(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6267614
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】エンジンの水冷装置
(51)【国際特許分類】
F01P 7/16 20060101AFI20180115BHJP
F01P 11/16 20060101ALI20180115BHJP
F01P 5/10 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
F01P7/16 502B
F01P7/16 502J
F01P11/16 D
F01P7/16 502A
F01P5/10 C
F01P7/16 502E
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-198029(P2014-198029)
(22)【出願日】2014年9月29日
(65)【公開番号】特開2016-70113(P2016-70113A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2016年12月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 直也
(72)【発明者】
【氏名】小山 秀行
(72)【発明者】
【氏名】後藤 英之
(72)【発明者】
【氏名】長井 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】中野 正
【審査官】
齊藤 彬
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−125932(JP,A)
【文献】
特開2010−236484(JP,A)
【文献】
特開2002−339749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01P 7/16
F01P 5/10
F01P 11/16
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダヘッド(5)内のヘッド内冷却水ジャケット(12)と、サーモスタット(1)と、バイパス通路(4)と、ラジエータ(18)と、冷却水ポンプ(3)を備え、
ヘッド内冷却水ジャケット(12)のエンジン冷却水(15)が、ラジエータ(18)を迂回するバイパス通路(4)を経て冷却水ポンプ(3)に還流され、サーモスタット(1)で検出されたエンジン冷却水(15)の水温が所定値を超えた場合には、サーモスタット(1)により、ヘッド内冷却水ジャケット(12)のエンジン冷却水(15)が、ラジエータ(18)を経て冷却水ポンプ(3)に還流されるように構成された、エンジンの水冷装置において、
サーモスタット(1)がシリンダヘッド(5)内のサーモスタット室(8)に収容され、
サーモスタット室(8)はシリンダヘッド(5)前部内に設けられ、サーモスタット室(8)のラジエータ(18)側の出口(11)がサーモスタット室(8)の前側に開口され、ラジエータ(18)側の出口(11)の開口周縁部(11a)にサーモスタット(1)の取付フランジ(1c)が着座されて取り付けられ、開口周縁部(11a)の上側部分(11b)にサーモスタット室(8)からラジエータ(18)側へのエア抜き部(11c)が形成されている、ことを特徴とするエンジンの水冷装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたエンジンの水冷装置において、
サーモスタット室(8)のラジエータ(18)側の出口(11)にベント管(2)が取り付けられ、ベント管(2)はラジエータ側の出口(11)から前向きに導出されながら上側に折り曲げられ、ベント管(2)の下側周壁(2a)に水温検出装置(2b)が取り付けられている、ことを特徴とするエンジンの水冷装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載されたエンジンの水冷装置において、
バイパス通路(4)はシリンダヘッド(5)内のヘッド内バイパス通路(4a)を備えている、ことを特徴とするエンジンの水冷装置。
