(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1(a)に、本発明に係る実施形態の表示装置内に表示部が格納されている状態の斜視図を示し、
図1(b)に、表示装置の表示部がチルトを開始する状態の斜視図を示し、
図1(c)に、表示装置の表示部が所望の角度にチルトされ映像を表示する状態の斜視図を示す。
【0030】
図1(c)に示すように、本発明に係る実施形態の表示装置1は、例えば車両に乗った運転者がコンバイナ2を好みの角度に調整してコンバイナ2に投影される映像を目視するものである。
表示装置1は、前記したコンバイナ、鏡を介してフロントガラスに映像を投影するヘッドアップディスプレイや、コンバイナに映像を表示してフロントガラスへは投影しないポップアップディスプレイ、その他に適用されるものである。
【0031】
実施形態の表示装置1は、ポップアップディスプレイを例に説明を行う。
表示装置1のポップアップディスプレイは、車両のダッシュボード等に縦型に搭載される。表示装置1のコンバイナ2が格納場所(
図1(a)参照)から上方にスライドしてきて表示位置に到達する(
図1(b)参照)と、運転者から目視しやすい角度になるように、第1ピニオンシャフトs1(
図2参照)を中心にチルト動作を行う(
図1(c)参照)。
【0032】
コンバイナ2は、未使用時には、
図1(a)に示すように、本体部1H内に格納された状態にある。
そして、運転者が、スイッチ(図示せず)を入れることで、
図1(a)の格納状態から、
図1(a)の矢印α1に示すように、本体部1H内からコンバイナ2が上昇し、
図1(b)に示す上昇停止位置(チルト開始位置)に突出される。
【0033】
そして、運転者が、チルト調整スイッチ(図示せず)を用いて、コンバイナ2のチルト角度を調整(
図1(c)の矢印α2参照)してコンバイナ2を見易い位置に調整する。
つまり、表示装置1は、映像を投影するためのコンバイナ2が格納位置から表示位置(
図1(b)参照)へ移動した後、運転者が映像を視認しやすい角度にコンバイナ2がチルトするための機構に特徴がある。
【0034】
図2に、
図1(c)の表示装置の本体部内を見たA方向矢視図を示す。
図3に、表示装置の要部の分解斜視図を示す。
図4(a)に
図3のコンバイナサポートのB方向矢視図を示し、
図4(b)に
図4(a)のD方向矢視図を示す。
【0035】
<コンバイナ2およびコンバイナサポート3>
図2に示すように、コンバイナ2は、雄ネジn1を用いて、コンバイナプレート2pを介してコンバイナサポート3(
図4参照)に固定されている。コンバイナ2は、コンバイナサポート3がキャリッジ4に押圧されて上昇するとともにチルトが行われる構成である。そして、コンバイナサポート3は、左右のネジリばね5a、5bにより、左右のカム9a、9bに近付くように付勢され、左右のカム9a、9bが後記の第1ピニオンシャフトs1に接触する(
図7参照)ように弾性力を受けている。
【0036】
図4(a)に示すように、コンバイナサポート3の両側端部には、コンバイナサポート3の移動時の軌跡を両側部で案内する一対の円柱状の案内ボス3bが外側方に向けて突設されている。
また、コンバイナサポート3は、円状の貫通孔3jに第1ピニオンシャフトs1が回動自在に嵌入されている。
【0037】
コンバイナサポート3には、一対の長穴3kが左右に形成されている。一対の長穴3k内には、キャリッジ4の一対の案内ボス4b(
図3参照)が嵌合されている。キャリッジ4が移動することにより、一対の案内ボス4bからそれぞれ長穴3kを介して、キャリッジ4の駆動力がコンバイナサポート3に伝達され、コンバイナサポート3の上下動およびチルト動作が行われる。
【0038】
図4(b)に示すように、コンバイナサポート3の下部には、ネジリばね5a、5bの各係合部5a1、5b1が係合されるばね被係合部3s1、3s2が形成されている(
図8(b)参照)。
図3に示すように、第1ピニオンシャフトs1の両端部には、それぞれ不図示のDカットが形成されている。なお、Dカットとは、第1ピニオンシャフトs1を軸に垂直な方向に半分を越える肉を残して、軸方向に平面でカットしたものである。
