(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態の画像形成装置を図面に基づいて説明する。
【0013】
第1実施形態
図1は第1実施形態を示す構造物変状検出装置の概略正面図、
図2は
図1に示す構造物変状検出装置の側断面図で、構造物に変状がない状態を示す。
図3は
図1に示す加振部のパラメトリックスピーカーの構成を示す図、
図4は
図1に示す構造物変状検出装置の側断面図で、構造物に変状がある状態を示す。
図5は
図1に示す振動測定部を構成するレーザドップラ振動計の回路図、
図6は
図1に示す構造物変状検出装置の検出動作の基本的な流れを説明するフローチャートである。
【0014】
図1、
図2に示すように、構造物変状検出装置10は、コンクリートやモルタル等で形成された測定対象物4に対して、ある一定の設置距離を隔てて対向配置し、非接触で測定点の振動を測定する。構造物変状検出装置10は、加振器であるスピーカー800を有する加振部2と、振動測定部1を有する。
【0015】
加振部2と振動測定部1は、加振部2から出力される音波の出力方向の軸線と、振動測定部1から出射されるレーザビームの軸線とを同じ方向(前方)に向けて筐体3に配置される。加振部2から出力される音波の出力中心をO2、振動測定部1から出力されるレーザビームの出射中心をO1とすると、加振部2と振動測定部1は、出力中心O2と出射中心O1間の距離を所定の間隔L0として筐体3に固定され、一体化されている。
【0016】
前記設置距離は、振動測定部1を構成するレーザドップラ振動計の焦点距離や、加振部2が出力する音波の到達距離等を考慮した上で決まる。本実施形態の場合、作業者が構造物変状検出装置10を携帯できるような小型のものを想定しているため、数m程度の近距離を想定している。
【0017】
図1において、加振部2の加振器であるスピーカー800としては、例えばパラメトリックスピーカーやフラットスピーカー、ラウドスピーカー、あるいはガスガン、衝撃波菅といった、非接触で、測定対象物を加振することが可能なものであればよい。以下、本実施例では、加振部2のスピーカーとしてパラメトリックスピーカー800を例に説明する。
【0018】
一方、振動測定部1は、二次元レーザドップラ振動計で構成され、筐体3の前面に二次元レーザドップラ振動計のレーザビームの入出射口であるレンズ部430(
図7参照)が配置される。
【0019】
一つのパラメトリックスピーカー800の構成としては、
図3(a)、(b)に示すように、トランスデューサー(例えば超音波圧電素子)801を平面に複数個並べたものである。トランスデューサー801単体ではおよそ60〜70度の指向性を持つが、
図3(a)の構成とすると指向性が向上する。よって、パラメトリックスピーカー800から発せられる超音波は数度の角度の指向性で、ほぼ一直線に測定対象物4に照射される(
図4参照)。すなわちパラメトリックスピーカー800の中心部とパラメトリックスピーカーから発せられる超音波の中心部O1はほぼ一致する。
【0020】
一方、二次元走査型のレーザドップラ振動計1は、本実施形態では自己混合干渉型のレーザドップラ振動計を適用している。自己混合干渉法は、レーザの出力光と、加振された測定対象物からの散乱光をレーザ内部で干渉させ、測定対象物の運動(振動)を測定する手法である。すなわち、レーザビームが照射されている測定対象物4の振動を測定することができる。
【0021】
加振部2は、コンクリートやモルタル等で形成された測定対象物4に対して、超音波を照射し、加振する。測定対象物4に照射(当てられた)超音波により測定対象物4に発生する超音波振動は、測定対象物4の表面を伝搬し、レーザドップラ振動計1のレーザビームが照射されている測定ポイントでレーザドップラ振動計に検出される。
【0022】
測定対象物4の表面が例えばコンクリートだとする。加振部2が照射して発生した超音波振動の振動波6(
図2参照)がコンクリート表面を真っ直ぐ(最短距離)伝搬する。そして、レーザドップラ振動計1に検出されるまでの時間(伝搬時間)T0を測定し、メモリに記録しておく。ひび割れや亀裂、浮き、剥離等の変状の生じていない健全なコンクリートであれば、この時間が距離L0を超音波が伝搬した時間となる。
【0023】
一方、測定対象物が、ひびわれの生じたコンクリートの場合を表したのが
図4である。この場合、測定対象物4に生じる超音波振動7は、ひび割れ部分5を伝搬できないため、ひび割れの深さD方向の頂点を沿うように迂回して伝搬し、レーザドップラ振動計の測定ポイントに達する。
【0024】