【請求項4】
シリンダヘッド(5)内のヘッド内冷却水ジャケット(12)と、サーモスタット(1)と、バイパス通路(4)と、ラジエータ(18)と、冷却水ポンプ(3)を備え、
ヘッド内冷却水ジャケット(12)のエンジン冷却水(15)が、ラジエータ(18)を迂回するバイパス通路(4)を経て冷却水ポンプ(3)に還流され、サーモスタット(1)で検出されたエンジン冷却水(15)の水温が所定値を超えた場合には、サーモスタット(1)により、ヘッド内冷却水ジャケット(12)のエンジン冷却水(15)が、ラジエータ(18)を経て冷却水ポンプ(3)に還流されるように構成された、エンジンの水冷装置において、
サーモスタット(1)がシリンダヘッド(5)内のサーモスタット室(8)に収容され、
バイパス通路(4)はシリンダヘッド(5)内のヘッド内バイパス通路(4a)を備え、
サーモスタット室(8)はシリンダヘッド(5)の横一側部の前部内に設けられ、冷却水ポンプ(3)はシリンダブロック(6)の幅方向中央部でシリンダブロック(6)の前壁(6c)に取り付けられ、
ヘッド内バイパス通路(4a)はサーモスタット室(8)の後方から冷却水ポンプ(3)の後上方に至る幅方向通路部分(4c)を備えている、ことを特徴とするエンジンの水冷装置。
【請求項5】
請求項3に記載されたエンジンの水冷装置において、
サーモスタット室(8)はシリンダヘッド(5)の横一側部の前部内に設けられ、冷却水ポンプ(3)はシリンダブロック(6)の幅方向中央部でシリンダブロック(6)の前壁(6c)に取り付けられ、
ヘッド内バイパス通路(4a)はサーモスタット室(8)の後方から冷却水ポンプ(3)の後上方に至る幅方向通路部分(4c)を備えている、ことを特徴とするエンジンの水冷装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載されたエンジンの水冷装置において、
幅方向通路部分(4c)の天井面(4d)はサーモスタット室(8)の後方に向かって上り傾斜している、ことを特徴とするエンジンの水冷装置。
【請求項7】
請求項3から請求項6のいずれかに記載されたエンジンの水冷装置において、
バイパス通路(4)は、シリンダブロック(6)内のブロック内バイパス通路(4e)を備え、ブロック内バイパス通路(4e)はヘッド内バイパス通路(4a)と連通している、ことを特徴とするエンジンの水冷装置。
【請求項8】
シリンダヘッド(5)内のヘッド内冷却水ジャケット(12)と、サーモスタット(1)と、バイパス通路(4)と、ラジエータ(18)と、冷却水ポンプ(3)を備え、
ヘッド内冷却水ジャケット(12)のエンジン冷却水(15)が、ラジエータ(18)を迂回するバイパス通路(4)を経て冷却水ポンプ(3)に還流され、サーモスタット(1)で検出されたエンジン冷却水(15)の水温が所定値を超えた場合には、サーモスタット(1)により、ヘッド内冷却水ジャケット(12)のエンジン冷却水(15)が、ラジエータ(18)を経て冷却水ポンプ(3)に還流されるように構成された、エンジンの水冷装置において、
サーモスタット(1)がシリンダヘッド(5)内のサーモスタット室(8)に収容され、
バイパス通路(4)はシリンダヘッド(5)内のヘッド内バイパス通路(4a)を備え、
バイパス通路(4)はエンジン外バイパス通路(4f)を備え、エンジン外バイパス通路(4f)はヘッド内バイパス通路(4a)と連通し、
エンジン外バイパス通路(4f)は、シリンダヘッド(5)と冷却水ポンプ(3)との間に介設された金属パイプで、エンジン外バイパス通路(4f)の一端部はシリンダヘッド(5)の前壁(5a)に内嵌されている、ことを特徴とするエンジンの水冷装置。
【請求項9】
請求項3から請求項6のいずれかに記載されたエンジンの水冷装置において、
バイパス通路(4)はエンジン外バイパス通路(4f)を備え、エンジン外バイパス通路(4f)はヘッド内バイパス通路(4a)と連通し、
エンジン外バイパス通路(4f)は、シリンダヘッド(5)と冷却水ポンプ(3)との間に介設された金属パイプで、エンジン外バイパス通路(4f)の一端部はシリンダヘッド(5)の前壁(5a)に内嵌されている、ことを特徴とするエンジンの水冷装置。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載されたエンジンの水冷装置において、
