(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記出力手段は、前記蓄電量推定手段により演算された前記推定蓄電量が前記蓄電装置の充電が必要な充電要求閾値に達したときに、前記蓄電装置の充電が必要である旨の注意情報として前記蓄電量低下情報を出力する構成としてなる請求項1に記載の建設機械の蓄電管理システム。
前記出力手段は、前記推定蓄電量または前記蓄電量低下情報を前記建設機械の管理者の端末に出力する構成としてなる請求項1または2に記載の建設機械の蓄電管理システム。
前記出力手段は、前記推定蓄電量または前記蓄電量低下情報を前記建設機械の管理者に対するメール送信として出力する構成としてなる請求項1,2または3に記載の建設機械の蓄電管理システム。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、以下に説明する複数の発明を包含する発明群に属する発明であり、以下に、その発明群の実施の形態について説明するが、そのうち段落番号[010
6]に記載されたなお書きが、本出願人が特許請求の範囲に記載した発明に対応するものである。
以下、本発明の実施の形態による建設機械の蓄電管理システムとして油圧ショベルの蓄電管理システムを例に挙げて、添付図面に従って説明する。
【0024】
図1ないし
図5は本発明の実施の形態を示している。
図1において、1は作業現場や待機場(保管場所)に停車した非稼働状態(非稼働中、停車中、停止中、保管中)の油圧ショベルを示している。30は地球低軌道に打上げられた複数のGPS(Global Positioning System)衛星を示している。31は、油圧ショベル1からの信号の通信中継局を示し、32は油圧ショベル1から離れた位置で油圧ショベル1の様々な管理を行う管理センタを示している。また、34はインターネット網を示し、35は油圧ショベル1の管理者の端末を示している。
【0025】
まず、建設機械としての油圧ショベル1について説明する。
【0026】
油圧ショベル1は、後述のエンジン5とアシスト発電モータ12とを備えたハイブリッド油圧ショベルである。この油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回装置を介して旋回可能に搭載された上部旋回体3と、上部旋回体3の前側に設けられ掘削作業等を行う多関節構造の作業装置4とにより構成されている。このとき、下部走行体2と上部旋回体3とは、油圧ショベル1の車体を構成している。
【0027】
作業装置4は、例えばブーム4A、アーム4B、バケット4Cと、これらを駆動するブームシリンダ4D、アームシリンダ4E、バケットシリンダ4Fとによって構成されている。ブーム4A、アーム4B、バケット4Cは、互いにピン結合される。作業装置4は、シリンダ4D〜4Fが伸長または縮小することによって、俯仰動する。
【0028】
ここで、油圧ショベル1は、アシスト発電モータ12等を制御する電動システムと、作業装置4等の動作を制御する油圧システムとを搭載している。以下、油圧ショベル1のシステム構成について
図3を参照して説明する。
【0029】
5は上部旋回体3に設けられたエンジンを示し、このエンジン5は、例えばディーゼルエンジン等の内燃機関によって構成されている。
図2に示すように、エンジン5の出力側には、後述の油圧ポンプ7とアシスト発電モータ12とが機械的に直列接続で取付けられている。これら油圧ポンプ7とアシスト発電モータ12とは、エンジン5と一緒に駆動する。
【0030】
ここで、エンジン5の作動は、エンジン制御装置6(以下、ECU6という)によって制御され、ECU6は、後述のMCU22からのエンジン出力指令に基づいて、エンジン5の出力トルク、回転速度(エンジン回転数)等を制御する。なお、エンジン5の最大出力は、例えば油圧ポンプ7の最大動力よりも小さくなっている。
【0031】
7はエンジン5に機械的に接続され圧油を発生する油圧ポンプを示している。この油圧ポンプ7は、エンジン5により駆動され、タンク8内に貯溜された作動油を加圧し、走行油圧モータ10、旋回油圧モータ11、作業装置4のシリンダ4D〜4F等に圧油として吐出する。
【0032】
油圧ポンプ7は、コントロールバルブ9を介して油圧アクチュエータとしての走行油圧モータ10、旋回油圧モータ11、シリンダ4D〜4Fに接続されている。コントロールバルブ9は、オペレータの走行操作装置、作業操作装置(いずれも図示せず)に対する操作に応じて、油圧ポンプ7から吐出された圧油を走行油圧モータ10、旋回油圧モータ11、シリンダ4D〜4Fに供給または排出する。
【0033】
具体的には、走行油圧モータ10には、走行操作装置の操作に応じて油圧ポンプ7から圧油が供給される。これにより、走行油圧モータ10は、下部走行体2を走行駆動させる。旋回油圧モータ11には、作業操作装置の操作に応じて油圧ポンプ7から圧油が供給される。これにより、旋回油圧モータ11は、上部旋回体3を旋回動作させる。また、シリンダ4D〜4Fには、作業操作装置の操作に応じて油圧ポンプ7から圧油が供給される。これにより、シリンダ4D〜4Fは、作業装置4を俯仰動させる。
