特許第6267773号(P6267773)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6267773
(24)【登録日】2018年1月5日
(45)【発行日】2018年1月24日
(54)【発明の名称】レーザモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/022 20060101AFI20180115BHJP
   H01S 5/40 20060101ALI20180115BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20180115BHJP
【FI】
   H01S5/022
   H01S5/40
   G02B6/42
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-223351(P2016-223351)
(22)【出願日】2016年11月16日
【審査請求日】2017年6月29日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】片桐 健
【審査官】 村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−071040(JP,A)
【文献】 特開2004−179607(JP,A)
【文献】 米国特許第06501781(US,B1)
【文献】 国際公開第2015/133533(WO,A1)
【文献】 特開2014−126852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00−5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレーザダイオードと光ファイバとを備え、上記複数のレーザダイオードの各々から出力されたレーザ光を上記光ファイバに入力するレーザモジュールにおいて、
上記複数のレーザダイオードは、上記光ファイバから出射された戻光を構成する光線のうち、上記光ファイバからの出射角θが下記の式(A)により与えられるθ1以下となる近軸光線が各レーザダイオードの出射端面において該レーザダイオードの活性層と交わらないように、配置されている、
ことを特徴とするレーザモジュール。
【数1】
【請求項2】
上記複数のレーザダイオードは、空間的にクラスタ化されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザモジュール。
【請求項3】
上記複数のレーザダイオードは、特定の線分又は円弧上に各レーザダイオードの出射端面が並ぶように、かつ、異なるクラスタに属して互いに隣接するレーザダイオード同士の間隔が同じクラスタに属して互いに隣接するレーザダイオード同士の間隔よりも広くなるように、配置されている、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のレーザモジュール。
【請求項4】
当該レーザモジュールは、2M個(Mは2以上の自然数)のレーザダイオードを備えており、
上記2M個のレーザダイオードは、上記特定の線分又は円弧上に等間隔に並んだN個(Nは2M+1以上の自然数)の点x、x、…、xであって、各点xから上記光ファイバの入射端面までの光路長LがL>L>…>LとなるN個の点x、x、…、xから選択された2M個の点x、x、…、x、xN−M+1、xN−M+2、…、x上に各レーザダイオードの出射端面が位置するように配置されている、
ことを特徴とする、請求項3に記載のレーザモジュール。
【請求項5】
当該レーザモジュールは、2M−1個(Mは2以上の自然数)のレーザダイオードを備えており、
上記2M−1個のレーザダイオードは、上記特定の線分又は円弧上に等間隔に並んだN個(Nは2M+1以上の自然数)の点x、x、…、xであって、各点xから上記光ファイバの入射端面までの光路長LがL>L>…>LとなるN個の点x、x、…、xから選択された2M−1個の点x、x、…、x、xN−M+2、xN−M+3、…、x上に各レーザダイオードの出射端面が位置するように配置されている、
ことを特徴とする、請求項3に記載のレーザモジュール。
【請求項6】
2M−1個(Mは2以上の自然数)のレーザダイオードと光ファイバとを備え、上記2M−1個のレーザダイオードの各々から出力されたレーザ光を上記光ファイバに入力するレーザモジュールにおいて、
上記2M−1個のレーザダイオードは、上記光ファイバから出射された戻光を構成する光線のうち、出射角が0°となる光軸光線が各レーザダイオードの出射端面において該レーザダイオードの活性層と交わらないように、空間的にクラスタ化されており、
上記2M−1個のレーザダイオードは、特定の線分又は円弧上に等間隔に並んだN個(Nは2M+1以上の自然数)の点x、x、…、xであって、各点xから上記光ファイバの入射端面までの光路長LがL>L>…>LとなるN個の点x、x、…、xから選択された2M−1個の点x、x、…、x、xN−M+2、xN−M+3、…、x上に各レーザダイオードの出射端面が位置するように配置されている、
