特許第6267712号(P6267712)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6267712選択触媒還元における触媒として使用するための、長期酸強度を有するアルミナシリケートゼオライト型材料及びその作製方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6267712
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】選択触媒還元における触媒として使用するための、長期酸強度を有するアルミナシリケートゼオライト型材料及びその作製方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 29/70 20060101AFI20180115BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20180115BHJP
   B01J 37/30 20060101ALI20180115BHJP
   C01B 39/48 20060101ALI20180115BHJP
   B01D 53/90 20060101ALI20180115BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   B01J29/70 AZAB
   B01J37/02 101Z
   B01J37/30
   C01B39/48
   B01D53/90
   B01D53/86 222
【請求項の数】25
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-534688(P2015-534688)
(86)(22)【出願日】2013年9月27日
(65)【公表番号】特表2015-536889(P2015-536889A)
(43)【公表日】2015年12月24日
(86)【国際出願番号】US2013062083
(87)【国際公開番号】WO2014052698
(87)【国際公開日】20140403
【審査請求日】2016年9月8日
(31)【優先権主張番号】61/791,709
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/707,385
(32)【優先日】2012年9月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513089291
【氏名又は名称】パシフィック インダストリアル デベロップメント コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マンカ、マンジョラ
(72)【発明者】
【氏名】リ、ユンクイ
(72)【発明者】
【氏名】ラチャペル、ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ウー、ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】シェパード、デイヴィッド
【審査官】 山口 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−519038(JP,A)
【文献】 米国特許第04665110(US,A)
【文献】 特開昭62−216914(JP,A)
【文献】 特開2010−254535(JP,A)
【文献】 特表2014−526965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J21/00−38/74
C01B33/20−39/54
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒として使用するための、結晶性で、修飾されたSTT型ゼオライト材料であって、19:1超〜50:1の四価元素の酸化物と三価元素の酸化物のモル比を含み、
X線回折パターンにおいて、2θ°が8.22、9.68、14.51、15.55、17.9、18.58、19.3、19.66、21.5及び27.4でSSZ−23ゼオライト相の存在に起因するピークを有し、他のピークは、SSZ−13ゼオライト相の存在に起因するピークである、
前記修飾されたSTT型ゼオライト材料。
【請求項2】
前記ゼオライト型材料が、銅、鉄、コバルト、ジルコニウム、チタン及びその混合物の群からの1つとして選択される金属をさらに含む、請求項1に記載の修飾されたSTT型ゼオライト材料。
【請求項3】
前記金属を含有するゼオライト型材料が、選択触媒還元(SCR)反応における触媒として機能する、請求項2に記載の修飾されたSTT型ゼオライト材料。
【請求項4】
前記触媒中に存在する前記金属が、ゼオライト触媒の全重量に対して0.3〜10.0%の範囲である、請求項2又は3に記載の修飾されたSTT型ゼオライト材料。
【請求項5】
前記ゼオライト型材料は、アンモニア温度脱着及びn−プロピルアミン温度脱着が、SSZ−13ゼオライトの対応する脱着よりも、それぞれ少なくとも1.4及び2.0倍大きい前記アンモニア温度脱着及び前記n−プロピルアミン温度脱着によって特徴付けられる、請求項1から4のいずれかに記載の修飾されたSTT型ゼオライト材料。