【0034】
12はエンジン5に機械的に接続された発電電動機としてのアシスト発電モータ(モータジェネレータ)を示している。このアシスト発電モータ12は、例えば同期電動機等によって構成される。アシスト発電モータ12は、発電機機能と電動機機能とを有している。即ち、アシスト発電モータ12は、エンジン5を動力源に発電機として働き、後述の蓄電装置19や旋回電動モータ16への電力供給を行う発電(回生)と、蓄電装置19や旋回電動モータ16からの電力を動力源にモータとして働きエンジン5および油圧ポンプ7の駆動をアシストする力行との2通りの役割を果たす。例えば、油圧ショベル1の作業が高負荷のときは、アシスト発電モータ12を用いてエンジントルクアシストを行い、低負荷状態(例えばアイドル状態)のときは、アシスト発電モータ12により発電を行う。
【0035】
従って、エンジン5のトルクには、状況に応じてアシスト発電モータ12のアシストトルクが追加され、これらのトルクによって油圧ポンプ7は駆動する。そして、この油圧ポンプ7から吐出される圧油によって、作業装置4の動作や車両の走行等が行われる。
【0036】
また、アシスト発電モータ12には、アシスト発電モータ12の回転軸の回転を検出する回転センサ12Aが設けられている。この回転センサ12Aは、例えばレゾルバと呼ばれる検出器等により構成される。回転センサ12Aは、その検出信号を後述のMGCU15に出力する。なお、エンジン5とアシスト発電モータ12とは、機械的に直列接続して取付けられているので、エンジン5とアシスト発電モータ12とは同一の回転速度となる。
【0037】
図2に示すように、アシスト発電モータ12は、第1のインバータ13を介して一対の直流母線14A,14Bに接続されている。第1のインバータ13は、例えばトランジスタ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等からなる複数のスイッチング素子を用いて構成され、アシスト発電モータ制御装置15(以下、MGCU15という)によって各スイッチング素子のオン/オフが制御される。直流母線14A,14Bは、正極側と負極側とで対をなし、例えば数百V程度の直流電圧が印加されている。
【0038】
アシスト発電モータ12の発電時には、第1のインバータ13は、アシスト発電モータ12からの交流電力を直流電力に変換して蓄電装置19や旋回電動モータ16に供給する。アシスト発電モータ12の力行時には、第1のインバータ13は、直流母線14A,14Bの直流電力を交流電力に変換してアシスト発電モータ12に供給する。
【0039】
そして、MGCU15は、MCU22からのアシスト発電モータ力行出力指令等に基づいて、第1のインバータ13の各スイッチング素子のオン/オフを制御する。これにより、MGCU15は、アシスト発電モータ12の発電時の発電電力や力行時の駆動電力を制御する。
【0040】
16はアシスト発電モータ12または蓄電装置19からの電力によって駆動される旋回電動モータ(旋回電動機)を示している。この旋回電動モータ16は、例えば三相誘導電動機によって構成されている。旋回電動モータ16は、旋回油圧モータ11と協働して旋回装置(図示せず)を駆動する。このため、旋回装置は、旋回油圧モータ11と旋回電動モータ16の合計トルクによって駆動し、上部旋回体3を旋回駆動する。
【0041】
また、旋回電動モータ16には、旋回電動モータ16の回転軸の回転を検出する回転センサ16Aが設けられている。この回転センサ16Aは、例えばレゾルバと呼ばれる検出器等により構成される。回転センサ16Aは、その検出信号を後述のRMCU18に出力する。
【0042】
図2に示すように、旋回電動モータ16は、第2のインバータ17を介して直流母線14A,14Bに接続されている。旋回電動モータ16は、蓄電装置19やアシスト発電モータ12からの電力を受けて回転駆動する力行と、旋回制動時の余分なトルクで発電して蓄電装置19を充電する回生との2通りの役割を果たす。
【0043】
このため、力行時の旋回電動モータ16には、アシスト発電モータ12等からの電力が直流母線14A,14Bを介して供給される。これにより、旋回電動モータ16は、作業操作装置の操作に応じて回転トルクを発生させて、旋回油圧モータ11の駆動をアシストすると共に、旋回装置を駆動して上部旋回体3を旋回動作させる。
【0044】
第2のインバータ17は、第1のインバータ13と同様に、複数のスイッチング素子を用いて構成される。第2のインバータ17は、旋回電動モータ制御装置18(以下、RMCU18という)によって各スイッチング素子のオン/オフが制御される。
【0045】
旋回電動モータ16の力行時には、第2のインバータ17は、直流母線14A,14Bの直流電力を交流電力に変換して旋回電動モータ16に供給する。旋回電動モータ16の回生時には、第2のインバータ17は、旋回電動モータ16からの交流電力を直流電力に変換して蓄電装置19等に供給する。
【0046】
