(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記給電側コイルの駆動が停止されているときの前記第一期間での第一減衰勾配を取得し、前記給電側コイルの駆動が停止されているときの前記第二期間での第二減衰勾配を取得する工程は、
前記給電側コイルの駆動が停止されているときの前記給電側コイルのコイル信号での振動の複数のピーク値を取り出す工程と、
前記給電側コイルの駆動が前回停止されているときに生成されている複数のピーク電圧レベルのうちの対応するピーク電圧レベルと、前記複数のピーク値とをそれぞれ比較する工程と、を含む、請求項1に記載の方法。
前記複数のピーク電圧レベルの数は、取り出された前記複数のピーク値の数と等しく、前記複数のピーク電圧レベルはそれぞれ、前記複数のピーク値の電圧を追随する、請求項3に記載の方法。
前記複数のピーク値のうちのピーク値が前記複数のピーク電圧レベルのうちの対応するピーク電圧レベルに達するときは、該ピーク電圧レベルの値を増加させ、該ピーク値が該ピーク電圧レベルに達しないときは、該ピーク電圧レベルの値を減少させ、該ピーク電圧レベルが該ピーク値の電圧を追随できるようにする工程を、さらに含む、請求項4に記載の方法。
前記複数のピーク値は、第一ピーク値、第二ピーク値、第三ピーク値及び第四ピーク値を含み、それぞれ、前記給電側コイルの駆動が停止されているときの前記コイル信号の自然振動内の、第一ピークの値、第二ピークの値、第三ピークの値及び第四ピークの値であり、
前記第一減衰勾配は、第一のピーク電圧レベルと第二のピーク電圧レベルとの差を前記第一ピークと前記第二ピークとの間の距離で割ったものに等しく、
前記第二減衰勾配は、第三のピーク電圧レベルと第四のピーク電圧レベルとの差を前記第三ピークと前記第四ピークとの間の距離で割ったものに等しい、請求項3に記載の方法。
前記複数のピーク値は、第一ピーク値、第二ピーク値及び第三ピーク値を含み、それぞれ、前記給電側コイルの駆動が停止されているときの前記コイル信号の自然振動内の、第一ピークの値、第二ピークの値及び第三ピークの値であり、
前記第一減衰勾配は、第一のピーク電圧レベルと第二のピーク電圧レベルとの差を前記第一ピークと前記第二ピークとの間の距離で割ったものに等しく、
前記第二減衰勾配は、前記第二のピーク電圧レベルと第三のピーク電圧レベルとの差を前記第二ピークと前記第三ピークとの間の距離で割ったものに等しい、請求項3に記載の方法。
前記複数のピーク値に対応する複数の安定パラメータに従って、前記給電側コイルのコイル信号が安定状態にあるか否かを判定する工程であって、前記複数の安定パラメータが大きい程、前記コイル信号が安定している、工程と、
第三期間中の最大連続トリガカウントと最大連続非トリガカウントと判定する工程であって、該最大連続トリガカウントは、前記複数のピーク値のうちのピーク値が前記複数のピーク電圧レベルのうちの、該ピーク値に対応するピーク電圧レベルに連続的に達する最大回数であり、該最大連続非トリガカウントは、該ピーク値が該ピーク電圧レベルに連続的に達さない最大回数である、工程と、
前記最大連続トリガカウントと前記最大連続非トリガカウントとのいずれもが所定の値よりも小さいときに前記ピーク値に対応する、前記複数の安定パラメータのうちの安定パラメータを増加させる、又は、前記最大連続トリガカウントと前記最大連続非トリガカウントとの少なくとも一つが該所定の値よりも大きいときに該安定パラメータを減少させる、工程と、をさらに含む、請求項3に記載の方法。
前記複数の安定パラメータが閾値よりも大きいときに、前記第一減衰勾配と前記第二減衰勾配に従って、前記誘導型電源システムの前記送電領域内に前記侵入金属が存在するか否かを判定する工程を行う工程と、
前記複数の安定パラメータの少なくとも一つが前記閾値よりも小さいときに、前記第一減衰勾配と前記第二減衰勾配に従って、前記誘導型電源システムの前記送電領域内に前記侵入金属が存在するか否かを判定する工程を行うのを停止する工程と、をさらに含む、請求項8に記載の方法。
前記複数のピーク電圧レベルの数は、取り出された前記複数のピーク値の数と等しく、前記複数のピーク電圧レベルはそれぞれ、前記複数のピーク値の電圧を追随する、請求項12に記載の誘導型電源システム。
前記プロセッサは、前記複数のピーク値のうちのピーク値が前記複数のピーク電圧レベルのうちの対応するピーク電圧レベルに達するときは、該ピーク電圧レベルの値を増加させ、該ピーク値が該ピーク電圧レベルに達しないときは該ピーク電圧レベルの値を減少させ、該ピーク電圧レベルが該ピーク値の電圧を追随できるようにする工程を、さらに行う、請求項14に記載の誘導型電源システム。
前記複数のピーク値は、第一ピーク値、第二ピーク値、第三ピーク値及び第四ピーク値とを含み、それぞれ、前記給電側コイルの駆動が停止されているときの前記コイル信号の自然振動内の、第一ピークの値、第二ピークの値、第三ピークの値及び第四ピークの値であり、
前記第一減衰勾配は、第一のピーク電圧レベルと第二のピーク電圧レベルとの差を前記第一ピークと前記第二ピークとの間の距離で割ったものに等しく、
前記第二減衰勾配は、第三のピーク電圧レベルと第四のピーク電圧レベルとの差を前記第三ピークと前記第四ピークとの間の距離で割ったものに等しい、請求項12に記載の誘導型電源システム。
前記複数のピーク値は、第一ピーク値、第二ピーク値及び第三ピーク値とを含み、それぞれ、前記給電側コイルの駆動が停止されているときの前記コイル信号の自然振動内の、第一ピークの値、第二ピークの値及び第三ピークの値であり、
前記第一減衰勾配は、第一のピーク電圧レベルと第二のピーク電圧レベルとの差を前記第一ピークと前記第二ピークとの間の距離で割ったものに等しく、
前記第二減衰勾配は、前記第二のピーク電圧レベルと第三のピーク電圧レベルとの差を前記第二ピークと前記第三ピークとの間の距離で割ったものに等しい、請求項12に記載の誘導型電源システム。
前記プロセッサは、前記複数のピーク値に対応する複数の安定パラメータに従って、前記給電側コイルのコイル信号が安定状態にあるか否かを判定する工程であって、前記複数の安定パラメータが大きい程、前記コイル信号が安定している、工程と、
第三期間での最大連続トリガカウントと最大連続非トリガカウントと判定する工程であって、該最大連続トリガカウントは、前記複数のピーク値のうちのピーク値が前記複数のピーク電圧レベルのうちの、該ピーク値に対応するピーク電圧レベルに連続的に達する最大回数であり、該最大連続非トリガカウントは、該ピーク値が該ピーク電圧レベルに連続的に達さない最大回数である、工程と、
前記最大連続トリガカウントと前記最大連続非トリガカウントとのいずれもが所定の値よりも小さいときに前記ピーク値に対応する、前記複数の安定パラメータのうちの安定パラメータを増加させる、又は、前記最大連続トリガカウントと前記最大連続非トリガカウントとの少なくとも一つが該所定の値よりも大きいときに該安定パラメータを減少させる、工程と、をさらに行う、請求項12に記載の誘導型電源システム。
前記プロセッサは、前記複数の安定パラメータが閾値よりも大きいときに、前記第一減衰勾配と前記第二減衰勾配に従って、前記侵入金属が前記誘導型電源システムの前記送電領域内に存在するか否かを判定する工程を行う工程と、
前記複数の安定パラメータの少なくとも一つが前記閾値よりも小さいときに、前記第一減衰勾配と前記第二減衰勾配に従って、前記誘導型電源システムの前記送電領域内に前記侵入金属が存在するか否かを判定する工程を行うのを停止する工程と、をさらに行う、請求項18に記載の誘導型電源システム。