ことを特徴とするレーザモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のレーザダイオードと光ファイバとを備えたレーザモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
ファイバレーザの励起光源として、複数のレーザダイオードと光ファイバとを備えたレーザモジュールが広く用いられている。このようなレーザモジュールにおいては、複数のレーザダイオードから出力されたレーザ光が光ファイバに入力される。このようなレーザモジュールを用いることによって、単一のレーザダイオードからは得ることのできないハイパワーなレーザ光を得ることができる。
【0003】
従来のレーザモジュールとしては、図5に示すレーザモジュール5(特許文献1参照)や図6の示すレーザモジュール6(特許文献2参照)などが代表的である。図5に示すレーザモジュール5では、7個のレーダダイオードLD1〜LD7から出力されたレーザ光を、7個の2連ミラーDM1〜DM7を用いて光ファイバOFに導いている。一方、図6に示すレーザモジュール6では、7個のレーザダイオードLD1〜LD7から出力されたレーザ光を、7個の単ミラーSM1〜SM7を用いて光フィアバOFに導いている。何れのレーザモジュールにおいても、各レーザダイオードから出力されるレーザ光の約7倍のパワーを有するレーザ光を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5717714号公報(登録日:2015年3月27日)
【特許文献2】特開2013−235943号公報(公開日:2013年11月21日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のレーザモジュール5,6においては、中央のレーザダイオードLD4の故障発生率が高く、これにより平均装置寿命が短くなるという問題が生じ得ることを、本願発明者は見出した。そして、このような問題が生じる原因は、レーザモジュール5,6をファイバレーザに接続したときに生じる戻光にあることを、本願発明者は見出した。
【0006】
すなわち、ファイバレーザにおいて、レーザモジュール5,6から出力されたレーザ光は、増幅用光ファイバに添加された希土類元素の励起に利用されるが、希土類元素の励起に利用されずに残ったレーザ光は戻光としてレーザモジュール5,6に再入射する。また、増幅用光ファイバにおいて希土類元素から誘導放出されたレーザ光の一部も、戻光としてレーザモジュール5,6に入射する。さらに、ファイバレーザから出力されたレーザ光が加工対象物に反射されることにより生じる反射光も、戻光としてレーザモジュール5,6に入射することがある。また、これらのレーザ光に起因する誘導ラマン散乱により生じるストークス光も、戻光としてレーザモジュール5,6に入射することがある。
【0007】
これらの戻光は、レーザモジュール5、6において、光ファイバOFから出射され、レーザダイオードLD1〜LD7に入射する。光ファイバOFから出射される戻光は、ガウシアンビームになるため、中央のレーザダイオードLD4に入射する戻光の強度は、他のレーザダイオードLD1〜LD3,LD5〜LD7に入射する戻光の強度よりも大きくなる。このため、中央のレーザダイオードLD4の故障発生率が高くなり、その結果、レーザモジュール5,6の平均装置寿命が短くなる。特に、増幅用光ファイバにおいて希土類元素から誘導放出されたレーザ光は、伝播角が狭い角度範囲に分布するため、中央のレーザダイオードLD4の故障発生率を上昇させる要因となりやすい。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来よりも平均装置寿命が長いレーザモジュールを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明に係るレーザモジュールは、複数のレーザダイオードと光ファイバとを備え、上記複数のレーザダイオードの各々から出力されたレーザ光を上記光ファイバに入力するレーザモジュールであって、上記複数のレーザダイオードは、上記光ファイバから出射された戻光を構成する光線のうち、出射角が0°となる光軸光線が各レーザダイオードの出射端面において該レーザダイオードの活性層と交わらないように、空間的にクラスタ化されている、ことを特徴とする。
【0010】
上記の構成によれば、上記複数のレーザダイオードに入射する戻光の最大強度(各レーザダイオードに入射する戻光の強度のなかで値が最も大きい強度)を、従来よりも小さくすることができる。このため、上記複数のレーザダイオードの最大故障発生率(各レーザダイオードの故障発生率のなかで値が最も大きい故障発生率)を、従来よりも低くすることができ、その結果、上記レーザモジュールの平均装置寿命を、従来よりも長くすることができる。
【0011】
本発明に係るレーザモジュールにおいて、上記複数のレーザダイオードは、上記光ファイバから出射された戻光を構成する光線のうち、上記光ファイバからの出射角θが下記の式(A)により与えられるθ1以下となる近軸光線が各レーザダイオードの出射端面において該レーザダイオードの活性層と交わらないように、空間的にクラスタ化されている、ことが好ましい。
【0012】
【数1】
【0013】