【請求項6】
水熱熟成後の前記ゼオライト型材料は、アンモニア温度脱着及びn−プロピルアミン温度脱着が、SSZ−13ゼオライトの対応する脱着より、それぞれ少なくとも1.5及び6.5倍大きい前記アンモニア温度脱着及び前記n−プロピルアミン温度脱着によって特徴付けられる、請求項1から5のいずれかに記載の修飾されたSTT型ゼオライト材料。
【請求項7】
前記触媒が、窒素酸化物を含有する排ガスストリームにおけるNO転換性能を維持するのに十分にイオン交換された金属のCu、Fe、Co、Zr、Tiを含有する、請求項2に記載の修飾されたSTT型ゼオライト材料。
【請求項8】
水熱熟成前の前記触媒の前記NO転換性能が、200℃で75%である、請求項7に記載の修飾されたSTT型ゼオライト材料。
【請求項9】
水熱熟成前の前記触媒の前記NO転換性能が、500℃で70%である、請求項7に記載の修飾されたSTT型ゼオライト材料。
【請求項10】
水熱熟成後の前記触媒の前記NO転換性能が、200℃で30%である、請求項7に記載の修飾されたSTT型ゼオライト材料。
【請求項11】
水熱熟成後の前記触媒の前記NO転換性能が、500℃で35%である、請求項7に記載の修飾されたSTT型ゼオライト材料。
【請求項12】
前記金属含有ゼオライトが、ハニカム構造物、金属基材又は成形押出物上に固着されている、請求項2から4及び請求項7から11のいずれかに記載の修飾されたSTT型ゼオライト材料。
【請求項13】
前記ハニカム基材が壁流基材を含む、請求項12に記載の修飾されたSTT型ゼオライト材料。
【請求項14】
前記ゼオライト型材料が、0.1〜50ミクロンのD50での粒径を有する、請求項1から13のいずれかに記載の修飾されたSTT型ゼオライト材料。
【請求項15】
金属含有触媒を調製する方法であって、
請求項1から14のいずれかに記載の修飾されたSTT型ゼオライト材料を硝酸で脱アルミニウム化するステップと;
脱アルミニウム化された前記ゼオライト材料に金属塩水溶液を含浸させる、又は脱アルミニウム化されたゼオライトを金属塩水溶液とイオン交換させるステップと;
Cu、Fe、Co、Zr、Ti又はその混合物の群からの1つとして選択される金属を、脱アルミニウム化された前記ゼオライト材料の骨格部位に取り込むステップと
を含む前記方法
【請求項16】
触媒が、金属を、窒素酸化物を含有する排ガスストリームにおけるNO転換性能を維持するのに十分な量で骨格に取り込む、請求項15に記載の方法
【請求項17】
触媒を、ハニカム基材、金属基材又は押出基材上に固着させるステップをさらに含む、請求項15又は16に記載の方法
【請求項18】
ハニカム基材が壁流基材を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
触媒として使用するための、結晶性で、修飾されたSTT型ゼオライト材料を製造する方法であって、19:1超〜50:1の四価元素の酸化物と三価元素の酸化物のモル比を有するゼオライトを調製するステップを含み、
前記ゼオライトを、
前記四価元素の酸化物の供給源;前記三価元素の酸化物の供給源;アルカリ金属の供給源;及び有機構造指向剤を含む水性反応混合物を生成させるステップで、前記有機構造指向剤の少なくとも一部はN,N,N−トリメチル−1−アダマントアンモニウムヒドロキシドである前記ステップと;
前記水性混合物を、前記ゼオライト型材料の結晶を結晶化させるのに十分な結晶化条件下で保持して、X線回折パターンにおいて、2θ°が8.22、9.68、14.51、15.55、17.9、18.58、19.3、19.66、21.5及び27.4でSSZ−23ゼオライト相の存在に起因するピークを有し、他のピークがSSZ−13ゼオライト相の存在に起因するピークを示す前記ゼオライト型材料を結晶化するステップと;
前記ゼオライト結晶を回収するステップと
によって製造する、
前記方法。
【請求項20】
四価元素酸化物の前記供給源が、2重量%の水分含量を有するヒュームドシリカである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
三価元素酸化物の前記供給源が三水酸化アルミニウムである、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記アルカリ金属カチオンが、結晶性ゼオライト型材料中の原子価電子電荷をバランスさせている、請求項19から21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記ゼオライトを、少なくとも150℃の温度に加熱するステップをさらに含む、請求項15から22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記ゼオライトを160℃の温度に加熱する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ゼオライト型材料が、SSZ−13ゼオライトにおけるブレンステッド酸部位より強く、且つより多くの数で存在するブレンステッド酸部位によって特徴付けられ;