前記コイル信号が立ち上がって前記基準電圧レベルを超える二回連続する時点に従って、前記給電側コイルの駆動が停止されているときの前記コイル信号の振動周期の長さを取得する工程は、
前記給電側コイルの駆動が停止されているときの第一共振周期中に、前記コイル信号が立ち上がって前記基準電圧レベルを超える第一時点でタイマを開始する工程と、
前記第一共振周期の次の第二共振周期中に、前記コイル信号が立ち上がって前記基準電圧レベルを超える第二時点で前記タイマを停止する工程と、
前記タイマの経過時間を取得し、該経過時間を前記振動周期の長さとして設定する工程と、を含む、請求項20に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照されたい。
図1は、本発明の実施形態に係る誘導型電源システム100の概略図である。
図1に示すように、誘導型電源システム100は、給電側モジュール1と、受電側モジュール2とを含む。給電側モジュール1は、給電側コイル116と、共振コンデンサ115とを含む。給電側コイル116は、電磁エネルギーを受電側モジュール2に伝えて電力を供給するために使用される。共振コンデンサ115は、給電側コイル116に結合し、給電側コイル116と共に共振を行うために使用される。さらに、給電側モジュール1において、磁性材料から構成される磁性導体117が選択的に配置されてもよく、これにより、給電側コイル116の電磁誘導能力を強化し、且つ電磁エネルギーがコイルの非誘導側にある物体に影響するのも防ぐ。
【0012】
給電側コイル116及び共振コンデンサ115の動作を制御するために、給電側モジュール1はさらに、プロセッサ111、クロック発振器112、電力駆動ユニット113及び114、分圧回路130及び比較器モジュールM1〜M4を含む。電力駆動ユニット113及び114は、給電側コイル116及び共振コンデンサ115に結合し、駆動信号D1及びD2を給電側コイル116に送信するために使用される。電力駆動ユニット113及び114はプロセッサ111により制御されてよく、給電側コイル116を駆動して電力を生成して送る。電力駆動ユニット113及び114の両方がアクティブである場合に、フルブリッジ駆動が行われる。他の実施形態では、電力駆動ユニット113及び114の一方のみがアクティブであるか、又は電力駆動ユニット113又は114の一方のみが配置される場合に、ハーフブリッジ駆動となる。クロック発振器112は、電力駆動ユニット113及び114に結合し、電力駆動ユニット113及び114を制御して、駆動信号D1及びD2を送る、又は駆動信号D1及びD2を中断する。クロック発振器112は、クロック信号を電力駆動ユニット113及び114に出力するために、パルス幅変調(PWM)発振器又は、他の種類のクロック発振器であり得る。プロセッサ111は、コイル信号C1(すなわち、給電側コイル116と共振コンデンサ115との間の電圧信号)に関連した情報を給電側コイル116から受信し、このコイル信号C1に従って、誘導型電源システム100の送電領域内に侵入金属3が存在するか否かを判定し得る。分圧回路130は、分圧抵抗器131及び132を含み、給電側コイル116でのコイル信号C1を減衰させ、その後、そのコイル信号C1をプロセッサ111及び比較器モジュールM1〜M4に出力し得る。いくつかの実施形態においては、プロセッサ111及び比較器モジュールM1〜M4内の回路の許容電圧が十分に高い場合に、分圧回路130を適用しなくてもよく、プロセッサ111は、コイル信号C1を給電側コイル116から直接的に受信してもよい。さらに、比較器モジュールM1〜M4のぞれぞれは、コイル信号C1のピーク値に追随するために、比較器及びデジタル―アナログ変換器(DAC)から構成される。電源ユニット及び表示ユニット等の他の可能なコンポーネント又はモジュールをシステム要件に応じて、含めても、含めなくてもよい。これらのコンポーネントは、本実施形態の例示に影響することなく、本明細書では省略する。
【0013】
図1を引き続き参照されたい。受電側モジュール2は、給電側コイル116から電力を受け取るために使用される受電側コイル216を含む。受電側モジュール2において、磁性材料から構成される磁性導体217も選択的に配置してもよく、これにより受電側コイル216の電磁誘導能力を強化し、且つ電磁エネルギーがコイルの非誘導側にある物体に影響を及ぼすのを防ぐ。受電側コイル216は、受け取った電力をバックエンドの負荷ユニット21に送り得る。受電側モジュール2における調整回路、共振コンデンサ、整流回路、信号フィードバック回路、受電側プロセッサ等の他の可能なコンポーネント又はモジュールをシステム要件に応じて、含めても、含めなくてもよい。これらのコンポーネントは、本発明の実施形態の例示に影響することなく、本明細書では省略する。
【0014】
給電端末及び受電端末の両方が、電力測定を行って電力損失の検出によって侵入金属を判定する必要がある従来技術とは異なり、本発明は、給電端末におけるコイル信号のみを中断することにより、給電側コイルの送電領域内に存在する侵入金属があるか否かを判定し得る。
図2を参照されたい。
図2は、本発明の実施形態に係る侵入金属判定のプロセス20の概略図である。
図2に示すように、侵入金属判定のプロセス20は、誘導型電源システム(例えば、
図1に示す誘導型電源システム100の給電側モジュール1)の給電端末に使用されるためのものであり、次のステップを含む:
ステップ200:開始する;
ステップ202:誘導型電源システム100の駆動信号D1及びD2を中断して、給電側コイル116の駆動を停止する;
ステップ204:基準電圧レベルV_refを設定する;
ステップ206:給電側コイル116の駆動が停止されているときに、給電側コイル116のコイル信号C1を検出して、コイル信号C1が立ち上がって基準電圧レベルV_refを超える二回連続する時点を取得する;
ステップ208:コイル信号C1が立ち上がって基準電圧レベルV_refを超える二回連続する時点に従って、給電側コイル116の駆動が停止されているときのコイル信号C1の振動周期の長さを取得する;
ステップ210:振動周期の長さに従って、給電側コイル116の駆動が停止されているときの第一期間での第一減衰勾配を取得し、給電側コイル116の駆動が停止されているときの第二期間での第二減衰勾配を取得する;
ステップ212:第一減衰勾配及び第二減衰勾配に従って、誘導型電源システム100の送電領域内に侵入金属3が存在するか否かを判定する;
ステップ214:終了する。
【0015】
侵入金属判定のプロセス20によれば、誘導型電源システム100の給電側モジュール1では、駆動信号D1及びD2の駆動動作がしばらくの間中断され得る。このとき、電力駆動ユニット113及び114も、給電側コイル116の駆動を停止し得る(ステップ202)。一般的に、給電側コイル116が正常に駆動されるときは、電力駆動ユニット113及び114によって出力される駆動信号D1及びD2は、互いに反対向きの二つの矩形波である。そのような状況では、給電側コイル116でのコイル信号C1は、
図3の期間Aに示すように、安定して振動しているように見える。ここでは、振動周波数は駆動信号D1及びD2の周波数と等しい。振動周波数は、駆動信号D1及びD2によりプロセッサ111又はクロック発振器112によって制御され得る。給電側コイル116の駆動が中断されているときは、コイル信号C1は、給電側コイル116と共振コンデンサ115に残っているエネルギーによって、減衰しながら振動し続け得る。