上記の構成によれば、上記複数のレーザダイオードに入射する戻光の最大強度を、従来の1/2以下にすることができる。このため、上記複数のレーザダイオードの最大故障発生率を更に低くすることができ、その結果、上記レーザモジュールの平均装置寿命を更に長くすることができる。
【0014】
本発明に係るレーザモジュールにおいて、上記複数のレーザダイオードは、特定の線分又は円弧上に各レーザダイオードの出射端面が並ぶように、かつ、異なるクラスタに属して互いに隣接するレーザダイオード同士の間隔が同じクラスタに属して互いに隣接するレーザダイオード同士の間隔よりも広くなるように、配置されている、ことが好ましい。
【0015】
上記の構成によれば、上記複数のレーザダイオードをばらばらに配置する場合(例えば、一部のレーザダイオードを光軸光線の右側に配置し、残りのレーザダイオードを光軸光線の左側に配置する場合)と比べて、上記複数のレーザダイオードの配置に要するスペースを少なくすることができ、その結果、上記レーザモジュールの装置サイズを小さくすることができる。
【0016】
本発明に係るレーザモジュールが2M個(Mは2以上の自然数)のレーザダイオードを備えている場合、上記2M個のレーザダイオードは、上記特定の線分又は円弧上に等間隔に並んだN個(Nは2M+1以上の自然数)の点x、x、…、xであって、各点xから上記光ファイバの入射端面までの光路長LがL>L>…>LとなるN個の点x、x、…、xから選択された2M個の点x、x、…、x、xN−M+1、xN−M+2、…、x上に各レーザダイオードの出射端面の中心が位置するように配置されている、ことが好ましい。
【0017】
上記の配置は、上記N個の点x、x、…、xから選択された2M個の点上に各レーザダイオードの出射端面の中心が位置する2M通りの配置のなかで、上記2M個のレーザダイオードに入射する戻光の最大強度が最も小さくなる配置である。すなわち、上記の構成によれば、上記レーザモジュールの平均装置寿命を他の配置を採用した場合よりも長くすることができる。
【0018】
本発明に係るレーザモジュールが2M−1個(Mは2以上の自然数)のレーザダイオードを備えている場合、上記2M−1個のレーザダイオードは、上記特定の線分又は円弧上に等間隔に並んだN個(Nは2M+1以上の自然数)の点x、x、…、xであって、各点xから上記光ファイバの入射端面までの光路長LがL>L>…>LとなるN個の点x、x、…、xから選択された2M−1個の点x、x、…、x、xN−M+2、xN−M+3、…、x上に各レーザダイオードの出射端面の中心が位置するように配置されている、ことが好ましい。
【0019】
上記の配置は、上記N個の点x、x、…、xから選択された2M−1個の点上に各レーザダイオードの出射端面の中心が位置する2M−1通りの配置のなかで、上記2M−1個のレーザダイオードに入射する戻光の最大強度が最も小さくなる配置である。すなわち、上記の構成によれば、上記レーザモジュールの平均装置寿命を他の配置を採用した場合よりも長くすることができる。
【0020】
上記の課題を解決するために、本発明に係るレーザモジュールは、複数のレーザダイオードと光ファイバとを備え、上記複数のレーザダイオードの各々から出力されたレーザ光を上記光ファイバに入力するレーザモジュールにおいて、上記複数のレーザダイオードは、上記光ファイバから出射された戻光を構成する光線のうち、上記光ファイバからの出射角θが下記の式(A)により与えられるθ1以下となる近軸光線が各レーザダイオードの出射端面において該レーザダイオードの活性層と交わらないように、配置されている、ことを特徴とする。
【0021】
【数2】
【0022】
上記の構成によれば、上記複数のレーザダイオードに入射する戻光の最大強度を、従来の1/2以下にすることができる。このため、上記複数のレーザダイオードの最大故障発生率を従来よりも低くすることができ、その結果、上記レーザモジュールの平均装置寿命を従来よりも長くすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、従来よりも平均装置寿命が長いレーザモジュールを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1の実施形態に係るレーザモジュールを示す斜視図である。
図2】(a)は、図1に示すレーザモジュールが備えるレーザダイオードと光ファイバとを、その光ファイバから出射される戻光と共に示す斜視図である。(b)は、その光ファイバから出射される戻光のビームプロファイルを示すグラフである。
図3図1に示すレーザモジュールの一変形例を示す斜視図である。
図4】本発明の第2の実施形態に係るレーザモジュールを示す斜視図である。
図5】従来のレーザモジュールを示す斜視図である。
図6】従来のレーザモジュールを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
〔第1の実施形態〕
(レーザモジュールの構成)
本発明の第1の実施形態に係るレーザモジュール1の構成について、図1を参照して説明する。図1は、本実施形態に係るレーザモジュール1の構成を示す斜視図である。
【0026】