エンジン外バイパス通路(4f)の前側にエンジン冷却ファン(13)が配置され、エンジン冷却ファン(13)から後向きにエンジン冷却風(13a)が送風されるように構成され、
エンジン外バイパス通路(4f)の前側にエンジン冷却風(13a)の遮風壁(4g)が設けられている、ことを特徴とするエンジンの水冷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの水冷装置に関し、詳しくは、エンジンの暖機効率を高めることができる、エンジンの水冷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンの水冷装置として、次のものがある。
シリンダヘッド内のヘッド内冷却水ジャケットと、サーモスタットと、ボトムバイパス通路と、ラジエータと、冷却水ポンプを備え、
ヘッド内冷却水ジャケットのエンジン冷却水が、ラジエータを迂回するバイパス通路を経て冷却水ポンプに還流され、サーモスタットで検出されたエンジン冷却水の水温が所定値を超えた場合には、サーモスタットによりヘッド内冷却水ジャケットのエンジン冷却水が、ラジエータを経て冷却水ポンプに還流されるように構成された、エンジンの水冷装置(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種の水冷装置によれば、寒冷時の暖機運転で、ヘッド内冷却水ジャケットのエンジン冷却水が、ラジエータを迂回するようにして、エンジンの暖機を促進することができる利点がある。
【0004】
しかし、特許文献1のものでは、サーモスタットがサーモスタットハウジングのサーモスタット室に収容され、サーモスタットハウジングがエンジン外に露出されているため、問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−98944号公報(
図1,2参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
《問題点》 エンジンの暖機効率が低い。
特許文献1のものでは、サーモスタットがサーモスタットハウジングのサーモスタット室に収容され、サーモスタットハウジングがエンジン外に露出されているため、エンジン冷却水がサーモスタット室を通過する時に放熱され、その水温が低下し、エンジンの暖機効率が低い。
【0007】
本発明の課題は、エンジンの暖機効率を高めることができるエンジンの水冷装置を提供することにある。
【0008】
本発明の発明者らは、研究の結果、サーモスタットがシリンダヘッド内のサーモスタット室に収容されている場合には、エンジン冷却水がサーモスタット室を通過する時にシリンダヘッドの熱を受け、その水温の低下が抑制され、エンジンの暖機効率を高めることができる点に着目し、この発明に至った。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(請求項1,4,8に係る発明に共通する発明特定事項)
図1(B)に例示するように、シリンダヘッド(5)内のヘッド内冷却水ジャケット(12)と、サーモスタット(1)と、バイパス通路(4)と、ラジエータ(18)と、冷却水ポンプ(3)を備え、
ヘッド内冷却水ジャケット(12)のエンジン冷却水(15)が、ラジエータ(18)を迂回するバイパス通路(4)を経て冷却水ポンプ(3)に還流され、サーモスタット(1)で検出されたエンジン冷却水(15)の水温が所定値を超えた場合には、サーモスタット(1)により、ヘッド内冷却水ジャケット(12)のエンジン冷却水(15)が、ラジエータ(18)を経て冷却水ポンプ(3)に還流されるように構成された、エンジンの水冷装置において、
図2(B)(C)に例示するように、サーモスタット(1)がシリンダヘッド(5)内のサーモスタット室(8)に
収容されている。
(請求項1に固有の発明特定事項)
図2(A)(B)に例示するように、サーモスタット室(8)はシリンダヘッド(5)前部内に設けられ、サーモスタット室(8)のラジエータ(18)側の出口(11)がサーモスタット室(8)の前側に開口され、ラジエータ(18)側の出口(11)の開口周縁部(11a)にサーモスタット(1)の取付フランジ(1c)が着座されて取り付けられ、開口周縁部(11a)の上側部分(11b)にサーモスタット室(8)からラジエータ(18)側へのエア抜き部(11c)が形成されている、ことを特徴とするエンジンの水冷装置。