図3に示す期間Bは、コイル信号C1の振動及び減衰示す。駆動信号D1及びD2が中断されているときは、本来矩形波である駆動信号D1及びD2は、同時に低電圧レベルにとどまり、給電側コイル116の駆動を停止する。このとき、コイル信号C1は、減衰し始めるとともに、振動し続ける。ここで、振動周波数は、給電側コイル116及び共振コンデンサ115の協業により生成される、インダクタンスL及び静電容量Cにより決定され得る。つまり、
【数1】
である。
【0016】
次に、基準電圧レベルV_refが設定される(ステップ204)。例えば、基準電圧レベルV_refはシステム内に前もって設定される、又はプロセッサ111によって設定され得る。給電側コイル116の駆動が停止されているときは、プロセッサ111は給電側コイル116のコイル信号C1を検出して、コイル信号C1が立ち上がって基準電圧レベルV_refを超える二回連続する時点を取得する(ステップ206)。一般的には、基準電圧レベルV_refはゼロ電圧レベルに等しい又はこれの近傍に設定され得る。さらに、プロセッサ111は、コイル信号C1が立ち上がって基準電圧レベルV_refを超える二回連続する時点に従って、給電側コイル116の駆動が停止されているときのコイル信号C1の振動周期の長さを取得し得る(ステップ208)。つまり、基準電圧レベルV_refがコイル信号C1の中間電圧に近づいた(つまり、ゼロ電圧レベルの近傍)ときは、コイル信号C1が立ち上がって基準電圧レベルV_refを超える二回連続する時点の間の期間がコイル信号C1の振動周期の長さと等しくあり得る。この振動周期の長さにより、プロセッサ111は、給電側コイル116の駆動が停止されているときの第一期間中の第一減衰勾配を取得し、給電側コイル116の駆動が停止されているときの第二期間中の第二減衰勾配を取得し得る(ステップ210)。ここで、第二期間は第一期間より後である。プロセッサ111は、その後、第一減衰勾配及び第二減衰勾配に従って、誘導型電源システム100の送電領域に侵入金属3が存在するか否かを判定する(ステップ212)。次に、
図3の期間Cに示すように、駆動信号D1及びD2が、コイル信号C1の振幅が瞬間的にバースト(burst)して、回路要素が焼き切れ(burn out)ないように、移動相又は種々の周波数で再始動する。
【0017】
侵入金属が誘導型電源システム100の送電領域内にない場合、コイル信号C1は、駆動信号D1及びD2の駆動が中断されているときは、自然減衰しながら振動し続け得る。ここで、コイル信号C1の減衰勾配は一定のままであり得る。一方、誘導型電源システム100の送電領域内に侵入金属がある場合には、駆動信号D1及びD2の駆動が中断されているときに、減衰もするが、減衰挙動が前者の場合とは異なる。詳細には、侵入金属が送電領域内に存在するときは、コイル信号C1はまず大きい勾配で減衰し、その減衰勾配は徐々に小さくなり得る。
【0018】
コイル信号C1の減衰勾配を取得するため、コイル信号C1のピーク位置とピーク値を事前に取得して、ピーク値の減衰を判定するべきである。給電側コイル116が正常に駆動される期間中(
図3の期間Aのように)は、コイル信号C1の周期及び周波数は駆動信号D1及びD2により制御され得る。つまり、コイル信号C1の周期は、駆動信号D1及びD2と同期し得る。そのような条件では、プロセッサ111は、各コイル駆動周期でコイル信号C1のピーク位置を取得し得る。詳細な動作は米国特許出願第15197796号に述べられている。しかし、給電側コイル116が停止されているときの期間中(
図3に示す期間Bのように)は、コイル信号C1の自己共振周期及び周波数は、コイルのインダクタンス及び共振コンデンサの静電容量より決定される。一般的には、給電側モジュール1に適用される共振コンデンサ115は常に所定の誤差を含んでいる可能性があり、正確な静電容量を有していない可能性がある。さらに、給電側コイル116のインダクタンスも所定の誤差を含んでいる可能性があり、コイルの振動を生成するのに実際に組み込まれるインダクタンスは、磁性導体117、侵入金属、装荷(loading)等による種々の要因により変動する可能性がある。そのような条件では、定理による計算によりコイル信号C1の実践的な振動周波数を得ることは難しい。このため、本発明は、基準電圧レベルV_refの設定に従って、コイル信号C1が立ち上がって基準電圧レベルV_refを超える二回連続する時点を取得し、それに従ってコイル信号C1の振動周期の長さを取得する。
【0019】
図4を参照されたい。
図4は、本発明の実施形態に係る、給電側コイル116の駆動が停止されているときに判定される、コイル信号C1の減衰勾配の波形図である。
図4はコイル信号C1、駆動信号D1及びD2並びに比較結果CR1〜CR4を示す。比較結果CR1〜CR4はそれぞれ、
図1に示す比較器モジュールM1〜M4の出力信号である。給電側コイル116の駆動が停止されているときは、駆動信号D1及びD2は低電圧レベルにとどまる。このとき、プロセッサ111はまず、コイル信号C1が立ち上がって基準電圧レベルV_refを超える二回連続する時点を比較器モジュールM1により取得する。上述のように、基準電圧レベルV_refは好ましくは、ゼロ電圧レベル近傍に設定される。これは、コイル信号C1は交流(AC)信号であり、正電圧と負電圧との間で上下に振動し得るためである。基準電圧レベルV_refがゼロであるときは、コイル信号C1は必然的に基準電圧レベルV_refを通過することになる。比較器モジュールM1は比較器141とDAC151とを含む。詳細には、プロセッサ111は基準電圧レベルV_refをDAC151に出力してよく、DAC151はその後、その基準電圧レベルV_refのデジタル値をアナログ電圧に変更する。比較器141はその後、その基準電圧レベルV_refのアナログ電圧とコイル信号C1とを比較する。このため、比較器141は矩形波をプロセッサ111に出力してよく、矩形波信号の立ち上がりエッジは、コイル信号C1が立ち上がって基準電圧レベルV_refを超える時点に対応し得る。より詳細には、第一共振周期中で、プロセッサ111は、コイル信号C1が立ち上がって基準電圧レベルV_refを超える時点でタイマを始動し得る(例えば、
図4に示す時点t1)。次に、第一共振周期の次の第二共振周期中で、プロセッサ111は、コイル信号C1が立ち上がって基準電圧レベルV_refを超える時点でタイマを停止し得る(例えば、
図4に示す時点t2)。結果として、タイマの経過時間がコイル信号C1の振動周期の長さとして設定され得る。当業者であれば、比較器モジュールM1によりコイル信号C1の周波数を得る上記の方法は、本発明の種々の実装態様の一つに過ぎないと当然理解することに留意されたい。他の実施形態においては、コイル信号C1の振動周期の長さを比較器モジュールM2、M3又はM4により検出してもよい。
【0020】
コイル信号C1の振動周期の長さを取得した後、プロセッサ111は、比較器モジュールM1の上記の判定結果に従って、各共振周期におけるピーク位置をさらに取得し、ピーク電圧レベルV1〜V4を設定して、ピーク値の電圧を追随する。
図4に示すように、給電側コイル116の駆動が停止されているときは、コイル信号C1は自然減衰しながら振動し続ける。これにより、比較器モジュールM1〜M4はそれぞれ、四つの異なる位置でピーク値を追随し得る。
