特許第6267572号(P6267572)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6267572
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】遊技場用システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20180115BHJP
【FI】
   A63F7/02 352F
   A63F7/02 328
   A63F7/02 334
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-90236(P2014-90236)
(22)【出願日】2014年4月24日
(65)【公開番号】特開2015-208390(P2015-208390A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2017年1月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬口 浩之
【審査官】 三田村 陽平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−162179(JP,A)
【文献】 特開平10−295925(JP,A)
【文献】 特開2010−069081(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者所有の貨幣価値、及び遊技により獲得された遊技価値である獲得価値を受付ける価値受付手段と、
前記価値受付手段により受付けられた前記貨幣価値、又は前記獲得価値である有価価値と引換えに、遊技に使用可能な遊技価値を付与する付与処理を行う価値付与手段と、
前記価値受付手段により受付けられた前記有価価値の内、前記価値付与手段により付与された遊技価値との引換分を除いた残有価価値を特定可能な記録媒体を発行する発行処理を行う記録媒体発行手段と、
前記記録媒体を受付け、当該記録媒体により特定される残有価価値を特定する記録媒体受付手段と、を備え、遊技機に対応して設けられる遊技機装置と、
前記発行処理により発行された記録媒体を識別可能な記録媒体情報に対応付けて、前記残有価価値の内、少なくとも前記獲得価値について、発行対象となる遊技機装置を識別可能な装置識別情報により残有価価値を区分可能に管理する管理手段を備えた管理装置と、を含んで構成される遊技場用システムであって、
前記記録媒体発行手段は、前記装置識別情報により区分されない残有価価値である合計残有価価値については前記管理手段に問合せることなく特定可能である一方、前記装置識別情報により区分される残有価価値である個別残有価価値については前記管理手段に問合せることにより特定可能となる記録媒体を発行することで前記発行処理を行い、
前記記録媒体受付手段は、前記記録媒体を受付けた場合に、当該記録媒体の記録媒体情報と、自身に対応する遊技機装置の装置識別情報である自装置識別情報とに対応する前記個別残有価価値を、前記管理手段に問合せることにより特定し、前記付与処理の引換対象となる前記残有価価値を特定することを特徴とする遊技場用システム。
【請求項2】
前記記録媒体発行手段は、前記発行処理を行う場合に、前記残有価価値として、前記貨幣価値と前記獲得価値とが残存し、更に当該獲得価値が、自装置に対応する獲得価値と、装置以外の遊技機装置に対応する獲得価値とに区分可能である場合に、前記貨幣価値を発行対象とした記録媒体である貨幣記録媒体と、前記獲得価値を発行対象とした記録媒体である獲得記録媒体とをそれぞれ発行対象とした前記発行処理である分離発行処理を行うことを特徴とする請求項1に記載した遊技場用システム。
【請求項3】
前記管理手段は、前記分離発行処理が行われた場合に、前記貨幣記録媒体と、前記獲得記録媒体とを対応付けて管理し、
前記価値受付手段は、前記記録媒体受付手段により前記貨幣記録媒体と前記獲得記録媒体との内、何れか一方の記録媒体を受付けている状態で、他方の記録媒体に対応する有価価値を受付けた場合に、当該他方の記録媒体の残有価価値が残存しているか否かを前記管理装置に問合せ、その問合結果を報知することを特徴とする請求項2に記載した遊技場用システム。
【請求項4】
前記記録媒体に対応付けられた残有価価値の内、少なくとも前記獲得価値について精算処理を行う精算装置を備え、
前記管理手段は、前記精算処理が行われた場合に、前記合計残有価価値を更新する一方、前記個別残有価価値は更新せず、
前記記録媒体受付手段は、前記記録媒体を受付けた場合に、前記合計残有価価値が前記自装置識別情報に対応する前記残有価価値よりも大きければ、当該自装置識別情報に対応する前記残有価価値を前記付与処理の引換対象として特定する一方、前記自装置識別情報に対応する前記残有価価値が前記合計残有価価値よりも大きければ、当該合計残有価価値を前記付与処理の引換対象として特定することを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載した遊技場用システム。
【請求項5】
前記遊技機装置は、前記発行処理後においても前記残有価価値を特定可能な残有価価値情報を記憶する記憶手段を備え、
前記記録媒体発行手段は、前記発行処理を行う場合に、前記自装置識別情報を記録媒体により特定可能に発行し、