(請求項4に固有の発明特定事項)
図2(A)(B)に例示するように、バイパス通路(4)はシリンダヘッド(5)内のヘッド内バイパス通路(4a)を備え、
サーモスタット室(8)はシリンダヘッド(5)の横一側部の前部内に設けられ、冷却水ポンプ(3)はシリンダブロック(6)の幅方向中央部でシリンダブロック(6)の前壁(6c)に取り付けられ、
ヘッド内バイパス通路(4a)はサーモスタット室(8)の後方から冷却水ポンプ(3)の後上方に至る幅方向通路部分(4c)を備えている、ことを特徴とするエンジンの水冷装置。
(請求項8に固有の発明特定事項)
図3(A)(B)に例示するように、バイパス通路(4)はシリンダヘッド(5)内のヘッド内バイパス通路(4a)を備え、
バイパス通路(4)はエンジン外バイパス通路(4f)を備え、エンジン外バイパス通路(4f)はヘッド内バイパス通路(4a)と連通し、
エンジン外バイパス通路(4f)は、シリンダヘッド(5)と冷却水ポンプ(3)との間に介設された金属パイプで、エンジン外バイパス通路(4f)の一端部はシリンダヘッド(5)の前壁(5a)に内嵌されている、ことを特徴とするエンジンの水冷装置。
【発明の効果】
【0010】
(請求項1に係る発明)
請求項1に係る発明は、次の効果を奏する。
《効果
1−1》 エンジンの暖機効率を高めることができる。
図2(B)(C)に例示するように、サーモスタット(1)がシリンダヘッド(5)内のサーモスタット室(8)に収容されているため、サーモスタット室(8)を通過するエンジン冷却水(15)がシリンダヘッド(5)の熱を受け、その水温の低下が抑制され、エンジンの暖機効率を高めることができる。
【0011】
《効果
1−2》 サーモスタットの水温検出精度が高い。
図2(B)(C)に例示するように、サーモスタット(1)がシリンダヘッド(5)内のサーモスタット室(8)に収容されているため、シリンダヘッド(5)の温度を反映するヘッド内冷却水ジャケット(12)内のエンジン冷却水(15)の水温をサーモスタット(1)で精度よく検出でき、サーモスタットの水温検出精度が高い。
【0012】
《効果
1−3》 サーモスタットの水温検出精度が高い。
図2(A)(B)に例示するように、サーモスタット室(8)はシリンダヘッド(5)前部内に設けられ、サーモスタット室(8)のラジエータ(18)側の出口(11)がサーモスタット室(8)の前側に開口され、ラジエータ(18)側の出口(11)の開口周縁部(11a)にサーモスタット(1)の取付フランジ(1c)が着座されて取り付けられ、開口周縁部(11a)の上側部分(11b)にサーモスタット室(8)からラジエータ(18)側へのエア抜き部(11c)が形成されているため、サーモスタット室(8)に溜まろうとするエアや水蒸気(11d)がエア抜き部(11c)からラジエータ(18)側に抜け、サーモスタット室(8)にエアや水蒸気(11d)が溜まりにくく、サーモスタット(1)の水温検出がエアや水蒸気(11d)で邪魔される不具合が抑制され、サーモスタット(1)の水温検出精度が高い。
【0013】
《効果
1−4》 エア抜き部が適正な上側の位置からずれることがない。
図2(A)(B)に例示するように、サーモスタット室(8)のラジエータ(18)側の出口(11)の開口周縁部(11a)の上側部分(11b)にサーモスタット室(8)からラジエータ(18)側へのエア抜き部(11c)が形成されているため、サーモスタット(1)にエア抜き部が形成されている場合とは異なり、サーモスタット(1)の取付時に取付フランジ(1c)の姿勢が周方向にずれた場合でも、エア抜き部(11c)が適正な位置の位置からずれることがない。
【0014】
(
請求項2に係る発明の効果)
請求項2に係る発明は、
請求項1に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 水温検出装置の水温検出精度が高い。