【0021】
詳細には、誘導型電源システム100の給電側モジュール1において、駆動信号D1及びD2は一定間隔(regular intervals)で中断され得る。中断期間は所定の値と等しくあり得る。
図4を例に取ると、駆動信号D1及びD2の中断期間の長さは、コイル信号C1は大体15サイクル分自然減衰することができる位である。好ましくは、駆動信号D1及びD2が中断されて、給電側コイル116の駆動を停止した後、プロセッサ111は、コイル信号C1の振動周期の長さを取得して、その後に続く各周期でのピーク位置を計算するため、2番目〜3番目の振動周期中に、コイル信号C1が立ち上がって基準電圧レベルV_refを超える時点を取得し得る。他の実施形態においては、周期長決定は、他の振動周期内で行われてよい。次に、給電側コイル116の駆動が停止されている期間中に、比較器モジュールM1〜M4は給電側コイル116のコイル信号C1での振動の複数のピーク値を取り出し、その複数のピーク値をそれぞれ、給電側コイル116の駆動が前回停止されているときに生成されている複数のピーク電圧レベルのうちの、対応するピーク電圧レベルと比較し得る。比較器モジュールM1〜M4のそれぞれは、ピーク値及びピーク電圧レベルに対応してよく、その対応するピーク値をその対応するピーク電圧レベルと比較するために使用される。このため、判定を行うために使用されるピーク電圧レベルの数は、比較器モジュールの数と等しく、比較器モジュールによって取り出されるピーク値の数とも等しくあり得る。ここで、ピーク電圧レベルはそれぞれ対応するピーク値の電圧を追随する。本実施形態において、比較器モジュールM1〜M4は4つのピーク値を取り出してよく、4つのピーク電圧レベルV1〜V4を適用してそれらを追随させる。
【0022】
引き続き
図4を参照されたい。プロセッサ111がコイル信号C1の振動周期とピーク位置を取得した後、比較器モジュールM1〜M4はそれぞれ、
図4に示すように、コイル信号C1の駆動が停止された後の7番目、8番目、12番目及び13番目の振動周期でのピーク値を取り出し得る。プロセッサ111は、給電側コイル116の駆動が前回中断されているときに更新されているピーク電圧レベルV1〜V4をそれぞれ比較器モジュールM1〜M4に送信し得り、これにより、比較器モジュールM1〜M4は比較を行うことができる。詳細には、前段階でコイル信号C1と基準電圧レベルV_refとを比較するために使用されている比較器モジュールM1は、今度は、ピーク電圧レベルV1とコイル信号C1の7番目のピーク値をと比較するために使用される。詳細には、DAC151がプロセッサ111からのピーク電圧レベルV1のデジタル値を取り出し、その後、そのデジタル値をアナログ電圧に変換する。比較器141は、その後、ピーク電圧レベルV1のアナログ電圧と、コイル信号C1とを比較して、比較結果CR1を出力する。次に、プロセッサ111は、比較結果CR1に従って、コイル信号C1の7番目のピーク値がピーク電圧レベルV1に到達したか否かを判定し得る。ピーク値がピーク電圧レベルV1に到達しているときは、プロセッサ111はピーク電圧レベルV1の値を引き上げる。ピーク値がピーク電圧レベルV1に到達していないときは、プロセッサ111はピーク電圧レベルV1の値を引き下げる。結果として、ピーク電圧レベルV1は、コイル信号C1の駆動が停止された後の7番目のピーク値の電圧を追随し続け得る。
【0023】
同様に、比較器モジュールM2は、ピーク電圧レベルV2とコイル信号の8番目のピーク値とを比較するのに使用される。比較器モジュールM2は比較器142とDAC152とを含む。DAC152は、プロセッサ111からピーク電圧レベルV2のデジタル値を受け取り、その後、そのデジタル値をアナログ電圧に変換し得る。比較器142は、その後、ピーク電圧レベルV2のアナログ電圧とコイル信号C1とを比較して、比較結果CR2を出力する。次に、プロセッサ111は、比較結果CR2に従って、コイル信号C1の8番目のピーク値がピーク電圧レベルV2に到達したか否かを判定し得る。ピーク値がピーク電圧レベルV2に到達しているときは、プロセッサ111はピーク電圧レベルV2の値を引き上げる。ピーク値がピーク電圧レベルV2に到達していないときは、プロセッサ111はピーク電圧レベルV2の値を引き下げる。結果として、ピーク電圧レベルV2は、コイル信号C1の駆動が停止された後の8番目のピーク値の電圧を追随し続け得る。比較器モジュールM3は、ピーク電圧レベルV3とコイル信号の12番目のピーク値とを比較するのに使用される。比較器モジュールM3は比較器143とDAC153とを含む。DAC153は、プロセッサ111からピーク電圧レベルV3のデジタル値を受け取り、その後、そのデジタル値をアナログ電圧に変換し得る。比較器143は、その後、ピーク電圧レベルV3のアナログ電圧とコイル信号C1とを比較して、比較結果CR3を出力する。次に、プロセッサ111は、比較結果CR3に従って、コイル信号C1の12番目のピーク値がピーク電圧レベルV3に到達したか否かを判定し得る。ピーク値がピーク電圧レベルV3に到達しているときは、プロセッサ111はピーク電圧レベルV3の値を引き上げる。ピーク値がピーク電圧レベルV3に到達していないときは、プロセッサ111はピーク電圧レベルV3の値を引き下げる。結果として、ピーク電圧レベルV3は、コイル信号C1の駆動が停止された後の12番目のピーク値の電圧を追随し続け得る。比較器モジュールM4は、ピーク電圧レベルV4とコイル信号の13番目のピーク値とを比較するのに使用される。比較器モジュールM4は比較器144とDAC154とを含む。DAC154は、プロセッサ111からピーク電圧レベルV4のデジタル値を受け取り、その後、そのデジタル値をアナログ電圧に変換し得る。比較器144は、その後、ピーク電圧レベルV4のアナログ電圧とコイル信号C1とを比較して、比較結果CR4を出力する。プロセッサ111は、比較結果CR4に従って、コイル信号C1の13番目のピーク値がピーク電圧レベルV4に到達したか否かを判定し得る。ピーク値がピーク電圧レベルV4に到達しているときは、プロセッサ111はピーク電圧レベルV4の値を引き上げる。ピーク値がピーク電圧レベルV4に到達していないときは、プロセッサ111はピーク電圧レベルV4の値を引き下げる。結果として、ピーク電圧レベルV4は、コイル信号C1の駆動が停止された後の13番目のピーク値の電圧を追随し続け得る。
【0024】
ピーク値判定の上記のプロセス中、更新後のピーク電圧レベルV1〜V4がプロセッサ111のバッファに記憶され、次の判定に使用され得る。結果として、給電側コイル116の駆動が停止される度に、プロセッサ111は比較結果CR1〜CR4に従ってピーク電圧レベルV1〜V4を更新してよく、これにより、ピーク電圧レベルV1〜V4は、コイル信号C1のピーク電圧を追随し続けることができる。このため、ピーク電圧レベルV1〜V4の全てが対応するピーク電圧を正常に追随するときは、プロセッサ111はピーク電圧レベルV1〜V4によりコイル信号C1の減衰勾配を取得し得る。
【0025】
