(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6267573
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】剛体壁と衝突する車両の時間進行シミュレーションにおいて詳細な剛体壁力一覧を提供する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
G06F 17/50 20060101AFI20180115BHJP
【FI】
G06F17/50 612H
G06F17/50 680Z
【請求項の数】20
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-93216(P2014-93216)
(22)【出願日】2014年4月28日
(65)【公開番号】特開2014-225258(P2014-225258A)
(43)【公開日】2014年12月4日
【審査請求日】2017年2月2日
(31)【優先権主張番号】13/895,584
(32)【優先日】2013年5月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509059893
【氏名又は名称】リバーモア ソフトウェア テクノロジー コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100111187
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 秀忠
(74)【代理人】
【識別番号】100130568
【弁理士】
【氏名又は名称】金高 善子
(74)【代理人】
【識別番号】100175617
【弁理士】
【氏名又は名称】三崎 正輝
(72)【発明者】
【氏名】ジョン オー ホールクィスト
【審査官】
平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−209912(JP,A)
【文献】
特開2013−235506(JP,A)
【文献】
米国特許第8180605(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
剛体壁と衝突する車両の時間進行シミュレーションにおいて詳細な剛体壁力一覧を提供する方法であって、
有限要素解析(FEA)アプリケーションモジュールがインストールされたコンピュータシステムが、FEAモデルおよび剛体壁定義を受け取るステップであって、前記FEAモデルは、車両と前記剛体壁定義とを表しており、前記FEAモデルおよび前記剛体壁定義は、前記剛体壁と衝突する前記車両の時間進行シミュレーションにおいて用いられ、前記FEAモデルは、1以上のグループを編成する複数の有限要素によって接続される複数のノードを有し、前記剛体壁定義は、前記剛体壁上の対応する空間的位置を表す1以上のセグメントを有するステップと、
詳細な剛体壁力(RWF)一覧を得ることが所望される前記グループのリストが定義されているか否かを判断するステップと、
前記リストが定義されていない場合に、前記車両の全ての構造部品を含めるよう前記リストを生成するステップと、
前記リスト内の1以上の前記グループに対して、各前記ノードについて1以上の寄与重み係数をそれぞれ計算するステップと、
時間に関する複数のソリューションサイクルを含む、前記時間進行シミュレーションを開始するステップと、
各前記ソリューションサイクルにおいて、ノードタイプに応じて各前記ノードのノード力寄与を計算し、対応する前記寄与重み係数で修正された、計算された前記ノード力寄与を、前記セグメントの対応する1つについて、前記グループの対応する1つの詳細な前記RWF一覧へと集計するステップと、
前記時間進行シミュレーションの完了後、詳細な前記RWF一覧を提供するステップと、
を備える方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記寄与重み係数は、各前記ノードを所定のスキームで共有する前記グループに対するそれぞれの重み係数を含んでいる、
方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記所定のスキームは、各前記ノードを共有する前記グループの数に基づいている、
方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記の、対応する前記寄与重み係数で修正された、計算された前記ノード力寄与を、詳細な前記RWF一覧へと集計するステップは、さらに、
ノード寄与重み係数で修正された、計算された前記ノード力寄与を、各前記セグメントに対し、前記剛体壁と接触する1以上の前記ノードを含む各前記グループに関して合計するステップと、
特定セグメントの剛体壁力を、前記特定セグメントに接触する全ての前記ノードについて、ノード寄与重み係数で修正された、計算された前記ノード力寄与を合計することにより取得するステップと、
前記セグメントの全てについて、前記剛体壁力の全てを合計することにより、総剛体壁力を取得するステップと、
特定グループによって前記剛体壁に与えられる力の合計を、前記特定グループによって前記セグメントの全てに与えられる力を合計することにより取得するステップと、
を含んでいる、
方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記ノードタイプが、各前記ノードが適切なノード質量でモデル化されていることを示す場合、前記ノード力寄与は、
FNODE=MNODE(A+−A−)
で計算され、