前記記録媒体受付手段は、前記遊技機装置と前記管理装置との間の通信が不通である場合に、記録媒体により特定される前記自装置識別情報、及び前記合計残有価価値と、自身に対応する遊技機装置の装置識別情報、及び前記残有価価値情報により特定される残有価価値とを比較した結果により、その合計残有価価値、又は前記残有価価値情報により特定される残有価価値を前記付与処理の引換対象とするか否かを特定することを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載した遊技場用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に対応付けて設置され、残有価価値を特定可能な記録媒体を発行可能であると共に当該記録媒体を受付可能な遊技機装置と、前記残有価価値を管理する管理装置と、を備えた遊技場用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技場において遊技者は遊技するために貨幣を投入し、持玉を獲得すれば計数する。この場合、1回の貸出単位分(例えば500円)だけでなく複数回の貸出単位分(例えば1万円)の貨幣の投入を可能とすれば利便性が高まるので、近年の遊技場用システムでは、その使用分を除いた残高を記録媒体に対応付けて発行対象とし、投入額の全てを遊技の対価とする制限を設けずに複数回の貸出単位分の貨幣を受付可能としている。同様に所謂各台計数機と呼ばれる計数機能を備えた遊技機装置を遊技機に対応付けて設置することで、持玉を計数し、計数した持玉を記録媒体に対応付けて発行対象とすることでも利便性を高めている。
【0003】
このような残高や持玉は記録媒体を対象として発行処理が行われるが、持玉を獲得した遊技機とは異なる遊技機にて持玉を使用する所謂台移動と呼ばれる行為を禁止すると、対応する遊技機とは異なる遊技機が対応付けられた記録媒体を受付ける場合に、その記録媒体自体の受付を拒絶してしまい、その記録媒体に対応付けられた残高を当該遊技機にて使用不能となる虞がある。このような問題に対し、例えば特許文献1では、持玉の使用を禁止する一方で残高の使用を許可することで、残高を使用できなくなる虞を排除している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−253123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した特許文献1では異なる遊技機にて持玉を獲得する毎に記録媒体を発行する構成であり、そのため、折角、遊技者の利便性を高めるべく持玉の使用を禁止する一方で残高の使用を許可しても、持玉を獲得した遊技機が増える毎に記録媒体が発行されるのであれば、遊技者の利便性は高まらず、使用される記録媒体の個体数も増え、コスト的にも芳しくない。ここで、記録媒体に複数の記録領域を設けて台移動毎に異なる記録領域を使用すれば良いとも考えられるが、これも記録領域の大きな記録媒体を用意する必要がある等、コストアップに繋がる虞が大いにある。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、有価価値(持玉)を獲得した遊技機とは異なる遊技機での有価価値の使用を抑制しつつも、遊技者が所持しなければならない記録媒体数等が無暗に増加する事態を回避することで、利便性を高めることができる遊技場用システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載した発明は、遊技者所有の貨幣価値、及び遊技により獲得された遊技価値である獲得価値を受付ける価値受付手段と、前記価値受付手段により受付けられた前記貨幣価値、又は前記獲得価値である有価価値と引換えに、遊技に使用可能な遊技価値を付与する付与処理を行う価値付与手段と、前記価値受付手段により受付けられた前記有価価値の内、前記価値付与手段により付与された遊技価値との引換分を除いた残有価価値を特定可能な記録媒体を発行する発行処理を行う記録媒体発行手段と、前記記録媒体を受付け、当該記録媒体により特定される残有価価値を特定する記録媒体受付手段と、を備え、遊技機に対応して設けられる遊技機装置と、前記発行処理により発行された記録媒体を識別可能な記録媒体情報に対応付けて、前記残有価価値の内、少なくとも前記獲得価値について、発行対象となる遊技機装置を識別可能な装置識別情報により残有価価値を区分可能に管理する管理手段を備えた管理装置と、を含んで構成される遊技場用システムであって、前記記録媒体発行手段は、前記装置識別情報により区分されない残有価価値である合計残有価価値については前記管理手段に問合せることなく特定可能である一方、前記装置識別情報により区分される残有価価値である個別残有価価値については前記管理手段に問合せることにより特定可能となる記録媒体を発行することで前記発行処理を行い、前記記録媒体受付手段は、前記記録媒体を受付けた場合に、当該記録媒体の記録媒体情報と、自身に対応する遊技機装置の装置識別情報である自装置識別情報とに対応する前記個別残有価価値を、前記管理手段に問合せることにより特定し、前記付与処理の引換対象となる前記残有価価値を特定することを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載した発明は、前記記録媒体発行手段は、前記発行処理を行う場合に、前記残有価価値として、前記貨幣価値と前記獲得価値とが残存し、更に当該獲得価値が、自装置に対応する獲得価値と、装置以外の遊技機装置に対応する獲得価値とに区分可能である場合に、前記貨幣価値を発行対象とした記録媒体である貨幣記録媒体と、前記獲得価値を発行対象とした記録媒体である獲得記録媒体とをそれぞれ発行対象とした前記発行処理である分離発行処理を行うことを特徴とする。

【0009】