ブレンステッド酸部位が、SSZ−13ゼオライトより、50%超のn−プロピルアミン温度脱着の増大を示すゼオライト型材料をもたらす、請求項1から7のいずれかに記載の修飾されたSTT型ゼオライト材料
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、選択触媒還元(SCR)反応における触媒として使用するためのアルミナシリケート又はアルミノシリケートゼオライト型材料、及び前記触媒の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本節での記述は、単に本開示に関連する背景情報を提供するだけであり、従来技術を構成するものではない。
【0003】
ゼオライトは、酸素イオンの広範な三次元ネットワークをもとにした骨格を有する結晶性アルミノシリケートである。すべてのゼオライトの基本的な構成要素は、小さなケイ素又はアルミニウムイオンを取り囲む4つの酸素アニオンの4面体である。これらの4面体は、4つの酸素アニオンのそれぞれが順に、別のシリカ又はアルミナの4面体を共有するように配置されている。結晶格子は三次元で拡がっており、各酸素アニオンの−2の電荷、すなわち酸化状態からなっている。各ケイ素イオンは、4つの4面体酸素アニオンによってバランスされる+4の電荷を有しており、したがってシリカ4面体は電気的に中性である。三価アルミニウムが4つの酸素アニオンと結合しているので、各アルミニウム4面体は−1の残留電荷を有する。これは、以下の概略図、及びR.Szostak著のモレキュラーシーブ:合成及び特定の原理(Molecular Sieves:Principles of Synthesis and Identification)、第2版、Blackie Academic and Professional、London、1998年にさらに説明されているように、非骨格位置を占めており、強い酸供与ブレンステッド部位として作用するカチオンによってバランスされる。
【0004】
【数1】
【0005】
高度にシリカを含有するゼオライト又はモレキュラーシーブは、一般に、アルカリ金属又はアルカリ土類金属酸化物の供給源;ケイ素の酸化物の供給源;任意選択の酸化アルミニウムの供給源;及び1−アダマントアミン、その誘導体N,N,N−トリメチル−1−アダマントアンモニウムヒドロキシドから誘導されるカチオン並びにその混合物を含む水性反応混合物から調製される。ヒュームドシリカは酸化ケイ素の典型的な供給源として使用され、水酸化アルミニウムは酸化アルミニウムの典型的な供給源として使用される。次いで、結晶化によって形成される「合成されたままの」結晶性ゼオライトを、さらなる処理にかけることができる。例えば、構造指向剤(SDA)を、熱処理(すなわち、焼成)によって除去することができる。そうしたさらなる処理は、希釈された酸溶液又は硝酸アンモニウム溶液を使用するなどの公知の方法を用いるイオン交換による金属カチオンの除去を含む。
【0006】
Microporous and Mesoporous Materials、22、(1998)、69〜85頁において、Y.Nakagawaらは、N,N,N−トリメチル−1−アダマントアンモニウムカチオンを用いて作製できる5つの異なるゼオライトをコンピュータ的に決定している。彼らの分子モデル計算は、彼らの実験データと一致している。彼らは、このテンプレートが、SSZ−13、SSZ−23、SSZ−24、SSZ−25及びSSZ−31型のゼオライトを結晶化させることを報告している。彼らは、5つのゼオライトのための結晶化域境界が一般に2つのSDAによって作られることを示している。N,N,N−トリメチル−1−アダマントアンモニウムSDA分子は、SAR10〜40で菱沸石(カバザイト)相を結晶化させ、SAR50〜70でSTT相を結晶化させる。SSZ−23の構造をもたらす有機テンプレートはほとんどない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は一般に、PIDC−MM−0501、PIDC−MM−0502及びPIDC−MM−0805/0806又はPIDC−MM型ゼオライトと称される新規なSTT型ゼオライト材料、及びこれらのゼオライトの作製方法を提供する。本開示はまた、触媒としてのこれらのゼオライト材料の使用、及び前記触媒の調製方法も提供する。これらの新規な材料構造が、本明細書で説明する反応のタイプ及び所定の一連の合成条件のもとで、生成物として出現することは驚くべきことである。このSTT型ゼオライト材料は、約19:1超〜約250:1の四価元素の酸化物と三価元素の酸化物のモル比を含み、X線回折パターンにおいて存在する特異的なピークで特徴付けることができる。
【0008】
PIDC−MM型ゼオライト又は修飾されたSTT型ゼオライト材料は、SCR用途などにおける触媒として使用することができる。新規なPIDC−MM型材料でのアンモニアとn−プロピルアミンの両方について温度プログラムした脱着(TPD)試験の比較は、それらが、公知のSSZ−13ゼオライトのものより強度に酸性の部位を含むことを示している。TPDの測定において、合成ゼオライトの酸強度を、アンモニア及びn−プロピルアミンなどの塩基性の特徴を有するプローブ分子を用い、それらが脱着する温度を測定することによってモニターする。
