達したか否かを判定する。そして、運転支援装置3は、車両5がこれらの地点に到達したと判定した場合には、サービスの開始条件が成立したと判定する。
【0071】
なお、これらの地点は、予め地図情報に記憶されているものに限定されず、例えば、センターから配信された位置情報を設定することが可能であるように道路環境に応じて可変できる。
【0072】
運転支援装置3は、上述した第1〜第3の条件のうち、いずれの条件も成立していないと判定した場合には(ステップS20でNo)、運転支援(サービス提供)に係る処理を終了する。一方、運転支援装置3は、第1〜第3の条件のうち、いずれかの条件が成立したと判定した場合には(ステップS20でYes)、次に車速が適正な値であるか否かを判定する(ステップS21)。
【0073】
本実施の形態では、低速で走行している車両や高速で走行している車両はサービス提供の対象外としている。これは、本サービスは、速度を目標速度範囲内に維持するための支援であるものの、非常に低速で走行している車両はすでに渋滞の中を走行している可能性が高く、目標速度範囲内の速度での走行は困難だからである。また、非常に高速で走行している車両の場合は、速度を急激に目標速度範囲内にまで減速させると危険だからである。なお、適正な車速の範囲は、適宜設定可能であるが、例えば、50km/h以上120km/h以下とすることができる。
【0074】
運転支援装置3は、車速が適正でない場合(ステップS21でNo)、つまり、車速が50km/h未満である場合や120km/hを超えている場合には、サービス提供に係る処理を終了する。
【0075】
一方、車速が適正である場合には(ステップS21でYes)、運転支援装置3は、次に車間距離が適正であるか否かを判定する(ステップS22)。前方車両との車間距離が小さい場合にまで本サービスを提供すると危険性が高いため、本実施の形態では、車間距離が十分でない場合にはサービス提供の対象外としている。適正な車間距離は、適宜設定可能であるが、例えば、100m以上とすることができる。
【0076】
運転支援装置3は、車間距離が適正でない場合(ステップS22でNo)、つまり、100mより小さい(近い)場合には、サービス提供に係る処理を終了する。一方、車間距離が適正である場合(ステップS22でYes)、つまり、100m以上の場合には、運転支援装置3は、開始情報をセンター4に送信する(ステップS23)。具体的には、運転支援装置3は、サービスを開始する旨の情報をドライバの情報と共にセンター4に対して送信する。そして、センター4は、運転支援装置3から送信された開始情報を受信する(ステップS24)。
【0077】
なお、車間距離が適正か否かを判断するステップS22は、車両5に周辺監視装置51が設けられている場合に実行される処理であり、周辺監視装置51が設けられていない車両の場合には、この処理はスキップする。
【0078】
図4に戻り、次に、運転支援システム1は、楽曲選択処理を実行する(ステップS11)。ここで、楽曲選択処理について図を用いて説明する。
図6は、楽曲選択処理を示すフローチャートである。
【0079】
まず、センター4は、運転支援装置3から開始情報を受信すると楽曲抽出処理を実行する(ステップS30)。楽曲抽出処理とは、本サービスにおいて使用する楽曲の候補を抽出する処理である。
【0080】
具体的には、センター4は、運転支援装置3から受信したドライバ情報に基づいて、データベース42からドライバに対応付けられた嗜好を抽出する。そして、センター4は、ドライバの嗜好に合った1又は複数の楽曲情報をデータベース42から抽出する。そして、センター4は、抽出した楽曲情報(以下「抽出楽曲情報」という。)を運転支援装置3に送信する(ステップS31)。この抽出楽曲情報には、楽曲のタイトルやアーティスト名などの楽曲を特定する情報が含まれている。
【0081】
運転支援装置3は、抽出楽曲情報を受信すると(ステップS32)、楽曲選択処理を実行する(ステップS33)。これは、センター4から送信された抽出楽曲情報の中に候補の楽曲が複数存在する場合に、サービスに使用する楽曲を選択する処理である。したがって、抽出楽曲情報の中に楽曲情報が1曲しかない場合には本ステップは省略してもよい。
【0082】
この楽曲の選択は、音声又は表示にて行うことができる。音声で選択する場合には、運転支援装置3は、センター4から送信された抽出楽曲情報のタイトルやアーティスト名を音声データに変換してスピーカ22から出力する。そして、ドライバがその中から選択した楽曲のタイトルやアーティスト名を発話すると、運転支援装置3は、マイク23を介して音声データを取得して、音声認識処理を実行することでドライバが選択した楽曲を特定することができる。