FNODEは前記ノード力寄与を表すベクトルであり、
MNODEはスカラーのノード質量であり、
A+は前記剛体壁との接触後のノード加速度ベクトルを表し、
A−は前記剛体壁との接触前のノード加速度ベクトルを表している、
方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
摩擦オプションが前記時間進行シミュレーションにおいて有効である場合、前記ノード力寄与は摩擦力を含んでいる、
方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記ノードタイプが、ペナルティ法によって、各前記ノードがノード質量なしでモデル化されていることを示す場合、前記ノード力寄与は、
FNODE=Fn+Ft
Fn=(KΔu)n
で計算され、
FNODEは前記ノード力寄与を表すベクトルであり、
Fnは前記剛体壁に垂直な前記ノード力寄与の法線部分を表し、
Kは前記ペナルティ法においてノード質量なしでモデル化されている各前記ノードに割り当てられた剛性を表し、
Δuは、前記剛体壁を通る、ノード質量なしでモデル化されている各前記ノードのノード貫通を表し、
nは前記剛体壁に対する単位法線ベクトルを表し、
Ftは、摩擦オプションが前記時間進行シミュレーションにおいて有効である場合の、前記法線部分に直交する摩擦力を表している、
方法。
【請求項8】
剛体壁と衝突する車両の時間進行シミュレーションにおける詳細な剛体壁力一覧を提供するシステムであって、
有限要素解析法(FEA)アプリケーションモジュールに関するコンピュータ可読コードを記憶するメインメモリと、
前記メインメモリに接続される少なくとも1つのプロセッサと、
を備えるシステムであり、
前記少なくとも1のプロセッサは、前記メインメモリ内の前記コンピュータ可読コードを実行して、前記FEAアプリケーションモジュールに、方法に基づいてオペレーションを実行させ、
前記方法が、
有限要素解析(FEA)モデルおよび剛体壁定義を受け取るステップであって、前記FEAモデルは車両と前記剛体壁定義とを表しており、前記FEAモデルおよび前記剛体壁定義は、前記剛体壁と衝突する前記車両の時間進行シミュレーションにおいて用いられ、前記FEAモデルは、1以上のグループを編成する複数の有限要素によって接続される複数のノードを有し、前記剛体壁定義は、前記剛体壁上の対応する空間的位置を表す1以上のセグメントを有するステップと、
詳細な剛体壁力(RWF)一覧を得ることが所望されている前記グループのリストが定義されているか否かを判断するステップと、
前記リストが定義されていない場合に、前記車両の全ての構造部品を含めるよう前記リストを生成するステップと、
前記リスト内の1以上の前記グループに対して、各前記ノードについて1以上の寄与重み係数をそれぞれ計算するステップと、
時間に関する複数のソリューションサイクルを含む、時間進行シミュレーションを開始するステップと、
各前記ソリューションサイクルにおいて、ノードタイプに応じて各前記ノードのノード力寄与を計算し、対応する前記寄与重み係数で修正された、計算された前記ノード力寄与を、前記セグメントの対応する1つについて、前記グループの対応する1つの詳細なRWF一覧へと集計するステップと、
前記時間進行シミュレーションの完了後、詳細な前記RWF一覧を提供するステップと、
を有するシステム。
【請求項9】
請求項8に記載のシステムであって、
前記寄与重み係数は、各前記ノードを所定のスキームで共有する前記グループに対するそれぞれの重み係数を含んでいる、
システム。
【請求項10】
請求項9に記載のシステムであって、
前記所定のスキームは、各前記ノードを共有する前記グループの数に基づいている、
システム。
【請求項11】
請求項8に記載のシステムであって、
前記の、対応する前記寄与重み係数で修正された、計算された前記ノード力寄与を、詳細な前記RWF一覧へと集計するステップは、さらに、
ノード寄与重み係数で修正された、計算された前記ノード力寄与を、各前記セグメントに対し、前記剛体壁と接触する1以上の前記ノードを含む各前記グループに関して合計するステップと、
特定セグメントの剛体壁力を、前記特定セグメントに接触する全ての前記ノードについて、ノード寄与重み係数で修正された、計算された前記ノード力寄与を合計することにより取得するステップと、
前記セグメントの全てについて、前記剛体壁力の全てを合計することにより、総剛体壁力を取得するステップと、
特定グループによって前記剛体壁に与えられる力の合計を、前記特定グループによって前記セグメントの全てに与えられる力を合計することにより取得するステップと、
を含んでいる、
システム。
【請求項12】
請求項8に記載のシステムであって、前記ノードタイプが、各前記ノードが適切なノード質量でモデル化されていることを示す場合、前記ノード力寄与は、
FNODE=MNODE(A+−A−)
で計算され、
FNODEは前記ノード力寄与を表すベクトルであり、
MNODEはスカラーのノード質量であり、
A+は前記剛体壁との接触後のノード加速度ベクトルを表し、
A−は前記剛体壁との接触前のノード加速度ベクトルを表している、
システム。
【請求項13】
請求項8に記載のシステムであって、前記ノードタイプが、ペナルティ法によって、各前記ノードがノード質量なしでモデル化されていることを示す場合、前記ノード力寄与は、
FNODE=Fn+Ft
Fn=(KΔu)n
で計算され、
FNODEは前記ノード力寄与を表すベクトルであり、
Fnは前記剛体壁に垂直な前記ノード力寄与の法線部分を表し、
Kは前記ペナルティ法においてノード質量なしでモデル化されている各前記ノードに割り当てられた剛性を表し、