図2(A)(B)に例示するように、サーモスタット室(8)のラジエータ(18)側の出口(11)にベント管(2)が取り付けられ、ベント管(2)はラジエータ(18)側の出口(11)から前向きに導出されながら上側に折り曲げられ、ベント管(2)の下側周壁(2a)に水温検出装置(2b)が取り付けられているため、サーモスタット室(8)からエア抜き部(11c)を介してベント管(2)の上側周壁(2c)に抜けたエアや水蒸気(11d)は、水温検出装置(2b)には接触しにくく、水温検出装置
(2b)による水温検出がエアや水蒸気(11d)で邪魔される不具合が抑制され、水温検出装置(2b)の水温検出精度が高い。
【0015】
(
請求項3に係る発明)
請求項3に係る発明は、
請求項1または請求項2に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果
3》 エンジンの暖機効率を高めることができる。
図2(A)〜(C)に例示するように、バイパス通路(4)はシリンダヘッド(5)内のヘッド内
バイパス通路(4a)を備えているため、ヘッド内バイパス通路(4a)を通過するエンジン冷却水(15)がシリンダヘッド(5)の熱を受け、その水温の低下が抑制され、エンジンの暖機効率を高めることができる。
【0016】
(
請求項4に係る発明)
請求項4に係る発明は、
請求項1に係る発明の効果
1−1,1−2並びに請求項3に係る発明の効果3に加え、次の効果を奏する。
《効果
4》 エンジンの暖機効率を高めることができる。
図2(A)に例示するように、サーモスタット室(8)はシリンダヘッド(5)の横一側部の前部内に設けられ、冷却水ポンプ(3)はシリンダブロック(6)の幅方向中央部でシリンダブロック(6)の前壁(6c)に取り付けられ、ヘッド内バイパス通路(4a)は
サーモスタット室(8)の後方から冷却水ポンプ(3)の後上方に至る幅方向通路部分(4c)を備えているため、比較的長い幅方向通路部分(4c)を通過するエンジン冷却水(15)がシリンダヘッド(5)の熱を受け、エンジン冷却水(15)の水温の低下が抑制され、エンジンの暖機効率を高めることができる。
(請求項5に係る発明)
請求項5に係る発明は、請求項3に係る発明の効果に加え、請求項4に係る発明の効果4を奏する。
【0017】
(請求項6に係る発明)
請求項6に係る発明は、
請求項4または請求項5に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 エンジンの暖機効率を高く維持することができる。
図2(A)に例示するように、幅方向通路部分(4c)の天井面(4d)は
サーモスタット室(8)の後方に向かって上り傾斜しているため、シリンダヘッド(5)の熱を受けて幅方向通路部分(4c)で発生した水蒸気の泡は、幅方向通路部分(4c)の天井面(4d)に沿って
サーモスタット室(8)側に抜け、幅方向通路部分(4c)に水蒸気溜まりができにくい。このため、幅方向通路部分(4c)を通過するエンジン冷却水(15)へのシリンダヘッド(5)からの入熱が水蒸気溜まりで邪魔されず、エンジン冷却水(15)の水温の低下が抑制され、エンジンの暖機効率を高く維持することができる。
【0018】
(請求項7に係る発明)
請求項7に係る発明は、
請求項3から請求項6のいずれかに係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 エンジンの暖機効率を高めることができる。
図2(A)〜(C)に例示するように、バイパス通路(4)は、シリンダブロック(6)内のブロック内バイパス通路(4e)を備え、ブロック内バイパス通路(4e)はヘッド内バイパス通路(4a)と連通しているため、ブロック内バイパス通路(4e)を通過するエンジン冷却水(15)がシリンダブロック(6)の熱を受け、エンジン冷却水(15)の水温の低下が抑制され、エンジンの暖機効率を高めることができる。
【0019】
(請求項8に係る発明)
請求項8に係る発明は、
請求項1に係る発明の効果
1−1,1−2並びに請求項3に係る発明の効果3に加え、次の効果を奏する。
《効果
8》 エンジンの暖機効率を高めることができる。
図3(A)(B)に例示するように、バイパス通路(4)はエンジン外
バイパス通路(4f)を備え、エンジン外