RMCU18は、MCU22からの電動旋回出力指令等に基づいて、第2のインバータ17の各スイッチング素子のオン/オフを制御する。これにより、RMCU18は、旋回電動モータ16の回生時の回生電力や力行時の駆動電力を制御する。
【0047】
19はアシスト発電モータ12に電気的に接続された蓄電装置を示している。この蓄電装置19は、例えばリチウムイオンバッテリからなる複数個のセル(図示せず)によって構成され、直流母線14A,14Bに接続されている。蓄電装置19は、アシスト発電モータ12の発電時にはアシスト発電モータ12から供給される電力を充電し、アシスト発電モータ12の力行時(アシスト駆動時)にはアシスト発電モータ12に向けて駆動電力を供給する。
【0048】
また、蓄電装置19は、旋回電動モータ16の回生時には旋回電動モータ16から供給される回生電力を充電し、旋回電動モータ16の力行時には旋回電動モータ16に向けて駆動電力を供給する。このように、蓄電装置19は、アシスト発電モータ12によって発電された電力を充電することに加え、油圧ショベル1の旋回制動時に旋回電動モータ16が発生した回生電力を吸収し、直流母線14A,14Bの電圧を一定に保つ。
【0049】
なお、本実施の形態では、蓄電装置19には、例えば電圧350V、放電容量5Ah程度のリチウムイオンバッテリを用いるものとする。また、蓄電装置(二次電池)は、過放電や過充電となると劣化し、寿命が短くなるので、蓄電量(充電量)の有効制御範囲Yを30〜70%程度に設定している(
図4参照)。
【0050】
従って、アシスト発電モータ12のアシスト動作および発電動作は、蓄電装置19の蓄電量の有効制御範囲Yである30〜70%内に収まるように制御される。即ち、油圧ショベル1の作業終了時(稼働停止時)は、この有効制御範囲Yのいずれかの値(30〜70%)で停止することになる(
図4参照)。蓄電量の有効制御範囲Y等は、上述した値に限らず、蓄電装置19の仕様等に応じて適宜設定される。
【0051】
20は蓄電装置19の充放電を制御すると共に蓄電装置19の蓄電量を演算する蓄電量演算装置としての蓄電装置制御装置(以下、BCU20という)を示している。BCU20は、蓄電装置19の充電状態管理や内部故障診断を行う。具体的には、BCU20は、蓄電装置19に設けられた電圧センサ、電流センサ、温度センサ等(いずれも図示せず)から検出される蓄電装置19の電圧、電流、温度(セル温度)等に基づいて、蓄電装置19の放充電量、蓄電量(SOC)、蓄電装置19の劣化度(SOH:State of Health)等を演算する。そして、BCU20は、例えば、蓄電装置19の蓄電量をMCU22に向けて出力する。
【0052】
BCU20は、例えば蓄電装置19に充放電される電流の積算値に基づいて蓄電量を演算したり、蓄電装置19の全体の電圧に基づいて蓄電量を演算することができる。そして、演算された蓄電量は、油圧ショベル1の稼働中は常時BCU20からシリアルネットワーク通信21を介して後述のMCU22、ICZ24等に送信される。
【0053】
22はエンジン5、アシスト発電モータ12、旋回電動モータ16、蓄電装置19、通信端末23を制御する車体コントローラ(MCU)を示している。このMCU22は、例えばマイクロコンピュータによって構成されると共に、シリアルネットワーク通信21等を用いてECU6、MGCU15、RMCU18、BCU20,ICZ24に電気的に接続され、CANを構成している。即ち、MCU22は、ECU6、MGCU15、RMCU18、BCU20、ICZ24と通信しながら、エンジン5、アシスト発電モータ12、旋回電動モータ16、蓄電装置19、通信端末23を統合制御する。
【0054】
23は後述の管理装置33との間で油圧ショベル1の情報を授受する通信端末を示している。通信端末23は、油圧ショベル1を識別する固有の識別情報、油圧ショベル1の位置情報、稼働情報(機器情報、運転情報、稼働時間)等を含む建設機械用の各種情報(建設機械用データ)を、通信中継局31を介して管理センタ32の管理装置33に送信する。また、通信端末23は、管理センタ32から種々の情報(必要に応じて、油圧ショベル1の機器に対する指令)を受信することができる。通信端末23は、ICZ24、GPSアンテナ25、通信アンテナ26により構成されている。
【0055】
情報通信制御装置24(以下、ICZ24という)は、図示しないメモリ(記憶部)を有し、このメモリは、油圧ショベル1の稼働中には常時、BCU20から蓄電装置19の蓄電量を受信することにより、最新の蓄電量測定値を随時記録、更新している。従って、油圧ショベル1の稼働を停止したときには、その停止のときの最終の蓄電量がメモリに記憶される。
【0056】
また、ICZ24には、GPSアンテナ25が接続されている。ICZ24は、例えば油圧ショベル1が稼働したときに、GPSアンテナ25を通じて複数のGPS衛星30(
図1参照)から送信されるGPS信号(時刻データや軌道データ)を受信して自身の現在位置(緯度、経度、高度)を演算することができる。そして、この油圧ショベル1の位置情報もメモリに記録される。
【0057】
