(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6267704
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】改良された操作性を有するエンジン制御バルブ
(51)【国際特許分類】
F02M 26/65 20160101AFI20180115BHJP
F16J 15/08 20060101ALI20180115BHJP
F16K 1/42 20060101ALI20180115BHJP
F16K 1/18 20060101ALI20180115BHJP
F02M 26/70 20160101ALI20180115BHJP
【FI】
F02M26/65
F16J15/08 H
F16K1/42 G
F16K1/18 B
F02M26/70 330
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-523601(P2015-523601)
(86)(22)【出願日】2013年7月25日
(65)【公表番号】特表2015-525849(P2015-525849A)
(43)【公表日】2015年9月7日
(86)【国際出願番号】FR2013051803
(87)【国際公開番号】WO2014016527
(87)【国際公開日】20140130
【審査請求日】2016年6月13日
(31)【優先権主張番号】1257251
(32)【優先日】2012年7月26日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】508021716
【氏名又は名称】ヴァレオ システム ドゥ コントロール モトゥール
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100176603
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 允史
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー、オデブール
【審査官】
北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2012/001282(WO,A1)
【文献】
特開昭58−160670(JP,A)
【文献】
特表2013−531769(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 26/65
F02M 26/70
F16J 15/08
F16K 1/18
F16K 1/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部ダクトを画成する本体を有するとともにピン(12)を介して枢動する態様で装着されたフラップ(10)を備えたエンジン制御バルブであって、
前記フラップ(10)は、第1部分(11)を含み、
前記第1部分(11)は、ガスが前記ダクトを通過することを許容する開放位置と、前記フラップ(10)が当該バルブの前記本体の2つの要素の間に挿入されたガスケット(1)に接触するようになると共に前記ガスの通過を妨げる閉鎖位置と、の間を枢動可能であり、
前記ガスケット(1)は、前記フラップ(10)の外輪郭を外側から取り囲む外輪郭を有し、且つ、開口部(6)及び中実部(3)を含み、
前記第1部分(11)は、前記フラップ(10)が閉鎖位置にあるときに前記ガスケット(1)の前記開口部(6)を閉鎖し、
前記本体の前記2つの要素(20)の一方には、前記ガスケット(1)の前記中実部(3)に接触するようにバルブ内に配置された支持突出部(21)が設けられ、
前記フラップ(10)は、当該フラップ(10)の前記ピン(12)によって前記第1部分(11)から隔離された第2部分(13)を含み、
前記第2部分は、前記フラップが閉鎖位置にあるとき、前記中実部(3)と重なり合う、エンジン制御バルブ。
【請求項2】
前記ガスケット(1)は、当該ガスケット(1)の周縁領域(2)で、前記本体の前記2つの要素(20)の間に挿入されている、請求項1に記載のバルブ。
【請求項3】
前記支持突出部(21)は、前記ガスケット(1)の前記中実部(3)により規定された面に直交するように前記本体の前記要素(20)から突出している、請求項1又は2に記載のバルブ。
【請求項4】
前記支持突出部(21)は、前記フラップ(10)の前記回転ピン(12)に対して平行に延びている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のバルブ。
【請求項5】
前記突出部(21)は、前記回転ピン(12)の全長の50%乃至100%の長さに沿って延びている、請求項4に記載のバルブ。
【請求項6】