【0039】
Dカットのさらに側端縁には、中央部よりも細い径の細径部s1aがそれぞれ形成されている。第1ピニオンシャフトs1の細径部s1aは、後記の第1・第2ガイドレール6、7のピニオンシャフト案内溝7bに嵌入されて、コンバイナサポート3とともに第1ピニオンシャフトs1が、上下移動する際に前後方向(運転者側とフロントガラス側と)にぶれない(移動しない)ように案内する。
【0040】
第1ピニオンシャフトs1の両端部の各Dカットの箇所には、第1ピニオンp1がそれぞれ嵌入されている。第1ピニオンシャフトs1の両端部の第1ピニオンp1は、第1ピニオンシャフトs1が上下動する際に、第1・第2ガイドレール6、7のラック6c、7cにそれぞれ螺合して回転することで、第1ピニオンシャフトs1の左右の同期をとる働きをする。
【0041】
第1ピニオンp1の中心部には、第1ピニオンシャフトs1のDカットの箇所が嵌入されるDカットが形成される取り付け孔p1aが、第1ピニオンシャフトs1のDカットの箇所より若干大きい寸法を有して形成されている。
左右の第1ピニオンp1が、第1ピニオンシャフトs1の両端部のDカットの箇所に嵌入されることにより、左右の第1ピニオンp1の同期をとる位置決めがなされる。
【0042】
<モータ5とリードスクリュー5nとキャリッジ4>
図3に示すように、表示装置1の本体部1H内には、キャリッジ4の駆動源となるモータ5が搭載されている。モータ5の軸5jには、雄ネジが螺刻されるリードスクリュー5nが固定されている。
【0043】
リードスクリュー5nは、一方端が第1固定部材5n1を介して、モータ5の軸5jに固定されるとともに、他方端が1H−1を挿通して第2固定部材5n2によって回動自在に支持されている。
【0044】
<キャリッジ4>
図5(a)に、
図3のキャリッジ4を斜め上方から見た斜視図を示し、
図5(b)に、
図3のキャリッジ4を斜め下方から見た斜視図を示す。
【0045】
雄ネジが螺刻されたリードスクリュー5nには、
図3に示すように、キャリッジ4内に配置されるナット部4nが螺合されている。これにより、モータ5が稼働して、リードスクリュー5nが回転することにより、キャリッジ4が上方(
図2の矢印α1)または下方(
図2の矢印α3)に移動することとなる。
【0046】
キャリッジ4は、リードスクリュー5nの回転により移動してコンバイナサポート3に力を加える。これにより、キャリッジ4は、コンバイナ2の上下動(
図1(a)の矢印α1、
図1(b)の矢印α3参照)とコンバイナ2のチルト動作(
図1(c)の矢印α2参照)とを行わせる部材である。
【0047】
図2、
図3に示すように、本体部1H内の中央部には、キャリッジ4が上下方向に移動する際に、上下方向に案内する案内シャフト4jが配設されている。キャリッジ4には、案内シャフト4jに摺動自在に案内される長穴の案内孔4a(
図5(a)、(b)参照)が貫設されている。
【0048】
キャリッジ4の両側部には、コンバイナサポート3の一対の長穴3kにそれぞれ嵌合して、コンバイナサポート3の上下動作、チルト動作を行わせる一対の案内ボス4bが外側方に突出して形成されている。キャリッジ4の駆動力は、前記したように、コンバイナサポート3の一対の長穴3kにそれぞれ嵌合した案内ボス4bにより、コンバイナサポート3に伝達される。
【0049】
キャリッジ4の左右案内孔4cには、第2ピニオンシャフトs2が左右方向に挿通されている。キャリッジ4は第2ピニオンシャフトs2に回動自在または摺動自在に嵌合されている。
【0050】
<第2ピニオンシャフトs2>
図3に示すように、第2ピニオンシャフトs2の両端部には、Dカットs2aが形成されている。なお、Dカットs2aとは、第1ピニオンシャフトs1を軸に垂直な方向に半分を越える肉を残して、軸方向に平面でカットしたものである。
【0051】