請求項3に記載した発明は、前記管理手段は、前記分離発行処理が行われた場合に、前記貨幣記録媒体と、前記獲得記録媒体とを対応付けて管理し、前記価値受付手段は、前記記録媒体受付手段により前記貨幣記録媒体と前記獲得記録媒体との内、何れか一方の記録媒体を受付けている状態で、他方の記録媒体に対応する有価価値を受付けた場合に、当該他方の記録媒体の残有価価値が残存しているか否かを前記管理装置に問合せ、その問合結果を報知することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載した発明は、前記記録媒体に対応付けられた残有価価値の内、少なくとも前記獲得価値について精算処理を行う精算装置を備え、前記管理手段は、前記精算処理が行われた場合に、前記合計残有価価値を更新する一方、前記個別残有価価値は更新せず、前記記録媒体受付手段は、前記記録媒体を受付けた場合に、前記合計残有価価値が前記自装置識別情報に対応する前記残有価価値よりも大きければ、当該自装置識別情報に対応する前記残有価価値を前記付与処理の引換対象として特定する一方、前記自装置識別情報に対応する前記残有価価値が前記合計残有価価値よりも大きければ、当該合計残有価価値を前記付与処理の引換対象として特定することを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載した発明は、前記遊技機装置は、前記発行処理後においても前記残有価価値を特定可能な残有価価値情報を記憶する記憶手段を備え、前記記録媒体発行手段は、前記発行処理を行う場合に、前記自装置識別情報を記録媒体により特定可能に発行し、前記記録媒体受付手段は、前記遊技機装置と前記管理装置との間の通信が不通である場合に、記録媒体により特定される前記自装置識別情報、及び前記合計残有価価値と、自身に対応する遊技機装置の装置識別情報、及び前記残有価価値情報により特定される残有価価値とを比較した結果により、その合計残有価価値、又は前記残有価価値情報により特定される残有価価値を前記付与処理の引換対象とするか否かを特定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載した発明によれば、個別残有価価値(台番単位の残有価価値)を管理手段に問合せることにより特定可能となる記録媒体を発行対象として発行するようにしたので、個別残有価価値を記録媒体に記録する必要がなくなり、記録媒体のコスト等を抑制しつつ、台移動後の残有価価値の引継を禁止するような運用をサポートすることができる。又、合計残有価価値(台番単位の残有価価値の合計の残有価価値)を管理手段に問合せることなく特定可能となる記録媒体を発行対象として発行するようにしたので、遊技機装置と管理装置との間の通信が不通(オフライン)のときでも合計残有価価値を利用した価値付与処理や管理装置に記憶されている合計残有価価値と照合することでセキュリティを損なう虞を軽減することができる。
【0013】
請求項2に記載した発明によれば、貨幣価値(残高)を特定可能な記録媒体である貨幣記録媒体と、獲得価値(持玉)を特定可能な記録媒体である獲得記録媒体とをそれぞれ発行対象として分離発行するようにしたので、例えば貨幣価値の精算を促したり、貨幣価値を考慮せずに獲得価値を管理したりすることができ、システム上の負担等を軽減しつつも、無暗に記録媒体を発行する虞を軽減することができる。
【0014】
請求項3に記載した発明によれば、貨幣記録媒体と獲得記録媒体との内、何れか一方の記録媒体を受付けている状態で、他方の記録媒体に対応する有価価値を受付けると、他方の記録媒体の残有価価値が残存しているか否かの問合結果を報知するようにしたので、例えば残有価価値が残存している場合には、その記録媒体への合算を促したり、新たな有価価値の受付自体を禁止したりする等の運用をサポートすることができる。
【0015】
請求項4に記載した発明によれば、遊技者が遊技中に景品交換する等して獲得価値が精算処理される場合もあり得るが、獲得価値について精算処理が行われると、合計残有価価値を更新する一方で個別残有価価値を更新せず、その後に記録媒体を受付けると、合計残有価価値が自装置識別情報に対応する残有価価値よりも大きければ、自装置識別情報に対応する残有価価値を引換対象とし、自装置識別情報に対応する残有価価値が合計残有価価値よりも大きければ、合計残有価価値を引換対象とするようにしたので、台移動時の獲得価値の引継を行うか否かに対応しつつ、遊技者が遊技中に景品交換する等して獲得価値が精算処理された場合にも適切に対応することができる。
【0016】
請求項5に記載した発明によれば、遊技機装置と管理装置との間の通信が不通(オフライン)である場合に、記録媒体により特定される自装置識別情報及び合計残有価価値と、自身に対応する遊技機装置の装置識別情報及び残有価価値情報により特定される残有価価値とを比較した結果により、その合計残有価価値又は残有価価値情報により特定される残有価価値を付与処理の引換対象とするか否かを特定するようにしたので、記録媒体に個別残有価価値を記憶することなく、オフラインでの記録媒体の受付時に自装置識別情報により対応した残有価価値を特定可能となり、台移動後の持玉の引継を禁止する運用をサポートすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態を示す全体構成図
図2】種別設定を示す図
図3】遊技機装置の記憶領域を示す図
図4】カードの記録領域を示す図
図5】管理装置の記憶領域を示す図
図6】台移動設定を示す図
図7】遊技機装置処理を示すフローチャート
図8】管理装置処理を示すフローチャート
図9】分離発行有時の発行処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、遊技場用システムの全体構成を示す概略図である。遊技場内には多数の遊技機1が設置されており、各遊技機1に対応して遊技機装置2(価値受付手段、価値付与手段、記録媒体発行手段、記録媒体受付手段、記憶手段に相当)及び情報表示装置3が設置されている。これら遊技機1、遊技機装置2及び情報表示装置3は、中継装置4と接続されている。中継装置4は、LAN5を介して管理装置6(管理手段に相当)と接続されている。
【0019】
遊技場にはPOS(精算装置に相当)7や残高精算機(図示せず)も設置されている。POS7及び残高精算機も、LAN5を介して管理装置6と接続されている。POS7は、遊技場内の景品交換カウンタに設けられており、遊技場の従業員により操作される。POS7は、カードリーダ(図示せず)を付属しており、一般カード(以下、単にカードと称する)8を当該カードリーダにより受付けると、その受付けたカード8に記録されている持玉(遊技により獲得された遊技価値である獲得価値、有価価値の一つ)に基づいて景品交換に関わる以下のような景品交換が可能であるか否かの判定や、景品交換に関わる情報の記憶等の景品交換処理を行う(獲得価値について精算処理を行う)。この場合、POS7は、カード8に記録されている獲得価値の大きさを取扱うときは、管理装置6がカード8に対応して予め記憶している獲得価値の大きさと照合し、真であると判定したことを条件として獲得価値の取扱いを有効とし、その有効とした獲得価値の範囲内での景品交換を許容する。又、残高精算機は、カード8を受付けると、その受付けたカード8に記録されている残高の返却処理を行う(貨幣価値の精算処理を行う)。