前記支持突出部(21)に接触する前記ガスケット(1)の前記中実部(3)の領域は、前記ガスケット(1)の前記開口部(6)に隣接する領域である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のバルブ。
【請求項7】
前記ガスケット(1)の前記中実部(3)には、当該中実部(3)が熱膨張により変形しないように当該中実部(3)を強化することが意図された補強領域が設けられている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のバルブ。
【請求項8】
前記ガスケット(1)の前記中実部(3)に接触する支持突出部(21)の端部(24)は平坦である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のバルブ。
【請求項9】
前記突出部(21)は、前記ガスケット(1)の前記中実部(3)に、当該中実部(3)のいかなる変形をも生じさせることなく接触する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のバルブ。
【請求項10】
前記支持突出部(21)と前記ガスケットの前記中実部(3)との間の接触は、前記フラップ(10)が閉鎖位置にあるときに前記フラップ(10)の前記第2部分(13)が重なり合う面の反対側にある前記ガスケット(1)の面でなされる、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のバルブ。
【請求項11】
前記突出部(21)は、前記本体の前記要素(20)と一体部品として構成され、
前記要素(20)の一部が前記ダクトの一部を規定するとともに、前記要素(20)の別の一部が前記本体の外面の一部を規定している、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良された操作性を有するエンジン制御バルブに関する。例えば、このタイプのバルブは、このエンジンを出た排ガスの一部を流出させエンジンの上流に当該排ガスの一部を再噴射することができるように、ループ(循環路)内でEGR(排ガス再循環システム、Exhaust Gas Recirculation)の流量を調整するための、車両燃焼機関のガス供給回路に装着され得る。このタイプのバルブの操作原理は、ガスの通過を許容する完全開放位置からこの通過を遮断する閉鎖位置まで移動可能なフラップの制御された回動に基づいている。本発明の対象は、改良された操作性を有するエンジン制御バルブにある。
【背景技術】
【0002】
従って、エンジン制御バルブは、回転ピンに枢動する態様で取り付けられたフラップを有している。前記ピンは、フラップを第1部分と第2部分とに分離し得る。このフラップが閉鎖位置にあるとき、フラップはバルブの本体に固定されたガスケットに接触し、ガスケットはフラップに対する位置決め端部ストッパとして機能することによりバルブをシールする。より具体的には、ガスケットは全体として平坦であり、その周縁部においてバルブの本体の2つの要素の間に挿入されることによってこの本体内に締結されている。例えば、これらの要素は鋳造要素である。ガスケットは開口部を有し、フラップが閉鎖位置にあるときに、フラップの第1部分がガスケットの2つの面の一方に接触して前記開口部を閉鎖するとともに、フラップの第2部分はガスケットの他方の面と重なり合う。フラップは小さい厚さを有するとともに実質的に矩形の全体形状を有している。
【0003】
先ず、製造に関する理由から、ガスケットはフラップの4つの周縁部のうちの3つをカバーするのみであって、このガスケットによりカバーされていないフラップの4つ目の縁部がガスの潜在的な通路として残されていた。つまり、フラップがガスケットに対して閉鎖位置にあっても、この通路によりガスの偶発的な漏出が発生する可能性がある。これは、閉鎖形態にあるバルブの非常に劣悪なシール性という結果をもたらす。
【0004】
次に、貧弱なシール品質を改善する解決策は、一部分又は二部分からなるガスケットの製造であり、フラップの4つの周縁部を完全にカバーするようガスケットを十分に広範なものとして漏出の源を制限するものであった。しかしながら、
図1を参照すると、このタイプの広範なガスケット1が常に遭遇する問題は、ガスケット1がバルブに存在するガスによる高い圧力と高い温度の両方にさらされるため、熱膨張の影響を受けて変形し易い、というものである。このガスケットは、その外縁2において2つの鋳造要素の間に挿入されるので、変形は本質的にガスケット1の中央部3において発生し、これによりバルブ内のガスに対する漏出通路を形成する可能性の高いくぼみ4及び/又は隆起部が生じてしまう。更に、ガスケット1が変形してくぼみ4が生じた場合、フラップに対する遮断部のようなものが形成され、ガスケット1に接触してバルブを閉鎖するためのフラップの枢動が妨げられる恐れがある。換言すれば、ガスケットの変形はバルブの操作メカニズムを妨害する危険がある。