Dカットs2aのさらに側端縁には、中央部より径が細い細径部s2bが形成されている。細径部s2bは、後記の第1・第2ガイドレール6、7のピニオンシャフト案内溝7bに嵌入されて、キャリッジ4とともに第2ピニオンシャフトs2が、上下移動する際に前後方向(運転者側とフロントガラス側と)にぶれない(移動しない)ように案内する。
【0052】
第2ピニオンシャフトs2には、
図3に示すように、左右のネジリばね5a、5bがまず挿通される。そして、第2ピニオンシャフトs2に、左右のカム9a、9bがそれぞれ下記のシャフト取り付け孔9a1、9b1が挿通して取り付けられる。
【0053】
<左右のカム9a、9b>
第2ピニオンシャフトs2に挿通された左右のネジリばね5a、5bは、コンバイナサポート3と左右のカム9a、9bとに係合される(
図8(b)参照)。これにより、左右のネジリばね5a、5bは、
図2に示すように、各々、コンバイナサポート3と左右のカム9a、9bとを付勢して、コンバイナサポート3に挿通する第1ピニオンシャフトs1と左右のカム9a、9bのシャフト案内面9a3、9b3とを圧接する。
【0054】
この構造により、コンバイナ2を支持する第1ピニオンシャフトs1は、左右のカム9a、9bが圧接することで常に支持される。これにより、第1ピニオンシャフトs1が安定化され、コンバイナ2のブレがなくなり、コンバイナ2をブレがなく円滑かつ安定に移動させることができる。
【0055】
カム9a、9bは、左右対称な形状をもつので、カム9bについてのみ説明を行い、カム9aに関する説明は省略する。
図6(a)に、
図2に示すカム9bの斜視図を示し、
図6(b)に、
図6(a)のE方向矢視図を示す。
【0056】
カム9bには、第2ピニオンシャフトs2が回転自在に挿通されるシャフト取り付け孔9b1が貫設されている。また、カム9bには、第2ガイドレール7のカム案内溝7aに嵌合するカム案内ボス9b2が円柱状に外方に突出した形状に形成されている。カム案内ボス9b2にカム案内溝7aに嵌合することで、カム9bが第2ピニオンシャフトs2とともに、上下動する際にカム9bの動き(軌道)が案内される。
【0057】
カム9bには、ネジリばね5bの係合部5b2が係合する凹状のばね係合部9b4が凹設されている。
また、カム9bには、ネジリばね5bの弾性力により第1ピニオンシャフトs1に当接して、第1ピニオンシャフトs1のブレを抑制するシャフト案内面9b3が曲率を有した形状に形成されている。
上述したように、カム9a、9bのシャフト案内面9a3、9b3が第1ピニオンシャフトs1に圧接される。これにより、第1ピニオンシャフトs1がカム9a、9bのシャフト案内面9a3、9b3で支持され、第1ピニオンシャフトs1に支持されるコンバイナ2のブレや振動が抑制され、コンバイナ2が安定化する。
なお、コンバイナ2の上下動およびチルト動作に際して、第1ピニオンシャフトs1はカム9a、9bのシャフト案内面9a3、9b3上を摺動する。
なお、シャフト案内面9b3の曲率は、円の曲率でもよいし、円以外の曲率でもよい。
【0058】
<第2ピニオンp2>
第2ピニオンシャフトs2の両端部の各Dカットs2aの箇所には、第2ピニオンp2がそれぞれ嵌入されている。第2ピニオンシャフトs2の両端部の第2ピニオンp2は、第2ピニオンシャフトs2が上下動する際に、第2ピニオンシャフトs2が第1・第2ガイドレール6、7のラック6c、7cに螺合して回転する。これにより、第2ピニオンp2は、第2ピニオンシャフトs2の左右の同期をとる働きをする。
【0059】
図3に示すように、第2ピニオンp2の中心部には、第2ピニオンシャフトs2のDカットs2aの箇所が嵌入されるDカットが形成される取り付け孔p2aが、第2ピニオンp2シャフトs2のDカットs2aの箇所より若干大きい寸法を有して形成されている。
左右の第2ピニオンp2が、第2ピニオンシャフトs2の両端部のDカットs2aの箇所に嵌入されることにより、左右の第2ピニオンp2の同期をとる位置決めがなされる。
【0060】
<第1・第2ガイドレール6、7>
図2、
図3に示すように、本体部1H内の両側部には、コンバイナサポート3、後記の第1・第2ピニオンシャフトs1、s2、および左右のカム9a、9bのそれぞれの前後方向(