【0083】
また、表示で選択する場合には、運転支援装置3は、センター4から送信された抽出楽曲情報に含まれる楽曲のタイトルやアーティスト名をディスプレイ21に表示する。そして、ドライバがその中から選択したタイトルやアーティスト名の表示部分を押すと、ディスプレイ21のタッチパネル機能によって選択した楽曲を特定することができる。
【0084】
ここで、抽出楽曲情報をディスプレイ21に表示して選択する画面例を説明する。
図7は、画面例を示す図である。
図7の画面例では、ディスプレイ21に楽曲の候補一覧が表示されている。
図7では、アーティスト名「あいうえお」のタイトル「AAA」等が楽曲例として表示されている。ドライバが例えばアーティスト名「なにぬねの」のタイトル「EEE」の表示部分をタッチして選択すると、この楽曲が選択された楽曲として特定される。
【0085】
図6に戻り、次に、運転支援装置3は、選択結果をセンター4に送信する(ステップS34)。つまり、運転支援装置3は、ドライバが選択した楽曲を特定する情報をセンター4に送信する。そして、センター4は、運転支援装置3から選択結果の情報を受信する(ステップS35)。
【0086】
次いで、センター4は、選択された楽曲のデータを送信する(ステップS36)。つまり、運転支援装置3から送信された選択結果に基づいて、データベース42から対応する楽曲データを読み出して運転支援装置3に送信する。そして、運転支援装置3は、選択された楽曲データを受信する(ステップS37)。この場合の楽曲データとは、再生に用いられる音楽データである。
【0087】
図4に戻り、次に、運転支援システム1は、楽曲再生処理を実行する(ステップS12)。ここで、楽曲再生処理について図を用いて説明する。
図8は、楽曲再生処理を示すフローチャートである。
【0088】
運転支援装置3は、選択された楽曲データを受信して再生処理を開始すると、まず、目標速度範囲を設定する(ステップS40)。具体的には、運転支援装置3は、車両5が現在走行している道路の制限速度からマイナス5km/hの範囲を目標速度範囲とする。例えば、車両5が走行している道路の制限速度が80km/hである場合には、運転支援装置3は、75km/h〜80km/hを目標速度範囲として設定する。なお、制限速度は地図情報に記憶させたものを読み出して利用すればよい。
【0089】
そして、運転支援装置3は、楽曲の再生を開始する(ステップS41)。具体的には、運転支援装置3が、センター4から受信した楽曲データに対してデコード等の処理を行い、スピーカ22がそのデコード後の楽曲データを音声として出力する。
【0090】
次に、運転支援装置3は、車速が目標速度範囲内にあるか否かを判定する(ステップS42)。運転支援装置3は、車両監視装置53から取得した車速と目標速度範囲とを比較して判定する。車速が目標速度範囲内にある場合には(ステップS42でYes)、運転支援装置3は、そのまま楽曲再生を継続する(ステップS43)。一方、車速が目標速度範囲内にない場合には(ステップS42でNo)、運転支援装置3は、楽曲再生方法を変化させる(ステップS44)。
【0091】
具体的には、車両監視装置53から取得した車速が目標速度範囲内にあるときは、運転支援装置3は、楽曲の再生速度を変化させずに通常の再生速度で出力する。これに対して、車両監視装置53から取得した車速が目標速度範囲内にないときは、運転支援装置3は、楽曲の再生速度を変化させる。例えば、車速が目標速度範囲の上限値を超えている場合には、楽曲の再生速度を速くして再生し、車速が目標速度範囲の下限値を下回っている場合には、楽曲の再生速度を遅くして再生する。
【0092】
次に、運転支援装置3は、車速が適正であるか否かを判定する(ステップS45)。これは上述したステップS21の処理と同様の処理である。そして、運転支援装置3は、車速が適正な範囲にない場合には(ステップS45でNo)、サービスの提供を終了する。一方、運転支援装置3は、車速が適正な範囲にある場合には(ステップS45でYes)、車間距離が適正であるか否かを判定する(ステップS46)。これも上述したステップS22の処理と同様の処理である。そして、運転支援装置3は、車間距離が適正な範囲にない場合には(ステップS46でNo)、サービスの提供を終了する。
【0093】
なお、車間距離が適正か否かを判断するステップS46は、車両5に周辺監視装置51が設けられている場合に実行される処理であり、周辺監視装置51が設けられていない車両の場合には、この処理はスキップする。
【0094】