【発明の概要】
【0005】
一形態による本発明の対象は、内部ダクトを画成する本体を有するとともにピンを介して枢動する態様で取り付けられたフラップを備えたエンジン制御バルブであって、前記フラップは、第1部分を含み、前記第1部分は、ガスが前記ダクトを通過することを許容する開放位置と、前記フラップが当該バルブの前記本体の2つの要素の間に挿入されたガスケット、とりわけ平坦なガスケットに接触するようになると共に前記ガスの通過を妨げる閉鎖位置と、の間を枢動可能であり、前記ガスケットは、前記フラップの外輪郭を外側から取り囲む外輪郭を有し、且つ、開口部及び中実部を含み、前記第1部分は、前記フラップが閉鎖位置にあるときに前記ガスケットの前記開口部を閉鎖し、
前記本体の前記2つの要素の一方には、前記ガスケットの前記中実部に接触するようにバルブ内に配置された支持突出部が設けられている、エンジン制御バルブである。
【0006】
本発明のエンジン制御バルブは、フラップを全体的に覆う広範なガスケットと、ガスの高い温度や高い圧力の影響の下でガスケットが変形することを妨げるように成形された本体と、を採用している。このようにして、本発明のエンジン制御バルブは、バルブを流通するガスの温度や圧力とは無関係に良好に作動するものであり、ガスケットの変形の影響によってフラップの回転が妨げられるという恐れがない。
【0007】
具体的には、バルブ内の高温ガスの存在の影響の下で、ガスケットは熱膨張により変形する可能性があり、これによりバルブが閉鎖されていてもガスケットにガスが漏出する通路を形成したりガスケットがフラップの回転を妨げ得る。好ましくは、支持突出部は、最も変形しやすいガスケットの一番脆弱な部分を良好な平坦状態に維持するべく、当該部分に接触するよう構成されている。有利には、バルブが重くなったりバルブ内のガスに対する流れ断面を減じることがないように、突出部はほとんど空間を塞がない。この突出部は、ガスケットを支持する支柱として機能することが可能であり、支柱はバルブ内にいかなる相互作用や影響をも与えないように構成されている。突出部は本体の要素から突出する部分として事前に形成され、いかなる形状をも有し得る。突出部は、特には鋳造物である本体の要素の材料と同じ材料から形成されてもよいし、別の材料から形成されてもよい。同様に、突出部は、本発明の要素に固定された追加部品であってもよいし、同一工程で製造されるこの要素の一体部品として形成されてもよい。
【0008】
有利には、ガスケットは、当該ガスケットの周縁領域で、特には鋳造要素である2つの要素の間に挿入されている。このタイプの締結は従来的なものである。なぜならば、このような締結は、中実部と開口部とにより形成されたガスケットの中央部がフラップと相互作用して、閉鎖位置にあるバルブが適切にシールされることを可能とするからである。しかしながら、この締結は、中央部を構造的に脆弱なものとするという欠点を生じさせる。この理由は、中央部が支持されていないため熱膨張により変形しやすいということにある。したがって、突出部の存在は、このような取付構成に非常に好適である。
【0009】
好ましくは、支持突出部は、ガスケットの中実部に規定された面に直交するように本体の要素から突出している。これは、突出部が特定の変形方向に何ら寄与しないため、ガスケットの中実部に対する突出部の作用が最も効果的である最適な構成である。
【0010】
突出部は、ダクトの一部を規定する本体の要素の一部から、例えばダクトの壁部から突出可能である。
【0011】
突出部は、本体の要素の一体部品として構成されてもよい。この場合、要素の一部分はダクトの全部又は一部を規定するとともに、要素の他の部分は本体の外面の全部又は一部を規定している。したがって、一体部品は、バルブの本体の外面の全部又は一部と、ダクトの全部又は一部と、突出部とを規定している。
【0012】
有利には、支持突出部は、フラップの回転ピンに対して平行に延びている。具体的には、ガスケットの中実部に突出部を保持する機能は、特に回転ピンに対して平行な方向において発揮されなければならないが、この機能は前記ピンに対して垂直な方向に及ぶ必要はない。突出部は、1つのブロックから構成された単独部品からなっていてもよいし、回転ピンに沿って並べられた少なくとも2つの別々の部品からなっていてもよい。
【0013】
有利には、突出部は、回転ピンの全長の50%乃至100%の長さに沿って延在している。具体的には、効果を得るために突出部がピンの長さ全体に亘って延在する必要はない。突出部の長さは、バルブの本体の幾何学的形状、ガスケットの寸法や形状、及び高温ガスによりもたらされる圧力や温度の観点からのストレスレベルによって決定されるものである。
【0014】