図2の紙面奥側、
図2の紙面手前側)の位置がぶれないように上下方向に案内する左右の第1・第2ガイドレール6、7が配設されている。
【0061】
第1・第2ガイドレール6、7は、左右対称な形状であるので、第2ガイドレール7を参照しつつ主に説明し、第1ガイドレール6の説明は省略する。
第2ガイドレール7には、カム9bの軌道を案内するカム用の凹溝であるカム案内溝7aが形成されている。
【0062】
カム案内溝7aは、上下方向に直線状に形成される第1カム案内溝7a1と第1カム案内溝7a1の上端縁に連続してフロントガラス側に傾斜して直線状に形成される第2カム案内溝7a2とを有している。
【0063】
第1・第2カム案内溝7a1、7a2に隣接して、第1・第2ピニオンシャフトs1、s2を上下方向に直線状に案内する凹溝であるピニオンシャフト案内溝7bが、上下方向に直線状に凹設されている。
【0064】
ピニオンシャフト案内溝7bに隣接して、ラック7cが上下方向に直線状に形成されている。
ラック7cに隣接して、コンバイナサポート3の案内ボス3bが嵌合される凹状のサポート案内溝7dが凹設されている。サポート案内溝7dは、上下方向に直線状に延びてコンバイナ2が上下動する際に案内ボス3bを案内する上下動案内溝7d1と、コンバイナ2がチルト動作する際に案内ボス3bを案内するチルト案内溝7d2とを有している。
【0065】
第1ガイドレール6は、第2ガイドレール7と左右対称であるので、第2ガイドレール7のカム案内溝7a、ピニオンシャフト案内溝7b、ラック7c、およびサポート案内溝7dとそれぞれ同様なカム案内溝6a、ピニオンシャフト案内溝6b、ラック6c、およびサポート案内溝6dを有している。
【0066】
<コンバイナ2を駆動する構成の概要>
以上説明したコンバイナ2を駆動する構成をまとめると以下のようになる。
コンバイナ2を移動させる主な部材としては、コンバイナサポート3とキャリッジ4と左右のカム9a、9bとがある。
コンバイナサポート3はコンバイナ2が直接固定される。
【0067】
キャリッジ4は、コンバイナサポート3を押したり引いたりしてコンバイナ2を上下動、チルト動作などをさせる搬送部材である。
左右のカム9a、9bは、コンバイナサポート3が挿通される第1ピニオンシャフトs1に対して圧接されて第1ピニオンシャフトs1(コンバイナ2)を安定的に支持する。
【0068】
図2に示すように、キャリッジ4は、モータ5の稼働によりリードスクリュー5nが回転することにより上下方向(
図2の矢印α1、α3方向)に移動する。なお、リードスクリュー5nにより直接駆動されるのは、キャリッジ4のみである。
キャリッジ4には、案内シャフト4jが案内孔4aを挿通しており、案内シャフト4jにより傾斜しないように上下方向に案内される。
【0069】
また、キャリッジ4には、第1・第2ガイドレール6、7のラック6c、7cに螺合して回転する第2ピニオンp2が両端部にそれぞれ固定される第2ピニオンシャフトs2が挿通している。第2ピニオンシャフトs2の両端部の第2ピニオンp2が第1・第2ガイドレール6、7のラック6c、7cに螺合して回転することで、左右方向の同期がとられている。なお、第2ピニオンシャフトs2の両端の細径部s2bは、第1・第2ガイドレール6、7のピニオンシャフト案内溝7bに嵌入されて上下方向に案内される。
【0070】
第2ピニオンシャフトs2には、左右のカム9a、9bが挿通されている。左右のカム9a、9bは、第2ピニオンシャフトs2の移動により、駆動される。左右のカム9a、9bは、カム案内ボス9a2、9b2がそれぞれ第1・第2ガイドレール6、7のカム案内溝6a、7aに嵌入され、左右のカム9a、9bの軌道が案内される。
【0071】
左右のカム9a、9bは、それぞれ左右のネジリばね5a、5bにより、第1ピニオンシャフトs1に押圧され、第1ピニオンシャフトs1は左右のカム9a、9bに支持されて移動することとなる。
【0072】
第1ピニオンシャフトs1の両端部には左右の第1ピニオンp1が固定されており、第1ピニオンp1が第1・第2ガイドレール6、7のラック6c、7cに螺合して回転することで、第1ピニオンシャフトs1の左右の同期がとられる。