すなわち、本実施の形態では、サービスの提供を開始した後に、サービスを継続するのに適切でない速度や車間距離に変化した場合には、サービスの提供を中止するようになっている。このため、サービス開始後も定期的に車速や車間距離を確認してサービス提供を継続するか否かを判断している。
【0095】
そして、運転支援装置3は、車間距離が適正な範囲にある場合には(ステップS46でYes)、楽曲の再生が終了したか否かを判定する(ステップS47)。つまり、取得した楽曲データを再生し終わったか否かを判定する。楽曲の再生が終了していない場合には(ステップS47でNo)、再度、車速が目標速度範囲内にあるか否かの判定処理(ステップS42)から実行する。一方、楽曲の再生が終了した場合には(ステップS47でYes)、次の処理に進む。
【0096】
図4に戻り、次に、運転支援装置3は、結果出力処理を実行する(ステップS13)。ここで、結果出力処理について図を用いて説明する。
図9は、結果出力処理を示すフローチャートである。
【0097】
運転支援装置3は、楽曲の再生を終了すると、結果を導出する処理を実行する(ステップS50)。本サービスは、上述のように、目標速度範囲内の速度で走行することを目指し、一定の基準をクリアしていた場合にはドライバに対して特典を与えるものである。このため、その基準をクリアしていたか否かを判断するために、サービスの結果を導出することとしている。導出する結果とは、どの程度目標速度範囲内の速度で走行することができていたか、すなわち、車両の速度が目標速度範囲内に含まれる度合いを示すものである。
【0098】
運転支援装置3は、楽曲再生中に車両5の速度が目標速度範囲を逸脱していた程度を考慮して結果を導出する。例えば、車速が目標速度範囲を逸脱していた時間を考慮する。具体的には、運転支援装置3は、車速が目標速度範囲を逸脱していた時間を導出して、楽曲を再生していた時間に対する割合を導出する。仮に、楽曲の再生時間を10分とし、車速が目標速度範囲を逸脱していた時間を1分とした場合には、逸脱していた割合は10%となる。この場合、運転支援装置3は、満点に対する90%を結果として導出する。つまり、満点を100点とすると、導出される結果は90点となる。
【0099】
次に、運転支援装置3は、導出した結果をセンター4に送信する(ステップS51)。そして、センター4は、運転支援装置3から送信された結果を受信する(ステップS52)。さらに、運転支援装置3は、導出した結果を音声又は表示によって出力する(ステップS53)。例えば、運転支援装置3は、結果を示す画像をディスプレイ21に表示してもよいし、結果を示す音声をスピーカ22から出力してもよい。
【0100】
そして、センター4は、結果が基準をクリアしているか否かを判定する(ステップS54)。すなわち、センター4は、運転支援装置3から受信した結果を、予め定められた基準と比較して、基準をクリアしているか否かを判定する。例えば、センター4は、基準が「80点以上でクリア」と設定されていた場合に、結果が90点である場合には、クリアしていると判定する。なお、この基準は適宜設定可能である。
【0101】
センター4は、結果が基準をクリアしている場合には(ステップS54でYes)、特典として提供する楽曲のデータ(提供楽曲データ)を送信し(ステップS55)、運転支援装置3は、提供楽曲データを受信する(ステップS56)。提供する楽曲は、再生した楽曲でもよいし、ドライバが選択した他の楽曲でもよい。また、楽曲データ自身を提供することができない楽曲である場合には、その楽曲をストリーミング再生できる権利をドライバに提供してもよい。
【0102】
なお、基準をクリアしていない場合には(ステップS54でNo)、センター4は、運転支援装置3に対する提供楽曲データの送信等の処理は実行せずに終了する。この場合には、運転支援装置3も、提供楽曲データの受信等の処理は実行せずに終了することになる。
【0103】
以上のように、予め設定された目標速度範囲内の速度で走行するような運転支援(サービス)を行うことができるため、ドライバの気づかないうちに速度が超過してしまうことを回避できると共に眠気の発生も防止できる。さらに、速度が低下し易い地点などの特定の地点で本サービスを実行する場合には、ドライバの気づかないうちに速度が低下してしまうことを回避することができるため、渋滞を抑制することも可能になる。すなわち、本サービスは、単に居眠りを検知して報知するといったものではなく、娯楽的な要素が含まれているため、ドライバが楽しみながら眠気の発生や速度超過を防止できると共に、渋滞を抑制することも可能になる。
【0104】