レーザモジュール1は、図1に示すように、6つのレーザダイオードLD1〜LD6と、6つのF軸コリメ−トレンズFL1〜FL6と、6つのS軸コリメ−トレンズSL1〜SL6と、6つの2連ミラーDM1〜DM6と、1つのF軸集光レンズFLと、1つのS軸集光レンズSLと、1つの光ファイバOFと、を備えている。レーザダイオードLD1〜LD6、F軸コリメートレンズFL1〜FL6、S軸コリメートレンズSL1〜SL6、2連ミラーDM1〜DM6、F軸集光レンズFL、及びS軸集光レンズSLは、レーザモジュール1の筐体底板に載置されている。光ファイバOFは、レーザモジュール1の筐体側壁を貫通し、入射端面を含む端部がレーザモジュール1の筐体内に引き込まれている。
【0027】
レーザダイオードLDi(iは、1以上6以下の自然数)は、レーザ光を出力する光源である。本実施形態においては、図示した座標系において、活性層がxy平面と平行になるように、かつ、出射端面がzx平面と平行になるように配置されたレーザダイオードを、レーザダイオードLDiとして用いる。レーザダイオードLDiからは、進行方向がy軸正方向に一致し、F(Fast)軸がz軸と平行であり、S(Slow)軸がx軸と平行であるレーザ光が出力される。これらのレーザダイオードLD1〜LD6は、各レーザダイオードLDiの出射端面がx軸と平行な直線L上に位置するように配置されており、レーザダイオードLD1〜LD6から出力されたレーザ光の光軸は、xy平面と平行な平面内に互いに平行に並ぶ。
【0028】
レーザダイオードLDiから出力されたレーザ光の光路上には、F軸コリメートレンズFLiが配置されている。本実施形態においては、図示した座標系において、平坦面(入射面)がy軸負方向を向き、湾曲面(出射面)がy軸正方向を向くように配置された平凸シリンドリカルレンズを、F軸コリメートレンズFL1〜FL6として利用する。F軸コリメートレンズFLiは、yz平面に平行な断面のy軸正方向側の外縁が円弧を描くように配置されており、レーザダイオードLDiから出力されたレーザ光のF軸方向の広がりをコリメートする。
【0029】
F軸コリメートレンズFLiを透過したレーザ光の光路上には、S軸コリメートレンズSLiが配置されている。本実施形態においては、図示した座標系において、平坦面(入射面)がy軸負方向を向き、湾曲面(出射面)がy軸正方向を向くように配置された平凸シリンドリカルレンズを、S軸コリメートレンズSL1〜SL6として利用する。S軸コリメートレンズSLiは、xy平面に平行な断面のy軸正方向側の外縁が円弧を描くように配置されており、レーザダイオードLDiから出力され、F軸コリメートレンズFLiを透過したレーザ光のS軸方向の広がりをコリメートする。
【0030】
S軸コリメートレンズSLiを透過したレーザ光の光路上には、2連ミラーDMiが配置されている。2連ミラーDMiは、筐体底板上に載置され、その下面が筐体底板の上面に接着固定された第1ミラーDMi1と、第1ミラーDMi1上に載置され、その下面が第1ミラーDMi1の上面に接着固定された第2ミラーDMi2とにより構成される。第1ミラーDMi1は、法線ベクトルがz軸正方向と45°を成す反射面を有しており、LDチップLDiから出射されたレーザ光を反射して、その進行方向をy軸正方向からz軸正方向に変換すると共に、そのF軸をz軸と平行な状態からy軸と平行な状態に変換する。また、第2ミラーDMi2は、法線ベクトルがz軸正方向と135°を成す反射面を有しており、第1ミラーDMi1にて反射されたレーザ光を反射して、その進行方向をz軸正方向からx軸正方向に変換すると共に、そのS軸をx軸と平行な状態からz軸と平行な状態に変換する。これらの2連ミラーDM1〜DM6は、各レーザダイオードLDiから2連ミラーDMiまでの光路長liがl1<l2<l3<l4<l5<l6となるように配置されており、第2ミラーDM12〜DM62にて反射されたレーザ光の光軸は、xy平面と平行な平面内に互いに平行に並ぶ。
【0031】
第2ミラーDM12〜DM62にて反射されたレーザ光の光路上には、F軸集光レンズFLが配置されている。本実施形態においては、図示した座標系において、湾曲面(入射面)がx軸負方向を向き、平坦面(出射面)がx軸正方向を向くように配置された平凸シリンドリカルレンズを、F軸集光FLとして利用する。F軸集光レンズFLは、xy平面に平行な断面のx軸負方向側の外縁が円弧を描くように配置されており、(1)第2ミラーDM12〜DM62にて反射されたレーザ光を、それらの光軸が1点で交差するように集束すると共に、(2)これらのレーザ光の各々を、そのF軸径が縮小するように集光する。
【0032】
F軸集光レンズFLを透過したレーザ光の光路上には、S軸集光レンズSLが配置されている。本実施形態においては、図示した座標系において、湾曲面(入射面)がx軸負方向を向き、平坦面(出射面)がx軸正方向を向くように配置された平凸シリンドリカルレンズを、S軸集光レンズSLとして利用する。S軸集光レンズSLは、yz平面に平行な断面のx軸負方向側の外縁が円弧を描くように配置されており、F軸集光レンズFLにて集束及び集光されたレーザ光の各々を、そのS軸径が縮小するように集光する。
【0033】
S軸集光レンズSLを透過したレーザ光の光軸交差点には、光ファイバOFの入射端面が配置されている。光ファイバOFは、入射端面がx軸負方向を向くように配線されており、S軸集光レンズSLにて集光されたレーザ光は、この入射端面を介して光ファイバOFに入射する。