【0073】
第1ピニオンシャフトs1には、コンバイナサポート3が挿通されている。
コンバイナサポート3の一対の長穴3k(
図4(a)参照)には、キャリッジ4の一対の案内ボス4bが嵌入されている。そのため、キャリッジ4の一対の案内ボス4bが移動することで一対の長穴3kが押圧され、コンバイナサポート3はキャリッジ4の駆動力により、上下動およびチルト動作することとなる。
【0074】
ここで、左右のカム9a、9bとコンバイナサポート3とは左右のネジリばね5a、5bにより互いに密接するよう付勢される。これにより、コンバイナサポート3に挿通する第1ピニオンシャフトs1に左右のカム9a、9bがそれぞれ圧接している。
【0075】
これにより、コンバイナサポート3が挿通される第1ピニオンシャフトs1が、左右のカム9a、9bに拘束される。そのため、コンバイナサポート3に一体的に固定されるコンバイナ2の上下動の動作(
図1(a)、(b)参照)および第1ピニオンシャフトs1を中心軸とするチルト動作(
図1(c)参照)が安定して遂行される。
【0076】
<コンバイナ2の未使用状態から使用状態への流れ>
次に、コンバイナ2の未使用状態から使用状態の流れ、換言すればコンバイナ2の上動およびチルト動作の流れについて説明する。
図7に、コンバイナが本体部に格納された状態のキャリッジ、コンバイナサポート、およびカムとともに表示装置の内部構成を示す
図1(a)のF方向矢視図を示す。なお、
図7では、コンバイナ2、キャリッジ4、コンバイナサポート3、およびカム9a、9bなどの形状は簡略化して示している。
【0077】
コンバイナ2の未使用状態においては、コンバイナ2は本体部1H内にある。
そして、コンバイナ2を支持するコンバイナサポート3の各長穴3k(
図4(a)参照)には、キャリッジ3一対の案内ボス3b(
図3参照)が嵌合されている。一方、コンバイナサポート3の案内ボス3b(
図4(b)参照)は、第1・第2ガイドレール6、7のカム案内溝6d、7dに嵌合されている。
【0078】
第1・第2ピニオンシャフトs1、s2は、ピニオンシャフト案内溝7bに嵌合されている。
カム9aのシャフト案内面9a3は、第1ピニオンシャフトs1にネジリばね5aにより圧接されている(
図7の矢印γ1参照)。カム9aのカム案内ボス9a2は、カム案内溝7aに嵌合している。
【0079】
そして、コンバイナ2の使用が開始されると、モータ5の稼働が開始され、リードスクリュー5nが回転し、リードスクリュー5nに噛み合うカム部を有するキャリッジ4は上方に移動する。キャリッジ4が上方に移動すると(
図7の矢印α1参照)、キャリッジ4の一対の案内ボス4b(
図5(a)参照)がコンバイナサポート3の一対の長穴3k(
図4(a)参照)に嵌合されていることから、一対の案内ボス4bに一対の長穴3kがそれぞれ上方に押圧されて、コンバイナサポート3が上方に移動する。
【0080】
図8(a)に、コンバイナが上方に移動中の表示装置の内部構成を斜視図に示し、
図8(b)に、
図8(a)のG方向矢視拡大図を示す。
図9(a)、(b)、および(c)に、それぞれコンバイナが上昇中、コンバイナの上昇が終了してチルト開始時、コンバイナのチルト終了時の表示装置の内部構成を示す
図1(a)のF方向矢視図を示す。
【0081】
一方、左右の一対のカム9a、9bには、キャリッジ4に挿通される第2ピニオンシャフトs2が挿通しているため、カム9a、9bもキャリッジ4とともに上方に移動する。この際、第2ピニオンシャフトs2が挿通するカム9a、9bは、第1ピニオンシャフトs1にネジリばね5aにより圧接されている。そのため、第1ピニオンシャフトs1は、カム9aのシャフト案内面9a3に支持され、ぶれることなくまたは振動することなく安定して上方に移動する。これにより、
図8(a)の矢印α1、
図9(a)に示すように、コンバイナサポート3に固定されるコンバイナ2は、上方に移動する。
【0082】