好適には、支持突出部に接触するガスケットの中実部の領域は、ガスケットの開口部に隣接する領域である。具体的には、ガスケットのこの特定領域は、最も変形しやすく、したがって適切に平坦な状態であり続けるために一様に支持される必要がある。
【0015】
好ましくは、ガスケットの中実部には、当該中実部が熱膨張により変形しないように当該中実部を強化することが意図された補強領域が設けられている。具体的には、支持突出部の作用に加えて、ガスケットの中実部の変形の可能性を、当部を補強することにより減じることが望ましいであろう。例えば、この補強領域はガスケットの中実部を型押することにより作成された隆起から形成されてもよいし、或いは例えば薄い金属片等の材料の追加により形成されてもよい。隆起は、小さい大きさを有するとともに例えば補強リブに類似していてもよい。
【0016】
有利には、ガスケットの中実部に接触する支持突出部の端部は平坦である。このようにすれば、突出部とガスケットの中実部との間の接触範囲が広がり、これによりこれら2つの要素間の接触の質が高められるとともに中実部に対する突出部の支持効果も高められ得る。
【0017】
有利には、突出部は、ガスケットの中実部に、当該中実部のいかなる変形も生じさせずに接触する。具体的には、中実部と突出部との間の接触は効果的でなくてはならないが、ガスケットの中実部のいかなる変形をも生じさせないためには特定の接触が避けられない。このことは、下記のようにフラップが2つの部分からなる場合に、バルブの動作を阻害しフラップの第2部分と中実部との接触状態を悪化させ得る。
【0018】
本発明のバルブは、その本体の根本的な再設計を特に必要とせずに、単純且つ適切な態様でガスケットの変形を防止するという操作的観点から効果的であるというメリットを有している。更に、本バルブは、支持突出部がバルブ内に既にある空間を占めるものであるため、既存のバルブに対し変わらぬ大きさを保持しているというメリットを有している。また、本発明によるバルブは、ある程度のモジュール性があるというメリットも有している。なぜならば、バルブの内部設計、ガスケットの設計、そしてバルブ内に存在するガスによりもたらされ得るストレスの程度に応じて、支持突出部は多くの様々な寸法及び幾何学的形状を有し得るからである。
【0019】
フラップは、フラップのピンによって第1部分から隔離された第2部分を備え得る。フラップが閉鎖位置にあるときに、この第2部分は中実部と重なり合う。
【0020】
好ましくは、支持突出部とガスケットの中実部との間の接触は、フラップが閉鎖位置にあるときにフラップの第2部分と重なり合う面と反対側のガスケットの面においてなされる。
【0021】
本発明は、以下の説明と非限定的な例示的実施形態を読むことと添付図面を精査することによりよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】ガスケット、フラップ、及び本発明の例示的な一実施形態によるバルブのための支持突出部の概略的断面図であり、フラップが開放位置にある図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明によるエンジン制御バルブは、例えば、車両の内燃機関の排気回路を吸気回路に接続するループを通過するガスの流量を調整するEGR(排気再循環(Exhaust Gas Recirculation))バルブである。
【0024】
図1を参照すると、従来技術のガスケット1は、剛性ステンレス鋼からなり、その周縁領域2で、バルブの本体の2つの要素20の間に挿入されている。例えば、これらの要素20とは鋳造要素20であり、これらはアルミニウム、鋳鉄、又はステンレス鋼から構成され得る。周縁領域2は、ねじにより貫通されることが意図されている多数のオリフィス5を有しており、これによりガスケット1が前記鋳造要素20の間に締結される。このガスケット1は平坦であって、小さい厚さを有する実質的に矩形の形状をしている。ガスケット1は、中実部3とガス用の通過開口部6とを有し、この中実部3とこの開口部6がガスケット1の中央部分を形成している。
【0025】
図2を参照すると、本発明の例示的な一実施形態によるバルブは内部ダクトを備え、回転移動可能なフラップ10とともに機能する。フラップ10は、フラップ10によりガスが最大流量でダクトを通過することが許容される完全開放位置と、フラップ10によりダクトが完全に閉鎖される閉鎖位置との間で回転移動可能となっている。フラップ10は、全体として矩形であり、当例においては、回転ピン12の両側に配置された第1矩形部分11と第2矩形部分13とを有している。これらの部分11、13は平坦であって互いに連続しており且つ共に堅固に締結されている。
【0026】
より具体的には、第1部分10と第2部分13とが境界面16において共に連結されており、フラップ10は境界面16から始まって回転ピン12によって終了するレバーアーム17を有している。このレバーアーム17は、第1部分11と第2部分13とから形成されるフラップ10の面に略垂直である。好ましくは、フラップ10はステンレス鋼からなる。