【0009】
ゼオライト型材料を調製する方法は、一般に、四価元素の酸化物の供給源;三価元素の酸化物の供給源;アルカリ金属の供給源;及び、有機構造指向剤の少なくとも一部がN,N,N−トリメチル−1−アダマントアンモニウムヒドロキシドを含む該有機構造指向剤を含む水性反応混合物を形成するステップと;その水性混合物を、指定されたX線回折パターンを示すゼオライト型材料の結晶を結晶化させるのに十分な結晶化条件下で保持するステップと;ゼオライト結晶を回収するステップを含む。
【0010】
ゼオライト型材料から触媒を調製する方法は、ゼオライト型材料を硝酸で脱アルミニウム化して脱アルミニウム化されたゼオライトを形成するステップと;脱アルミニウム化されたゼオライトに金属塩水溶液を含浸させる又は脱アルミニウム化されたゼオライトを金属塩水溶液とイオン交換させるステップと;Cu、Fe、Co、Zr、Ti又はその混合物の群からの1つとして選択される金属を、脱アルミニウム化されたゼオライトの骨格部位に取り込むステップを含む。
【0011】
適用可能な他の分野は、本明細書で提供される説明から明らかになるであろう。説明及び具体的な例は、例示を目的とするためだけであり、本開示の範囲を限定しようとするものではないことを理解すべきである。
【0012】
本明細書で説明する図面は、例示を目的とするためだけであり、本開示の範囲を限定しようとするものでは全くない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の教示による修飾されたSTTゼオライトの調製の概略図を示す図である。
【0014】
図2】実施例1にしたがって調製されたゼオライトの粉末X線回折分析スペクトルを示す図である。
【0015】
図3】実施例1にしたがって調製された焼成ゼオライトの粉末X線回折分析スペクトルを示す図である。
【0016】
図4】実施例2にしたがって調製されたゼオライトの粉末X線回折分析スペクトルを示す図である。
【0017】
図5】実施例2にしたがって調製された焼成ゼオライトの粉末X線回折分析スペクトルを示す図である。
【0018】
図6】実施例3にしたがって調製されたゼオライトの粉末X線回折分析スペクトルを示す図である。
【0019】
図7】実施例3にしたがって調製された焼成ゼオライトの粉末X線回折分析スペクトルを示す図である。
【0020】
図8】(a)既存のSSZ−13(PIDC−801)、(b)PIDC−MM−0501ゼオライト型材料、及びc)PIDC−MM−0502ゼオライト型材料の合成で得られた生成物の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す図である。
【0021】
図9】TPD装置の概略図である。
【0022】
図10】本開示の教示にしたがって調製されたフレッシュ(fresh)なゼオライトサンプルによって示されるアンモニアの脱着プロファイルのグラフ表示を示す図である。
【0023】
図11】水熱熟成された(750℃で24時間、10%HO)ゼオライトサンプルによって示されるアンモニア脱着プロファイルのグラフ表示を示す図である。
【0024】
図12】本開示の教示にしたがって調製されたフレッシュなゼオライトサンプルによって示されるn−プロピルアミンの脱着プロファイルのグラフ表示を示す図である。
【0025】
図13】水熱熟成された(10%水蒸気で、750℃24時間)ゼオライトサンプルによって示されるn−プロピルアミンの脱着プロファイルのグラフ表示を示す図である。
【0026】
図14図14は、本開示の教示にしたがって調製されたゼオライトサンプルによって示される、n−プロピルアミン及びプロピレンの脱着プロファイルのグラフ表示である。
【0027】
図15図15は、図14に示したグラフからのサンプルによって示されたn−プロピルアミンの脱着プロファイルの拡大図である。
【0028】
図16図16は、図14に示したグラフからのサンプルによって示されたプロピレンの脱着プロファイルの拡大図である。
【0029】
図17図17は、本開示の教示にしたがって調製されたフレッシュなCu−PIDC−MM型ゼオライト、及び750℃、24時間、10%HOで水熱熟成されたゼオライトサンプルについての200℃でのNO転換率のグラフ表示である。
【0030】
図18図18は、本開示の教示にしたがって調製されたフレッシュなCu−PIDC−MM型ゼオライト、及び750℃、24時間、10%HOで水熱熟成されたゼオライトサンプルについての500℃でのNO転換率のグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下の説明は本来単なる例示に過ぎず、本開示又はその適用若しくは使用を限定しようとするものでは全くない。この説明を通して、対応する参照数字は、類似又は対応する部分及び特徴を示すことを理解すべきである。
【0032】