さらに、ピーク電圧レベルV1〜V4はコイル信号C1のピーク電圧を追随するために使用されるので、ピーク電圧レベルV1〜V4は、ピーク電圧レベルV1〜V4が安定しているときのコイル信号のピーク電圧として見なし得る。このため、プロセッサ111は、ピーク電圧レベルV1〜V4に従って、第一減衰勾配及び第二減衰勾配を計算し得る。詳細には、プロセッサ111は、ピーク電圧レベルV1とピーク電圧レベルV2との差を7番目のピークと8番目のピークとの間の距離(つまり、コイル信号の一つの振動周期の長さ)で割って、第一減衰勾配を計算し得る。プロセッサ111は、ピーク電圧レベルV3とピーク電圧レベルV4との差を12番目のピークと13番目のピークとの間の距離(つまり、コイル信号の一つの振動周期の長さ)で割って、第二減衰勾配を計算し得る。上述のように、給電側コイル11の駆動が停止されているときに、コイル信号C1は、侵入金属が存在するか、侵入金属がないかの条件に応じて異なる減衰挙動を有し得る。侵入金属がないときは、コイル信号C1の減衰勾配は一定のままであり得る。侵入金属が存在するときは、コイル信号C1はまず大きな勾配で減衰し、その減衰勾配は徐々に小さくなり得る。ピーク値判定の上記のプロセス中は、プロセッサ111は、第一減衰勾配を取得するために、コイル信号C1の減衰の先の期間中の7番目と8番目のピーク値を取得してよく、第二減衰勾配を取得するために、コイル信号C1の減衰の後の期間中の12番目と13番目のピーク値を取得し得る。実施形態においては、侵入金属判定の累積器が侵入金属判定を示すものとして適用され得る。第一減衰勾配(減衰の先の期間中のもの)から第二減衰勾配(減衰の後の期間中のもの)を引いた値が第一閾値より大きい(つまり、先の期間中の減衰勾配がより大きい)ときは、プロセッサ111は侵入金属が存在する可能性があると判定し、侵入金属判定の累積器の値を増加させ得る。一方、減衰の先の期間中の第一減衰勾配から減衰の後の期間中の第二減衰勾配を引いた値が第一閾値より小さいとき(つまり、減衰勾配がほぼ一定のままである)は、プロセッサ111は、侵入金属はないと判定し、侵入金属判定の累積器の値を減少させ得る。さらに、侵入金属判定の累積器の値が連続的に累積して第二の閾値を超えたときは、プロセッサ111は、誘導型電源システム100の送電領域に侵入金属が存在すると判定し、それにより電源を切る、又は他の保護行為を行う。
【0026】
図4に示すように、給電側コイル116の駆動が停止されているとき(つまり、駆動信号D1及びD2が中断される)は、コイル信号C1は一定の勾配で自然減衰し、これは、侵入金属が存在しないことを意味する。
【0027】
図5を参照されたい。
図5は、本発明の実施形態に係り、給電側コイル116の駆動が停止されているときに判定される侵入金属が存在する場合のコイル信号C1の減衰勾配の波形図である。同様に、
図5もコイル信号C1と、駆動信号D1及びD2と、比較結果CR1〜CR4と、を含む。
図5のコイル信号C1の波形に示すように、コイル信号C1はまず大きな勾配で減衰し、減衰勾配が徐々に小さくなる。これが、侵入金属が存在することを意味している。侵入金属の存在がコイル信号C1の振動周波数に影響し得ることに留意されたい。つまり、給電側コイル116の駆動が停止される度に、給電側コイル116が停止されているときの期間中の振動周期の長さを取得するため、コイル信号C1が立ち上がって基準電圧レベルV_refを超える二回連続する時点が決定されるべきである。給電側コイル116の駆動の中断期間は非常に短いため、給電側コイル116の振動周波数はその短い期間中での変動はないものとみなされる。
【0028】
図6を参照されたい。
図6は、本発明の実施形態に係り、給電側コイル116の駆動が停止されているときに判定される大きい侵入金属が存在する場合のコイル信号C1の減衰勾配の波形図である。同様に、
図6も、コイル信号C1と、駆動信号D1及びD2と、比較結果CR1〜CR4と、を含む。
図6は、大きい侵入金属が誘導型電源システム100の送電領域に存在する場合の状況を示す。
図6のコイル信号C1の波形に示すように、コイル信号C1はまず大きい勾配で減衰し、減衰勾配が急激に小さくなる。
図5に示す実施形態と比較すると、
図6に示す実施形態においては、第一減衰勾配と第二減衰勾配とに、より大きな差がある。これは、誘導型電源システム100の送電領域に大きな侵入金属が存在していることを意味する。これはより、危険な場合である。
【0029】
実施形態においては、侵入金属判定の累積器の上記の値は、第一減衰勾配と第二減衰勾配との差異量に従って調整され得る。言い換えると、第一減衰勾配から第二減衰勾配を引いた値が大きい場合、プロセッサ111は、侵入金属判定の累積器の値を大きな量で増加させる。第一減衰勾配から第二減衰勾配を引いた値が小さいが、第一閾値を超える場合は、プロセッサ111は、侵入金属判定の累積器の値を小さい量で増加させる。このように、誘導型電源システム100の給電を早期に打ち切るため、危険性の高い大きな侵入金属により侵入金属判定の累積器が早急に第二閾値に到達するようにし得る。さらに、減衰勾配にわずかに影響するノイズは侵入金属判定の累積器の値をわずかに変更するだけで、誤って電源を切ることにはならないだろう。
【0030】
本発明は、コイル信号の減衰挙動を判定して、それにより誘導型電源システムの送電領域内に侵入金属が存在するか否かを判定するため、ピーク電圧レベルを使用してピーク値の電圧を追随し、ピーク電圧レベルを使用してコイル信号の減衰勾配を取得することに留意されたい。そのような条件では、ピーク値を取り出すために、ピーク位置は正確に決定されるべきである。しかし、コイル信号の振動速度は極めて高速であり、振動は減衰を伴っている。駆動信号が中断されている条件では、コイル信号の振動周波数は駆動信号の周波数とは通常異なり、プロセッサによって制御されないだろう。このため、コイル信号の高速な振動があっても、一般的なアナログ―デジタル変換器(ADC)のサンプリング速度が十分に大きくなく、サンプリング時間の存在により、コイル信号のピーク値を正確に取り出すことが難しいということが起き得る。そのような状況において、本発明はコイル信号を比較器モジュールで追随し、コイル信号がピーク電圧レべルを超えたか否かに従ってピーク電圧レベルの値を調整するため、ピーク電圧レベルがコイル信号の特定のピーク値を追随し続け、ピーク電圧レベルが比較器モジュールの比較結果に従って良好に調整される。結果として、本発明は、誘導型電源システムの送電領域内に侵入金属が存在するか否かを判定するために、ピーク電圧レベルに応じてコイル信号の減衰挙動を効果的に決定し得る。
【0031】