すなわち、ひび割れや亀裂、剥離等が生じたコンクリートの場合には、超音波はコンクリートの表面を伝搬することができないため、長い距離を伝搬することになる。コンクリート内を伝搬する超音波の速度はほぼ一定のため、健全なコンクリートの伝搬時間よりも、長い時間を要してレーザドップラ振動計1に計測される。測定ポイントでの伝搬時間をT1とする。
【0025】
すなわち、あらかじめ健全なコンクリートで伝搬時間T0を測定し(キャリブレーション)、それを記録しておき、測定対象物を測定した結果である伝搬時間T1が健全なコンクリートよりも長い時間であれば、何らかの変状(ひび割れ、亀裂、剥離等)が生じていることになる。
【0026】
図5において、レーザドップラ振動計1は、レーザ部401の半導体レーザ402から出力されたレーザが光学ユニット408によって、測定対象物4上に集光される。集光されたレーザビームが、測定対象物4上で反射し、その散乱光が、光路を通じて、半導体レーザ402内部で干渉し、その光をレーザ部401内部のフォトダイオード403で測定する。
【0027】
図2において、測定対象物4に生じる超音波振動6の進行方向が矢印の向きに振動すると、ドップラーシフトが生じ、散乱光の周波数がわずかに変化する。この散乱光がレーザ部401内部のオリジナル光(バックビーム)と干渉を起こし、それを内蔵フォトダイオード403で検出する。フォトダイオード403上で干渉すると、その周波数差がビート信号として検出される。
【0028】
図6に示すフローチャートに基づいて、変状検出の流れを説明する。
【0029】
Act1において、距離L0を隔てて健全なコンクリートの表面に加振部2により超音波を照射すると共に、振動測定部1によりレーザビームを照射する。そして、超音波の照射が開始されてから、振動測定部1が振動を検出するまでの時間(伝搬時間T0)を計測し、Act2に進む。
【0030】
Act2において、基準となる伝搬時間T0をメモリに記録し、Act3に進む。Act1およびAct2の処理は、基準時間測定の処理である。
【0031】
Act3において、振動測定部1のレーザビームが照射する測定ポイントで、加振が開始されてから振動を検出することで、伝搬時間T1を測定し、Act4に進む。
【0032】
Act4において、伝搬時間T1をメモリに記録し、Act5に進む。
【0033】
Act5において、基準の伝搬時間T0と測定伝搬時間T1を比較する。測定伝搬時間T1が基準伝搬時間を超えている場合(T1>T0)、Act6に進み、測定伝搬時間T1が基準伝搬時間未満の場合(T1<T0)、Act7に進む。
【0034】
Act6において、T1>T0の場合は
図4に示す状態であるため、変状ありと判定し、Act8に進み元に戻る。
【0035】
Act7において、T1<T0の場合は
図2に示す状態にあるため、変状なしと判定し、Act8に進む。
【0036】
次に、二次元レーザドップラ振動計1の構成の詳細を
図7に基づいて説明する。
【0037】
二次元レーザドップラ振動計1は、測定対象物4の測定面を互いに直交するX−Y平面とすると(
図12参照)、X−Y平面上の任意の測定点に向けて、レーザ部401よりレーザビームを照射できるようになっている。
【0038】
本実施形態では、X軸回りとY軸回りに回転できるガルバノスキャナー420にレーザビームを照射し、測定対象物からの反射光をガルバノスキャナー420、光学ユニット408を介してレーザ部401で受光する。
【0039】
第2実施形態
図7は第2実施形態を示す構造物変状検出装置の概略側断面図で、構造物に変状がない状態を示す。
図8は第2実施形態を示す構造物変状検出装置の概略側断面図で、構造物に変状がある状態を示す。
図9は
図7に示す加振部のパラメトリックスピーカーの制御回路図、
図10は
図7に示す振動測定部の制御回路図、
図11は
図7に示す構造物変状検出装置のシステム構成を示す回路図、
図12は
図7に示す構造物変状検出装置のスピーカーの配置構成を説明する図で、変状がない状態を示す。
図13は
図7に示す構造物変状検出装置のスキャニング動作を説明する図で、変状がある状態を示す。
図14は
図12のシステムによる構造物変状検出動作の流れを説明するフローチャート。
【0040】
図7、
図8および
図13に示すように、筐体3には、複数のスピーカー800がマトリックス状に配置される。ただし、レンズ部430の配置位置を(x5、y7)とすると、レンズ部430の配置位置を除いてスピーカー800が配置される(この位置をホームポジションとする)。
【0041】