Δuは、前記剛体壁を通る、ノード質量なしでモデル化されている各前記ノードのノード貫通を表し、
nは前記剛体壁に対する単位法線ベクトルを表し、
Ftは、摩擦オプションが前記時間進行シミュレーションにおいて有効である場合の、前記法線部分に直交する摩擦力を表している、
システム。
【請求項14】
請求項8に記載のシステムであって、
前記セグメントは前記剛体壁上に配置されるロードセルに対応する、
システム。
【請求項15】
方法に基づいて、剛体壁と衝突する車両の時間進行シミュレーションにおいて詳細な剛体壁力一覧を提供する命令を有する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記方法が、
有限要素解析(FEA)アプリケーションモジュールがインストールされたコンピュータシステムが、FEAモデルおよび剛体壁定義を受け取るステップであって、前記FEAモデルは、車両と前記剛体壁定義とを表しており、前記FEAモデルおよび前記剛体壁定義は、前記剛体壁と衝突する前記車両の時間進行シミュレーションにおいて用いられ、前記FEAモデルは、1以上のグループを編成する複数の有限要素によって接続される複数のノードを有し、前記剛体壁定義は、前記剛体壁上の対応する空間的位置を表す1以上のセグメントを有するステップと、
詳細な剛体壁力(RWF)一覧を得ることが所望される前記グループのリストが定義されているか否かを判断するステップと、
前記リストが定義されていない場合に、前記車両の全ての構造部品を含めるよう前記リストを生成するステップと、
前記リスト内の1以上の前記グループに対して、各前記ノードについて1以上の寄与重み係数を計算するステップと、
時間に関する複数のソリューションサイクルを含む、前記時間進行シミュレーションを開始するステップと、
各前記ソリューションサイクルにおいて、ノードタイプに応じて各前記ノードのノード力寄与を計算し、対応する前記寄与重み係数で修正された、計算された前記ノード力寄与を、前記セグメントの対応する1つについて、前記グループの対応する1つの詳細な前記RWF一覧へと集計するステップと、
前記時間進行シミュレーションの完了後、詳細な前記RWF一覧を提供するステップと、
を有する、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項16】
請求項15に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記寄与重み係数は、各前記ノードを所定のスキームで共有する前記グループに対するそれぞれの重み係数を含んでいる、
非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項17】
請求項16に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記所定のスキームは、各前記ノードを共有する前記グループの数に基づいている、
非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項18】
請求項15に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記の、対応する前記寄与重み係数で修正された、計算された前記ノード力寄与を、詳細な前記RWF一覧へと収集するステップは、さらに、
ノード寄与重み係数で修正された、計算された前記ノード力寄与を、各前記セグメントに対し、前記剛体壁と接触する1以上の前記ノードを含む各前記グループに関して合計するステップと、
特定セグメントの剛体壁力を、前記特定セグメントに接触する全ての前記ノードについて、ノード寄与重み係数で修正された、計算された前記ノード力寄与を合計することにより取得するステップと、
前記セグメントの全てについて、前記剛体壁力の全てを合計することにより、総剛体壁力を取得するステップと、
特定グループによって前記剛体壁に与えられる力の合計を、前記特定グループによって前記セグメントの全てに与えられる力を合計することにより取得するステップと、
を含んでいる、
非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項19】
請求項15に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、前記ノードタイプが、各前記ノードが適切なノード質量でモデル化されていることを示す場合、前記ノード力寄与は、
FNODE=MNODE(A+−A−)
で計算され、
FNODEは前記ノード力寄与を表すベクトルであり、
MNODEはスカラーのノード質量であり、
A+は前記剛体壁との接触後のノード加速度ベクトルを表し、
A−は前記剛体壁との接触前のノード加速度ベクトルを表している、
非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項20】
請求項15に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、前記ノードタイプが、ペナルティ法によって、各前記ノードがノード質量なしでモデル化されていることを示す場合、前記ノード力寄与は、
FNODE=Fn+Ft
Fn=(KΔu)n
で計算され、
FNODEは前記ノード力寄与を表すベクトルであり、
Fnは前記剛体壁に垂直な前記ノード力寄与の法線部分を表し、
Kは前記ペナルティ法においてノード質量なしでモデル化されている各前記ノードにおいて割り当てられた剛性を表し、
Δuは、前記剛体壁を通る、ノード質量なしでモデル化されている各前記ノードのノード貫通を表し、