そして、ICZ24は、メモリに記録された各種情報(データ)を予め定められた時刻(例えば、0時00分)に日報データ(日毎に集計されるデータ)として、通信アンテナ26から通信中継局31を介して管理センタ32の管理装置33に送信する。
【0058】
次に、油圧ショベル1の電源供給ラインについて
図3を参照して説明する。
【0059】
27は油圧ショベル1の電装品に電源を供給する電源供給用バッテリを示している。具体的には、電源供給用バッテリ27は、ECU6、MGCU15、RMCU18、BCU20、MCU22、ICZ24に電源供給ライン28を介して電源を供給している。これにより、各制御装置6、15、18、20、22、24は、必要な演算や制御を行うことができ、また、ICZ24は、後述の管理装置33に日報データを送信することができる。なお、
図3では、電源供給用バッテリ27から電源供給される各種の電装品(補機、電気機器、制御装置等)のうち制御装置6、15、18、20、22、24以外の電装品は、その図示を省略している。
【0060】
29は電源供給ライン28に設けられたディスコネクトスイッチ(以下、DSW29という)を示している。このDSW29は、電源供給用バッテリ27(電源供給ライン28)のマイナスラインに設けられている。各制御装置6、15、18、20、22、24のマイナスは、共通になっているので、DSW29を遮断することにより、電源供給用バッテリ27から各制御装置6、15、18、20、22、24を含む各種の電装品への通電を遮断することができる。これにより、油圧ショベル1のメンテナンス時や油圧ショベル1を長期間停車するときに、電源供給ライン28の電源短絡を防止している。
【0061】
図1において、30は地球低軌道に打上げられた複数のGPS衛星(ナブスター衛星)を示し、31は油圧ショベル1から後述の管理装置33に送信される日報データ(データ)の通信中継局を示している。
【0062】
次に、油圧ショベル1に搭載された蓄電装置19の蓄電量を管理する管理センタ32について説明する。
【0063】
32は油圧ショベル1から離れた位置(遠隔)に位置する管理センタを示している。この管理センタ32は、例えば油圧ショベル1のメーカ、販売会社、レンタル会社、メンテナンス会社等に設置された施設(設備)で、様々な場所に位置する複数の油圧ショベル1の位置情報、稼働情報、機器情報等を管理している。
【0064】
33は管理センタ32内に設けられた管理装置を示している。この管理装置33は、例えばコンピュータ(サーバコンピュータ、ホストコンピュータ、汎用コンピュータ)により構成され、油圧ショベル1の通信端末23からの信号(日報データ等)を受信して、蓄電装置19の蓄電量を管理するものである。管理装置33は、CPUとメモリとを備え、このメモリには、蓄電装置19の蓄電量を管理するための各種手段(受信手段、蓄電量推定手段、判定手段、出力手段)を備えた制御プログラム(ソフトウェア)が記憶されている。また、このメモリには、制御プログラムの処理で推定演算された推定蓄電量が記録される。
【0065】
受信手段は、油圧ショベル1の通信端末23から送信された日報データ、より具体的には、蓄電装置19の蓄電量を受信するものである。即ち、受信手段は、油圧ショベル1の通信端末23から予め定められた時刻(例えば、0時00分)に送信される日報データに含まれる蓄電装置19の蓄電量を受信する。この受信された蓄電量は、日報データの各種情報と共にメモリに随時記録される。
【0066】
蓄電量推定手段は、停車中の油圧ショベル1の蓄電量、即ち、蓄電装置19の現在(または将来)の蓄電量を推定して演算するものである。蓄電量推定手段は、受信手段が最後に受信した蓄電装置19の蓄電量(メモリに最後に記録された蓄電量=最終蓄電量)に、蓄電装置19の自己放電特性を加味して蓄電装置19の現在(または将来)の蓄電量を推定蓄電量として演算する。この場合、自己放電特性は、例えば蓄電量が1日に何%減少するかを、蓄電装置19の種類(リチウムイオンバッテリやニッケル水素バッテリ等)、環境(気温)等により実験的に求めたものである。
【0067】
そして、蓄電量推定手段は、例えば予め定められた時刻に推定蓄電量の演算を行い、演算された推定蓄電量は前記メモリに随時記録される。蓄電量推定手段は、その後に油圧ショベル1から日報データが送信されてくるまで推定蓄電量の演算を行い、日々蓄電量の監視をする。ここで、推定蓄電量は、最終蓄電量のとき(最終蓄電量が求められたとき、稼働を停止したとき)から現在までの経過時間に基づいて、推定蓄電量を現在値として演算することができる。また、推定蓄電量は、今後の経過時間をも考慮した将来値として演算することもできる。
【0068】
即ち、現在を4月1日とすると、蓄電量推定手段は、4月1日の値となる現在値を演算してもよいし、将来値、例えば、将来の特定日(4月15日)の値、将来の特定期間(4月2日から4月30日まで)の値を演算してもよい。これにより、蓄電装置19の蓄電量の将来展望を得ることができる。なお、以下の説明は、推定蓄電量として現在値を用いる場合を例に挙げて説明する。
【0069】