さらに、ピーク電圧レベルはピーク上の実際のピーク電圧ではないため、ピーク電圧レベルは複数の条件において、ピーク値とは等しくない可能性がある。特に、特に装荷変動が誘導型電源システム内で生じるとき、又は、侵入金属の干渉が現れて、コイル信号を不安定にするときである。詳細には、ピーク信号が不安定であるときは、コイル信号のピーク電圧は即座に立ち上がり(rise)、対応するピーク電圧レベルはピーク電圧よりも小さい可能性があり、これら二つの電圧は特定の間隔を置いて離れている。このとき、ピーク電圧レベルは、ピーク電圧の値に追随するため、複数回(more times)立ち上がるべきである。そのような条件では、給電側コイルの駆動を中断する複数の連続した期間内で、ピーク値が対応する電圧レベルに到達してよい(つまり、比較結果がトリガを示す)。つまり、ピーク電圧レベルは連続的に立ち上がり、ピーク電圧はピーク電圧レベルが立ち上がる期間中は正確に取得することができない可能性がある。このため、上述の減衰勾配に従った侵入金属判定のステップは一時的に停止され得る。同様に、コイル信号が不安定なときは、コイル信号のピーク電圧は即座に立ち下がる(fall)ため、対応するピーク電圧レベルはピーク電圧よりも大きい可能性があり、これら二つの電圧は特定の区間を置いて離れている。このとき、ピーク電圧レベルは、ピーク電圧の値に追随するため、複数回立ち下がるべきである。そのような条件では、給電側コイルの駆動を中断する複数の連続した期間内で、ピーク値は対応するピーク電圧レベルに到達しない可能性がある(つまり、比較結果がトリガなしを示す)。つまり、ピーク電圧レベルは連続的に立ち下がり、ピーク電圧はピーク電圧レベルが立ち下がる期間中は正確に取得することができない可能性がある。このため、上述の減衰勾配に従った侵入金属判定のステップは一時的に停止され得る。一方で、コイル信号が安定しているときは、ピーク電圧レベルは対応するピーク値を正常に追随し得り、ピーク電圧レベルは比較器モジュールの比較結果に基づいて上げたり下げたり調整される。このとき、各ピーク電圧レベルの比較結果は、複数のトリガ信号と複数の非トリガ信号とが交互に現れる。これは、コイル信号が安定状態にあることを意味し、ピーク電圧レベルがピーク上でのピーク電圧を意味し得る。そのような条件では、上述の減衰勾配に従った侵入金属判定のステップを行うため、ピーク電圧レベルに従って、第一減衰勾配及び第二減衰勾配が取得され得る。
【0032】
実施形態において、給電側コイル信号が安定状態にあるか否かを判定するのに複数の安定パラメータが設定され得る。ここで、各安定パラメータは、一つピーク電圧レベルに対応してよく、安定パラメータが大きい程、よりコイル信号が安定していることを示す。プロセッサは、ある期間中の安定パラメータ並びに対応するピーク電圧レベル及びピーク値に基づき判定を行い、最大連続トリガカウント及び最大連続非トリガカウントを決定する。ここで、最大連続トリガカウントは、ピーク値が連続して対応するピーク電圧レベルに到達した回数の最大数であり、最大連続非トリガカウントは、ピーク値が連続して対応するピーク電圧レベル到達しない回数の最大数である。上述のように、最大連続トリガカウント又は最大連続非トリガカウントが大きい場合、ピーク電圧レベルは連続的に立ち上がる、又は立ち下がって、ピーク電圧に追随しない可能性がある。最大連続トリガカウント及び最大連続非トリガカウントが小さい場合、ピーク電圧レベルはとどまり(stay around)、対応するピーク値を追随し続ける。そのような状況では、プロセッサは、最大連続トリガカウント及び最大連続非トリガカウントのいずれもが所定の値よりも小さいときは安定パラメータを上昇させ、又は、最大連続トリガカウント又は最大連続非トリガカウントが所定の値よりも大きいときは安定パラメータを減少させ得る。結果として、複数の安定パラメータが閾値よりも大きい場合、全てのピーク電圧レベルは対応するピーク値を正常に追随し得る。このとき、プロセッサは、さらに、誘導型電源システムの送電領域内に侵入金属が存在するか否かを判定するため、コイル信号の第一減衰勾配及び第二減衰勾配を計算する。複数の安定パラメータのいずれかひとつが閾値よりも小さい場合は、対応するピーク値をいまだ追随していない少なくとも一つのピーク電圧レベルがあり得る。このとき、プロセッサは、上記の侵入金属判定のステップを行うのを停止し得る。
【0033】
ピーク電圧レベルがピーク値を追随する速度を上げるために、最新の複数の比較結果での連続トリガカウント又は連続非トリガカウントが判定され得る。複数の連続した比較結果がトリガを示し、連続トリガ信号の数が所定の数よりも大きい場合は、コイル信号のピーク電圧はピーク電圧レベルよりもはるかに大きい可能性がある。このとき、プロセッサはピーク電圧レベルを上昇させる速度を加速して、ピーク電圧レベルがピーク電圧により早急に追随するようにできる。同様に、複数の連続した比較結果がトリガなしを示し、連続非トリガ信号の数が所定の数よりも大きい場合は、コイル信号のピーク電圧はピーク電圧レベルよりもはるかに小さい可能性がある。このとき、プロセッサは、ピーク電圧レベルを減少させる速度を加速して、ピーク電圧レベルがより早急にピーク電圧に追随するようにできる。
【0034】
当業者であれば、上記の四つの比較器モジュールM1〜M4及びピーク電圧レベルV1〜V4を適用して、それぞれ、給電側コイル116の駆動が停止されているときのコイル信号C1の7番目、8番目、12番目及び13番目の振動周期内のピーク電圧を追随させる実装態様は、本発明の種々の実装態様のうちのただの一つにすぎないと理解するべきである。他の実施形態においては、他のピーク値が取り出されて第一減衰勾配及び第二減衰勾配を計算し得る。例えば、二つの減衰勾配の差を決定するために、4番目と6番目の振動周期内のピーク値が適用されて給電側コイルの減衰の先の期間での第一減衰勾配を計算し得り、12番目と14番目の振動周期内のピーク値が適用されて給電側コイルの減衰の後の期間での第二減衰勾配を計算し得る。さらなる実施形態において、プロセッサは3つのピーク値のみを使用して、第一減衰勾配及び第二減衰勾配を計算し得る。
【0035】
図7を参照されたい。
図7は、本発明の他の実施形態に係り、給電側コイル116の駆動が停止されているときに判定されるコイル信号C1の減衰勾配の波形図である。
図7は、コイル信号C1と、駆動信号D1及びD2と、比較結果CR1〜CR3とを示す。この実施形態においては、3つの比較結果CR1〜CR3しかなく、比較器モジュールは3つのみ必要とされる(例えば、
図1に示す比較器モジュールM1〜M3)。給電側コイル116の駆動が停止されているとき、プロセッサ111は、比較器モジュールM1により、コイル信号C1が立ち上がって基準電圧レベルV_refを超える二回連続する時点を取得し得る。次に、比較器モジュールM1〜M3はそれぞれ、コイル信号C1の駆動が停止された後の5番目、9番目及び13番目の振動周期中のピーク値を取り出し得る。プロセッサ111はその後、ピーク電圧レベルV1〜V3を生成することによって、ピーク値を追随する。このため、プロセッサ111は、ピーク電圧レベルV1〜V3に志賀って第一減衰勾配及び第二減衰勾配を計算し得る。詳細には、プロセッサ111は、ピーク電圧レベルV1とピーク電圧レベルV2との差を5番目のピークと9番名のピークとの間の距離(つまり、コイル信号C1の4振動周期)で割って、第一減衰勾配を計算し得る。プロセッサ111は、ピーク電圧レベルV2とピーク電圧レベルV3との差を9番目のピークと13番目のピークとの間の距離(つまり、コイル信号C1の4振動周期)で割って、第二減衰勾配を計算し得る。そのような条件では、プロセッサ111は、さらに、誘導型電源システム100の送電領域内に侵入金属が存在するか否かを判定するため、同じ方法によって、第一減衰勾配と第二減衰勾配との差に従って、侵入金属判定の累積器の値を調整し得る。
【0036】
米国特許出願第15197796号(その出願の
図1参照)は、電圧測定回路の比較器と共にDACを適用して、基準電圧を生成し、オペアンプを適用して、基準電圧に従ったコイル信号のピーク部分を増幅する。3つの比較器モジュールは、その後、増幅されているピーク部分について比較を行い、変調信号の受信を判定する。一方、本発明は、コイル信号の減衰挙動に従った侵入金属の存在を判定する(本発明の