nは前記剛体壁に対する単位法線ベクトルを表し、
Ftは、摩擦オプションが前記時間進行シミュレーションにおいて有効である場合の、前記法線部分に直交する摩擦力を表している、
非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、コンピュータ支援工学解析に関する。本発明は、特に、剛体壁と衝突する車両(例えば自動車)の時間進行シミュレーションにおいて詳細な剛体壁力一覧を提供する方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ支援工学(CAE)が、多くのタスクにおいてエンジニアを支援するために用いられている。例えば、構造体あるいは製品の設計の処理手続において、CAE解析、特に有限要素解析法(FEA)が、種々の荷重条件(例えば、静的あるいは動的な荷重条件)下での応答(例えば応力、変位など)を評価するために、しばしば用いられている。最も重要なコンピューターシミュレーションのうちの1つに、剛体壁と衝突する車両のシミュレーションがある。剛体壁は、静止している場合も、動いている場合もある。一般的に、車両は、空間に固定された剛体壁に向かって移動する。しかしながら、自動車の屋根が押し潰されるシミュレーションの際には、剛体壁が静止している自動車に向かって移動する。このようなシミュレーションは、ユーザが安全性の要件を満たす自動車を設計するのを支援するために利用できる。収集すべき重要な情報の一つは、自動車と剛体壁との衝突によって生じる剛体壁力(RWF:Rigid Wall Force)である。剛体壁力一覧の合計は、従来技術アプローチに示されているような数値シミュレーションにおいて提供される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、よりよい自動車を設計および/または構築するために、自動車技術者は総剛体壁力の空間的分布を知りたいと考えるであろう。物理的な模型衝突試験においては、一般的に、剛体壁のセグメントにそれぞれ取り付けられた多数のロードセルが、空間的力分布(つまり剛体壁上の種々の位置すなわちセグメントにおけるRWF)を決定するために取り付けられている。しかしながら、この力分布情報からは、各車両構造部品がどのように総剛体壁力に寄与するかに関して詳細な情報が得られない。車両構造は複雑であるため、そのような詳細な情報は、実験では取得できない。設計技術者は、この情報を、構造部品の設計および変更において、車両における荷重経路を決定するために用いる。したがって、剛体壁と衝突する車両の時間進行数値シミュレーションにおいて、詳細な剛体壁力一覧を提供する方法およびシステムが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この章は、本発明のいくつかの面を要約することを目的とし、いくつかの好適な実施形態を簡潔に紹介するものである。この章の目的が曖昧になることを避けるため、この章においては、要約およびここでの発明の名称と同様に、簡略化あるいは省略が行われている場合がある。このような簡略化あるいは省略は、本発明の範囲を制限するものではない。
【0005】
剛体壁と衝突する車両の時間進行シミュレーションにおいて詳細な剛体壁力一覧を提供する方法およびシステムを提供する。本発明の1の態様では、車両の演算モデル(例えば有限要素解析(FEA)モデル)および剛体壁定義が、有限要素解析アプリケーションモジュールがインストールされたコンピュータシステムに受け取られる。FEAモデルは、グループを編成する有限要素によって接続される多数のノードを有する。剛体壁は、剛体壁に取り付けられたロードセルに対応する、1以上のセグメントを有する。詳細な剛体壁力(RWF)一覧を得ることが所望されるグループのリスト(つまり、ノードのリスト、有限要素のリスト、車両の構造部品(例えばバンパーまたはバンパーの一部)など)が、ユーザ(つまり、自動車の設計および/または製造に携わる技術者および/または科学者)によって定義される。グループのそれぞれは、任意の数の剛体壁セグメントと相互に作用できる。定義されたグループのリストがない場合、デフォルト(初期設定)リストを生成できる(例えば、リストにFEAモデルの全ての構造部品を含める)。FEAモデルにおけるそれぞれのノードに対して、寄与重み係数が計算される。ノードがリストの1つのグループのみに属する場合、寄与重み係数は1である(つまり、ノード力のRWFへの寄与は、全てそのグループへのものとなる)。ノードが2以上のグループによって共有されている場合、各グループに対応する寄与重み係数が計算される。一実施形態において、寄与重み係数はノードを共有するグループの数によって決定される。他の実施形態においては、寄与重み係数は、グループ間の比(例えば面積比、質量比または体積比)によって決定される。
【0006】
剛体壁と衝突する自動車の時間進行シミュレーションは、FEAモデルを用いて行われる。各ソリューションサイクルにおいて、ノードタイプに応じてそれぞれのノードについてノード力寄与(nodal force contribution)が計算される。その後、剛体壁のそれぞれのセグメントについて、ノード寄与重み係数で修正された、計算されたノード力寄与が、セグメントと接触する1以上のノードを有する各グループに対して合計される。総セグメント力は、セグメントに接触している全てのノードの、ノード寄与重み係数で修正されたノード力寄与を合計することにより決定される。剛体壁に作用する力の合計は、セグメント力の合計である。1のグループによって剛体壁に与えられる力の合計は、1のグループによってそれぞれのセグメントに与えられる力を合計することにより求められる。全体の詳細なRWF一覧(例えば、特定セグメントに対する1の特定グループのRWF時間履歴)が提供される。