【0027】
本例において説明されるフラップ10は、閉鎖位置において、フラップ10の第1部分11がガスケット1の一方の面に接触することにより開口部6を閉鎖し、且つ、フラップ10の第2部分13が中実部3においてガスケット1の対向面と重なり合うよう、バルブ内で回動するように取り付けられている。フラップ10の回転ピン12は、ガスケット1の中実領域3にもっとも近い開口部6の領域においてガスケット1の開口部6に垂直に配置されている。
【0028】
フラップ10がガスの通過を許容するように開くと、2つの部分11、13が2つの矢印14、15の方向に同時に枢動して、それらが接触していたか又は重なり合っていたガスケット1の面から離間する。この構成において、フラップ10の第1部分11はガスケット1における開口部6を開き、ガスがダクトを通過して流れることを許容する。フラップ10の回動は制御されており、フラップは閉鎖位置と完全開放位置との間の多くの中間位置において固定され得るということに留意されたい。
【0029】
図1を参照すると、記載された本発明の例示的な実施形態によるバルブのガスケット1は一部品からなり、フラップ10の4つの周縁部を覆うことが可能な程度の大きさを有している。このガスケット1が支持されていなければ、ガスケット1はガスの高い圧力や高い温度の複合した影響下で変形しやすい構造的に脆弱な中央領域を有することとなる。具体的には、ガスケット1はその外縁2において締結されているため、その中央部だけが動きが制限されずに熱膨張の影響を受ける可能性がある。この変形は、ガスケット1の撓みを引き起こし、開口部6に隣接する中実部3においてくぼみ4が形成される原因になり得る。ただし、くぼみ4を有する変形したガスケット1は、フラップ10のレバーアーム17にもたれてフラップの回動を阻止することにより、バルブ内におけるフラップ10の回動メカニズムを妨げ得る。
【0030】
図2を参照すると、バルブの本体の、本例では鋳造要素である2つの要素20のうちのひとつが、ガスケット1の中実部3に接触するような寸法とされた支持突出部21が設けられることによりガスケット1の変形を防止可能としている。この突出部21は、鋳造要素20のベース22において始まり、このベース22からこの突出部21がガスケット1の中実部3の表面に垂直であることを許容するような方向に突出している。突出部21の端部24は、ガスケット1の中実部3に接触するようになっていて、本考察例では平坦であり、これにより中実部3に対する平坦な接触が実現される。この接触はガスケット1の面23においてなされ、この面23はフラップ10が閉鎖位置にあるときにフラップの第2部分13が重なり合う面に対向している。この突出部21は、特には直方体形状を有し、その長手方向軸はフラップ10の回転ピン12に平行である。
【0031】
この突出部の長さは、例えば回転ピン12の全長の75%に等しく、突出部は回転ピン12に対して中央に配置されている。支持突出部21は、開口部6に隣接するガスケット1の中実部3に接触するようになる。そして、突出部21と中実部3との間の接触界面は、開口部6を画成する中実部3の端部から幾分後退した位置にある。突出部21は、ガスケットの中実部3の変形を殆ど生じさせずにガスケット1を完全に平坦に保ったままの状態で、ガスケット1に対する接触を保証する。好ましくは、突出部21は、フラップ10の回動を阻害したりバルブにおけるガスの通過に影響を与えることなく、ガスケット1を効果的に支持するというその機能を果たし得る適切な寸法を有している。同様に、突出部21は、有利にはバルブの重量の増加に著しく寄与すべきでない。
【0032】
本発明の他の例示的な実施形態(図示せず)によれば、ガスケット1の中実部3は、ガスケット1の熱膨張による変形を防止すべく、支持突出部21を補完する補強領域を有している。これは2012年7月4日に1256390号として出願された仏国特許に記載されており、その内容を参照により本願に組み入れたものとする。
【0033】
具体的には、突出部21はガスケット1が一方向に変形することを防止し、補強領域はガスケット1の他方向への変形を制限又は排除する。この補強領域は、例えば、ガスケット1の中実部3に溶接された非常に薄い金属片の形態にある追加材料からなっていてもよい。また、補強領域は型押(スタンプ成形)により作成されたガスケット1の中実部3における隆起からなっていてもよい。好ましくは、この隆起はリブに類似していることが可能である。
【0034】
特には、追加の金属片やリブはフラップ10の回転ピン12に平行に延在し、開口部6に隣接するガスケットの中実部3に配置されている。支持突出部21とガスケット1の中実部3との間の接触界面は、少なくとも部分的に、追加の金属片やリブによって形成されるガスケット1の補強領域に重なっていてもよい。