なお、第1ピニオンシャフトs1の上方および下方への移動時には、第1ピニオンシャフトs1の両端部に取り付けられる第1ピニオンp1が、それぞれ第1・第2ガイドレール6、7のラック6c、7c(
図8(a)、(b)参照)に螺合して回転することで、第1ピニオンシャフトs1の同期がとられている。
【0083】
同様に、第2ピニオンシャフトs2の上方および下方への移動時には、第2ピニオンシャフトs2の両端部に取り付けられるピニオンp2が、それぞれ第1・第2ガイドレール6、7のラック6c、7cに螺合して回転することで、第2ピニオンシャフトs2の同期がとられている。
【0084】
図9 (a)に示すように、キャリッジ4の案内ボス4bは、コンバイナサポート3の長穴3kに嵌合されているため、案内ボス4bにより長穴3kが上方に向けて押圧され、コンバイナサポート3がコンバイナ2とともに上昇する。
【0085】
カム9には、キャリッジ4に挿通される第2ピニオンシャフトs2が挿通されているため、カム9aはキャリッジ4とともに上昇する。カム9aのシャフト案内面9a3はネジリばね5aにより第1ピニオンシャフトs1に圧接されているため、コンバイナサポート3に挿通される第1ピニオンシャフトs1はカム9aのシャフト案内面9a3に拘束(支持)されつつ、上昇する。つまり、第1ピニオンシャフトs1の上昇中、第1ピニオンシャフトs1は、カム9aのシャフト案内面9a3の上を摺動する。
【0086】
第1ピニオンシャフトs1の上方または下方への移動時、第1ピニオンシャフトs1の両端部に設置される第1ピニオンp1は、第1・第2ガイドレール6、7のラック6c、7cに噛み合って移動し、第1ピニオンシャフトs1の左右の同期がとられている。
同様に、第2ピニオンシャフトs2の上方または下方への移動時、第2ピニオンシャフトs2の両端部に設置される第2ピニオンp2は、第1・第2ガイドレール6、7のラック6c、7cに噛み合って移動し、第2ピニオンシャフトs2の左右の同期がとられている。
【0087】
図10に、コンバイナの上昇が終了時、換言すればチルト開始時のコンバイナサポート、キャリッジ、カムなどの構成の
図1(a)のF方向拡大矢視図を示す。
そして、
図9 (b)、
図10に示すように、コンバイナサポート3に挿通される第1ピニオンシャフトs1がピニオンシャフト案内溝7bの上端縁7b1に至る。すると、第1ピニオンシャフトs1の上方への移動が停止するとともに、第1ピニオンシャフトs1が挿通するコンバイナサポート3の上方への移動が停止される。
【0088】
同時に、コンバイナサポート3の一対の案内ボス3bは、それぞれ第1・第2ガイドレール6、7のサポート案内溝6d、7dの屈曲部6d3、7d3に至る。同時に、カム9aのカム案内ボス9a2は、カム案内溝7aの屈曲部6a3、7a3に至る。
【0089】
図11に、コンバイナのチルト中のコンバイナサポート、キャリッジ、カムなどの構成の
図1(a)のF方向拡大矢視図を示す。
そして、リードスクリュー5nがさらに回転すると、
図11に示すように、第1ピニオンシャフトs1は、ピニオンシャフト案内溝7bの上端縁7b1に当接したままで停止状態を継続する。この際、第1ピニオンシャフトs1は、一方側をカム9aのシャフト案内面9a3により上方に力が加えられるとともに、他方側をカム9bのシャフト案内面9b3により上方に力が加えられ、停止位置でカム9a、9bにより安定的に支持される。
【0090】
一方、コンバイナサポート3の一対の案内ボス3bは、第1・第2ガイドレール6、7の各チルト案内溝6d2、7d2近傍を斜め上方に向けて移動する。
また、キャリッジ4は、さらに上方に向けて移動を続けるため、キャリッジ4の一対の案内ボス4bがそれぞれコンバイナサポート3の一対の長穴3kを上方に押し上げる。
【0091】
これにより、第1ピニオンシャフトs1が挿通されるコンバイナサポート3は、第1ピニオンシャフトs1を中心に、
図9(c)、
図11の矢印α2方向に傾動し、コンバイナサポート3に固定されるコンバイナ2は、
図9(c)、