図1参照)ために、複数の比較器モジュールを適用して、給電側コイルの駆動信号が中断されているときの減衰するコイル信号のピーク電圧を追随する。このため、米国特許出願第15197796号と本発明は同じ回路要素から構成されるという、類似する回路構造を有する。そのような条件では、本発明の誘導型給電システム及び侵入金属の判定方法は、米国特許出願第15197796号の誘導型給電システム及びこれに関連した変調信号分析方法に統合され得る。詳細には、誘導型電源システムの通常の動作下では、システムは、通常動作モードに切り替えられて、米国特許出願15197796号に開示されている信号分析方法及び回路接続を用いて、変調信号の判定を行い得る。さらに、駆動信号が一定間隔で短い期間中断され得る。駆動信号の中断期間中(つまり、給電側コイルの駆動が停止されている期間)に、そのシステムは金属検出モードに切り替えられて、本発明の侵入金属判定が、金属検出方法および回路接続(
図1に示す)を使用することによって行われる。一般的には、プロセッサは、駆動信号の中断と変調信号の受信が異なる時間で動作されるように制御し、通常動作モードと金属検出モードとに切り替わる回路要素の接続を構成し得る。
【0037】
誘導型電源システムの駆動信号を中断し、ピーク電圧が安定しているか否かを判定するために、比較器によりピーク電圧レベルをコイル信号のピーク電圧と比較して、ピーク電圧レベルがピーク電圧を追随できる上記の方法は、
図8に示すピーク電圧判定プロセス80にまとめられ得る。ピーク電圧判定プロセス80は、誘導型電源システム100の給電側モジュール1に使用されてよく、次のステップを含む:
ステップ800:開始する;
ステップ802:プロセッサ111は、給電側コイル116の駆動が停止されているときは、ピーク電圧レベルV1〜V4を対応する比較器モジュールM1〜M4にそれぞれ送信する;
ステップ804:比較器モジュールM1〜M4はそれぞれ、対応するピーク値が対応するピーク電圧レベルV1〜V4に到達したか否かを判定して、トリガを生成する。YESの場合は、ステップ806に進み、そうでない場合は、ステップ810に進む;
ステップ806:ピーク電圧レベルの値を増加させる;
ステップ808:複数の連続した比較結果がトリガを示し、連続トリガ信号の数が所定の数よりも大きい場合は、ピーク電圧レベルを増加させる速度を加速する;
ステップ810:ピーク電圧レベルの値を減少させる;
ステップ812:複数の連続した比較結果がトリガなしを示し、連続非トリガ信号の数が所定の数よりも大きい場合は、ピーク電圧レベルを減少させる速度を加速する;
ステップ814:ある期間中の最大連続トリガカウント及び最大連続非トリガカウント判定する、ここで、最大連続トリガカウントは、ピーク値が対応するピーク電圧レベルに連続して達した数の最大数であり、最大連続非トリガカウントは、ピーク値が対応するピーク電圧レベルに連続して達しなかった数の最大数である;
ステップ816:ピーク値の最大連続トリガカウント及び最大連続非トリガカウントのいずれもが所定の値よりも小さいときは、ピーク値に対応する安定パラメータを増加させる、又は、ピーク値の最大連続トリガカウント又は最大連続非トリガカウントのいずかが所定の値よりも大きいときは、ピーク値に対応する安定パラメータを減少させる;
ステップ818:各ピーク値に対応する安定パラメータが閾値より大きいか否かを判定する。YESの場合は、ステップ820に進み、そうでない場合は、ステップ824に進む;
ステップ820:第一減衰勾配及び第二減衰勾配に従って誘導型電源システムの送電領域内に侵入金属が存在するか否かを判定するステップを行う;
ステップ822:更新したピーク電圧レベルを、給電側コイル116の駆動が次回停止されているときに使用するように記憶する;
ステップ824:終了する。
【0038】
コイル信号のピーク値の安定状態が取得され、コイル信号が安定していると判定された後、プロセッサは、さらに、減衰勾配を取得して、それに従って侵入金属の存在を判定し得る。それに関連する詳細な動作は、
図9に示す、侵入金属判定の詳細なプロセス90にまとめられ得る。侵入金属判定の詳細なプロセス90は、誘導型電源システム100の給電側モジュール1のプロセッサ111に使用されてよく、次のステップを含む:
ステップ900:開始する;
ステップ902:ピーク電圧レベルV1とピーク電圧レベルV2の差を対応する第一ピークと第二ピーク間の距離で割ったものに等しい、第一減衰勾配を計算する;
ステップ904:ピーク電圧レベルV3とピーク電圧レベルV4の差を対応する第三ピークと第四ピーク間の距離で割ったものに等しい、第二減衰勾配を計算する;
ステップ906:第一減衰勾配から第二減衰勾配を引いた値が第一閾値よりも大きいか否かを判定する。YESの場合は、ステップ908に進み、そうでない場合は、ステップ910に進む。
ステップ908:侵入金属判定の累積器の値を増加させる;
ステップ910:侵入金属判定の累積器の値を減少させる;
ステップ912:侵入金属判定の累積器の値が第二閾値よりも大きいか否かを判定する。YESの場合は、ステップ914に進み、そうでない場合は、ステップ916に進む;
ステップ914:誘導型電源システムの送電領域内に存在する金属があると判定する。
ステップ916:誘導型電源システムの送電領域内に存在する金属はないと判定する。
ステップ918:終了する。
【0039】
侵入金属判定の詳細なプロセス90における、第一減衰勾配及び第二減衰勾配を生成する方法は、本発明の種々の実施態様のただの一つ過ぎないことに留意されたい。他の実施形態においては、他のピークのピーク値が測定されて、給電側コイルの駆動が停止されているときの先の期間内での減衰勾配及び給電側コイルの駆動が停止されているときの後の期間内での減衰勾配を取得し、中断期間中に減衰勾配が変動したか否かを比較し得る。別のやり方としては、
図7に示す方法が適用されてもよく、ここでは、3つの比較器モジュールと3つのピーク電圧レベルのみが使用されて第一減衰勾配及び第二減衰勾配の計算を実装する。他の実施形態においては、コイル信号のより詳細な減衰挙動を取得し、侵入金属判定の正確性を強化するため、さらに多くの比較器モジュールが適用されて、さらに多くのピーク電圧を追随してもよい。
【0040】
他の実施形態においては、比較器モジュールの数は減らされてもよく、給電側コイルの駆動を中断する期間を減らして、送電における駆動信号の中断の影響を低減してもよい。さらに、比較器モジュールの数を減らすとコスト低減の利益がある。
図10を参照されたい。
図10は、本発明の実施形態に係る誘導型電源システム100´の概略図である。
図10に示すように、誘導型電源システム100´の回路構成は、
図1に示した誘導型電源システム100の回路構成と同様である。つまり、同様の機能を有する信号及び回路要素は同じ記号で示されている。誘導型電源システム100´と誘導型電源システム100の違いは、誘導型電源システム100´は比較器モジュールM1´〜M2´を2つのみ有する点である。ここでは、比較器モジュールM1´はコイル信号C1の振動周期の長さを決定するのに使用され、比較器モジュールM2´はピーク値の電圧を異なるピーク電圧レベルと比較するに使用される。
【0041】
詳細には、
図1に示した誘導型電源システム100においては、比較器モジュールM1〜M4のそれぞれが、対応するピーク値とピーク電圧レベルとを比較するため、ピーク値とその対応するピーク電圧レベルに対応する。一方、