判定手段は、蓄電装置19の充電、より具体的には、油圧ショベル1の運転(蓄電装置19の充電のための運転、メンテナンス充電)を行うことが必要であるか否かを判定するものである。判定手段には、充電が必要であるか否かの蓄電量の判定値となる充電量要求閾値が設定されている。この充電量要求閾値は、例えば28%の蓄電量に設定され、蓄電量推定手段で演算された推定蓄電量と比較される。即ち、判定手段は、蓄電装置19の推定蓄電量が28%以下となったか否かを判定する。
【0070】
出力手段は、蓄電量推定手段で演算された推定蓄電量または推定蓄電量に基づく蓄電量低下情報を出力するものである。推定蓄電量は、上述のように、現在までの経過時間と自己放電特性とに基づいて演算された現在の蓄電量の推定値または将来を含む経過時間を考慮して演算された将来の蓄電量の推定値に対応する。一方、蓄電量低下情報は、例えば判定手段により推定蓄電量が充電要求閾値X(28%)以下に達したと判定されたときの注意情報、現在までの蓄電量の推移、蓄電量の将来展望、充電要求閾値X以下になる時期等の蓄電装置19の蓄電状態に関する情報である。
【0071】
注意情報は、油圧ショベル1の蓄電装置19の蓄電量が自己放電により低下して、実蓄電量が有効制御範囲Yの下限である30%前後に達している旨の警告であり、管理者に油圧ショベル1の蓄電装置19の充電を促すものである(
図4参照)。なお、推定蓄電量および蓄電量低下情報は、モニタ等の表示端末(例えば、後述の端末35)に例えば数字や文字、折線グラフ、棒グラフ等で出力することができる。
【0072】
そして、出力手段は、推定蓄電量または推定蓄電量に基づく蓄電量低下情報を、インターネット網34を介して油圧ショベル1の管理者、例えば油圧ショベル1の所有者、油圧ショベル1のオペレータ、油圧ショベル1の保守担当者等の端末35に出力する。この場合、管理者の端末35は、例えば、携帯端末35AやPC端末35B等の各種端末(表示端末、音声端末、携帯端末等)が挙げられる。なお、管理センタ32のセンタ員が、管理装置33に接続された表示端末(図示せず)等に出力された推定蓄電量または推定蓄電量に基づく蓄電量低下情報を確認できるようにしてもよい。
【0073】
そして、出力手段は、例えば、管理者の要求(アクセス)に応じて、管理者の端末35に推定蓄電量や蓄電量低下情報を出力する。具体的には、油圧ショベル1の管理者がインターネット網34を介して管理センタ32のホームページに接続してパスワード等を入力すると、管理者は、端末35に出力された油圧ショベル1の蓄電装置19の推定蓄電量や蓄電量低下情報を閲覧することができる。または、出力手段は、管理者の要求(アクセス)がなくても、自動的に推定蓄電量や蓄電量低下情報、より具体的には、推定蓄電量が充電要求閾値X(28%)以下に達した旨の注意情報を、管理者にメール送信することもできる。
【0074】
本実施の形態による油圧ショベルの蓄電管理システムは、上述のような構成を有するもので、次に油圧ショベル1の動作について説明する。
【0075】
油圧ショベル1のエンジン5を作動させると、エンジン5によって油圧ポンプ7とアシスト発電モータ12が駆動される。これにより、油圧ポンプ7から吐出した圧油は、オペレータの操作レバー(図示せず)の操作に応じて、左,右の走行油圧モータ10、旋回油圧モータ11、作業装置4のブームシリンダ4D,アームシリンダ4E,バケットシリンダ4Fに向けて吐出する。これにより、油圧ショベル1は、下部走行体2による走行動作、上部旋回体3の旋回動作、作業装置4による掘削作業等を行う。
【0076】
ここで、油圧ショベル1の作動時(稼働時)にエンジン5の出力トルクが油圧ポンプ7の駆動トルクよりも大きいときには、余剰トルクによってアシスト発電モータ12が発電機として駆動される。これにより、アシスト発電モータ12は交流電力を発生し、この交流電力は、第1のインバータ13により直流電力に変換され、蓄電装置19に蓄えられる。一方、エンジン5の出力トルクが油圧ポンプ7の駆動トルクよりも小さいときには、アシスト発電モータ12は、蓄電装置19からの電力によって電動機として駆動され、エンジン5の駆動を補助(アシスト)する。
【0077】
旋回電動モータ16は、蓄電装置19に充電された電力が供給されることにより駆動され、旋回油圧モータ11と協働して下部走行体2上で上部旋回体3を旋回させる。また、旋回電動モータ16は、上部旋回体3が旋回減速したときの回生動作によって交流電力(回生電力)を発電し、この交流電力は第2のインバータ17により直流電力に変換され、蓄電装置19に蓄えられる。
【0078】
この場合、蓄電装置19の充放電は、BCU20(およびMCU22)により蓄電量の有効制御範囲Y(30〜70%)内に収まるように制御される。そして、蓄電装置19の蓄電量は、油圧ショベル1の作業終了時に有効制御範囲Y(30〜70%)の間のいずれかの値で停止することになる。また、BCU20により演算された蓄電装置19の蓄電量は、常時BCU20からシリアルネットワーク通信21を介してICZ24に送信され、ICZ24には、最新の蓄電量測定値が随時記録される。
【0079】