【0020】
管理装置6は、遊技場内の例えば事務室等に設置されており、遊技場の管理者が操作するキーボード9、モニタ10、プリンタ(図示せず)等が接続されている。管理装置6は、遊技機側(遊技機1、遊技機装置2等)から送信される遊技信号を受信することにより、遊技機1、遊技機装置2等の稼動状況を管理すると共に、遊技者毎の獲得価値の大きさ(持玉、会員の場合には貯玉)を記憶管理する。尚、持玉とは、当日貯玉であり、前日以前に預入れた玉やメダルではなく、当日獲得した玉やメダルを意味する。貯玉と当日貯玉は管理が異なるために区別している。尚、図1では図示を省略したが、実際には例えば数百台の遊技機1が管理装置6の管理対象となっている。又、遊技場には、貸単価や交換単価等のレートが異なる複数の遊技機島として、例えば貸単価が4円のパチンコ(4パチ)、貸単価が1円のパチンコ(1パチ)、貸単価が20円のパチスロ(20スロ)、貸単価が5円のパチスロ(5スロ)等の遊技機島が設置されている。
【0021】
遊技機1は、CRパチンコ機であり、盤面11に玉を発射する発射装置を構成する操作ハンドル12、上部受皿13、下部受皿14を有すると共に、盤面11に、液晶表示部15、普図入賞口16、第1始動口17、第2始動口18、大入賞口19等を有する。
【0022】
遊技機1は、以下に示すように動作する。
(1)第1始動口17は入賞率が変動しない入賞口(所謂ヘソ入賞口)であり、第2始動口18は入賞率が変動する入賞口(所謂電チュー)である。各への入賞(始動入賞)に応じて大当り抽選を行い、抽選結果を液晶表示部15にて行う図柄変動にて報知し、その変動結果に応じて大当りとなる。
【0023】
(2)図柄変動中に始動入賞した場合には所定の保留上限値(例えば各4つ)まで図柄変動を累積的に保留し、図柄変動終了後に保留している図柄変動を開始する。尚、保留している図柄変動数(保留数)が上限値である状態で始動入賞した場合、図柄変動は保留されない。
【0024】
(3)大当り抽選の当選確率(大当り確率)は1/360であり、大当りがその後確変状態(確変)となる大当り(確変大当り)となる割合である確変率は(通常状態、確変状態共に)66.6%である。大当りが発生すると15ラウンド(R)分だけ大入賞口19を開放する。1Rの上限入賞数は10玉、上限開放時間は30秒であり、上限入賞数又は上限開放時間の何れかが満たされた場合に1Rを終了する。
【0025】
(4)確変中は大当り確率が1/31に向上すると共に、第2始動口18への入賞率が高くなる時短状態(時短)になる。尚、確変は次回大当りまで継続するので、大当り後に大当りでも確変でもない状態である通常遊技状態(通常状態)となる大当り(通常大当り)が発生するまで継続し、その後は所定数(例えば100回)の図柄変動を行うまで時短状態となる。
【0026】
(5)第2始動口18は普図入賞口16への入賞に応じて変動する普通図柄(普図)が当りとなった場合に入賞率の高い開放状態となる。この場合、普図1回の変動時間は通常状態では30秒であり時短状態では3秒となる。又、開放時間は通常状態では0.3秒であり時短状態では5秒となる。即ち、時短状態では通常状態と比較して普図変動時間が短くなる一方、開放時間は長くなることで第2始動口18の入賞率が高くなる。
【0027】
遊技機1及び当該遊技機1に付設された周辺機器は、遊技者による玉の打込みや各始動口17、18への始動入賞等の遊技の進行に伴って、以下に示す遊技信号を送信する。
アウト信号=消費玉を回収するアウトBOXから送信される消費価値(アウト)を特定可能な信号(稼動信号)である。消費(使用、打込、回収)玉10玉に対して1パルスが送信されるので、「アウト信号数×10」をアウトとして特定する。尚、遊技機1から送信される信号でも良い。
セーフ信号=遊技機1から送信される入賞付与価値(セーフ)を特定可能な信号である。払出(付与)玉10玉に対して1パルスが送信されるので、「セーフ信号数×10」をセーフとして特定する。尚、補給装置から送信される補給信号をセーフ信号としても良い。
【0028】
始動信号=遊技機1から送信される始動入賞により変動(作動)する液晶表示部15(役物)におけるスタート処理(図柄変動、役物作動、単位遊技)を特定可能な信号である。図柄変動確定時に送信されるので、始動信号の受信に応じてスタート処理を特定し、「始動信号×1」をスタート(スタート処理数)として特定する。尚、始動入賞を示す信号としても良い。
大当り信号=遊技機1から送信される大当り期間を特定可能な信号である。大当り中にレベル送信される状態信号であるので、大当り信号の受信中を大当り中として特定する。
特別状態信号=遊技機1から送信される特別状態(甘中)を特定可能な信号である。第2始動口18の入賞率が向上する特別状態中(時短中)にレベル送信される状態信号であるので、特別状態信号の受信中を特別状態中として特定する。尚、大当り確率が向上する確変中にレベル送信される状態信号(確変信号)であっても良い。又、大当り信号と特別状態信号の何れも受信していない期間を通常状態として特定する。
【0029】
遊技機装置2は、所謂各台計数機能付の貸出機であり、遊技機1の遊技状態を示す状態表示部20、貨幣(遊技者所有の貨幣価値、有価価値の一つ)が投入される貨幣投入口21、遊技者からの操作入力を受付けると共に遊技の進行に伴って図柄変動回数(スタート回数)や大当り確率等の遊技データを表示するタッチパネル式の液晶表示部22、持玉及び貯玉を払出すための払出釦23、払出された玉が通過する払出ノズル24、カード8が挿入されるカード挿入口25、遊技機1の下部受皿14の下方に位置する着脱可能な計数受皿26等を有する。