図11の矢印α2方向にコンバイナサポート3と一体に傾動する。この際、カム9aは、第2ピニオンシャフトs2により上方に力を受けるが、カム案内ボス9a2、9b2がそれぞれ第1・第2ガイドレール6、7の直線状に形成される第2カム案内溝6a2、7a2を移動し、
図11の矢印β1のように回転移動する。この間、第1ピニオンシャフトs1はカム9a、9bのシャフト案内面9a3の上を摺動し、カム9a、9bのシャフト案内面9a3、9b3による支持が継続される。
【0092】
このように、コンバイナ2およびコンバイナサポート3の回転中心となる第1ピニオンシャフトs1は、カム9a、9bのシャフト案内面9a3、9b3により、ピニオンシャフト案内溝7bの上端縁7b1に当接するように支持される。そのため、コンバイナ2およびコンバイナサポート3は、第1ピニオンシャフトs1を回転中心に安定したチルト動作を行うことができる。
【0093】
図12に、コンバイナのチルト動作が終了した際のコンバイナサポート、キャリッジ、カムなどの構成の
図1(a)のF方向拡大矢視図を示す。
そして、キャリッジ4がさらに上方に移動すると、
図12に示すように、コンバイナサポート3の一対の案内ボス3bは、第1・第2ガイドレール6、7の各チルト案内停止溝6d4、7d4に当接して、コンバイナサポート3およびコンバイナ2の傾動動作は停止される。
これにより、コンバイナ2は、
図2に示すようなチルトした状態となる。
【0094】
なお、上記説明では、コンバイナ2のチルトを、
図12の最終的な傾動終了までを行う場合を例示したが、ユーザの所望の
図10〜
図12に示すコンバイナ2の角度の間で任意の角度をコンバイナ2のチルト角度とすることができる。
【0095】
<コンバイナ2の使用時から未使用時への流れ>
図12のコンバイナ2の使用状態から、ユーザがコンバイナ2の未使用状態へのスイッチ(図示せず)を押下する。すると、コンバイナ2の使用状態となる逆の経過(
図12〜
図10、
図9(c)、(b)、(c))を辿って、
図1(a)に示すコンバイナ2が収納状態とされる。
【0096】
具体的には、
図12、
図9(c)の状態から、ユーザがコンバイナ2の未使用状態へのスイッチ(図示せず)を押下すると、リードスクリュー5nはコンバイナ2のチルト状態から逆回転される。
【0097】
すると、キャリッジ4のナット部4nにより、キャリッジ4は、
図12の矢印α3方向に移動する。キャリッジ4の矢印α3方向の移動により、キャリッジ4の一対の案内ボス4bによってコンバイナサポート3の一対の長穴3kが下方に押され、コンバイナ2およびコンバイナサポート3が、矢印α4のように傾動状態が元に戻される。
【0098】
同時に、キャリッジ4に挿通する第2ピニオンシャフトs2が下方(矢印α3方向)に移動する。
左右のカム9a、9bは、第2ピニオンシャフトs2が挿通されるため、第2ピニオンシャフトs2とともに下方(矢印α3方向)に移動する。この際、第1ピニオンシャフトs1は、左右のネジリばね5a、5bにより左右のカム9a、9bに当接するように付勢されており、案内溝上端6a1、7b1とカム斜面9a3、9b3に拘束されている。
【0099】
このような状態で、リードスクリュー5nが逆回転を継続することで、コンバイナ2は、
図11の矢印α4のように、チルト状態から戻され、
図10、
図9(b)に示すチルト開始の状態に戻される。
【0100】
その後、リードスクリュー5nはさらに逆回転することで、キャリッジ4のナット部4nにより、キャリッジ4は、
図10、
図9(b)の矢印α3方向(下方向)に移動する。これによって、キャリッジ4の一対の案内ボス4bによってコンバイナサポート3の一対の長穴3kが下方に押され、コンバイナ2およびコンバイナサポート3も、
図10、
図9(b)の矢印α3方向(下方向)に移動する。
【0101】
同時に、キャリッジ4に挿通する第2ピニオンシャフトs2も下方(
図10、
図9(b)の矢印α3方向)に移動する。すると、第2ピニオンシャフトs2が挿通する左右のカム9a、9bが、
図10、
図9(b)の矢印α3方向(下方向)に移動し、左右のカム9a、9bに接触するように付勢される第1ピニオンシャフトs1は、左右のカム9a、9bに圧接されつつ下方(