加振部2は、複数のスピーカー800のいずれか一つを任意に駆動することができる。二次元レーザドップラ振動計1は、ガルバノスキャナー420を駆動して、例えばy7軸上をx0−x10の間、x5軸上をy0−y14の間を移動可能とする。x0とx5との距離をL0とすると、座標位置が(x0、y7)のスピーカー800を鳴動させ、二次元レーザドップラ振動計1がホームポジションの振動を計測することで、基準となる伝搬時間T0を計測することができる。
【0042】
次に、加振部2であるパラメトリックスピーカー800の選択及び駆動部810を
図9および
図12に基づいて説明する。
【0043】
本実施形態において、1個のパラメトリックスピーカー800に対して専用の駆動回路が具備されているため、任意のパラメトリックスピーカー800を駆動して(1個でも164個全てでも可能)、超音波を照射できる構成としている。パラメトリックスピーカー800と駆動回路の組み合わせは(x、y)マトリックスで規定されており、例えば(x0、y0)にはDRV00が、(x10、y0)にはDRV010が割り当てられている。
【0044】
複数(
図12では164個)のパラメトリックスピーカー800は、それぞれ専用のスピーカー駆動回路部(DRV00、DRV01、・・・・DRVn)600、601・・・610・・により鳴動駆動される。パラメトリックスピーカー800の制御回路は、装置全体を制御するCPU511と、シフトレジスタ512と、複数のアンド回路520−535と、複数のフリップフロップ回路560−591と、複数のスピーカー駆動回路部DRV00、DRV01、・・・・DRVnを有する。複数のフリップフロップ回路560−591は、対応するフリップフロップ回路に駆動信号を出力する。各アンド回路520−535の出力は対応するフリップフロップ回路560−591のトリガに入力する。
【0045】
装置全体を制御するCPU511は、データライン513と、スピーカーを指定するアドレスライン515とクロックライン514を使用して、任意のスピーカー800を鳴動駆動することができる。データライン513は、各フリップフロップ回路560−591に入力される。アドレスライン515は、シフトレジスタ512に入力される。シフトレジスタ512は、指定されたパラメトリックスピーカー800に対応するアンド回路の一方の入力端子に駆動信号を出力する。クロックライン514は、各アンド回路の他方の入力端子にクロック信号を入力する。CPU511のアドレスライン515により特定のスピーカー800に対して、データライン513により周波数等のデータが出力され、クロックライン514のクロック信号が出力されると、その間当該特定のスピーカー800が鳴動駆動され、クロック信号が反転すると駆動停止される。鳴動駆動するスピーカー800は、スキャニング処理により、所定の順序で順次切り替えられる。
【0046】
次に、二次元レーザドップラ振動計1の構成の詳細を
図10に基づいて説明する。
【0047】
二次元レーザドップラ振動計1は、測定対象物4の測定面を互いに直交するX−Y平面とすると、X−Y平面上の任意の測定点に向けてレーザビームを照射できるようになっている。
【0048】
本実施形態では、X軸回りとY軸回りに回転できるガルバノスキャナー420にレーザビームを照射し、測定対象物からの反射光をガルバノスキャナー420、光学ユニット408を介してレーザ部401で受光する。
【0049】
レーザ部401には、パワーモニター用のフォトダイオード403が内蔵されている。半導体レーザ402はカレントドライバ404によって、定電流駆動される。モニターダイオード403の出力は、電流―電圧変換アンプ405によって変換及び増幅された後、ローパスフィルター406によって高周波成分のノイズをカットされる。この信号409がビート信号で、この信号をモニターすることによって、ドップラーシフトが生じたかどうか分かる。さらにFFT407によってフーリエ変換し、レーザ強度のパワースペクトルを得ることができる。
【0050】
本方法を選択したのは、従来の光ヘテロダイン検出法のような参照光が不要となるので、光学系の構成を単純化でき、低コストかつ小型装置を実現できるからである。
【0051】
測定用レーザビーム光を走査させる2次元走査手段は、いわゆるガルバノスキャナー420である。測定用のレーザビーム光は、光学ユニット408によって、ガルバノスキャナー420の反射ミラー面に集光される。図の縦軸(y軸)を中心にミラーを回転させるとx軸方向にビーム光を走査し、図の横軸(x軸)を中心にミラーを回転させるとy軸方向にレーザビーム光を走査する。この動作によって、
図12のx軸方向の座標とy軸方向の座標で決まる任意の位置に測定用レーザビーム光を自由に移動することができる。