【0030】
遊技機装置2は、以下に示す機能を備えている。
(1)貨幣が貨幣投入口21に投入されたことで、貨幣を受付すると(貨幣受付処理を行うと)、遊技機1と遊技機装置2との双方において入金額を残高に加算して表示する。残高がある状態で遊技機1の貸出釦(図示せず)が押下(貸出操作、付与操作)されると、1回の貸出単位分(例えば500円)の貸出玉(対価付与価値、例えば貸単価4円であれば125玉、貸単価1円であれば500玉)を遊技機1内部の払出機構から払出し(貨幣価値と引換に、遊技に使用可能な遊技価値を付与する付与処理である貸出処理を行い)、その対価分を残高から減算すると共に、売上信号を送信する。尚、貨幣は複数回分の対価付与処理の対応分を受付可能である(例えば1万円まで)。尚、玉の払出を遊技機装置2により行っても良い。
【0031】
(2)遊技機1の下部受皿14が操作された(開放された)ことで、下部受皿14から落下した玉を計数受皿26で受けると、その受けた玉を持玉(計数玉)として計数して液晶表示部22に表示する。持玉がある状態で遊技機装置2の払出釦23が押下(払戻操作)されると、持玉の一部を遊技機1内部の払出機構から払出し(獲得価値と引換に、遊技に使用可能な遊技価値を付与する付与処理である払戻処理を行い)、その払出分を持玉数から減算する。尚、この場合も、玉の払出を遊技機装置2により行っても良い。
【0032】
(3)残高又は持玉がある状態で遊技機1の返却釦(図示せず)が押下されると(発行操作を受付けると)、残玉及び合計持玉(引換分を除いた残有価価値)を特定可能なカード8を発行する(発行処理を行う)。カード8がカード挿入口25に挿入されている状態で返却釦が操作されたときには、そのカード挿入口25に挿入されているカード8に残高及び合計持玉の情報を記録して発行し、カード8がカード挿入口25に挿入されていない状態で返却釦が操作されたときには、カードストック部(図示せず)にストックしているカード8をカード挿入口25に繰出して残高及び合計持玉を記録して発行する。カード8を発行すると、自装置を特定可能な情報(遊技機装置ID、装置識別情報)、発行したカード8を特定可能な情報(カードID、記録媒体情報)、カード8に記録した残高及び合計持玉の情報等を含む発行情報を管理装置6に送信する。尚、残高や合計持玉の一部を発行対象とする分割発行を可能としても良い。
【0033】
(4)中継装置4との間でデータ通信(シリアル通信)を行うことで、上記した貨幣受付処理、付与処理、計数処理、払戻処理、発行処理、カード受付処理等の各処理、残高や貸出玉数、入金額、貸出玉数、貸出玉の対価となる売上額、計数玉、払戻玉等の値を特定する。これらをパルス信号(例えば入金1000円毎に1パルス、売上100円毎に1パルス等)にて特定しても良い。又、貸出玉や持玉の一部を払出す際のデータ通信については中継装置4を介さずに遊技機1との間で直接行っても良い。
【0034】
さて、遊技場においては、上述した[発明が解決しようとする課題]にて記載した通り、異なる遊技機1での持玉の使用を禁止する一方で残高の使用を許可する場合に、異なる遊技機1にて持玉を獲得する毎にカード8を発行する構成では、遊技者の利便性が高まらないという問題に対し、持玉を獲得した遊技機1とは異なる遊技機1での持玉の使用を抑制しつつも、遊技者が所持するカード8の枚数の増加を抑制したいというニーズがあった。本発明では、このようなニーズに応えるべく遊技機装置2及び管理装置6が以下に示す機能を有する。
【0035】
管理装置6は、本発明に関連し、図2に示す種別設定を設定している。図2に示す各項目の意味は次の通りである。
種別=貸単価又は交換単価等のレートにより区分される遊技機グループ名である。
台番範囲=対応する台番(遊技機1又は遊技機装置2のID)の範囲である。
管理装置6は、図2に示した種別設定を設定することで、貸単価又は交換単価等のレートに対応した種別と台番範囲とを対応付けると共に、その種別設定に関する情報を遊技機装置2に送信することで、自身がどの種別に属するかを遊技機装置2に設定している。
【0036】
又、遊技機装置2は図3に示す記憶領域を備え、カード8は図4に示す記録領域を備え、管理装置6は図5に示す記憶領域を備えている。図3図5に示す各項目の意味は次の通りである。
【0037】
残高=遊技機装置2が受付けた貨幣額(入金額)の内、貸出玉の対価を除いた使用可能な残高である。尚、残高を特定可能なカード8を受付ければ、その残高分が更新されるので、必ずしも入金額から売上金額を除いた金額となる訳ではないが、何れにしても受付けた有価価値の内、貸出処理等により付与された遊技価値の対価分となった有価価値を除いた残有価価値となる。
【0038】
合計持玉及び景品交換=持玉は遊技者が遊技により獲得した玉(獲得玉)の玉数であり、遊技機装置2にて獲得玉を計数することにより加算され、払戻処理により減算される。持玉は種別単位で区分して管理され、遊技機装置2では自身の種別に対応する持玉については計数処理や払戻処理により加減算し、自身が対応しない種別の持玉についてはカード8の受付により更新する。景品交換は、持玉の内、POS7にて景品交換の対価となった(精算処理の対象となった)持玉数である。合計持玉は、同じ種別である各台番の持玉の合計であり、景品交換対価となった(精算処理の対象となった)持玉数を減算した値となる。図3及び図5の例示では、4パチについては、1番台の持玉(3821)と25番台の持玉(4952)との合計から景品交換分の玉数(4500)を差引いた値(4273)が合計持玉となる。1パチ、20スロ、5スロについても同様に演算して求める。合計持玉は、装置識別情報により区分されない残有価価値である合計残有価価値である。
【0039】
第n(nは自然数、図3及び図5ではn=1〜4を例示)台番=獲得した持玉と、その台番とを台番単位で記憶する。遊技機装置2及び管理装置6の記憶領域に記憶される一方、カード8の記録領域には当該記録領域を多く使用できない(記録領域の削減)ために記録されない。台番毎の持玉は、装置識別情報により区分される残有価価値である個別残有価価値である。