【0007】
本発明の一の目的は、自動車衝突の数値シミュレーションにおいて、車両のそれぞれの部品(つまり詳細なRWF一覧を得ることが望まれている有限要素のグループ)から剛体壁のそれぞれの空間的位置(つまりセグメント)に対して寄付する力の詳細な内訳を得ることにある。
【0008】
本発明の他の、目的、特徴および利点は、添付した図面を参照し、以下の本発明の一実施形態の詳細な説明を考察することで、明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明のこれらおよび他の、特徴、態様および利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲および添付した図面によって、より一層理解されるであろう。図面は次の通りである。
【
図1A】剛体壁と衝突する例示的な自動車を示す概略平面図である。
【
図1B】剛体壁と衝突する例示的な自動車を示す概略側面図である。
【
図1C】剛体柱と衝突する例示的な自動車を示す概略図である。
【
図1D】剛体角部と衝突する例示的な自動車を示す概略図である。
【
図2A】本発明の一実施形態に係る、多数のロードセルが配置された例示的な剛体壁を示す図である。
【
図2B】本発明の一実施形態に係る、
図2Aのロードセルの一つにそれぞれ対応する多数のセグメントを有する剛体壁定義を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る、多数のグループで構成される車両の例示的な有限要素解析モデルを示す概略図である。
【
図4A】本発明の一実施形態に係る、2以上のグループの有限要素によって共有される種々の例示的なノードを示す概略図である。
【
図4B】本発明の一実施形態に係る、2以上のグループの有限要素によって共有される種々の例示的なノードを示す概略図である。
【
図4C】本発明の一実施形態に係る、2以上のグループの有限要素によって共有される種々の例示的なノードを示す概略図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る、例示的な詳細な剛体壁力一覧を示す図である。
【
図6A】
図6Aは、
図6Bと共に、本発明の一実施形態に係る、剛体壁と衝突する車両の時間進行シミュレーションにおける詳細な剛体壁力一覧を提供する例示的なプロセスを示すフローチャートである。
【
図6B】
図6Bは、
図6Aと共に、本発明の一実施形態に係る、剛体壁と衝突する車両の時間進行シミュレーションにおける詳細な剛体壁力一覧を提供する例示的なプロセスを示すフローチャートである。
【
図7】本発明の一実施形態を実現可能である、例示的なコンピュータシステムの主要な構成を示す機能図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明においては、本発明の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記述される。しかしながら、本発明をこれらの具体的な詳細によらなくとも実現できることは、当業者にとって明らかである。ここでの説明および表現は、当該技術で経験のある者すなわち当業者が彼らの仕事を他の当業者に最も効果的に伝えるために用いる通常の手段である。他の事例で、よく知られている方法、手順、および構成は、本発明の態様が不必要に不明瞭となることを回避するために、詳細には説明しない。
【0011】
ここで言及する「一実施形態」あるいは「ある実施形態」は、その実施形態に関して説明される特定の特徴、構造あるいは特性を、本発明の少なくとも1つの実施形態に含めることができるということを意味する。本明細書において記載される「一実施形態において」という語は、全てが同一の実施形態を言及しているものである必要はなく、また、他の実施形態とは相互に排他的な、別のあるいは代替的な実施形態である必要もない。さらに、本発明の1つ以上の実施形態を表わすプロセスフローチャートあるいはプロセス図におけるブロックの順序は、本質的に、いかなる特定の順序も示すものではなく、また、本発明におけるいかなる限定も意味するものでもない。
【0012】
本発明の実施形態を、
図1Aから
図7を参照して、ここに説明する。しかしながら、ここで行われるこれらの図面を参照した詳細な説明は、例示を目的とするものであって、当業者には、本発明がこれらの限られた実施形態よりも広いことを容易に認識するであろう。
【0013】
剛体壁と衝突する車両の時間進行シミュレーションにおける詳細な剛体壁力(RWF)一覧を提供する方法およびシステムを開示する。
図1A〜
図1Bは、剛体壁104と衝突する例示的な自動車102の、概略的な、平面図および側面図である。このような衝突イベントの時間進行シミュレーションは、アプリケーションモジュール(例えば有限要素解析ソフトウェアパッケージ)がインストールされたコンピュータシステムにおいて行われる。剛体壁104を平面壁として示す。当業者であれば、他のタイプの剛体壁、例えば、
図1Cに示す剛体柱114、
図1Dに示す剛体角部116などを利用可能であることは理解されるであろう。
図2Aは、多数のロードセル212が配置された例示的な剛体壁210を示す。それぞれのセグメント222a〜222nを含む対応する剛体壁定義(rigid wall definition)220を
図2Bに示す。また、剛体壁は静止している場合と動いている場合のいずれの場合もある。一般的に、正面衝突のシミュレーションにおいては、車両は、空間に固定された剛体壁へと運動する。しかしながら、屋根の押し潰しシミュレーションにおいては、運動する剛体壁が用いられる。