従って、油圧ショベル1の稼働を停止したときには、最終の蓄電量がICZ24のメモリに記録される。メモリに記録された蓄電装置19の最終の蓄電量、油圧ショベル1の位置情報、稼働情報、エンジン5等の機器情報等は、日毎に集計される日報データとして管理装置33に送信される。この場合、油圧ショベル1の位置情報となる自身の現在位置(緯度、経度、高度)は、例えば油圧ショベル1の稼働時に、複数のGPS衛星30(
図1参照)からGPSアンテナ25を通じて受信したGPS信号に基づいて演算することができる。
【0080】
また、油圧ショベル1の稼働情報は、例えば油圧ショベル1の稼働時間、稼働中に油圧センサ(図示せず)から検出される負荷情報、燃料残量等であり、MCU22からシリアルネットワーク通信21を介してICZ24に送信される。エンジン5等の機器情報は、ECU6、MGCU15、RMCU18、BCU20、MCU22等からシリアルネットワーク通信21を介してICZ24に送信される。
【0081】
そして、日報データは、予め定められた時刻(例えば、0時00分)に通信アンテナ26から通信中継局31を介して管理センタ32の管理装置33に送信される。なお、日報データの送信は、DSW29がオン(接続)状態の場合には、例えば油圧ショベル1の稼働日の翌日の予め定められた時刻に前日の情報を送信し、その後、油圧ショベル1が稼働しなければ日報データは送信されない。
【0082】
ここで、蓄電装置19の蓄電量は、自己放電により徐々に減少する。蓄電量が減少すると、蓄電装置19が劣化したり、油圧ショベル1を適正に再稼働させたりすることができない可能性がある。このため、油圧ショベル1を停車させているときでも、蓄電装置19の蓄電量の監視は必要である。しかし、油圧ショベル1を長期間停車するときには、電源供給ライン28の電源短絡等を防止するために、DSW29によりBCU20やICZ24の電源供給ライン28を遮断する(BCU20やICZ24に対する電源供給を遮断する)場合がある。この場合、油圧ショベル1は、蓄電装置19の蓄電量を演算したり、管理センタ32に蓄電量(日報データ)を送信したりすることができなくなる。
【0083】
そこで、本実施の形態では、油圧ショベル1から離れた位置(遠隔地)にある管理センタ32の管理装置33で、油圧ショベル1の蓄電装置19の蓄電量を管理している。以下、管理装置33で行われる制御処理(演算処理)の一例について、
図5の流れ図を参照して説明する。なお、
図5の処理は、予め定められた時刻に繰り返し実行される。
【0084】
管理装置33の電源投入、
図5の流れ図の処理を実行する蓄電量管理プログラムの起動等により、
図5の処理動作がスタートする。ステップ1では、最新の日報データを取得したか否かを判定する。具体的には、油圧ショベル1の通信端末23から送信された日報データを管理装置33が受信したか否かを判定する。
【0085】
ステップ1で「YES」、即ち管理装置33が最新の日報データを取得したならば、ステップ2に進み、最新の日報データの蓄電量に基づいて推定蓄電量の演算を開始し、ステップ4に進む。一方、ステップ1で「NO」、即ち管理装置33が最新の日報データを取得していないならば、ステップ3に進み、現在行っている推定蓄電量の演算を継続し、ステップ4に進む。
【0086】
ステップ2およびステップ3の推定蓄電量の演算は、例えば蓄電量が1日に何%減少するかを、蓄電装置19の種類、環境(気温)等により実験的に求めた自己放電特性に基づいて行われる。特に、蓄電装置の自己放電は、気温が高いほど進む(大きくなる)。そこで、ステップ2では、例えば、ステップ1で取得した日報データの油圧ショベル1の位置情報により、油圧ショベル1の地域の気温を参考にして自己放電特性を設定することができる。
【0087】
ステップ4では、推定蓄電量が充電要求閾値X(例えば、28%)よりも大きいか否かを判定する。ステップ4で「YES」、即ち推定蓄電量が充電要求閾値Xである28%よりも大きい場合には、リターンする。一方、ステップ4で「NO」、即ち推定蓄電量が充電要求閾値Xである28%以下の場合には、ステップ5に進む。
【0088】
ステップ5では、蓄電量低下情報としての注意情報が出力される。具体的には、管理装置33は、管理者の携帯端末35AやPC端末35Bに、油圧ショベル1の蓄電装置19の蓄電量(残量)が28%に達した旨の情報や、油圧ショベル1の蓄電装置19の充電が必要である旨の警告を出力する。
【0089】
この注意情報の出力は、油圧ショベル1の管理者がインターネット網34を介して管理センタ32のホームページに接続してパスワード等を入力することにより、蓄電量の注意情報を確認するものでもよい。しかし、蓄電量の低下による蓄電装置19の劣化等を抑制するために、管理装置33は、ステップ5の処理により、インターネット網34を介して蓄電量の注意情報を管理者にメール送信することが好ましい。そして、ステップ5の処理が終了すると、リターンする。
【0090】
なお、上述した管理装置33の制御処理において、ステップ1が、本発明の構成要件である受信手段の具体例を示している。また、ステップ2、ステップ3が、本発明の構成要件である蓄電量推定手段の具体例を示している。また、ステップ4が、予め設定した閾値よりも蓄電量が低下したか否かを判定する判定手段を示している。また、ステップ5が、本発明の構成要件である出力手段の具体例を示している。