【0040】
カードID=カード8に固有のIDである。図4及び図5の例示では、上4ケタを台番とし、下3ケタを通し番号(1からの昇順)とした最初の発行時等に付与されるIDを採用しているが、カード8を識別可能であれば、カード8に予め記憶されるID等を採用しても良い。
最終台番=最後に発行処理を行った台番である。管理装置6では、最終台番を識別可能(図5ではハッチングを付与している)に記憶している。
【0041】
上記したようにカード8の記録領域には台番単位の持玉が記録されない。そのため、遊技機装置2は、カード8がカード挿入口25に挿入されたことで、カード8を受付けると、その受付けたカード8に記録されている情報だけでは台番単位の持玉を特定することができない。遊技機装置2は、カード8を受付けると、自装置を特定可能な情報(遊技機装置ID)、受付けたカード8を特定可能な情報(カードID)、受付けたカード8に記録されている残高及び合計持玉の情報等を含む問合情報を管理装置6に送信し、その返信信号により(カード情報を管理装置6に問合わせることで)、台番単位の持玉を特定し、台番単位と種別単位の持玉とを遊技機装置2や情報表示装置3等にて遊技者に対して提示可能となっている。尚、遊技機装置2が問合情報を管理装置6に送信する際には、上記したようにカード8に記録されている残高及び合計持玉を送信することで、カード8に記録されている残高及び合計持玉と、そのカード8に対応して管理装置6に記憶されている残高及び合計持玉とが一致するか等の照合処理を行っている。
【0042】
管理装置6は、各台番の持玉については、各台番の持玉と合計持玉との少ない方を使用可能な持玉として採用する。即ち、例えばカードID「0001001」のカード8を4パチの1番台にて受付けると、台番の持玉(3821)の方が合計持玉(4273)よりも少ないので、使用可能な持玉としては台番の持玉をそのまま採用する。一方、カードID「0001001」のカード8を4パチの25番台にて受付けると、合計持玉(4273)の方が台番の持玉(4952)よりも少ないので、使用可能な持玉としては合計持玉を採用する。
【0043】
図6は、遊技者が台移動する際に、残高や持玉の引継をどの程度許可するかを設定するための設定情報であり、残高と持玉とに区分して使用範囲を設定可能にすると共に、管理装置6と遊技機装置2との間の通信が不能(オフライン)であるときに、持玉について台移動でどの程度対応するかを設定する。図6の台移動設定の各項目の意味は次の通りである。
【0044】
残高使用=残高をどのような範囲で使用可能とするかを示す設定情報であり、何れの台番でも使用可能な「全台番」、入金した台番が属する種別に限定して使用可能とする「入金種別」、入金した台番に限定して使用可能とする「入金台番」の何れかから設定される。
持玉使用=持玉をどのような範囲で使用可能とするかを示す設定情報であり、何れの台番でも使用可能な「全台番」、持玉を獲得した台番が属する種別に限定して使用可能とする「獲得種別」、持玉を獲得した台番に限定して使用可能とする「獲得台番」の何れかから設定される。
【0045】
分離発行=発行処理時に、残高と、異なる台番に対応する持玉とを特定可能である場合に、残高に対応するカード8と、持玉に対応するカード8とをそれぞれ区分して発行するか否かの設定である。「有」の設定であれば発行する一方、「無」の設定であれば発行しない。
オフライン=オフライン時にどのような運用とするかを示す設定情報であり、合計持玉に基づく種別単位での使用を許可する「種別」、カード8の記録領域に記憶されている最終台番と当該カード8を受付けている遊技機装置2の台番とが一致する場合に、遊技機装置2が記憶する自装置に対応する持玉に限定して使用可能とする「最終台番」、カード8を発行した場合に持玉引継を一切許可しない「引継不可」の何れかから設定される。
【0046】
次に、上記した構成の作用について図7から図9も参照して説明する。本発明に関連し、遊技機装置2は図7に示す遊技機装置処理を行い、管理装置6は図8に示す管理装置処理を行う。ここでは、図6に示した台移動設定における各設定が例示した設定であり、残高は使用制限がなく(「全台番」の設定)、持玉は台番単位に限定して持玉の使用を許可しており(「獲得台番」の設定)、分離発行せず(「無」の設定)、オフライン時には最終台番(最後に発行処理を行った台番とカード8を受付けた遊技機装置2の台番とが一致する場合)に限定して持玉の使用を許可する(「最終台番」の設定)場合を例示している。又、遊技機装置2は図6に示した台移動設定における分離発行が「有」の設定である場合には図9に示す分離発行有時の発行処理を行う。
【0047】
(1)遊技機装置処理
遊技機装置2は、遊技機装置処理を開始すると、貨幣を受付けた否かを判定し(A1)、残高があるか否かを判定し(A2)、計数玉を受付けた否かを判定し(A3)、持玉があるか否かを判定し(A4)、残高又は持玉があるか否かを判定し(A5)、カード8を受付けた否かを判定する(A6)(待機している)。遊技機装置2は、貨幣が貨幣投入口21に投入されたことで、貨幣を受付けたと判定すると(A1:YES)、入金分の残高を対象として記憶領域を更新する(A7)。又、遊技機装置2は、遊技機1の下部受皿14から落下した玉を計数受皿26で受けたことで、計数玉を受付けたと判定すると(A3:YES)、計数分の持玉を対象として記憶領域を更新する(A7)。
【0048】
遊技機装置2は、このように記憶領域を更新したことで、残高があると判定すると(A2:YES)、貸出操作を受付けたか否かを判定し(A8)、持玉があると判定すると(A4:YES)、払戻操作を受付けたか否かを判定するようになる(A9)。遊技機装置2は、遊技機1の貸出釦が押下されたことで、貸出操作を受付けたと判定すると(A8:YES)、貸出処理を行い(A10)、その貸出処理による対価分を残高から減算して記憶領域を更新する(A7)。又、遊技機装置2は、払出釦23が押下されたことで、払戻操作を受付けたと判定すると(A9:YES)、払戻処理を行い(A11)、その払戻処理による払出分を持玉数から減算して記憶領域を更新する(A7)。