【0034】
なお、レーザダイオードLD1〜LD6から出力されるレーザ光の進行方向は、それぞれ独立に誤差を持ち得る。すなわち、レーザダイオードLD1〜LD6から出力されるレーザ光の進行方向は、y軸正方向を中心に非一様に分布し得る。このため、2連ミラーDM1〜DM6の第2ミラーDM12〜DM62にて反射されたレーザ光の進行方向も、それぞれ独立に誤差を持ち得る。すなわち、2連ミラーDM1〜DM6の第2ミラーDM12〜DM62にて反射されたレーザ光の進行方向も、x軸正方向を中心に非一様に分布し得る。
【0035】
これらの誤差は、レーザモジュール1の製造過程において、2連ミラーDM1〜DM6を用いて補正することができる。すなわち、各二連ミラーDMiにおいて、第1ミラーDMi1は、筐体底板に接着固定されるまでの間、z軸を回転軸として回転可能であり、第2ミラーDMi2は、第1ミラーDMi1に接着固定されるまでの間、z軸を回転軸として回転可能である。第1ミラーDMi1を回転させれば、第2ミラーDMi2にて反射されたレーザ光の進行方向の仰角が変化し、第2ミラーDMi2を回転させれば、第2ミラーDMi2にて反射されたレーザ光の進行方向の方位角が変化する。したがって、第2ミラーDMi2にて反射されたレーザ光の進行方向がx軸正方向に一致するように第1ミラーDMi1及び第2ミラーDMi2を回転させた後、第1ミラーDMi1及び第2ミラーDMi2の下面に予め塗布しておいた接着剤を硬化させれば、上記の誤差が補正されたレーザモジュール1を得ることができる。
【0036】
なお、本実施形態においては、レーザダイオードLD1〜LD6から出力されたレーザ光の光軸が互いに平行になるようにレーザダイオードLD1〜LD6の向きを設定する構成を採用しているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、これらのレーザ光の光軸の延長が1点で交差するようにレーザダイオードLD1〜LD6の向きを設定する構成を採用してもよい。また、本実施形態においては、第2ミラーDM12〜DM62にて反射されたレーザ光の光軸が互いに平行になるように第2ミラーDM12〜DM26の向きを設定する構成を採用しているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、これらのレーザ光の光軸の延長が1点で交差するように第2ミラーDM12〜DM26の向きを設定する構成を採用してもよい。これらの構成を採用することで、F軸集光レンズFLにて集束されたレーザ光の光軸交差点をF軸集光レンズFLに近づけ、レーザモジュール1のサイズを小型化することができる。
【0037】
また、本実施形態においては、レーザダイオードLD1〜LD6を、それらの出射端面における活性層の中心が特定の線分上に並ぶように配置する構成を採用しているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、レーザダイオードLD1〜LD6を、それらの出射端面における活性層の中心が特定の円弧上に並ぶように配置する構成を採用してもよい。前者の構成は、レーザダイオードLD1〜LD6から出力されたレーザ光の光軸が互いに平行になる場合に適しており、後者の構成は、レーザダイオードLD1〜LD6から出力されたレーザ光の光軸が一点で交差する場合に適している。
【0038】
(レーザモジュールの特徴)
レーザモジュール1の特徴ついて、図2を参照して説明する。図2において、(a)は、レーザモジュール1が備えるレーザダイオードLD1〜LD6及び光ファイバOFを、光ファイバOFから出射される戻光と共に示す斜視図であり、(b)は、光ファイバOFから出射される戻光のビームプロファイルを示すグラフである。
【0039】
レーザモジュール1において特徴的な点は、光ファイバOFの入射端面から出力される戻光を構成する光線のうち、光軸光線(より好ましくは、近軸光線)が各レーザダイオードLDiの活性層に入射しないように、レーザダイオードLD1〜LD6が空間的にクラスタ化されている点である。
【0040】
ここで、レーザダイオードLD1〜LDnが空間的にクラスタ化されているとは、ある閾値が存在して、間隔(例えば、出射端面における活性層の中心同士の間隔)がその閾値よりも小さいレーザダイオード同士が同じグループに属するようにレーザダイオードLD1〜LDnがグループ分けされており、異なるグループに属するレーザダイオード同士の間隔がその閾値よりも大きいことを指す。レーザダイオードLD1〜LDnが上記の条件を満たすようにグループ化されているとき、各グループのことを「クラスタ」と呼ぶ。孤立した(隣接するレーザダイオードとの間隔が上記閾値よりも大きい)レーザダイオードは、単独でクラスタを構成する。
【0041】
例えば、特定の線分上に並んだレーザダイオードLD1〜LDnが「異なるクラスタに属して互いに隣接するレーザダイオードLDm,LDm+1の間隔Dが、同じクラスタに属して互いに隣接するレーザダイオードLDi,LDi+1(i=1,2,…,m−1,m+1,…,n−1)の間隔dよりも広い」という条件を満たしている場合、レーザダイオードLD1〜LDnは、m個のレーザダイオードLD1〜LDmからなる第1のクラスタと、(n−m)個のレーザダイオードLDm+1〜LDnからなる第2のクラスタとにクラスタ化されていると見做すことができる。