バイパス通路(4f)はヘッド内バイパス通路(4a)と連通し、エンジン外バイパス通路(4f)は、シリンダヘッド(5)と冷却水ポンプ(3)との間に介設された金属パイプで、エンジン外バイパス通路(4f)の一端部はシリンダヘッド(5)の前壁(5a)に内嵌されているため、シリンダヘッド(5)の熱がエンジン外バイパス通路(4f)に伝達され、エンジン外バイパス通路(4f)を通過するエンジン冷却水(15)がシリンダヘッド(5)の熱を受け、エンジン冷却水(15)の水温の低下が抑制され、エンジンの暖機効率を高めることができる。
(請求項9に係る発明)
請求項9に係る発明は、請求項3または請求項6のいずれかに記載された発明の効果に加え、請求項8に係る発明の効果8を奏する。
【0020】
(
請求項10に係る発明)
請求項10に係る発明は、
請求項8または請求項9に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 エンジンの暖機効率を高めることができる。
図3(B)に例示するように、エンジン外
バイパス通路(4f)の前側にエンジン冷却風(13a)の遮風壁(4g)が設けられているため、エンジン外
バイパス通路(4f)内を通過するエンジン冷却水(15)が、エンジン冷却風(13a)で冷却されにくく、エンジン冷却水(15)の水温の低下が抑制され、エンジンの暖機効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係るエンジンの水冷装置を説明する模式図で、
図1(A)はエンジンの正面図、
図1(B)はエンジンの側面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るエンジンの水冷装置の要部拡大図で、
図2(A)は正面図、
図2(B)は
図2(A)のB−B線断面図、
図2(C)は
図2(B)のC−C線断面図である。
【
図3】本発明の実施形態で用いるボトムバイパス通路の変形例を説明する要部拡大図で、
図3(A)は正面図、
図3(B)は
図3(A)のB−B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1〜
図3は本発明の実施形態に係るエンジンの水冷装置を説明する図で、この実施形態では、立形多気筒ディーゼルエンジンの水冷装置について説明する。
【0023】
エンジンの概要は、次の通りである。
図1(A)(B)に示すように、シリンダブロック(6)の上部にシリンダヘッド(5)が組み付けられ、シリンダヘッド(5)の上部にシリンダヘッドカバー(19)が組み付けられ、シリンダブロック(6)の前部に調時伝動ケース(20)が組み付けられ、調時伝動ケース(20)の前方にエンジン冷却ファン(13)が配置され、シリンダブロック(6)の後部にフライホイール(21)が配置され、シリンダブロック(6)の下部にオイルパン(22)が組み付けられている。
シリンダブロック(6)は、上部のシリンダ部(6a)と下部のクランクケース(6b)とが一体化された鋳造物である。
この実施形態では、クランク軸(10)の架設方向を前後方向とし、その一方を前、他方を後とする。
【0024】
このエンジンの水冷装置の概要は、次の通りである。
図1(B)に示すように、水冷装置は、シリンダヘッド(5)内のヘッド内冷却水ジャケット(12)と、サーモスタット(1)と、バイパス通路(4)と、ラジエータ(18)と、冷却水ポンプ(3)を備えている。
この水冷装置では、ヘッド内冷却水ジャケット(12)のエンジン冷却水(15)が、ラジエータ(18)を迂回するバイパス通路(4)を経て冷却水ポンプ(3)に還流され、サーモスタット(1)で検出されたエンジン冷却水(15)の温度が所定値を超えた場合には、サーモスタット(1)により、ヘッド内冷却水ジャケット(12)のエンジン冷却水(15)が、ラジエータ(18)を経て冷却水ポンプ(3)に還流されるように構成されている。
【0025】
水冷装置の詳細は次の通りである。
図2(B)に示すように、この水冷装置には、シリンダブロック(6)内のシリンダ(16)の周囲にブロック内冷却水ジャケット(17)が形成され、ブロック内冷却水ジャケット(17)とヘッド内冷却水ジャケット(12)は相互に連通されている。冷却水ポンプ(3)はシリンダブロック(6)の前壁(6c)に取り付けられている。