図10、
図9(b)の矢印α3方向)に移動する。
【0102】
そして、リードスクリュー5nがさらに逆回転して、コンバイナ2は、
図9(a)に示す表示装置1内に格納される初期位置に戻される。
【0103】
以上、まとめると本実施形態(本発明)の特徴部分としては以下の通りである。
(1).コンバイナ2の垂直移動時(
図9(a)、(b)参照)はキャリッジ4と、第1ピニオンシャフトs1が挿通されるコンバイナサポート3が、その一対の長穴3kとキャリッジ4の一対のボス4bとの係合および左右のカム9a、9bの圧接により一体となって動作する。そして、垂直移動終了後、コンバイナサポート3は上方への移動を停止するが、キャリッジ4は引き続き上方への移動継続する
【0104】
(2).移動を継続するキャリッジ4の一対のボス4bによってコンバイナサポート3の一端(一対の長穴3k)が押されることでコンバイナ2が第1ピニオンシャフトs1廻りにチルトする。
従って、コンバイナ2の垂直移動およびチルト動作を同一の駆動源で行え、垂直移動とチルト動作が独立して行える。
【0105】
(3).コンバイナ2のチルト角度はキャリッジ4の移動量によって定めることができる。
【0106】
(4).コンバイナ2のチルト動作の回転支点の第1ピニオンシャフトs1は、左右のカム9a、9bによって下方から支持され安定的に定位置に保持される。これにより、コンバイナ2のチルト動作は動作安定性を保ち、表示装置を設置した機器の振動によるコンバイナ2の揺れを防ぐことができる。
【0107】
(5).また、コンバイナ2が固定されるコンバイナサポート3を挿通する第1ピニオンシャフトs1は、左右のカム9a、9bによって下方から常に支持されるので、コンバイナ2の移動が振動による揺れを抑制または防ぎつつ行うことができる。
【0108】
(6).また、被移動体のキャリッジ4を移動させる手段として、リードスクリュー5nとナット部とを用いているので、キャリッジ4の位置保持力が確実である。
従って、表示装置1の表示部であるコンバイナ2の位置が安定し、表示部のコンバイナ2の映像が良好に提供できるチルト機構およびこれを備えた表示装置1を実現できる。
【0109】
<<変形例>>
図13に、変形例のキャリッジの案内ボスが係合されるコンバイナサポートの一対の長穴の配置を表わす
図12相当の模式図を示す。
変形例は、
図13に示すように、キャリッジ4の案内ボス4bが係合されるコンバイナサポート3の一対の長穴3kを、コンバイナ2およびコンバイナサポート3がチルトする角度θの中立位置(θ/2)に沿って形成したものである。
【0110】
これにより、キャリッジ4の案内ボス4bからのコンバイナ2およびコンバイナサポート3をチルトさせる力が最も効果的にキャリッジ4の案内ボス4bからコンバイナサポート3およびコンバイナ2に伝達することができる。
【0111】
<<その他の実施形態>>
(1).なお、本施形態のラック(6c、7c)アンドピニオン(p1、p2)部については、コンバイナ2の移動におい水平性を保つための補助である。そのため、コンバイナ2の移動において水平性を保てれば他の手段で代替してもよい。
【0112】
(2).同じく、第2ピニオンシャフトs2に設けられた左右のネジリばね5a、5bは、コンバイナ2の防振性や振れを高めるためにコンバイナ2と一体に固定されるコンバイナサポート3に挿通される第1ピニオンシャフトs1に左右のカム9a、9bを圧接させて支持する役割を果たしている。
【0113】
そのため、左右のカム9a、9bを第1ピニオンシャフトs1に圧接して第1ピニオンシャフトs1を支持できれば、引張ばねなど他の弾性材を用いてもよい。なお、引張ばねにすると、つけ忘れがなく、取り付け作業が容易である。
【0114】
なお、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能であり、本発明の範囲内で様々な修正と変更が可能である。すなわち、本発明の具体的形態は、発明の趣旨を変更しない範囲において適宜、任意に変更可能である。