【0042】
本実施形態において、レーザダイオードLD1〜LD6は、それらの出射端面における活性層の中心が線分PQ上に等間隔に並んだ7個の点x、x、…、xのうち、中央の点xを除く6つの点x、x、x、x、x、x上に位置するように配置されている。これにより、6個のレーザダイオードLD1〜LD6は、3個のレーザダイオードLD1〜LD3からなる第1のクラスタと、3個のレーザダイオードLD4〜LD6からなる第2のクラスタとに分けられる。異なるクラスタに属して互いに隣接するレーザダイオードLD3,LD4の間隔Dは、同じクラスタに属して互いに隣接するレーザダイオードLDi,LDi+1(i=1,2,4,5)の間隔dの2倍になる。
【0043】
光ファイバOFから出射される戻光のビームプロファイルは、通常、図2の(b)に示すようにガウシアンになり、下記の式(1)により定義される出射角θの関数f(θ)として表される。したがって、光ファイバOFから出射される戻光の強度は、出射角θが0°のときに最大となり、出射角θがθ1=σ(2ln2)1/2のときに最大値f(0)の1/2となる。ここで、σは、ビームプロファイルf(θ)の標準偏差である。光ファイバOFの開口数NAから決まるビーム拡がり角θ0=Arcsin(NA)がビームプロファイルf(θ)の3σに相当すると仮定すると、戻光の強度が最大値f(0)の1/2となる出射角θ1は、下記の式(2)により与えられる。光ファイバOFの開口数NAが1.8である場合、戻光の強度が最大値f(0)の1/2となる出射角θ1は、約4.1°となる。
【0044】
【数3】
【0045】
【数4】
【0046】
このため、光ファイバOFから出射される戻光の光強度は、出射角θが0°となる光軸光線において最大となる。したがって、この光軸光線がレーザダイオードLD1〜LD6の活性層に入射しないように上述した閾値を定め、レーザダイオードLD1〜LD6を空間的にクラスタ化すれば、レーザダイオードLD1〜6の活性層に入射する戻光の最大強度(各レーザダイオードLDiの活性層に入射する戻光の強度のなかで最も値が大きい強度)を、従来のレーザモジュール5(図5参照)よりも小さくすることができる。このため、レーザダイオードLD1〜LD6の最大故障発生率(各レーザダイオードLDiの故障発生率のなかで最も値が大きい故障発生率)は、従来のレーザモジュール5の最大故障発生率よりも低くなり、その結果、レーザモジュール1の平均装置寿命は、従来のレーザモジュール5の平均装置寿命よりも長くなる。なお、戻光の光軸光線がレーザダイオードLD1〜LD6の活性層に入射しないようにレーザダイオードLD1〜LD6が配置されていれば、レーザダイオードLD1〜LD6が空間的にクラスタ化されているか否かに依らず、上記の効果が得られる。
【0047】
また、光ファイバOFから出射される戻光の光強度は、出射角θが上記の式(2)により与えられるθ1以下となる近軸光線において最大値の1/2以上となる。したがって、これらの近軸光線がレーザダイオードLD1〜LD6の活性層に入射しないように上述した閾値を定め、レーザダイオードLD1〜LD6を空間的にクラスタ化すれば、レーザダイオードLD1〜LD6の活性層に入射する戻光の最大強度を、従来のレーザモジュール5(図5参照)の1/2よりも小さくすることができる。このため、レーザダイオードLD1〜LD6の最大故障発生率を更に低下させることができ、その結果、レーザモジュール1の平均装置寿命を更に延長することができる。なお、戻光の近軸光線がレーザダイオードLD1〜LD6の活性層に入射しないようにレーザダイオードLD1〜LD6が配置されていれば、レーザダイオードLD1〜LD6が空間的にクラスタ化されているか否かに依らず、上記の効果が得られる。
【0048】
また、F軸集光レンズFLは、球面レンズであることが好ましい。F軸集光レンズFLが球面レンズである場合、F軸集光レンズFLが非球面レンズである場合と比べて、戻光のコリメート度が低くなり、その結果、レーザダイオードLD1〜LD6の活性層に入射する戻光の光密度が低くなる。このため、レーザダイオードLD1〜LD6の活性層の最大故障発生率を更に低下させることができ、その結果、レーザモジュール1の平均装置寿命を更に延長することができる。
【0049】
(変形例)
レーザモジュール1の一変形例について、図3を参照して説明する。図3は、本変形例に係るレーザモジュール1の構成を示す斜視図である。
【0050】
図3に示すレーザモジュール1は、図1に示すレーザモジュール1から、レーザダイオードLD4、F軸コリメートレンズFL4、S軸コリメートレンズSL4、及び2連ミラーDM4を省いたものである。
【0051】
図3に示すレーザモジュール1において、レーザダイオードLD1〜LD3,LD5〜LD6は、それらの出射端面における活性層の中心が線分PQ上に等間隔に並んだ7個の点x、x、…、xのうち、中央付近の点x、xを除く5つの点x、x、x、x、x上に位置するように配置されている。これにより、5個のレーザダイオードLD1〜LD3,LD5〜LD6は、3個のレーザダイオードLD1〜LD3からなる第1のクラスタと、2個のレーザダイオードLD5〜LD6からなる第2のクラスタとに分けられる。異なるクラスタに属して互いに隣接するレーザダイオードLD3,LD5の間隔Dは、同じクラスタに属して互いに隣接するレーザダイオードLDi,LDi+1(i=1,2,4,5)の間隔dの3倍になる。