【0091】
次に、蓄電装置19の蓄電量の推移の一例について、
図4を参照して説明する。
【0092】
図4において、1月1日〜1月5日、1月15日〜1月20日までは、油圧ショベル1を稼働していた期間であり、1月6日〜1月14日、1月21日以降が油圧ショベル1の稼働を停止(停車)していた期間である。
【0093】
まず、1月1日〜1月5日および1月15日〜1月20日の油圧ショベル1の稼働期間について説明する。この場合、油圧ショベル1の日報データは、毎日所定時刻となる0時00分に通信端末23から通信中継局31を介して管理センタ32の管理装置33に送信される。
図4中のA1〜A5,A15〜A20は、油圧ショベル1の通信端末23から送信された日報データの蓄電装置19の蓄電量(その日の稼働を停止したときの最終蓄電量)を示している。
【0094】
油圧ショベル1の稼働中は、蓄電装置19の蓄電量を有効制御範囲Yである30%〜70%に制御されている。従って、油圧ショベル1の日報データの蓄電量も有効制御範囲Yである30%〜70%に収まっている(
図4の特性線A参照)。
【0095】
1月6日〜1月14日の油圧ショベル1を停車していた期間では、管理装置33は、蓄電量の推定演算を行う。具体的には、管理装置33が最後に受信した蓄電量、即ち1月5日の日報データの蓄電量(A5:49%)に自己放電特性を加味して推定蓄電量(現在値)を演算する。この場合、推定蓄電量の演算は、例えば1日1回予め定められた時刻に行われる。
【0096】
図4の特性線Bに示すように、1月15日の時点で蓄電装置19の推定蓄電量は、47%位に減少しているが、充電要求閾値Xの28%に達していないので、管理装置33から蓄電装置19の充電が必要である旨の注意情報は出力されない。そして、1月15日の日報データが送信されてきたときに、推定蓄電量の値は日報データの蓄電量(A15:49%)に書き換えられる。
【0097】
次に、1月21日以降の油圧ショベル1の長期停車期間について説明する。1月20日に作業を終了すると、オペレータは、油圧ショベル1をキーオフする。その後、油圧ショベル1が稼働することなく、例えば、1月21日(の0:00よりも後)に、電源供給ライン28の電源短絡を防止するためにDSW29をオフ(非接続)にする。この場合、DSW29により電源供給用バッテリ27から通信端末23への電源供給は遮断されるので、1月21日以降の日報データ(1月22日の0:00の日報データおよびそれ以降の日報データ)は送信されない。従って、
図4に示すA20は、1月21日の0:00に送信された1月20日の日報データの蓄電量(39%)である。そして、管理装置33の蓄電量推定手段は、この蓄電量に自己放電特性を加味して推定蓄電量を演算する。
【0098】
図4に示す特性線Cに示すように、1月21日以降は、管理装置33は日々推定蓄電量を演算する。そして、3月20日(C1)に推定蓄電量が充電要求閾値Xである28%に達すると、管理装置33は、油圧ショベル1の蓄電装置19の充電が必要である旨の注意情報を出力する。
【0099】
この場合、出力手段は、油圧ショベル1の管理者(所有者、オペレータ、保守担当者等)の携帯端末35AやPC端末35Bにインターネット網34を介して注意情報(警告)をメール送信する。これにより、油圧ショベル1の管理者は、油圧ショベル1の蓄電装置19の蓄電量が充電要求閾値Xである28%を下回ったことおよび蓄電装置19の充電が必要であることを認識することができる。
【0100】
この注意情報を受信した油圧ショベル1の管理者は、油圧ショベル1のエンジン5を駆動させて蓄電装置19の蓄電量を40%まで充電を行い、蓄電装置19の劣化等を防止することができる。そして、蓄電装置19の蓄電量が40%である旨の3月20日の日報データは、3月21日の0:00に、通信端末23から通信中継局31を介して管理装置33に送信される。この後、管理装置33は、更新された蓄電量となる3月20日の蓄電量(40%)から推定蓄電量の演算を開始する。
【0101】
かくして、本実施の形態によれば、管理装置33は、油圧ショベル1の稼働を長期に亘って停止したとき、より具体的には、長期停車(長期保管)のためにDSW29をオフにする(ディスコネクトする)ことにより、油圧ショベル1側で蓄電装置19の蓄電量の管理を行うことができなくなった場合でも、管理装置33のステップ2,3の処理により、現在の蓄電量を推定蓄電量として演算することができる。
【0102】
そして、管理装置33は、ステップ4の処理により、推定定蓄電量が蓄電装置19の充電が必要な充電要求閾値Xに達したと判定された場合は、ステップ5の処理により、蓄電量低下情報(注意情報)を出力する。これにより、停車中(非稼働中)の油圧ショベル1の蓄電装置19の蓄電量が低下しており、蓄電装置19の充電が必要であることを、油圧ショベル1の管理者に報知することができる。
【0103】