<2.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では、このような変形例について説明する。上記実施の形態及び以下で説明する形態を含む全ての形態は、適宜に組み合わせ可能である。
【0105】
<2−1.開始処理>
上記実施の形態では、運転支援装置3は、開始条件が成立し、車速及び車間距離が適正である場合に開始情報をセンター4に送信する旨の構成について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、開始条件が成立し、車速及び車間距離が適正である場合に、ドライバに対して運転支援(サービス)を開始するか否かを確認する構成としてもよい。
【0106】
具体的には、運転支援装置3は、開始条件が成立し、車速及び車間距離が適正であると判定した場合に、音声又は表示にてサービスを開始するか否かを確認する。音声で確認する場合には、スピーカ22から「サービスを開始しますか?」や「チャレンジしますか?」等の音声を出力し、ドライバの発話による回答をマイク23で集音して確認する。表示で確認する場合には、ディスプレイ21に「サービスを開始しますか?」や「チャレンジしますか?」等のボタンと「はい」及び「いいえ」のボタンとを表示し、ドライバがいずれを選択したかで確認する。
【0107】
ドライバがサービスを開始する旨の意思を表明した場合には、上記実施の形態と同様に運転支援装置3が開始情報をセンター4に送信する。一方、ドライバがサービスを開始しない旨の意思を表明した場合には、運転支援装置3は、本サービスを実行することなく終了する。これにより、開始するための条件が全て成立するような状況にあったとしてもサービスの開始を希望しない場合にまで一律に開始してしまうことを回避できる。
【0108】
<2−2.目標速度範囲の設定1>
また、上記実施の形態では、目標速度範囲として、制限速度からマイナス5km/hの範囲を設定していたが、本発明は、これに限定されるものではない。制限速度からマイナス10km/hの範囲や、制限速度からマイナス5km/h〜マイナス10km/hの範囲等、適宜設定可能である。
【0109】
<2−3.目標速度範囲の設定2>
また、運転支援装置3が自動で設定する構成の他に、ドライバが手動で設定する構成としてもよい。この場合には、運転支援装置3は、例えば、目標速度範囲の設定時に、
図10に示すような画面をディスプレイ21に表示して、ドライバが選択した範囲を目標速度範囲として設定する。
図10に示す例では、60km/h〜80km/hを5km/h間隔に分けた範囲を目標速度範囲の候補として表示している。ドライバが70km/h〜75km/hを目標速度範囲として選択すると、運転支援装置3は、70km/h〜75km/hを目標速度範囲として設定する。
【0110】
<2−4.再生方法の変化1>
また、上記実施の形態では、車速が目標速度範囲の上限値を超えている場合に再生速度を速くし、下限値を下回っている場合に再生速度を遅くする構成について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、車速が目標速度範囲を超えている度合いに応じて再生速度を変化させる構成としてもよい。
【0111】
例えば、車速が目標速度の上限値を超えている場合には、超えているほど再生速度を速くし、下限値を下回っている場合には、下回っているほど再生速度を遅くする構成である。この場合には、車速の逸脱したレベルに応じて再生速度が変化するため、ドライバも逸脱したレベルを把握することが可能になる。
【0112】
<2−5.再生方法の変化2>
また、上記実施の形態では、車速が目標速度範囲にない場合に再生方法を変化させる内容として、再生速度を変化させる構成について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、楽曲の音程を変化させる構成としてもよいし、音量を変化させる構成としてもよい。
【0113】
音程を変化させる構成の場合も再生速度の場合と同様にすることができる。例えば、車速が目標速度範囲の上限値を超えているときは音程を上げ、下限値を下回っているときは音程を下げる構成である。また、目標速度範囲を逸脱している程度が大きいほど音程を上げたり下げたりしてもよい。
【0114】
また、音量を変化させる構成の場合も同様である。車速が目標速度範囲の上限値を超えているときは音量を上げ、下限値を下回っているときは音量を下げる構成である。さらに、目標速度範囲を逸脱している程度が大きいほど音量を上げたり下げたりしてもよい。
【0115】
<2−6.再生方法の変化3>