図1(B)に示すように、ラジエータ(18)はシリンダブロック(6)の前方に配置されている。
【0026】
図2(B)(C)に示すように、サーモスタット(1)がシリンダヘッド(5)内のサーモスタット室(8)に収容されている。
サーモスタット室(8)はシリンダヘッド(5)の前部の幅方向一側部に形成され、幅方向一端側が入口(8a)とされ、ヘッド内冷却水ジャケット(12)と連通している。
【0027】
サーモスタット(1)はボトムバイパス形のものである。
図2(B)(C)に示すように、サーモスタット(1)は、ワックスタイプの横置き形のもので、取付フランジ(1c)にステー(24)を介して前後方向水平向きのニードル(25)が支持され、ニードル(25)にスライダ(26)が外嵌され、スライダ(26)内にワックス(図示せず)が収容され、スライダ(26)の前部にメイン弁(1b)が後部にボトムバイパス弁(1a)がそれぞれ取り付けられ、取付フランジ(23)にメイン弁口(図示せず)が設けられ、取付フランジ(1c)がサーモスタット室(8)のラジエータ(18)側の出口(11)に取り付けられている。取付フランジ(1c)は、ラジエータ(18)側の出口(11)の開口周縁部(11a)とベント管(2)との間に挟み付けられてラジエータ(18)側の出口(11)に取り付けられている。
なお、
図1(B)に示すように、ベント管(2)とラジエータ入口パイプ(18a)との間には冷却水導出パイプ(28)が介設され、
図1(A)(B)に示すように、ラジエータ出口パイプ(18b)と冷却水ポンプ(3)のサクション室(3a)のサクション室入口パイプ(3c)との間には冷却水導入パイプ(29)が介設されている。
【0028】
図2(B)(C)に示すように、このサーモスタット(1)では、スライダ(26)に接するエンジン冷却水(15)の温度が所定値未満の場合には、スライダ(26)内のワックスが固化して体積が縮小しているため、スライダ(26)がラジエータ(18)側の出口(11)寄りに保持され、メイン弁(1b)が閉弁され、ボトムバイパス弁(1a)が開弁され、ヘッド内冷却水ジャケット(12)のエンジン冷却水(15)がラジエータ(18)を迂回するパイパス
バイパス通路(4)を経て冷却水ポンプ(3)に短絡した後、ブロック内冷却水ジャケット(17)に流入し、ラジエータ(18)によるエンジン冷却水(15)の放熱が回避され、エンジンの暖機が促進される。
【0029】
スライダ(26)に接するエンジン冷却水(15)の温度が上昇してくると、スライダ(26)内のワックスが液化して体積が膨張するため、スライダ(26)がバイパス弁口(8b)寄りにスライドし、メイン弁(1b)が開弁され、ボトムバイパス弁(1a)の開度が小さくなり、
図1(B)に示すヘッド内冷却水ジャケット(12)のエンジン冷却水(15)が、ラジエータ(18)、冷却水ポンプ(3)、ブロック内冷却水ジャケット(17)の順に循環し、ラジエータ(18)によるエンジン冷却水(15)の放熱がなされる。
【0030】
図2(A)(B)に示すように、サーモスタット室(8)はシリンダヘッド(5)前部内に設けられ、サーモスタット室(8)のラジエータ(18)側の出口(11)がサーモスタット室(8)の前側に開口され、ラジエータ(18)側の出口(11)の開口周縁部(11a)にサーモスタット(1)の取付フランジ(1c)が着座されて取り付けられ、開口周縁部(11a)の上側部分(11b)にサーモスタット室(8)からラジエータ(18)側へのエア抜き部(11c)が形成されている。
エア抜き部(11c)は、ベント管(2)に向けて上り傾斜するガイド溝で構成されている。
【0031】
図2(A)(B)に示すように、サーモスタット室(8)のラジエータ(18)側の出口(11)にベント管(2)が取り付けられ、ベント管(2)はラジエータ(18)側の出口(11)から前向きに導出されながら上側に折り曲げられ、ベント管(2)の下側周壁(2a)に水温検出装置(2b)が取り付けられている。
水温検出装置(2b)は、水温スイッチであり、接触するエンジン冷却水(15)の水温が所定値を超えると、スイッチが入り、警告ランプが点灯し、エンジンのオーバーヒートを警告する。
ベント管(2)の上
側周壁(2c)は断面が山形に形成され、エア抜き部(11c)から抜けてきたエアや水蒸気(11d)がラジエータ(18)側に抜け易くなっている。