【0052】
ガルバノスキャナー420のミラーは、x軸回り駆動用のx軸アクチュエータ(不図示)と、y軸回り駆動用のy軸アクチュエータ(不図示)によりx軸回りとy軸回りにそれぞれ回転駆動される。CPU511から測定点の座標(X,Y)指示がなされると、y軸座標データ部421と、x軸座標データ部422からy軸ドライバ423とx軸ドライバ424へ駆動信号がそれぞれ出力される。そして、前記y軸アクチュエータと前記x軸アクチュエータが駆動される。その結果、レーザビームは測定点に照射される。
【0053】
構造物変状検出装置のシステム構成を
図11に示す回路図に基づいて説明する。なお、詳細な構成は
図9及び
図10で説明したのでその説明は省略する。
【0054】
構造物変状検出装置のシステム構成は、CPU511により、スピーカー選択及び駆動部810を駆動し、任意の一つのパラメトリックスピーカー800から超音波を出力する。スピーカー選択及び駆動部810は、駆動信号をタイマ830のスタート端子に出力する。
【0055】
一方、CPU511は、レーザドップラ振動計820を駆動し、計測結果のデータ信号をタイマ830のストップ端子とCPU511に出力する。
【0056】
タイマ830は、スタート端子にスピーカー駆動信号が入力されるとタイマをスタートさせ、レーザドップラ振動計820の計測結果のデータ信号が入力されるとタイマをストップさせる。そして、メモリ840に計測結果のデータを記録させる。
【0057】
この場合、パラメトリックスピーカー800が測定対象物4に向けて照射する超音波の照射点は、複数の照射点(
図12では164点)中、一点である。これに対し、レーザドップラ振動計820はガルバノスキャナー420がx−y座標上の(x5、yn)、(xn、y7)任意の測定点に向けてレーザビームを照射し、例えばマトリックス状に設定した測定点で振動を検出する。
【0058】
本実施形態の構造物変状検出装置10は、
図12に示すように、加振部2のパラメトリックスピーカー800は○で表しており全部で164個から構成されている。パラメトリックスピーカー800は、等間隔でマトリックス状に配置されている。また、任意のパラメトリックススピーカー800を選択し、それを鳴動駆動し、測定対象物4に対して超音波を照射することができる。
【0059】
一方、振動測定部1は、図面中央の×である。振動測定部1は、
図10に示す2次元走査型のレーザドップラ振動計である。図面中央位置がホームポジション位置で、(x、y)座標を指定することで、測定用のレーザビーム光を測定対象物の任意の位置(本実施形態では●で示す位置)に自由に移動することができる。
【0060】
すなわち、加振部2が平面上に複数配置されていることと、振動測定部1の測定位置を測定対象物4上の任意の位置に自由に移動できることによって、任意に選択した加振部2と振動計測部1との間のひび割れ等の変状を検出することが可能となる。ひび割れの伸長を計測することができる。
【0061】
図13は、ひび割れ等の変状の伸長を検出する方法を説明するための図、
図14はひび割れ等の変状の伸長を検出する動作の流れを説明するフローチャートである。
【0062】
図13において、例えば、コンクリートで形成されたトンネルの覆工部上に生じた変状、例えばひび割れ900を構造物変状検出装置10で検出する。ひび割れ900は、必ずしも直線上に生じるわけではなく、
図13のように方向を変えつつ伸長する。また、ひび割れは、目視で確認出来るものもあるが、そうでないものもある。図では便宜上太い黒線で表現しているが、本装置では目視で確認できないようなひび割れを検出することができる。
【0063】
図13ではトンネルの覆工部上に、構造物変状検出装置10の加振部2と振動測定部1が投影されているイメージ図である。例えば、座標(x0、y0)は加振部2であるパラメトリックスピーカー800が投影されており、その超音波出力が照射される位置である。
【0064】
同様に、(x5、y7)は振動測定部1であるレーザドップラ振動計820のホームポジションであり、測定用レーザビーム光が照射される位置である。また、(x0、y7)、(x1、y7)、(x2、y7)、(x3、y7)、(x4、y7)、(x6、y7)、(x7、y7)、(x8、y7)、(x9、y7)、(x10、y7)はホームポジションから、x軸の左右方向に測定用レーザビーム光を移動させて照射させたイメージ図である。
【0065】