また、再生方法を変化させる他の構成として、出力する楽器パートを変化させる構成を用いることもできる。具体的に説明すると、例えば、再生する楽曲が、ボーカル、ギター、ベース及びドラムの各パートで構成されている場合に、車速が目標速度範囲内にあるときには全パートを出力し、目標速度範囲を超えているときは一部のパート(例えば、ボーカル)を出力しないといった構成である。したがって、この例の場合には、目標速度範囲を超える車速で走行しているときは、ボーカルなしの楽曲が再生される。
【0116】
さらに、目標速度範囲を超えた度合いに応じて出力パートを増減させる構成としてもよい。例えば、車速が目標速度範囲の上限値及び下限値を超えるにしたがって、ボーカル、ギター、ベースの順に出力を止め、最終的にドラムのパートのみを出力する構成である。この場合には、車速が目標速度範囲に近づくにしたがって、ベースやギターのパートの出力が追加され、車速が目標速度範囲内に入るとボーカルのパートも出力されることになる。
【0117】
<2−7.再生方法の変化4>
また、再生方法を変化させる他の構成として、楽曲内に複数のボーカルパートがある場合に、その出力する数を変化させる構成を用いることもできる。具体的に説明すると、例えば、再生する楽曲が、複数のボーカルパートで構成されている場合に、車速が目標速度範囲内にあるときは全ボーカルパートの演奏を出力し、目標速度範囲を超えているときは出力するボーカルパートの数を減らすという構成である。つまり、例えば、3人のボーカルで歌っている楽曲や、1人のボーカルが3つのパートを歌っている楽曲を再生しているときに、車速が目標速度範囲を超えてしまったら、出力するボーカルを2人にしたり、2つのボーカルパートのみを出力するといった構成である。
【0118】
さらに、目標速度範囲を超えた度合いに応じて出力するボーカルパートを増減させる構成としてもよい。例えば、車速が目標速度範囲の上限値及び下限値を超えるにしたがって、出力するボーカルを1人ずつ減らしたり、ボーカルパートを1つずつ減らしたりする構成である。この場合には、車速が目標速度範囲に近づくにしたがって、出力するボーカルの人数やボーカルパートの数が増加することになる。
【0119】
<2−8.再生楽曲>
なお、楽曲再生処理では、一曲全てを再生してもよいし、曲の一部だけを再生してもよい。これは、サービスを提供する時間に応じて適宜設定可能である。サービスを提供する時間が一曲全てを再生できるほど十分にある場合には、一曲全てを再生するようにしてもよいし、曲の一部しか再生できない程度の時間しかない場合には、一部だけを再生するようにすればよい。
【0120】
一曲全てを再生するように設定されている場合には、センター4から運転支援装置3に対して一曲分の楽曲データを送信する。これに対して、曲の一部しか再生しないように設定されている場合には、センター4から運転支援装置3に対して再生する時間分の楽曲データのみを送信すればよい。ただし、一曲分の楽曲データを送信して、運転支援装置3が設定された時間だけ再生する構成としてもよい。
【0121】
<2−9.再生楽曲選択1>
また、上記実施の形態では、センター4に保存されている楽曲の中から再生する楽曲を選択する構成について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、車両5に乗車しているドライバや同乗者が所有する携帯端末に保存されている楽曲から選択してもよい。
【0122】
具体的には、ドライバや同乗者が、スマートホンなどの携帯端末を車両5内に持ち込んでいる場合には、その携帯端末に保存されている楽曲を用いる構成とすることができる。この場合、運転支援装置3は、携帯端末と通信可能に構成されていて、楽曲選択処理の際には、携帯端末に保存されている楽曲一覧をディスプレイ21に表示するなどの処理を行う。そして、ドライバが楽曲を選択すると、携帯端末から楽曲データを取得して再生処理を実行する。
【0123】
<2−10.再生楽曲選択2>
また、センター4に保存されている楽曲と携帯端末に保存されている楽曲の双方の中から再生する楽曲を選択する構成としてもよい。この場合には、運転支援装置3は、センター4及び携帯端末と通信可能に構成されていて、楽曲選択処理の際には、センター4及び携帯端末に保存されている楽曲一覧をディスプレイ21に表示するなどの処理を行う。そして、ドライバが楽曲を選択すると、センター4又は携帯端末から楽曲データを取得して再生処理を実行する。
【0124】
また、ドライバに対して最初にセンター4か携帯端末かを選択させて、次に、センター4又は携帯端末のいずれか選択した方に保存されている楽曲一覧をディスプレイ21に表示させるなどの処理を行ってもよい。例えば、
図11に示すように、まずは選択可能な端末をディスプレイ21に表示する。