【0032】
図2(A)〜(C)に示すように、バイパス通路(4)はシリンダヘッド(5)内のヘッド内
バイパス通路(4a)を備えている。
【0033】
図2(A)に示すように、サーモスタット室(8)はシリンダヘッド(5)の横一側部の前部に設けられ、冷却水ポンプ(3)はシリンダブロック(6)の幅方向中央部でシリンダブロック(6)の前壁(6c)に取り付けられ、ヘッド内バイパス通路(4a)は
サーモスタット室(8)の後方から冷却水ポンプ(3)の後上方に至る幅方向通路部分(4c)を備えている。
【0034】
図2(A)に示すように、幅方向通路部分(4c)の天井面(4d)は
サーモスタット室(8)の後方に向かって上り傾斜している。
すなわち、幅方向通路部分(4c)の天井面(4d)は、ヘッド内バイパス通路(4a)の入口(4b)から後向きに導出された部分の導出端に向かって上り傾斜している。
【0035】
図2(A)(B)に示すように、バイパス通路(4)は、シリンダブロック(6)内のブロック内バイパス通路(4e)を備え備え、ブロック内バイパス通路(4e)はヘッド内バイパス通路(4a)と連通している。
バイパス通路(4)は、ヘッド内バイパス通路(4a)とブロック内バイパス通路(4e)とで一連に形成され、エンジン外には露出していない。
【0036】
図2(B)(C)に示すように、ヘッド内バイパス通路(4a)は、エンジン一側部にある入口(4b)から後向きに導出され、その導出端からエンジン中央部側に横向きに導出され、その導出端から前向きに導出され、その導出端からエンジン中央部側に横向きに導出され、その導出端から下向きに導出されている。
図2(A)(B)に示すように、ブロック内バイパス通路(4e)は、ヘッド内バイパス通路(4a)の下向きの終端から、更に下向きに導出され、その導出端から前向きに導出され、その導出端にあるバイパス通路(4)
の出口(4h)がシリンダブロック(6)の前壁(6c)に取り付けられた冷却水ポンプ(3)のサクション室(3a)の入口(3b)と連通している。
バイパス通路(4)の出口(4h)と冷却水ポンプ(3)のサクション室(3a)の入口(3b)は相互に重なり合って連通されている。
バイパス通路(4)の入口(4b)にはバイパス弁口(8b)が形成されている。
【0037】
次に、
図3(A)(B)に示すバイパス通路(4)の変形例について説明する。
この
図3(A)(B)に示すバイパス通路(4)はエンジン外
バイパス通路(4f)を備え、エンジン外
バイパス通路(4f)はヘッド内バイパス通路(4a)と連通している。
エンジン外バイパス通路(4f)は、シリンダヘッド(5)と冷却水ポンプ(3)との間に介設された金属パイプで、エンジン外バイパス通路(4f)の一端部はシリンダヘッド(5)の前壁(5a)に内嵌(圧入)されている。
【0038】
図3(B)に示すように、この変更例では、エンジン外
バイパス通路(4f)の前側にエンジン冷却ファン(13)が配置され、エンジン冷却ファン(13)から後向きにエンジン冷却風(13a)が送風されるように構成されている。
このバイパス通路(4)では、エンジン外
バイパス通路(4f)の前側にエンジン冷却風(13a)の遮風壁(4g)が設けられている。
シリンダヘッド(5)の前壁(5a)には前方への膨出部(5b)が形成され、この膨出部(5b)にエンジン外
バイパス通路(4f)の上端部が圧入されている。遮風壁(4g)は冷却水ポンプ(3)から上向きに導出されている。
【符号の説明】
【0039】
(1) サーモスタット
(2) ベント管
(2a) 下側周壁
(2b) 水温検出装置
(3) 冷却水ポンプ
(4) バイパス通路
(4a) ヘッド内バイパス通路
(4c) 幅方向通路部分
(4d) 天井面
(4e) ブロック内バイパス通路
(4f) エンジン外バイパス通路
(4g) 遮風板
(5) シリンダヘッド
(5a) 前壁
(6) シリンダブロック
(8) サーモスタット室
(11) 出口
(11a) 開口周縁部
(11b) 上側周縁部
(11c) エア抜きガイド部
(12) ヘッド内冷却水ジャケット
(13) エンジン冷却ファン
(13a) エンジン冷却風
(15) エンジン冷却水
(18) ラジエータ