【0052】
ところで、線分PQ上に等間隔に並んだ7個の点x、x、…、xに入射する戻光の強度P(x)、P(x)、…、P(x)を比較すると、P(x)>P(x)>P(x)>P(x)>P(x)>P(x)>P(x)となる。ここで、P(x)>P(x)>P(x)>P(x)、P(x)>P(x)>P(x)>P(x)であるのは、中央の点xから遠い点ほど、出射角θが大きい(すなわち、強度の小さい)光線が入射するからである。また、P(x)>P(x)であるのは、点xの方が点xよりも光ファイバOFの入射端面からの光路長が短いため、点xの方が点xよりも強度の大きい光線が入射するからである。P(x)>P(x)、P(x)>P(x)であるのも同様の理由による。
【0053】
したがって、5つのレーザダイオードを、それらの出射端面における活性層の中心が線分PQ上に等間隔に並んだ7個の点x、x、…、xのうち、何れか5つの点上に位置するように配置する場合、それらの出射端面における活性層の中心が点x、x、x、x、x上に位置するように配置することが最良である。なぜなら、これら5つのレーザダイオードに入射する戻光の最大強度を、他の配置よりも小さくすることができるからである。図3に示すレーザモジュール1におけるレーザダイオードLD1〜LD3,LD5〜LD6の配置は、この意味で最良の配置である。
【0054】
一般に、2M−1個(Mは2以上の自然数)のレーザダイオードを、各レーザダイオードの出射端面における活性層の中心が特定の線分又は円弧上に等間隔に並んだN個(Nは2M+1以上の自然数)の点x、x、…、xであって、各点xから上記光ファイバの入射端面までの光路長LがL>L>…>LとなるN個の点x、x、…、xの何れかの上に位置するように配置する場合には、図3に示すレーザモジュール1と同様、各レーザダイオードの出射端面における活性層の中心が点x、x、…、x、xN−M+2、xN−M+3、…、x上に位置するように配置することが好ましい。なぜなら、この配置は、N個の点x、x、…、xから選択された2M−1個の点上に各レーザダイオードの出射端面における活性層の中心が位置する2M−1通りの配置のなかで、2M−1個のレーザダイオードに入射する戻光の最大強度が最も小さくなる配置だからである。
【0055】
なお、2M個(Mは2以上の自然数)のレーザダイオードを、各レーザダイオードの出射端面の中心が特定の線分又は円弧上に等間隔に並んだN個(Nは2M+1以上の自然数)の点x、x、…、xであって、各点xから上記光ファイバの入射端面までの光路長LがL>L>…>LとなるN個の点x、x、…、xの何れかの上に位置するように配置する場合には、図1に示すレーザモジュール1と同様、各レーザダイオードの出射端面における活性層の中心が点x、x、、…、x、xN−M+1、xN−M+2、…、x上に位置するように配置することが好ましい。なぜなら、この配置は、N個の点x、x、…、xから選択された2M個の点上に各レーザダイオードの出射端面における活性層の中心が位置する2M通りの配置のなかで、2M個のレーザダイオードに入射する戻光の最大強度が最も小さくなる配置だからである。
【0056】
〔第2の実施形態〕
本発明の第2の実施形態に係るレーザモジュール2の構成について、図4を参照して説明する。図4は、本実施形態に係るレーザモジュール2の構成を示す斜視図である。
【0057】
レーザモジュール2は、図4に示すように、6つのレーザダイオードLD1〜LD6と、6つのF軸コリメ−トレンズFL1〜FL6と、6つのS軸コリメ−トレンズSL1〜SL6と、6つの単ミラーSM1〜SM6と、1つの集光レンズLと、1つの光ファイバOFと、を備えている。レーザダイオードLD1〜LD6、F軸コリメートレンズFL1〜FL6、S軸コリメートレンズSL1〜SL6、単ミラーSM1〜SM6、集光レンズLは、レーザモジュール1の筐体底板に載置されている。光ファイバOFは、レーザモジュール1の筐体側壁を貫通し、入射端面を含む端部がレーザモジュール1の筐体内に引き込まれている。
【0058】
レーザダイオードLDi(iは、1以上6以下の自然数)は、レーザ光を出力する光源である。本実施形態においては、図示した座標系において、活性層がxy平面と平行になるように、かつ、出射端面がzx平面と平行になるように配置されたレーザダイオードを、レーザダイオードLDiとして用いる。レーザダイオードLDiからは、進行方向がy軸正方向に一致し、F(Fast)軸がz軸と平行であり、S(Slow)軸がx軸と平行であるレーザ光が出力される。これらのレーザダイオードLD1〜LD6は、各レーザダイオードLDiの高さ(z座標)HiがH1>H2>…>H6となるように、x軸負方向側で高くx軸正方向側で低い階段状の筐体底板の各段に配置されている。
【0059】