図10に示す誘導型電源システム100´においては、比較器モジュールM2´は、複数のピーク値とそれぞれ対応するピーク電圧レベルを比較するために使用される。プロセッサ111がコイル信号C1の振動周期の長さを取得した後、プロセッサ111は給電側コイルの駆動が停止されているときのコイル信号C1のピーク位置を知り得る。このため、給電側コイル116の中断期間中に、プロセッサ111は対応するピーク電圧レベルを比較器モジュールM2´に出力して、各特定のピーク位置で比較されるようにする。比較器モジュールM2´は、今度は、各ピーク位置と、給電側コイル116の駆動が前回停止されているときに生成されている、対応するピーク電圧レベルとを比較し得る。例えば、4つのピーク電圧レベルV1〜V4が適用されて、それぞれ、4つのピーク値の電圧に追随する場合、プロセッサ111は、ピーク電圧レベルV1〜V4を、給電側コイル116の駆動を停止している期間中に、4つのピーク位置で比較器モジュールM2´にそれぞれ出力し得る。比較器モジュールM2’は、その後、今度は比較を行い、4つの比較結果CR2をプロセッサ111に応答する。プロセッサ111は、その後、4つの比較結果CR2内でトリガが生じたか否かを判定して、それに応じて、ピーク電圧レベルV1〜V4の値を調整する。このため、プロセッサ111は、ピーク電圧レベルV1〜V4の値に従って、侵入金属を判定し得る。
【0042】
さらに、
図10に示すように誘導型電源システム100´においては、比較器モジュールM1´は、コイル信号C1の振動周期の長さを決定するのに使用される。本実施形態においては、給電側コイル116の駆動を停止しているのに必要な時間を短くするため、比較器モジュールM1´がコイル信号C1の振動周期の長さを取得することと、比較器モジュールM2´がピーク電圧を追随することは同時に行われる。上述のように、給電側コイル116の駆動が停止されているときの短い期間中だと振動周波数は変動しない可能性がある。つまり、プロセッサは、給電側コイル116の駆動が前回停止されているときに取得されている振動周波数の長さを適用して、コイル信号C1のピーク位置を決定し得る。同様に、プロセッサ111は、基準電圧レベルV_refを比較器モジュールM1´に送信して、比較器モジュールM1´の出力結果(例えば、比較器モジュールM1´により出力される比較結果CR1の信号の立ち上がりエッジ)に従って、コイル信号C1が立ち上がって基準電圧レベルV_refを超える二回連続する時点を判定する。別のやり方としては、プロセッサ111は、振動周波数の長さ判定の正確性を強化するために、コイル信号C1が立ち上がって基準電圧レベルV_refを複数回超える時点を測定して、コイル信号の複数の振動周波数での測定値を平均して、振動周波数の長さを計算する。他の実施形態においては、比較結果CR1の信号の立ち下がりエッジが代わりに適用されてもよい。
【0043】
図11を参照い。
図11は、誘導型電源システム100´内の給電側コイル116の駆動が停止されているときに判定される、コイル信号C1の減衰勾配の波形図である。
図11は、コイル信号C1と、駆動信号D1及びD2と、比較結果CR1及びCR2とを示す。比較結果CR1及びCR2は、
図10に占めした比較器モジュールM1´及びM2´の出力信号である。給電側コイル116の駆動が停止されているとき、プロセッサ111は基準電圧レベルV_refを比較器モジュールM1´に出力し、比較器モジュールM1´によりコイル信号C1の振動周期の長さを取得する。プロセッサ111は、給電側コイル116の駆動が停止された後、コイル信号C1の2番目、3番目、6番目及び7番目の振動周期内でピーク値を取り出し得る。詳細には、プロセッサ111は、今度は、ピーク電圧レベルV1〜V4をコイル信号C1の2番目、3番目、6番目及び7番目のピークの発生時間で比較器モジュールM2´に出力し得る。ここで、ピーク電圧レベルV1〜V4は、給電側コイル116の駆動が前回停止されているときに更新されているものである。プロセッサ111は、その後、今度は、比較結果CR2を受け取り、対応する比較結果CR2に従ってピーク電圧レベルV1〜V4の値を更新する。言い換えると、プロセッサ111は、対応する一で比較結果CR2にトリガがあるか否かに従って、ピーク電圧レベルV1〜V4が立ち上がるべきか立ち下がるべきかを判定する。
【0044】
本実施形態において、駆動信号D1及びD2の中断期間は非常に短く、その長さではコイル信号C1が大体7周期分自然振動することができる。さらに、プロセッサ111はすでに、駆動が停止されているときのコイル信号C1の振動周波数及びピークを知っているので、駆動信号D1及びD2の駆動周波数を駆動が停止されているときのコイル信号C1の振動周波数と等しくなるように設定され得る。給電側コイル116の駆動中断期間が終了したときは、プロセッサ111は同じ周波数で駆動信号D1及びD2の動作を直接的に作動し得るので、駆動信号D1及びD2の波形がコイル信号C1の振動波形に接続されるようにすることができる。結果として、コイル信号C1の駆動能力は早急に回復され得る。波形が正常に結合されているときは、コイル信号C1の振幅が即座にバーストして、回路要素を焼き切ることがないだろう。
【0045】
図11に示した実施形態において、駆動信号D1及びD2はいずれも、給電側コイル116の駆動を停止したときに、高電圧レベルに保たれるが、
図4に示した実施形態においては、駆動信号D1及びD2はいずれも、給電側コイル116の駆動を停止したときに、低電圧レベルに保たれることに留意されたい。他の実施形態においては、駆動信号D1及びD2が給電側コイル116の駆動を停止するときに、駆動信号D1及びD2の一方が高電圧レベルに保たれ、他方が低電圧レベルに保たれてもよい。上記の駆動信号D1及びD2の中断制御方法は、本発明を限定すべきではない。
【0046】
さらに、上記の、駆動が停止された後のコイル信号C1の2番目、3番目、6番目及び7番目の振動周期内のピーク値を追随するために使用されるピーク電圧レベルV1〜V4は、減衰勾配の差に従って侵入金属が存在するか否かを判定するために、コイル信号C1の第一減衰勾配及び第二減衰勾配を計算するのに適用されてもよい。詳細な動作は上記の記載に示されており、本明細書では述べない。さらに、比較器モジュールM2´は他の振動周期内のピーク値を追随するために使用されてもよい、又は、他の方法が適用されて、第一減衰勾配及び第二減衰勾配を計算してもよい。これらについては、本明細書では限定されない。
【0047】
まとめると、本発明は侵入金属が誘導型電源システムの送電領域内にあるか否かを検出する方法及び、これに関連した誘導型電源システム開示する。給電側コイルの動作中、駆動信号が中断されて、給電側コイルの駆動を停止する。給電側コイルの駆動が停止されているときは、プロセッサは給電側コイルでのコイル信号の振動周波数を取得し、それに応じてコイル信号のピーク位置を決定し得る。その次に、プロセッサは、ピーク電圧レベルによりコイル信号の減衰勾配を計算するため、比較器モジュール及びピーク電圧レベルによりピーク電圧を追随し得る。給電側コイルの駆動停止期間中、コイル信号の減衰勾配の変動が所定の値よりも大きい場合は、プロセッサは侵入金属が存在すると判定し得る。結果として、本発明は、誘導型電源システムの保護効果を強化するため、コイル信号の減衰勾配の判定に従ったより効果的な侵入金属検出を実現し得る。
【0048】
当業者は、本発明の教示を保持しながら、装置及び方法の多くの修正及び変更がなされ得ることを容易に理解するだろう。従って、上記開示は、添付の特許請求の範囲の境界によってのみ制限されるものとして解釈すべきである。