図11では、センター4と携帯端末A及びBが表示されている。これは、センター4の他に、車両5内には選択可能な携帯端末として携帯端末Aと携帯端末Bとが存在していることを示している。そして、ユーザが、例えば携帯端末Aを選択すると、ディスプレイ21には、携帯端末Aに保存されている楽曲一覧が表示される。楽曲一覧の例は
図7と同様である。そして、ユーザがいずれかの楽曲を選択すると、運転支援装置3は、携帯端末Aから楽曲データを取得して再生処理を実行する。
【0125】
<2−11.楽曲再生終了>
また、上記実施の形態では、運転支援装置3が取得した楽曲データを再生し終わった際に楽曲再生処理を終了する構成について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、所定の地点に到達したときにサービスを開始する場合には、所定の地点の走行が終わったら楽曲再生処理を終了する構成としてもよい。具体的には、例えば、速度が超過し易い地点等に到達したことによりサービスを開始した場合には、その超過し易い地点(区間)を通過し終わったときに楽曲再生処理を終了する構成である。
【0126】
<2−12.結果導出1>
また、上記実施の形態では、運転支援装置3は、車速が目標速度範囲を逸脱していた時間割合に基づいて結果を導出する構成について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、逸脱したレベルをも考慮して結果を導出してもよい。
【0127】
具体的には、逸脱していた時間割合に応じて導出された結果を満点とし、そこからさらに逸脱したレベルを考慮して導出する方法である。つまり、楽曲の再生時間が10分であって、逸脱していた時間が1分であった場合には、上記実施の形態のとおり時間割合から導出される結果は90点となる(100点満点)。逸脱したレベルをも考慮して結果を導出する際は、この90点を満点とする。すなわち、本変形例の場合は、逸脱したレベルに応じて減点する点数を予め定めておき、90点から減算する方法となる。
【0128】
<2−13.結果導出2>
また、目標速度範囲を逸脱した時間及びレベルの双方を考慮して結果を導出する方法として次のような方法もある。具体的には、目標速度範囲の上限値及び下限値を基準にして、そこから逸脱した度合いに応じた複数のレベル(レベル1〜レベル5など)を設定し、各レベルを走行していた時間に応じて結果を導出する方法である。例えば、目標速度範囲を75km/h〜80km/hとした場合に、70km/h〜75km/hと80km/h〜85km/hをレベル1とし、65km/h〜70km/hと85km/h〜90km/hをレベル2とする。同様に、レベル3,4,5を設定する。
【0129】
そして、レベル1〜5を走行した際に減点する単位時間当たりの点数をレベル毎に重みづけて設定する。レベル1は1点/分、レベル2は3点/分などである。そして、各レベルを走行した時間と各レベルの点数とを掛け合わせたものを合計し、満点(100点)から減算する。車両5の速度が1度も目標速度範囲を超えなかった場合には(レベル1〜5での走行時間が0)、導出される結果は満点(100点)となる。これに対して、例えば、レベル1の速度で走行した時間が5分であり、レベル2の速度で走行した時間が3分であった場合には、100−((1×5)+(3×3))=86点となる。
【0130】
<2−14.終了処理>
また、上記実施の形態では、導出した結果が基準をクリアしていた場合には、提供される楽曲データを受信してサービスが終了し、基準をクリアしていない場合には、そのままサービスを終了する構成について説明したが、ドライバに対して音声又は表示にてサービスが終了した旨を通知する構成を付加してもよい。
【0131】
具体的には、基準をクリアしていた場合には、提供される楽曲データを受信した際に、ドライバに対して「楽曲データを受信しました。チャレンジを終了します。」等の音声出力又は表示を行うことでドライバに対してサービスの終了を通知する。また、基準をクリアしていない場合には、「チャレンジ失敗です。次回は頑張ってください。」等の音声出力又は表示を行うことでドライバに対してサービスの終了を通知する。これにより、ドライバはサービスが終了したことを確実に把握することができる。
【0132】
また、上記各実施の形態では、プログラムに従ったCPUの演算処理によってソフトウェア的に各種の機能が実現されると説明したが、これら機能のうちの一部は電気的なハードウェア回路により実現されてもよい。また逆に、ハードウェア回路によって実現されるとした機能のうちの一部は、ソフトウェア的に実現されてもよい。