【0014】
図6Aを参照して、本発明の一実施形態にかかる、剛体壁と衝突する車両の時間進行シミュレーションにおける詳細な剛体壁力一覧を提供する例示的なプロセス600を示すフローチャートを説明する。プロセス600は、好ましくはソフトウェアで実行される。
【0015】
プロセス600は、ステップ602で、コンピュータシステム(例えば
図7のコンピュータシステム700)が、車両(例えば自動車)を表す有限要素解析(FEA)モデルと剛体壁定義とを受けとることによりスタートする。FEAモデルは、時間進行シミュレーションを用いた衝突イベントにおける車両の構造挙動を取得するために用いられる。コンピュータシステムには、有限要素解析アプリケーションモジュールがインストールされている。FEAモデルは、グループを編成する複数の有限要素によって接続される複数のノードを含む。それぞれのグループは、ノードのリスト、有限要素のリスト、構造部品または部品の一部を含むことができる。一実施形態において、それぞれのグループは車両の部品を表す。例えば、
図3に示すように、例示的な車両のFEAモデル300は、有限要素のグループ(明示的には描画せず)によって編成される。このような分割スキームにより、詳細なRWF一覧に、各グループからの寄与を含めることができる。さらに、
図3に、バンパー311、フェンダ312、車体313、ホイール314、およびエンジンフード315を示されている。同じことを達成するために、他のスキームを利用することも可能である。例えば、バンパー311を、2つ以上のグループ(つまり構造部品の一部)へと分割することもできる。
【0016】
次に判断ステップ604において、詳細な剛体壁力一覧を得ることが所望されるグループのリストがユーザによって定義されているか否かが判断される。定義されていない場合、ステップ606において、グループのリストが所定のスキームで生成される(例えば、FEAにおける各部品を1のグループに含める)。定義されている場合、プロセス600は、「yes」に従ってステップ608へと分岐し、FEAモデルの全てのノードに対して、寄与重み係数が割り当てられる、又は、計算される。1つのグループのみに属するノードには、単一寄与重み係数(1.0)が割り当てられる。リスト内の2つ以上のグループに共有されるノードに対しては、所定のスキームを用いて、例えば、ノードを共有するグループの数に基づくスキーム、ノードを共有するグループ間の比に基づくスキーム等により、対応する重み係数が計算される。
【0017】
複数のグループによって共有されるノードでは、各グループがそのノードに割り当てた重み係数の合計が1となる。
図4Aは、2つのノード412a〜412bを共有している2つのグループ410a〜410bを示している。
図4Bは、いくつかのノード422a〜422dを共有している3つのグループ420a〜420cを示している。
図4Cは、ノード432a〜432eを共有している4つのグループ430a〜430dを示している。基準としてノードを共有するグループの数を用いる場合、隣接するグループ410a〜410bへの寄与がそれぞれ50%であるので、ノード412a〜412bの寄与重み係数は50%である。
図4Bに示す例では、それぞれの隣接グループへの寄与重み係数は、ノード422a〜422cでは50%であり、ノード422dでは33%である。
図4Cに示す例では、それぞれの隣接グループへの寄与重み係数は、ノード432a〜432dでは50%であり、ノード432eでは25%である。
【0018】
面積比または体積比が計算の基礎として用いられる場合、ノード422dの寄与重み係数は、グループ420aおよび420bについては25%とでき、グループ420cについて50%とできる。同様に、ノード422bおよび422cの寄与重み係数は、グループ420aおよび420bについてはそれぞれ33%とでき、グループ420cについては67%とできる。
【0019】
次に、ステップ610において、剛体壁と衝突する車両の時間進行シミュレーションが、FEAモデルおよび剛体壁定義を用いて行われる。時間進行シミュレーションは、時間に関する複数のソリューションサイクルを含んでいる。各ソリューションサイクルでは、ステップ612において、FEAモデルにおける各ノードのノード力寄与が、ノードタイプに応じて計算される。その後、計算されたノード力寄与は、対応するグループおよびセグメントに関する、詳細なRWF一覧へと集計される前に、対応する重み係数で修正される。一実施形態では、
図6Bに示すように、ステップ612aにおいて、剛体壁のそれぞれのセグメントについて、ノード寄与重み係数で修正された、計算されたノード力寄与が、セグメントと接触する1以上のノードを含む各グループに対して合計される。ステップ612bにおいて、総セグメント力は、セグメントに接触している全てのノードのノード寄与重み係数で修正されたノード力寄与を合計することにより決定される。ステップ612cにおいて、剛体壁に作用する力の合計は、セグメント力の合計である。ステップ612dにおいて、あるグループによって剛体壁に与えられる力の合計は、グループによって各セグメントに与えられる力を合計することで求められる。
【0020】
ノード力寄与ベクトルは、時間進行シミュレーションにおいて摩擦オプションが有効である(つまり、摩擦がシミュレーションに含まれている)場合には、剛体壁に垂直な力と、摩擦成分を表す2つの接線力と、を有する。以下の式が、ノード力寄与の計算に用いられる。
【0021】
適切なノード質量でモデル化された通常のノードに対して、
F
NODE=M
NODE(A