本開示は、一般に、選択触媒還元(SCR)反応に対する触媒活性を示す修飾されたSTTゼオライト型材料を提供する。本明細書で説明する合成条件にしたがって調製されるこのゼオライト型材料は、アンモニア及びn−プロピルアミン温度脱着試験によって実証されるように、既存のSSZ−13型ゼオライトより優れた高い触媒活性を示す。STT型ゼオライトの存在は、d=1.08(7.8%);0.837(4.0);0.845(3.6);0.480(4.5);0.456(3.8);0.445(1.6);0.416(4.0);及び0.364(2.6)nmでの「合成されたままの」材料のXRD反射で観察された。調製されたゼオライトの実証的ゲル組成(empirical gel)は:
5.577 NaOH:4.428 RNOH:Al:28 SiO:1219.7 H
で表される。
【0033】
以下の具体的な実施形態を、本開示の教示にしたがって調製された修飾されたSTTゼオライト型材料の調製、特定及び使用を例示するために示すが、本開示の範囲を限定すると解釈されるべきではない。本開示に照らして、当業者は、本明細書で開示される具体的な実施形態において多くの変更を加えることができ、それでも、本開示の趣旨又は範囲を逸脱する又はそれを超えることなく、同様の又は類似した結果を得ることができることを理解されよう。当業者はさらに、本明細書で報告される任意の特性が、慣行的に測定され、複数の異なる方法で得ることができる特性を表すことを理解されよう。本明細書で説明する方法はそうした1つの方法を代表しており、本開示の範囲を超えることなく、他の方法を使用することができる。
【0034】
図1を参照して、本開示の修飾されたSTTゼオライト型材料は、一般に、反応物を、均一な白濁溶液が得られるまで撹拌することによって調製される。ゼオライト結晶の合成は、2.0L Parrオートクレーブ中、150℃〜160℃で4〜7日間実施する。冷却されたら、反応容器の内容物をろ過器に注加し、結晶を蒸留水で洗浄し、120℃で終夜乾燥する。合成後、ゼオライト骨格構造指向剤を除去するために、イオン交換の前にゼオライトを焼成する。
【0035】
結晶化によって形成された「合成されたままの」結晶性ゼオライトをさらなる処理にかけることができる。例えば、テンプレート又は構造指向剤(SDA)を、熱処理(すなわち、焼成)によって除去することができる。そうしたさらなる処理は、これらに限定されないが、希釈された酸又は硝酸アンモニウム溶液を使用する方法を含む当業者に公知の任意の方法によるイオン交換での金属カチオンの除去も含むことができる。
【0036】
米国特許第3,140,249号、米国特許第3,140,251号及び米国特許第3,140,253号に記載されているものなどの標準的なイオン交換技術により、既存のカチオンの一部を金属カチオンで置き換えることによって、金属をゼオライト中に導入することができる。典型的なカチオン置換は、周期表の1族〜12族から選択される金属カチオン及びその混合物の使用を含むことができる。周期表の1族、2族及び8族の元素が好ましい。
【0037】
骨格内に組み込まれた遷移金属を有するゼオライトは、様々な、そして頻繁に重要な触媒特性を示す。例えば、コバルト含有ゼオライトは、主に、メタンでの窒素酸化物の選択触媒還元(SCR)におけるそれらの触媒性能のため、ここ数年大きな関心の対象となっている。メタンが、固定源(stationary source)から放出されるNOの還元剤としてアンモニアを置き換えることが期待されるので、この反応は重要である。米国公開第2008/0226545A1号は、アンモニアによる一酸化窒素の選択触媒還元を使用した、広い温度範囲にわたるガス状媒体からのNO排出の制御における銅交換ゼオライトの使用を開示している。
【0038】
ゼオライト触媒の触媒活性に影響を及ぼす重要な因子は、触媒について選択される調製経路である。例えば、Applied Catalysis B:Environmental、91、(2009)、217頁において、Janasらは、NOの選択触媒還元(SCR)における、銅βゼオライト(CuSiBEA)の触媒活性に対する銅含量の効果を記載している。CuSIBEA触媒を得るための二段合成後法により、βゼオライトの骨格中への銅の取り込みを制御することができる。
【0039】
得られる生成物は、XRDによって特徴付けられる。そのパターンは、0.02° 2θのステップサイズを用いて5〜35° 2θで得られる。Carl−Zeiss顕微鏡を用いて、走査電子顕微鏡(SEM)画像及びエネルギー分散型X線分光(EDAX)化学分析が得られる。温度脱着試験を、MKS Cirrus質量分析計と一体となった2920Micromeritics装置で実施する。合成されたすべての材料は白色粉末である。
【0040】
本開示の方法は、28:1のシリカとアルミナのモル比で調製され、銅、鉄、コバルト、ジルコニウム、チタンなどの金属又はその混合物を、脱アルミニウム化されたシリカの骨格部位中に取り込んでいる、金属を含有する修飾されたSTT型ゼオライトを合成する方法を提供する。この方法は、(1)ゼオライトを硝酸で脱アルミニウム化するステップと、続く(2)得られる脱アルミニウム化されたゼオライトに金属塩水溶液、例えばCu(NO・HO溶液などを含浸させるステップを含む。金属塩溶液からの金属カチオンは、それまでアルミニウム(Al)カチオンによって占められていたゼオライト骨格中の部位を占有する。この方法は、任意選択で、金属塩水溶液で含浸させた後、修飾されたSTT型ゼオライトを、少なくとも150℃、或いは約160℃の温度に加熱するステップを含むことができる。金属を含有する修飾されたSTT型ゼオライト中に存在する金属の量は、金属を含有する修飾されたSTT型ゼオライトの全重量に対して約0.3〜約10.0%、或いは約0.3〜約3.3%の範囲である。ゼオライト骨格は一般に約6ナノメートル未満の細孔サイズを有する。