同様に、(x5、y0)、(x5、y1)、(x5、y2)、(x5、y3)、(x5、y4)、(x5、y5)、(x5、y6)、(x5、y7)、(x5、y8)、(x5、y9)、(x5、y10)、(x5、y11)、(x5、12)、(x5、13)、(x5、y14)はy軸の上下方向に測定用レーザビーム光を移動させて照射させたイメージ図である。
【0066】
加振部2であるパラメトリックスピーカー800や、振動測定部1のレーザドップラ振動計820の測定用レーザビーム光が投影されたエリアが、構造物変状検出装置10の検知範囲である。
【0067】
加振部2であるパラメトリックスピーカー800や、振動測定部1のレーザドップラ振動計820の測定用レーザビーム光が投影されたエリアが、構造物変状検出装置10の検知範囲である。
【0068】
先ず、健全な状態のコンクリート上を本装置10で測定する。このために、CPU511は、ガルバノスキャナー420のミラーによって、レーザドップラ振動計820の測定用レーザビームの照射位置を(x5、y7)のホームポジションに移動させ、レーザ部402を発光させる。レーザビームはレンズ408によって、ガルバノスキャナー420のミラー面上にフォーカスされ、さらにミラー面で反射し、レンズ430によって、測定ポイントであるコンクリート上にフォーカスされる。この動作によって(x5、y7)の測定ポイントの振動を計測する。
【0069】
次に、座標(x0、y7)のパラメトリックスピーカー800を選択する。CPU511は、データライン513に[000 0000 0001]をセットし、アドレスライン515に[1000]をセットする。さらにクロックライン514にクロックを発生させることによって、座標(x0、y7)のパラメトリックスピーカー800用のドライバを選択し、超音波を発生させる(時間測定開始)。超音波はコンクリートの測定対象物4を加振し、その表面を伝搬し、レーザドップラ振動計820の測定位置である(x5、y7)に到達した時点でレーザドップラ振動計820に検出される(時間測定終了)。この測定時間をメモリ840に記憶する。すなわち、距離L0に対する伝搬時間T0を記憶する。
【0070】
続いて、座標(x1、y7)のパラメトリックスピーカー800を選択する。CPU511は、データライン513に[0000 0000 0010]をセットし、アドレスライン515に[1000]をセットする。さらにクロックライン514にクロックを発生させることによって、座標(x1、y7)のパラメトリックスピーカー800用のドライバを選択し、超音波を発生させる(時間測定開始)。超音波は測定対象物4のコンクリートを加振し、その表面を伝搬し、レーザドップラ振動計820の測定位置である(x5、y7)に到達した時点でレーザドップラ振動計820に検出される(時間測定終了)。この測定時間をメモリ840に記憶する。すなわち、距離L1に対する伝搬時間T1を記憶する。
【0071】
以下同様に、パラメトリックスピーカー(x2、y7)、(x3、y7)、(x4、y7)を選択し、距離L2に対する伝搬時間T2、距離L3に対する伝搬時間T3、距離L4に対する伝搬時間T4を測定し、それぞれメモリ840に記憶する。
【0072】
レーザドップラ振動計820の測定用レーザビーム光を(x5、y0)、(x5、y1)、(x5、y2)、(x5、y3)、(x5、y4)、(x5、y5)、(x5、y6)、(x5、y8)、(x5、y9)、(x5、y10)、(x5、y11)、(x5、12)、(x5、13)、(x5、y14)に移動させれば、x方向の距離に関して、全てのパラメトリックスピーカー800とレーザドップラ振動計820の測定位置関係を、上記測定結果で賄うことが可能であるため大幅な時間短縮が可能である(もちろん、時間を費やして、全てのポイントを測定しても良い)。
【0073】
上記動作によって、健全な状態のコンクリートでの超音波の伝搬時間が判明する。
【0074】
次に、測定対象物(本例では、コンクリート製のトンネル覆工部)4に対して、本装置10を設置し、測定を行う(
図13、
図14)。
【0075】
なお、
図13、
図14において、ガルバノスキャナー420のミラー(ガルバノミラー)の移動によるレーザビームの照射位置の座標は、(xn、y(7−n))で示し、選択されるスピーカー800の座標は、(xn、y)で示す。
【0076】
次に、測定対象物(本例では、コンクリート製のトンネル覆工部)4に対して、本装置10を設置し、測定を行う。(
図13、
図14)