+−A
−)
である。
ここでは:
F
NODEはノード力寄与ベクトルである。
M
NODEはスカラーのノード質量である。
A
+は剛体壁との接触後のノード加速度ベクトルである。
A
−は剛体壁との接触前のノード加速度ベクトルである。
【0022】
ペナルティ法(penalty formulation)において正確なノードの質量なしでモデル化されているノード(例えば、剛体におけるノード)に対して、
F
NODE=F
n+F
t
F
n=(KΔu)
n
である。
ここでは:
F
NODEはノード力寄与ベクトルである。
F
nは剛体壁に垂直なノード力寄与である。
Kはペナルティ法において割り当てられた剛性(つまり、ペナルティ)である。
Δuは、剛体壁を通るノード(つまり、正確なノードの質量なしでモデル化されたノード)の貫通(penetration)である。
nは剛体壁に対する単位法線ベクトルである。
F
tは法線力に直交する摩擦力である(シミュレーションにおいて摩擦オプションがシミュレーションにおいて有効である場合に含められる)。
【0023】
一実施形態において、剛体におけるノードに対して割り当てられる剛性は、剛体の材料特性によって決定される。
【0024】
最後に、ステップ614において、時間進行シミュレーションの終了後、詳細なRWF一覧が提供される。詳細なRWF一覧を種々の形式で提供できる。1の例として、
図5に時間に対する剛体壁力を示す。異なる3つのグループを、スタックカーブ(stacked curves)として示す。総剛体壁力は曲線510として示され、曲線512および514は剛体壁の2つの異なるセグメント(つまり2つの別の空間的位置)における力寄与を示す。他の実施形態において、特定のセグメントに対する有限要素の特定グループのRWF時間履歴を用いることもできる(図示せず)。さらに他の実施形態において、全てのセグメントと相互作用する単一のグループのRWF時間履歴を用いることもできる(図示せず)。そして、プロセス600は、終了する。
【0025】
一の態様において、本発明は、ここに説明した機能を実行可能な1以上のコンピュータシステムに対してなされたものである。コンピュータシステム700の一例を、
図7に示す。コンピュータシステム700は、プロセッサ704のようなプロセッサを1つ以上有する。プロセッサ704は、コンピュータシステム内部通信バス702に接続されている。種々のソフトウェアの実施形態を、この例示的なコンピュータシステムに関して説明する。この説明を見れば、関連する技術分野に習熟している者には、いかにして他のコンピュータシステムおよび/またはコンピューターアーキテクチャーを用いて本発明を実行するかが明らかである。
【0026】
コンピュータシステム700は、また、メインメモリ708好ましくはランダムアクセスメモリ(RAM))を有しており、そして補助メモリ710を有することもできる。補助メモリ710は、例えば、1つ以上のハードディスクドライブ712、および/または、フレキシブルディスクドライブ、磁気テープドライブ、光ディスクドライブなどを表わす1つ以上のリムーバブルストレージドライブ714を含むことができる。リムーバブルストレージドライブ714は、よく知られている方法で、リムーバブルストレージユニット718を読み出し、および/または、リムーバブルストレージユニット718に書き込む。リムーバブルストレージユニット718は、リムーバブルストレージドライブ714によって読み出し・書き込みされるフレキシブルディスク、磁気テープ、光ディスクなどを表わす。上記の内容からわかるように、リムーバブルストレージユニット718は、コンピューターソフトウェアおよび/またはデータを内部に記憶している、コンピュータ可読媒体を有している。
【0027】
代替的な実施形態では、補助メモリ710は、コンピュータプログラムあるいは他の命令をコンピュータシステム700にロードすることを可能にする他の同様な手段を有することもできる。そのような手段は、例えば、リムーバブルストレージユニット722とインタフェース720とを有してもよい。そのようなものの例には、プログラムカートリッジおよびカートリッジのインタフェース(ビデオゲーム機に見られるようなものなど)や、リムーバブルメモリチップ(消去可能なプログラマブルROM(EPROM(Erasable Programmable Read-Only Memory))、USB(Universal Serial Bus)フラッシュメモリ、あるいはPROM(Programmable Read-Only Memory)など)および関連するソケットや、リムーバブルストレージユニット722からコンピュータシステム700にソフトウェアおよびデータを転送することを可能にする他のリムーバブルストレージユニット722およびインタフェース720が含まれうる。一般に、コンピュータシステム700は、プロセススケジューリング、メモリ管理、ネットワーキングおよびI/O(Input/Output)サービスなどのタスクを行なうオペレーティングシステム(OS)ソフトウェアによって、制御され連係される。
【0028】
通信インタフェース724も、バス702に接続することができる。通信インタフェース724は、コンピュータシステム700と外部装置との間で、ソフトウェアおよびデータを転送することを可能にする。通信インタフェース724の例には、モデム、ネットワークインタフェイス(イーサネット(登録商標)・カードなど)、コミュニケーションポート、PCMCIA(Personal Computer Memory Card International Association)スロットおよびカードなど、が含まれうる。
【0029】