【0049】
遊技機装置2は、残高又は持玉があると判定すると(A5:YES)、発行操作を受付けたか否かを判定するようになる(A12)。遊技機装置2は、遊技機1の返却釦が押下されたことで、発行操作を受付けたと判定すると(A12:YES)、発行処理を行い(A13)、自装置を特定可能な情報、発行したカード8を特定可能な情報、カード8に記録した残高及び合計持玉の情報等を含む発行情報を管理装置6に送信し(A14)、その発行処理を行ったことにより記憶領域を更新する(A7)。
【0050】
遊技機装置2は、カード8がカード挿入口25に挿入されたことで、カード8を受付けたと判定すると(A6:YES)、管理装置6との間でデータ通信が可能(オンライン)であるか否かを判定する(A15)。遊技機装置2は、オンラインであると判定すると(A15:YES)、自装置を特定可能な情報、受付けたカード8を特定可能な情報、受付けたカード8に記録されている残高及び合計持玉の情報等を含む問合情報を管理装置6に送信し(A16)、管理装置6からの返信信号の受信を待機する(A17)。
【0051】
遊技機装置2は、管理装置6から使用不能である旨の返信信号を受信し、使用不能であると判定すると(A17:NO)、使用不能である旨を報知する等のエラー処理を行う(A18)。一方、遊技機装置2は、管理装置6から使用可能である旨の返信信号を受信し、使用可能であると判定すると(A17:YES)、その返信信号に含まれるカード情報に基づいて記憶領域を更新し(A19)、カード残高(受付けたカード8に記録されている)があるか否かを判定する(A20)。遊技機装置2は、カード残高があると判定すると(A20:YES)、その残高を引継ぐ(A21)。そして、遊技機装置2は、該当台番の持玉があるか否かを判定し(A22)、該当台番の持玉があると判定すると(A22:YES)、使用可能な持玉を引継ぐ(A23)。即ち、台番単位に限定して持玉の使用を許可する「獲得台番」を設定しているときには、持玉を獲得した台番が該当台番となり、該当台番の持玉があれば、その該当台番の持玉を引継ぐ。
【0052】
又、遊技機装置2は、オンラインでないと判定すると(A15:NO)、その受付けたカード8にカード残高があるか否かを判定する(A24)。遊技機装置2は、カード残高があると判定すると(A24:YES)、残高を引継ぎ(A21)、カード8に記録されている最終台番と自身の台番とが一致し(A26:YES)、カード8に記録されている合計持玉と自身が記憶している合計持玉とが一致することを条件として(A27:YES)、使用可能な持玉を引継ぐ(A28)。即ち、遊技機装置2は、発行処理後においてもオフラインに備えて引続いて記憶領域を保持し、次のカード受付時にオフラインであれば、上記した照合を行った後、カード8の記録情報へと情報を書換え(実質的に変更無)、一方、次のカード受付時にオンラインであれば、管理装置6から受信する返信信号に含まれるカード情報に基づいて記憶領域を更新する。尚、ステップA27では、カード8に記録されている合計持玉と自身が記憶している合計持玉とを照合しているが、自身の台番の持玉を照合対象とし、カード8の合計持玉が自身の台番の持玉以上であることを条件としても良い。
【0053】
尚、以上は、図6に示した台移動設定における各設定が例示した設定である場合の処理を説明したが、各設定が例示した設定以外の設定でも同様であり、例えば残高について使用を制限する設定(例えば「入金種別」や「入金台番」)であれば、その設定に応じて制限を与える処理を行う。又、残高使用の設定が「獲得種別」であったり持玉使用の設定が「入金種別」であったりする場合には、合計持玉を照合対象とすれば良い。
【0054】
(2)管理装置処理
管理装置6は、管理装置処理を開始すると、遊技機装置2から発行情報を受信したか否かを判定し(B1)、遊技機装置2から問合情報を受信したか否かを判定する(B2)。管理装置6は、遊技機装置2から発行情報を受信したと判定すると(B1:YES)、図5に示した記憶領域を更新する(B3)。
【0055】
管理装置6は、遊技機装置2から問合情報を受信したと判定すると(B2:YES)、カード8に記録されている残高及び合計持玉を問合情報により特定し、その特定した残高及び合計持玉と、自身の記憶領域に記憶している残高及び合計持玉とを照合し、使用可能であるか否かを判定し(B4)、両者が一致せず、照合結果が否であることで使用不能であると判定すると(B4:NO)、使用不能である旨の返信信号を遊技機装置2に返信する(B5)。一方、管理装置6は、両者が一致し、照合結果が正であることで使用可能であると判定すると(B4:YES)、該当台番の持玉があるか否かを判定し(B6)、該当台番の持玉があると判定すると(B6:YES)、該当台番の持玉を特定可能なカード情報を含む返信信号を遊技機装置2に返信し(B7)、該当台番の持玉がないと判定すると(B6:NO)、該当台番の持玉がない旨の返信信号を遊技機装置2に返信する(B7)。
【0056】
(3)分離発行有時の発行処理
遊技機装置2は、図6に示した台移動設定における分離発行が「有」の設定であることにより、分離発行有時の発行処理を開始すると、残高及び他台の持玉の双方があるか否かを判定する(A31)。遊技機装置2は、残高及び他台の持玉の双方がないと判定すると(A31:NO)、残高と持玉とを対応付けたカード8を発行する(A32)。遊技機装置2は、残高及び他台の持玉の双方があると判定すると(A31:YES)、自身の(自台の)持玉があるか否かを判定し(A33)、自身の持玉がないと判定すると(A33:NO)、残高又は持玉を対応付けたカード8を発行する(A32)。
【0057】