検出動作の前に、CPU511は、ガルバノスキャナー420のガルバノミラーによって、レーザドップラ振動計820の測定用レーザビームの照射位置を(x5、y7)のホームポジションに移動させ、レーザ部402を発光させる。レーザビームはレンズ408によって、ガルバノスキャナー420のガルバノミラーのミラー面上にフォーカスされ、さらにミラー面で反射し、レンズ430によって、測定ポイントであるコンクリート上にフォーカスされる。この動作によって(x5、y7)の測定ポイントの振動を計測する。
【0077】
引き続いて、Act11において、n=0とし、Act12に進み、レーザ部402を発光させ、Act13に進む。
【0078】
Act13において、座標(x0、y7)にガルバノミラーを移動させ、Act14に進む。
【0079】
Act14において、座標(x0、y7)のパラメトリックスピーカー800を選択し、Act15に進む。CPU511は、データライン513に[0000 00000001]をセットし、アドレスライン515に[1000]をセットする。さらにクロックライン514にクロックを発生させることによって、(x0、y7)用のドライバを選択し、超音波を発生させる(時間測定開始)。
【0080】
Act15において、加振による振動の到達時間t0を計測し、Act16に進む。すなわち、コンクリートは超音波により加振され、加振による振動はその表面を伝搬し、レーザドップラ振動計820の測定位置である(x5、y7)に到達した時点(t0)でレーザドップラ振動計に検出される(時間測定終了)。
【0081】
Act16において、測定時間t0をメモリ840に記録し、Act17に進む。
【0082】
Act17において、基準伝搬時間Tnと、測定時間tnとを比較し、測定時間tnが基準伝搬時間Tnを超えている場合には(tn>Tn)、Act18に進み、測定時間tnが基準伝搬時間Tn未満の場合には(tn<Tn)、Act21に進む。
図13の場合、x0とx5間にひび割れが存在するため、測定時間tnは健全時の基準伝搬測定時間T0よりも長くなる(t0>T0)。測定時間の大小関係によって、CPU511は、ひび割れの存在を検出する(Act19、Act21)。
【0083】
Act18において、n=n+1とし、レーザビームの照射位置を一つ移動し、鳴動駆動する次のスピーカー800を選択し、Act19に進む。
【0084】
Act19において、ひび割れ等の変状があると判定し、Act20に進む。
【0085】
Act20において、nが5以上であるか否かを判定し、nが5未満に達するまで(No)Act13に戻る。また、nが5(x軸上)に達すると、Act21に進み、Act11に戻る。
【0086】
すなわち、詳細なひびわれ位置を検出するために、加振ポイントを、測定ポイントに近づけて、同様の動作を行う。パラメトリックスピーカー(x1、y7)を選択する。
【0087】
Act22において、ひび割れ等の変状がないと判定し、Act21に進む。
【0088】
Act13−Act22において、CPU511は、データライン513に[0000 0000 0010]をセットし、アドレスライン515に[1000]をセットする。さらにクロックライン514にクロックを発生させることによって、(x1、y7)用のドライバを選択し、超音波を発生させる(時間測定開始)。超音波はコンクリートを加振し、その表面を伝搬し、レーザドップラ振動計820の測定位置(x5、y7)に到達した時点でレーザドップラ振動計820に検出される(時間測定終了)。この測定時間t1をメモリ840に記憶する。
図13の場合、x1とx5間にひび割れが存在するため、測定時間t1は健全時の測定時間T1よりも長くなる(t1>T1)。
【0089】
以下、同様に、パラメトリックスピーカー(x2、y7)、(x3、y7)、(x4、y7)と選択し、上記測定を繰り返す。本例の場合には、(x4、y7)の測定時間が、ほぼt4と等しくなるため、ひび割れ位置は、(x3、y7)と(x4、y7)の間に存在することが分かる。
【0090】
さらに、レーザドップラ振動計820の測定ポイントを(x5、y6)、(x5、y5)、(x5、y4)、(x5、y3)、(x5、y2)、(x5、y1)、(x5、y0)、に移動させて、同様の測定を行うことによって、ひびわれの位置を検出することができる。
【0091】
第4実施形態
図15は第4実施形態を示す。
【0092】
図15において、加振部2のパラメトリックスピーカー800をx方向、y方向に等間隔で配置し、全体の検知範囲を正方形の構成とした。
【0093】
加振部2であるパラメトリックスピーカー800と、振動測定部1であるレーザドップラ振動計820の間隔が、x、y方向で等長となるため、ひび割れの伸長方向に対して、x、y軸の区別なく使用できる。また、ひび割れの伸長方向が急激に変化した場合(90度以上変化した場合)でも、対応が可能となる。