【0041】
本開示の他の態様によれば、金属を含有する修飾されたSTT型ゼオライト触媒を調製するのに使用するための修飾されたSTT型ゼオライトを調製する方法が提供される。この方法は一般に、約19:1超の(A):(B)のモル比を有する修飾されたSTT型ゼオライトであって、(A)が四価元素の酸化物であり、(B)が三価元素の酸化物であるゼオライトを提供する。この方法は、(A)の供給源;(B)の供給源;アルカリ金属カチオンの供給源;及びその少なくとも一部がN,N,N−トリメチル−1−アダマントアンモニウムヒドロキシドを含む有機構造指向剤(SDA)を含む水性反応混合物を生成させるステップと;その水性混合物を、STT型ゼオライトの結晶を生成させるのに十分な結晶化条件下で保持するステップと、修飾されたSTT型ゼオライト結晶を回収するステップを含む。
【0042】
アルカリ金属カチオンの供給源は、好ましくは、合成されたままの結晶性酸化物材料の一部であるアルカリ金属カチオンを有するアルカリ金属水酸化物であって、それによってそこの原子価電子電荷をバランスさせる該アルカリ金属水酸化物である。例えば、四価元素は、供給源(A)が約2重量%の水分含量を有するヒュームドシリカであるケイ素であってよく、三価元素は、供給源(B)が約63%以下の水分含量を有する乾燥水酸化アルミニウムであるアルミニウムであってよい。得られるゼオライトは、一般に約6nm未満の細孔サイズを有する。
【0043】
さらに図1を参照すると、本開示の教示にしたがって調製されたゼオライト型材料は、SCR用途などにおける触媒として使用することができる。合成ゼオライトサンプルの酸強度を、アンモニア及びn−プロピルアミンなどの塩基性の特徴を有するプローブ分子を用いて、それらが脱着される温度を測定(温度プログラムした脱着測定)することによってモニターする。サンプルの酸性度を、アンモニアの温度をプログラムした脱着及びn−プロピルアミン−TPD技術によって測定する。任意選択で、金属含有触媒を、これらに限定されないが、壁流基材、金属基材又は押出基材若しくは押出物を含むハニカム構造物上に固着させることができる。
【0044】
ゼオライトの構造内でのアルミニウムのCu、Fe、Co、Zr、Ti又はその混合物による置き換えは、ゼオライト触媒のSCR活性を増大させる。骨格格子内に金属を含む修飾されたSTT型ゼオライトは、より少ないアンモニアを貯蔵することができる。この金属置換プロセスは、触媒中に存在するブレンステッド酸部位の量を減少させ、そうした部位をルイス酸部位で置き換える。全体的な金属の置き換えは、アンモニアSCR触媒において起こるNOスリップを低減させる。
【実施例】
【0045】
(例1)
PIDC−MM−0501修飾されたSTT型ゼオライト材料の合成。
【0046】
水酸化ナトリウム溶液とN,N,N−トリメチル−1−アダマントアンモニウムヒドロキシドを混合する。水酸化アルミニウムを加え、続いてシリカAerosil200を加える。得られた混合物に脱イオン水を加える。反応物を、均一な白濁溶液が得られるまで撹拌する。得られたスラリーを2.0L Parrステンレス製容器に移し、容器を密封する。反応容器を、PIDC−0501ゼオライト材料の調製のために160℃で6日間加熱する。冷却したら、反応容器の内容物をろ過器に注加し、結晶を蒸留水で洗浄し、120℃で終夜乾燥する。合成した後、ゼオライト骨格構造指向剤を除去するために、イオン交換の前に、ゼオライト粉末を焼成する。
【0047】
この手順で得られたPIDC−MM−0501ゼオライト生成物のX線回折パターンを、以下の表1にまとめ、また図2及び図3に示す。調製されたゼオライトはSSZ−13相とSSZ−23相の混合物を含む。X線回折パターンにおいて、2θが8.22、9.68、14.51、15.55、17.9、18.58、19.3、19.66、21.5及び27.4のときの各ピークはSSZ−23相の存在に帰し、他のピークはSSZ−13相の存在に帰属される。
【0048】
【表1】
【0049】
(例2)
PIDC−MM−0502及びPIDC−MM−0805/0806修飾されたSTTゼオライト型材料の合成。
【0050】
水酸化ナトリウム溶液とN,N,N−トリメチル−1−アダマントアンモニウムヒドロキシドを混合する。三水酸化アルミニウムを加え、続いてシリカAerosil200を加える。得られた混合物に脱イオン水を加える。反応物を、均一な白濁溶液が得られるまで撹拌する。得られたスラリーを2.0L Parrステンレス製容器に移し、容器を密封する。反応容器を160℃で7日間加熱する。冷却したら、反応容器の内容物をろ過器に注加し、結晶を蒸留水で洗浄し、120℃で終夜乾燥する。加熱温度、温度ランピング、及び結晶化プロセスにおける若干の差は、PIDC−MM−0502及びPIDC−MM−0805/0806ゼオライト材料が生成する形態において若干の変動をもたらす。合成した後、ゼオライト骨格構造指向剤を除去するために、イオン交換の前に、ゼオライト粉末を焼成する。