遊技機装置2は、自身の持玉があると判定すると(A33:YES)、持玉を対応付けずに残高を対応付けたカードを発行し(A34)、残高を対応付けずに持玉を対応付けたカードを発行する(A35)。即ち、遊技機装置2は、残高用のカード8(貨幣価値を発行対象とした記録媒体である貨幣記録媒体)と持玉用のカード8(獲得価値を発行対象とした記録媒体である獲得記録媒体)とを区分して発行する。
【0058】
この場合、管理装置6において、残高用のカード8と持玉用のカード8とを対応付けておき、一方のカード8を受付けた状態で他方のカード8に対応する有価価値(残高又は持玉)を受付けた場合に、その受付けている(受付中の)一方のカード8に他方のカード8に対応する有価価値が残存していない場合(精算等も含む)には、管理装置6への問合せを行い、他方のカード8の受付を遊技者に促す旨を提示し(報知し)、その提示後に、一方のカード8を発行させるべく発行操作が行われた場合には、その受付けた他方のカード8に対応する有価価値を残して(一方のカード8に記録せずに)発行処理を行い、その後に他方のカード8を受付けた場合に、その受付けた他方のカード8に対応する有価価値を当該他方のカード8に記録する(合算する)。又、他方のカード8を受付けることなく(残した有価価値を対象とした)発行操作(再度の発行操作)が行われた場合には、その残した有価価値を対象として(ストックしていた他のカード8に記録して)発行処理を行う。又、一方のカード8を発行させるべく発行操作が行わなければ、受付中の一方のカード8に残高と持玉とを対応付け、その後の発行処理に備える。
【0059】
以上に説明したように本実施形態によれば、次に示す効果を得ることができる。
台番単位の持玉については管理装置6に問合せることにより特定可能となるようにしたので、台番単位の持玉をカード8に記録する必要がなくなり、カード8のコスト等を抑制しつつ、台移動後の持玉の引継を禁止するような運用をサポートすることができる。又、同じ種別の台番単位の持玉の合計である合計持玉については管理装置6に問合せることなく特定可能となるようにしたので、遊技機装置2と管理装置6との間の通信が不通(オフライン)のときでも合計持玉を利用した価値付与処理や管理装置6に記憶されている合計持玉と照合することでセキュリティを損なう虞を軽減することができる。
【0060】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形又は拡張することができる。
景品交換分は台番に対応する持玉を減算しない構成を例示したが、台番を指定した上で景品交換を行い、台番単位の持玉を減算させても良い。又、景品交換分を考慮せず、景品交換が行われた場合には遊技機での払戻処理を禁止する等のような構成としても良い。
【0061】
管理装置において台番別の持玉を区分して管理する構成を例示したが、遊技場によっては一旦台移動した場合には、再度同一台番に戻って来ても台移動として取扱いたいというニーズもあるので、最終台番に対応した持玉と合計持玉とを管理する構成とし、一旦他台に台移動した後に、持玉を獲得した台番へと戻った場合であっても、持玉の引継を行わないようにしても良い。この場合、実施形態にて説明した構成とするか上記した構成とするかを選択的に実行可能とすることが望ましい。一方で、実施形態にて説明した構成ではなく上記した構成を採用してシステムを構成すれば、システム上必要な処理を減少させる等の負担を軽減することができる。
【0062】
遊技機装置が発行処理後も継続して持玉を特定可能な情報を記憶する対象を、最新の発行処理を行った記録媒体のみとしたが、発行処理を履歴として記憶し、発行処理を行った複数の記録媒体を対象として記憶することで、最新から遡って発行処理を行った記録媒体としても良い。この場合、過去に発行した何れかの記録媒体を受付けた際に、実施形態と同様の処理を行うことで引継が可能であるか否かを判定すれば良い。尚、当然ではあるが、発行処理後は記録媒体の受付等があるまでは記憶している持玉による払戻処理は不能となる。
【0063】
例示した設定値は予め設定されれば、遊技場の管理者が任意に設定しても良いし、管理装置の製造メーカにて設定しても良いし、外部(例えばチェーン店本部等)の管理サーバから設定情報をダウンロードして設定しても良い。
記録媒体としてカードを例示したが、有価価値を特定可能な情報を記録可能であれば例えばコイン等の他の記録媒体であっても良い。
例示した全ての遊技情報は入力した信号により直接的に特定しても良いし、演算式を使用する等して間接的に特定しても良い。又、数値、桁数、項目等は例示であり、どのような数値を採用しても良い。
【0064】
対象となる遊技機は遊技媒体をデータのみで管理する所謂封入式等の例示したパチンコ遊技機以外のパチンコ遊技機やスロットマシン等も採用できる。尚、所謂封入式等を考慮して遊技媒体は必要に応じて遊技価値と表現する。又、封入式等の場合、有価価値を遊技に消費可能な状態とすることが遊技に使用可能な遊技価値を付与する対価付与処理となる。
【0065】
台番に対応した持玉の特定や、台番に対応した持玉と合計持玉とを比較する等の例示した処理は遊技機装置だけでなく、中継装置や管理装置等のどのような機器により行っても良い。又、オフラインの判定方法として問合情報の送信とは別途行う方法を例示したが、問合情報を送信した後に返信信号が返信されないことでオフラインであると判定しても良い。又、管理装置にて有価価値を照合する構成を例示したが、遊技機装置において、有価価値を示す情報を管理装置に送信せず、管理装置から有価価値を示す情報を受信することで、遊技機装置にて有価価値を照合する等、例示した構成以外の周知の構成をどのように採用しても良い。尚、特許請求の範囲上の遊技機装置は中継装置等も含む概念となる。又、変形例を含む例示した構成をどのように組合わせても良い。
【符号の説明】
【0066】
図面中、1は遊技機、2は遊技機装置(価値受付手段、価値付与手段、記録媒体発行手段、記録媒体受付手段、記憶手段)、6は管理装置(管理手段)、8は一般カード(記録媒体)である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9