コンピュータシステム700は、特定のセットの規則(つまりプロトコル)に基づいて、データネットワーク上の他の演算装置と通信する。一般的なプロトコルのうちの1つは、インターネットにおいて一般に用いられているTCP/IP(伝送コントロール・プロトコル/インターネット・プロトコル)である。一般に、通信インタフェース724は、データファイルをアセンブルしてデータネットワーク上で伝達される小さいパケットに変換することを管理し、あるいは受信したパケットを逆アセンブルして元のデータファイルに変換することを管理する。さらに、通信インタフェース724は、パケットが正しい宛先に届くよう、それぞれのパケットのアドレス部を処理し、あるいはコンピュータシステム700が宛先となっているパケットをインターセプトする。
【0030】
本明細書において、「コンピュータが記録可能な記憶媒体」、「コンピュータが記録可能な媒体」および「コンピュータ可読媒体」という語は、通常、リムーバブルストレージドライブ714、および/または、ハードディスクドライブ712に組み込まれたハードディスクなどの媒体の意味で用いられる。これらのコンピュータプログラム製品は、コンピュータシステム700にソフトウェアを提供する手段である。本発明は、このようなコンピュータプログラム製品に対してなされたものである。
【0031】
コンピュータシステム700は、また、コンピュータシステム700をモニタ、キーボード、マウス、プリンタ、スキャナ、プロッタなどにアクセスさせる入出力(I/O)インタフェース730を有してもよい。
【0032】
コンピュータプログラム(コンピュータ制御ロジックともいう)は、メインメモリ708および/または補助メモリ710にアプリケーションモジュール706として記憶される。コンピュータプログラムは、通信インタフェース724を介して受け取られてもよい。このようなコンピュータプログラムが実行された時、コンピュータプログラムによって、コンピュータシステム700がここに説明される本発明の特徴を実行することが可能になる。詳細には、コンピュータプログラムが実行された時、コンピュータプログラムによって、プロセッサ704が本発明の特徴を実行することが可能になる。したがって、このようなコンピュータプログラムは、コンピュータシステム700のコントローラを表わしている。
【0033】
ソフトウェアを用いて発明が実行される実施形態においては、ソフトウェアをコンピュータプログラム製品に記憶でき、リムーバブルストレージドライブ714、ハードディスクドライブ712あるいは通信インタフェース724を用いてコンピュータシステム700へとロードすることができる。アプリケーションモジュール706は、プロセッサ704によって実行された時、プロセッサ704に、ここに説明される本発明の機能を実行させる。
【0034】
所望のタスクを達成するために、I/Oインタフェース730を介したユーザ入力によって、あるいは、ユーザ入力によることなしに、1つ以上のプロセッサ704によって実行することができる1つ以上のアプリケーションモジュール706を、メインメモリ708に、ロードすることもできる。動作中、少なくとも1つのプロセッサ704がアプリケーションモジュール706のうちの1つを実行すると、結果が演算されて補助メモリ710(つまりハードディスクドライブ712)に記憶される。時間進行シミュレーションの状況(例えば衝突の結果など)が、テキスト表現あるいはグラフィック表現で、I/Oインタフェース730を介してユーザに報告される。
【0035】
本発明を、具体的な実施形態を参照しながら説明したが、これらの実施形態は単なる例示であって、本発明を限定するものではない。具体的に開示された例示的な実施形態に対する種々の変更あるいは変形を、当業者は思いつくであろう。例えば、グループの全てをデフォルトリストに含める所定の方法を説明し例示したが、他の同等な方法、例えば関心のある特定のグループを含める方法を用いて同じことを達成することもできる。さらに、1の例示的なグループ化方法のみを
図3において示したが、FEAモデルを無数の方法で分割できる。さらに、いくつかの例示的な寄与重み係数を説明し例示した。しかし、同じことを達成するために、他の方法を用いることもできる。最後に、詳細なRWF一覧の一例のみを
図5において示した。しかし、詳細なRWF一覧を提示する他の手段を、テキスト形式またはグラフィック形式で用いることもできる。つまり、本発明の範囲は、ここで開示した具体的で例示的な実施形態に限定されず、当業者が容易に想到するあらゆる変更が、本願の精神および範囲、そして添付の特許請求の範囲の権利範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0036】
102 自動車
104 剛体壁
114 剛体柱
116 剛体角部
210 剛体壁
212 ロードセル
220 剛体壁定義
222a〜222n セグメント
300 車両のFEAモデル
311 バンパー
312 フェンダ
313 車体
314 ホイール
315 エンジンフード
410a〜410b グループ
412a〜412b ノード
420a〜420c グループ
422a〜422d ノード
430a〜430d グループ
432a〜432e ノード
700 コンピュータシステム
702 バス
704 プロセッサ
706 モジュール
708 メインメモリ(RAM)
710 補助メモリ
712 ハードディスクドライブ
714 リムーバブルストレージドライブ
718 リムーバブルストレージユニット
720 インタフェース
722 リムーバブルストレージユニット
724 通信インタフェース
730 I/Oインタフェース