【0051】
この手順で得られたPIDC−MM−0502ゼオライト生成物のX線回折(XRD)パターンを図4及び図5に示す。XRD分析は、ゼオライトがSSZ−13とSSZ−23の両方の相を含むことを示しており、2θが8.22、9.68、14.51、15.55、17.9、18.58、19.3、19.66、21.5,及び27.4のときのピークのそれぞれは、SSZ−23相に帰し、他のピークのそれぞれは、SSZ−13相に起因する。この実施例におけるPIDC−MM−0502材料のX線回折(XRD)パターンは、SSZ−23相に起因するピークの相対強度が増大していることを除いて、PIDC−MM−0501材料(実施例1を参照されたい)のパターンと類似していることが分かる。ピーク強度におけるこの増大は、SSZ−23ゼオライト相の結晶化に好都合であるより長い反応時間のためである。
【0052】
(例3)
従来型の高純度SSZ−13(PIDC−0801)の合成
【0053】
水酸化ナトリウム溶液とN,N,N−トリメチル−1−アダマントアンモニウムヒドロキシドを混合する。三水酸化アルミニウムを加え、続いてシリカAerosil200を加える。得られた混合物に脱イオン水を加える。反応物を、均一な白濁溶液が得られるまで撹拌する。得られたスラリーを2.0L Parrステンレス製容器に移し、容器を密封する。反応容器を150℃で4日間加熱する。冷却したら、反応容器の内容物をろ過器に注加し、結晶を蒸留水で洗浄し、120℃で終夜乾燥する。合成した後、ゼオライト骨格構造指向剤を除去するために、イオン交換の前に、ゼオライト粉末を焼成する。
【0054】
この手順で得られた従来型のゼオライト生成物のX線回折パターンを、図6及び図7に示す。この実施例で調製された従来型のゼオライトと、実施例1及び2で調製したような本開示のゼオライトとの間で観察される差は、SSZ−23相の出現に起因する、2θ°が8.22、9.68、14.51、15.55、17.9、18.58、19.3、19.66、21.5及び27.4のときのピークの存在である。これらのピークは、この実施例で調製された従来型のSSZ−13ゼオライトのXRDパターンには存在しない。
【0055】
ここで図8を参照して、合成(A)実施例3−既存のSSZ−13(CHA)、(B)実施例1−PIDC−0501ゼオライト型材料及び(C)実施例2−PIDC−MM−0502ゼオライト型材料で得られた生成物の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を比較する。図8Aでは、既存のSSZ−13ゼオライトは、2〜10μmの平均粒径を有する典型的な菱沸石ゼオライトの立方形を示す。しかし、図8Bでは、PIDC−MM−0501材料は、立方体粒子と球状、例えば棒状粒子の混合物を示している。図8Cでは、PIDC−MM−0502材料はまた、立方体粒子と球状粒子の混合物も示している。この図では、球状粒子の表面は立方体結晶とともに凝集している。したがって、本開示にしたがって調製された材料(図8B及び図8C)は、SSZ−23ゼオライト構造を示す球状粒子と共結晶化したSSZ−13ゼオライト構造を示す立方体粒子を示す。修飾されたSTT型ゼオライト材料は約0.1〜50ミクロンのD50での粒径を有していてよい。
【0056】
(例4)
温度プログラムした脱着
【0057】
本明細書で調製した既存のSSZ−13及びPIDC−MMゼオライト型材料の上の酸部位の全体的な性質及び分布を試験するために、塩基性分子のNH及びn−プロピルアミンの温度プログラムした脱着を施す。TPDスペクトルを、MKS Cirrus質量スペクトル装置(Mass Spec equipment)において熱伝導度検出器(TCD)と連結された2920Micromeritic装置で記録する。概略ダイアグラムを図9に示す。
【0058】
NH−TPDについて、典型的には、0.1g触媒を、25mLmin−1のヘリウム流のもと20℃/minの速度で、500℃で30分間前処理し、次いで、100℃の吸着温度に冷却する。触媒を、希釈アンモニア(10%アンモニア/90%アルゴン)で、100℃で30分間飽和させる。飽和させた後、サンプルを25mL/minのヘリウムで20分間パージして、ゼオライトの表面上の弱く吸着したアンモニアを除去する。次いで、ヘリウム流を25mL/minに保持しながら、サンプルの温度を20℃/minの加熱速度で100℃から650℃まで上昇させ、次いで、最終的に650℃で40分間保持する。質量分析計を用いて脱着NHをモニターする。
【0059】
n−プロピルアミン−TPDについて、典型的には、0.1g触媒を、25mLmin−1のヘリウム流のもと、500℃で30分間前処理し、次いで、100℃の吸着温度に冷却する。n−プロピルアミンを入れたフラスコを60℃で加熱してn−プロピルアミン蒸気を発生させる。触媒を希釈n−プロピルアミンと一緒に添加する。サンプルが飽和されるまで添加を繰り返す。これは、等しい高さの5つのピークの存在によって証明される。飽和させた後、サンプルを25mLmin−1のヘリウムで20分間パージして、ゼオライトの表面上の弱く吸着したアンモニアを除去する。次いで、ヘリウム流を25mLmin−1で、サンプルの温度を20℃/minの加熱速度で100℃から650℃まで上昇させる。質量分析計を用いて脱着n−プロピルアミンをモニターする。