レーザダイオードLDiから出力されたレーザ光の光路上には、F軸コリメートレンズFLiが配置されている。本実施形態においては、図示した座標系において、平坦面(入射面)がy軸負方向を向き、湾曲面(出射面)がy軸正方向を向くように配置された平凸シリンドリカルレンズを、F軸コリメートレンズFL1〜FL6として利用する。F軸コリメートレンズFLiは、yz平面に平行な断面のy軸正方向側の外縁が円弧を描くように配置されており、レーザダイオードLDiから出力されたレーザ光のF軸方向の広がりをコリメートする。
【0060】
F軸コリメートレンズFLiを透過したレーザ光の光路上には、S軸コリメートレンズSLiが配置されている。本実施形態においては、図示した座標系において、平坦面(入射面)がy軸負方向を向き、湾曲面(出射面)がy軸正方向を向くように配置された平凸シリンドリカルレンズを、S軸コリメートレンズSL1〜SL6として利用する。S軸コリメートレンズSLiは、xy平面に平行な断面のy軸正方向側の外縁が円弧を描くように配置されており、レーザダイオードLDiから出力され、F軸コリメートレンズFLiを透過したレーザ光のS軸方向の広がりをコリメートする。
【0061】
S軸コリメートレンズSLiを透過したレーザ光の光路上には、単ミラーSMiが配置されている。第1ミラーDMi1は、法線ベクトルがz軸と直交すると共に、x軸正方向及びy軸負方向と45°を成す反射面を有しており、LDチップLDiから出射されたレーザ光を反射して、その進行方向をy軸正方向からx軸正方向に変換すると共に、そのS軸をx軸と平行な状態からy軸と平行な状態に変換する。これらの単ミラーSM1〜SM6は、各レーザダイオードLDiから単ミラーSMiまでの光路長liがl1=l2=l3=l4=l5=l6となるように配置されており、単ミラーSM1〜SM6にて反射されたレーザ光の光軸は、zx平面と平行な平面内に互いに平行に並ぶ。
【0062】
単ミラーSM1〜SM6にて反射されたレーザ光の光路上には、集光レンズLが配置されている。本実施形態においては、図示した座標系において、湾曲面(入射面)がx軸負方向を向き、平坦面(出射面)がx軸正方向を向くように配置された平凸レンズを、集光Lとして利用する。集光レンズLは、(1)単ミラーSM1〜SM6にて反射されたレーザ光を、それらの光軸が1点で交差するように集束すると共に、(2)これらのレーザ光の各々を、そのビーム径が縮小するように集光する。
【0063】
集光レンズLを透過したレーザ光の光軸交差点には、光ファイバOFの入射端面が配置されている。光ファイバOFは、入射端面がx軸負方向を向くように配線されており、S軸集光レンズSLにて集光されたレーザ光は、この入射端面を介して光ファイバOFに入射する。
【0064】
レーザモジュール2において特徴的な点は、光ファイバOFの入射端面から出力される戻光を構成する光線のうち、光軸光線(より好ましくは、近軸光線)が各レーザダイオードLDiの出射端面に入射しないように、レーザダイオードLD1〜LD6が空間的にクラスタ化されている点である。
【0065】
光ファイバOFから出射される戻光のうち、出射角θが0°となる光軸光線がレーザダイオードLD1〜LD6に入射しないように、レーザダイオードLD1〜LD6が空間的にクラスタ化されている場合には、レーザダイオードLD1〜6に入射する戻光の最大強度を、従来のレーザモジュール6(図6参照)よりも小さくすることができる。このため、レーザダイオードLD1〜LD6の最大故障発生率は、従来のレーザモジュール6の最大故障発生率よりも低くなり、その結果、レーザモジュール2の平均装置寿命は、従来のレーザモジュール6の平均装置寿命よりも長くなる。
【0066】
また、光ファイバOFから出射される戻光のうち、出射角θが上記の式(2)により与えられるθ1以下となる近軸光線がレーザダイオードLD1〜LD6に入射しないように、レーザダイオードLD1〜LD6が空間的にクラスタ化されている場合には、レーザダイオードLD1〜6に入射する戻光の最大強度を、従来のレーザモジュール6(図6参照)の1/2よりも小さくすることができる。このため、レーザダイオードLD1〜LD6の最大故障発生率を更に低下させることができ、その結果、レーザモジュール2の平均装置寿命を更に延長することができる。
【0067】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
1,2 レーザモジュール
LD1〜LD6 レーザダイオード
FL1〜FL6 F軸コリメートレンズ
SL1〜SL6 S軸コリメートレンズ
DM1〜DM6 二連ミラー
SM1〜SM6 単ミラー
FL F軸集光レンズ
SL S軸集光レンズ
L 集光レンズ
OF 光ファイバ
【要約】
【課題】従来よりも平均装置寿命が長いレーザモジュールを実現する。
【解決手段】レーザモジュール(1)は、複数のレーザダイオード(LD1〜LD6)と光ファイバ(OF)とを備え、各レーザダイオード(LDi)から出力されたレーザ光を光ファイバ(OF)に入力する。複数のレーザダイオード(LD1〜LD6)は、光ファイバ(OF)から出射された戻光を構成する光線のうち、出射角が0°となる光軸光線が各レーザダイオード(LDi)の出射端面において該レーザダイオード(LDi)の活性層と交わらないように、空間的にクラスタ化されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6