この場合、管理者は、端末35に出力された注意情報に基づいて、必要な処置、例えば油圧ショベル1の運転(蓄電装置19の充電のための運転、メンテナンス充電)を行うことができる。これにより、蓄電装置19の蓄電量を適正な範囲に維持することができる。この結果、蓄電装置19の低充電による劣化を抑制することや、油圧ショベル1の再稼働を安定して行うことができる。
【0104】
さらに、管理者は、管理装置33の出力手段から出力されるメールの受信に基づいて、必要な措置、例えば油圧ショベル1の運転(蓄電装置19の充電のための運転、メンテナンス充電)を行うこともできる。この場合、管理者側から管理装置33に対して定期的に蓄電量低下情報(注意情報)を取得(確認)する必要がなくなる(メール受信を待つだけでよい)。これにより、管理者の負担を低減することができると共に、蓄電装置19の充電(充電のための運転)を忘れることなく行うことができる。
【0105】
なお、上述した実施の形態では、ICZ24は、蓄電装置19の蓄電量を、予め定められた時刻(例えば、0時00分)に日報データとして送信する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばICZ24は、蓄電装置19の蓄電量を油圧ショベル1の稼働を停止する毎(例えば、キーオフする毎)に送信する構成としてもよい。この場合に、ICZ24は、稼働を停止したとき(キーオフしたとき)に、日報データと同様の情報(建設機械用の各種情報)を送信する構成としてもよい。または、管理装置33で蓄電量の推定(演算)を行うために必要な最低限の情報(例えば、蓄電装置19の蓄電量)を送信する構成としてもよい。
【0106】
さらに、本発明はこれらに限らず、例えばICZ24は、DSW29をオフ(ディスコネクト)したときに、蓄電装置19の蓄電量を送信する構成としてもよい。この場合には、例えばICZ24に送信用補助電源(図示せず)を設けることが考えられる。この送信用補助電源は、例えば、DSW29が操作されたことを条件に短時間(例えば30秒程度)作動し、ICZ24による最低限の情報の送信を行うための電力を供給できるものとすることができる。
【0107】
また、上述した実施の形態では、管理装置33は、日々蓄電装置19の推定蓄電量を演算する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば管理装置33の出力手段は、現時点での推定蓄電量(蓄電量)と共に、推定蓄電量の将来展望を出力してもよい。この場合、油圧ショベル1の管理者は、いつ蓄電量が充電要求閾値Xに達するかを早めに知ることができるので、蓄電装置19の充電の予定を事前に立てることができる。
【0108】
また、上述した実施の形態では、充電要求閾値Xを28%に設定した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば蓄電量の有効制御範囲Yの下限である30%としてもよいし、油圧ショベル1の位置する場所により充電要求閾値Xの値を適宜設定してもよい。この場合、気温の高い場所に油圧ショベル1が位置している場合には、気温が低い場所に比べて自己放電が大きいので、充電要求閾値Xを33%等に上げるのが好ましい。
【0109】
また、上述した実施の形態では、蓄電装置19の自己放電特性は、油圧ショベル1の位置情報に基づいて、その地域の気温を参考にして算出した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば油圧ショベル1に気温センサを設け、この気温センサにより検出された気温に基づいて、蓄電装置19の自己放電特性を算出(補正)してもよい。
【0110】
また、上述した実施の形態では、油圧ショベル1の蓄電装置19の蓄電量の演算は、BCU20で行う場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、他の制御装置、例えばMCU22で蓄電量の演算を行ってもよい。
【0111】
また、上述した実施の形態では、判定手段により推定蓄電量が充電要求閾値に達したか否かを判定する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば蓄電量推定手段や出力手段で推定蓄電量が充電要求閾値に達したか否かを判定してもよい。
【0112】
また、上述した実施の形態では、油圧ショベル1の蓄電装置19の蓄電量は、ハイブリッド油圧ショベル1の蓄電装置19の蓄電量を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、エンジンを用いない電気式の油圧ショベルの蓄電装置の蓄電量でもよいし、エンジンのみで駆動する油圧ショベルの補機駆動用バッテリの蓄電量でもよい。
【0113】
また、上述した実施の形態では、建設機械としてクローラ式のハイブリッド油圧ショベル1を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、蓄電装置を備えた建設機械であればよく、例えばホイール式の油圧ショベル、ホイールローダ、リフトトラック、クレーン等の各種の建設機械に適用可能である。