【0060】
3つのサンプルからの脱着したアンモニアの量をそれらのTPDピーク面積により評価する(図10)。2つのNH脱着ピークが存在する。約160℃でのNH脱着ピークは弱酸部位と関係しており、480℃より高い温度での他方のピークは強酸部位と関係している。3つのゼオライトPIDC−MM−0501、PIDC−MM−0502及びPIDC−0801(従来型)は異なる酸性度を示す。水熱熟成されたゼオライトサンプルのアンモニア脱着プロファイルを図11に示す。フレッシュなサンプルと熟成されたサンプルの両方について、フレッシュなPIDCゼオライト型材料の吸着性能は、純粋なSSZ−13と比較して大幅に高い。表2に示すように、これらのサンプル上でのアンモニアの脱着能力は次の順番で増大する:PIDC−0801(従来型)<PIDC−MM−0501<PIDC−MM−0502。
【0061】
【表2】
【0062】
n−プロピルアミンTPDプロファイルの結果を、それぞれ、フレッシュなサンプルについて図12及び図14に、熟成されたサンプルについて図13に示す。すべてのサンプルは160℃及び380℃で2つの脱着ピークを示しており、これは、n−プロピレン酸性度及びプロピレン酸性度を示すこれらのサンプル上のn−プロピルアミンについての2つのエネルギー的に活性なタイプの吸着部位の存在を示唆している。より高い温度脱着ピークは、n−プロピルアミンとゼオライトサンプルの表面上に存在するシラノール基とのより強い相互作用に帰すことができる。本開示のPIDC−MMゼオライト型材料の吸着性能は、既存又は従来型のSSZ−13より大幅に高い。
【0063】
図14から、脱着プロファイルの拡大図を、n−プロピルアミン酸性度に対応する曲線の部分について図15に、プロピレン酸性度に対応する曲線の部分について図16に示す。両方の曲線において、本開示のPIDC−MMゼオライト型材料の吸収は、既存又は従来型のSSZ−13の吸収より大幅に大きい。実際、脱着から得られるプロピレンの量(例えば図16の曲線下の面積)はSSZ−13材料のグラム当たり1.61ミリモルに相当するが、PIDC−MM−0805、PIDC−MM−0502及びPIDC−MM−0806ゼオライト型材料は、ゼオライト材料のグラム当たり2.86、3.48及び4.27ミリモルを示す。したがって、PIDC−MMゼオライト型材料は、より多くの数のブレンステッド酸部位、並びにSSZ−13ゼオライト材料中に存在する部位より大幅に強いブレンステッド酸部位を示している。実際、これらのブレンステッド酸部位は、SSZ−13ゼオライトより50%超多いn−プロピルアミン温度脱着の増大を示すゼオライト型材料をもたらす。
【0064】
NO転換率を、マイクロ流通反応器として働くMicromeritics2920及びサンプルを通過した後のガス濃度の分析を行うMKS残留ガス分析器を用いてテストする。サンプルを、以下のガス濃度:NO=175ppm;N0=175ppm;NH=350ppm;及び0=175ppmでテストする。サンプルを50,000−1/hrの空間速度下でテストする。MKS残留ガス分析器を通して45分間一定圧力にした後、NO転換率数を、定常状態条件から計算する。NO転換率の結果を、それぞれ、フレッシュなサンプルについて図17に、熟成されたサンプルについて図18に示す。200℃と550℃の両方の温度で熟成後、NO転換率は低下する。フレッシュな触媒のNO転換性能は約200℃で75%であり、約500℃で約70%である。水熱熟成された触媒について、約200℃での触媒のNO転換性能は30%である。水熱熟成された触媒について、約500℃での触媒のNO転換性能は35%である。このNO転換率の低下は、水熱熟成条件にかけられた後に減少するサンプルの酸性度に起因する、活性の損失を実証している。
【0065】
本発明の種々の形態の上記説明を、例示及び説明の目的で提供してきた。包括的なものにしようとするものでも、また本発明を開示される正確な形態に限定しようとするものでもない。上記教示に照らして、多くの改変形態又は変更形態が可能である。考察した形態は、本発明の原理の最高の例示及びその実際的な応用を提供し、それによって当業者が本発明を、種々の形態で、種々の改変形態を用いて、考えられる具体的な使用に適したものとして利用できるようにするために選択し、説明したものである。そうしたすべての改変形態及び変更形態は、それらが適正に、合法的に且つ公正に資格を与えられている幅にしたがって解釈した場合に、添付の特許請求の範囲によって決定されるような本発明の範囲内にある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8(A)】
図8(B)】
図8(C)】
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18